2014/09/30

フィリップ・グラス「四重奏のための協奏曲」をアコーディオンで

サクソフォンが他の楽器のために書かれた作品を演奏することは数多いが、その逆…サクソフォン以外の楽器がサクソフォンのために書かれた作品を演奏する、という例は少ない。これとか、これあたりがぱっと思いつくが、私が把握している限りは本当に数えるほどしかない。それはすなわちサクソフォンのために書かれた作品の質をそのまま表しているようで、なんとも心苦しいなといつも思っている。

ところで、YouTubeをさまよっていたところ、なんとフィリップ・グラスの「サクソフォン四重奏のための協奏曲」を、アコーディオン四重奏で演奏している、という録音を見つけた。よりによって、フィリップ・グラスのこの曲とは…目の付け所がシャープだ。下記リンクからどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=TEw-9sZWJB8

オリジナル(サクソフォン四重奏とオーケストラ)はこちらから。ボヘミア四重奏団の演奏。そういえば、尚美学園大学のオーケストラと、雲井雅人サックス四重奏団の演奏で聴いたのは、もう何年前のことだろう。懐かしいなあ。

BASUYAのページ

渡瀬英彦先生が主宰するユニット、BASUYAと、そのウェブページをご紹介。

バスフルートの魅力を広めるべく結成された「全日本バスフルート普及協会」なるアヤシイ(笑)団体がある。その団体に所属するメンバーから構成されるバスフルートのユニットがBASUYAなのか、全日本バスフルート普及協会イコールBASUYAなのか、細かいことはよくわからないのだが、そんなバスフルート成分(どんな成分やねん)たっぷりの団体である。

http://www.basuya.info/

実際、私もバスフルートの音を前にして、これまで体験したことのなかったような得も言われぬ感覚に陥ったことを思い出す。管楽器の"始原"(自然界の何かしらがかろうじて人工物となったその境界)を垣間見るような、何か見てはいけない彼岸を目にしてしまったような、そういった怪しい魅力を放つ楽器である。C管フルートが単純に低くなっただけではない、もっと違う何かが憑りついているような気さえしてしまう。

10/6には外苑前でライヴもあるそうな。興味ある方は伺ってみてはいかがだろうか。

上記ページには、全日本バスフルート普及協会のメンバー一覧が載っていた。いつの間にか斎藤和志氏が加入していて、びっくり!

渡瀬英彦(全日本バスフルート普及協会会長)
榎田雅祥(全日本バスフルート普及協会副会長)
寺田正彦(全日本バスフルート普及協会音楽監督)
斎藤和志
東貴美子
山田くに子

フェイスブックのページもできていた。
https://www.facebook.com/basuya.fl

上野耕平氏の1stアルバム発売予定

上野耕平氏の1stアルバムが来月発売となる。その名も「アドルフに告ぐ」…そう来たか!アドルフとは、もちろんこの場合今年生誕200周年を迎えたサクソフォンの発明者、アドルフ・サックスを指しているのだが、手塚治虫の名作「アドルフに告ぐ」と掛けているのだなと、すぐにピンときた。余談だが、私の実家に手塚治虫の400冊の全集が所蔵されているのだが、それをすべて読んだ身として、最高傑作として挙げたい作品の一つにこの「アドルフに告ぐ」がある。文庫サイズで5冊の漫画に収められた、大河ドラマばりの重厚長大なストーリー、魅力的なキャラクター、時代考証の緻密さに驚き、何度も読み返したものだ。

と、話が逸れた。前々回の管打楽器コンクールで入賞した上野耕平氏。最近も各所で活躍のようだが、昨年録音のアルバムがついにリリースの運びとなり、嬉しいことこの上ない。プログラムは、シンプルに、真っ向から勝負!という感じで期待が高まる。ピアノは佐野隆哉氏とのこと。

吉松隆「ファジイバード・ソナタ」
アルフレッド・リード「バラッド」
ポール・モーリス「プロヴァンスの風景」
ポール・クレストン「ソナタ」
ユレ・ドゥメルスマン「ファンタジー」

楽しみだなあ。詳細は下記コロムビアのページから。
http://columbia.jp/uenokohei/

Amazonでも予約を開始していた。アドルフに告ぐ

2014/09/27

服部先生レッスンでした

川崎市の某所にて、服部吉之先生のレッスン。Tsukuba Saxophone Quartetの12/21の演奏会で演奏する予定の、J.S.バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」を持っていった。服部先生とはちょくちょくご一緒しているのだが、先生に四重奏でレッスンを受けるのは久々。今のメンバーでレッスンしていただくのは初めて。

期待通りの素晴らしいレッスン。実は「シャコンヌ」は、もう3年近くも演奏しているにも関わらずレッスンに持っていくのは初めてだったが、もっと早く持っていけば良かったと思ったのだった。このアレンジは"(ロマン派の要素を盛り込んだ)ブゾーニ編からの再創造"と言えるような譜面ではあるが、ロマン派的な表現に逃げていた部分が露わになり、しかしもっとバロック的な表現を押し出すことによって強い説得力が生まれていく、そんなプロセスを体感した。メモを取って頭でわかっていても、演奏にそれを反映できるかは、これからの練習にかかっている。がんばろっと。

レッスンの後は、スタジオで四重奏の合わせ。「シャコンヌ」の復習と、「ハデヴィッヒII」の練習。

自宅に戻って夕食を取り、一休みしたあとは、個人練習へ。個人練習では「ハデヴィッヒII」に集中して取り組んだ。

【Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concert Vol.6】
日時:2014年12月21日(日)18:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷センター・音楽ホール
入場料:1,000円
プログラム:
C.コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(サクソフォン四重奏版委嘱初演)
J.L.d.ティロ - トルメンタ・タンゴ
木山光 - ハデヴィッヒII
J.S.バッハ/伊藤康英 - シャコンヌ
D.マスランカ - レシテーション・ブック
チケット問い合わせ:info@tsukubasq.com

2014/09/26

練習頻度を

10/26@アーニーズスタジオと12/21@ルーテル市ヶ谷のTSQ演奏会に向けて、個人練習の頻度を上げている。半年以上前から曲目が決まっていたのだから、もっと事前に頑張ればいいものを、どうしても毎回こうなってしまう…が、今更くよくよしても仕方ないので、練習するしかない。最近はソロ曲とともに、「ハデヴィッヒII」をひたすらさらっているが、難航している。

