2015/11/30

久々にミュールが参加した「ブランデンブルク協奏曲」を聴いて

サクソフォンのマルセル・ミュール氏が、パブロ・カザルス指揮のプラド祝祭管弦楽団のメンバーとしてバッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」演奏に参加していることは有名だが、最近、スコアを見ながらその演奏を改めて聴いて驚いた。

これは同曲の第3楽章の楽譜で、in Fで書かれたトランペットパートである。ミュールはこれをソプラノ・サクソフォンで演奏したとされている。録音から、フラジオ音域の"高いソ"を多分に含むフレーズを快速で、しかも美しいスタッカートで、見事に演奏している様子を聴き取ることができる。こんなに高い音で吹いていたのか、という、今更ながらの大きな驚きがあったのだ。

ミュールがフラジオ音域を吹いた録音は、ほとんど持っておらず(イベールのライヴ録音とクレストンの「ソナタ」くらいだろうか)、「ミュールはフラジオが苦手だったのではないか」という推測を耳にしたこともあるのだが、少なくともこの録音を聴く限り、まったくそんなことはない。フラジオを折り込みつつ、ここまでバッハを音楽的に演奏したミュール…改めて、恐るべし。

2015/11/29

プロースト交響楽団 第22回定期演奏会

【プロースト交響楽団 第22回定期演奏会】
指揮:栁澤寿男 ピアノ:梯剛之 チェロ:横山桂
日時:2015年11月29日(日曜)14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール音楽ホール
プログラム:
J.ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」
G.マーラー「交響曲第1番」

お知り合いが何人か乗っており、これまでも何度か聴きに伺っている。前回の演奏会にはエキストラとしても呼んでいただいた(ラプソディ・イン・ブルー)。アマチュアながら非常にレベルの高いオーケストラで、いつも演奏に感銘を受ける。また、脅威の集客力にも驚かされる…2000席近くのホールで、指定券を売り切ってしまうのだ。

今回は、大曲が2つならぶプログラム。ブラームスの、非常に緻密に書かれたピアノ協奏曲(初めて聴いたのだが、途中で構造が追いきれなくなってしまった)、そして数年前にも取り上げていたマーラーの第1番。難易度が高い作品ではあるが、アンサンブルは相当な高いレベルに踏み込んでいるという印象。整った音程、ぴたりと決める連符、シンプルな音ひとつひとつの響きなど、普段から磨きをかける基音からの賜物であろう。また、(おそらくだが)独奏にトライしている方も多いのではないかなあ…ここ一番、という場所での、安定感は、まるでプロオケを聴いているかのようだ。

ゲストの梯氏は、私自身は氏の演奏は初めて聴いたが、俗な言い方をしてしまえば、大変「ソウルフル」な演奏をされる方だな、と感じた。ブラームスの作品は、どちらかと言えばオーケストラとのアンサンブルが重視されるような作品であるから、氏の持つ情感だとか技巧といったところが、そこまで強調される作品ではないのかなと思ったが(とても難しいことを軽々とやってのけていることは判った)、アンコールで演奏されたモーツァルトの「幻想曲ニ短調」は、ソロということもあってかぐっと迫ってきたのだった。

マーラーは、ベースとして持っている技術の高さと、熱気がとても良いバランスで配合され、特に第1楽章、そして第4楽章がとても楽しく聴くことができた。2000人近くの聴衆を引き込む演奏って、よく考えたら凄いことだよなあ。

それにしても、半年に一回のペースでこの規模・クオリティの演奏会を開くことの凄まじさ!ぜひこれからも聴きに伺いたいオーケストラだ。

2015/11/26

デファイエ四重奏団復刻盤:サクソフォーン・アンサンブルの至芸

これまで最もリピートして聴いたサクソフォンのCDは、かつてEMIから出版されていた「サクソフォーンの芸術」3枚組の、2枚目である。デファイエ四重奏団が吹いたピエルネ、デザンクロ、リヴィエ、シュミットの録音が収録されている。当時、アンサンブルコンテスト向けにデザンクロ「四重奏曲」に取り組んでいたこともあり、お気に入りの録音を見定めるべく、同曲が収録されたCDを買ってはふむふむと聴きこんでいたのだ。「サクソフォーンの芸術」は、高校の研修旅行先でふらりと立ち寄った長崎のどこかの商店街のCD屋で見つけた。最初はピンとこなかったのだが、聴きこんでいくうちにその味わい深さに惹かれていった。まるで弦楽器のごとき音色や、絶妙なフレージングなど、もはや耳から離れなくなってしまった。デファイエ四重奏団のEMI盤を聴きこむことで、「往年のフレンチ・スクールの演奏がどういったものであるか」を、曲がりなりにも知ることができたのだと思う。

