2014/08/30

シャポシュニコワ教授指揮の「サー・パトリック」

ロシアのサクソフォンを支えるグネーシン音楽学校の名教師、マルガリータ・シャポシュニコワ Margarita Shaposhnikova Маргарита Шапошникова教授の指揮による、フィリップ・ガイス Philipp Geiss「サー・パトリック Sir Patrick」の演奏である。



この、細かいことなどお構いなしに突き進む感じこそ、近年世界を席巻しつつあるロシアのサクソフォン界の、精神を形作るベースなのだと思う。そして、この指揮から生み出される強烈な(鮮烈かつ斬新な)表現力である。いやはや、参った…。

シャポシュニコワ氏自身の演奏へのリンクも貼っておこう。こちらも素敵な演奏だ!
https://www.youtube.com/watch?v=HguVZVumngU

YNU Saxophone Orchstra Summer Concertを聴いた

【YNU Saxophone Orchestra Summer Concert】
出演:YNU Saxophone Orchestra
日時:2014年8月30日 17:00開演
会場:杉田劇場
プログラム:
吉松隆 - Fuzzy Bird Sonataより第1楽章
N.リムスキー=コルサコフ/伊藤康英 - 熊ん蜂の飛行
A.ピアソラ/浅利真 - アディオス・ノニーノ
D.マスランカ - ソングス・フォー・ザ・カミング・ディより第8楽章
村松崇継/浅利真 - 生命の奇跡
K.&R.アンダーソン=ロペス/榎本菜々子 - アナと雪の女王
飛鳥涼 - SAY YES
J.ジュフリー/南條雄大 - Four Brothers
葉加瀬太郎/山岡裕之 - 葉加瀬太郎メドレー
A.メンケン - リトル・マーメイド・メドレー
葉加瀬太郎/山岡裕之 - Jack in the Box
久石譲/山岡裕之 - もののけ姫メドレー
R.ワグナー - エルザの大聖堂への行列(アンコール)
和泉宏隆 - 宝島(アンコール)

初めてYNO Saxophone Orchstraを聴きに伺った。午後の練習@埼玉が終わったのだが17:00、そこから神奈川まで移動したため、最後の「もののけ姫メドレー」とアンコールの「エルザの大聖堂への行列」「宝島」だけをかろうじて聴くことができた。

素晴らしい演奏に感銘を受けた。サクソフォンの音の、奥行きのある立体的な重なりが、40人ほどの巨大なアンサンブルから生み出される様をワクワクしながら拝聴した。人数の割には実に統制が取れており、また、あるときには、積極的な表現も聴かれた。時折聴こえてくるソロからは、地力の高さが窺い知れる。

アンコールの「宝島」も、心の底から楽しめるのものであった。

それにしても、この演奏会のプログラムの曲数の多さと、各曲の密度の高さである。今回はあまり聴けなかったので感想も短くなってしまったが、今度はぜんぶ聴いてみたいなあ。

(追記)
この演奏会の模様が、早速YNU SOのYouTubeチャンネルで順次公開されているようだ。
https://www.youtube.com/channel/UC1pP500tXf_ZmTDoNNLJFQQ

2014年第31回管打楽器コンクール特別大賞演奏会

いやあ、素敵な演奏会だった。最初から聴くことができて良かった!

【2014年第31回日本管打楽器コンクール入賞者表彰式・特別大賞演奏会】
日時:2014年8月29日(金)17:00開演
出演:山下一史指揮東京ニューシティ管弦楽団ならびに各部門第一位受賞者
会場:かつしかシンフォニーヒルズ
料金:入場無料
プログラム:
表彰式 17:00-
特別大賞演奏会 17:50-
A.ジョリヴェ - 打楽器協奏曲(岡部亮登, perc)
一柳慧 - マリンバ協奏曲(沓野勢津子, mrb)
A.ウェニアン - ラプソディ(中島諒, sax)
W.A.モーツァルト - オーボエ協奏曲(荒川文吉, ob)
特別大賞授賞式 19:50-

岡部氏は、広島交響楽団の打楽器奏者。神経質なほどのリズムの正確さを武器に、オーケストラとの緻密な絡みを魅せた。それにしても、あのジョリヴェの「打楽器協奏曲」で使用される打楽器の種類の多さよ!後述(※)のとおりで、いったいどういう練習をしているのか、そもそも練習できるのかい、というところが気になる(笑)。また、叩いた瞬間に、きっと奏者自身はオーケストラの音がマスキングされてしまうのだろうな、というそんな苦労も窺えた。

沓野氏は、京都市立芸術大学からボストン音楽院に留学したという奏者。きりりと引き締まった立ちふるまいが印象深い。様々な音色を使い分けながら(時にヴィブラフォンのような音まで!)充実した和声・リズムを持つ一柳慧作品を見事に演奏していた。マリンバ奏者というのは本当に絵になりますね。しなやかな一挙手一投足は、まるでバレエか何かを観ているような、そんな気分にもさせられる。

中島君の演奏は、本当に堂々たるものであった。オーケストラを従えた時に、あれだけ対等に渡り合えるサクソフォン奏者というのも、なかなかいないであろう。骨太に構築された音楽は、強い説得力を持つ。また、クリーンな音色の中にほんのわずかの"良い"ノイズが乗っているところが実に魅力的であり、ホールを一気に満たすポテンシャルを持つ。第1楽章から第2楽章に移った時の音色の変化などは、やはりサクソフォンの良さを存分に発揮している。素晴らしい演奏に酔いしれた。驚いたことに暗譜!

荒川氏は、東京フィルの主席オーボエ奏者。そして、中島君の藝大の同期なのだそうだ。ただただ美しい音色はこれは確かにオーケストラの中で聴いてみたい、と思わせるものである。堅固な下地の上に構築される自由闊達な歌はやはりクラシック音楽のそれである。音程のバラつきが散見されたのと、さらなるダイナミックさがあれば、という感想を持った。

そして結果発表。"アベ賞"こと特別大賞は、ジョリヴェを演奏した岡部氏!であった(ちなみに、結果発表前の井上道義氏の歯に衣着せぬ講評はとても面白かった)。

ところで、サクソフォンは、やはりまだまだ若い楽器=レパートリーの醸成が急務なのだなと思った。一柳慧とモーツァルトに挟まれた時に、果たしてそれらに対抗しうるほどのサクソフォンのために書かれた協奏曲は、まだごくわずかな数しかない。ウェニアンはとても良い曲だが、発展途上の中で出てきた一作品の域を越えきれていないのかもしれない。向こう40年(自分が生きているくらい)のうちに、そういった作品がいくつ出てくるのだろうか。そんな風に、この先のサクソフォンが辿る道に思いを馳せつつ、会場を後にした。某所で軽く飲んで帰宅。

