2015/01/31

今日と明日はサクソフォーン・フェスティバル

"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画、本日締め切り。詳細・応募方法はhttp://kurisaxo.blogspot.jp/2015/01/kurisaxo10.htmlから。

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今日・明日と、たまテノンパル、ではなく、パルテノン多摩で第34回サクソフォーン・フェスティバルが開催される。今年は、須川展也氏をフィーチャーした企画が目白押し。その他、興味深いプログラムも多い。私は本日は自分の短い本番@つくば市のため伺うことができないのだが、明日は1日張り付いていようかなと思っている。

詳細は以下のリンクから。

http://homepage2.nifty.com/jsajsa/festival/festival2014/festival2014.html

2015/01/30

スティーヴ・ライヒ「18人の音楽家のための音楽」

"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画実施中。詳細はこちらから。締め切りは1月31日。

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ミニマル・ミュージックの先駆者として、フィリップ・グラス、テリー・ライリーらとともに"ミニマル三羽烏"とも称された鬼才スティーヴ・ライヒ(1936 - )。そのライヒが制作した作品の中でも、最も有名な作品のひとつがこの「18人の音楽家のための音楽」である。パルス&リズム・パターンの繰り返し/変化によって曲が構成される、およそ1時間の作品である。初演は1976年。ライヒ自身と、仲間の音楽家たちによって行われた。演奏の編成は、クラリネット/バスクラ2、ヴィブラフォン1、シロフォン2、マリンバ3、ピアノ4、女声4、ヴァイオリン1、チェロ1。

パルス~11のセクション~パルスで構成される。各セクションはさらに細分化されており、その短い小節の固まりが何度も繰り返され、ヴィブラフォンやクラリネットのcueにより順方向に進んでいく。

大好きな作品だ。マイケル・ナイマン・バンドしかり、フィリップ・グラス・アンサンブルしかり、テリー・ライリーの「Olson III」しかり、大編成で演奏されるミニマル・ミュージックは、小難しいことを考えずに芳醇な響きへと没入できることが楽しい。長距離移動の際など、かならずこの曲をポータブル・プレイヤーに入れて持ち運んでいる。サクソフォンは入っていないのだが、この有機的/無機的の境界線上をひた走るような作品にあっては、全てを俗世界へと引きずり込んでしまうようなサクソフォンの響きは無用である。

なぜ突然この曲か、というと、たまたま昨日、YouTubeでアンサンブル・アンテルコンタンポラン Ensemble intercontemporainがこの曲を演奏する動画を見つけてしまったからなのだ。世界最強の現代音楽アンサンブル(ステレオタイプにまみれた呼称…)との呼び声高い、このアンサンブルが「18人の音楽家のための音楽」を演奏するだなんて!


激烈な巧さ。各奏者はひたすらに演奏に没頭しており、どんな身体的に無理のある箇所であっても、淡々とプレイするその姿勢にしびれた。この曲を演奏する奏者が時折発する人間らしさを極限まで削ぎ落とした演奏と感じる。いやはや、びっくりした。すっかり耳を洗い直されてしまった気分だ。

もう少し気楽な?演奏をお好みな方は、Eighth Blackbirdの動画を。ノリノリで何だかとっても楽しそうだ(笑)。ロックだぜ!


スコアは、Boosey & Hawkesのサイトからオンライン参照可能(Registrationが必要)。
https://www.boosey.com/cr/perusals/score.asp?id=1009

楽器配置表は、こんな感じ。

2015/01/28

新しいアンサンブル:Unità "Della" Sax

"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画実施中。詳細はこちらから。締め切りは1月31日。

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Unità "Della" Saxは、ユニータ"デラ"サックスと読むらしい。名古屋近郊を中心に活躍する実力派の中堅~若手の奏者が集まったアンサンブル。アリオンSQのメンバー始め、いろいろな場所で名前を見る奏者が多く参加している。

20人未満のアンサンブルは最近少しずつ増えてきたが、サクソフォンオーケストラでもなく、8重奏でもなく、どのアンサンブルもその中間の編成を埋める存在といえる。この編成は、未だレパートリーの開拓が十分には進んでおらず、その点で各アンサンブルの間に大きく個性が出てくる。

今回のユニータ"デラ"サックスのデビューコンサートは、とても面白い内容と感じる。バッハ「シャコンヌ」だなんて、誰の編曲だろう!?(Matthew Evansの版だろうかと思ったが、アレはSSAATTBBBsの9重奏だ)。また、吹奏楽でも有名なトマス・ドスの「モビリス」なる作品も気になっている。さすがに平日の夜@名古屋ということで、伺えないが、ご盛会をお祈りする次第。第2回以降のコンサートでも、どんな作品を取り上げていくか注目だ。

【Unità "Della" Sax デビューコンサート】
出演:Unità "Della" Sax 堀江裕介、柴田沙耶香、渡辺志穂、河合佑里奈(以上ssax)、小森伸二、 所克頼、瀧 彬友、石川貴憲(以上asax)、渡邊愛子、佐野功枝、中山順次、片田景子(以上tsax)、遠藤宏幸、真室香代、尾家幸枝、川合諒(以上bsax)
2015年2月27日(金)18:30開場 19:00開演
会場:伏見・電気文化会館"ザ・コンサートホール"
料金:一般¥3,500 学生¥2,500 (当日券¥500増)
プログラム:
W.A.モーツァルト - 歌劇「魔笛」序曲
J.S.バッハ - イタリア協奏曲 Solo堀江裕介
J.S.バッハ - シャコンヌ
北方寛丈 - GREEN
中橋愛生 - 静寂の森、饒舌の雨
井上陽葉 - 萌黄の歌
T.ドス - モビリス
詳細:
https://www.facebook.com/events/914350278583891/

Maurice Andre plays Jolivet "Trumpet Concerto No.2"

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YouTubeに、モーリス・アンドレ Maurice Andreがアンドレ・ジョリヴェの「トランペット協奏曲第2番」を演奏する、映像がアップされていた。何かのドキュメンタリーの抜粋だろうか、第3楽章のみである。私が一番好きなトランペット協奏曲はこの作品、そして一番好きな演奏はモーリス・アンドレのErato盤の演奏なのだが、まさか映像で残っているとは知らなかった。

アンドレの、なんという、なんという上手さ…!この超難しい作品を、さらりと吹いてしまっている。時にアンドレ、36歳。

オーケストラパートには、アルトサクソフォンとテナーサクソフォンが1本ずつ含まれているのだが、誰だろう?Erato盤は、ダニエル・デファイエ氏とジャック・テリー氏だと言われている。この映像では、少なくともテナーサクソフォンはテリー氏ではない。アルトサクソフォンは一瞬だけ後ろ姿が映るが、なんとなくデファイエ氏のような、そうでないような。

2015/01/27

Paul Gilson "Premier Concerto"

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ポール・ジルソン Paul Gilson(1865 - 1942)は、ベルギー生まれの作曲家である。ブリュッセル生まれ、1886年からブリュッセル音楽院で作曲を学び、その後1889年にローマ大賞を獲得している。同年より、ブリュッセル音楽院で、1906年からはアントワープ音楽院で後進の育成にあたった。「レビュ・ミュジカル・ベルジュ」誌上での批評活動も有名である。サクソフォン作品としては、生涯に下記の5曲を制作したと言われている。

1er Concerto (1902) for Alto Saxophone and Orchestra
2me Concerto (1902) for Alto Saxophone and Orchestra
Fackelzug for 5 Saxophones
Pieces roumantiques for Alto Saxophone and Piano
Quatuor for 4 Saxophones