すっかり惚れ込んでしまった私は、デファイエ四重奏団の録音を集めようと試みたのだが、探せど探せど見つからない。それもそのはず、デファイエ四重奏団の録音で、CDになっているものはこれくらいしか無かったのだ。"伝説"とされていたSony盤を耳にするまでは、「サクソフォーンの芸術」の入手から4年を要した。大学の吹奏楽団にトレーナーとして招いていた松雪先生から、同LPをMDに録音したものをお借りしたのだ。おお、これが伝説のリュエフだな早速聴いてみるかと、再生した瞬間の衝撃といったら!サクソフォンに対する常識が根本から覆った…とは言い過ぎだろうか、いやそんなことはない。あまりの衝撃に、このブログの元となるウェブページ"kuri_saxo"をその日のうちに立ち上げ、感想を書いたのだ。

さらに3年後、木下直人さんとお知り合いになり、様々な録音を送っていただく中に、デファイエ四重奏団のこの録音が含まれていた。復刻の素晴らしさ(当時はシステムが完成形に至っていなかったが、それでも素晴らしい復刻だった)により、本来のLPの音がどのようなものであったのかを聴くこととなり、Sony盤の凄まじさを再認識したのだった。ここまで技術的に/音楽的に完成されていて、多くの人に聴かれ愛される、四重奏の録音があっただろうか。ただの懐古趣味ではないことを、言葉で語るのみならず、多くの方に実感してもらうことができるという点でも、今回の復刻は価値があると言えるだろう。

なんだか長くなった。というか、長くならざるを得なかった。なんせ13年分なもので。このたびの復刻に携わった全ての関係者に御礼申し上げたい。タイトルはオリジナルから引用し、「サクソフォーン・アンサンブルの至芸(SONY SICC 1972~3)」とされた。Amazon等でも取り扱いを開始している。サクソフォーン・アンサンブルの至芸

メンバー編成は以下のとおり。結成から解散まで、不動のメンバーであった。

ダニエル・デファイエ(ソプラノサクソフォン)
アンリ=ルネ・ポラン(アルトサクソフォン)
ジャック・テリー(テナーサクソフォン)
ジャン・ルデュー(バリトンサクソフォン)

「サクソフォーン・アンサンブルの至芸 L'art supreme du quatuor de saxophones(1978年)」「フランス・サクソフォーン四重奏の新たなエスプリ Esprit nouveau de France saxophone quartette(1975年)」の2枚が復刻されている。

1978年の録音は、来日時、石橋メモリアルホールにて録音された。ジャケット写真は、ポラン氏によれば400枚位撮影されたうちの1枚というが、本当だろうか。小品が中心だが、聴きどころは多い。よく取り出して聴くのはスカルラッティ。ぶっ飛んだテンポ設定、火花を撒き散らしながら軽やかに走り抜ける爽快感が心地よい。これぞフランスのエスプリだ。アルベニスの3曲も魅力的だなあ。特にカディスの中間部!

1975年の録音は、録音技師アンドレ・シャルラン率いるシャンゼリゼ録音センターへの外部委託。1975年の2月3日~5日とされているが、同じくポラン氏によれば「実質1日で録り終わってしまった」とのこと。リュエフはほぼ1発録りだったとのことだが、実際はどのくらい編集されているのかな。ソニーのエンジニアはシャルランの録音を気に入らなかったというが。ヘヴィな選曲だが、改めて聴くとティスネに惹かれる。現代音楽ではあっても、やはり根底に流れるのは「音楽」なのだ。

収録曲は以下のとおり。Sony Music Shopのサイトからのコピペ。

[DISC:1]
1. G線上のアリア・・・管弦楽組曲第3番ニ長調より (J.バッハ作曲/M.ミュール編曲) 試聴
2. 3つの小品 I. プレスト・ジョコーソ 試聴
3. 3つの小品 II.アンダンテ・カンタービレ 試聴
4. 3つの小品 III.スケルツォ 試聴
5. メヌエット (ボッケリーニ作曲/M.ミュール編曲) 試聴
6. アヴェ・ヴェルム・コルプス Kv.618 (モーツアルト作曲/M.ミュール編曲) 試聴
7. スケルツォ・・・弦楽四重奏曲第2番より 作品41 (シューマン作曲/M.ミュール編曲) 試聴
8. アンダンテ・カンタービレ・・・弦楽四重奏曲第1番より 作品11 (チャイコフスキー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
9. カディス・・・スペイン組曲第4番より 作品47 (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
10. コルドバ・・・スペインの歌より 作品232 (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
11. セヴィーリヤ・・・スペイン組曲第3番より (アルベニス作曲/M.ミュール編曲) 試聴
12. 小さな黒ん坊 (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
13. 小さい羊飼い・・・「子供の領分」より (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
14. ゴリウォークのケークウォーク・・・「子供の領分」より (ドビュッシー作曲/M.ミュール編曲) 試聴
[DISC:2]
1. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) I.序奏 試聴
2. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) II.フーガ 試聴
3. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) III.メヌエット 試聴
4. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) IV. パスピエ 試聴
5. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) V.アリア 試聴
6. サクソフォーン四重奏のためのコンセール(演奏会用四重奏曲) VI. ロンド形式のフィナーレ 試聴
7. アリアージュ 第1部 (ティスネ作曲) 試聴
8. アリアージュ 第2部 (ティスネ作曲) 試聴
9. サクソフォーン四重奏曲 I.動きを持って 試聴
10. サクソフォーン四重奏曲 II.コラール 試聴
11. サクソフォーン四重奏曲 III.ワルツの動きで 試聴
12. サクソフォーン四重奏曲 IV.生き生きと 試聴