演奏会の詳細は、こちらから。
http://www.tsukubasq.com/

ちなみに明日は、服部先生の四重奏レッスン。楽しみ~

Claude Delangle with CCOHK on YouTube

パリ国立高等音楽院サクソフォン科教授のクロード・ドゥラングル Claude Delangle氏と、香港シティ・チェンバー・オーケストラ(City Chamber Orchestra of Hong Kong、以下CCOHK)の共演動画がYouTubeにアップロードされていた。どうやら、CCOHKの公式アカウントがアップロードしたようだ。王道であるカプレ、イベール、ミヨーに加え、ピアソラも。たっぷりと楽しむことができる。

ドゥラングル教授の演奏は、骨太で存在感抜群。さすがとしか言いようがない。CCOHKにはもう少し頑張ってほしい場面が散見されるが、とはいえこれだけオーケストラにとって難しい曲が続く中でなかなか健闘している部分も多い。「タンゴ・エチュード」などは、特に両者ノリノリで聴きごたえがある。

アンドレ・カプレ「伝説」


ジャック・イベール「室内小協奏曲」


ダリウス・ミヨー「世界の創造」


アストル・ピアソラ「タンゴ・エチュード」




2014/09/25

サクソフォン交流会ウェブサイト移転

サクソフォン交流会のウェブサイトが移転した。Google Sitesを利用することによる、運営側のメンテナンス性を向上がねらいである。

https://sites.google.com/site/saxkouryukai/

すでに第6回サクソフォン交流会事務局は動き出し、数か月以内に参加団体募集も開始する。ぜひブックマークを。

Dave Heath "Dawn of a New Age"

Dave Heath「Dawn of a New Age」の録音。演奏者は下記の通り。サクソフォンは、ジョン・ハール氏だ!

Evelyn Glennie, percussion
John Harle, soprano sax
Phillip Smith, piano

曲の素性が良くわからないのだが、Dave Heathの曲ってやはりかっこいいなあ。もちろん、演奏のすばらしさに起因する部分も大きいのだろう。

デファイエ四重奏団のCBSソニー盤(小品集)復刻

デファイエ四重奏団の、日本国内ではCBSソニー盤として発売された2枚のLPは、今や伝説的な録音として語り継がれる内容であるが、なんとそのうちの1枚が復刻されるようなのだ。
http://www.u-canshop.jp/suisougaku/

何かの企画物のようだが、この中で「サクソフォーンアンサンブルの至芸」という1978年録音の一枚に注目。件のLPと同様の収録曲、デファイエ四重奏団の名前が記され、1978年録音、さらにソニー・ミュージックダイレクトが協力と、99.9%、このLPと同一音源と考えて良いと思う。

私のブログでも以前紹介している。木下直人さんに復刻していただいたのだ。下記記事中、2枚目のLPである。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2008/03/qcbs.html

ぜひ多くの方に聴いてほしいところだが…それにしても、全巻セット販売のみ、一括販売価格29,800円とは厳しいなあ(苦笑)。

ところで、「日本最高のディレクターズバンド」という、なんだかすごいメンバーによる吹奏楽の演奏も一緒に復刻されるようだ。これについてもLPを某氏からお借りし、自分でLPからトランスファーした録音を持っている。久々に聴いてみたが、やっぱりいろいろな意味で凄い演奏だな、これは。

2014/09/23

松雪明先生のウェブページ

最近まで知らなかったのだが、松雪明先生のウェブページが公開されていた。大学時代に吹奏楽団のトレーナーということでお世話になり、以来さまざまな場所で気にかけてくださっている。昨年も、TSQで「クープランの墓」をレッスンしていただいたなあ。

http://mtyk1770.wix.com/mtykakr-

演奏案内のページで気になるのは、来年1月の、Saxophone Quartet Clearなるカルテット(ウェブ内情報によれば、Sop.松雪明、Alto.坂東邦宣、Ten.横山篤史、Bar.牧山圭介という布陣とのこと)の結成演奏会。チェックしておかなければ。

また、ディスコグラフィのページでは、吹奏楽関係者にはおなじみ、Legendaryシリーズの、"福岡工業大学附属高校吹奏楽部「Legendary Ⅳ」に参加している旨が書いてあった。これは知らなかった…!

Facebookページも!→https://www.facebook.com/mtykakr

香川小旅行

ダッパーサクセーバーズさんとの打ち合わせを実施したのが日曜夕方。せっかくなら、ということで、月曜に有給休暇を取得し、香川を小旅行。

日曜午後には栗林公園へ。5年ぶり2回目(ダッパーさんに連れて行っていただいたこの時以来)。月曜日は、午前にうどん屋めぐり(池上製麺所谷川製麺所赤坂製麺所)をし、午後から直島へ。直島も見どころが多かったが、特に地中美術館(設計:安藤忠雄)は、これまで私が足を運んだことのある美術館の中でも最も大きな印象を残す場所であった。モネ「睡蓮」、ジェームズ・タレル「オープン・フィールド」は、誇張なしに鳥肌が立ちっぱなしの"空間の体験"であった(もし行かれるのであれば、人が少ない平日に!)。そして、今日火曜日は、瀬戸大橋の中間地点にある与島へ。

いやー、楽しかった!写真は、与島より望む瀬戸大橋。

BBC Proms 2014/9/4全編の動画

先日紹介した映像の、コンサート全編の動画。前回紹介した時は、ジョン・アダムス「サクソフォン協奏曲」だけの抜粋であった。この動画にはマカリスター氏のインタビューも収録されており、そちらも観る価値あり!マーラーは、それほど私自身この曲を聴きこんでいるわけではないのでコメントできず(笑)マーラー演奏前には、なんとコリン・マシューズがステージ上に!

2014/09/21

第6回交流会打ち合わせ@高松

本日昼ころ高松入りし、夕方よりダッパーサクセーバーズの皆様と交流会の打ち合わせ。屋島の一鶴にて。いろいろと意見や提案もいただき、身のある打ち合わせになったと思う。やはり、ダッパーさんの、ノウハウの蓄積量や、アイデアの多さ、運営の強固さは素晴らしく、現地打ち合わせを持ってとても良かったと感じた。

お忙しい中、ありがとうございました!>ダッパーのみなさま

二次会は鶴丸2号店だったが、思いがけずのTさん登場に驚く(笑)こちらもありがとうございました!

