2014/12/31

ドゥラングル&コレゾフ plays サンンジュレ on YouTube

珍しいというか、すごいというか、クロード・ドゥラングル教授と、ロシアの俊英セルゲイ・コレゾフ Sergey Kolesov氏の共演動画である。曲目は、ジャン=バプティスト・サンジュレの「デュオ・コンチェルタント」だ。しかもオーケストラ・アレンジときたもんだ。



オーケストラアレンジは、Adrian Delmer氏。ソプラノがクロード・ドゥラングル教授、アルトがセルゲイ・コレゾフ氏。2014年にロシアのサンクトペテルブルグで開かれた、The "Saxophone" 1st International Festivalという催しでの演奏だそうだ。そんなフェスティバルが開かれてたのか…。

演奏は見事!のひとこと。このくらい上手いと(ともに世界最高クラスですからねえ)、もはやどう評して良いのか良くわからなくなる。オーケストラの演奏も良い。

Claude Delangle plays 野平一郎 "Entrelacs" on Vimeo

野平一郎氏の新作(と呼ぶにはいささか昔すぎるかもしれないが)である、サクソフォンと室内オーケストラのための作品「Entrelacs(網目模様)」の動画がアップロードされていることを知った。下記リンク先から、Vimeoにて鑑賞可能である。

http://worldsax.tv/web/20140503-sax-ensemble-nodaira/

この作品は、2013年11月にいずみシンフォニエッタ創立60周年記念のために作曲されている。これまで野平一郎氏のサクソフォンのための作品は下記があるが、また強烈な作品(名曲)が追加されたなあと思うのだった。ちなみに私が個人的に一番好きなのは「舵手の書」である。

アラベスクIII(サクソフォンとピアノ)
サクソフォン四重奏曲
舵手の書(サクソフォンとメゾ・ソプラノ)
息の道(サクソフォンとエレクトロニクス)

Eastman Sax Project plays Chaconne on YouTube

イーストマン音楽院のサクソフォン・クラスといえば、毎回ぶっ飛んだプログラムを取り上げることで有名だが(「春の祭典」全曲を演奏した動画はいろいろな意味で大きな話題となった)、今年の演奏会において、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ「シャコンヌ」のサクソフォンアンサンブル版を取り上げたとのことだ。その動画が、YouTubeにアップロードされた。



2014年11月16日、イーストマン音楽院内のホールでの演奏会とのこと。編曲は、Matthew Evans氏。動画を観る限り、SSAATTBBBsという編成のようだ。

バッハ「シャコンヌ」のサクソフォン・アンサンブル版といえば、古くはGary Scudderのサクソフォン四重奏版、また、私が傑作と信じて疑わない伊藤康英先生のサクソフォン四重奏版があるが、このような、九重奏でのアプローチを試みる団体が現れるとは意外だった。非常に豪勢な響きがするが、これはこれでありだなあ。

斎藤高順氏のこと少し

必要があって作曲家の斎藤高順(さいとうたかのぶ)(1924 - 2004)氏について調べていた。一般的には、行進曲「ブルーインパルス」の作曲家として、また、サクソフォン的な切り口からは、日本で初めてサクソフォン四重奏曲を書いた作曲家として有名である。

私が斎藤氏について持っていたイメージはその程度だったのだが、調べてみたところ、小津安二郎監督の映画作品の作曲家としても活躍したそうだ。あの名作「東京物語」の音楽も手がけたそうで。この事実は、私にとってちょっとした「へえ」であった。これをきっかけに「東京物語」を観たのだが、原節子演じる紀子が尾道から出てきた義理の両親を東京案内するシーンで流れるポップな音楽が、いかにもサクソフォンが含まれていてもおかしくなさそうな、そんな雰囲気なのであった(実際にサクソフォンが「東京物語」のBGMに含まれている、ということではない)。

フランスもそうだが、映画音楽に関わった作曲家が、サクソフォン作品の作曲に関わるケースって、結構多い気がする。もしくは、この時代、サクソフォン作品を作るほどの作曲家は映画音楽を定常的に手がけていた、ということなのだろうか。

ちなみに、斎藤氏自身がサクソフォンに興味を持ったきっかけは明らかで、東京音楽学校在籍中に軍楽隊へと徴兵された際、意図せずではあるがサクソフォンを担当させられた、という経歴による(同じくサクソフォンを担当した同期に、作曲家の芥川也寸志もいる)。

2014/12/29

実家へ

年末年始の帰省で長野へ。着いたその日に雪が降り始めている。

委嘱作品の準備やら、各所への連絡やら、いろいろとやることも溜めており、さて、何からやろうか…。

2014/12/28

海藻姉妹ショー(12/27公演)

竹内さん…もとい、こんぶさんにご案内いただき伺った。面白かった!千代田芸術祭2013で"岸野雄一賞"を受け、それによって今回の公演が実現したそうだ。

【海藻姉妹ショー(12/27公演)】
出演:わかめ、こんぶ(以上sax)、めかぶ(pf)、海藻ブラス
日時:2014年12月27日 13:00開演
会場:3331アーツ千代田
プログラム(全てめかぶの作編曲):
谷中ブギウギ
海藻サラダ
キャンディ・ガール
人力マシーン
時間(とき)のワルツ
みうん
リンゴの唄
よっちょれラプソディー
海の子守唄
うなぎ祭り
さんさきっど(アンコール)

ライヴの予告動画。


2人のサクソフォン奏者と、1人のピアノ(アンデスや鍵盤ハーモニカも駆使)によるユニット。閉校した学校跡をアートギャラリーに改築したという会場、チューニングの狂ったアップライトピアノ、妙に昭和テイストな衣装やヘアメイク(実に可愛らしい!)等々、ちょっと異世界の雰囲気。オリジナル・キャラクターやロゴは、専属?イラストレーターのゆん・ゆんぐふらうよっほ氏の手による。カヴァー曲を収録したミニアルバムのプレゼントも!