2015/11/25

S夫妻コンサート(しまこん)

11/23のことだが、日頃よりお世話になっているS夫妻が主催するコンサート"Shimacon"に出演した。夫妻が結婚15周年を迎えるにあたり、音楽で繋がった知人を招いて演奏会を行うというもの。ご主人はサクソフォン、奥様はクラリネットなのだが、管楽器のみならず、歌やピアノも登場して、様々なジャンルの演奏が繰り広げられるコンサートとなった。

【Shimacon】
出演:S夫妻、大嶋千暁(ゲスト)、他
日時:2015年11月23日(月曜・祝日)13:00開演
会場:カーサクラシカ
プログラム:
J.ブラームス - クラリネットソナタ第2番より第1楽章(奥様の演奏)
A.K.グラズノフ - 協奏曲(ご主人の演奏)
C.ドビュッシー/宇田川不二夫 - 月の光(ご夫妻デュオの演奏)
他(プログラム冊子紛失…)

様々な編成の演奏が続いたのだが、やはりS夫妻の演奏が印象深かったなあ。ブラームスも、グラズノフも、それぞれの作曲家が燃やした"最後の創作意欲"による産物であり、人生の酸いも甘いも知り尽くした彼らの経験が込められた内容の作品だ。今回の演奏会は、S夫妻の結婚15周年ということもあり、その作品の内容にご夫妻の人生を重ね、なかなか尋常な気持ちでは聴くことができなかったのだった。特にサクソフォン吹きならば良く知っているグラズノフ!美音が冴え渡り、規範とすべきようなフレージングも各所に垣間見え、感動的な演奏となった。

その他にも、ちさカル、あやねぇ氏ピアノ、歌、サクソフォンデュオ、さらに千暁さんのソロまで!最後は全員合奏で〆、気がつけば2時間を超えるコンサートとなった。

ちなみに、私は妻(フルート)と、びる氏(ピアノ)とともに、ラッセル・ピーターソン編の「All I See is You」「Spain」を演奏した。いろいろとやらかしてしまったが、なんとか上手いことまとまった…のかな?いちおう日本初演だったはず(笑)。

演奏会の後は打ち上げ会場に移動して、観客として来場された方も含めて楽しいひとときを過ごしたのだった。1次会、さらに2次会まで参加し、だいぶ深酒してしまったのだが、久々に宴席を同じくする方もおり、各方面の話題に花が咲いた。

打ち上げの写真(だいぶ縮小しています)

ケネス・チェ氏のコンサート

いろいろと書くことが溜まっているのだが、日付順に。

マスタークラスの記事の続き。

【ケネス・チェ スペシャルコンサート】
出演:ケネス・チェ(sax)、羽石道代(pf)
日時:2015年11月20日(金)18:00開演
会場:東京藝術大学第二ホール
プログラム:
David Froom - Before the Dawn
Luis Serrano Alarcon - Tres Preludios Mestizos
Piet Swerts - Paganini Capriccio

David Froomの「Before the Dawn」は、ゆったりとしたテンポ、美しい響きが印象的な作品。チェ氏はMCで、「ドビュッシーのようだ」と言っていたが、そのコメントはぴったりのような気がする。AlarconとSwertsの作品は、先のコングレスのチェ氏のステージで聴いた(その時のピアノはPiet Swerts氏だった)。目の回るような、圧倒される作品。

いずれの作品においても、無理のない鳴らし方と美しい音色で魅了する。やっていることは凄いのに、とてもスラスラと吹くものだから、とても心地よく聴くことができる。これは、録音等を聴いても同じ印象だ。類まれな奏者であるなあと、再認識したのだった。

2015/11/23

キャトル・ロゾー「25年の軌跡」が再発売

大変嬉しいニュース。日本のサクソフォン黎明期を代表するサクソフォン四重奏団のひとつ、キャトル・ロゾー(冨岡和男、池上政人、仲田守、服部吉之)の最後のアルバム「25年の軌跡」が、版元より再発売となった。1枚目が過去の演奏会のライヴ録音、2枚目が25周年記念コンサートのライヴ録音、という構成である。

このCD、私も持っているが、内容の素晴らしさは筆舌に尽くしがたいものである。過去のライヴ録音は、適切なバランスや上品な音楽作りが印象的で、往年のキャトル・ロゾーの活躍を現代に正しく伝えるものである。25周年記念コンサートは、まずサクソフォン四重奏+オーケストラという編成の特殊さが魅力であり、特にカルメルやマルティノンの入れ込みようは相当なもの。また、最後のグラズノフは、まさに25年を総括するような、音楽を演奏する喜びに満ち溢れた内容だ。