2014/09/20

ご案内:TSQ演奏会@アーニーズスタジオ

10月に、Tsukuba Saxophone Quartetとしてこんな演奏会を開く。以前プロフィール写真を撮影してもらった、アーニーズスタジオさんでの演奏会だ。いちおう、12/21の演奏会のプレコンサート、という扱いなのだが、気が付いたらずいぶんヘビー級になってしまっていて、目下ガリガリ練習中。

【Tsukuba Saxophone Quartete Concert Vol. 5.5 at Ernie's Studio】
出演:Tsukuba Saxophone Quartet
日時:2014年10月26日 14:00開演
会場:アーニーズスタジオ
料金:入場無料(投げ銭制)
プログラム:
ピーターソン - トリオより
加藤昌則 - オリエンタル
コリア/旭井翔一 - アルマンド・ルンバ(S.Sax & B.Sax版初演)
伊藤康英 - 木星のファンタジー
JacobTV - Grab It!
シゲル - 黒丸鴉(コクマルガラス)
木山光 - ハデヴィッヒII

私は、ソロとテープのオリジナル作品として「Grab It!」「黒丸鴉(コクマルガラス)」を、また、四重奏で「ハデヴィッヒII」を演奏する。「黒丸鴉」はたぶん日本初演。独特な難しさがあって練習難航中。がんばる!

自分で演奏する曲を含め、各曲についてはいずれブログ上で魅力やこだわりを書いていく予定。

入場無料なので、特に予約等はせず、そのまま会場にお越しください。

(チラシ・クリックして拡大)

2014/09/19

Bijou Sax Quartet Live@大阪Misty

先週末三連休の2日目の夜(9/14)は、大阪市・曽根崎新地にあるライヴバー「大阪Misty」に、ビジュー・サックス・カルテット Bijou Sax Quartetのライヴを聴きに伺った。この連休中に、日本ラージサクソフォンアンサンブルサミットで、同じ団体としてメンバーの皆さんと共演(と口に出すのもおこがましいほどだが…)させていただいたのだ。

BijouSQは、東海地方で活躍する四重奏団。ジャズ系統のレパートリーを得意とする。
https://www.facebook.com/BijouSaxQuartet

団体の名前は前からよく知っていた。というのもこの動画を観たことがあったため。数年前の、名古屋サックスフェスタでの演奏である。これがめちゃくちゃカッコイイのだ。今回初めて演奏を聴く機会に恵まれたのだが、いやはや、期待以上の素晴らしいものだった!そして、なんとこの動画の演奏よりも、さらに進化していた!



ジャズを演奏するカルテットはいくつかあるが、基本的なセクションワーク(発音、音程etc)の精度がいまいちしっくり来ず、お気に入りのカルテットを見つけられないでいた。BijouSQの面々は(クラシックを専攻していたことがあるからなのか)そういった部分を完全にクリアしている。さらにジャズの専門家でもありことからアドリブやリズムのニュアンスまで確実こなすという、いずれの方面にも強みを持つ、珍しい団体だ。だから、純粋なジャズの専門家が集まったカルテットよりも、普通のクラシックのカルテットがジャズをやるよりも、私にはしっくり来たのかもしれない。また、アレンジといった面でもすばらしく、三輪氏によれば40曲近くのレパートリーがあるとのことで、この日はアンコール含め8曲が披露された。

メンバーは、下記の通り。
三輪一登, s&asax
渡辺志穂, asax
横原由梨子, tsax
川地立真, bsax
山田信晴, dr

また、ゲストとして黒田雅之, sax、馬田一郎, gtが出演。セットリストは下記の通り。黒田氏の演奏のは曲目がわからず…

黒田雅之&馬田一郎にて3曲
B.Kaper/arr.三輪一登 - On Green Dolphin Street
B.Timmons/arr.三輪一登 - Moanin'
H.Hancock/arr.三輪一登 - Chameleon
M.Jackson/arr.三輪一登 - This is Bijou

黒田雅之&馬田一郎にて4曲
D.Gillespie/arr.三輪一登 - A Night in Tunisia
?/arr.三輪一登 - Strasbourg(?)
三輪一登 - Four Voices ~I couldn't hear your voice~
C.Corea/arr.三輪一登 - Spain

P.W.エリス/arr.三輪一登 - The Chicken(アンコール)

ゲストの黒田氏の演奏は、まさに燻銀といった感じの味わい深いもの。全音域で均一性のある音色と、見事なアドリブを楽しんだ。黒田氏は、全曲テナーサクソフォン。ちなみに、この次の日に開かれた日本ラージサクソフォンアンサンブルサミットではTubaxを演奏していた。演奏で使われていたテナーサクソフォンのネックは、どう見ても木で出来ていたようなのだが、そんなネックがあるのかと驚いてしまった。リクエストに応えながらしっとりと3曲を奏ていた。

ビジューSQの演奏は、1曲目の「On Green Dolphin Street」からアドリブ、セクションワークともに全開。ジャズ、といよりも、ファンクの要素が多いかもしれない。ドラムスが繰り出すリズムに乗って、バリトンがオスティナートを奏で、さらにその上でテーマのセクションワークが展開され、バッキングを伴って自由闊達にアドリブを取っていく、というスタイル。前述のとおり、セクションワークもソロも実に巧く、そして熱くて、驚いてしまった。ソロにビシっとした構成感があるのもいいなあ。

「Chameleon」では、ドラムス山田氏の教え子で、台湾から日本に留学している方(お名前失念…)をドラムスに迎えての演奏。これもまた楽しい。1部最後に演奏された「This is Bijou」は、マイケル・ジャクソンの作品のメドレー。「Thriller」から始まり、めぐりめぐって「Black and White」が聴こえてきたところで終わるとおもいきや、なんとJackson5へと時代を戻すというサプライズ。これは嬉しかった!会場も大盛り上がり。

後半も、さらに黒田氏の演奏で4曲演奏された後、「A Night in Tunisia」から開始。横原氏、三輪氏のソロの強烈なソロ、そして、あまりに手技がすごすぎる山田氏(あまりに速すぎて耳で追えないほど笑)のドラムス。3曲目では三輪氏のオリジナル曲まで交えて、最後は定番(と思われる)「スペイン」で、会場まで巻き込んでの大騒ぎ。いやー、かっこいい!!

アンコールは、黒田氏&馬田氏も交えて、「The Chicken」。大セッション大会となって、果てしなく盛り上がって幕となった。いやはや、凄かった。ここまでまた聴きたいと思った団体も久々だなと…またぜひライヴに足を運びたい。そしていつか東京方面にも来てくれないかな(というか、なんとかして呼びたいぞ、これは)。もしお近くでBijou Sax Quartetのライヴがあったら、ぜひ一度聴いてみることをおすすめする。誰もが楽しいと思うはず!