飛び出す音楽は実に魅力的であった。ふらっと会場に来て、観て・聴いて、楽しめて、ほっこりした気持ちで帰っていくという、当たり前のプロセスを思い出させてくれるような時間だった。

作品としても面白い!作品そのものの面白さもあるのだが、その作曲背景などをMCで聞くとさらに面白さが倍増する。例えば、「海藻サラダ」は、前半のふわふわした部分が、海の中でゆらめいている海藻の様子、後半のマーチっぽい部分が、海藻がサラダとして食卓にならんでいる様子、とのことで、こうして文字に起こしてみるとくだらないといえばそうなのだが(笑)、妙な雰囲気にあてられてついつい笑ってしまうのだった。

お三方とも、東京藝術大学のご出身なのだが(くらいは書いても良いよね笑)、音色も美しくテクニックも高い。サクソフォンのお二方は、クラシックをバリバリ吹いているのを聴いたことがあるので、その上手さは良く知っているのだが、その高い技術をこういったジャンルにアダプテーションする、という、逆説的アプローチが個人的にツボなのであった。海藻ブラスを交えた乱痴気騒ぎも、また楽しい。

そういえば、物凄く穿った見方かもしれないが、私が好きなゲルニカというバンドを思い出した。さながら、わかめさんとこんぶさんが戸川純、めかぶさんが上野耕路、ゆん・ゆんぐふらうよっほさんが太田螢一というところだろうか。

会場の後ろに掲げられたのは、ゆん・ゆんぐふらうよっほ氏制作の横断幕。大きい!

BASUYA Live Concert@ドルチェ楽器東京

【BASUYA Live Concert(東京公演)】
出演:BASUYA(渡瀬英彦、榎田雅祥、斎藤和志、寺田正彦)、荒川洋、山田くに子、池田さく子、中島恵、川口沙希
日時:2014年12月23日(火・祝)19:00開演
会場:アーティストサロン"Dolce"
プログラム:
荒川洋 - BASUYAのための音楽
三代目杵屋正治郎
中川晋平 - うさぎのダンス
荒川洋 - BASUYAのための音楽
J.ラフ - カヴァティーナ
服部良一 - 蘇州夜曲
P.デスモンド - 蘇州夜曲
T.メールラ - シャコンヌ
H.マンシーニ - 小象の行進 他、順不同

ドルチェ楽器名古屋で東名高速サックスを第二部まで聴いたのち、新幹線に飛び乗って、ドルチェ楽器東京へと移動。バス・フルートユニット、BASUYAのライヴを聴いた。

バス・フルート以下の音域の楽器を駆使し、バロック時代以前のアレンジから最新作までを網羅する。バス・フルートの響きは、理屈というよりも、もっと身体の奥底から湧き上がってくる、まるで音楽の始原を垣間見るような印象がある。聴きなれたあの曲が、この曲が、その曲が、新たな感動を持って立ち上がる様は、一度体感してみると病みつきになる。

MCやステージングのゆるさは、少々お客さんを選ぶかもしれないのだが、これはこれでBASUYAをBASUYAたらしめている要素の一つなのだから、まあ良いのかな(笑)

斎藤氏作曲の作品は、やはり1、2本ネジがぶっ飛んでいるような印象があり、自由な要素も多分に交え個人的に大変面白く聴いた。メルラの「シャコンヌ」は、「シャコンヌ」という響きから想像する形式ばった響きからは遠い荒々しい即興的な音楽で、その異常性はなんとなくギョーム・ド・マショーあたりに通じる部分もあるのかなあと(適当なことを)思いつつ聴いていた。

演奏中に写真撮影大歓迎という、極めて珍しいアナウンスがあったため、手持ちのカメラで何枚か写真を撮影した。

2014/12/27

逃れられない戦い

いつもお世話になっているtk_saxoさんのツイートがとても面白かったのでご紹介。サクソフォンを吹いていて、かつ、プログラマーの方、使ってみてはいかがでしょうか。うまい!

参考:C#

東名高速SAXOPHONE QUARTET 2014名古屋公演

12/21のTSQ演奏会の翌日、仕事は休みを取って名古屋入り。12/21の東名高速サックス演奏会東京公演がTSQ演奏会とかぶって聴けなかったため、何としても12/23の名古屋公演を聴いておきたいと思い、出かけたのだ。メンバーの皆さんの前夜祭にも参加させていただき、当日を楽しみに迎えた。会場では、名古屋方面の多くのお友達の皆様にもお会いでき、嬉しかったのだった。

【東名高速 SAXOPHONE QUARTET 第2回~日本一の富士盛りライブ!!~(名古屋公演)】
出演:瀧彬友、川地立真、松下洋、上野耕平(以上sax)、黒岩航紀(pf)
日時:2014年12月23日(火曜)14:30開演
会場:ドルチェ楽器 名古屋店
プログラム:
R.ロジャース - レッスンズ・オブ・ザ・スカイ [瀧、黒岩]
R.グリエール - トランペット協奏曲 [川地、黒岩]
R.シューマン - 3つのロマンス [松下、黒岩]
逢坂裕 - ソナタ [上野、黒岩]
N.カプースチン - トッカティーナ(8つのエチュードより)[黒岩]
F.ショパン - 英雄ポロネーズ [黒岩]
M.ジャクソン - スムース・クリミナル [松下、川地]
S.ラフマニノフ - ヴォカリーズ [上野、松下、黒岩]
S.バーバー/生野裕久 - 思い出より1,6 [瀧、上野、川地、黒岩]
~後ろ髪を引かれつつここで途中退出~
G.ガーシュイン - ソングブック
P.チャイコフスキー - くるみ割り人形 他

実に面白いライヴだった。新進気鋭の、東京で、名古屋で、はたまた世界で、それぞれ活躍しまくっている奏者たち(まだ全員20代だ!)の、個性のぶつかり合いなのだが、互いを尊敬する、というエッセンスが演奏のそこかしこに感じられる。ピアノの黒岩さんも定常メンバー入り、ということで、来年からはクインテットに改名するとのこと。いまから楽しみになってしまう。

第1部はソロ・ステージ。瀧さんの演奏は、やはりソプラノの美音が映える。まるで楽譜が透けて見えるような、ピタリとはまった変拍子の応酬、そしてドライブ感が心地よい。最近ロジャースのこの曲、流行っているなあ。川地氏は、ビジューSQのイメージが非常に強かったところ、ロマンティックなグリエールの「協奏曲」をテナーサクソフォンで演奏し、その芯の通った演奏や芳醇な音色に感銘を受けたのだった。松下さんのシューマンは、昨年のリサイタルを思い出すような、これもまた良い演奏(ギアはずいぶんとローで制御されていたような雰囲気もある)。上野さんは、20分にも及ぶできたてほやほやのソナタを、隅々まで隙なく構築して、見事に吹ききったのだった。これは流行るかも。

第2部はピアノソロとアンサンブル。黒岩さんはコンサート中ほぼ出ずっぱりで、現代作品からシューマンから何から、見事なサポートを繰り広げていたが、ソロもまた素晴らしい。まさかここでカプースチンの「トッカティーナ」を聴けるとは!そして、黒岩さんご自身が子供のころから大好きだったというショパンもまた、まるでソロ・リサイタルの一幕を観るがごとく、気合いの入ったもので、会場が湧いたのだった。