※ティンパニ4つ、スネアドラム2つ、ウッドブロック(以上1楽章)、ヴィブラフォン、チャイナシンバル、サスペンドシンバル(以上2楽章)、ウィップ、シロフォン、ラチェット、カウベル3つ(以上3楽章)、ウッドブロック、木魚3つ、じゃらじゃらした鈴、ハイハット、サスペンドシンバル、シンバル、チャイナシンバル、スネアドラム、トムトム3つ、キックバスドラム、コンサートバスドラム(以上4楽章)

2014/08/29

日本の民謡セレクション on YouTube

雲井雅人氏のFacebookウォールより。今年3月に開かれた、清田朝子サクソフォンコンサートにおける「日本の民謡セレクション~サクソフォーンで綴る四方山話~」の演奏。

清田朝子, alto saxophone
雲井雅人, soprano saxophone ほか



世界各地の民謡(民族音楽)とサクソフォンの相性の良さについてはこれまでも何度かブログ記事で取り上げており、それを再確認する思いだ。これは、サクソフォンの音色が人の声に近いから、とか、そういった単純な理由ではなく、もうちょっと根源的な部分に、その理由があるのだろうが、未だに「これがその理由です」と断言することはできずにいる。

短い楽章(曲)が連なるアレンジではあるが、全体を通してゆるやかな構成感があり、最終部に向けた盛り上がりはわくわく。美しい音色で魅せる2本のサクソフォンの重なりは、ぜひ会場で聴いてみたかったなと思わせるようなものだ。

ところで、いくつかの日本民謡でのブルースの進行を思わせる和声の移ろいは(もしかしたら編曲のせいもあるかもしれないが?)、個人的になんともウキウキさせられるものであるのだった。そういえば「リンゴ追分」もブルースですね…こちらは歌謡曲だが。

「安里屋ユンタ」は、伊藤康英「琉球幻想曲」の下敷きとなった作品で、聴いたことのあるメロディが浮き上がってくるさまは何とも言い難い嬉しさがある。ちょうどいまラージ版の練習もしているし。

2014/08/27

情報:第31回管打楽器コンクールの特別大賞演奏会

第31回日本管打楽器コンクールの特別大賞演奏会について、演奏会の詳細なチラシが出ていた(情報ありがとうございました)。なんとか伺えそうだ。

http://www.jmecps.or.jp/pdf/taisyouensoukai.pdf

【2014年第31回日本管打楽器コンクール表彰式及び特別大賞演奏会】
日時:2014年8月29日(金)17:00開演
出演:山下一史指揮東京ニューシティ管弦楽団ならびに各部門第一位受賞者
会場:かつしかシンフォニーヒルズ
料金:入場無料
プログラム:
表彰式 17:00-
特別大賞演奏会 17:50-
A.ジョリヴェ - 打楽器協奏曲(岡部亮登, perc)
一柳慧 - マリンバ協奏曲(沓野勢津子, mrb)
A.ウェニアン - ラプソディ(中島諒, sax)
W.A.モーツァルト - オーボエ協奏曲(荒川文吉, ob)
特別大賞授賞式 19:50-

ところで、ジョリヴェ「打楽器協奏曲」の、あのめちゃくちゃ音程の取りづらいサクソフォンパートは誰が吹くのだろうか?→教えていただきました。滝上典彦さんがサクソフォンを担当されるそうです。

サンドストレム「我がアッサムの龍」

山崎豊子を読み進めている。「大地の子」「二つの祖国」「白い巨塔」に続いて、「沈まぬ太陽」読了。次は「華麗なる一族」。

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ヤン・サンドストレム Jan Sandströmは、スウェーデンの作曲家。ストックホルム王立音楽院で学び、1989年以降Piteå School of Musicの作曲科教授を務める。クリスチャン・リンドベルイが初演した「モーターバイク・オデッセイ(モーターバイク協奏曲とも)」により一躍有名となった。

サクソフォン協奏曲の「My Assam Dragon 我がアッサムの龍」は、サクソフォン奏者ジョン=エドワルド・ケリー John Edward Kellyのために書かれた単一楽章の作品である。Swedish National Concert Instituteからの委嘱により着手、1994年に作曲され、ヘルシンキにおいて1995年に初演された。サクソフォンは、アルティシモ音域を多用した超高難易度のパートだが、全体的な響きは息の長いフレーズと点描的なフレーズ、さらにミニマルなフレーズがアクセントとなり、ありがちな「良くわからない系現代音楽」とは一線を画する内容だ。

レイフ・セーゲルスタム Leif Segerstam指揮、スウェーデン放送交響楽団、さらにケリー氏のコンビにて録音が存在する。「JAN SANDSTROM: MOTORBIKE(Phono Suecia PS-CD87)」ラッシャー派とも評されるケリー氏の演奏は、ややこもりがちながらも高純度の音色と確実なテクニックで魅せる。


以下は、2012年のサクソフォン・コングレスでの演奏。演奏はGiles-Ames Duo。作曲家に許可を得てピアノリダクション版を制作したそうだ。

ご案内:YNU Saxophone Orchestra Summer Concert

今週末に迫ったYNU Saxophone Orchestraの演奏会をご紹介。

YNU Saxophone Orchestraは、横浜国立大学吹奏楽団のサクソフォンパートの、現役団員ならびにOBにより構成されるアンサンブルである。2008年3月に第1回の演奏会を開いて以来、コンスタントに演奏会回数を重ねている。毎回、非常にアグレッシヴな選曲が魅力的で、一部演奏はYouTubeにもアップされており、選曲の妙と演奏の粋が組み合わさって、凄いなあと感じ入っている。

私も、(やや遅刻となるが)伺う予定。楽しみだ。

【YNU Saxophone Orchestra Summer Concert】
出演:YNU Saxophone Orchestra
日時:2014年8月30日(土曜)17:00開演
会場:杉田劇場
プログラム:
~アンサンブルステージ~
D.マスランカ - ソングス・フォー・ザ・カミング・ディより
A.ピアソラ - アディオス・ノニーノ 他
~オーケストラステージ~
A.メンケン - リトル・マーメイド・メドレー
葉加瀬太郎 - Jack in the Box
久石譲 - もののけ姫 他

2014/08/26

よめじろーさんを囲んで

香川県の著名なアンサンブル、ダッパーサクセーバーズのよめじろーさん来京につき、サクソフォン関係者で飲み会。実に濃いメンバーが集結し、楽しい時間を過ごした。

コンセプトは「上野の二面性、見せます」…ということで、上野公園をさらっと案内して綺麗どころ(笑)をご覧頂いたあと、アメ横(ある意味ダメ人間を受け入れる街)の大統領本店で飲み、さらにバルに移動して本番飲み、さらに〆のラーメンという流れであった。

話題は尽きず、とても楽しかった!のだが、うっかり帰りの電車内で寝落ちてしまい、最後は最寄りの最寄りからタクシー…(^^;

名古屋での練習

先の週末は、名古屋にて柏友会サクソフォン合奏団(柏原卓之さんが主宰するアンサンブル)の練習。9月のミ・ベモルのサミットに参加する。

各地からのアマチュア奏者、音大の皆様、プロフェッショナルの方々による、30人ほどのアンサンブル。二日間に渡り、たいへん刺激的な時間を過ごした。

土曜は、栄のナディアパークにて練習。懇親会は山ちゃん(楽しかった)。日曜は、伏見ヤマハにて。本番がたのしみだ!