もしお持ちでない方、ご存知ない方は、ぜひ購入されることをおすすめする。

ピエール=マックス・デュボワ - 変奏曲(1977年9月15日 東京文化会館小ホール)
ジャン=ピエール・リヴィエール - 変奏曲(1987年4月24日 東京文化会館小ホール)
フローラン・シュミット - 四重奏曲 作品102(1988年10月13日 東京文化会館小ホール)
アラン・ベルノー - 四重奏曲(1992年10月27日 石橋メモリアルホール)
ピエール=マックス・デュボア - 4本のサクソフォンと室内オーケストラ、打楽器のための小協奏曲(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
ロジェ・カルメル - サクソフォン四重奏と弦楽オーケストラ、打楽器のためのコンチェルト・グロッソ(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
ジャン・マルティノン - サクソフォン四重奏とオーケストラのための協奏曲(2000年10月4日 東京芸術劇場大ホール)
アレクサンドル・グラズノフ - 四重奏曲 作品109(2000年10月31日 札幌コンサートホールkitara 小ホール)

購入は、以下のブレーン公式サイト他からどうぞ。

http://www.brain-shop.net/shop/g/gOSBR-17060/

2015/11/22

テレビのBGMに「本当の恋人をどうして見分けましょう」が…

今朝、NHKの「サキどり」というドキュメンタリーを何気なく観ていたら、突然ジョン・ハール作曲「本当の恋人をどうして見分けましょう?」がBGMとして流れて驚いた。

「恐怖と壮麗」に収録された、「三羽の鴉」という組曲の最終曲。キャッチーなメロディ、サラ・レオナルドの蠱惑的な歌声など、かなり一般受けする曲であり、かつては車(クラウンか何かだった)のCMに使われているのを聴いたこともある。

流れ始めた途端、曲に注目してしまい、テレビの内容が頭に入らなくなってしまったのだった。

ケネス・チェ氏のマスタークラス

11/20の金曜日、東京藝術大学内で開かれたケネス・チェ Kenneth Tse氏のマスタークラス&ミニコンサートを急遽聴いてきた。

本記事では、まずマスタークラスの様子を書く。

【ケネス・チェ Saxophone マスタークラス】
出演:住谷美帆(受講)、都築惇(受講)、ケネス・チェ(指導)、羽石道代(pf)
日時:2015年11月20日(金)18:00開演
会場:東京藝術大学第二ホール

さすがに18:00開演には間に合わず、30分ほど遅れて到着。住谷氏の第2楽章の受講あたりで会場に飛び込んだ。

おふたりとも非常に上手く…いやはや、今の音大生ってこんなに上手いのかという驚きを持ってマスタークラスを聴いた。チェ氏は、なんと通訳は最低限で、日本語でレッスンを進めるという…これもまた驚き。

手元のメモを転記しておく(あくまで自分用のメモで、内容については間違っている可能性や、チェ氏の意図と違っている箇所がある可能性があるため、引用はご遠慮ください)。

William Albright - Sonata(住谷美帆)

第2楽章
・友人の死を悼む曲
・永遠な感じを出すためにノンヴィブラートでやったらどうか。イントネーションは難しくなるため、表現が欲しければ少し膨らめる等。
・ためらいがちな感じを出す
・フレージングに対する抵抗感(引っ張る感じ)
・小さい音のフラジオ演奏は、下の位置が合っているかどうかの良いテスト。フラジオは、舌のポジションが重要。力を入れるとかそういうことはなく、リラックスする。フラジオのダブルタンギングの練習
・[J]からはピアノの先端側でやったらどうか。まるで動じないような姿勢も重要。
・息だけ(喉でプレッシャーを作るだけ)のダブルタンギングも重要

第4楽章
・サイドキーを使ったフレージング
・Quasi Toungingは、スラップタンギングとは違う。舌は45度で接するのを意識。
・最後の黒い音符は、スラップ、ないし、オープンスラップが良いかもしれない

Paul Creston - Concerto(都築惇)

第1楽章
・20の前はバンドとやるならもう少しゆっくりなほうが良い
・全体的に速すぎる
・ピアノとサックスの細かいフレーズの掛け合いが見えるように
・60の後、ヴィブラートの意図的な変化をつける。続く部分は、1拍子で感じること。Lightな感じ
・間奏のあと、In Timeでは、特に下に向けた3連符のフレーズに抵抗感を持つ感じで。彼女に向けた愛の歌のような。
・ファ(1,2,3,G#,C5)→ファ#(1,p,C5)→ソ(1,C5)
・最後のEbは伸ばしたまま少しp keyを押して音程を下げるのもテクニック
・チェ氏がリュエフの「ソナタ」をレコーディングしたとき、リュエフに録音を送った。全体的にとても良いが、第3楽章は速いというコメントをもらった。なぜなら、速すぎると聴衆がすべての音を聴くことができないから。チェ氏は、普通の曲ではあまりダブルタンギングを使わない。