マイケル・ジャクソンは、2 Cellosの編曲を2本のバリトンサクソフォンで演奏。「(MCでマイクを持ってしゃべると)フワっとした2人で演奏します」とは松下さんのMCの言だが、いやはや演奏はMCと相反し、激烈であった。あまりにかっこよすぎて、楽譜買おうかなと思っちゃったほどだ。音色は全然違うのだが、それがまた強烈なグルーヴ感の源泉となっているように感じた。ラフマニノフは、アルトサクソフォン2本でしっとりと。松下さんと上野さんがデュオを吹いている、というのも、なんだかすごい光景だなあ。最後は、楽しみにしていたバーバー!私自身も、ずっと昔に1,5,6を吹いたことがあったのだ。懐かしい。期待に違わぬ、音が重なるキラキラ感と、フレーズにさりげなく織り込まれる各人の音楽性を堪能した。

第2部が終わったところで、後ろ髪を引かれつつ途中退出し、ドルチェ楽器東京へと移動した。第3部もかなり盛り上がったようで、うーむ、聴きたかったなあ。

富士盛りライヴ…ということで、22日に新幹線車内から撮影した富士山の画像を。

2014/12/26

野平一郎編「ゴルトベルク変奏曲」(サクソフォン入り)

先日伺った東名高速サックスに関連して、瀧彬友さんのプロフィールを眺めていたところ、「齊藤一郎指揮セントラル愛知交響楽団とJ.S.バッハ(野平一郎編)のゴルトベルク変奏曲を共演…」というくだりを見つけた。野平一郎氏が、そんなサクソフォンを含むようなアレンジ書いていたっけ?などと思い探してみたところ、こんな解説動画を見つけた。

それによれば、2010年に、セントラル愛知交響楽団によりJ.S.バッハ/野平一郎編「ゴルトベルク変奏曲」が三井住友海上しらかわホールにおいて初演されたとのことだ。そして、解説映像・演奏映像を見る限り、ソプラノサクソフォンとアルトサクソフォンがオーケストラの中に座っているようだ。この2010年の映像の中に座っているのが瀧さんなのだろうか?

解説動画前半では、Variation 7について触れられている。ソプラノサクソフォンとアルトサクソフォンが極めて目立つ形で使われているそうだ。他にも面白い仕掛けが多数あるようで、これはぜひ全編をどこかで聴いてみたいな、と思うのだった。



Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~(後半)

昨日の記事の続き。

後半は、オーボエの荒木奏美氏の演奏から。まだ芸大の3年生だというが、さすが基本的な奏法はさすがにしっかりしている。それにしても、オーボエって難しい楽器ですね。一瞬の迷いや不確実性が、すべて音になって反映されるのだ。ちょっと垢ぬけなさが残りつつも、カリヴォダを始めとして歌心ある演奏が心地よかった。音色の美しさも、さすがである。

そして、トリは中島諒さん。ギター、クラリネット、サクソフォンと渡り歩いてくると、サクソフォンが舞台へと登場した瞬間に、場の空気が変わる。良く言えば、見た目にも華やぐ絢爛さがあるが、悪く言えばクラシックの中で色物を見るような会場の聴衆の目を感じる。そういった奇異な視線のなかで、まず演奏されたのはクリスチャン・ロバの「Kabuki」。中島さんの第4回ロンデックスコンクールでの演奏は、ロバ氏自身から絶賛された(下記動画)。ゆるんだ空気を凛とさせるような無伴奏の演奏だった。若干の"良い"ノイズが入った響きは美しく、また中間部の見事なテクニックも素晴らしい。



続いて野平一郎「アラベスクIII」が演奏され、最後はデザンクロの「PCF」。自身のやりたいことをそのまま表出させたような演奏で、なんだか感動して軽く涙してしまった。仮にコンクールという場であったらなかなか受け入れられないかもしれないが、自由闊達で何にも捕らわれない(もちろん基本的な部分はすべてクリアしたうえで)演奏は、尋常ならざる印象を残すのであった。

終演は21:30ちょっと前。素敵な余韻を感じつつ、このあと蒲田へと移動し、個人練習のためにスタジオに籠ったのだった(24:00まで練習し、さすがに疲れた)。

2014/12/25

Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~(前半)

聴いたのは二週間も前になるが、ずっと感想が先送りになっていた。

サクソフォンの中島君にご案内いただいて伺ったのだが、非常に面白いコンサートであった。二回に分けて紹介する。

【Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~】
出演:マルコ・トプチー(ギター)、田中香織(クラリネット)、荒木奏美(オーボエ)、中島諒(サクソフォン)、仲地朋子、宇根美沙恵、秋山友貴(以上ピアノ)
日時:2014年12月11日(木)19:00開演
会場:ヤマハホール
料金:2000円
プログラム:
マルコ・トプチー(ギター)
F.タレガ/ヴェニスの謝肉祭
F.タレガ/アルハンブラの思い出
M.カステルヌオーヴォ=テデスコ/悪魔の奇想曲 Op.85
田中香織(クラリネット)
J.フランセ/主題と変奏
J.ヴィトマン/5つの断章
C.ドビュッシー/クラリネットのための第1狂詩曲
荒木奏美(オーボエ)
G.Ph.テレマン/無伴奏フルートのための12の幻想曲より
R.シューマン/アダージョとアレグロ Op.70
J.W.カリヴォダ/オーボエとピアノのためのサロンの小品 Op.228
中島 諒(サクソフォン)
C.ローバ/KABUKI
野平一郎/アラベスク Ⅲ
A.デザンクロ/前奏曲、カデンツァと終曲

演奏会は"新星"とのタイトルながら、前半の2名はもはや垢ぬけて独奏者としての貫録を湛えている演奏家だなと感じた。

ギターのトプチー氏…クラシックギターのことはあまり良くわからないのだが、見事なテクニックやフレージング感、なによりも音色の絶妙な変化に感動した。音量は控えめだが、この規模のホールで耳をそばだてて聴く、というのも、逆に集中力を助長するような効果もあるのかなと思った。テデスコの「悪魔の奇想曲」は、とんでもない曲で、聞くところによればパガニーニを讃えた作品なのだとか。随所に現れる技巧フレーズをばったばったと切りさばいていく様子がすさまじかった。