2014/09/18

第6回サクソフォン交流会事務局キックオフ

昨日は、新宿の燻製屋にて、第6回サクソフォン交流会事務局のキックオフミーティング。前回交流会の反省会資料を元に、各アイディア出しと議論を行った。第5回に引き続いて、統括は私が行うこととなった。今週末には高松での打ち合わせも控えており、いよいよ来年、2015/4/25@サンポート高松に向けて交流会の運営陣が動き出す。現地協力団体をダッパーサクセーバーズさんにお願いし、また関東側のメンバーにも新規のメンバーに参加いただいてる。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2014/09/15

日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット

充実した三日間が終了。練習〜本番の流れを書いておく。日曜夜に聴いたビジューSQの素晴らしいライヴについては、別記事として書くこととして、この記事ではサミットに関係した諸々を書いておく。

【日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット】
出演:(後述)
日時:2014年9月15日(月・祝)15:00開演
会場:いずみホール(大阪市)
プログラム:
〜幕前〜
W.A.モーツァルト「フィガロの結婚序曲」(相愛大学)
〜第一部〜
(曲目は後で書く)
エスパルクサクソフォンアンサンブル、Kobe Saxophone Musica、SAX PARTY!、グラシューズサクソフォンアンサンブル、高知WOサクソフォンアンサンブル、柏友会サクソフォン合奏団、F.G.サクソフォン・クラブ
〜第二部〜
R.シュトラウス/野原武伸「メタモルフォーゼン」(リエゾンサクソフォンアンサンブル)
高昌師「木霊」(ミ・べモルサクソフォンアンサンブル)
J.ブラームス/ミ・べモル「ハイドンの主題による変奏曲」(ミ・べモルサクソフォンアンサンブル)
〜第三部・出演者全員による合同ステージ(指揮:前田昌宏、180名余)〜
G.ホルスト「惑星より火星、木星」
M.ラヴェル「ボレロ」

柏原卓之氏主宰の柏友会サクソフォン合奏団のメンバーとして参加。柏友会サクソフォン合奏団は、初めましての方もお知り合いの方もおり、テナーとして非常に楽しく参加させていただいた。8月に名古屋で事前練習があったのは、以前書いたとおり。

・土曜日
10:00から大阪の南港ACTで練習とのことで、5:22の電車を使って練習会場付近に9:10に到着するつもりが、5:36に起きる。仕方がないので10:00に間に合わせるつもりで身支度・出発し、最寄りから2駅行ったところで楽器を忘れたことに気付く。猛ダッシュで乗り継ぎを繰り返し、予定から一時間ほど遅れて新幹線で、一路大阪へ。大阪は5年ぶり。新大阪より諸々を乗り継いで南港へ。練習場所はまさかのオーシャンビューで、停泊中のさんふらわあを望むこともできた。

午前の合わせの後、お昼ごはんに唐揚げ定食(安くて多くてうまい)をたべ、午後より雲井先生を迎えての合奏レッスン。想像だにしなかったサクソフォンのラージアンサンブルに対するアプローチ!伊藤康英先生の「琉球幻想曲」が、みるみる変わっていった。金言の数々。落ちた鱗で足元がいっぱいになってしまった。

夕方からは懇親会。柏友会として参加されている皆様を始め、いろんな方とお話できたが、Kobe Saxophone Musicaとして参加されていたお久しぶりのT田さんや、初めましてのN村さんとお話できたことや、ビジューSQのみなさんとお話できたことも印象深い。一次会の後、たこ焼きを自分で焼く店(名前失念)に伺って、雲井先生を交えつつたこ焼くのも楽し。この日はカプセルホテルに宿泊(三連休に乗ったライヴやら学会でまともなビジネスホテルが満室、全く予約できなかったのだ)したが、意外な快適さに驚いた。

・日曜日
午前は昨日の続きの練習を再び南港にて。午後は、淀川区民センターにて全員合奏の練習。あまりにでかい練習場所とあまりの人数の多さにびっくり。こちらではなんと、昨年の高松のフェス以来となるプリズムQの皆様に再会でき、嬉しかった。また、これまでFacebookだけであったT中さんご夫妻にもお会いでき、こちらも嬉しかった。ご活躍中の蓼沼さんともひさびさだったなあ。この人数の多さで火星、木星、ボレロとはどうなることかと思ったが、前田昌宏氏の見事な采配とツボを抑えた合奏進行により、きちんと通ったのには驚いた。この合奏の様子については、後日写真をアップしようかと。

練習後は、曽根崎新地のライヴハウス、大阪MISTYに赴いて、ビジューサックスカルテット、ゲスト黒田雅之氏のライヴを楽しむ。この大変素晴らしかったライヴについては、別記事に書こうと思う。最後は、ラーメン「まんねん」にて〆。この日も前述の理由によりカプセルホテル。

・月曜日祝日
朝はシアターBRAVA付近に集合し、正面口よりいずみホールへ。開けた空にそびえ立ついずみホールの建物は、ホールとしての格式を誇示するような、大きな存在感を湛えている。ロビーの落ち着いた内装や調度品が印象深い。11:00頃より柏友会サクソフォン合奏団のリハーサル。ホール内も、美しいステンドグラスに目を奪われ、えもいわれぬ音響に耳を奪われ、だがしかし隣の音はものすごくよく聴こえるという、これまで吹いたホールの中でも屈指の会場であった。

お昼ごはんののち、全員合奏のリハーサル。テナー1stのうち4人はなんとバルコニーでの演奏!パイプオルガンのコンソール付近で、残響に怯えつつも合奏を楽しんだ。練習後、外では聞きに来ていた徳島のがっきーさんに会い、Thunderさんに会い、てらださんに会い、出演のきんじさんイカサマさんFさんとコーヒーを飲む。

幕前は、相愛大学のサクソフォンアンサンブル。前田昌宏氏が指導する大学だ。お揃いの衣装でぴしっと決めた23人のアンサンブルでモーツァルト「フィガロの結婚序曲」を吹いていた。なんとも上手い!指揮無しながら、実に統制され、一貫してテンポの乱れもなく、近年のトレンドである軽やかさも持ちつつの見事な演奏を展開した。驚いた。。。並びも面白い。例えば最前列はSSASATTTT(うろ覚え)という具合。どのようなポリシーに基づいているのか気になる。

一団体目は、トゥジュールSQの辻本剛志氏が中心となったエスパルク・サクソフォンアンサンブル。カバレフスキーの「道化師」からの抜粋。軽やかさと楽しさを併せ持つこの曲、各楽章の性格をきっちり吹き分けて、貫禄を示していた。大人数になった時の吹き分けほど難しい物はなく、そういった意味でさすがであった。

二団体目は、兵庫のT田さん主宰のKobe Saxophone Musica。プッチーニ「ソングス・オブ・トゥーランドット」で、有名なメロディもそうでないメロディも織り交ぜての難しいアレンジだが、素晴らしい音の厚みと発音の均一性が、より説得力を与える演奏だった。これはアマチュアに留まる仕事ではない!すごいなあ。。。終始リードのN村さんもすご。

ここでチューニングのため抜け出した。他の団体も聴きたかったが…。チューニングののち、ステージ袖待機。高知WOサクソフォンアンサンブルのラヴェル「クープランの墓」を袖より楽しむ。

柏友会サクソフォンアンサンブル一曲目は、伊藤康英「琉球幻想曲」。私なんかはホントに末席で響きの力にもなることができなかったが、良い演奏となったと思う。二曲目は斎藤尚久「エアウェイズ」。ポピュラースタイルの作品で、中間部ではビジューSQをフィーチャー。ソロをとったドラムス山田氏、ソプラノ三輪氏、テナー横原氏、いずれもすごい演奏だった!客席も大きく盛り上がる。最後は「ふるさと」でしっとりと。外で記念撮影して解散となった。それにしても、楽しかった!

