2014/10/30

上野耕平「アドルフに告ぐ」

アドルフ・サックス・イヤーということもあってか、最近サクソフォンのCDが数多く発売されており、まだ購入も追いついていないような状態なのだが、きちんと一枚一枚レビューしていきたい。

前回の管打楽器コンクールにて、史上最年少の第1位ならびに大賞を得た上野耕平氏。まだ記事執筆時点で東京芸術大学の4年次在学中とのことだが、様々な方面での活躍を見ると、ほぼ間違いなく今後の日本のサクソフォン界を背負う人物の一人となっていくのだろうな、という思いを強くする。

私がこれまで上野耕平氏の演奏を聴いて最も印象に残っているのは、2012年、セント・アンドルーズ大学のバイル・シアターで聴いた「ウズメの踊り」の演奏である。王立北部音楽院吹奏楽団とともに、驚異的な集中力で演奏されたあの演奏と、世界中の奏者から向けられた喝采。今もあの興奮をまざまざと思い出す。あの当時、彼はまだ大学2年生だったはず。



上野耕平氏に対する評として、時折耳にするのは「須川氏と似通っている」というような評だが、私はその言葉は勘違いも甚だしいと思う。どうも上野氏の師匠が須川氏であることから、そのような変な誤解が生まれることになっているのだと思うが、実際の演奏や音色は、まったく違うものだ。その演奏を端的に表すならば、まさに新世代というもので、これまで日本のサクソフォンがプラス、プラス、プラスの積み重ねで発展してきたところに、断絶をひとつ差し込んで提示されたような演奏だ、と思う。澄み切った音色、音楽性、高いテクニック(いちばん好きなのは、超高速のフレーズの隅々まで"うた"があることだ!)は、聴いていて実に魅力的なものである。

【アドルフに告ぐ】
上野耕平(サクソフォン)
佐野隆哉(ピアノ)
吉松隆 - ファジイバード・ソナタ
アルフレッド・リード - バラッド
ポール・モーリス - プロヴァンスの風景
ポール・クレストン - ソナタ
ユレ・ドゥメルスマン - ファンタジー

選曲はとてもスタンダード。ごまかしが効かないぶん、奏者の実力がさらけ出される。どの曲においても、焦点がぴたりと合ったレンズをのぞき込むような、見通しの良さがあると感じた。曖昧な部分をいっさい残さず、しかしそれがまったく"もたつき"へとつながらず、スタイリッシュなスポーツカーのように切り抜けていく様が実に心地よい。この選曲に対し、なんと見事な演奏だろうか。最後に「ファンタジー」が置かれたのは意外だったが、聴いてみるとわかる(笑)こりゃすごいや!

あまり評云々の意味はなく、つべこべ言わず聴いてみてください、としか言えない。Amazonでも取り扱っている→アドルフに告ぐ

2014/10/29

6th Dinant Competition (2014): 一次予選スケジュール

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competition 2014の一次予選が進行中。スケジュールは下記の通り。日本時間を追記してみた。

CET    JST
+1:00   +9:00
  10月28日
9:02 17:02 NAKAJIMA, Ryo (Japan)
9:23 17:23 NISHIHARA, Ako
9:44 17:44 NOVIKOV, Evgeny (Russian)
10:05 18:05 NURKKA, Perttu (Finland)
10:26 18:26 OITTINEN, Kalle (Finland)
10:46 18:46 BREAK - PAUSE - DESCANSO
11:06 19:06 OMER, Rueda (Colombia)
11:27 19:27 PASTUSHOK, Taras (Ukraine)
11:48 19:48 PELLENS, Pieter (Belgique)
12:09 20:09 PERETTO, Nicola (Italie)
12:30 20:30 PEREZ RAFELS, Arturo (Spain)
12:50 20:50 BREAK - PAUSE - DESCANSO
14:32 22:32 PFEUFFER, Johannes (Germany)
14:53 22:53 PIERRICK, Philip (USA)
15:14 23:14 POMMEL, Antonin (France)
15:35 23:35 PYALOV, Stanislav (Belarus)
15:56 23:56 RADFORD, Jonathan (United Kingdom)
※ここから日本時間で10月29日
16:37 0:37 BREAK - PAUSE - DESCANSO
16:57 0:57 RODRIGUEZ ORDIALES, Irene (Spain)
17:18 1:18 SAKAI, Nozomi (Japan)
17:39 1:39 SALVI, Mathilde (France)
18:00 2:00 SATO, Nodoka (Japan)
18:21 2:21 SKIBA, Anton (Russian)
18:42 2:42 SOMEYA, Mai (Japan)
  
  10月29日
9:23 17:23 STEKETEE, Femke (Netherlands)
9:44 17:44 SON, Ju-Ang (South Corea)
10:05 18:05 SUSUKI, Yuko (Japan)
10:26 18:26 SU, Ningxin (China)
10:46 18:46 BREAK - PAUSE - DESCANSO
11:06 19:06 SUZUKI, Kengo (Japan)
11:27 19:27 TAKAHASHI, Ryunosuke (Japan)
11:48 19:48 TAKANIZO, Yuina (Japan)
12:09 20:09 TAKEDA, Kaho (Japan)
12:30 20:30 TANAKA, Takuya (Japan)
12:50 20:50 BREAK - PAUSE - DESCANSO
14:32 22:32 TERADA, Remi (Japan)
14:53 22:53 TIEBOUT, Nele (Belgium)
15:14 23:14 TOYAMA, Mai (Japan)
15:35 23:35 TRILLAUD, Martin (France)
15:56 23:56 UENO, KOHEI (Japan)
※ここから日本時間で10月30日
16:17 0:17 UVAROV, Dmitri (Russian)
16:37 0:37 BREAK - PAUSE - DESCANSO
16:57 0:57 VATULYA, Vitaly (Russian)
17:18 1:18 WINTRINGHAM, Jonathan (USA)
17:39 1:39 WYSS, Lisa (Switzerland)
18:00 2:00 XUE, Yusheng (China)
18:21 2:21 YAMASHITA, Tomoyuki (Japan)
  
  10月30日
9:02 17:02 YANIK, Jonathan (USA)
9:23 17:23 YOO, Kyoung Chun (South Corea)
9:44 17:44 ZIMIN, Nikita (Russian)
10:05 18:05 AHN, Taewook (South Corea)
10:26 18:26 AKAKI, Shunsuke (Japan)
10:46 18:46 BREAK - PAUSE - DESCANSO
11:06 19:06 ARIZA, Alvaro (Spain)
11:27 19:27 ARSENIJEVIC, Nicolas (France)
11:48 19:48 BANKS, Steven (USA)
12:09 20:09 BARTHAS, Eva (France)
12:30 20:30 BERCEAU, Guillaume (France)
12:50 20:50 BREAK - PAUSE - DESCANSO
14:32 22:32 BONET, Javier (Spain)
14:53 22:53 BROSHEL, Yuriy (Ukraine)
15:14 23:14 CASAL ARES, Javier (Spain)
15:35 23:35 CHANG, Chih-Yu (Taiwan)
15:56 23:56 CHEN, Li-Fong (Taiwan)
※ここから日本時間で11月1日
16:17 0:17 CHEN, Yiqun (China)
16:37 0:37 BREAK - PAUSE - DESCANSO
16:57 0:57 CLARKE, Harrison (USA)
17:18 1:18 COMPAGNON, Sandro (France)
17:39 1:39 CRISTOBAL LITAGO, David (Spain)
18:00 2:00 CUMMINS, John (USA)
18:21 2:21 DE WIJS, Stefan (Netherlands)
  
