2015/01/17

第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会

松下洋君が立ち上げたという、プロアマ混合のアンサンブル:YSA(横浜サクソフォンアンサンブル)。その第一回演奏会を聴きに伺った。お客さんはたくさん、大盛り上がりのなか終演。いやはや、年の始めにとても良い物を聴かせてもらった!

【第1回横浜サクソフォンアンサンブル演奏会】
出演:神奈川にゆかりのあるサクソフォン奏者
日時:2015年1月17日 18:00開演
会場:戸塚区民センターさくらホール
プログラム:
バーバラ・トンプソン「セレブレーション」
ジョージ・ガーシュウィン「ソングブック」
長生淳「パガニーニ・ロスト」
ロベルト・モリネッリ「ニューヨークからの4つの絵」(独奏:原博巳)
ポール・マッカートニー&ジョン・レノン「イエスタデイ」
エドワルド・グリーグ「ペール・ギュント第一組曲より」
ルイ・プリマ「シング・シング・シング」
アルフレッド・リード「アルメニアン・ダンス・パート1」
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン「歓喜の歌」
ヴィットリオ・モンティ「チャルダーシュ」(アンコール)(独奏:原博巳)
和泉宏隆「オーメンズ・オブ・ラヴ」(アンコール)

第一部は、神奈川に縁のあるプロフェッショナルのサクソフォン奏者(東京都町田市1名含む)によるステージ。最初はバーバラ・トンプソンの「セレブレーション」から!2012年にセント・アンドルーズで、アポロ・サクソフォン・オーケストラの演奏を聴き、カッコいい!と思って即楽譜購入した曲。今回、まさにその楽譜の提供をし、日本初演となったはずだ。ライヴでこの曲の演奏を聴くことができるとは…!と、初っ端から普通の精神状態ではなかったのだが、神奈川の若手を中心とする見事なアンサンブルに舌を巻いた。中間部のソプラニーノソロは企画者の松下君だった。

2曲目は、ガーシュウィンのメロディをアレンジしたカルテット。聴いたことがない編曲だったが、誰のアレンジだったのだろうか。ソプラノ大木麻衣さん、アルト田口くん、テナー隈元なつ美さん、バリトン塩塚くん。遊び心あふれる個性的な演奏を愉しんだ。

3曲目は「パガニーニ・ロスト」。私は知らなかったのだが、サクソフォンデュオ版、吹奏楽版に引き続き、サクソフォンラージ版が出来ていたそうで、その版の演奏だった。SATB各4本ずつ、指揮に田口くんを立てて、集中力の高い演奏だった。これはなかなか引き込まれてしまって、客席も沸いていた。今回の演奏会、客席にサクソフォン関係者は少なく、「パガニーニ・ロスト」を知っている方はさらに少なかったと思うのだが、終わった瞬間の拍手はなかなかのもの。やっぱり、曲が良くて演奏が凄ければ、知らない曲でもきちんと聴衆は付いてくるのだな、と思うのだった。

第一部最後は、原博巳さんをソリストに立てての「ニューヨークからの4つの絵」。もともとサクソフォンラージアンサンブル版が準備されていることもあり、また、曲としても楽しく、人気の作品だ。原博巳さんのソロは言わずもがな、大変素晴らしいもので、指向性の高い音は、10名超を従えたところで独奏としての輝きを全く失わない。第三楽章は、変な言い方だが原さんのキャラからするとまた違った装いの響きであるが、意外なほどに素敵な演奏で、聴き入ってしまったのだった。真ん中のアドリブもかっこいい。

第二部は、プロフェッショナル、アマチュア混合の、70名以上のアンサンブル。練習回数は、3回〜4回というところと聞いていたが、かなりまとまった、しっかりした演奏で驚いてしまった。指揮車の手腕によろところや、要所要所をプロフェッショナルの奏者が押さえているあたりも、上手く働いているのだろうか。それにしたって、難しい楽譜の数々をぴしっと吹いている様子が、すごいなと感じ入る。

田口くんの指揮は、敢えてやや指定テンポよりも速めに運び、演奏者に適度な緊張感を強いることによって、アンサンブルを引き締めているのかなあなどと適当な事を考えつつ聴く。「ペール・ギュント第一組曲」など、一朝一夕に取り組むのは難しいと思われる作品であっても、聴き応えがある。「シング・シング・シング」は盛り上がった!ドラムスにもゲストを迎え、ソロまわしもあって、客席が湧いた。「アルメニアン・ダンス」では、やはりこの曲はよく知られているせいか、演奏者側のノリも相当なもので、終結部に向けて大盛り上がりとなった。

「歓喜の歌」で終わったあとには、再び原さんを迎えての「チャルダーシュ」と、最後は手拍子まで入っての「オーメンズ・オブ・ラヴ」。大盛り上がりの中終演となった。

素晴らしい催しだった。何かを掲げてサクソフォン奏者がこんなに集まる、ということはそれ自体で賞賛されるべきことだ。「サクソフォンを吹いてさえいれば、誰彼も、なんでも出来るんだ」と、そんなことも久々に感じた。そして、イベントとして、プロフェッショナルとアマチュアの、分け隔てを感じないところが、アマチュアの末席でサクソフォンを吹いている身として、嬉しいなと思うのだった。

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