田中香織氏は、もしかしたらこの演奏会の白眉だったかもしれない。2009年第78回日本音楽コンクール1位受賞とは、またすごい。国立音楽大学を経てバーゼル音楽院へ渡り、長きにわたってスイスで活躍していた奏者。2014年より活動拠点を日本に移したそうだ。フランセの、人を喰ったような難曲、そしてピアノの内部奏法や現代奏法を駆使するヴィトマンの作品は、実に素晴らしく、こんな奏者がいるのか…!という驚きを隠せなかった。ドビュッシーは意外とふつうに聴こえたのだが、もしかしたらヴィトマンの演奏でピアノの調律が狂っていたせいなのか…(笑)。田中氏の演奏は、ぜひまた通しのリサイタルで聴いてみたいと思うのだった。

(続く)

2014/12/23

22日から23日

TSQ Vol.6演奏会の次の日、22日は平日だったがさすがに仕事はお休みをいただいた。昼頃から名古屋へ。きしめん→熱田神宮→味噌カツのち、夜は東名高速サックスのみなさんと前夜祭をご一緒させていただいた(演奏会前日のお忙しいところありがとうございました!)。

明けて23日は、コンパル(喫茶店)→買い物→ひつまぶし後、東名高速サックスの演奏会@ドルチェ楽器名古屋へ。名古屋のお友達の皆様にも久々にお会いでき、また、それぞれの素晴らしい!演奏も堪能した。後ろ髪を引かれつつ二部終わり後にで退出し、新幹線に飛び乗ってドルチェ楽器東京へ。BASUYAのライヴを楽しんだ。これもまた面白いこと!

それぞれの演奏会の詳細なレビューは、後日書く予定。いろいろと溜まっているので、順番に…。

2014/12/22

TSQ Vol.6終演

Tsukuba Saxophone Quartetの演奏会Vol.6が終演。大変なプログラムだったが、TSQならではのサウンドや、曲の良さは、何とか伝わったかなあ。お越しいただいた皆様(来場者数152名/200席)、お手伝いいただいた皆様、ありがとうございました。あと、メンバーの皆にも感謝。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ - トルメンタ・タンゴ
木山光 - ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 - シャコンヌ
D.マスランカ - レシテーション・ブック
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーゾ(アンコール)
村松崇継/浅利真 - 彼方の光(アンコール)

2014/12/20

演奏会案内:TsukubaSQ Vol.6

ついに明日となりました。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

12/21 TSQ演奏会の曲目について(アルマンド・ルンバ)

チック・コリアの名アルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」に収録された、変奏曲風?ブルース風?の作品。

オリジナルはピアノ、ヴァイオリン、ベース、クラッピングという編成。2013年に松下洋氏から旭井翔一さんに対して編曲委嘱、アルトサクソフォンとバリトンサクソフォンのためのアレンジが生み出された。

このアレンジは、松下くんがPEDROSAXOを日本に招聘した際の、デュオ・リサイタルで初演された。PEDROSAXOの自作自演の強烈さに対抗するにはチック・コリア!と考えたことがきっかけになり、松下くんから旭井さんへの委嘱が行われたとのこと。「アルマンド・ルンバ」の他にも「チルドレンズ・ソング」などいくつかの作品が演奏され、同リサイタルにおいては、松下くんが手掛けたチック・コリアのステージもPEDROSAXO以上に鮮烈、大変な感銘を受けたことをよく覚えている。名古屋公演では瀧彬友さん、横浜公演では塩塚純くんがバリトン・サクソフォンをそれぞれ担当した。横浜公演の時の動画が、YouTubeにて公開されている。



このアレンジは四重奏でもマッチしそうだ…と思い、アレンジができないか旭井さんにご相談、再編曲をお願いした次第。四重奏編曲版の初演となる。"Tsukuba Saxophone Quartetのために書かれた作品(アレンジ)"ということになるのだが、なんだか嬉しいですね。先日の練習では旭井さんに聴いてもらった。

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ということで、これで演奏予定曲の紹介も完了。明日(というかもう今日か)は、一日練習で日曜日の本番に備える。チケットあと30枚強出すことができそうな雰囲気。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

2014/12/19

12/21 TSQ演奏会の曲目について(トルメンタ・タンゴ)

仕事が佳境、というか、スクランブル体勢で、忙しいことこの上ない。火曜日の山下さんのリサイタルも、木曜日のクローバーも行けずじまいだった。。。

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アウレリア・サクソフォン四重奏団のアルバム「tangon(Challenge Classics)」は、現代の作曲家たちの手によるタンゴを集めたアルバムである。このアルバムに収録された曲の多くはサクソフォン四重奏+ピアノ+バンドネオンという編成で演奏されているのだが、その中で唯一サクソフォン四重奏のみの編成の曲がこの「トルメンタ・タンゴ」である。CDを聴いて、これは!と思って楽譜を探す、というのは、良くあるパターン。

作曲家のJuan Luis del Tiloに関する情報も、作品自体に関する情報も、皆無。なのであまり書けることがないのだが、とにかくカッコいい作品であることは間違いがない。サクソフォンならではの特殊奏法も交えた、濃密な5分間の音楽である。2014年6月28日、第5回サクソフォン交流会においてTsukuba Saxophone Quartetが日本初演。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

2014/12/18

12/21 TSQ演奏会の曲目について(ハデヴィッヒ2)

作曲の木山光氏は、東京音楽大学、ブリュッセル王立音楽院を経て、アントワープ王立音楽院のディプロムを修了し、現在はヨーロッパで活躍する作曲家。作風としては、楽器の限界レベルでの極端な大音量、走句、同音連打、ノイズ、特殊奏法などが多用されている。私自身は、その中でも緻密な音の選び方がされているところに、木山氏のアイデンティティがあると考えている。最近発表された「?????」という作品は、トーンクラスター的ノイズ風の部分と、調整のある部分の混在が面白く聴かれる。

「ハデヴィッヒII」は、2012年、第1回洗足現代音楽作曲コンクール・サクソフォン作品部門に応募するために作曲された。同コンクールでは、聴衆賞を獲得している。

パワーに圧倒される作品なのだが、楽譜を眺めると、非常に細部まで綿密に書かれたスコアであることが印象深い。だがしかし作曲者が求める響きは楽譜の注釈にもあるとおり「This piece need noisy tone. And this piece is not so colled comtemporary musc, this is noise Jazz - Rock music.」「Composer wants to produce as fast as possible & as loud as possible like Free Jazz - Rock improvisation」とされており、精密な現代音楽の表現とはかけ離れたものである。そのギャップが実に面白い。かの中川俊郎氏は「音楽の枠組みの向こう側、ゾッとする「彼岸」を覗こうとする探求心を見る(第6回JFC作曲賞本選に選出された「ハデヴィッヒ1」の評より)」と表現した。オプションでPAの使用によって120dbへのアンプリファイが推奨されている。