Premier Concertoは、往年の名手、エリザ・ホール Elise Hallに捧げられた。ホール女史といえば、ドビュッシー「ラプソディ」や、シュミット「伝説」などを献呈されたことでも有名である。曲は以下の3つの楽章から成る。

第1楽章 Deciso
第2楽章 Andante ritenuto
第3楽章 Presto

出版社Hal Leonardの公式YouTubeアカウントに、Tom de Haes編(吹奏楽版)の抜粋の録音がアップされており(とても良い演奏!)、曲の雰囲気を知ることができる。エリザ・ホール氏に献呈された作品は、これまでに聴いたことがあるが、その中でも群を抜いてテクニカルな内容だと感じた。


日本での初演記録は、下記の通り。実は、上記のYouTube上の演奏は、この日本初演時の演奏なのだそうで。

【名古屋芸術大学ウィンドオーケストラ第33回定期演奏会】
2014年9月25日(木)18:30開演(18:00開場)
会場:日本特殊陶業市民会館フォレストホール
指揮:ヤン・ヴァン=デル=ロースト
独奏:滝上典彦

2015/01/26

プリモ アンサンブル東京第27回定期公演

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12時過ぎのあずさに飛び乗って(本当に飛び乗って、というくらいギリギリだった)、文京シビックホールをめざす。大学時代の先輩である、U川さんやK藤さんが参加されているプリモアンサンブル東京の演奏会に伺った。

【プリモ アンサンブル東京第27回定期公演】
出演:プリモアンサンブル、上原圭詞(指揮)
日時:2015年1月25日 14:00開演
会場:文京シビックホール・大ホール
プログラム:
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
O.ニコライ - 歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」
P.デュカス - 交響詩「魔法使いの弟子」
伊藤康英 - コラール前奏曲<おお、人よ、汝の罪の大いなるを嘆け>による前奏曲
井潤昌樹 - 恋す蝶
清水大輔 - すべての答え
青春の輝き(アンコール)
タイム・トゥ・セイ・グッバイ(アンコール)
ブロックM(アンコール)

到着は開演の1時間後くらいだった。休憩時間くらいには飛び込めるかな?と思って向かったのだが、すでに第2部の2曲目が演奏中。本プロは最後の曲だけ聴くことができた。特に伊藤康英先生の作品を聴きたかったので、残念…!

会場に入ってみると、あの大きな文京シビックホールの大ホールが、見た目9割という大入り。すごい!そもそも、27回という定期公演のカウント数も驚きである。公式サイトによれば、発足は1985年とのことで、ずいぶん歴史ある楽団のようだ。確かに、ステージに乗っている顔ぶれを見ると、まさに老若男女といった感じ。

演奏も高レベルだった。実に上原氏の指揮に乗って、各楽器がしっかりと歌い、色彩感あふれる音楽が展開されていた。コンクール・シフトのような、完全一体となって高密度で響かせる、という方向性とはまた違うが、そうれよりもずっと音楽的な"趣味の良さ"を感じる。これはますます、伊藤康英先生の作品が聴けなかったのが残念だ。会場は、吹奏楽関係者はもちろんだが、一般の方も多く、おそらく曲そのものを知っている方はそれほど多くないはず。だがしかし、そういった、各曲を初めて聴くような聴き手にも、良さが伝わる演奏だった。30年の歴史の積み重ねによるところも大きいのだろう。

最後のアンコールの3曲は、選曲という意味において、日本の吹奏楽の美味しいとこどり!という狙いが実に良く見え、楽しく聴いた。

アンコールまで含めても、1時間45分。このコンパクトさは珍しく、好感が持てるが、同時に、30年近くの歴史の中で良いものを取捨選択しながら進んできた、その一端を垣間見るようでもあり、何か見えない巨大なものの一部に触れたような思いがしたのだった。

長野県のアンサンブルコンテスト(大学職場一般)

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1/25日曜日、わずかな時間ではあるが、長野県のアンサンブルコンテストを聴きに伺った。

サクソフォン興味として、けっこう前から名前を知っている、音山野サクソフォンアンサンブルや、長野サクソフォンカルテットを聴くことができなかったのは残念だったが、ウィロー・ウィンド・オーケストラ(その昔妹や友達が在籍していたことがある)のサクソフォン四重奏が、石毛里佳「スパーキング」という作品を演奏しており、かなり上手くて驚いてしまった。有名なソノール・クラリネット・アンサンブルの四重奏を聴けたのも良かった。

サクソフォンのアンサンブルは、10年くらい前だと、サンジュレやデザンクロやジャンジャンの楽章抜粋を取り上げるのが一般的だったと思うのだが、いつの間にかこういった場にふさわしい作品がたくさん登場してきたのだなあ。ただ、音楽的に優れたものを持つ作品と、完全にコンクール向けだけに書かれた作品と、2つの傾向に分かれているような印象を受けた。

そういえば、このブログを書き始めてから吹奏楽連盟のコンクールやコンテストを聴きに行く、という行動を取ったことは、わずかしかない。やはりいろいろ考えるキッカケになるということで、足を運んでみることも必要だなと思ったのだった。

会場はカノラホール。久々に入ったなあ。懐かしかった。

2015/01/25

アメリカ陸軍制作の動画:サクソフォン・スタンダード

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アメリカ陸軍の吹奏楽団のひとつである、United States Army Field Bandがとんでもないサクソフォン動画を制作・公開した。

2時間に及ぶ、サクソフォン教則ビデオで、YouTubeで全編公開・だれでも閲覧可能である。全編通してみてみたのだが、とにかく予算の掛け方が尋常でない。構成・映像・録音・そして演奏クオリティも、全てが素晴らしい内容である。もうサクソフォンの教則動画は、これだけあれば良いんじゃないかと思ってしまうほどの内容。それなりにサクソフォンを吹く方も、一度は全編通して観るべき内容だと思う。

ブライアン・サカワ Brian Sacawa氏を始めとするスター奏者が出演し、お手本も実に良い。最後には、ジャズまで取り上げられており、至れり尽くせりだ。



タイムコードごとのトピックを、ざっと訳してみた。押さえるべきところをきちっと押さえている。

1:13 History サクソフォンの歴史
4:16 Meet the Saxophone Family サクソフォンの種類
9:02 Assembling the Instrument 楽器の組み立てかた
12:20 Choosing the Right Reed 正しいリード選び
14:05 Breaking the Reed In リード慣らし
16:27 Reed Storage リードの保管方法
17:32 Posture 演奏の姿勢
18:52 Hand Position 手指の位置
20:02 Embouchure アンブシュア
22:40 Tuning and Pitch Tendencies チューニング、ピッチ
24:52 Breathing and Air Support ブレス、エア・サポートについて
28:52 Starting the Tone 音を出してみましょう
32:39 Legato and Staccato レガートとスタッカート
36:25 Working on Finger Speed 速いパッセージの練習方法
38:21 Articulation/Tongue Speed アーティキュレーション、タンギング
39:56 Vibrato ヴィブラート
43:47 Vibrato Concept/Voicing ヴィブラートの考え方
45:27 Mouthpiece Exercises マウスピースを使った練習
50:10 Intonation イントネーション
54:27 Altissimo フラジオ音域
57:33 Circular Breathing 循環呼吸
1:00:20 Slap Tonguing スラップタンギング
1:02:38 Double Tonguing ダブルタンギング
1:06:02 Palm Key Tips パームキーの使いドコロ
1:07:18 Low Register Stack Tips 低音のフィンガリング
1:09:18 Tools of the Trade 練習の友(いろいろなツール)
1:09:52 Practice Routine and Tips 練習の心構え
1:11:52 Over the Break 開放⇔全て閉じる指使い
1:14:21 Chromatic Fingerings 半音階
1:16:32 C# Fingering 開放音のフィンガリング
1:18:18 Sticky G# and Low C# Key G#とC#の連結
1:18:51 Adjustment Screws ネジの調整
1:19:33 Reed Warping リードの屈曲
1:23:23 Chamber Music/Ensemble Playing アンサンブルにおける心構え