第3楽章
・リズムを楽しめるテンポで。
・最後の〆の音符、最後から3つ目まででいったん時間をとり、最後の2つの音を連続で。

2015/11/21

BASUYA LIVE at 目黒ブルースアレイジャパン

月曜日のこととなるが、感想を書き残しておきたい。

【Bass Flute Crossover Unit "BASUYA LIVE"】
出演:渡瀬英彦(bf)、榎田雅祥(bf)、斎藤和志(cbf)、寺田正彦(pf)、荒川洋(bf)、大西圭子(bf)、中島愛(bf)、SAKUKO(bf)、福田亜由美(bf)、堀琴雅(bf)、渡辺旭(bf)、三上麻結(bf)、小林真奈(bf)、山田くに子(cbf)、古田戸勝市(cbf)
日時:2015年11月16日(月曜)19:30-20:30, 21:15-22:35
会場:
プログラム:
岸の柳
新作(寺田正彦・新作)
蘇州夜曲
チャッコーナ(メルーラ)
象(ドビュッシー「子供の領分」より)
うさぎのダンス
BASUYAダヨ!全員集合!(斎藤和志・新作)
越天楽
(?)
リンゴ追分
上を向いて歩こう
ちょうちょう
イストラーダ
いつか見た青い空(荒川洋・作)
火星(ホルスト「惑星」より)
(?)
タイスの瞑想曲

渡瀬先生に誘われて伺ったバスフルートを中心とするユニット。昨年の12月に聴いて以来、まるで音楽の始原を垣間見るような独特の響きに囚われてしまった。もともとバスフルートの響きは知っていたが(まあそれも渡瀬センセのライヴで知ったのだが)それが幾重にも重なり、さらに低音方向へと増強されることで、未曾有の響きが生み出される。

多彩なプログラムが並んだが、さり気ない始まりから怒涛の音圧へと变化してゆく「蘇州夜曲」や、あまりに特徴的なバロック作品「チャッコーナ」など、圧倒されるものも多い。寺田氏を中心としたアレンジ陣営のしごとも素晴らしい。メンバーのオリジナル作品では、斎藤和志氏の「BASUYAダヨ!全員集合!」が、楽しさの中にヒネリが加わったような、なんとも言えず惹かれる内容であった。

何曲かは、フルメンバーでの演奏となり、それがまた見た目にもサウンド的にも凄まじい。いやはや、バスフルートが12本、コントラバスフルートが2本、さらに大きな名称不明の大きなフルートが1本と、ピアノ。和声を楽しむ、という感じではないが身体の芯にダイレクトに響いてくるようなサウンドにしびれたのだった。

2015/11/17

Russell Peterson plays "Cyber-bird Concerto"

アメリカのサクソフォン奏者、ラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏が、吉松隆「サイバーバード協奏曲」を取り上げた動画を見つけた。ピーターソン氏は、作曲家としても活躍しており「サクソフォン協奏曲」「アルトサクソフォンとフルート、ピアノのためのトリオ」などの作品で知られる。

彼が「サイバーバード協奏曲」を取り上げるとは意外だった。自作を演奏しているイメージが強いのだが、これもなかなかカッコいい演奏だ。即興部分はやはり奏者の個性が出るなあとか(第3楽章の無伴奏即興はちょっとさすがに原曲コンセプトと違うのでは、と思ったが…)、繰り返し出現する音形の処理はさすがに隙が出るなあとか、オケが意外とノリノリだなあとか、テンポ設定や拍子の捉え方がちょっと違うイメージのところがあるとか、聴いているといろいろ思う部分もあるのだが、覇気というか熱気というか、ライヴならではの凄まじさがあり、引きこまれてしまった。



演奏記録は以下の通り。

Russell Peterson, Alto Saxophone
Jay Hershberger, Piano
Kenyon Williams, Percussion

The Fargo-Moorhead Symphony
Chris Zimmerman, Director

Recorded Live Sept. 27, 2015
At North Dakota State University

2015/11/15

Quatuor Adolphe SaxのWikipedia記事

かつて、クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授が参加し、活動していた四重奏団Quatuor Adolphe Saxについて書かれた以下のページをざっくりと訳してみる。出典不明の記事ということで、内容の検証・修正等がなされるべきだと思うのだが、どなたかやりませんかね。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Quatuor_Adolphe_Sax

Le Quatuor Adolphe Sax de Paris (1981-1986)は、Jacques Baguet、Claude Delangle、Jean-Paul Fouchécourt、Bruno Totaroによって結成された。ガブリエル・ピエルネの「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」、フローラン・シュミット「四重奏曲」の録音が存在する。アルジェリアへの演奏旅行を敢行し、デザンクロの歴史的名演を打ち立てた(要出典)。1986年、野平一郎の「四重奏曲」をワシントンで初演。パリにおいてエディソン・デニゾフ「五重奏曲(サクソフォン四重奏+ピアノ)」を初演。若い世代の演奏家たちに大きな影響を与えた。Le Chant du Mondeより録音がリリースされている。