  10月31日
9:02 17:02 DEGERY, Maxime (France)
9:23 17:23 DONGGUN, Song (South Corea)
9:44 17:44 GARCIA BEJARANO, Jose Carlos (Spain)
10:05 18:05 EASON, Robert (USA)
10:26 18:26 ELLER, Lauritz (Denmark)
10:46 18:46 BREAK - PAUSE - DESCANSO
11:06 19:06 GRICAR, Jan (Slovenia)
11:27 19:27 FATEYEVA, Asya (Ukraine)
11:48 19:48 FOTUIMA, Roman (Ukraine)
12:09 20:09 FOURNIER, Romain (France)
12:50 20:50 BREAK - PAUSE - DESCANSO
14:32 22:32 GARCIA JORGE, Antonio (Spain)
14:53 22:53 GASZTYCH, Michal (Poland)
15:14 23:14 GIKA, Shiori (Japan)
15:35 23:35 GONG, Yugwi (Japan)
15:56 23:56 EVANS, Matt (USA)
※ここから日本時間で11月1日
16:17 0:17 HALLBERG, JOHN (USA)
16:37 0:37 BREAK - PAUSE - DESCANSO
16:57 0:57 HONDO, Makoto (Japan)
17:18 1:18 HOTTI, Joona (Finland)
17:39 1:39 HYDE, Joshua (Australia)
18:00 2:00 IKEGAYA, Hayato (Japan)
18:21 2:21 INOUE, Haruka (Japan)
18:42 2:42 KADOGUCHI, Keito (Japan)
  
  11月1日
9:23 17:23 KIM, Jong Hwan (South Corea)
9:44 17:44 KIMURA, Arisa (Japan)
10:05 18:05 KUZNETSOV, Dimitri (Russian)
10:26 18:26 KWOK, Tsz Kiu (Hong Kong)
10:46 18:46 BREAK - PAUSE - DESCANSO
11:06 19:06 LAWHON, Steven (USA)
11:27 19:27 LECLERQ, Emilie (France)
11:48 19:48 LEE, Tsung-Tzu (Taiwan)
12:09 20:09 LEE, Wonki (Japan)
12:50 20:50 BREAK - PAUSE - DESCANSO
14:53 22:53 LI, Hantao (China)
15:14 23:14 LOUMAN, Florent (France)
15:35 23:35 MADER, Andreas (Austria)
15:56 23:56 MAENG, Jae-Bin (South Corea)
※ここから日本時間で11月2日
16:17 0:17 MAIOROV, Valentin (Russian)
16:37 0:37 BREAK - PAUSE - DESCANSO
16:57 0:57 MARUBA, Keito (Japan)
17:18 1:18 MERCEP, Lovro (Croatia)
17:39 1:39 MOTEGI, Kento (Japan)
18:00 2:00 MUELLER, Simone (Germany)
18:21 2:21 MATSUSHITA, Yo (Japan)

これまで中継を聴いたことがある中で、もっとも高レベルな一次予選、という印象がある。事前の録画審査が効いているのだろうか。

逆に、いったい誰が上に抜けていくのだ、という判断の難しさがある。第4回だったか、「Germ(s)」という超絶難しい作品が課題曲だった時は、そもそも楽譜通り吹くことができない演奏者が続出して、楽譜通り吹けた人が通る、というような物凄い状態だった。今回は比較的どの課題曲も技術的に突拍子ない、ということがなく、審査員がどのような判断基準を採っているか、気になっている。

6th Dinant Competition (2014): 一次予選選択曲割合

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competition 2014の、一次予選においては、各奏者は以下の3曲を演奏しなければならない。

無伴奏課題曲
J.S.Bach - Sonata No.1よりPresto

ピアノとのデュオによる課題曲
Grigorij Markovich Kalinkovich / Alain Crepin - Concerto Capriccio

ピアノとのデュオによる選択曲(以下のリストから1曲選択し、任意のセクションもしくは楽章を演奏)
Boîte de Pandore by Raymond Alessandrini
Divertimento by Roger Boutry
Fantaisie by Jean-Luc Defontaine
La Lune en Paradis by Jun Nagao
Prélude, Cadence et Finale by Alfred Desenclos
San Antonio by John Harbison
Sax in Fire by Alain Crepin
Sonata for Alto Saxophone – fourth movement, by Jindřich Feld.

このうち、105名の一次予選出場者が演奏する選択曲の割合を集計し、円グラフにしてみた。画像はクリックして拡大できる。デザンクロ「PCF」が圧倒的で、続いてブートリー「ディヴェルティメント」、長生淳「天国の月」が続く。ここまで「PCF」に偏るのは少し意外だった。

6th Dinant Competition (2014): 一次予選参加者国籍割合と日本人リスト

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competition 2014の、一次予選参加者国籍割合と日本人参加者に関する情報を記しておく。

一次予選は、2014/10/28より、11/1まで続き、109名が演奏する(録画審査エントリー数266、有効エントリー数263、一次予選への通過数109)。

以前もブログ記事にしたが、その109名の国籍割合を示しておく。最終的な参加者は、プログラム冊子を観る限り105名だが、4名は棄権だろうか。

日本26名、フランス14名、アメリカ11名、スペイン9名、韓国8名、ロシア6名、ドイツ4名、と続く。結果の画像中には109名の国籍内訳をすべて記載してあり、クリックして拡大できる。

また、日本人参加者は、以下の通りである。この日本から参加の皆様を始め、全員の健闘を心より祈念する次第。

AKAKI SHUNSUKE 赤木俊祐
GIKA SHIORI 儀賀詩織
IKEGAYA HAYATO 池谷隼人
INOUE HARUKA 井上ハルカ
KADOGUCHI KEITO 角口圭都
KIMURA ARISA 木村有沙
MARUBA KEITO 丸場慶人
MATSUSHITA YO 松下洋
MOTEGI KENTO 茂木建人
NAKAJIMA RYO 中島諒
NISHIHARA AKO 西原亜子
SAKAI NOZOMI 酒井希
SATO NODOKA 佐藤温
SOMEYA MAI 染谷真衣
SUSUKI YUKO 須々木由子
SUZUKI KENGO 鈴木研吾
TAKAHASHI RYUNOSUKE 高橋龍之介
TAKAMIZO YUINA 高溝ゆいな
TAKEDA KAHO 竹田歌穂
TANAKA TAKUYA 田中拓也
TERADA REMI 寺田麗美
TOYAMA MAI 外山舞
UENO KOHEI 上野耕平
YAMASAKI MEI 山崎明
YAMASHITA TOMOYUKI 山下友教
HONDO MAKOTO 本堂誠

そのほか、知っている奏者の名前をざっくりと拾い上げてみた。Nicolas Arsenijevic, Eva Barthas, Xabier Casal Ares, Matt Evans, Asya Fateyeva, Romain Fournier, Joshua Hyde, Wonki Lee, Lovro Mercep, Evgeny Novikov, Pieter Pellens, Philip Pierick, Jonathan Radford, Ningxin Su, Jonathan Wintringham, Nikita Zimin...いやはや、第一線で活躍する奏者ばかりだ。また、まだ若い、新しい世代の演奏家の名前もちらほら。知らないだけですごい実力を持つ奏者、という可能性があるのも、こういったコンクールの面白さである。果たして誰が上に進むのだろうか。

2014/10/28

6th Dinant Competition (2014): プログラム冊子PDFの在り処

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competition 2014の、プログラム冊子PDF版の在り処を書いておく。

http://adolphesax.com/


まずは上記ページに飛んで、この画像をクリック。

右下にあるこの画像をクリック。

このように、ブラウザ上で閲覧可能なページに飛ぶ。これでも見られるが、オフラインでゆっくり見たい場合は、「Download」ボタンをクリック。

このようなWordドキュメント形式のファイルが開くので、中に書かれたリンクをクリックすると、PDFファイルがダウンロードできる。およそ100Mbytesと重いので、スマホ等でダウンロードの際は注意されたし。

6th Dinant Competition (2014): コンクールのライヴストリーミング中継

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competition (2014)が始まった。10/28から、11/8まで、アドルフ・サックス生誕の地、ベルギー・ディナン市にて開かれる、世界最高峰(と言ってしまって良いと思う)のサクソフォンの国際コンクールである。果たして今回は誰が優勝するのか、どんな名演奏が生まれるのか、今から楽しみで仕方がない。

現地時刻の9:00、日本時間の17:00より一次予選が開始。その様子は、現地入りしているAdolphesax.comチームによって、中継されている。

http://adolphesax.com/

上記リンク先のページから、この画像をクリックすると、ライヴストリーミングページに入っていくことができる。チャットも盛んなので、ぜひ参加して盛り上げましょう。日本語の話し相手がほしい。

それにしても、毎度のことながらAdolphesax.comチームの仕事には驚嘆するばかりだ。彼らのおかげで我々は9000km以上も離れた日本から、ディナンでのサクソフォン奏者の戦いをリアルタイムに観ることができるのだ。嬉しいことだ。

Thank you very much for your hard working in broadcasting, Adolphesax.com team!!

