2005/02/02

サクソフォーンフェスティバル2004レポート

今日はちょっと時間ができたので昨年12/22のサクソフォンフェスティバル2004の感想でも。

平日に行われているイベントのため当初は行く気がなかったのだが、とあるコネでイベントの一つであるサクソフォーン四重奏のクリニック(講師は服部吉之先生!)に参加できることになり、授業を自主休講(サボリ)までしてクヮルテットの四人で行ってきたのだ。アンコンで茨城県代表を頂いた直後で、服部先生に顔向けできる~とほっと?していたころの事だ。バス~電車~電車と楽器を担ぎながら乗り継いだ多摩までの道のりはなかなか遠かった。

クリニック前団体の多摩川学園高等部もデザンクロの第三楽章をやっていた(高校生であれだけ吹けるなんて!)。そして私たちの番。全体のテンポ設定を直していただいたり、フレージング感を重視した解釈にする方法を教えていただいたりと、一時間だけだったが熱く(ほんとに熱い)指導していただいた。この一時間がなかったら東関東大会を抜けることはできなかったかも知れない。

クリニック後、服部先生の楽屋にお邪魔して二時間近くいろんなお話をした。印象的だったのは「倚音」の話やベルノーの「ソプラノサクソフォンとバリトンサクソフォンのためのソナタ」の話。服部先生はフランス留学の際にデファイエやテリー、ルデュー、モレティと親交を深めていたようでそれらの関わりから多くの貴重な体験をされたようである。最後にサインもしていただいた。

そしてフェスティバルコンサート会場の大ホールへ移動。ホワイエで康英先生を発見し、ちょっとだけお話しした。なんでも康英先生作曲の「協奏曲」の再演を聴きに来たらしい。このコンサートのためにピアノ2台版への編曲をしたとか。

「協会員によるコンサート」は須川さんの吹くベリオ「SequenzaVIIb」から聴くことができた。生でセクエンツァを聴くのは初めてだったが、いやーすごかった。伴奏はチェロの持続音ではなく、電子音がホールのスピーカーから流れていた(その持続音がちょっと大きくて…うーん)。「トルヴェールの惑星」は「木星」と「地球」の抜粋。この曲をライヴで聴けたのは良かったかも。CDで聴くとどうも魅力が分らないのだが、ライヴですぐそこから感じ取れる迫力はトルヴェールならでは。トルヴェールメンバーもとても楽しそうに演奏していた。

そしてメインプロ「日本人作曲家のサクソフォーン作品」。将来にわたり決して実現しないであろうサックス界にとって一期一会の画期的なプログラムだった。武満徹「13人の演奏者による室内協奏曲」、入野義明「七つの管楽器のためのディヴェルティメント」、湯山昭「マリンバとアルトサクソフォンのためのディヴェルティメント」、石井真木「オルタネーションⅠ作品58」、野平一郎「サクソフォーン四重奏曲」、新実徳英「風韻Ⅰ」、伊藤康英「協奏曲」。

湯山「ディヴェルティメント」はスターリングシルバーを携えた田中靖人さんが演奏。じっくりと進める演奏が好みなのでちょっとせかせか進みすぎかな?と感じながらも楽しそうに前へ前へと進んでいく田中さん。マリンバの浜まゆみさんの演奏中のオーラがものすごい。「オルタネーションⅠ」。林田和之さんてこんなに上手かったのか!というか、何だこりゃ、曲の難しさは分るのだが、常軌を逸したテクニックによって演奏不可能作品ということを全く感じさせない…なんか自分の吹いている楽器とは違うような、いや言葉で表すのは無理かという完全な演奏(→意味不明。とにかくすごかったのです)。今回のコンサートの一番のヒット。

休憩を挟んで「サクソフォーン四重奏曲」へ。曲の存在だけ知っていて以前から聴きたいと思っていたのだが、これまたスリリングな曲想。「アンサンブル」というより「ソロ×4」て感じ。田村真寛演奏の「風韻Ⅰ」。まだ芸大三年生(若い!)とのことだが堂々たる演奏であった。彼の演奏をもっと聴いてみたいと思った。トリは康英先生の「協奏曲」を須川さんの演奏で。不思議かつ雄大な音空間が会場を満たし、貫禄の演奏、大きな拍手!やはりメインはこの人と感じさせるようなすばらしい演奏であった。

その後、池上政人さん指揮のサクソフォーンオーケストラで「エスパーニャ」やショス5の第四楽章を聴き、充実した気分で会場を後にした。その日は東京の友人宅に泊めてもらい、次の日につくばへ。2004年の最後を締めくくるともいえる充実した時間を体験することができ、本当に嬉しくてたまらなかった。

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