デザンクロの名演の話は興味深い。本当かどうかも気になるが、いったい誰がそんなエピソードを書き込んだのだろう。

ピエルネとシュミットの録音については、こちらの記事を参照いただきたい。

演奏会情報:クローバーSQ結成10週年

クローバー・サクソフォン・クヮルテットの結成10週年記念リサイタルが開かれる。国内サクソフォン界の中を見渡してもかなり若いカルテットだと思っていたのだが、気がつけば結成からなんと10週年を迎えたとのこと。もはや名実ともに"中堅"と呼んで差し支えないだろう。実演や録音に何度も接したことがあるが、いずれも素晴らしいものだ。2007年5月のデビューリサイタルも聴きに伺った(そうか、"デビュー"ではなく、"結成"から10年経ったということか)が、当時と同じ会場、またプログラムもいくつか当時を再現しての、リサイタル開催となる。

プログラムは大曲揃いだが、個人的に嬉しいのは、J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」が演奏されること。私感だが、バッハ作品の中でサクソフォンのためにアレンジされたもののなかで、最も優れたアレンジの一つと考えている。雲井雅人サックス四重奏団のために書かれ、初演以降なかなかメジャーなカルテットが取り上げる機会は少なかったが、最近ようやく認知され始めているようだ。クローバーSQの演奏でこの演奏を聴くことができることが嬉しい。アルトの田村氏が今年頭の東北サクソフォンフェスで演奏したとのことなので、それが今回の演奏のきっかけにつながっているのだと思う。

【クローバー・サクソフォン・クヮルテット 結成10周年記念リサイタル】
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■東京公演
日時:2015年12月23日(祝・水) 18:30開場 19:00開演
会場:東京文化会館・小ホール
チケット料金 前売:一般3500円/学生2000円(当日500円増し)
お問い合わせ・チケット取扱い:
 チケットぴあ:0570‐02‐9999(Pコード272‐696)
 インターミューズ・トーキョウ:03‐3475‐6870
 東京文化会館チケットサービス:03‐5685‐0650
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■岡山公演
日時:2015年12月21日(月) 18:30開場 19:00開演
会場:倉敷市芸文館アイシアター
チケット料金 前売:一般3000円/学生2000円(当日500円増し)
お問い合わせ・チケット取扱い:
 岡山サクソフォンクラブ事務局・井上 090‐8577‐2644 http://www.o-sc.jp/
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プログラム:
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
F.シュミット - サクソフォン四重奏曲
J.S.バッハ/伊藤康英 - シャコンヌ
A.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲
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アドルフ・サックス制作の"トロンボーン"

少し前、2015年11月6日は、アドルフ・サックス(1814.11.6-1894.2.4)の生誕201周年の日であった。GoogleのDoodleにアドルフ・サックスが登場!Googleの粋な計らいに興奮した方も多いことだろう。

そのDoodleの画像の中のひとつに、アドルフ・サックス制作の"トロンボーン"が表示されていた方をご存知だろうか。6バルブのトロンボーンの発明も有名だが、やはり見た目のインパクトではこちらだろう。発明は1867年と言われているが、発明当初、熱狂を持って迎えられ、なんとパリ・コンセルヴァトワールにこの楽器の教育クラスができたというから驚きだ。だが、非常に重く、また見た目通り構造が複雑であること、またフィンガリングの難しさにより、廃れていったという。バルブは6つで、ベルは7つ。7つ目のベルは、バルブをひとつも押していないときに機能する。

ベルギーの楽器博物館(MIM)のページでは、音を聴くこともできる(→こちら)。

2015/11/13

演奏会情報:ファブリス・モレティ2015

今年もファブリス・モレティ氏が来日した。11月7日には名古屋公演が行われ、好評を得たようだ。

大曲が並ぶプログラム。とても面白そうだ。モレティ氏によるデュクリュックの「ソナタ」など、想像しただけでわくわくしてしまう。このような、フレンチ・アカデミズムの流れをくむプログラム(ジョン・ウィリアムズは違うが)をまとめて楽しめるのは、モレティ氏のリサイタルの醍醐味だろう。

この日は他にも注目公演があるのだが、それはまたの機会にご紹介したい。

【ファブリス・モレティ サクソフォン リサイタルツアー 東京公演】
出演:ファブリス・モレティ(sax)服部真理子(pf)野原孝(sax: guest)
日時:2015年11月19日(木曜)19:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷・ホール
料金:一般3,500円/高校生以下2,500円 ※当日券共に500円増
プログラム:
F.デュクリュック:ソナタ
P.M.デュボア:コンチェルト
G.ラクール:デュオ組曲
J.ウィリアムズ:エスカペイズ、他
主催:デュオ服部
協賛:ビュッフェ・グループ・ジャパン
後援:日本サクソフォーン協会
問い合わせ:鈴研音楽会
suzuken_concert「@」yahoo.co.jp

(チラシ・クリックして拡大)

2015/11/11

原先生と交流会打ち合わせ

川崎にて、原博巳先生を交えた第7回サクソフォン交流会の打ち合わせ。企画内容や、全員参加合奏の大まかな方向性も決まり、これからは詳細化・確定のフェーズとなる。

2015/11/08

東名高速サクソフォンクインテット2015

先週金曜の事となるが、東名高速クインテットの演奏会。確かな技術に裏打ちされた、底抜けに楽しい演奏会。東京と名古屋の俊英が結集した、個性のぶつかり合い!