TSQ@アーニーズスタジオ終演

アーニーズスタジオさんでのコンサートが無事終演。スタジオのヌシの写真家・井村さんとはかれこれ知り合ってから2年以上の付き合いになるが、井村さんご自身がサクソフォンを演奏するということもあってか、いつもTsukubaSQのことを気にかけてくださり、大変嬉しいことだ。

スタジオは、とても素敵な雰囲気。記事最後に張り付けた写真をご覧いただきたい。音響的にもちょうど良い感じがする。本番は、並べた座席の数ほぼぴったりのお客様がいらっしゃるというミラクル!良い雰囲気の中で演奏できた。

自分の演奏については…「Grab It!」は慣れたもので、上手くいった。「Interference」(日本初演だった)も、きちんと演奏できたと思う。それぞれの作品がどう受け止められたかは良くわからず。ちなみに連続2曲はプログラミング的に問題あり、かつ「Interference」は曲が長くいまいちと言われたので、そういうところまでの考えが及ばなかったのは反省点。

「ハデヴィッヒII」は、リハーサルの段階ではけっこう上手くいっていたのだが、本番は個人的にかなりどたばたしてしまった(最初1分間ほどリードが死んでタンギングがまともにできなかった)。全体的には、なんとか一度本番にかけることができたのは幸いだったので、録音を聴いて、音の生成から曲の構成まで見直して、12/21にさらに良い演奏ができるようにしたい。録音を聴き返すと、意外と普通の響きに聴こえ、やっぱりきちんとGrowlやAlternative Fingeringを研究したほうが良さそうだ。

ということで(個人的に)けっこういっぱいっぱいの演奏会だったのだが、他の演奏が素敵だったこともあり、無事終演して良かった。打ち上げのビールの実に美味しかったこと。

お越しいただいたお客様、共演者、会場を提供してくださった井村さんほか、関係者の皆様にこの場を借りて改めて御礼申し上げる次第。

【Tsukuba Saxophone Quartet Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズ・スタジオ
料金:入場無料
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - Interference
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
木山光 - ハデヴィッヒII
伝承曲/織田英子 - グリーンスリーヴス

リハーサルの様子。素敵な会場でしょ!

2014/10/25

ご案内:明日10/26のTsukubaSQコンサート@アーニーズ・スタジオ

いよいよ明日はTsukuba Saxophone Quartetのコンサート@アーニーズ・スタジオ。以前Tsukuba Saxophone Quartetのプロフィール写真(→これ)をスタジオのヌシの井村さん(写真家)に撮影していただいた関係で、今回の演奏会の運びとなった。井村さんにはいろいろとお世話になっており、改めて御礼申し上げる次第。

今回は四重奏以外のソロやデュオを中心としたコンサートで、それぞれのグループ内で練習が進行しているため、私自身も当日どのような演奏が聴けるか楽しみだ。

今日も都内某所で四重奏練習だった。「ハデヴィッヒII」は、最初は登攀不可能な作品にも思えたが、意外と練習すればできるようになるもんだ。そのほか、私はソロで「Grab It!」と「Interference」を演奏する。

みなさまぜひ!チケット等は不要なので、会場にそのままお越しいただければ。

【Tsukuba Saxophone Quartet Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズ・スタジオ
料金:入場無料
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
木山光 - ハデヴィッヒII

12/21 18:00@ルーテル市ヶ谷の演奏会もぜひ!そちらも気合いが入りすぎてもはやプログラムが良くわからないことになっている。詳細は下記ページから。

http://www.tsukubasq.com/

10/26演奏会の演奏曲紹介(ハデヴィッヒII)

作曲の木山光氏は、東京音楽大学、ブリュッセル王立音楽院を経て、アントワープ王立音楽院のディプロムを修了し、現在はヨーロッパで活躍する作曲家。作風としては、楽器の限界レベルでの極端な大音量、走句、同音連打、ノイズ、特殊奏法などが多用されている。私自身は、その中でも緻密な音の選び方がされているところに、木山氏のアイデンティティがあると考えている。最近発表された「?????」という作品は、トーンクラスター的ノイズ風の部分と、調整のある部分の混在を、面白く聴いた。

「ハデヴィッヒII」は、2012年、第1回洗足現代音楽作曲コンクール・サクソフォン作品部門に応募するために作曲された。同コンクールでは、聴衆賞を獲得している。

タイトルのハデヴィッヒ(ハデウェイヒ)とは、13世紀の女流詩人であり、神秘主義者である。ブリュノ・デュモン監督が、2009年にそのハデヴィッヒを題材に作り出した映画を観た作曲者が「その映画のBGMが気に入らなかったので作ってみた」という経緯があるとのこと。映画のストーリーとコンセプトは下記のようなものである。

修道院で生活するセリーヌは、13世紀フランドル地方のキリスト教神秘主義的詩人ハデウェイヒに傾倒し、激しく感化され、その盲目的な信仰心ゆえに修道院を追われる。パリの大邸宅に戻るが、裕福な家庭で、やり場のない気持ちをもてあました彼女は、イスラーム系のふたりの男性ヤシーヌとナシールと出会う。やがてセリーヌは神への情熱的で倒錯的な愛に駆られ、恩寵と狂気のはざまで、危険な道へと導かれてゆく。

監督の出身地方であるフランドルに実在した13世紀のキリスト教神秘主義的詩人ハデウェイヒの化身の如き少女、セリーヌ(ジュリー・ソコロフスキ)の盲目的な信仰心故のキリストへの一途な愛と、イスラム系青年との出会いを通じて、テロリズムの世界へと足を踏み入れて行く脆弱さ、宗教の現代性と普遍的な“愛”と“暴力”が同居してしまう人間存在のリアリティを、シンプルながら力強く、美しい映像で描いた。



最初この作品を取り上げようと思ったきっかけは、12/21のコンサートのコンセプト「聖と俗」の"俗"に沿った作品を探していたことがきっかけだった。メタルかファンクか、というような激しさに感銘を受け、第一部"俗"の最終曲としてこの作品を取り上げることになったのだが、まさかこのような(キリスト教的な要素を含む)経緯で作られているとは知らなかった、というか、むしろよりそのコンセプトに沿った作品であるという僥倖を感じた。すなわち、修道院を追われ、普通の世界へと足を踏み入れることは、聖と俗の境界を描き出しているということにほかならず、チラシにしたテッツィアーノ「聖なる愛と俗なる愛」)の聖と俗が混ざり合うその狭間に位置する作品だと言えるのだ。第一部"俗"の最後に演奏する曲として、これ以上良い作品はないだろう。

演奏技術的に最初全く追いつかず、個人ごとに鍛錬してようやく作品が最低限求めるところまでたどり着いた。たとえばタンギング…ある個所ではマシンガンのように四分音符=120で16分音符のタンギングが続く作品なのだが、実は2か月前まで、四分音符=112の速度で16分音符のタンギングができなかったところ、個人練習を繰り返していたらできるようになったのだった。必要はナントカの母とは良く言ったものだ。

【Tsukuba Saxophone Quartet Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
木山光 - ハデヴィッヒII

(チラシ・クリックして拡大)

10/26演奏会の演奏曲紹介(Grab It!)