以下、ジャズについて30分ほど。いやはや、驚異的。

そういえば、最後の最後、エンディングで「Careless Whisper」が流れて大爆笑した。これは狙っているでしょ(笑)。

Saxofono Rosso 10th Anniversary

"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画実施中。詳細はこちらから。締め切りは1月31日。

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東京を中心に活動するサクソフォンのラージアンサンブル団体でも、充実した活動をしている団体のひとつである、サクソフォーノ・ロッソ、その第10回となる演奏会に伺った。

【Saxofono Rosso 10th Anniversary】
出演:Saxofono Rosso、遠藤朱美、西尾貴浩、上野耕平、野村亮太
日時:2015年1月24日 12:30開場 13:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
名田綾子 - 四重奏曲
J.リュエフ - 四重奏のためのコンセールより第1&6楽章
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"より第1楽章
G.ラクール - 四重奏曲
J.イベール/J.M.ロンデックス - コンチェルティーノ・ダ・カメラ(独奏:上野耕平)
高昌帥 - Rosso(委嘱作品・初演)
G.ガーシュウィン/ミ・ベモル&中村均一&野村亮太 - ラプソディ・イン・ブルー
G.ガーシュウィン - アイ・ガット・リズム(アンコール)

最初はアンサンブルステージ。1曲目は間に合わなかったのだが、その後の3曲を通して聴いた。相変わらずの、アンサンブルであっても揺るぎない地力の高さに驚く。普段の活動として、ソロ曲を吹いちゃう方も多いはずであるから、当たり前といえば当たり前なのだが、キラリと光る演奏をする方が多く、ぐっと惹き込まれる。選曲としてもすごいものばかりで、プロの演奏会でもなかなかこうはならないぞ、というほどのもの。みなとみらい・小ホールの芳醇な響きは、相変わらず素晴らしい。小編成であっても(もちろん奏者の力量に起因するところもあると思うのだが)豊かな響きがホールを満たす。

第二部は、上野耕平氏を独奏に迎えてのイベール。全員乗り、まさかの30人弱編成での演奏ということで、驚いた。すなわち、ロンデックス氏が想定しているのは、たしか1パート1人のはずだが、この滅茶苦茶難しいバックのパートを、全員が吹けるというその事実に驚いたのだ。ということで、どうなるものかとドキドキしながら聴き始めたのだが、そのバックも見事な演奏だった!上野耕平氏のソロは、これはもう説明するまでもなく見事なもので、会場が大いに湧いた。以前から時折、書いているように、いかなる走句であっても音楽的な裏付けが隅々まであるところが、上野耕平氏の演奏の魅力だ(と私は思っているのだ)が、それを今回も存分に堪能した。

第三部は、委嘱作品から。2部構成の、およそ緩・急といった構成の作品。厚みのある響きを多用するなど、サクソフォン・オーケストラならではの、同属楽器の利点を多用する筆致が散見された。また、後半はシンコペーションの再演されるべき作品だと思うが、出版予定などあるのかなあ。ちなみに、テーマの4音は、私は伊藤康英「ツヴァイザムカイト」「サクソフォン協奏曲」あたりを想起したのだが、同じ考えの方おられませんかね笑(実際の音は違うのだが、音運び的に、という意味で)。「ラプソディ・イン・ブルー」は、祝祭的な雰囲気がホールを満たし、客席側の反応も上々である。西尾さんの熱い指揮に導かれるように、様々な音が飛び出し、一気に聴いてしまった。いろいろなアイディアをミックスした編曲だったが、それぞれの編曲者の思惑が透けて見えるようで、そんなところも楽しく聴いた。



2015/01/23

アリアSQに提供した曲目解説

"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画実施中。詳細はこちらから。締め切りは1月31日。

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昨日のアリア・サクソフォン・カルテットのリサイタルに、3曲ぶんの曲目解説を提供した。こちらに置いておく。

斎藤高順「サクソフォン四重奏曲」
 斎藤高順(1924 - 2004)は、東京音楽学校(現東京藝術大学)を卒業し、航空自衛隊中央音楽隊隊長、警視庁音楽隊隊長を歴任した作曲家・指揮者である。一般的には「東京物語」を始めとする小津安二郎監督の映画作品への楽曲提供で名が知られているが、吹奏楽曲、室内楽曲の作曲も多い。
 本日取り上げる「サクソフォン四重奏曲」は、日本で初めて作曲されたサクソフォン四重奏のための楽曲。2本のアルト(1本はソプラノまたはクラリネット持ち替え)、テナー、バリトンのために書かれている。全4楽章にわたり、注意深くシンプルな音運びが印象的で、国内サクソフォン音楽の黎明期における、試行錯誤の跡が見て取れる。日本のクラシカル・サクソフォンの父、阪口新(1910 - 1997)を始めとする奏者によって1952年に初演された。国内サクソフォン史上、重要な楽曲のひとつである。

西田直嗣「泣いた赤鬼」
 童話作家、濱田廣介(1893 - 1973)の代表作「泣いた赤鬼」。赤鬼と青鬼の友情を描きつつも、寂しげな結末を迎えるが、相手を思いやる心・優しさに満ち溢れた名作として教科書にも収録され、多くの人々に愛読されている。この童話の赤鬼のごとく、目の前の欲望対象にとらわれ、気が付けば大切なものを失い、無に流れていく…という、全ての人間が抱える宿命を、サクソフォンの特殊奏法を交えながら表現した楽曲である。トラクシオン・アヴァンの委嘱により1999年に作曲、第13回世界サクソフォン・コングレスにおいて初演された。
 作曲の西田直嗣(1968 - )は、東京芸術大学を卒業し、現在は群馬大学において准教授を務める。主に歌曲・合唱曲の制作を手がけ、日本音楽コンクール作曲部門に入賞するなど、楽壇における評価も高い。

上野耕路「N.R.の肖像」
 作編曲家、キーボード奏者として活躍する上野耕路(1960 - )。かつては"ニューウェーブ"と呼ばれる音楽ジャンルの一翼を担うなど、実験的ロックの先端を走る音楽であった。近年は、特にCM音楽や映画音楽に精力を注ぎ、キューピー「たらこ・たらこ・たらこ」のCMや、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した「ゼロの焦点」「のぼうの城」他、よく知られた楽曲も多い。
 「N.R.の肖像」は、アルモ・サクソフォン・カルテットの委嘱により作曲された。上野が幼少の頃から親しんだ、フェデリコ・フェリーニ監督の世界、その映画を彩るニーノ・ロータ(= N.R.)の音楽を、上野なりのオマージュを交えて再構築した、4楽章から成る楽曲。「8 1/2」「甘い生活」「悪魔の首飾り」他、フェリーニ作品の劇中に使われたメロディの断片が現れては消える、一種のコラージュ風楽曲である。

2015/01/22

Aria Saxophone Quartet Recital

寒い日が続いて、若干体調を崩し気味。このまま急降下でこじらすかと思いきや、なんとか踏みとどまっている。氷雨が舞う中、錦糸町へ。

【Aria Saxophone Quartet Recital】
出演:Aria Saxophone Quartet
日時:2015年1月22日(木曜)19:00開演
会場:すみだトリフォニーホール・小ホール
プログラム:
斎藤高順「サクソフォン四重奏曲」
仲沼祐太「虹に向かって」
西田直嗣「泣いた赤鬼」
武満徹「めぐり逢い」「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」「翼」「死んだ男の残したものは」
上野耕路「N.R.の肖像」