タイトルのハデヴィッヒ(ハデウェイヒ)とは、13世紀の女流詩人であり、神秘主義者である。ブリュノ・デュモン監督が、2009年にそのハデヴィッヒを題材に作り出した映画を観た作曲者が「その映画のBGMが気に入らなかったので作ってみた」とのこと。映画のストーリーとコンセプトは下記のようなものである。

修道院で生活するセリーヌは、13世紀フランドル地方のキリスト教神秘主義的詩人ハデウェイヒに傾倒し、激しく感化され、その盲目的な信仰心ゆえに修道院を追われる。パリの大邸宅に戻るが、裕福な家庭で、やり場のない気持ちをもてあました彼女は、イスラーム系のふたりの男性ヤシーヌとナシールと出会う。やがてセリーヌは神への情熱的で倒錯的な愛に駆られ、恩寵と狂気のはざまで、危険な道へと導かれてゆく。

監督の出身地方であるフランドルに実在した13世紀のキリスト教神秘主義的詩人ハデウェイヒの化身の如き少女、セリーヌ(ジュリー・ソコロフスキ)の盲目的な信仰心故のキリストへの一途な愛と、イスラム系青年との出会いを通じて、テロリズムの世界へと足を踏み入れて行く脆弱さ、宗教の現代性と普遍的な“愛”と“暴力”が同居してしまう人間存在のリアリティを、シンプルながら力強く、美しい映像で描いた。

公式予告編


木山氏が言うBGMとは、この場面のことかな?


最初この作品を取り上げようと思ったきっかけは、コンサートのコンセプト「聖と俗」の"俗"に沿った作品を探していたことがきっかけだった。メタルかファンクか、というような激しさに感銘を受け、第一部"俗"の最終曲としてこの作品を取り上げることになったのだが、まさかこのような(キリスト教的な要素を含む)経緯で作られているとは知らなかった、というか、むしろよりそのコンセプトに沿った作品であるというあたりが面白い。修道院を追われ、普通の世界へと足を踏み入れることは、聖と俗の境界を描き出しているということにほかならず、チラシにしたテッツィアーノ「聖なる愛と俗なる愛」)の聖と俗が混ざり合うその狭間に位置する作品だと言えるのだ。第一部"俗"の最後に演奏する曲として、これ以上良い作品はないだろう。

最初のころは、演奏技術的に全く追いつかず、個人ごとに練習してようやく作品が求めるところまでたどり着いた。目的のために手段を鍛錬する、という時にこそ、演奏技術は上がっていくのだと思う。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

2014/12/17

12/21 TSQ演奏会の曲目について(シャコンヌ)

ご存知のとおり、ヨハン・ゼバスチャン・バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」の終曲"シャコンヌ"を康英先生(伊藤康英氏のこと、大学時代に所属していた吹奏楽団は伊藤康英先生と縁が深かったため、今でもこんな呼び方をしている)がサクソフォン四重奏のために再構成したアレンジである。雲井雅人サックス四重奏団の第4回定期演奏会に合わせて書かれ、2005年9月29日に津田ホールで初演。私もその初演を聴いた。

康英先生は、かつてバッハ「シャコンヌ」のフェルッチョ・ブゾーニによるピアノ版を吹奏楽用にアレンジしている。全曲ではないのだが、トロンボーンの和音から始まるアプローチが印象的で、吹奏楽ならではの色彩感を見事に活用したスコアが素晴らしいのだ。最近、再発売となった。

J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」(吹奏楽編)

サクソフォン四重奏版も、特に明記されてはいないもののブゾーニ版をベースに再構築したのは明らかである。ところで、私はかつて、「The SAX」誌上の"私が選ぶサクソフォン四重奏曲の傑作"という企画において、グラズノフ、デザンクロ、クセナキス、マスランカとともに、敢えてアレンジ作品であるこの作品を選んで入れた。いや、本当に、オリジナルとしてサクソフォン四重奏のために書かれた、と言ってしまいたいほどの魅力に溢れている。"作曲"とほぼ同レベルの創造作業を経たスコアと言えるだろう。さすが康英先生!!

雲井雅人サックス四重奏団の定期演奏会での演奏は、それはそれは素晴らしいものだった。その演奏は、雲井雅人氏のSoundCloudページに掲載されているので、ぜひ一度お聴きいただきたい。

その演奏を聴いたとき、アレンジの素晴らしさにも感激してしまい、ぜひ演奏したい、というようなことを、来場していた康英先生と話した(そういえば、この時杉森さんにも会ったんだよな)。ちょうど四重奏のレパートリーを探していた時期にぶつかったりで、2005年10月3日には康英先生に宛てて出版依頼メールを送っている。楽譜の準備が整ったのは2006年の4月である。

その後すぐに楽譜を購入したのだが、あまりの難しさに、ずっと(5年間も!)取り上げられないでいた。ようやく練習を開始できたのが2010年、その後、2010年9月のカット版(Major Keyの変奏をまるっとカット)の演奏、2011年2月協会コンクール提出用の録音(Major Key開始の直前まで)を経、2011年3月21日の日本サクソフォーン協会第8回アンサンブルコンクールの演奏に向けて全曲の練習を続けていたが、コンクールは中止となった。初めて全部演奏できたのは、2011年5月22日の演奏会。そこまで出版から実に5年以上を経ており、感慨深かった。2012年7月には、世界サクソフォン・コングレス(イギリス・スコットランド)において演奏。さらにさらに2年以上を経ての今回の再演となる。

そういえば、版元のIto Musicや、ブレーンミュージックの通販サイトには、Tsukuba Saxophone Quartetの演奏映像(2011年の演奏会)が、参考演奏として掲載されているのだ。嬉しいことである。

雲井雅人サックス四重奏団以来、あまり取り上げる団体はなかったのだが、最近はSaxaccordや、Quatuor Bといったプロフェッショナルの団体が取り上げたり、また、音楽大学の学生も取り上げていると伝え聞く。この素晴らしいアレンジが徐々に拡がりつつある実感があり、これまで何度も取り上げてきた身として、嬉しさを感じる。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

小田桐工房訪問

演奏会前恒例の、小田桐工房訪問。日曜の練習後、そのまま伺った。1時間ほどで非常に良い形に調整いただき、あとは奏者側の問題しか残らないだろいうレベルとなった。いやはや、毎度のことながら素晴らしい(いつもありがとうございます)。来年のイベントがひと段落したら、そろそろオーバーホールも出したいなあ。

今日(というか昨日)は、21:00の終業後、個人練習のためにスタジオに籠っていたのだが、上から下までバランス良く鳴るため、吹くのがとても楽しかった。

2014/12/15

12/21 TSQ演奏会の曲目について(レシテーション・ブック)

