2016/06/15

塙美里サクソフォン・リサイタル ~ジュリアン・プティ氏を迎えて~(3/14)

塙さん、そしてご主人の大西さん、さらに、フランスのサクソフォン奏者で、塙美里さんの師匠、ジュリアン・プティ Julien Petit氏をゲストに迎えての公演。横浜みなとみらいホールに加え、3/19には塙さんの故郷近くのホール、水戸芸術館コンサートホールATMで、同一プログラムにて再度演奏会が開かれている。

【塙美里サクソフォン・リサイタル ~ジュリアン・プティ氏を迎えて~ 初来日記念公演】
出演:塙美里(sax)、ジュリアン・プティ(sax)、大西智氏(sax)、酒井有彩(pf)
日時:2016年3月14日(月曜)19:00開演
会場:横浜みなとみらいホール 小ホール
プログラム:
C.サン=サーンス - 序奏、ロンド、カプリツィオーソ(塙、酒井)
C.ドビュッシー - 牧神の午後への前奏曲(塙、酒井)
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア(プティ、酒井)
E.d.ファリャ - 7つのスペイン民謡(プティ、酒井)
クレツマー音楽(プティ、酒井)
M.グリンカ - 悲愴的三重奏曲より第1,4楽章(プティ、塙、酒井)
A.アレンスキー - ピアノ三重奏曲第1番より第1,4楽章(プティ、塙、酒井)
C.サン=サーンス - デンマークとロシアの歌による奇想曲(プティ、塙、大西、酒井)

プティ氏の巧さは、これはもう言わずもがな。技巧云々はもはや議論できる域を超えており、クラシカル・サクソフォンを超えた表現力で、ヴィラ=ロボス、ファリャ、クレツマー音楽を見事に演奏する。キラキラとした音を浴びながら、やはり"地"の部分の違いを強く感じる。生まれた時から目に写っていた風景、聴いてきた言葉/音楽、肌で感じてきた空気が、我々日本人とは全く違うのだな…という、サクソフォンの一発の音が物申す。国外奏者の音を聴くと時折感じる、その感覚を、久々に思い出した。無伴奏で短く演奏されたアンコール(やはりクレツマー音楽)の空気感というか覇気というか、あれを出せる奏者はなかなかいないだろう。

塙さんの演奏も素晴らしかった。ご本人もブログに書いていることなのだが、初めて聴いた水戸芸術館ATMでの演奏会とは、別人のよう。自身が心から好きな語法を会得して、それを躊躇なく、高いレベルで聴衆へとプレゼンテーションできる能力を、あれよあれよという間に身に付けてしまった。共演した師との出会いがそうさせたであろうことは、容易に想像できる。そんなわけで、塙さんは塙さんで、日本人離れした演奏を繰り広げ、感心してしまった。

ピアノトリオ、ないしカルテットで演奏された後半戦は、(やや気合いが入りすぎて硬く感じられる部分もあったが)音楽の自然な流れを表現しようとする、その一点を基底に据えながら進む。サクソフォンで演奏されていながら、曲自体の魅力が伝わる部分がいくつも見え、聴きながら何だか嬉しくなってしまった。また聴いてみたいものだ。

当日の演奏の様子は、YouTubeで公開中。ライヴで聴いてこそ、とはいえ、聴き逃した方はチェックされてみては。
https://www.youtube.com/channel/UCF-H5xPXVsLG7dBf7vNxGbw

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