コンセプトがはっきりしている、という四重奏の演奏会は、なかなかないと思う。そういった意味においても、価値ある演奏会であった。こういう方向性は、私自身はとても好きだ。

音色も良いし(各楽器の音色が良く溶け合っている)、技術も高い。齋藤作品は、シンプルな音運びだけに各パートの一音一音や、和声が露わになるが、隅々まできっちり作り込んであり、感心してしまった。日本のサクソフォンの黎明期に、齋藤氏がああでもないこうでもないと(おそらく)思案しながら組み立てていった木細工のような楽曲が、60年以上の時を経て現代に再構築される、という、当たり前ながら稀な機会を体感できたことに感謝だ。

新作は、わかりやすい和音を使った楽曲。解説文そのままの爽やかな印象のまま、曲が駆け抜けていった。「泣いた赤鬼」は、初めて耳にする作品だが、ブレスノイズ、重音、ベンド、声などの特殊奏法満載の楽曲。うーん、ちょっと自分には難しい作品だったか(;´Д`)

後半は武満徹の作品から。私自身も武満徹の合唱曲や歌曲は大好きで、とは言ってもあまり普段から定常的に触れに行く機会はないものだから、こうしたコンサートで取り上げられるのは実に嬉しいことだ。アリアという団体名が示す通り、「うた」がとても似合う。アレンジは、各曲で各楽器をフィーチャーするような書き方がなされており、プレイヤーごとの歌心じっくりと堪能することができた。こうして取り出してみるとそれぞれの個性が見えるのだが、カルテットとして合わせているとお互い似てくるのだから、カルテットは面白い。

「N.R.の肖像」は、最後に置かれた曲だけあって、本日の白眉であった。そもそも、この曲が大好きな私にとって、実演で接する、という時点で冷静にはコメントできない。あまりに好きすぎて、自分自身で吹いたこともある程なのだ。アリアSQの演奏は、終始ダイナミックで、ただしややコントロールされており、ともすれば収拾がつかなくなってしまうこの曲を、非常に良くまとめていた。第3楽章の危うい感じ(演奏が危ういわけではない、決して笑)は、聴いていて実にわくわくしたなあ。

アンコールに、武満徹「小さな空」。このメンバーの演奏で、デザンクロとかリヴィエとか、コテッコテのフレンチ・アカデミズムの作品を聴いてみたい!と思うのだった。

今回プログラム冊子に曲目解説を提供した。後日こちらでも公開する。

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"kuri_saxo"10周年記念プレゼント企画実施中。詳細はこちらから。締め切りは1月31。

2015/01/21

"kuri_saxo"10周年&プレゼント企画

2005年1月21日に、この記事:
http://kurisaxo.blogspot.jp/2005/01/qlp.html
を取っ掛かりにウェブページkuri_saxoを開設し、2006年にはブログへ移行して(ウェブページの記事はすべてブログに移行)執筆を続けてきたが、本日で10周年を迎えた。

ここまで続いているのは、ひとえにご覧頂いている皆様のおかげである。改めて感謝申し上げたい。また、このブログを通じて・きっかけとして、多くの方とお知り合いになることができ、それは今では私にとってかけがえのないものとなっている。

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ということで、10周年記念の読者プレゼントを行います。2枚のCDを、まとめて1名様にプレゼントします。応募方法は一番下に書いてあります。※終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました!

1枚目は、カナダ・ケベック州のサクソフォン奏者により結成されたサクソフォン四重奏団、Quatuor Alexandreのディスク。ソプラノ奏者は、今やドイツで大活躍のダニエル・ゴーティエ Daniel Gauthier氏。そのゴーティエ氏が、キャリアの初期に参加した(発売はなんと1990年!)四重奏のCDで、超名演奏が聴ける盤として、また現在入手至難の盤として知られています。

「Réminiscence(Societe Nouvelle d'Enregistrement SNE-566-CD)」
アルフレッド・デザンクロ「四重奏曲」
アレクサンドル・グラズノフ「四重奏曲作品109」
ギィ・ラクール「四重奏曲」
ダニエル・パイロン「トランスペアレンス(透明)」

傑作「サクソフォン四重奏曲作品109」を遺したアレクサンドル・グラズノフに経緯を表し、この団体名を付けたのだといいます。その言葉通り、グラズノフ作品に限らず、楽譜・作品そのものに対する、深い敬意が感じられるCDです。際立って音色が美しいとか天才的な閃きが感じられるとか、そういったものはありません。人間臭さを感じさせながら、人間ができるアンサンブルの限界にトライしているような感じを受けます。

きっと物凄い量のリハーサルを重ねたのではないかと…それぞれの曲のリハーサルを突き詰めたら、こんな演奏になってしまうのでしょう。「几帳面」というキーワードが浮かびますが、音楽的につまらない演奏ということはなく、この表現のために、これだけのリハーサルが必要だったと考えれば納得がいきます。4本のサクソフォンが、まるでひとつの楽器のごとく、鳴り響きます。

デザンクロの和声バランスや音色の統一感という点において、これ以上のものは聴いたことがありません。グラズノフは、旋律の美しさに逃げない作りこみ。ラクールは、もともと録音が少ないですが、それにしたってこれを超えることは難しいのでは!と思うほどです。パイロンの作品は珍しいですが、演奏のみならず作品としてもなかなか面白いです。

年末年始にあらゆる通販サイトを探しまくった結果、新品を手に入れることができましたので、プレゼントにしたいと思います。

もう1枚はこちら。比較的手に入りやすいのですが、知っている方が少ないのが不思議…。Sax 4th Avenueという、アメリカの団体のCDです。とにかくジャケットがユルく、怪しさ満点なのですが、これがまた良いCDなのです。Sax 4th Avenueは、アメリカ、Bowling Green State Universityのジョン・サンペン John Sampenのサクソフォン・スタジオの卒業生によって結成された団体。サンペン氏は、現代サクソフォン界の旗手のひとりとして名が知られています。氏はこの団体を高く評価していたようで、氏のソロCDレコーディングにゲストとしてSax 4th Avenueを呼んでいるほどです。

そんなわけで演奏は折り紙付き。そして何より選曲が面白すぎるのです!フィル・ウッズ「3つの即興曲より第1楽章」、リヴィエ「グラーヴェとプレスト」あたりは定番としても、ELP「タルカス(Mass以外全部やっている)」、キング・クリムゾン「Frame by Frame」といったプログレ、ハーモニカの名手、シールマンスの「ブルーゼット」、グルダの「フーガ」、最後はロッシーニの冗談音楽メドレーまで、という幅広いラインナップ!アルバムタイトル「Delusions de Grandeur(偉大な者たちの嘆き)」とは良くつけたものです。

【応募方法】
※終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました!
・メールアドレスkuri_saxo@yahoo.co.jp宛に、タイトルに「10周年プレゼント希望」、本文にニックネーム(本名可)を書いたメールを送って下さい。本文内には、併せてブログの感想を書いていただけると、とても嬉しいです。
・どなたでもご応募できます。
・締切は、2015/1/31 23:59 JSTです。
・日本国外からの応募も可能です。
・抽選は、Excelの乱数生成機能を使って行います。当選された方にはメールをお送りし、また、ブログ上でニックネームを発表いたします。その後、メールにて住所・本名を教えていただいて、こちらからCDを発送します。もちろん、送料等は頂きませんのでご安心下さい。

一件もメールが来なかったら寂しいので(;_;)CDに興味がなくても、ブログの感想メールも受け付けています。

多くの皆様からのご応募をお待ちしています。

2015/01/20

セシリア合わせ練習

諏訪市の女声合唱団「スワ・セシリア」の5月の演奏会に、サクソフォン3本で参加する。詳細は後日掲載するが、合唱+ピアノにサクソフォン3本をコラール&オブリガート的に(?)重ねていくというアプローチで、どのような響きになるのか見当がつかないが、面白そう。今日の夜、仕事のあとにその合わせ練習やら、3人での集合写真の撮影やらがあった。