2014/08/23

管打2014サクソフォン部門結果

第一位:中島諒
第二位:松下洋
第三位:齊藤健太
入選:住谷美帆
入選:竹田歌穂

2014/08/22

ご案内:日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット

管打、二次を通過した本選出場者のリストが出ていた。演奏順に、 竹田歌穂さん、齊藤健太さん、住谷美帆さん、中島諒さん、 松下洋さん、である。:http://www.jmecps.or.jp/pdf/saxfainal.pdf

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9月に、こんな演奏会に出演する。

http://www.mi-bemol.com/mib25th_Summit.html

平たく言うと、日本各地のサクソフォンのラージアンサンブルに声をかけ、合同演奏会をやってしまおう、という企画だ。ミ・ベモル サクソフォンアンサンブルが、創立25周年を記念して行う記念行事。

出演団体は、エスパルクサクソフォンアンサンブル、Kobe Saxophone Musica、SAX PARTY!、グラシューズサクソフォンアンサンブル、高知WOサクソフォンアンサンブル、柏友会サクソフォン合奏団、F.G.サクソフォン・クラブ。さらに、リエゾンサクソフォンアンサンブル、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルのステージがあり、最後には全員(180名)の全員合奏まであるというから驚きだ。

【日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット】
日時:2014年9月15日(月・祝) 15:00開演
会場:いずみホール(大阪城公園駅より徒歩3分)
料金:一般2000円、高校生以下1500円(当日各500円増、全席指定)
プログラム:
第1部 公募参加団体によるステージ
第2部 リエゾンサクソフォンアンサンブル、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルによるステージ
第3部 出演者全員による合同ステージ
問い合わせ:
ticket@mi-bemol.com

私は、柏友会サクソフォン合奏団のメンバーとして出演する。これは柏原さんが主宰するラージアンサンブルなのだが、かつてサクソフォニー関東に参加していたこともあってお声がけいただいた。

楽譜も届き、練習もこなし、今週末は土日にかけて名古屋(関東~関西からメンバーが集まってくるので、中間地点、ということ…)で練習がある。周りのメンバーは、愛好家のみならず専門家もたくさんおり、名前を知っているすごい人たちばかりで、そんな中に座っていて大丈夫なのかと心配になるが、頑張ろうと思う。

多くのサクソフォンの皆様と交流できることや、演奏を聴くことも楽しみだが、個人的にもう一つ楽しみなのは、あの"いずみホール"での演奏である。クラシック専用であり、また、アマチュアでは滅多なことがない限り演奏できない、ということを聞いたこともある。未だに伺ったこともないのだが、そんな格式あるホールで演奏できるということも大きなモチベーションとなっている。

Belgian Music for Alto Saxophone and Wind Band

管打の二次予選課題曲審査が終わり、二次予選選択曲審査に進む受験者が発表されたようだ。受験者がどの曲を選んだかも番号で掲載されている。:http://www.jmecps.or.jp/pdf/sax2ndschedulesentaku.pdf

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ベルギー・ブリュッセル在住のサクソフォン奏者(ということになるのか…)、伊藤あさぎさんからお譲りいただいたCDをご紹介したい。

「Belgian Music for Alto Saxophone and Wind Band(World Wind Music WWM 500.183)」3人のベルギーのサクソフォン奏者をフィーチャーし、Yves Segers指揮ベルギー・ギィデ交響吹奏楽団をバックにベルギー産のアルト・サクソフォンのための協奏曲を収録する…という、贅沢な内容のCDである。アドルフ・サックス生誕200周年記念の一環として制作されたようだが、記念の年、ということで思い切った演奏会や録音の企画が頻発するのは、嬉しい事である。あさぎさんには、この場を借りて改めて感謝申し上げる次第。

まずは、フィーチャーされている3人の経歴を簡単に。

ピーター・ペレン Pieter Pellens氏は、1988年生まれ。ベルギーのゲント音楽院でラフ・ミンテン氏に、イタリア・ミラノのヴェルディ音楽院でマリオ・マルティ氏に、オーストリアのウィーン音楽院でラース・ムラクシュ氏に師事した。現在は母国ベルギーに在住。Five SaxやAmigo Saxophone Collectiveほかに所属するほか、現代作品の演奏にも積極的に取り組んでいる。そういえば4月に池袋のじとっこ組合で一緒に呑んだな。

ノルベール・ノジ Norbert Nozy氏は、1952年生まれ。ベルギーサクソフォン界の大御所の一人である。ブリュッセル音楽院にて、サクソフォン、ソルフェージュ、打楽器、室内楽、和声、対位法を学んだ。サクソフォンは特別賞を得、その他の科目でも一等賞を獲得している。1985年から2003年までベルギー・ギィデ交響吹奏楽団で指揮者として活躍し、数々の名録音を残している。現在は、オランダのマーストリヒト音楽院とベルギーのブリュッセル音楽院で、サクソフォンと指揮を教えている。

クリストフ・ケレマンス Kristof Kerremans氏は、1980年生まれ。この方の名前は知らなかったのだが、2008年よりベルギー・ギィデ交響吹奏楽団のサクソフォン奏者であるそうだ。レベッケとゴーイクの音楽院でソルフェージュ、サクソフォン、室内楽を学んだ。その後ブリュッセル音楽院でノジ氏に師事、さらにスヴェーリンク音楽院でアルノ・ボーンカンプ氏に師事し、卒業している。

そして、ベルギー・ギィデ交響吹奏楽団だが、個人的には、現在の吹奏楽団で世界で好きな吹奏楽団を3つ挙げろと言われたら必ず入ってくる団体である。1832年に創設され、ノジ氏の時代に飛躍的に技術を高め、世界クラスの吹奏楽団に成長した。黄金期のギャルド・レピュブリケーヌに類似した編成を持ち、魅力的なサウンドと幅広いレパートリーを持つ。

プログラムは、以下。*の印は、世界初録音を表す。

Maarten De Splenter - Concerto Comenia (Soloist: P.Pellens) *
Wouter Lenaerts - Kryptos (Soloist: N.Nozy) *
Andre Waignein - Rhapsody (Soloist: K.Kerremans)