「Grab It!」については、かつて書いた曲目解説をそのまま載せておく。

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アヴァンギャルドでありつつも、聴き手がポップな感覚で楽しめる音楽を次々に生み出しているオランダの作曲家、ヤコブ=テル・フェルドハウス(1951 – )。ロック音楽界の出身であり、自らの作品を評して「砂糖でスパイス付けした音楽だ」などとのたまう、まさに現代音楽界の異端児。しかし近年、世界中の多くの演奏家たちが、この一風変わった作曲家の生み出す音楽に注目しているのです。

テナーサクソフォンとゲットブラスター(屋外用途向け大音量ラジカセ)のために書かれた「グラブ・イット!」は、1999年の所産。オランダを中心に多方面に活動を展開しているサクソフォン奏者、アルノ・ボーンカンプに捧げられています。テナーサクソフォンの独奏パートとともに、サンプリング&コラージュされた効果音がスピーカーから流され、両者のデュエットが繰り広げられます。

その一見華やかなサウンドの向こう側から聴こえてくるのは、アメリカで製作されたドキュメンタリー映画の中で発せられる、終身刑に処せられた受刑者たちの「声」。彼らが憎しみや絶望を込めて発する言葉の力強さに心を打たれたフェルドハウスは、サクソフォン・ファミリーの中でもひときわ強い個性を持つテナーサクソフォンと、その「声」を掛け合わせることを思いついたのだといいます。

初めは断片的だった彼らの叫びは、曲が進むにつれて徐々にその姿を現します。「あいつは鉄パイプの片側に縄を引っ掛け、首を吊ったんだ。緑色のビニールシートに包まれた亡骸は、つま先に番号札を付けられて、外の世界に運び出されていった…でも、死んじまったら何もかもおしまいなんだよ!」…刑務所という絶望的な状況の中では、自殺という行為すら日常的な出来事なのです。この曲のテーマは、死が身近にある状況の中で、生きることの価値を認識すること。メメント・モリ(生の中で死を想え)ならぬ、メメント・ヴィヴェレ(死の中で生を想え)のメッセージが、隅々に散りばめられているのです。

【Tsukuba Saxophone Quartet Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
木山光 - ハデヴィッヒII

(チラシ・クリックして拡大)

2014/10/23

10/26演奏会の演奏曲紹介(インターフェアレンス)

仕事→グループ自主学習→録音をお願いしている方と打ち合わせ→スタジオで1時間半ほど個人練習。ここ最近、中一日以下で個人練習をしており、学生の頃以来のハイペース。これだけ吹くと、さすがに音もピタリと安定してきて、吹いていて楽しくなる。

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ウィル・グレゴリー Will Gregoryはイギリスのサクソフォン奏者、キーボード奏者、作曲家。一時期、かの有名なアポロ・サクソフォン四重奏団のバリトン奏者としても活動していた。「干渉」は、サクソフォン奏者のサイモン・ハラーム Simon Haram氏によって委嘱され、1994年に作曲、初演された。

前半は静謐なノイズの嵐といった不思議な雰囲気、後半はミニマルというかテクノというか、リズムが全面に押し出された感じ。面白い作品であることは間違いがない。

最初はWX-5あたりを使って演奏してみようかと思って、3週間ほどWX-5で練習していたのだが、ある時テナーで吹いたら意外にも普通に吹けてしまい、生楽器でいくことに決めたのだった。たぶん日本初演となる。さらっていると目と指がゲシュタルト崩壊を起こす。

双発50Wの中華アンプ"Muse"に、ソリッドアコースティックスの12面体スピーカーを2つ接続して鳴らすシステム。アンプのデジタルアンプ部は天下のTI様のチップなのだが、電源部が杜撰すぎて本番中に煙が出ないかがちょっと心配(いちおう2時間連続稼働のテストは実施済)。プレーヤー部は、昨日まで手持ちのAndroid端末を繋げようと考えていたのだが、音が時々止まることが判り、どうしようかと思案中。ふむ…。

【Tsukuba Saxophone Quartet Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
木山光 - ハデヴィッヒII

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2014/10/21

管弦打コンチェルトの夕べ2014

【管弦打コンチェルトの夕べ】
出演:蓮實志帆(mrb)、齊藤健太(sax)、笠原日向(tp)、武田杏奈(vn)、秋山和慶指揮洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団
日時:2014年10月21日(火曜)18:30開演
会場:洗足学園・前田ホール
プログラム:
安倍圭子 - プリズム・ラプソディ
H.トマジ - サクソフォン協奏曲
R.プラネル - トランペット協奏曲
B.バルトーク - ヴァイオリン協奏曲第2番

サクソフォンの齊藤さんにご案内いただき、伺った。齊藤さんにはチケットもご用意いただくなど、この場を借りて改めて御礼申し上げる次第。後ろに予定があったため、残念ながら前半しか聴けなかったのだが、充実した時間を過ごすことができた。

まずはマリンバで「プリズム・ラプソディ」この作品は初めて聴いたのだが、日本的な美しさと最終部に向けての構成感がよくわかる。後半ではどんな真っ黒な楽譜なんだ…というほどの怒涛のフレーズの連続で、否応なしに引き込まれてしまう。ソリストも、それをものともせずバッタバッタとフレーズを切り捌いていくのだった。また、マリンバの、楽器としての完成度の高さを強く感じた。正確性・表現力ともに、ピアノにも肉薄しつつあるのではないか。そういえば、マリンバでマレット6本持ちというのは初めて見たな…けっこう一般的な奏法なのだろうか。

続いてトマジ。齊藤さんの演奏は、実にしっかりとした「正格」なものだ。奇をてらわず、正攻法で真正面からこの壮大な楽曲にぶつかっていく様子に、大変好感がもてた。もちろん、技術的に完全であることは言わずもがな。トマジのオーケストラは三管編成で、ともすれば爆発して終わり、という演奏も聴いたことがあるのだが、秋山氏の手腕か、ニューフィルハーモニックの地力の高さのせいか、かなりスッキリとまとまった演奏が新鮮。そのオーケストラに、理想的なバランスで絡むサクソフォンが心地よく、良い聴後感を得ることができた。見事なアンサンブル力と美しい響きで、徹頭徹尾隙なく作り込まれた音楽に興奮させられた。

ここで休憩となり、私はこの後練習の予定があったのでここで失礼した。

サクソフォンに限らないと思うのだが、今の若い方って本当に上手いなあ。私が大学に在籍していたのが10年ほど前で、その頃も同世代の音大生の演奏を聴く機会は何度かあったのだが、やはりこの10年での進化というものは大きいと感じ入るのだった。力で押してねぎらいの拍手をもらうのではなく、きちんとした演奏をして"プロフェッショナルの域を目指す"という気概を、両ソリストから感じることができた。また、演奏のある部分はすでにそういった領域にも到達しているのではないかとも感じた。

後半も聴きたかったなー。

6th Dinant Competition (2014): 審査員発表

第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン) The 6th Adolphe Sax International Competitionの審査員リストが公開された。いやはや、錚々たる面々だ。日本の平野公崇氏も審査員として選ばれたようだ。

http://dinant2014.adolphesax.com/el-concurson/el-jurado

President of the Jury: Alain CREPIN (Belgique)
Vice-President of the Jury: Freddy VANATTENHOVEN (Belgium)
Jury: Marie-Bernadette CHARRIER (France)
Jury: Barry COCKCROFT (Australia)
Jury: Antonio FELIPE BELIJAR (Spain)
Jury: Raaf HEKKEMA (Netherland)
Jury: Masataka HIRANO (Japan)
Jury: Lars MLEKUSCH (Switzerland)
Jury: Margarita SHAPOSHNIKOVA (Russia)
Jury: Kenneth TSE (United States)
Jury: Javier VALERIO (Costa Rica)
Jury (Only Semifinal Round): Wim HENDERICKX (Belgium)
Jury (Only Semifinal Round): Claude LEDOUX (Belgium)
Jury (Only Semifinal Round): Eddy VANOOSTHUYSE (Belgium)