まるでコラールの練習曲を吹いているようで、なかなか難しいのだが、良い響きになるように少しずつ作っていきたい。

合わせは最近話題の町田市で行った。JR町田駅は初めて降りたのだが、大きな街でびっくり。大都会こわい。

演奏会情報:Saxofono Rossoの10回記念演奏会

東京に数多く存在するサクソフォン・ラージアンサンブルの中でもコンスタントに活動を展開しているサクソフォーノ・ロッソ Saxofono Rosso。遠藤朱美氏の門下生を中心としたアンサンブルで、定期的に続けていた演奏会がこのたび10回目を迎えるそうだ(おめでとうございます!)。毎度クオリティの高い演奏を提供しており、予定が合えば積極的に聴きに行っている。いつだったかダグラス・オコナーを成田空港で拾って、そのまま一緒に観に行ったっけな。

今回の演奏会、作曲家の高昌帥への委嘱作品、上野耕平氏をゲストに迎えてのイベールなど、内容的に非常に濃く、注目すべき内容である。また、アンサンブルステージでは、Y.T氏が参加するアンサンブルがなんとギィ・ラクールの「四重奏曲」を演奏するとのこと。私自身は吹いたことがないが、大好きな作品である。そんなところも楽しみだ。

音響的にも素晴らしいみなとみらいの小ホール。素敵な演奏会になることだろう。私も、もちろん伺う予定。

【Saxofono Rosso 第10回記念演奏会~遠藤朱実先生を囲んで~】
出演:Saxofono Rosso、遠藤朱美(サクソフォン)、上野耕平(サクソフォン)、西尾貴浩(指揮)
日時:2015年1月24日(土) 12:30開場 13:00開演
会場:横浜みなとみらいホール 小ホール
ゲスト:上野 耕平
プログラム:
高昌帥「記念委嘱作品」
J.イベール/J.M.ロンデックス「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」(独奏:上野耕平)
メンバーによるアンサンブル
G.ガーシュウィン/ミ・ベモル「ラプソディ・イン・ブルー」 他
詳細:
http://www.saxofonorosso.com/

2015/01/19

東フィル100周年記念の「ボレロ」動画

音楽プロダクションのいテレビマンユニオンの動画配信サイト、テレビマンユニオンチャンネル。HD画質、また音質も良く、さらに時折面白い動画がアップされるため注目しているのだが、最近東フィルの「ボレロ」の動画がアップされた。

http://tvuch.com/social/138/

2012年5月2日 サントリーホールで開かれた、東京フィルハーモニー交響楽団創立100周年特別演奏会の模様とのこと。チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。「ボレロ"150人編成版"」てなんだ、と思ったら、東フィルの層の厚さを活かした超大編成ボレロで、観て、聴いて、実に爽快な演奏となっている。これは会場にいたら興奮しただろうなあ。

サクソフォンは、テナー福井健太氏、ソプラノ松井宏幸氏。お二人とも良い音だしますねええええ!それぞれにとっても、会心のソロなのではないかな。見事なフレージング。ばっちり決まった髪型(ん?)。

2015/01/18

フルモー&ブリッソンのデュオLP

島根県のF様よりお送りいただいたLP。いつもこういった貴重な録音をお送りいただき、感謝である。ある筋では大変に有名な、フルモー氏とブリッソン氏のサクソフォン・デュオのLP。

ジャン=イヴ・フルモー Jean Yves Fourmeau氏はおなじみであるが、クロード・ブリッソン Claude Brisson氏は、1943年、カナダのケベック生まれのサクソフォン奏者である。1970年シーズンにパリ国立高等音楽院のダニエル・デファイエ氏のクラスを卒業した。1970年のジュネーヴ音楽コンクールで、銀メダルを獲得しているとのこと。「ファンタジー Fantaisie」で有名なドゥニ・ベダールが、彼に「ソナタ」という作品を捧げている。フルモー氏は1958年生まれ、1977年シーズンの卒業であるから、だいぶ差があるようだ。

録音は1987年1月(意外と新しいな)。カナダのプロダクションのい制作である。どのような経緯で制作に至ったかはよくわからないのだが、このような録音が残されていることは幸いだ。当時としてはサクソフォン・デュオの録音は珍しかったのでは(この時期までに制作されたデュオの録音なんて、ロンデックス氏とブロディ氏の演奏くらいしか思いつかない)。Thunderさん情報によれば、カセットテープという販売形態もあったらしい。

プログラムは以下の通り。
Jean Marie Leclair - Sonate en la majeur, op.3 no.2
Paul Hindemith - Konzertstuck
Pierick Houdy - Cinq caracteres en forme d'etudes
Karl Stamitz - Duo en re majeur
Guy Lacour - Suite en duo

オーディの作品は、いかにもこの時代のネオ・ロマンティックなフランス作品の響き。シュターミッツの作品は、フルートもしくはヴァイオリンのデュオのために書かれており、ルクレール、サンジュレあたりの響きを想像していただければ良く、ルクレールに代わって人気が出てもおかしくないと考える。聴き物はやはりヒンデミットとラクールだ。美しく丸い音色(なんとなく、お二人とも音色が似通っているように感じる)を崩すことなく、すいすいと吹いていってしまう手腕の高さに舌を巻いた。ラクールは、今でこそ須川展也氏とケネス・チェ氏の録音があるが、それ以前はたしかこのLPが標準盤だったのだよなあ。

デュオの録音として大変クオリティが高く、またヒンデミットやラクールが入っているという点で、貴重なものだと考える。CDで再発売されたら、フルモー氏の人気もあるし、日本ではけっこう売れるんじゃないかなー、などと勝手に思うのだが。。。

もう1枚、面白い録音を頂戴したので、後日紹介する。

つくば市で練習

今日は、つくば市で1/31に乗るラージアンサンブルの練習。出身大学の吹奏楽団の、内輪のアンサンブルコンサートで演奏する予定があるのだ。曲は、村松崇継/柏原卓之「彼方の光」である。サクソフォンで良く演奏される版とはまた違った、テンポやサウンドなど、合唱を意識した編曲…と思われる。ということで、なかなか大変(笑)。練習自体は2時間ほどで済み、その後カレーを食べてから東京に戻った。

道端で見つけた、いかにもつくば市っぽい看板(笑)。

2015/01/17

第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会

松下洋君が立ち上げたという、プロアマ混合のアンサンブル:YSA(横浜サクソフォンアンサンブル)。その第一回演奏会を聴きに伺った。お客さんはたくさん、大盛り上がりのなか終演。いやはや、年の始めにとても良い物を聴かせてもらった!