「Concerto Comenia」…この不思議なタイトルは、Commeene(Splenter氏の先生)とComenius(チェコの近代教育学の始祖)を組み合わせた造語なのだそうだ。全体的な印象は交響詩のような様々な場面を経ながらクライマックスへと至るような内容。全体は4つのパートに分かれており、冒頭まるでSF映画音楽のような不安な響きとともに始まるが、すぐに快活なタランテラ風の舞曲に(トマバラっぽい)、第3部では冒頭を想起させる内容が戻り、第4部ではバンドとともに盛り上がりを一気に聴かせてしまう。ペレン氏の演奏を、こういったCDのようなもので初めて聴いたのだが、まあなんと上手いこと!また、バンドを前にしても埋もれないだけの存在感を持っており、こと最終部に向けての疾走感は見事なものである。これ、ライヴで聴いたら興奮するだろうなあ。

「Kryptos」は、いくつかのモチーフ(Nozy氏の名前や、SAXや、アルト・サックス=A.S.)を元に響きの面白さを追求した作品と言えるだろう。サクソフォンパートはしつこいとも言えるほどの跳躍とフラジオに満ちているのだが、ノジ氏の演奏はどんとこいといった感じで余裕綽々にこなしていく。最終部のグリッサンドの応酬は、かなりの聴き物だ!

「Rhapsody」は、今回の管打の課題曲になっていることもあり、もうおなじみですね。美しいメロディを持ち、超絶的な技巧でもって一気に聴かせてしまう3楽章の作品である。やはりこの大編成で聴くと、第2楽章の壮大さが際立つ。Kerremans氏は、吹奏楽版を初演したそうな。その時の動画がこちら。


Amazonでの購入リンクはこちら。
デジタル:Belgian Music for Alto Saxophone and Wind Band
CD:Belgian Music For Alto Saxophone & Wind Band: Royal Symphonic Band Of The Belgian Guides

2014/08/20

ご案内:荒木浩一氏のバリトンサクソフォンコンサート

管打の一次通過者が発表されたようだ(今回はサイト上に名前も出るんですね)。二次に進んだ皆様の健闘を祈りたい。:http://www.jmecps.or.jp/pdf/sax2ndschedulekadai.pdf

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荒木浩一氏のバリトンサクソフォンコンサートをご案内。主催者よりご連絡いただいた。だいぶ先ではあるが、注目すべき内容である。

荒木浩一氏は、九州で活躍するサクソフォン奏者。1977年に渡仏し、アンリ=ルネ・ポラン氏に、続いてダニエル・デファイエ氏に師事した。氏のインタビューを下記リンクより参照することができる。
http://www.e-avanti.com/fuku/27koro/item/8033

【荒木浩一 バリトンサクソフォンコンサート】
出演:荒木浩一
日時:2015年2月13日(金曜)19:00開演
会場:日本福音ルーテル教会博多
料金:前売3500円、当日4000円
プログラム:
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第2番
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第4番
J.S.バッハ - 無伴奏チェロ組曲第2番
問い合わせ:
092-552-5879(ハッピーハートカンパニー)
info@happy-heart-company.com

バリトンサクソフォンによるリサイタルというのだけでも珍しいのに、バッハの無伴奏チェロ組曲一本勝負、さらに無伴奏。まるで、チェロ奏者のようなプログラムから、荒木浩一氏がこのリサイタルにかける思いの大きさを感じる。生半可なプレイヤーでは組むことができないプログラムであろう。

とても興味があるのだが、さすがに、平日、しかも博多ということで、私は伺うのは厳しいかな…。近くの方はぜひ伺ってみてはいかがだろうか。

チラシは実にセンスあふれるデザインだ。









こちらはチラシの裏面(クリックして拡大)。









コンサートに先立ち、プロモーション動画が作成されている。



伊藤康英「木星のファンタジー」サクソフォン四重奏版

Ito Music(伊藤康英先生の作品を取り扱っている出版社)の公式YouTubeアカウントに、「木星のファンタジー」サクソフォン四重奏版の参考演奏がアップされていた。ということで、ちょっとこの曲のサクソフォン四重奏版について簡単に書いてみようかと。

ご存知、グスターヴ・ホルスト「組曲"惑星"」の木星をもとに、伊藤康英先生が作曲した美しい作品である。「1999年、静岡グランシップでの「Moving Music Express」にて初演。元々はヴォカリーズによる合唱曲として書いた。」とのことで、合唱がオリジナルであったとは知らず、てっきりフルート+ピアノ版がオリジナルだと思っていたのだが、どの編成になっても実によくマッチすると思っている。

これまで、サクソフォン四重奏版(新・旧)、サクソフォン八重奏版、吹奏楽版と取り組んだが、やはり好きなのはサクソフォン四重奏版である。誰もが知っているメロディであるので、特にアンコールや営業で演奏したことは数知れず。4分~5分ほどに、各楽器の特性を活かしたポリフォニックな響きも交えながら、様々なドラマが詰め込まれている。smorzを経、短い中断の後に始まるPiu mossoのどきりとするような響きや、冒頭よりも静謐に終わっていく最終部など、聴きどころは多い。

…なのだが、私見ではサクソフォン界で四重奏のレパートリーとしてものすごく知られている、ということでもないように思える。原因はやはり商用録音がないからだろうか。

これが最近アップされた参考演奏。誰の演奏なのかわからないのだが(プロフェッショナルの方かな?)、この曲の魅力をよく伝える演奏だと思う。これを聴いて、取り組んでくれる団体が増えると良いなと思っている。

2014/08/18

管打一次予選を(少しだけ)聴いた

退社後、洗足学園音楽大学に赴き、17:30頃から最後まで、22、23名ほどの演奏を聴く(顔見知りも何人か出場していた)。聴きに伺ったのは前々回以来。張り詰めた空気の中、淡々と審査が進んでゆく。コンクールという場だけあって、練られた良い演奏が多いと思うと同時に、実にシビアな場だと思った。

課題曲はデザンクロ「PCF」のカデンツァ〜フィナーレ。 これだけ短時間の課題曲とはいえ、音色の美しさ・響きの豊かさと音程感・安定したテクニックを基礎として、ミス(低音・スタッカートのアタック、ウォーターノイズ、ド#付近の音程、指の転び)を極力減らしつつ、構成感がありスケールが大きな音楽を聴かせるのは、並大抵のことでないと思うのだった。

写真は洗足学園音楽大学・シルバーマウンテン(左)とeキューブ(右)。シルバーマウンテンの2階が予選会場となっている。

2014/08/17

白水徹(しろうずとおる)氏のYouTubeチャンネル

関西方面で活躍されているサクソフォン奏者、白水徹(しろうずとおる)氏のYouTubeチャンネルをご紹介。

https://www.youtube.com/user/uzuz1979/

白水氏自身が手がけたアレンジ作品など面白そうなものも多いが、特に私が目を引かれたのはギィ・ラクール「50のエチュード」を、アルト・サクソフォンとテナー・サクソフォンで全曲網羅していることである。この試みがYouTubeで行われることは、今までなかったと思う。演奏を聴いてみるととても高いレベルで驚かされ、このエチュードに取り組む人たちにとってひとつのガイドとなるだろうと感じた。