12/21のTsukuba Saxophone Quartet演奏会の曲目について、徒然と紹介していく。

最初はディヴィッド・マスランカ氏作曲の「レシテーション・ブック」。取り上げるのは5回目となる(TSQ Vol.1、TSQ Vol.3、マスランカ来日マスタークラス、サクソフォン交流会)。全曲を演奏するのは2回目。おそらくアマチュアでこの作品に取り組んだのは、Tsukuba Saxophone Quartetが最初ではないかな、と思っているのだが、どうなんだろう。

そもそも取り上げようと思ったきっかけは、2007年の雲井雅人サックス四重奏団の定期演奏会で同作品の日本初演を聴いたのがきっかけである。その時のブログ記事を読み返してみた。

…「レシテーション・ブック」、作品・演奏とも、想像をはるかに超えた強靭さと、美しさを兼ね備えたものだった。ホールの中に凄いことが起こったのは覚えているのだけれど、あれはいったい何だったんだろうか。究極の慰めの表情から、天地がひっくり返って世界が終わってしまうのではないかというような狂気の渦、そして昇華。本当の音楽は、私たちを日常から切り離し、はるか彼方へ連れ去ってしまうのだな、と実感した瞬間。

なんとか文字で表そうと書いてはみたものの、こういった"言葉"を鼻の先で吹き飛ばすような作品であることは間違いない。吹くほうも大変だが、聴くほうも大変。まったく、凄まじい作品だ。キリスト教的世界観をベースにした作品で、私自身は"宗教"というものに深く関わったことはないのだが、人間的な世界を超越した響きを感じ取ることができる。

以前、同曲内に出現するメロディについて調べてみたこともある。

http://kurisaxo.blogspot.jp/2008/01/blog-post_31.html
http://kurisaxo.blogspot.jp/2009/02/blog-post_13.html
http://kurisaxo.blogspot.jp/2009/03/blog-post_8989.html

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com
詳細:http://www.tsukubasq.com

2014/12/14

TSQコンサートまであと一週間

先週木曜のコンサートのこととか、書きたいことがたまっているのだが、後日に回す。どうも忙しくなってきて、余裕がない。

今日は一日合わせ練習だった。編曲者の旭井さんに来てもらって「アルマンド・ルンバ」を聴いてもらいアドバイスいただいたほか、通し練習も行って、体力配分や落とし穴の確認をした。ここまで来ると、練習のほうは選択と集中が重要になってきて、それ以外では体調管理を筆頭に気をつけなければいけないことが多い。

ということであと一週間。

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com

2014/12/11

レオポール・ベラン国際音楽コンクールの録画

小澤瑠衣さんのfbウォールで知ったのだが、レオポール・ベラン国際音楽コンクールの公式YouTube録画、なんてものがあるようだ。レオポール・ベラン国際音楽コンクールといえば、良くフランス留学経験のある奏者のプロフィール欄でその名前を耳にするコンクールだが、動画をアップしているとは寡聞にして知らなかった。

https://www.youtube.com/channel/UCW2Exfw3G1F4ETbFpudwEcA

サクソフォン関連も、小澤瑠衣さんの演奏動画他いくつかアップされており、なかなか楽しい。動画タイトルには何かの賞の名前が書いてあるようだが、うまく日本語には訳すことができない。

Rui OZAWA
W.Albright - Sonata


Guillaume BERCEAU
L.Berio - Sequenza VIIb
A.I.Khachaturian - Violin Concert Mov.1


Eudes BERNSTEIN
E.Denisov - Sonata
(?) ムスティクス・エチュードのような、そうでないような


Quatuor INFINITES (Anna TAKAKU, Tomotaka NOHARA, Mei YAMASAKI, Kento Motegi)
E.Bozza - Andante et Scherzo
C.Pascal - Quatuor


と、いろいろ観たのだが、際立ってインスピレーションを受けたのはこれ。シンセサイザー、リードホーン、そしてなんとボイスパーカッションによるジャズ。最後には「ギリシャ組曲」まで登場し、面白いことこの上ない。

2014/12/10

TsukubaSQ事前会場リハ

終業後、ルーテル市ヶ谷へと移動し、12/21のTsukuba Saxophone Quartetのリハーサルを行った。2時間10000円パックというものがあり、事前に会場で音を確認できるならと調整して集まったのだ。

ホールの特性がかなりわかったのは収穫であった。それなりに落ち着いた響きがすることは良く知っていたが、ステージ上でやっていることがそのまますべて客席に聴こえる=ブレスノイズもキイノイズもすべて客席に飛んでいく、という、厄介な特性を把握することができた。当日リハだけで臨んでいたら、慌ててしまったことだろう。残された練習は少ないが、ホールの特性を念頭に置いてうまく練習を進めていきたい。

チケットは、200枚中145枚ほど売れた。残り55枚!

【Tsukuba Saxophone Quartet – Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 – アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ – トルメンタ・タンゴ
木山光 – ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 – シャコンヌ
D.マスランカ – レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com

ホールの内観。上手袖にクリスマスツリーが飾られていた。

2014/12/09

演奏会情報:Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~

中島諒さんからいただいた演奏会情報。

https://www.yamahaginza.com/public/seminar/view/1629

近年のコンクール入賞者によるガラ・コンサートといった趣き。

マルコ・トプチー(ギター)→第56回東京国際ギターコンクールで優勝
田中香織(クラリネット)→ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクール2014第2位
荒木奏美(オーボエ)→第31回日本管打楽器コンクールオーボエ部門第2位
中島諒→第31回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第1位を受賞

何といってもサクソフォン的注目は、中島諒さんの演奏である。作曲者であるクリスチャン・ロバ氏自身にロンデックスコンクールの演奏が絶賛されたソプラノの無伴奏曲「Kabuki」、そして、管打楽器コンクールの二次で聴衆を圧倒した野平一郎「アラベスク3」には要注目。また、中島さんがこれまでに何度も取り上げているであろうデザンクロ「PCF」の演奏も楽しみだ。