【第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会】
出演:神奈川にゆかりのあるサクソフォン奏者
日時:2015年1月17日 18:00開演
会場:戸塚区民センターさくらホール
プログラム:
バーバラ・トンプソン「セレブレーション」
ジョージ・ガーシュウィン「ソングブック」
長生淳「パガニーニ・ロスト」
ロベルト・モリネッリ「ニューヨークからの4つの絵」(独奏:原博巳)
ポール・マッカートニー&ジョン・レノン「イエスタデイ」
エドワルド・グリーグ「ペール・ギュント第一組曲より」
ルイ・プリマ「シング・シング・シング」
アルフレッド・リード「アルメニアン・ダンス・パート1」
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン「歓喜の歌」
ヴィットリオ・モンティ「チャルダーシュ」(アンコール)(独奏:原博巳)
和泉宏隆「オーメンズ・オブ・ラヴ」(アンコール)

第一部は、神奈川に縁のあるプロフェッショナルのサクソフォン奏者(東京都町田市1名含む)によるステージ。最初はバーバラ・トンプソンの「セレブレーション」から!2012年にセント・アンドルーズで、アポロ・サクソフォン・オーケストラの演奏を聴き、カッコいい!と思って即楽譜購入した曲。今回、まさにその楽譜の提供をし、日本初演となったはずだ。ライヴでこの曲の演奏を聴くことができるとは…!と、初っ端から普通の精神状態ではなかったのだが、神奈川の若手を中心とする見事なアンサンブルに舌を巻いた。中間部のソプラニーノソロは企画者の松下君だった。

2曲目は、ガーシュウィンのメロディをアレンジしたカルテット。聴いたことがない編曲だったが、誰のアレンジだったのだろうか。ソプラノ大木麻衣さん、アルト田口くん、テナー隈元なつ美さん、バリトン塩塚くん。遊び心あふれる個性的な演奏を愉しんだ。

3曲目は「パガニーニ・ロスト」。私は知らなかったのだが、サクソフォンデュオ版、吹奏楽版に引き続き、サクソフォンラージ版が出来ていたそうで、その版の演奏だった。SATB各4本ずつ、指揮に田口くんを立てて、集中力の高い演奏だった。これはなかなか引き込まれてしまって、客席も沸いていた。今回の演奏会、客席にサクソフォン関係者は少なく、「パガニーニ・ロスト」を知っている方はさらに少なかったと思うのだが、終わった瞬間の拍手はなかなかのもの。やっぱり、曲が良くて演奏が凄ければ、知らない曲でもきちんと聴衆は付いてくるのだな、と思うのだった。

第一部最後は、原博巳さんをソリストに立てての「ニューヨークからの4つの絵」。もともとサクソフォンラージアンサンブル版が準備されていることもあり、また、曲としても楽しく、人気の作品だ。原博巳さんのソロは言わずもがな、大変素晴らしいもので、指向性の高い音は、10名超を従えたところで独奏としての輝きを全く失わない。第三楽章は、変な言い方だが原さんのキャラからするとまた違った装いの響きであるが、意外なほどに素敵な演奏で、聴き入ってしまったのだった。真ん中のアドリブもかっこいい。

第二部は、プロフェッショナル、アマチュア混合の、70名以上のアンサンブル。練習回数は、3回〜4回というところと聞いていたが、かなりまとまった、しっかりした演奏で驚いてしまった。指揮車の手腕によろところや、要所要所をプロフェッショナルの奏者が押さえているあたりも、上手く働いているのだろうか。それにしたって、難しい楽譜の数々をぴしっと吹いている様子が、すごいなと感じ入る。

田口くんの指揮は、敢えてやや指定テンポよりも速めに運び、演奏者に適度な緊張感を強いることによって、アンサンブルを引き締めているのかなあなどと適当な事を考えつつ聴く。「ペール・ギュント第一組曲」など、一朝一夕に取り組むのは難しいと思われる作品であっても、聴き応えがある。「シング・シング・シング」は盛り上がった!ドラムスにもゲストを迎え、ソロまわしもあって、客席が湧いた。「アルメニアン・ダンス」では、やはりこの曲はよく知られているせいか、演奏者側のノリも相当なもので、終結部に向けて大盛り上がりとなった。

「歓喜の歌」で終わったあとには、再び原さんを迎えての「チャルダーシュ」と、最後は手拍子まで入っての「オーメンズ・オブ・ラヴ」。大盛り上がりの中終演となった。

素晴らしい催しだった。何かを掲げてサクソフォン奏者がこんなに集まる、ということはそれ自体で賞賛されるべきことだ。「サクソフォンを吹いてさえいれば、誰彼も、なんでも出来るんだ」と、そんなことも久々に感じた。そして、イベントとして、プロフェッショナルとアマチュアの、分け隔てを感じないところが、アマチュアの末席でサクソフォンを吹いている身として、嬉しいなと思うのだった。

2015/01/16

Arno Bornkamp plays Denisov on YouTube (sound only)

ピアニストZoltan Peter氏のYouTubeアカウントに、エディソン・デニゾフの「ソナタ」のライヴ録音がアップされていた。サクソフォンは、アルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏が吹いている。たまに、サクソフォン奏者ではなく、ピアニストがサクソフォンを含む室内楽動画(録音)をアップすることがあるが、そのようなノリであろう。

2015/01/13

演奏会情報:東京現音計画・ミュージシャンズセレクション2(大石将紀)

明日1/14、極めて珍しいプログラムの演奏会が開かれる。サクソフォン奏者大石将紀氏が参加するユニット、東京現音計画のコンサートで、"ミュージシャンズ・セレクション"という、東京現音計画の各メンバーが順に(?)プログラミングを行っていく企画だ。今回は、大石将紀氏がサクソフォンを軸にしたプログラミングを行った、ということで、注目すべき内容である。

ドイツのアンサンブルトリオ・アカント TRIO ACCANTOという、サクソフォン、ピアノ、パーカッションという編成のグループのために書かれた作品を取り上げるとのこと。恥ずかしながらこのグループ名は存じ上げなかった。サクソフォンにマルカス・ワイス氏を擁し、新作初演しまくっているそうだ。そのトリオ・アカントのレパートリーたるや、これである。すごい。細川俊夫の「ヴァーティカル・タイム・スタディII」は、このトリオのために書かれたのだな…。

他、エレクトロニクスを含む新作も取り上げるとのことで、大注目だ。私は残念ながら伺うことができないのだが、明日お時間ある方はぜひ。

【東京現音計画#04 ミュージシャンズセレクション2:大石将紀】
出演:東京現音計画 
 エレクトロニクス 有馬純寿
 サクソフォン 大石将紀
 打楽器 神田佳子
 ピアノ 黒田亜樹
 チューバ 橋本晋哉
日時:2015年1月14日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:杉並公会堂小ホール
プログラム:
ステファノ・ジェルヴァゾーニ「リジーリオ」
細川俊夫「ヴァーティカル・タイム・スタディII」
ブリス・ポゼ「アダージョ・ディアレッティコ」
川上統「羅鱶」
池田拓実「(新作委嘱)」
https://www.facebook.com/events/976195182394872/permalink/1025480417466348

2015/01/12

阪口新氏の演奏映像 on YouTube

香川大学吹奏楽団の第10回定期演奏会に、日本のクラシカル・サクソフォンの父、阪口新氏(1910 - 1997)がゲスト出演した映像をYouTubeで観ることができる。

演奏曲目は「インディアン・サマー」他アンコールも含め合計3曲。こちらのサイトによれば、1979年秋の映像ではないか、ということ。35年も前なのか…!