休憩を挟んで、リエゾンの演奏を聴く。サクソフォンを越え、クラシックとしてその演奏を位置づけようとするその方向性は稀有なものだ。曲中、ゆるやかな変化の中で瞬間瞬間にサクソフォンではない響きが聴こえるという、得がたい体験をした。第一回のリサイタルを思い出すが、あの頃とはまた少しずつ方向性を変えながら、しかし着実にクラシック音楽の世界へと突き進んでいるという印象を受けた。

そしてミ・べモルの演奏。実は生ミ・べモルは初体験だったのだが、開いた口が塞がらないとはこのことだ。テクニカルな面を完全にクリア、ダイナミックながらまったく隙がない。均一な音色と発音、各個が持つテンポ感(いったいテンポの心臓はどこにあるのだろう!?なんで指揮者なしであんなに合うのか…)、さらにステージングまで、「完璧」であった。いやはや、恐れ入りました。。。ある意味では世界最高のサクソフォンラージアンサンブルと、言い切ってしまっても良いのではないか。前田氏がリヨンで学んだサクソフォン合奏を日本に持ち帰り、年月を経て醸成させ、それが現代にあって最高の形として結実している、その流れを実感するものであった。

最後は全員合奏。嬉しい事にお客さんも、満席状態。ステージから湧き上がる音を浴びながら、バルコニーで楽しく吹かせていただいた。自分が巨大なパイプオルガンの構造の中にいるような、夢のような体験であった。特に木星は楽しかったなあ!どたばたと片付けてみなさんに挨拶して帰路へ。帰り際に新幹線の新大阪駅で、リエゾンの貝沼さんと大栗さんにばったり会ったのには驚いた。おみやげを買って、なぜか焼肉の田村のカレーを食べて、新幹線に飛び乗った。

いやはや、実に貴重で得難い経験をさせてもらった。濃密な三日間が終わり、明日からは再び日常へ。祭りのあとは寂しいものだ。

関係者のみなさま、お疲れ様でした、ありがとうございました。また、企画を立ち上げ、200人近くの出演者を動かし、スムーズな進行に尽力した運営のミ・べモルのみなさま、相愛大学のみなさま、ありがとうございました。

バルコニーより、いずみホール内観。百歩譲っていずみホールで演奏する機会がまたあるとしても、バルコニーに乗ってサックスを吹く機会はもう無いことだろう(笑)


(追記)全員合奏の写真が、ミ・ベモルのページにアップされていた。こりゃすごい!こんなことになっていたのか…。http://www.mi-bemol.com/_task/gallery_viewer/140915_gallary_Summit.html

2014/09/14

ご案内:明日のラージアンサンブルサミット

【日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット】
日時:2014年9月15日(月・祝) 15:00開演
会場:いずみホール(大阪城公園駅より徒歩3分)
料金:一般2000円、高校生以下1500円(当日各500円増、全席指定)
プログラム:
第1部 公募参加団体によるステージ
第2部 リエゾンサクソフォンアンサンブル、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルによるステージ
第3部 出演者全員による合同ステージ
問い合わせ:
ticket@mi-bemol.com

明日の演奏会。出演団体は、エスパルクサクソフォンアンサンブル、Kobe Saxophone Musica、SAX PARTY!、グラシューズサクソフォンアンサンブル、高知WOサクソフォンアンサンブル、柏友会サクソフォン合奏団、F.G.サクソフォン・クラブ。さらに、リエゾンサクソフォンアンサンブル、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルのステージがあり、最後には全員(180名)の全員合奏まで!

今日は、柏友会サクソフォンアンサンブルの練習、ならびに、午後は全体合奏(ホルスト「火星」「木星」、ラヴェル「ボレロ」)の練習。あまりの人数の多さに驚いた!初めましての方にもいろいろとお会いし、楽しかった。

練習後は、大阪mistyにてビジュー・サックス・カルテット、黒田雅之氏のライヴを楽しむ。いやー、充実!

詳細は後日。

(追記)

練習~本番と3連休を総まとめでブログ記事書きました。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2014/09/blog-post_15.html

2014/09/13

大阪にいます

5年ぶりくらいに大阪に来ている。

来週月曜日のミ・ベモルのラージアンサンブルサミットのため。今日明日が練習、明後日本番である。

出発は朝早かったのだが、寝坊した上に、電車に乗って数駅進んだところで楽器を家に忘れていたことに気付き、慌てて取りに戻るなどドタバタ。いちおう、練習場所開場の10分遅れで収まったのは不幸中の幸いであったが…。

練習場所は南港。練習場所は港に面し、素晴らしい眺め。停泊中のさんふらわあを望むこともできた。

午後は雲井さんを迎えてのレッスン。様々に技術的な/音楽的な指摘が飛び、足下が目から落ちた鱗だらけになった。いやあ、すごかった…。

これから懇親会である。

2014/09/12

瀧彬友さん演奏の「オーヴェルニュの歌」

松下君のYouTubeアカウントに、瀧彬友(たき・よしとも)さんが演奏するジョセフ・カントルーブ/伊藤康英「オーヴェルニュの歌第一集」の動画がアップロードされていた。

名編曲として名高く、ここ最近でようやくマトモな形で出版されたこともあって、日本国内のサクソフォン奏者の間で少しずつ演奏機会が増えているようだ。2013年の東名高速サクソフォンカルテットの演奏会の映像とのこと。

第1楽章や第2楽章では、シンプルなメロディの持つ響きをしっかりと引き出す。第3楽章では細かい音符も難なくこなしながら、カデンツァでは適度な間合いも保ち、説得力のある演奏を展開する。最後は大盛り上がりだが、きちんと抑制された"オトナ"な演奏!実は瀧さんと私とは同年なのだが、このような演奏ができるのは、結局は最後は人となりから演奏が滲み出てくるからかなあと思うのであった(笑)。黒岩航紀さんのピアノも、多彩な音色を弾き分けており場面ごとにぐっとくるものがある。