明日から管打楽器コンクール

8月18日(月)~23日(土)の期間で、2014年度第31回日本管打楽器コンクールが開催となる。参加する方にはお知り合いも多く、皆様の健闘を祈念したい。中間結果や実際の演奏を知ることはできず追っていくことはできないのだが、時間さえあれば会場に足を運んでみたいとも思っている。

以下、要項より。二次予選の選考に"「注意事項」 課題曲審査の結果後、通過者のみ選択曲審査へ進めるものとする。"とあり、この点は前回までと違うようだ。

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審査委員長:
冨岡 和男 (洗足学園音楽大学副学長)
審査委員:
池上 政人 (洗足学園音楽大学教授)
小串 俊寿 (東京音楽大学准教授)
須川 展也 (東京藝術大学招聘教授)
原 博巳 (尚美学園講師)
平野 公崇 (東京藝術大学講師)
宗貞 啓二 (エリザベト音楽大学講師)

●サクソフォーン部門
◆第一次予選
<課題曲>
Alfred Désenclos:Prélude , Cadence et Finale より [出版社:Leduc]
※CADENCE 冒頭から演奏し、Allegro 12/8 の 2 小節目から
FINALE の 3 小節前に跳んで最後まで演奏する。(時間になり次第、演奏を終了する。)
「注意事項」
・暗譜の必要性は無しとし、ブラインド審査とする。
◆第二次予選
<課題曲審査>
Chareles Koechlin:Etudes より 2,4,6 [出版社:2008 年版(Billaudot)]
2. Pour les sons liés et le charme de la sonorité.
4. Pour les arpèges.
6. Pour les notes en staccato et le mélange de legato et du staccato.
<選択曲審査>
下記の選択曲の中から 1 曲を選び演奏すること。
①長生 淳:La Lune en Paradis [出版社:Zen-on Music]
②野平一郎:Arabesque Ⅲ [出版社:Lemoine]
③吉松 隆:Fuzzy Bird Sonata [出版社:Billaudot]
④Leslie Bassett:Music [出版社:Peters]
⑤Luciano Berio:Sequenza Ⅸb [出版社:Universal]
⑥Roger Boutry:Divertimento [出版社:Leduc]
⑦Fernande Decruck:Sonate [出版社:Billaudot]
⑧Edison Denisov:Sonate [出版社:Leduc]
⑨Thierry Escaich:Lutte [出版社:Misterioso]
⑩Marilyn Shrude:Renewing the Myth [出版社:Lemoine]
⑪Heitor Villa-Lobos:Fantasia [出版社:Peer Music]
「注意事項」
・課題曲審査の結果後、通過者のみ選択曲審査へ進めるものとする。
・暗譜の必要性は無しとし、ブラインド審査無しとする。
◆本 選
André Waignein:Rhapsody [出版社:Scherzando]
「注意事項」
・暗譜の必要性は無しとし、ブラインド審査無しとする

2014/08/15

東京へ

およそ5時間をかけて、高速バスで東京へ。順調に行けば3時間の道程ではあるが、時期が時期だけに仕方がない。新宿で降りた途端にむわっとした空気にあてられた。今は、新宿から自宅アパートへと戻る電車の中。

高速バスの乗車途中、諏訪の近辺が大渋滞。何かと思えば諏訪湖SAで諏訪湖花火大会の見物をしようという魂胆の車の列であった。もちろん高速バスは諏訪湖SAには停まらないのだが、たまたま左側窓際の席があてがわれたこともあって、車内から短時間花火を楽しめたのだった。

2014/08/14

フランク・ティケリ「協奏曲」について

昨日のブログ記事に呼応して、杉原真人さんよりフランク・ティケリ Frank Ticheli氏の「サクソフォン協奏曲 Concerto for Alto Saxophone and Wind Ensemble」について情報をもらうことができた。ありがとうございます!

この曲は、サクソフォン奏者で南カリフォルニア大学のClifford Leaman氏がオーガナイズした、委嘱のためのコンソーシアムのために書かれたそうだ。委嘱のメンバーは17人、アメリカの奏者を中心とした、錚々たるメンバーである。楽譜のPrefaceに、その奏者のリストが書かれている。

Griffin Campbell
Christopher Creviston
Claude Delangle
Adam Estes
Eric Lau
Clifford Leaman
Shyen Lee
Chien-Kwan Lin
Joseph Lulloff
Douglas Masek
Timothy McAllister
Otis Murphy
Matt Olson
Timothy Roberts
David Stambler
Masahito Sugihara
Kenneth Tse

ちなみに、杉原真人さんはMatthew McInturf指揮Sam Houston State University Wind Ensembleとともに演奏したそうだ。杉原さんの録音も一緒にお送りいただいたが、プライヴェートにしておくのがちょっともったいないくらいの凄い録音だった。

また、世界初演については、Clifford Leaman氏が2013年12月3日に行なったそうだ(昨日のブログ情報は間違っていたので、修正)。
http://www.onecolumbiasc.com/event/detail/441807811

吹奏楽とサクソフォンのための作品として、今後広く演奏されていくことを期待したい。

2014/08/13

Timothy McAllister plays Ticheli's Concerto

(2014.8.14修正)

フランク・ティケリ Frank Ticheliは、吹奏楽の分野で有名な作曲家である。「ブルー・シェイズ」あたりは日本でも有名ではないだろうか。サクソフォン界では、四重奏「バック・バーナー」が知られている。現在は南カリフォルニア大学の作曲科准教授の職にあるという。

そのティケリ氏の比較的新しい作品である「アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲 Concerto for Alto Saxophone and Wind Ensemble」の録音をYouTubeで見つけた。この作品、初演は今年2013年12月3日、Clifford Leaman氏の独奏と、Scott Weiss指揮University of South Carolina's Wind Ensembleによる。

今年頭には、Timthy Roberts氏独奏でDamon Talley指揮のShenandoah Conservatory Wind Ensemble(アメリカ・ヴァージニア州)というコンビでも演奏されている。今回見つけたのは、2014年7月26日に、ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏が独奏を務め、Steve Davis指揮World Youth Wind Symphonyと共演したもの。

楽章構成は下記の通り。なんだか、吉松氏の某作品や真島氏の某作品を思いだす(笑)。マカリスター氏の演奏は、それはもう素晴らしいもので、難易度の高い本作品をいとも簡単(そう)に吹ききっており、圧倒させられる。特に吹奏楽好きの皆様には垂涎ものではないだろうか。
I. Falcon Fantasy
II. Silver Swan
III. Black Raven