ということで、私自身も伺う予定。仕事が最近急に忙しくなってきたのだが、だいぶ前からご案内いただいていた関係もあり、何とか調整できそうだ。

【Rising Artists Concert Vol.5~コンクールを制した新星たち~】
出演:マルコ・トプチー(ギター)、田中香織(クラリネット)、荒木奏美(オーボエ)、中島諒(サクソフォン)、仲地朋子、宇根美沙恵、秋山友貴(以上ピアノ)
日時:2014年12月11日(木)19:00開演
会場:ヤマハホール
料金:2000円
プログラム:
マルコ・トプチー(ギター)
M.カステルヌオーヴォ=テデスコ/悪魔の奇想曲 Op.85
F.タレガ/ヴェニスの謝肉祭
F.タレガ/アルハンブラの思い出
田中香織(クラリネット)
J.フランセ/主題と変奏
J.ヴィトマン/5つの断章
C.ドビュッシー/クラリネットのための第1狂詩曲
荒木奏美(オーボエ)
G.Ph.テレマン/無伴奏フルートのための12の幻想曲より
R.シューマン/アダージョとアレグロ Op.70
J.W.カリヴォダ/オーボエとピアノのためのサロンの小品 Op.228
中島 諒(サクソフォン)
C.ローバ/KABUKI
野平一郎/アラベスク Ⅲ
A.デザンクロ/前奏曲、カデンツァと終曲

チラシは下記リンクより参照いただきたい(PDF)。
https://www.yamahaginza.com/static/upload/www.yamahaginza.com/file/8612/1211LEEF.pdf

2014/12/08

TSQの練習

日曜日は、一日練馬でTsukuba Saxophone Quartetの練習。ほぼすべての曲を確認しながら進めていった。細かい部分の指回りは、数か所を除いて、あとは個人で詰めていく段階まで来ている。完璧だなんてありえないのだから、どこまで、どのように完璧になるようにアプローチするかが勘所である。

和声の確認は、次回練習でもう少しやることにしよう…。

あと2週間を切った!

【Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ - トルメンタ・タンゴ
木山光 - ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 - シャコンヌ
D.マスランカ - レシテーション・ブック
問い合わせ:
info@tsukubasq.com

チケットの売れ行き・予約もようやくそれなりの枚数まで到達。今のところ200席中140席まで売れている。いらしていただける方、ぜひ事前にご連絡いただけると嬉しいです!

ビジネスクラスサクソフォンアンサンブル2014

今回のビジネスクラスサクソフォンアンサンブル(以下BCSE)の演奏会、コンセプトは"Dance"。なんとゲストに、アマキオトというダンスのグループを迎え、櫛田作品で共演するというアイディアを実現してしまったというから、驚いた!

【Business Class Saxophone Ensemble Concert】
出演:Business Class Saxophone Ensemble、アマキオト(dance)
日時:2014年12月6日(土曜)15:00開演
会場:小松川さくらホール
プログラム:
A.ピアソラ/黒川圭一 - ブエノスアイレスの春
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーゾ
M.ラヴェル - 亡き王女のためのパヴァーヌ
B.バルトーク/黒川圭一 - ルーマニア民族舞曲
櫛田胅之扶 - 万葉
R.シュトラウス/宇田川不二夫 - 楽劇「サロメ」より7つのヴェールの踊り
S.プロコフィエフ/宇田川不二夫 - バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より
M.ラヴェル - ボレロ(アンコール)

小松川さくらホールは、第2回&第3回のサクソフォン交流会で使用したため、打ち合わせを含めれば5回目くらいの訪問となる。ちょっと駅から遠いのが難点だが、音響は意外なほどに良いのだ。

前半は、4重奏~6重奏での演奏。ダンスをテーマにしたコンサートで、ラヴェルのパヴァーヌとは意表を突く選曲だったが、ラヴェル自身の言によればこの曲は「昔、スペインの宮廷で小さな王女が踊ったようなパヴァーヌ」とのことだから、ぴったりだ。各メンバーの地力の高さはさすがで(ピアソラやエスケシュは、音符がかなり細かいが、見事に切り抜けていた)、その中でも特にやはりいつもながら凄いなあと思う部分は、音色が美しいことである。

後半1曲目で、BCSEの4重奏と、ダンスグループ・アマキオトとの共演。どのような経緯でこのグループとのコラボレーションが実現したのかはわからないが、面白い効果を出していた。なんとなくダンスにはストーリーがあったように見え、それは「万葉」の各楽章に添えられた短歌とは関係は独立した内容と思われた。どういった着想を経てあのダンスの振り付けがなされたのか、興味あるところだ。最後に2曲置かれた8重奏は、さすが、である。特に、シュトラウス作品の演奏に感銘を受けた。難易度の高いスコアをうまくまとめており、かなり前から8重奏に積極的に取り組んできたBCSEならではの演奏だ、と思ったのだった。

2014/12/06

SAX14の動画(協奏曲)

先日までオランダで開かれていたSAX14というサクソフォンフェスティバルの、コンチェルト・コンサートの動画がYouTubeに上がっていた。オランダのクラシック専門チャンネルRadio4NLアカウントへのアップロードであり、どうやら公式の動画のようだ。それにしてもこのプログラムとこの出演者!なんと豪華なコンサートだろうか。特に最後のボーンカンプ氏の演奏は、鮮烈そのもの、である。

Milhaud - La création du monde (saxo: Niels Bijl)
Martin - Ballade (saxo: Claude Delangle)
Bizet - L’Arlésienne Suite (saxo: Niels Bijl)
Baez - L'Arlésienne Fantasy Concerto (saxo: Arno Bornkamp)

2014年11月21の録画とのこと。Bas Wiegers指揮、Nederlands Kamerorkestとの共演。これはライヴで観てみたかった。



ちなみに、私の環境依存ではないと思うのだが、ビゼー以降音が途切れ途切れになってしまい、後半は楽しく鑑賞できる、というレベルではない。演奏が素晴らしいだけに残念。

修正版がアップされました。

2014/12/04

サクソフォン交流会事務局の打ち合わせ

昨日は、新宿にて、サクソフォン交流会事務局の打ち合わせ。平日にもかかわらず今回は7人参加。現在のところ進捗では大きな問題は出ておらず、全体合奏や企画ステージについて詰めた。決めることはまだまだ多い。2時間半ほど話して、22:30少し前まで。

打ち合わせ後は、春日亭で油そばを食す。安定の美味しさ。

帰りの電車の中では、将来のアイディアについてTさんといろいろ盛り上がってしまった。

2014/12/02

プロースト交響楽団第20回定期演奏会

お知り合いが何人か参加されているということでご案内いただき、伺った。ミューザ川崎シンフォニーホールは初めて入ったのだが、2階席より上側がなんだか凄い構造でびっくり。驚いたことに2000席ほどのホールが満席で、開演15分前に飛び込んだところなかなか席が見つからず、結局下手ステージ入口の真上からのぞき込むような場所に構えて開演を待った。