以前紹介した、エビちゃんこと海老原恭平さんの演奏と聴き比べてみると、様々なアプローチの違いが面白く聴けることだろう。

http://kurisaxo.blogspot.jp/2013/10/blog-post_30.html

2014/09/11

Amstel QuartetがハデヴィッヒIIを演奏

オランダのサクソフォン四重奏団Amstel Quartetが、木山光「ハデヴィッヒII」をつい昨日に演奏したそうだ。ずっと前にこの作品についてブログに書き、現在12/21のTsukuba Saxophone Quartetの演奏会で取り上げるべく練習を進めているが、なんだか世界的に少しずつ人気が出てくる、その予兆だろうか。
http://splendoramsterdam.com/concerten/het-amstel-quartet

ほんの20秒ほどだが、同カルテットによる抜粋を聴くこともできる。
https://soundcloud.com/amstelquartet/hikari-kiyama-sax-quartet

(追記)
コンサート評が出ていた。オランダ語だが。
http://www.musiqolog.nl/?p=134

2014/09/10

John Adams "Saxophone Concerto" on YouTube

先日ブログでも話題にしたとおり、ジョン・アダムズ「サクソフォン協奏曲」が2014/9/4にイギリス初演された。この時の動画がYouTubeにアップロードされていた。



クレジットは、下記の通り。
Timothy McAllister, saxophone
BBC Symphony Orchestra
Marin Alsop, conductor

映像を観たことでようやくこの曲を咀嚼しつつある。「シティ・ノワール」よりもこちらのほうがずっとシリアスな作品だと考えており、未だになかなか聴いて楽しむのは難しいと思っているのだが、やはり映像の持つ力は大きい。それにしても、ティモシー・マカリスター氏の演奏のクールなこと!

2014/09/09

マレ/秋透「ラ・フォリア」の楽譜

待望の楽譜が発売となる。

「ラ・フォリア サックス四重奏のための」マラン・マレのヴィオールと通奏低音のための31の変奏曲による
http://www.cafua.com/products/detail1490.html

雲井雅人サックス四重奏団の、第2回定期演奏会で演奏された作品である。ちなみに、その第2回定期演奏会の曲目解説は、こちらのリンク(→
http://www.kumoiq.com/conce2.html)より参照できる。2003年6月というと、大学に入学した年で、その頃はまだ雲井雅人サックス四重奏団の名前を知らなかったが、この定期演奏会のThunderさんのコンサート評を見てとても興味を持ったことを覚えている。

この時演奏されたマレ以外の作品…スティラー、ドビュッシー、プッスール、ゴトコフスキーについては、どのような作品であるか、音でも楽譜でも知っているのだが、このマレ作品だけがどのようなアレンジであるか気になっていた。いつか秋透氏にコンタクトして、楽譜を入手することも考えていたのだが、まさか商用販売されることになるとは思わなかった。ということで、どんな作品であるかわからないが何だかすごそう、という意味で「待望の」なのである!笑

もちろん、「ラ・フォリア」ほど力強い変奏曲の主題は、あまり見当たらない("減4度の音程におさまるほど狭い"ながらも、一度聴いたら忘れられない)ため、その主題を元にして、あの「3つの富山県民謡」の秋透氏が手がけたのならば間違いない、という思いにもよっている。

ということで、購入予定。マレ「ラ・フォリア」、バッハ「シャコンヌ」、ピエルネ「序奏と変奏」、グラズノフ「カンツォーナ・ヴァリエ」、チック・コリア「アルマンド・ルンバ」あたりを集めて、"Variations - Old and New"なんていう演奏会を開くのも楽しそうだ。

2014/09/07

オーケストラ・ウィル第6回定期演奏会

昨日、アマチュアでありながらアマチュア離れしたピアノ弾きである"ビルさん"こと塚原啓太氏よりご案内いただき、伺った演奏会。

オーケストラ・ウィルは、茨城大学管弦楽団のOB・OGが中心となって構成された団体とのこと。伊福部イヤーということもあってか、今回の定期演奏会でピアノがフィーチャーされた名曲「リトミカ・オスティナータ」を、塚原氏をソリストに迎えて演奏したのだ。この名曲をライヴで聴けるとは…と、前々より楽しみにしていた。

【オーケストラ・ウィル第6回定期演奏会】
出演:オーケストラ・ウィル、佐々木雄一(指揮)、塚原啓太(ピアノ)
日時:2014年9月6日 18:30開演
会場:つくば市ノバホール
プログラム:
G.ロッシーニ - 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
伊福部昭 - ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ
J.ブラームス - 交響曲第一番

「ウィリアム・テル」を聴いた印象は、思っていたよりも実直型のオーケストラだなあという印象であるが、曲も最終部に差し掛かると指揮者の猛烈な煽りとともに音楽は一層賑やかくなり、続く「リトミカ・オスティナータ」に期待が高まった。

「リトミカ・オスティナータ」は、まさに本日の白眉であった。変拍子を多用した日本的なリズムとメロディによって、そのパワーでもってつべこべ言わずに一気に聴かせてしまう20分ほどの作品である。思わず踊りだしてしまいそうな曲想、そして演奏は会場全体を熱狂させた。久石譲など、日本の映画音楽などに見られるミニマル風な要素は、いわゆる「ミニマル・ミュージック」からの影響ではなく、どちらかと言うと土俗的に醸成されたものからくるものが大きいのではないのかなあ、などと不勉強なりに考え及ぶのであった。指揮者にがんがんと煽られて弾きまくるオーケストラの、楽しそうなこと!塚原氏の独奏も、それはそれは素晴らしいもので、指揮者⇔オーケストラの噛み合わせを見事に乗りこなしながら、曲の推進力の多くの割合を握っていた。テクニカルな面では、素人目にはまったく不安もなく、積極的な表現も随所に垣間見え、舌を巻いた。素晴らしい!