【The 3rd 東名高速サクソフォンクインテット】
出演:瀧彬友、川地立真、松下洋、上野耕平(以上sax)、黒岩航紀(pf)
日時:2015年11月6日 金曜 18:30開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
プログラム:
L.v.ベートーヴェン - ヴァイオリン・ソナタ「春」より第1楽章
R.R.ベネット - スタン・ゲッツのための協奏曲より第1楽章
J.M.ルクレール - アダージォ、アルマンド、ジーグ
A.K.グラズノフ - サクソフォン協奏曲
C.フランク - 天使の糧
新実徳英 - サクソフォン・スパイラルより第2楽章
G.ガーシュウィン - ラプソディ・イン・ブルー
→Pia-no-jaC← - 組曲『 』
G.ガーシュウィン/中村節 - ソング・ブック
A.I.ハチャトゥリアン/前田恵美 - 組曲「仮面舞踏会」
旭井翔一 - 女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね(アンコール)

第一部はソロステージ。四者四様の選曲、そして演奏へのこだわり。共演の黒岩氏(祝・日本音楽コンクールピアノ部門第1位!)の確かなサポートも素晴らしい。松下氏は、サクソフォンの表現を越えようとしたアプローチ。円錐管が持ちえない、全音域にわたる繊細さを表現しようとする選曲とチャレンジが素晴らしい。川地氏は、なんとあの「スタン・ゲッツのための協奏曲」を披露。選曲の妙と、ご自身が持つジャズの素養がマッチし、迫力の演奏だった。瀧氏は、ルクレールのソナタ形式の作品を。丁寧さとともに、バロック作品が持つある種の"狂気"をもはらんだ演奏に引き込まれる。上野氏は、昨年の専攻演奏会でも取り組んだグラズノフ。アンサンブルの面でも、独奏の面でも、絶品といえる演奏を繰り広げた。

第二部は小編成アンサンブルのステージ。フランクの「天使の糧」で、どこまでも美しい響きを追求したかと思えば、新実徳英「サクソフォン・スパイラル」では、アルトサクソフォン2本による未知のサウンドが響き渡った(その昔、サクソフォン・フェスティバルのプログラム冊子に寄せたコメントで、新実氏が「サクソフォンとピアノのソノリテが私の頭の中で溶け合わないので、まずはサクソフォン・デュオの作曲に取り組んでみようと思っている(※正確な文ではなく、大意)」というようなことを書いていたことを思い出した)。続いては黒岩氏ソロのピアノ独奏。まさかのピアノ独奏で「ラプソディ・イン・ブルー」!半端ない超絶技巧、眼前にオケが広がるかのような音の厚みと数だが、ぐいぐいと弾きこなしていく演奏に惹き込まれる。最後は、→Pia-no-jaC←の「組曲『』」を、黒岩氏のピアノと、まさかの川地氏のカホンで、という…黒岩氏のピアノは当たり前のように上手いのだが、川地氏のパーカッションも"サクソフォン奏者の余技"というレベルを遥かに超えたプロフェッショナルの演奏で、驚かされた。

第三部はカルテットとクインテット。ガーシュウィンとハチャトゥリアンと、比較的オーソドックスなプログラムが並ぶと思いきや、ずいぶんと手の込んだアレンジで驚かされる。ガーシュウィンも凄かったが、特にハチャトゥリアンは、冒頭から度肝を抜かれ、終結部まで驚きの連続。原曲の装いはもちろん多く残るが、全く違うエンターテイメント作品に生まれ変わっており、興奮させられた。アンコールは、旭井翔一氏の手によるきらきら星変奏曲こと「女なんて星の数ほどいるさ、星に手は届かないけどね」を、サクソフォン3本、パーカッション、ピアノという編成で演奏して〆となった。

演奏会としては少し長かったが、ヴァリエーション豊かで楽しい演奏会だ。これからもぜひ毎年伺いたい。

終演後は、気心知れた皆様と串八珍にて飲み会。ワインをボトルで3本も空けたような…楽しかった。演奏会打ち上げの座敷にも少し顔を出せて良かった。

先輩・後輩ご夫婦のお宅訪問

茨城県にお住まいの、大学の吹奏楽団時代の先輩・後輩ご夫婦のお宅に、夫婦で遊びに伺った。お昼から夕刻まで、いろいろと美味しい手料理を振る舞ってくださり、またおしゃべりが弾んだ。なんだかんだお会いするのも久々だったのだが、楽しい時間を過ごしたのだった。そういえば、家に人を招くことは多いが、夫婦で訪問は初めてだったかも…。

11/23向けの練習

11/23向けの練習進行中。アメリカのサクソフォン奏者、ラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏が、自身が所属するサクソフォン、フルート、ピアノのバンドである"Trio Excelsior"のためにアレンジした「All I See is You」「Spain」を演奏予定。なかなか技術的に難儀で、苦労している。