阪口氏の演奏は、28分~29分あたりから開始。暖かい音色、抜群の音程、やさしいフレージング。LPレコード(の復刻)で親しんだ音が、このように映像として残されているのを観るのは、なんだか不思議な感じがしてしまう。朴訥とした演奏姿が目に焼き付く。



ちなみに、演奏会のメインはショスタコーヴィチの「交響曲第5番」である。これまたすごいな。

東京現音計画@シルバーマウンテン

アメリカの実験音楽をテーマとした演奏会。個人的には、一柳慧「プラティヤハラ・イベント」がまた聴け(観られ)る!というところに興味があったり、ライリーの「in C」やるんだ!というあたりに興味があって、伺った。さすがにサクソフォン関係者っぽい方はお見かけしなかった。

【シルバーマウンテン連続公演 「東京現音計画」】
出演:有馬純寿(elc)、大石将紀(sax)、神田佳子(perc)、黒田亜樹(pf)、橋本晋哉(tuba)、洗足学園音楽大学「現代の音楽表現研究」履修生
日時:2015年1月11日(日曜)18:20開演
会場:シルバーマウンテン2Fグリーンルーム
プログラム:
ジョン・ケージ - ラジオ・ミュージック
トム・ジョンソン - カウンティング・デュエットI,II
サウンドペインティング(サウンドペインター:大石将紀)
トム・ジョンソン - カウンティング・デュエットIII, IV
一柳慧 - プラティヤハラ・イベント
トム・ジョンソン - カウンティング・デュエットV
テリー・ライリー - in C

到着したころには、すでに「ラジオ・ミュージック」が始まっており、シルバーマウンテンの2階ホワイエで演奏されていた。他の部屋より10分早い意味は、やっぱりホール備え付けのジャミングを避けるためだったのだろうか。

大石ゼミの履修生によって演奏された「サウンドペインティング」は、これはとっても面白かった!今日、村松氏がサクソフォンとして参加しており、ずっと前にサウンドペインターが出すサインの意味合いを説明したプリントを見せてもらったことがあるのだが、思った以上に細かく指示されるというか、制約が大きいのだ。かなりサウンドペインター(指揮者)の意図が反映されるため、曲の構成感はほぼサウンドペインターに掌握されており、その中でどのような即興が行われるか、また、複数の奏者が絡み合うときにどのような相互性が生まれるか、というところが聴きどころであった。それにしても、サウンドペインティングでは、数十に及ぶサインを覚えて、さらに指示に対して即時反応しなければならない。これは一朝一夕にはできず、かなり訓練が必要だろうなと思ったのだった。

「プラティヤハラ・イベント」は、大石ゼミの演奏を聴くのは2回目。今回は東京現音計画のメンバーも交えて、新たな境地を「体験」した。前回とはまた違った、アグレッシヴな"イベント"が次から次へと現れ(エセ手品をやる、サンドイッチを作る、風船で犬を作る、その風船を割る)、また、音としても面白いものが続いた。神田さんのパーカッションは、さすがだ!あのスピード感、オーラ。あと、大石さんは「ミステリアス・モーニングIII」の一節をアルトで!等々、面白ポイントを挙げていくとキリがない。

「in C」は、これは非常に長い作品だが、パルスを打つ打楽器のお二人が非常に良い仕事をしており、さらにその上で幾十にも折り重なる音の層が心地よかった。これだけ人数がいて、さらに筋金入りの音楽家も交えて演奏される「in C」…聴いて楽しいと思うと同時に、参加してみたい!とも思ったのだった。

ちなみに、トム・ジョンソンの「カウンティング・デュエット」が大きな曲の間に間奏曲のような形で演奏されたが、どうも面白さが良くわからず…(汗)初めて知った作品だったので、何度か聴けば印象も変わってくるのかもしれない。

"実験音楽"と名が付く演奏会を通して聴いたのは初めてだったかもしれないが、とても充実した時間を過ごしたのだった。こういった実験音楽だったり、ミニマル・ミュージックだったりを集めた演奏会、自分でも企画してみたいが、練習がとんでもないことになってしまいそうだ(笑)

「サウンドペインティング」「プラティヤハラ・イベント」「in C」では、多くの場合、そのベースもしくは重要な一要素となっているのは即興である。その即興における、「強い音」について興味がある。ここで私が言う「強い音」とは、多人数で即興を行っているときに、際立って聴衆の耳に届いたり、他の演奏者に対して即興の方向性を決定づけたりするような、単数または複数の音(あるいはフレーズといってもいいかもしれないが)のことである。以前、「プラティヤハラ・イベント」を聴いたときには、三味線の音を筆頭に、いくつかそのような音が出現した。また、今回も、たとえばサクソフォンの音、たとえばエレクトロニクスの音、例えば打楽器の音、など、そのような「強い音」がやはり出現していた。

では、ある音(ないしフレーズ)が、「強い音」となりえるためには、何が必要なのか?音量?音色?音高?コンテキスト?ごくわずかな音量しか持ちえないリコーダーのような楽器が発する音が、多人数を動かすような「強い音」となることはできるのか?突き詰めて調べていったら、面白そうなテーマである。

「ラジオ・ミュージック」が演奏された、ホワイエの様子。

2015/01/11

デファイエのドビュッシー「ラプソディ」放送用録音

ダニエル・デファイエ Daniel Deffayet氏の参加するクロード・ドビュシー「ラプソディ」の録音というと、かつてEratoに吹き込まれたマリウス・コンスタン指揮フランス国立放送フィルハーモニーの盤を思い浮かべる方がほとんどだろう。独奏パートの素晴らしさは、果たして今後人類がこれを超えることはできるのだろうか、というほどのもの。

ところが、今回ご紹介するのは、まったく別の録音である。1962年頃にラジオ放送された演奏で、同じフランス国立放送フィルハーモニー Orchestre Philharmonique de Radio France(以下ORTF)だが、指揮者が違う。指揮者は、1935–1950年にラムルー管を、1949–1965年にはORTFの音楽監督を務めた、Eugene Bigotである。

http://pastdaily.com/2014/09/14/daniel-deffayet-with-eugene-bigot-and-the-ortf-symphony-play-music-of-debussy-1962-past-daily-weekend-gramophone/

私が知る限り、初出である。相変わらずの素晴らしいデファイエ氏の独奏パート…なんでこんな風に吹けるんだろう!と、ため息が出てしまう。オーケストラも(ときどきおやっ?という解釈があるものの)実に良好な演奏。ドビュッシーを演奏している人、そうでない人、そして一般のクラシックファンなど、多くの人に聴かれてほしい。録音そのものとしては、かなりサクソフォンをオンマイクで捉えている感じがあり、さすがに時代を感じるが、音質ははっきりしており、悪くない。

それにしても、いったいこのサイトの管理人は、こういった貴重な録音の数々、しかも流通に乗らなかった非商用録音を、どのように手に入れているのか…。以前は、以下のような録音も出て、その貴重さに驚いたことがある。

ミュール四重奏団:http://kurisaxo.blogspot.jp/2014/06/blog-post_1441.html
ミュール:http://kurisaxo.blogspot.jp/2014/06/blog-post_22.html

2015/01/10

楽譜書きの日

一日部屋に閉じこもってPrintMusicで楽譜書き。頼まれたソロ楽譜と、5月の合唱との共演楽譜の、各浄書(兼パート譜作成)。

集中すればきっと夕方くらいまでには20時くらいまでには終わっていたであろうに、ダラダラやっていたらこんな時間、しかもまだ終わっていない。完成した楽譜を眺めるのは嬉しいが、書く段階は基本的にストレスが溜まる作業なので、大変だ。

PrintMusicも、そろそろ新しいバージョンを導入したほうが良いかなあ。

2015/01/08

東京佼成ウィンドがテナーサクソフォン奏者募集を開始

仲田守氏の退職にともない、東京佼成ウィンドオーケストラがテナーサクソフォン奏者を募集している。

応募〆切は2015年2月20日(金)必着とのこと。おそらく、多くのサクソフォン奏者が応募することだろう。詳細は下記リンクより。

http://www.tkwo.jp/view/2015/01/tenorsax2015.shtml

一次審査は1日間だけなのか…。

演奏会情報:アリアSQのリサイタル

前々からご案内いただいていた、アリア・サクソフォン・カルテットの演奏会が迫ってきた。何が面白いって、「邦人作品」というコンセプトなのだが、斎藤高順「サクソフォン四重奏曲」、そして上野耕路「N.R.の肖像」を演奏する、ということ。斎藤氏の作品は、日本で初めて制作されたサクソフォン四重奏曲として、重要な作品だ。また、上野氏の作品は、ニーノ・ロータの音楽を題材としたコラージュ風作品で、私もTsukuba Saxophone Quartetとして演奏したこともある。超おすすめの作品である。