休憩後のブラームスは、恥ずかしながら全て通しでまともに聴いたことは初めてだったかもしれない。主題展開の巧みさは聞きしに勝るほどのもので、プログラム冊子に載っていた譜例を手がかりに、主題が花ひらく様を追いかけようとした。しかし、掬おうとすればするほどブラームスの仕掛けた意表をつく手法によって手からこぼれるばかりであり、かつてシューマン夫妻が認めた見事な音楽性に、改めて感じ入った次第であった。第4楽章のコラールは理屈抜きの感動を覚えたなあ。もちろんオーケストラも、大曲に挑む気概をそこかしこからひしひしと感じる演奏であった。

アンコールは、ルロイ・アンダーソン「舞踏会の美女」であった。おしゃれ!サクソフォンはクラリネットの方が吹いていたのかなあ。

ロビーで塚原氏を囲んで、友人たちと。打ち上げに向かうビル氏とは別れ、この後6人ほどで駅近くに飲みに伺った。素晴らしい演奏を聴いた後は、ついつい饒舌になってしまい、次々と酒を味わう中話が弾むのであった。

2014/09/05

アダムズ「サクソフォン協奏曲」スコア閲覧&イギリス初演の録音

ジョン・アダムズ John Adams「サクソフォン協奏曲 Saxophone Concerto」のフルスコアが、オンライン上で閲覧可能である。

以前も、「シティ・ノワール City Noir」のスコア閲覧について記事を書いたが、それと同様の方法。
http://kurisaxo.blogspot.jp/2013/01/john-adams-city-noir.html

版元であるBoosey & Hawkesがその仕組を提供している。「サクソフォン協奏曲」の楽譜ページへのリンクは下記。
http://www.boosey.com/cr/perusals/score.asp?id=25838

Boosey & Hawkesのサイトに登録(名前などの登録で、お金はかからない)してあれば、ログインして"Click to View score"ボタンを押すだけで、こんな感じのブラウザ上でのオンラインビューワで閲覧可能である。ビューワの使い勝手は少々悪いが、こうやって新しい作品を自由にスタディ・スコアとして参照できるのは、非常にありがたい。ただ単に聴いているだけでは見つけられなかった発見がある。








ついでに、昨日2014/9/4木曜日に同曲がイギリス初演された際の録音を紹介しておこう。ロイヤル・アルバート・ホールにおけるBBC Promsということで、いつものBBC3で聴くことができる。いつまで聴けるかどうか良くわからないので、お早めに!もちろん独奏はティモシー・マカリスター氏である。有名な「Short Ride~」が聴けるのもうれしいですね。
http://www.bbc.co.uk/proms/whats-on/2014/september-04/15098

Timothy McAllister, saxophone(Proms初登場とのこと)
BBC Symphony Orchestra
Marin Alsop, conductor

2014/09/04

CDを整理せねば

タイトル通り。

クラシック・サクソフォンの購入したCDや、頂戴したCD-R、場所は一処に集めてあるのだが、収録曲や団体からすぐに引いてこれない状態である。ということで、来年の頭からCDの整理を開始しようと思う(と、ここで宣言しておく)。

場所の整理(演奏者名順等)ならびに、収録曲のタイトルリスト化。300枚程度なので、1年くらいあれば終わるかなあ。タイトルや収録曲は構造化しておいて、すぐに検索がかけられるようなうまい方法を考えないといけない。

2014/09/03

ご案内:サクソフォン四重奏団"奏"の演奏会

サクソフォンの演奏のほか、マネジメント等でも活躍される、"鈴研音楽会"の鈴木研吾さんよりご案内いただいた演奏会。

洗足学園音楽大学出身のサクソフォン奏者によって結成された"サクソフォン四重奏団 ~奏 kanade~"の名古屋における最初のリサイタルとのこと。私は、実際の演奏をライヴ等で聴いたことはないのだが、鈴木さんの名前とともに団体名を良く知っている。同世代の若い四重奏団を聴くのは、実に楽しい。今後どのように醸成されていくかということを、団体の成長とともに見ていくことができるというのは、実に稀有な体験であるのだ。

名古屋での演奏会ということで、平日のため私は伺うことができないのだが、お近くの方はぜひ。

【サクソフォン四重奏団~奏 kanade~ファーストリサイタルin名古屋】
出演:サクソフォン四重奏団~奏 kanade~
日時:2014年9月17日(水曜)19:00開演
会場:電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋・伏見)
料金:一般2000円 高校生以下1500円 ※当日券共に500円増
プログラム:
A.グラズノフ - 四重奏曲作品109
A.ヴィヴァルディ - 調和の霊感 第8番
M.ラヴェル - クープランの墓 他
問い合わせ:0803-628-1701(鈴研音楽会)
q_kanade「@」yahoo.co.jp

「たしかなこと」


カッチーニ「アヴェ・マリア」


チラシ画像(クリックして拡大)

2014/09/02

ジェームズ・テニー「波の力~シェルシに捧ぐ~」

昨日のベストオブクラシックで演奏されたジェームズ・テニーの「波の力~シェルシに捧ぐ~」の録音を、あかいけさんに送っていただいた。

ラジオのパーソナリティによって読まれた、曲目解説をディクテーションしたので、下記に貼り付けておく。

次にお聴きいただくのは、ジェームズ・テニーの作品です。ジェームズ・テニーは、1934年に生まれて、2006年に70歳を少し越えたところで亡くなったアメリカの作曲家です。基本的にはアメリカのいわゆる"実験音楽"の伝統に属する人です。いろいろな作品を残していますすが、多くの曲が特定の過去の作曲家、あるいは彼と時代を共有していた同時代の作曲家の作品と、関連付けられた形で作曲されています。例えばエリック・サティ、コンロン・ナンカロウ、ハリー・パーチといったアメリカの非常に実験的な作曲家や、あるいはヨーロッパの前衛的な作曲家の基礎となったような人たち、それだけではなくて、クセナキス、フェルドマン、アイヴズ、ヴァレーズ、ケージといったアメリカの作曲家たちについても、関連した作品を書いています。
関連した作品を書く、というのは、必ずしも、そういう人たちの音楽に似たものを書くということではなくて、テニー自身がそれらの音楽のなかで、「こういうアイディアでこの音楽は書かれているのだろう」と考えたそのアイディアを、彼流に換骨奪胎して、まったく元の音楽とは違う音楽を書くという仕事をいくつか行いました。
そしてシェルシについても彼は音楽を書いています。この演奏会はシェルシに関わる音楽の演奏会ですので、ここでテニーの「波の力~シェルシに捧ぐ~」というタイトルの曲が演奏されたわけです。この作品は1996年に書かれたもので、従って、先程申し上げた「シェルシをもう一度訪ねる」というプロジェクトの一部ではないですが、実はシェルシは1980年代になるまで、つまり彼が亡くなる少し前になるまで、ほとんど演奏されることもない、非常に孤立した作曲家だったわけです。80年代から90年代にかけて、すでにシェルシについて非常に強い意識を持っていたということは、シェルシに対する早い時期の評価を代表するものの一つといって良いと思います。
このジェームズ・テニーの曲は、アルトサクソフォンと13人の演奏家からなる小さなオーケストラのために書かれています。タイトルを「波の力」と訳しましたが、英語で"scend"というタイトルになっています。波によって船が持ち上げられる、といった、波が何かを持ち上げるといった意味合いの言葉です。
この曲はきちんと楽譜に書かれているところも少しあるのですが、多くの場所は演奏家の自主的な判断によって演奏を進めていくという要素が入っています。決められた音の高さの中から、その場その場で演奏家が自分で音の高さを選んで、それを10秒から30秒演奏し、しばらく休みを置いて、また違う高さの音を演奏してゆく、という部分がだいぶ続きます。その中から、アルトサクソフォンのソロが音を拾い上げていって、旋律的な要素を作り上げていくという形で音楽が進行していきます。
それでは、ジェームズ・テニー「波の力~シェルシに捧ぐ~」をお聴きいただこうと思います。