2015年のAeolus International Competition

2014年はまさにコンクール・イヤー。開催まで1週間を切った管打楽器コンクールやディナンのコンクール、ISSACなど、わくわくしているところだ。

気が早いが、2015年のコンクールの話。2006年から毎年ドイツ・デュッセルドルフで開かれているInternationalen Aeolus Bläserwettbewerbこと「The Aeolus
International Competition for Wind Instruments」が、2015年9月に第10回を迎える。

このコンクールが面白いのは「All prizes will be awarded for the competition as a whole rather than for each instrument.」…つまり、他楽器同士が同じ土俵で戦う点だ。だから、表彰台すべてがサクソフォンで埋まる可能性もあれば、サクソフォンが入賞できない可能性もある、ということ。サクソフォンは、これまで2006年の第1回、2009年の第4回、2012年の第7回に入っており、コリュン・アサトリヤン氏や、ニキータ・ツィミン氏、ヨナタン・ラウティオラ氏、エヴァ・バルタ氏といった、錚々たる面々が入賞している。

第1回(2006年)
First Prize Winner
Koryun Asatryan Saxophone

Prize Winner
Ulrike Jakobs Bassoon
Philipp Tutzer Bassoon

Special Prize for the best interpretation of contemporary music
Koryun Asatryan Saxophone

第4回(2009年)
First Prize Winner
Nikita Zimin Saxophone

Prize Winner
Joonatan Rautiola Saxophone

Special Prize for the best interpretation of contemporary music
Joonatan Rautiola Saxophone

第7回(2012年)
First Prize Winner
Theo Plath Bassoon

Prize Winner
Ivan Kobilskiy Oboe

Prize Winner
Bartlomiej Dus Saxophone

Special Prize for the best interpretation of contemporary music
Eva Barthas Saxophone

2015年のコンクールでは、再びサクソフォンが含まれることとなり、オーボエ奏者、バスーン奏者とともに入賞を競う。日本ではあまり知られていないコンクールではあるが、日本からもぜひ多くの演奏者が参加してくれると良いな、と思っている。

参加要項はすでに発表されており、下記よりダウンロード・閲覧可能である。気になる方は覗いてみてはいかがだろうか。
http://www.aeoluswettbewerb.de/fileadmin/pdf/hgb_aeolus_programm_engl_2015.pdf

サクソフォンレパートリーの変遷@SAXIANA

フランスのサクソフォン奏者、ニコラ・プロスト Nicolas Prost氏が主宰するウェブページ「SAXIANA」の中に、サクソフォン・レパートリーの時代別変遷をまとめたページがあることを御存知だろうか。

http://saxiana.free.fr/165ans.htm

下記ページの「1ère période」「2ème période」「3ème période」が時代順で、「1ère période」が最も古い。

「1ère période」では、1844年のベルリオーズ「神聖な歌」(初めてサクソフォンが使われた作品で、初演時にはアドルフ・サックス自身がバスサクソフォンを担当したといわれている)から、1930年のヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第2番」まで、「2ème période」では、1929年のヒンデミット「トリオ」から、1964年のソーゲ「牧歌的ソナチネ」まで、「3ème période」では、1956年のシェルシ「3つの小品」から、2003年のパスカル・デュサパン「Perela, uomo di fumo」までが、それぞれ紹介されている。サクソフォン独奏にとどまらず、オーケストラ作品やオペラ内での採用についても触れられており、まさにクラシックサクソフォンの作品の歴史総覧、といった雰囲気。

とても嬉しいのは、ほとんどの曲について1分程度の試聴ができること。さわりだけでも響きを確かめられるのはありがたいことだ。私はこのページでベルリオーズの「神聖な歌」を始めて聴いたほどだ。

対して厄介なのは、フランス語の解説しかないことであるが、これは仕方がなく、フランス語を読めなければGoogle翻訳等をつかって英語や日本語に訳すしかないのだろう。

実家へ

昨日は、一日かけて東京のアパートから長野の実家へ戻った。いつもは中央道乃至中央本線経由だが、前からやろうやろうと思っていた飯田線の乗りつぶしを決行。豊橋まで新幹線で移動し、そこから6時間ほどかけて、飯田線のほぼ北端に位置する実家の最寄り駅までゆるゆると。

豊橋を出ると1時間ほどで人気の少ない山中へ。さらに進むと、急峻な崖あり、川との並走あり、無人駅(秘境駅と呼ばれる所以がよく分かる)ありという、飯田線独特の風景が実に楽しく、特に天竜峡まではあっという間であった。天竜川との並走が有名だが、昨日の豪雨の直後で、濁流となって流れる天竜川は、逆に貴重な機会だったのではないかな。ちなみに、トンネルでは景色を楽しむわけにいかないので「沈まぬ太陽」の3巻~4巻を読み進める。日航機墜落事故からちょうど29年の日でもあった。

そういえば、以前一度だけ拝見したことのある「究極超人あ~る」という漫画作品のOVAでは、この飯田線が後半のメインの舞台となっており(近年流行しているアニメ作品の舞台となる土地への"聖地巡礼"のはしりなのだそうだ)、そんなところも思い出しつつの旅であった。下山ダッシュもしなかったし、田切でも降りなかったが(わかる人にはわかる)。

写真はデジカメに入っているので、東京に戻ってから記事に追加しようと思っている。

RascherSQメンバー交代!

ラッシャーサクソフォン四重奏団 Rascher Saxophone Quartetは、カリーナ・ラッシャー Carina Rascher(ssax)、シガード・ラッシャー Sigurd Rascher(asax)、ブルース・ワインベルガー Bruce Weinberger(tsax)、リンダ・バングス Linda Bangs(bsax)というメンバーで発足し、幾度かのメンバー交代を経て、近年では次のようなメンバーで活動を続けていた。

Christine Rall, soprano saxophone, 2002–present
Elliot Riley, alto saxophone, 2001–present
Bruce Weinberger, tenor saxophone, 1969–present
Kenneth Coon, baritone saxophone, 1992–present

このメンバーのうち、ブルース・ワインベルガー氏のみが創設メンバーであったが、このたびワインベルガー氏が退団、後任をAndreas van Zoelen氏が務める、というニュースが8/9付で飛び込んできた。詳細は下記Facebookリンクを参照いただきたい。



そのお知らせ文を、簡単に訳してみた。ニュースリリース、というよりも、去る仲間に対する尊敬が存分に込められた文章となっている。ラッシャー四重奏団にとっての創設メンバーの脱退が、大きな転機として捉えられていることがよく分かる。

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Bruce

ブルースについて

Dear Friends,

親愛なる皆様へ

The Rascher Quartet is proud to welcome our newest member, Andreas van Zoelen into our musical family! Andreas will be taking over the RSQ’s tenor position, which has been so ably manned by our dearest colleague and friend Bruce Weinberger, who is retiring after a very successful and fruitful forty five years!