ちなみにその演奏機会だが、比較的クローズドな会なので、ここに宣伝を載せていいのか良く分からないのだが、もし大丈夫そうだったらここでもお知らせする。

2015/11/05

ヤマハ目黒吹奏楽団 Autumn Concert 2015

文化の日、ヤマハ目黒吹奏楽団のお手伝いに伺った。2011年、なめら~か等でご活躍のサクソフォン仲間のHさんに誘っていただいて以来、ステージマネージャーとして携わるようになった。なんだかんだで、もう9回目となる。

【ヤマハ目黒吹奏楽団 Autumn Concert 2015】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2015年11月3日(火・祝)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
J.フチーク - 剣士の入場
佐藤博昭 - 天国の島
樽屋雅徳 - マゼランの未知なる大陸への挑戦
L.アンダーソン - 舞踏会の美女
A.ドヴォルザーク - 交響曲第9番 第4楽章
すぎやまこういち - ロトのテーマ
宇野誠一郎 - ひょっこりひょうたん島
オムニバス - 和田アキ子コレクション
服部良一 - 蘇州夜曲
オムニバス - ジャパニーズ・グラフィティX
大野雄二 - ルパン三世のテーマ
いずみたく - 見上げてごらん夜の星を(アンコール)
J.H.ビリク - ブロックM(アンコール)

演奏会進行中は、例によって気が抜けないのだが、さすがにこれだけ回数を重ねると少しずつ余裕も出てきて、聴く楽しさも生まれてくる。前半は少しマニアックな吹奏楽曲の数々、後半は「日本再発見」と題して日本ならではの曲を、それぞれ取り上げていた。

入場無料とはいえ、客席の1階席がほぼ埋まってしまうその集客力には毎度驚かされるし、演奏クオリティも大変高い。個人的には、やはり後半の曲の数々が楽しかったなあ。「ひょっこりひょうたん島」はアレンジがなかなか手が込んだものでリズムチェンジがとても楽しかったし、和田アキ子コレクションでは「古い日記」が面白い。ジャパグラは「時代劇絵巻」というサブタイトルで、「大江戸捜査網」のカッコ良さにしびれた。ルパンのカッコ良さは言わずもがな。

いやはや、スタッフとしての関わりながら、楽しい演奏会だった。打ち上げもしっかり参加(だいぶ酔っ払ってしまった)。

2015/11/01

「音楽コンクールってなんだろう?」(子ども音楽新聞より)

公益財団法人ソニー音楽財団が発行する「子ども音楽新聞」の2015年8月第23刊に、「音楽コンクール」の特集が掲載されていた。「子ども音楽新聞」は、同財団法人が発刊する子供向けに音楽知識を易しく解説するフリーペーパーで、「国際オーボエコンクール・軽井沢」が10月に開かれていたこともあり、それに合わせて音楽コンクールの特集が組まれていたようだ。

同財団が主催するコンサートにチラシとともに挟まれているようだが、以下のリンクから閲覧できる(第22刊から第23刊になったとたんにデザインが突然変わっているのが面白い。閑話休題)。

http://www.smf.or.jp/kodomo/


音楽ライターの片桐卓也氏による文章で、「音楽コンクールとは何か?」を一般的に、平易に解説した内容。コンクールの歴史、現在の音楽コンクール、コンクールの目的について、短いながらもわかりやすく丁寧に書かれている。例えば、コンクールの目的については次のように記されている(本文を引用)。

コンクールの大きな目的は、優れた才能の演奏家を発掘することですが、それだけではありません。コンクールによって、その楽器の演奏のレベルを高くすること、コンクールの名前に付けられた作曲家や楽器の作品を世の中に広めること、などがコンクールの目的です。

コンクールの目的ってなんですか?と聞かれたとき、これまでは、私はこうもシンプルにすぐ答えられることはできなかったなあ。目的の項目他、歴史、現在の実情についても、子供向けの内容とはいえ、大変勉強になったのだった。

James Stephenson "Mahogany Moods"

ティモシー・マカリスター氏が参加したYouTubeの動画をご紹介。

サクソフォン、バス・トロンボーン、ピアノのための、James Stephenson「Mahogany Moods」という作品で、2015年9月22日の初演の模様とのこと。バス・トロンボーンは、デトロイト交響楽団の奏者で、Randall Hawes氏、ピアノはマカリスター氏との共演でおなじみのKathryn Goodson氏だ。

どのような響きがするのかなと聴いてみたのだが、なかなか面白い。ソノリティとしてはほとんど融け合う部分はないため、明確に役割が分担され、お互い決して真似のできないようなサウンドを紡ぎ出している。まるでジャズのコンボバンドのような雰囲気もある。緩徐部分のつかず離れずといったテンションも良いが、高速部分の楽しくスリリングな装いも魅力的だ。



それにしても、マカリスター氏の圧倒的な上手さよ。またライヴで聴きたいなあ。