解説の通り、非常に強い"持続"と、ゆるやかな響きの変遷を楽しむ作品で、サクソフォンの機動性や音量を活かした作品とは、一線を画する。この、不協和音が連続する中に、時折ぞくっとするような甘い響きも聴かれ、驚かされることもある。

ジャズin藝大の録画を観た

某所で、下記演奏会の録画を観る機会があった。

http://arcmusic.geidai.ac.jp/1916

東京藝術大学演奏藝術センターの松下功氏(作曲家)プロデュースによる、"ジャズ in 藝大"という2012年のコンサートである。

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A列車でいこう(B.ストレイホーン)

語りとジャズ《江戸城最後の日》 ~勝 海舟が語る幕末の群像~(台本:堀口茉純)
お江戸日本橋(江戸古謡/編曲:山本 清香)
二人でお茶を(V.ユーマンス/編曲:角田 健一)
チンドン(松下 功)
葬送行進曲(F.ショパン/編曲:山本 清香)
ムーンライト・セレナーデ(G.ミラー)

朗読と即興演奏のための《霹靂神》(夢枕獏「陰陽師 天鼓ノ巻」より)
前田憲男:“春の海”の主題によるコンチェルト
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松下功氏の司会進行のもと、ヴィーヴォ・ドリーム・バンド(藝大OB&OGジャズ・バンド)というビッグバンドが主体となって演奏を進める。サクソフォンは、バンマスの角口圭都を筆頭に、杉田久子、細川紘希、田中拓也、竹田歌穂(以上、敬称略)という布陣。どえらく洗練されたセクションワークの巧さは、さすがである(当たり前か笑)。

さて、全体を通して非常に感銘を受けた。もちろん、ビシッと決まり、邦楽器まで組み入れたビッグバンドの演奏はさすがなのだが、その土台の上で繰り広げられる世界が楽しすぎた。これはライヴで観てみたかったと思わせるものであった。

「江戸城最後の日」は、勝海舟を題材に、生い立ちから、江戸城無血開城までを、語りと音楽で演じるというもの。台本・語り(勝海舟として演じる)は、"お江戸ル"こと堀口茉純氏で、ダイナミックかつ粋な口上に、すっかり惚れ込んでしまった。これを自身で台本で書いて、演じてしまうというのも凄いものだなと…。また、邦楽~海外の曲のビッグバンド・アレンジが、口上とピタリとハマり、素晴らしい世界観を構築していた。これ、CDかDVDで発売されたら買ってしまうぞ。

また、「朗読と即興演奏のための《霹靂神》」は、夢枕獏「陰陽師 天鼓ノ巻」のテキストを、氏自身が朗読し、山本邦山の尺八、松原勝也のヴァイオリン、山下洋輔のピアノが即興で合わせていくという、なんだかものすごいコンセプトの演奏である。「霹靂神」のストーリーは、以下の様なものである。

舞台は安倍晴明の屋敷。秋の日差しと菊の香の中で、屋敷に逗留する蝉丸の琵琶が響くなか、安倍晴明と源博雅が屋敷の軒先で酒を酌み交わしている。博雅が笛を蝉丸の琵琶に合わせてゆく。気がつくと、次第に雲が覆い始め、大粒の雨が降り、稲妻が光る。突如として、ひときわ明るい稲妻が光った。南の方角、羅城門のあたりに落雷したようだ。…雨風が止み、星と月が見える頃には、すっかり夜もふけ、晴明と博雅は再び酒を酌み交わしはじめた。再び蝉丸の琵琶が響き始め、博雅がそれに笛を重ねる。不意に、どこからか羯鼓(かっこ)の音が響く。どうやら晴明の屋敷の屋根の上から聴こえてくるようである。琵琶と笛と羯鼓の音色が調子を合わせて響く。屋根を踏む音が軒先に近づいていたかと思うと、屋根の上から裸に腰に布を巻いただけの童子がくるりと飛び降りてきた。童子は庭先で笑いながら楽しそうに羯鼓を叩き、それに合わせて蝉丸は琵琶を弾き、博雅が笛を吹く。3つの音色が秋の夜に響き、天へと上ってゆく。…(以下略)

演奏の素晴らしさも然ることながら、ストーリーの神秘性も相まって、捉えどころのない大きな感動を憶えた。そして夢枕獏氏の素晴らしい朗読である!なんと良い声であろう…驚かされた。

2014/09/01

今日のベストオブクラシック

某Y氏から教えてもらったのだが、本日のNHK-FMベストオブクラシック(7:30pm - 9:10pm)において、とあるサクソフォン協奏曲が放送される。

http://www4.nhk.or.jp/bescla/

「波の力~シェルシに捧ぐ」 ジェームズ・テニー作曲
(17分03秒)
(アルト・サクソフォン)ゲラルト・プラインファルク
(管弦楽)クラングフォルム・ウィーン

ジェームズ・テニー James Tenney氏は、1934年に生まれ2006年に亡くなったアメリカの作曲家である。この協奏曲を含めて、下記のサクソフォンを含む作品を書いている。どんな作品なのかなあ。
Scend for Scelsi [asax, chamber orch]
Saxony [s/a/t/bsax, delay]
Sonata [10 winds (incl. asax)]
Stream [fl, eh, cl, asax, fh, vib, harp, va]
Tableaux vivants [cn, bscl, bsn, s/bsax, pf, vib]

ソリストのプラインファルク氏については、最近本ブログで話題にしたばかりであるが(こちらの記事参照→http://kurisaxo.blogspot.jp/2014/05/blog-post_29.html)、また名前を見ることになるとは思わなかった。

この時間帯は仕事のため聴くことはできなさそう。どなたか、もし録音される方がおりましたらぜひ…。