ラッシャー四重奏団はこのたび、Andreas van Zoelenを新たな音楽の仲間として迎え入れます。Andreasは、Bruce Weinbergerの後任としてテナーを担当します。Bruceは、私達の素晴らしい仲間であり、45年という歴史の中で多くの成功と結実に満ちた活動を展開しましたが、このたび引退となります。

During his time with the RSQ, Bruce has performed world premieres of well over 375 works from composers of note such as Sofia Gubaidulina, Iannis Xenakis, Luciano Berio, Philip Glass, Kalevi Aho, Steven Stucky, Lera Auerbach, Brett Dean, Giya Kantcheli and Mauricio Kagel. The influential role that Bruce played in the development of this wonderful repertoire should be highly valued and never overlooked by the saxophone and music community!!! As a result of his brilliant musicianship, artistic vision, tenacity and wisdom, the saxophone world is a better and musically richer place than it was forty five years ago. Every saxophonist should join us in honoring Bruce’s musical career and contributions, as well as offering him a gigantic collective “THANK YOU”!!!

ブルースは、ラッシャー四重奏団の活動を続ける中で、375以上の作品を初演しました。それらの新作の作曲家としては、ソフィア・グバイドゥーリナ、ヤニス・クセナキス、ルチアーノ・ベリオ、フィリップ・グラス、カレヴィ・アホ、スティーヴン・スタッキー、レラ・オールバッハ、ブレット・ディーン、ギヤ・カンチェリ、マウリシオ・カーゲルといった名前が挙げられます。この素晴らしいレパートリーを発展させる中で、ブルースが演じた影響力の大きい役割は、大きい価値があり、サクソフォン界やその他音楽コミュニティから見過ごされるべきものではありません。この輝ける楽才(Musicianship)、芸術家としての洞察力(Artistic Vision)、不屈の精神(Tenacity)、良識(Wisdom)の結果として、サクソフォン界は45年前に比べて、音楽的に豊かになりました。すべてのサクソフォン奏者は、ブルースの音楽的キャリアと貢献を讃え、"THANK YOU"と感謝すべきです。

Finding the right person to do honor to Bruce’s spirit and position was not to be taken lightly, and we are utterly thrilled, excited and honored to have Andreas van Zoelen share his formidable musical abilities with the Rascher Quartet!! Andreas has been a loved and valued member of the Rascher Saxophone Orchestra almost from the beginning, and the professional and musical spirit that he brings to that ensemble is both esteemed and cherished! Along with maintaining a very active performing, conducting and composing schedule, Andreas is also Professor for Saxophone at the Fontys Conservatory in Tilburg, Netherlands where he maintains a very successful studio comprised of many talented international students. Andreas has recently authored a book about the development of the classical saxophone in the Netherlands.

ブルースの精神とポジションを継ぐ人物を見つけるのは、簡単ではありませんでした。しかし、私達はAndreas van Zoelenが、素晴らしい音楽的技能をラッシャー四重奏団とともに分け合うことは、我々にとって実に素晴らしく興奮し、名誉なことです。Andreasは、Rascher Saxophone Orchestraの活動初期よい、愛すべき、また価値あるメンバーでした。Rashcer Saxophone Orchestraで、彼はプロフェッショナル精神、そして音楽精神をアンサンブルに与えていたことは、尊敬すべきことであり、大事にされるべきことです。演奏活動を頻繁に行いながら、スケジュール調整を行い、教育者としてはオランダのTilburgのFontys Conservatoryで教授職にあります。そこで彼は、有能な、世界中から集った学生とともに、素晴らしいサクソフォン・クラスを運営している。また、最近オランダのクラシカル・サクソフォンの発展に関する著作を執筆した。

Yes, a wonderful era is coming to a close, yet the tradition continues to develop and thrive! To Bruce, we cannot overemphasize what an honor it has been to be your colleagues! As is the case with Mr. Rascher, John Kelly, Linda Bangs, Harry White, Carina Rascher and now you, we shall endeavor to do honor to this rich and wonderful musical tradition, and will continue to be led by the examples of your wisdom, artistry and spirit!!

そう、素晴らしい時代が来るのです。伝統が発展し、繁栄するのです!ブルース、私達はあなたのかつての仲間たちと同じくらい、あなたのことを尊敬しています!そう、シガード・ラッシャー、ジョン・ケリー、リンダ・バングス、ハリー・ホワイト、カリーナ・ラッシャーたちと同じく列せられるべきと思います。我々は、豊かで素晴らしい音楽の伝統に対し尊敬の念を持ち続ける努力をし、あなたの良識、芸術性、精神を持ち続けたいと思います。

With undying fondness,
Christine, Elliot, Andreas Ken and Carina

2014/08/12

飲み

サクソフォン関係者と6人ほどで飲み会。楽しかったー。

調子に乗って四次会まで飲み、終電を逃してなんとか最寄りの最寄りまで帰る。そこから歩いて帰ってようやく落ち着いたところ。

それにしても、一次会の中野の「丈ちゃん」は美味しかった…!さすがY氏のセレクトだ。

2014/08/10

小田桐工房へ

金曜日は、テナーサクソフォンの調整のため小田桐工房へ。いつものことながら素晴らしい状態まできっちり調整いただき、またベル部分の凹みなども直していただき、抜群のコンディションとなった(ありがとうございました)。

そういえば、工房のオーディオシステムがまた進化、プリメインアンプが入れ替わっていて、びっくりした。

さて、調整は良い状態になったので、あとは奏者の問題である。休暇を利用してきっちりさらっていきたい。まずは「レシテーション・ブック」「シャコンヌ」、それからまだ積んだままになっている「ハデヴィッヒ2」を中心に練習を進める予定。帰省先にも楽器を持ち帰るぞー。

2014/08/07

Delangle plays Piazzolla's "Tango Etudes"

クロード・ドゥラングル Claude Delangle教授が、アストル・ピアソラの「タンゴ・エチュード」を、オーケストラとともに演奏している動画を発見。ウクライナでの演奏の模様だそうな。

時折サクソフォンでも演奏されるこの作品だが、もともとはフルートのための無伴奏作品のはず。サクソフォン版はアンリ・ルモワンヌ社から出版され、そこに和声伴奏が付いている?という話を聞いたことまであるが、オーケストラ伴奏が付いた版が存在していた(もしくは制作された?)とは寡聞にして知らなかった。