2014/10/20

10/26演奏会の演奏曲紹介(ピーターソンのトリオ)

ラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏は、1969年生まれのアメリカのサクソフォン奏者、ファゴット奏者、作曲家である。オハイオ州立大学出身で、現在はConcordia Collegeにてサクソフォン科、ファゴット科、ジャズ科の教授職を務める。サクソフォン奏者として多くのアルバムに参加し、自作の演奏も多く、頻繁に名前が聞こえてくるアメリカの奏者の一人。Transcontinental Saxophone Quartetのソプラノ奏者で、ディヴィッド・マスランカ「マウンテン・ロード」の初演も行っている。

フルート、サクソフォン(+もう一つの楽器)という編成の作品はそれほど多くなくて、オリジナル作品がせいぜい300曲ということらしいが、おそらくそのなかでも近年最も人気を博している作品のひとつが、このラッセル・ピーターソンの「フルート、アルトサクソフォン、ピアノのためのトリオ」である。サクソフォンの機動性を存分に取り入れた、聴衆へのアピール度が高い作品の制作を得意とする。今回、メンバーに練習の手ごたえを聴いたところ、「音数の割にさらいやすい」とのこと。やはり、コンポーザー・サクソフォニストならではの曲の作りになっているのだなあと再認識した次第。

とにかくかっこよくて、インパクト絶大!初めて聴いたときは衝撃的だった。本当に、誰が聴いてもかっこいいと思うはずだ。

アルトちさ、フルートやすこ、ピアノびるでお送りする。今回は第3楽章のみの演奏(いつか全楽章やってほしい)。作曲者自身による全曲の演奏は、下記から聴くことができる。


ちさやすこ両名は、先日フィリピン・マニラ市においてすでに3回の演奏をこなしたそうだ。たぶん、その演奏はなんとフィリピン初演だった…はず。

楽譜の入手については、以前ブログ記事にしている。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2013/11/russell-peterson-trio.html

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
木山光 - ハデヴィッヒII

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10/26演奏会の演奏曲紹介(木星のファンタジー)

グスターヴ・ホルストの代表作のひとつ、組曲「惑星」より"木星"のメロディをもとに、伊藤康英先生が作曲した作品である。「1999年、静岡グランシップでの「Moving Music Express」にて初演。元々はヴォカリーズによる合唱曲として書いた。」とのことで、合唱がオリジナルであったことは、最近まで知らなかった。今でこそ平原綾香の「ジュピター」で良く知られるようになったが、伊藤康英先生がこのメロディに目をつけて「木星のファンタジー」を作り上げたのは、「ジュピター」より前なのだ。

ホルストのメロディ・メーカーとしての才能は、「木星」に限らず様々な作品で発揮されている。チャイコフスキーやらモーツァルトやら、いわゆる"メロディ・メーカー"と評されるクラシック音楽の作曲家は多いが、私個人的にはその中でもホルストが群を抜いて大好きだ。「第一組曲」「第二組曲」「惑星」「セント・ポール組曲」「ムーアサイド組曲」…挙げていけばきりがない。この記事を書きながらふと思ったのだが、イギリスの作曲家ってメロディを大事にしますよね。ヴォーン=ウィリアムズ、ブリテン、ナイマン、ビートルズ、etcetc...

そのメロディを、最良の形で再創造した作品だと思う。誰が聴いても魅力的に響くはずだ。

アルトかじた、バリトンのぞみ、ピアノびるでお送りする。

木星のファンタジーは、これまでにいくつもの編成へとアレンジされているが、サクソフォン二重奏+ピアノという楽譜はないはず。どの楽譜を使うのだろう?そんなところも含めて楽しみだ。

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
加藤昌則 - オリエンタル
伊藤康英 - 木星のファンタジー
R.ピーターソン - トリオより第3楽章
JacobTV - Grab It!
W.グレゴリー - 干渉
木山光 - ハデヴィッヒII

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2014/10/19

ストコフスキーからアバトへの手紙

指揮者のレオポルド・ストコフスキーが、サクソフォン奏者のヴィンセント・アバト Vincent Abatoと共演するにあたって、アバトに宛てた書簡の画像がFacebookの某コミュニティにアップされていた。非常に短い内容だが、なんだか面白かったのでご紹介したい。1945年7月3日の手紙である。時代背景など考えると、非常に象徴的…というか。。。

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3 July 45

Mr. Vincent James Abato
c/o U.S. Naval Academy Band
Annspolis, Md.

Dear Mr.Abato

I am delighted that you will play the Creston Saxophone Concerto on August 26th. Your rehearsals will be the preceding Friday and Saturday, August 24th and 25th.

あなたとクレストンの「サクソフォン協奏曲」を8月26日に共演できることを嬉しく思います。あなたのリハーサルは本番に先立って、8月24日金曜日と8月25日土曜日に行われます。

We would like you to play in uniform if that is agreeable to you and your commanding officer. Of course, this is not important from a musical stand point, but from a human standpoint it is interesting that you are with the Navy.

私たちは、あなたに海軍の制服を着て演奏していただきたいのです。もしあなたの上官が許可すれば、ですが。もちろん、これは音楽的な観点からはさして重要なことではありませんが、人間的観点からは、あなたが海軍にいるということは興味深く受け止められることと思います。

The rehearsals will be in Hollywood Bowl. We hope you can be here a few days before so as to make quite sure of everything.

リハーサルは、ハリウッド・ボウルで行います。もし、あなたがリハーサルの数日前にハリウッド・ボウルに到着できれば、リハーサルに先立って諸々を調整し、万全の体制で臨めることと思います。

Sincerely,

Leopold Stokowski

長野県・諏訪の四賀公民館で演奏2014

"ちさカル"という名前の団体で、長野県・諏訪の四賀公民館の文化祭にて演奏してきた。固定メンバーでなく、たまに必要に応じて結成される臨時編成の団体で、TSQのN、BCSEのS藤さんとMさん、という布陣だった。Mさんとご一緒するのは初めてだった。昨年に引き続いてお呼びいただき、嬉しい限りである。

今年は、新聞にお知らせが載ったせいだろうか、昨年よりさらに多くのお客様にお越しいただき(立ち見も!)、多くのお客様の前で演奏することができた。MCを挟みながらの、一時間強のコンサートで、とても良い雰囲気の中での演奏であった。文化祭のスタッフの皆様や、いつもお世話になるN家の皆様にはこの場を借りて改めて御礼申し上げる次第。

セットリストは下記の通り。

「れりごー」
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(TB)」
「(SA)」
「オーバー・ザ・レインボー(SnS)」
「ルパン三世のテーマ」
「ルージュの伝言」
「グリーンスリーヴス」
「四季の童謡メドレー」
「坂本九メドレー」
「ふるさと(アンコール)」

練習は2回だけで、特にサキソフォックス系には微妙に苦戦させられたが(苦笑)、なんとかどの曲もまとまって良かった。たまにTSQ以外のメンバーで吹くと、自分の弱点が浮き彫りとなる…いろいろと勉強しなければ!

今回もS藤さんの車に乗せていっていただいた。行きはスイスイだった。帰りは早めの15:00出発だったが、事故原因の大渋滞にハマり、大月から下道へ。下道も途中から混雑し始め、ついに藤野で電車に乗らせてもらい、ようやく立川で21:00発の南武線に乗り換えて住まいに戻る途上である。いやはや。

2014/10/18

練習の日~明日は長野で演奏

今日は8:00から四重奏練習、10:00から空いたのでアメ横めぐり(クラウンカレーとカドクラ)、13:00から四重奏練習、帰ってきてから事務作業諸々。

もう夜も遅いので詳細は文字で起こさないが、明日はこんなイベントで演奏@長野、である。いわゆる"ちさかる"という団体での演奏となる。4:30am起き!