私は、プログラム冊子に掲載される曲目解説を提供する予定。

【Aria Saxophone Quartet Recital】
出演:Aria Saxophone Quartet
日時:2015年1月22日(木曜)19:00開演
会場:すみだトリフォニーホール・小ホール
プログラム:
斎藤高順「サクソフォン四重奏曲」
上野耕路「N.R.の肖像」
仲沼祐太「(委嘱作品)」
問い合わせ:
http://ariasq.com
aria.saxophone.q@gmail.com

(クリックして拡大)

2015/01/07

Aurelia Saxophone Quartet' Live on Vimeo

仕事が忙しく、ブログをゆっくり書いている時間がない。

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Aurelia Saxophone Quartetの演奏動画をVimeoで見つけた。ショスタコーヴィチの弦カル15番と、ジヤ・カンチェリ?なる作曲家の「ナイト・プレイアーズ」という作品。Vimeoにアップロードされているビデオのせいか、品質が非常に良い。それにしても、このメンバーでの演奏に、もうライヴで接することができないと思うと、残念極まりない。

Johan van der Linden, ssax
Niels Bijl, asax
Arno Bornkamp, tsax
Willem van Merwijk, bsax

Dmitri Shostakovich - String Quartet No. 15 (Op.144)

Aurelia Saxophone Quartet - String Quartet No. 15 (Op.144) - Dmitri Shostakovich from MediaFris on Vimeo.


Giya Kancheli - Night Prayers

Aurelia Saxophone Quartet - Night Prayers - Giya Kancheli from MediaFris on Vimeo.

2015/01/06

Vincent David plays Marc Monnet "Babioles"

Marc Monnet(1947 - )の無伴奏サクソフォン(アルト/テナー)のための作品、「Babioles」の録音(残念ながら録画ではない)がYouTubeに公開されていたので、ご紹介。1992年の作曲と、いささか古い作品ではあるが、なかなかテクニカル、また楽章ごとにこれでもかと変化が見られ、面白い。録音に付加されたPV風の映像も、ちょっと不気味でありつつも音楽にマッチしている。

演奏は、フランスの名手、ヴァンソン・ダヴィッド Vincent David氏。隙の無いテクニックはさすがだ。いつごろの録音なのだろう。下記リンクから飛んで聴くことができる。

https://www.youtube.com/watch?v=ffefYGZhvqU

楽章構成は、次の通り。

Jongleurs de sons
Presque rien
Mélodie contorsionniste
Sons suspendus
Deux minutes de timbres à petits bouts mélodiques
Gnomes fantaisies

2015/01/04

North American Saxophone Allianceの新President

NASAこと、North American Saxophone AllianceのPresidentが、サウスカロライナ州立大学教授のClifford Leaman クリフォード・リーマン氏から、アイオワ州立大学教授のケネス・チェ Kenneth Tse氏へと交代した。

就任コメントの一部を引用する。"entering into a new era"という力強い言葉!今後のNASAのますますの発展を祈念する次第。

In 2015 NASA will be entering into a new era. An era of great changes. From a brand new website to many positive organizational changes, which you will hear about in due time. It has been a great pleasure for me to work with the executive members whose continued desire is to create a better organization and whose fortitude to make the changes happen are truly inspiring.

また、ケネス・チェ氏は日本にも度々来日されているということで、たとえばNASAと日本のサクソフォン界の繋がりが出来ていけば良いなあと思っている。

2015/01/02

No Man's Landのダウンロード販売

あのクラリネットの名手、アレッサンドロ・カルボナーレが、フィル・ウッズ「ソナタ」や吉松隆「ファジイバード・ソナタ」を(もちろんクラリネットで)演奏しちゃったアルバム「No Man's Land(Velut Luna)」が、いつの間にやらAmazonのデジタルミュージックストアに登場していた。このアルバム、発売当初から流通になかなか乗らず、5年ほど前にイタリアの怪しい通販サイトでようやく見つけてドキドキしながら購入したのが懐かしい。

1. フランク・ザッパ - FZ for Alex
2. フィル・ウッズ - ソナタ (originally for Alto Saxophone)
3. グラハム・フィトキン - GATE (originally for Soprano Saxophone)
4. エンリコ・ピエラヌンツィ - Elisions du Jour
5. パクイト・ドリヴェラ -小組曲
6. 吉松隆 - ファジイバード・ソナタ (originally for Alto Saxophone)
7. カルロ・ボッカドーロ - エレジー マイルス・ディヴィスの思い出に
8. フランコ・ダンロレア - トレント

演奏の素晴らしさは言うまでもなく、楽曲としても面白いものばかりだ。もしご存じない方は、ぜひ一度耳にしていただきたい。

こちら→No Man's Land

多くの方に聴かれることになるのが嬉しいなと思う一方、CD販売からダウンロード販売への変遷を、改めて感じた次第(こちらの記事もぜひ参照を)。録音そのものの価値は変わらないはずなのだが、なんだろう、この寂しい感じは。

こういうドキドキ感もなかなか味わえなくなったなあ…→http://flatmountain.tumblr.com/post/37911127799

と、話が逸れた…。

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楽曲・演奏の質が良くて、珍しいCDがないかなあ、と探している。というのも、今年の1/21に本ブログdiary.kuri_saxoが10周年を迎えるにあたり、プレゼント企画を予定しているからだ。「No Man's Land」は五周年の時にもプレゼントとして取り上げており、今回もプレゼント候補の筆頭として考えていたのだが、ダウンロード販売で手に入るのであれば、わざわざプレゼントにする価値もないなあと。何か他にないか…うーむ。CDから離れて考えれば良いのかもしれないが。

2015/01/01

クラシック・サクソフォンの名曲とドラムス

サクソフォンの大石俊太郎さんが、こんな動画を紹介していた。



なんと、マルセル・ミュール演奏のポール・ボノー「ワルツ形式によるカプリス」にドラムスを当てる、という動画で、もちろんミュールの演奏は録音なのだが、なんとも微妙なシンクロ具合が可笑しいのであった。

他にも、クラシック・サクソフォンの名曲にドラムスを当てた録画があるので、この機会に一挙にご紹介したい。

・デニゾフ「ソナタ」第3楽章
原曲(サクソフォン+ピアノ)に、ドラムスとベースが加わることによって、同曲が持つジャズのエッセンスがあからさまに表面化する。平野公崇氏(クリヤ・マコト氏?)のアイディアによって実現され、アルバム「Jurassic」に収録された。デニゾフの遺族も絶賛したという。この演奏は、ウィーン音楽院教授のLars Mlekusch氏による。原曲はこちら


・ゴトコフスキー「四重奏曲」第6楽章
四重奏曲+ドラムス。「ゴトコフスキーの四重奏曲にドラムス…?なぜ…?」と、そもそもの動機付けが謎だったが、なんだか妙にかっこ良く、これはこれでありかも!と思うのであった。リズムのシンコペーションの面白さが助長されるところに耳をひかれた。中間部にはドラム・ソロもあり、また、ところどころに入る小物の音も楽しい。演奏はQuatuor Morphing。原曲はこちら


・吉松隆「ファジイバード・ソナタ」第1楽章
原曲(サクソフォン+ピアノ)に、ドラムス…ではなく、パーカッションの小物が入る。サクソフォンもピアノもドラムスも、妙にフリーダム(笑)である。原曲はこちら


昔から持っているアイディア:フィル・ウッズの「3つの即興曲」にドラムスを当てたら絶対良いと思うのだが…。

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年が明けました。2015年もよろしくお願いします。