【プロースト交響楽団第20回定期演奏会】
出演:大井剛史指揮プロースト交響楽団、馬原裕子(sop)、富岡明子(alt) 、小原啓楼(ten)、浅井隆仁(bar)、日本フィルハーモニー協会合唱団
日時:2014年11月30日(日曜)14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
プログラム:
A.ドヴォルザーク - 交響詩「金の紡ぎ車」
L.v.ベートーヴェン - 交響曲第9番「合唱付」

素晴らしい演奏であった。普段あまりオーケストラは聴かないのだが、時折アマチュアのオーケストラを耳にすると、弦楽器の高音の音程のばらつきが気になったり、管がいまいち低調だったりと感じるのだが、このオーケストラからはそんなことを全く感じない…どころか、集中力やアンサンブルという点で、相当な高いレベルに踏み込んでいると感じた。子音が良く立ち、発音がはっきりしているのは、今回指揮者の大井氏(TKWOの正指揮者でもある)の音楽づくりによるところも大きいのだろうか。お知り合いが乗っている木管セクションの仕事は、アマチュアらしからぬ素晴らしいもので、シンプルなフレーズの連続だけに普段から基音を磨いている、そんなところが窺えた。

ドヴォルザークも美音や流麗な音楽性で魅せたが、やはりというか何というか、ベートーヴェンでの気合いの入りっぷりは凄まじかった。交響曲の「金字塔」とも言える作品を、このような演奏で聴くことができ、嬉しかった。

それにしても、こうやって聴くと「第九」の特殊性というか、異常性が良くわかる。交響曲なのに、こと、第4楽章は形式が意味不明!冒頭って、楽章回想が入るロンド形式(主題は中低弦のレチタティーヴォ)だと思っていたのだが、なんか違うのね(´・ω・`)独唱あり、大合唱あり、声楽アンサンブルあり、器楽と声楽のアンサンブルあり、そして歌詞も人類愛を高らかに歌い上げて、最後は爆速で終わる…という。初演を聴いた当時の人たちは、この曲から何を感じ取ったのだろうか。

ミューザ川崎シンフォニーホール外観。

2014/12/01

海老原恭平サクソフォンリサイタル~Rhythmic Melody~

柏での、エビちゃんこと海老原恭平さんのリサイタル。つくばカピオ、赤坂のカーサクラシカなど、何度か自主演奏会を聴いているが、取り上げられるプログラム、そして自由闊達な演奏が魅力的で、ついつい足を運んでしまうのだ。今回も、期待に違わぬ、実に楽しい時間だった!

【海老原恭平サクソフォンリサイタル~Rhythmic Melody~】
出演:海老原恭平(sax)、田代あかり(pf)、田村拓也(perc)
日時:2014年11月29日 19:15開演
会場:アミュゼ柏クリスタルホール
プログラム:
Russell Peterson - Duo for Saxophone and Percussion
Pedro Iturralde - Suite hellenique
→Pia-no-jaC← - 組曲『 』
JacobTV - Garden of Love
旭井翔一 - Jazz SonataよりAzure Skies, A small adventure in the summer
Graham Fitkin - Hard Fairy

開演の少し前にチラシ挟み込みに伺おうと、柏駅に到着し東口を出ると、地元候補の応援に安倍晋三首相が来ており、駅前広場が大混雑。びっくりした。

まずはプログラムの特異性(笑)について少々述べる。おそらく海老原さんの趣味による選曲なのだと思うが、この魅力的な内容!コンセプトである"Rhythmic Melody"とは、良く言ったものだ。クラシックでありながら、ポピュラーミュージックや、ジャズからの影響を受けた作品群は、私も大好きなものだ。ラッセル・ピーターソンは、アメリカのサクソフォン奏者・作曲家。サクソフォン奏者観点でとにかく「カッコいい」曲をばんばん世に送り出しており、最近ではサクソフォン、フルート、ピアノのための「トリオ」が流行っている。サクソフォンとパーカッションの「デュオ」は、Cajónを使うなどバラエティに富んだ楽章構成が魅力だ。JacobTVの「Garden of Love」は、言わずと知れた名曲で、現代風のサウンドの中に、ウィリアム・ブレイクの詩が紛れ込んでいるという異色さが楽しい。もっともっと皆が演奏するようになっても良い曲!こういった場所で、高校生くらいの観客のみなさんが多いなかで聴かせてしまうのも、また面白い。

旭井さんの「Jazz Sonata」は、海老原さんの委嘱作品なのだが、徐々に取り上げるプレイヤーが多くなりつつあり、これからさらに流行るのではと思う。松下洋さん、最近では大城正司先生も取り上げている。そして「Hard Fairy」!作曲家のグラハム・フィトキンは、イギリス出身のキーボード奏者だが、物凄く厚い和音を武器に独特の作品を世に送り出している。ソプラノサクソフォンと2台ピアノのための作品で、とにかくカッコいい作品。編成の特殊性から演奏機会は少ないが、今回はなんとマリンバで2台目のピアノを担当するというアイディアが面白かった。

ということで、プログラミングの時点で大興奮してしまい、あまり冷静に聴けていないのだが、どの演奏も強く印象に残った。ピーターソン作品は、ソプラノの、最初の空気を切り裂くようなストレートな音で一気にアピールし、Cajónとのアンサンブルも上々で、のっけから観客を惹きつけた。パーカッションの田村さんは、つくばカピオではマリンバしか演奏していなかったのだが、皮モノもこんなに自在に操るとは…と驚いた。イトゥラルデでは、第2楽章でブイブイ即興を取り…海老原さんはソプラノが本当に似合う。ジャズが大好き(なのだとおもう)なあかりさんのピアノも、イトゥラルデ新解釈、という雰囲気が楽しかった。そして、まさかの→Pia-no-jaC←の「組曲『 』」を、ピアノとパーカッションで。まさかここで聴けるとは(笑)

後半は「Garden of Love」から。スピーカーの遠さもあり、さすがにアンサンブルには難儀している様子が窺えたが、曲の特殊性はきっちりと観客に伝わっていたと思う。旭井さんの「Jazz Sonata」は、初演以来聴いたが、時間を経たこともあってか、充実した演奏となっていた。やはり名曲ですね。「Jazz」を謳っているが、美しく、なんだか「Lessons of the Sky」を思い出してしまう。最後の「Hard Fairy」は、メイン曲だけあってとにかく演奏はこの日の白眉、であった。原曲を良く知っているせいで、意外と面白い効果が現れるところが多いことに気づき、なんだかこの曲の新たな側面を見る思いだった。

アンコールは、旭井さん作の小品と、モンティの「チャルダーシュ」。いやはや、楽しい時間であった。打ち上げも参加させていたいた(ありがとうございました)。

次はどんな企画で魅せてくれるのか、楽しみである。