第30回四賀地区公民館文化祭 サクソフォンコンサート
日時:2014年10月19日(日) 10:30開演
会場:四賀公民館(長野県諏訪市四賀804-3)

2014/10/15

思い出のマーニー

珍しく映画など観てきた。「思い出のマーニー」である。ジブリ作品はどれも大好きで、もちろんこれまでの作品は全部観、語れと言われれば夜を通して語るくらいの思い入れがある。「思い出のマーニー」、ジブリらしさを湛えつつ、個人的にはとても好みの作品に仕上がっており、充足感を得ることができた。同じ米林監督作品のアリエッティよりも好きだなあ。

詳細なストーリーについてはここでは言及しないが、ひとつ面白かった点を書いておきたい。いわゆる"彼岸"の描き方である。彼岸とは、夢とうつつの境目であり、虚構と現実の境目であり、あの世とこの世の境目である。ジブリ作品の多くにあるように、この作品も現実世界と虚構世界を行ったり来たりするのだが、これまでの私の感触では、何か明確なアイコンが彼岸を表わすために使われているのが、ジブリ作品の常であった。たとえば、トトロでは「木のトンネル」であり、ラピュタでは「龍の巣」であり、千と千尋の神隠しでは「トンネル」であったり、もののけ姫では「森とタタラ場の境界」であったり…登場人物はその彼岸を渡ることで、あちらとそちらを行き来するのである。それをくぐるたびに、主人公の成長や状況の変化が垣間見えるところが、人物視点に立った時の面白味である(ちなみに、ポニョの有名な評として、"全員で彼岸を飛び越えたっきり、皆あちらに行っちゃったままエンディングを迎えるという異常性"、というものがある)。

前置きが長くなったが、「思い出のマーニー」では、そのアイコンが非常にぼんやりとしていたところが新鮮であったのだ。"湿地帯"か、"満潮"か、とそのクリアなきっかけを探していたのだが、思いがけないタイミングで彼岸を飛び越える場面が散見された。そのことが、映画の持つ神秘性を増強し、観ている最中、観終わったあとの不思議な気持ちを観客に与えることに成功しているのだと感じた。また、ちょっとしたホラーのような不気味さも感じさせるのも、おそらく制作者の狙いなのだろう。一度観ただけでは伏線回収を追いきれなかった部分(実際回収していないものもあるかもしれないが)もあるので、地上波で放映されたときにもう一度観てみたいものだ。

もちろんそれ以外にも、絵柄の美しさ(北海道に行きたい!)、魅力的なキャラクター、音楽と映像のシンクロ…素敵な部分を挙げていけばきりがない。楽しかったなあ。ジブリ好きな方、ぜひ語りましょう(笑)

交流会打ち合わせ

新橋にて交流会打ち合わせ。毎回頭をひねる企画ステージの、アイディア出しだった。

有意義な意見も出て、おおよそのコンセプトや方向の希望がまとまり、あとは実現可能性を天秤にかけながら然るべく動くのみ。

2014/10/14

レ・ヴァン・フランセ2014@三鷹

【レ・ヴァン・フランセ】
出演:エマニュエル・パユ(フルート)、フランソワ・ルルー(オーボエ)、ポール・メイエ(クラリネット)、ジルベール・オダン(バソン)、ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)、エリック・ル・サージュ(ピアノ)
日時:2014年10月13日 15:00開演
会場:三鷹市芸術文化センター・風のホール
プログラム:
L.テュイレ - 六重奏曲 変ロ長調 op.6
N.リムスキー=コルサコフ - ピアノと管楽のための五重奏曲 変ロ長調
A.カプレ - ピアノと木管のための五重奏曲 op.6
C.サン=サーンス - デンマークとロシアの歌による奇想曲
F.プーランク - 六重奏曲

本来であれば妹が長野から聴きにくるはずだったのだが、風邪をこじらせて来られそうにないということで、チケットが送られてきて急遽伺うことになった。

独奏者、室内楽奏者、オーケストラ・プレイヤー、教育者として、積極的な活動を続ける高名な5人の管楽器奏者とピアニストによるアンサンブル。管楽器(サクソフォン)奏者の末席に位置する者として、また、室内楽団(サクソフォン四重奏)の末席に位置する者として、とても気になる存在であった。かねがね噂には聞いており、いつか一度は聴いてみたいと思っていたから、このタイミングで聴けたのはとてもうれしかった。

前評判通りの素晴らしいアンサンブルで…いや、もはやアンサンブルというか、"6人の独奏者の集団"のごとき自発性に満ちた音楽が終始展開された。そして、木管五重奏団(ピアノ含む)という編成の可能性の大きさについても思いを馳せることになった。いやはや、得難い体験であった!まるで室内オーケストラのような音量と、吹奏楽なみの色彩感の豊かさ!たったの6人で!

カプレとプーランクについては、曲を知らなかったので予習をしていったのだが、もともとの曲の印象をすっかりゼロクリアされ、新たな作品の世界が出来上がってしまった。ピタリピタリと縦が合っているわけではないのに、なぜこんなに魅力的に聴こえるのだろう!普通の人がこれをやっても、ただの「合わせ不足」であるで片づけられてしまうところだが、これはやはりどのパートを耳で追っていっても、独奏曲を聴いているように音楽的に説得力があるからなのだろう。だがしかし完全に好き勝手やっているわけではなく、自在にその引力を変える電磁石のように、要所をきちんと押さえ、時には集合体として響きを創り出すのだから、その駆け引きの瞬間瞬間が実に面白い。それは曲を追って行って「ここだ!」というポイントで変化が発生することもあるし、「ここで?」という場所で変化することもあるので、刺激的なことこの上ない。

時折曲中に現れるカデンツァでは、各プレイヤーの面目躍如。想像を絶するフレージングはじめ、激烈に上手いのだが、それ以上に、ここぞとばかりに自由に奏でる各プレイヤーの様子が、なんだか可笑しかった。

三鷹のホールは駅から遠くで歩いて伺うのがやや大変だったのだが、ホールの響きは美しく、この室内楽を聴くのに最適だと思った。

(ここまで圧倒的な音楽を聴かされてしまうと、言葉で感動を表すのは難しいものだ…)

2014/10/12

合宿おわり

合宿2日目。午前は「ハデヴィッヒII」を、午後は「レシテーション・ブック」を合わせた。昨晩ゆっくり寝たせいか、練習中は体力的にかなり余裕があり、集中して臨むことができた。

とはいえ、実際の曲の出来はまだまだ。「ハデヴィッヒII」は、なんとか目指すテンポで通るようになった。来週、再来週の練習でどこまで精度を高めて雰囲気を作ることができるか…。最終的なターゲットは12/21とはいえ、10/26ももちろんお客様の前で吹くことになるのだから、上手く高めていきたい。

「レシテーション・ブック」は第5楽章の中間部から最後までを細かく。最後の最後に録音してみた時、それなりに上手くいったかなあと思ったのだが、録音(録画)したものを改めて聴いてみると、かなりアンサンブルがバラバラで、またゆっくりなところも速いところもさらいきれていない部分が多く、課題がある状態。昔の演奏(久々に聴き返してみたら、いろいろな場所を突き詰めていてびっくりした)とは目指す方向も少しずつ変わってきているのだとは思うが、まずは技術的な部分をきっちりと押さえて進めていきたい。

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
加藤昌則 - オリエンタル
ピーターソン - トリオより第3楽章
コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
伊藤康英 - 木星のファンタジー
JacobTV - Grab It!
グレゴリー - 干渉
木山光 - ハデヴィッヒII

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2014/10/11

TsukubaSQ合宿中

埼玉にて今日〜明日の日程でTSQ強化合宿中。

今日の昼から練習場所入りし、21:00まで「ハデヴィッヒII」を合わせる。演奏不可能に思えていた作品だが、ようやく見通しが立ってきた
ような…。明日は夕方まで練習が続く。引き続き「ハデヴィッヒII」と、「レシテーション・ブック」あたりを中心にやっていく予定。

飲み会もないので、ビール一本だけ空けて、さっさと寝て明日に備えよう。

ブランフォード・マルサリス plays ムチンスキー

ジャズ・サクソフォン奏者として高名なブランフォード・マルサリス Branford Mrsalis氏が、なんとロバート・ムチンスキー Robert Muczynskiの「ソナタ Sonata」を吹いているという動画を見つけた。ピアノはイギリスの作曲家、サリー・ビーミッシュ!

そもそもマルサリス氏は、クラシックの方面への取り組みも多く、クラシック作品で構成されたアルバムをリリースしているくらいなのだが、Thunderさんのブログにまとまっているため、そちらに譲ってここではその辺りについては割愛する。だからクラシック作品をムチンスキーを吹いていたとしてもそれほど驚かないのだが、今回は演奏に驚いてしまったのだ。



なんとふくよかで美しい音色!何年か前にリリースされたいくつかのクラシック・アルバムを聴くと、かなりジャズ色を残した音色が印象に残るのだが、この音で演奏されると「クラシック専門です」と言われても納得してしまうかもしれない。セッティングや奏法などを研究し、進化したということだろうか。ほんのわずか、テクニカルな面でのミスもあるものの、楷書体でしっかりと演奏されており、マルサリス氏のキャパシティの大きさを窺い知ることとなった。

同じコンサートでは、「アルバトロス Albatross」も演奏されたようだ。サリー・ビーミッシュの作品で、2012年の第16回サクソフォン・コングレスで世界初演された作品。こちらはソプラノサクソフォンでの演奏。

2014/10/10

10/26演奏会の演奏曲紹介(アルマンド・ルンバ)

チック・コリアのアルバム「マイ・スパニッシュ・ハート」に収録された、変奏曲風の作品。

オリジナルはピアノ、ヴァイオリン、ベース、クラッピングという編成。2013年に松下洋氏から旭井翔一さんに対して編曲が委嘱され、アルトサクソフォンとバリトンサクソフォンのために改作された。

松下くんがPEDROSAXOを日本に招聘した際の、デュオ・リサイタルで初演された。PEDROSAXOの自作自演の強烈さに対抗するにはチック・コリア!と考えたことがきっかけになり、松下くんから旭井さんへの委嘱が行われたとのこと。「アルマンド・ルンバ」の他にも「チルドレンズ・ソング」などいくつかの作品が演奏され、同リサイタルにおいては、松下くんが手掛けたチック・コリアのステージもPEDROSAXO以上に鮮烈、大変な感銘を受けたことをよく覚えている。名古屋公演では瀧彬友さん、横浜公演では塩塚純くんがバリトン・サクソフォンをそれぞれ担当した。横浜公演の時の動画が、YouTubeにて公開されている。



アルト・サクソフォンであるとほぼ演奏不可能なレベルで高音域連発なのだが、そこに目をつけて「ソプラノとバリトンだったらもう少し現実的にいけるのでは!?」「あ、そのまま四重奏アレンジを委嘱しちゃおう!」と考え、旭井さんに再編曲をお願いした次第。10/26の演奏会ではそのソプラノ&バリトンのデュオ版を、12/21の演奏会では四重奏版を、それぞれ演奏するが、いずれも初演となる。10/26は、ソプラノちさ、バリトン望でお送りする。

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
加藤昌則 - オリエンタル
ピーターソン - トリオより第3楽章
コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
伊藤康英 - 木星のファンタジー
JacobTV - Grab It!
グレゴリー - 干渉
木山光 - ハデヴィッヒII

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2014/10/08

10/26演奏会の演奏曲紹介(オリエンタル)

いろいろと書くネタ溜まっているのだが、10/26の宣伝をし始めないと…。という曲で、各曲のこだわりを書いていく。

もともとはヴァイオリンとアルトサクソフォンのために書かれたが、須川展也氏、ケネス・チェ氏のために改作され、Crystal RecordsよりCD録音化。ソプラノサクソフォン、アルトサクソフォン、ピアノのための、8分ほどの作品である。このCDの中では、個人的にはいちばん好きな作品だ。妙に片翼に振り切れず、クラシックとポピュラーの境界を見事に走り抜ける筆致に感動したものだ。泣き所とかっこよさが同居する構成感も、うまい具合にツボを押さえており、加藤氏のニヤリとした顔が思い浮かぶ(見たことないけど)。

時折聞こえてくるフラッターやスラップなどの特殊技巧も、良いスパイスになっており、この使い方も巧いなあと。中間部を抜けた後の疾走感は、見事。最終部の超絶ユニゾンにもご注目あれ。

ソプラノちさ、アルトかじた、ピアノびるでお送りする。

ちなみに、当日のリハーサルまではお互い聴く機会もない(はず)なので、私自身も演奏を聴くのが楽しみだ。

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
加藤昌則 - オリエンタル
ピーターソン - トリオより第3楽章
コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
伊藤康英 - 木星のファンタジー
JacobTV - Grab It!
グレゴリー - 干渉
木山光 - ハデヴィッヒII

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"奏" plays Vivaldi on YouTube(音のみ)

鈴木研吾さんよりご案内いただいた。先日名古屋で開かれた、サクソフォン四重奏団~奏 kanade~のリサイタルの録音が、YouTubeにアップされている。残念ながら音だけで、映像は無いのだが、リサイタルの雰囲気をよく伝えている。

ということで、とりあえずヴィヴァルディを聴いてみた。ピシっとした輪郭と、密度の高い良い意味で金属的な響きは、最新のトレンドとはまた少し違うところにあると思うのだが、バロック作品にピタリとあてはまり、特に、両端の急速楽章には強い説得力があると感じた。この作品がサクソフォンで演奏されているのは初めて聴いたのだが、アレンジは鈴木さんかな?

ヴィヴァルデイ 調和の霊感より第8番 第1楽章
https://www.youtube.com/watch?v=MAArbTo4zIU

ヴィヴァルデイ 調和の霊感より第8番 第2楽章
https://www.youtube.com/watch?v=IsbcPOvMTQw

ヴィヴァルデイ 調和の霊感より第8番 第3楽章
https://www.youtube.com/watch?v=HTGMUsNA6G0

残りの曲についてのレビューはまた後日改めて。

2014/10/07

Quasar plays Andriessen & Zappa on YouTube

カナダの四重奏団であるQuasar Quatuor de Saxophonesによる、アンドリエセン、ザッパの作品の演奏。この団体がまだ現役で活動しているとは知らなかった!音色には若干クセ(ちょっとジャズ風?)があるが、見事なテクニックとテンションで魅せてくれる。取り上げているレパートリーも素敵だ!

Louis Andriessen - Facing Death


Frank Zappa - Zoomby Woof, Black Page, ?(ロシア語で読めず)


Marie-Chantal Leclair, soprano
Mathieu Leclair, alto
André Leroux, tenor
Jean Marc Bouchard, baritone

以下は、mckenさんのページより引用させてもらった。

1993年結成、モントリオール大学の出身者によって結成、モントリオールを拠点に活動する団体。主に現代音楽、特にカナダの作曲家への委嘱作品をレパートリにしており、レパートリのリストを見ても馴染みのあるメジャーな曲はごく数曲しかありません。ケベック現代音楽協会に属し、カナダ国内はもとよりヨーロッパでの演奏活動も行なっています。なお、ソプラノ奏者で音楽監督のルクレールは女性、アルト奏者のルクレールとは夫婦のようです。

2014/10/05

Mark Bunce "Waterwings" on Vimeo

アメリカのBowling Green State Universityに勤めるサウンドエンジニア、作曲家である、マーク・ブンス Mark Bunce氏によるアルトサクソフォンとエレクトロニクス(Max/MSP)のための作品「Waterwings」。その作品と、映像を融合させた動画がVimeoにあることをtfm氏に教えてもらった。

同大学のサクソフォン・クラスを受け持つ、名手ジョン・サンペン John Sampen氏との共同作業により生まれた作品だ。神秘的な響きと、効果的なディレイ・エフェクトにより、名曲と言える作品だと思う。サクソフォンとエレクトロニクスの作品を聴いたことがない方も、自然に聴けるのではないだろうか。このい動画では海をテーマにした映像が付加され、新しい魅力を生み出していると感じた。

Waterwings from Carlo Conti on Vimeo.


2009年3月に演奏した時に書いたプログラム・ノートを貼り付けておく。電子音楽の歴史まで書いたせいか「プログラムノートが長くて難しい」という感想をいただいたことを覚えている(苦笑)

マーク・ブンス「ウォーターウィングス」
Mark Bunce “Waterwings” for Saxophone and Electronics

 電子音楽と呼ばれる音楽ジャンルは、第2次世界大戦後から1960年代にかけて、前衛の旗手と呼ばれた作曲家たちによって、爆発的に普及しました。初期の電子音楽は、完成した作品がテープに記録され、聴衆が作品を鑑賞するためには、そのテープを再生するしかありませんでした。しかし1960年代、コンサートホール等の演奏会場でリアルタイムにエフェクトを施し、結果をスピーカーから出力する“ライヴ・エレクトロニクス Live Electronic Music”という分野が登場します。電子音楽の旗手:カールハインツ・シュトックハウゼンの代表作「ミクロフォニー」は、その分野の代表的な作品であり、打楽器とマイク、アナログフィルタによって、マイクから入力した音に対して処理を施すものでした。
 時代はさらに進み、音楽にコンピュータが使用されるようになると、フランスの音響研究所IRCAM(イルカム)においてSogitec 4Xというシステムが開発されました。これは、従来アナログの電子回路で行っていた音素材に対する変調処理を、コンピュータ上でデジタル処理することを目指したものです。このSogitec 4Xは形を変え、現在はMax/MSPと呼ばれるPC上で動作するシステムとなり、電子音響を扱う常套手段として世界中の作曲家に使われています。
 「ウォーターウィングス」は、アルトサクソフォンとMax/MSPシステムのために1993年に書かれました。サクソフォンと電子音響のコラボレーションは、すでに1980年代から興っていましたが、リアルタイムシステムを使用した楽曲としては、最も初期に作られたものの一つです。アメリカのサクソフォンの名手、ジョン・サンペン氏のために書かれ、作曲以来欧米では大変演奏機会が多いとのこと。国内では、本日の演奏が初めてとなります。楽曲は、水の中を飛翔する鳥をイメージしています。全体は、Prelude、Nghtflight、The Returnの3つのセクションに分かれており、水中に響くような、全編を通して静かな音響が印象的です。
 作曲者のマーク・ブンスは、アメリカのBowling Green State Universityの音響部門に勤務するレコーディング・エンジニア、作曲家です。楽譜とMax/MSPパッチの入手、及び演奏上のアドバイスに関してお世話になったブンス氏に、この場を借りて感謝申し上げます。
(楽譜:私家版)

サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第14回定期演奏会

【サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第14回定期演奏会】
日時:2014年10月4日(土)19時開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
料金:入場無料
曲目:
岡野貞一/前田憲男 - もみじ
梁田貞/池辺晋一郎 - どんぐりころころ
C.ドビュッシー/中村均一 - ベルガマスク組曲より前奏曲
G.ピエルネ/M.ミュール - 昔の歌
J.フランセ - 小四重奏曲
W.A.モーツァルト/R.シビング - 五重奏曲ハ短調K.406
A.リード/中野明 - 序曲「春の猟犬」
中田喜直 - 夏の思い出
A.グラズノフ/中野明 - バレエ音楽「四季」より秋
L.アンダーソン - そりすべり(アンコール)
いつもの(アンコール)

ステージマネージャーとして参加。これまで何度か演奏会を聴きに伺ったことはあったのだが、裏方としては初めて。14:00過ぎにみなとみらいホールに到着して(なかなか複雑な構造で、小ホール近辺は覚えられたのだが、他は良くわからなかった)、リハーサルの一部に参加、休憩を経て、舞台の仕込みをしていると、あっという間に開場・開演。14回を重ねる演奏の熟練さと、客席から送られる拍手の良い雰囲気の中で、演奏が進行した。袖からしか聴けなかったが、やはり一部最後のモーツァルトは印象深く、また、ラージでの演奏の迫力も素晴らしく、ホールを震わせていた。

みなとみらいホールの裏は初めて。小ホールの演奏会は、なめら~かさんの演奏会以外にもこれまで何度か聴きいてるが、裏方としてではあっても、ステージに立つことができたのは感慨深い。あの曲面の反響版を間近で触れ、見ることができたのだが、実に精度高く、いったいどんなふうにして作られているものかと考えたのだった。

打ち上げも参加させていただき、最寄りの最寄りまでの終電に間に合って日付が変わって1:00過ぎには家に帰り着くことができた。楽器を持っていなかったので、30分弱の歩きも楽ちん(笑)雨も降らなくて良かった。

関係者のみなさま、お疲れ様でした!

2014/10/04

演奏会情報:サクソフォン・アンサンブル なめら~か2014

TSQの午前練習までに時間がないので取り急ぎのご案内…。

本日夕刻は、おなじみ、Thunderさん主宰のサクソフォン・アンサンブル なめら~かの演奏会!

【サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第14回定期演奏会】
日時:2014年10月4日(土)19時開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
入場無料(整理券等は不要です)
曲目:
日本の抒情~秋(どんぐりころころ、もみじ)
フランセ/小四重奏曲
モーツァルト/五重奏曲ハ短調K.406
A.リード/序曲「春の猟犬」
中田喜直/夏の思い出
A.グラズノフ/バレエ音楽「四季」より秋 他
後援:日本サクソフォーン協会

選曲コンセプト(?)は"なめら~かの四季"とのこと。

なぜかステマネを務めることになった。ということで、休憩時間にはステージ上でドタバタしていると思います(笑)。みなさま、みなとみらいにぜひお越しください。

2014/10/03

日本ラージサクソフォンアンサンブルサミットの写真

今日はスティーヴ・ライヒの誕生日。

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K氏のFacebookウォールより。先日参加した日本ラージサクソフォンアンサンブルサミットの、演奏会レポートのページに、全体合奏の写真(これはすでにアップロードされていた)に加えて、各団体の写真が掲載され、演奏会全体の写真が出そろった。

http://www.mi-bemol.com/_task/gallery_viewer/140915_gallary_Summit.html

写真を眺めて、またあの充実した3日間をなんとなく思い返すのだった。日々の演奏活動にしっかりと還元していきたい。

2014/10/01

Saxophone Quartet Athena appers on MUSIC SHARE

本田みちよ氏が司会を務めるインターネット音楽番組、https://www.facebook.com/MUSlCSHAREに、Saxophone Quartet Athenaが出演した回の動画がYouTubeにアップされていた。本多俊之氏出演を契機として、アテナSQに話が来たそうだ。放送自体は、今年の春だったとのこと。

ソプラノ塩安氏がインフルエンザのため(!)出演できなくなったとのことで、トリオ編成により6曲が演奏されている。

ドメニコ・スカルラッティ「鍵盤ソナタより」
エリック・サティ「気取り屋の3つのワルツより"彼の鼻眼鏡"」
エリック・サティ「干からびた胎児より"ナマコの胎児"」
バルトーク・ベラ「ミクロコスモスより"うさぎ"」
バルトーク・ベラ「ミクロコスモスより"6つのブルガリア・リズムの一曲"」
ジャン=フィリップ・ラモー「新しいクラヴサン曲集より」

本田みちよ氏(サクソフォンについてはそれほど造詣はないようだ)によるインタビューも、逆に、なかなか珍しい切り口で話が進み、なんだか新鮮である。