「タンゴ・エチュード第1番」


「タンゴ・エチュード第2番」


「タンゴ・エチュード第3番」

わたせひでひこ 奇聞屋フルートライブ Vol.25

【わたせひでひこ 奇聞屋フルートライブ Vol.25】
出演:渡瀬英彦(fl)、池田さく子(fl,pf)、神田千文(vo)、木村泰子、佐藤和代、奥幹雄(以上fl)
日時:2014年8月6日 19:30開演
会場:奇聞屋
プログラム:
A.ピアソラ - タンゴ・エチュードより
小沢不二夫 - リンゴ追分
F.クープラン - ?
G.B.ペルゴレージ - フルート協奏曲より第2楽章
カルディス? - ?
L.d.ロレンツォ - フルート五重奏曲
A.ヴィヴァルディ - ピッコロ協奏曲より
E.グリーグ - 叙情的小曲集より
成田為三 - 浜辺の歌
? - ?
多忠亮 - 宵待草
いずみたく - 見上げてごらん夜の星を(アンコール)

毎月第一水曜日に渡瀬英彦先生が行っている奇聞屋ライヴ。なんと3年目に突入。今回は、前半にフルートソロ、中盤にフルートアンサンブル、後半に歌曲、という構成であった。

バスフルートによる「リンゴ追分」は初めて聴いたのだが、いやはや、この得も言われぬ美しさは他のどの楽器でも出すことのできないものだろう。バスフルートを聴くたびに感じる、身体の奥底と共鳴するような感覚はいったい何なのか。そして、ロレンツォの「五重奏曲」にも大変な感銘を受けた。立ち上がる5本の「気柱」の響きがハモったときの、想像を絶する音の厚みには驚かされた。フルートアンサンブルにサクソフォンアンサンブル勝っている点として、音の厚みは筆頭に経つものと考えていたのだが、今回の演奏を聴いてそうでもないケースがあるかも、と思えてきてしまうものだった(作品が素敵なのも良いですね)。

2014/08/05

ASKSでの吉松隆氏作品の楽譜取り扱い

ファンにとってはすでに後追い情報となってしまうが…。

これまでJapan Artsのレンタル等でしか扱っていなかった作曲家・吉松隆氏の楽譜が、順次ASKS Orchestraで取り扱いとなっている。

http://asks-orch.com/shop/

例えば、「サイバーバード協奏曲」を聴いて、どんな楽譜なんだろう…と思ったり、「アトムハーツ・クラブ・カルテット」やりたいけれどスコアしか売っていないんじゃあねえ…と不満があったりしたことがあるのは、私だけではないはず。このように入手しやすくなるのは、大いに歓迎すべきところである。

「サイバーバード協奏曲」
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=107

「アトムハーツ・クラブ・カルテット」
http://asks-orch.com/shop/products/detail.php?product_id=4

2014/08/04

Sigfrid Karg-Elertの無伴奏サクソフォン作品集

先日の第4回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールの一次予選課題曲(選択曲)でもあった、ジークフリート・カルク=エーレルト Sigfrid Karg-Elertのサクソフォン作品集を購入してみた。コンクール終了から遅れること幾日、最近になってようやく到着したのだった。タイトルは「25 Caprices and Sonate for Saxophone solo op. 153(MD+G 603 1506-2)」

カルク=エーレルト(1877-1933)については私もよく知らなかったのだが、ドイツのライプツィヒで活躍した作曲家だそうだ。初めは教師を目指していたものの、音楽の道を諦めきれずにライプツィヒ音楽院に入学し、オルガンと作曲を学んだ。グリーグにも認められ、作曲に専念。母校のライプツィヒ音楽院で教鞭をとり、後年、海外にもその活動の幅を広げた…ということだ。

演奏はクリスティアン・ペータース Christian Peters氏。1964年ベルリン生まれの奏者で、ベルリン芸術大学にてOmar LamparterとDetlef Bensmannに学んだ。ピアニスト池谷順子(いけや・よりこ)氏とのコラボレーションも長い。この盤の他、サンジュレの作品を集めた「Jean Baptiste Singelée Virtuoso Concert Pieces for saxophone and piano(MD+G 603 1229-2)」のレコーディングも有名である。

このCDには、2つの作品「25のカプリス」と「ソナタ」が収録されている。「25のカプリス」は、下記のような構成である。また、演奏者のクリスティアン・ペータース氏が選択した楽器を併記した。楽譜には、9番と15番について可能ならソプラノサクソフォンでとの指定があるとのことだが、他の曲についてはペータース氏自身が自由に楽器を選んでいる。

Ssax no1, Preambolo 'Molto veloce'
Asax no2, Valse languide 'Non troppo allegro'
Bsax no3, Consolation 'Larghetto con molto espressione'
Bsax no4, Corrente 'Allegro veloce'
Tsax no5, Giga 'Presto'
Tsax no6, Rag 'Molto vivo'
Ssax no7, Toccata 'Allegrissimo e leggierissimo-Brilliante'
Asax no8, Ondina 'a piacere'
Ssax no9, Arlecchino 'Allegro burlesco'
Tsax no10, Cubana in modo frigico 'Moderato'
Tsax no11, In modo lidio 'Alla marcia'
Bsax no12, Ciaccona 'Tema con 21 variazioni-Finale'
Asax no13, In modo misolidio 'Tempo di Bourr e-un po' mosso'
Asax no14, In modo frigico 'Alla Sarabanda-gajo risvegliato'
Ssax no15, Alla burla 'Vivacissimo'
Asax no16, Piccola danza elegiaca 'Moderato'
Asax no17, Valse d'amore 'Non troppo allegro'
Ssax no18, Ib rienne 'Brioso'
Ssax no19, Tarantelle e Sizilienne 'Prestissimo possibile-Andantino'
Bsax no20, In modo dorico 'Quieto'
Tsax no21, Studio 'Vivace'
Bsax no22, Leggenda 'Andante sostenuto-un poco piu mosso'
Tsax no23, Tanghetto 'Tempo ordinario-Finale brioso'
Ssax no24, Papillon 'Allegretto, leggierissimo possibile'
Asax no25, Metamorfosi 'Tema in 8 metamorfosi'

また、「ソナタ」は下記のような4楽章構成である。
Allegro con moto
Scherzo demoniaco
Larghetto malinconico
Toccata-Finale

どちらの作品も決して派手な曲ではない。純粋に奏者の力量、というか、それをクリアした上での音楽性の高さが求められるものだと感じた。コンクールという場で料理される場合、そういったところが見られるのだろうな、とも感じた。CDでのペータース氏の演奏は見事なものだ。とはいえ70分に及ぶ無伴奏、しかも通常奏法のみ、というのはなかなかツライところが(苦笑)好事家向け、かなあ。Amazonでの購入リンク→25 Caprices & Sonata for Saxophone Solo Op.153

2014/08/02

Maslanka PressのSoundCloudページ

ディヴィッド・マスランカ David Maslanka氏の作品を扱う出版社「Maslanka Press」の、SoundCouldページがすごい。マスランカ氏の作品400トラック近くがフルバージョンでアップロードされ、おそらく、録音されている作品はほぼ全て網羅しているのではと思うほどだ。

https://soundcloud.com/maslanka-press

サクソフォン関連で、すぐ見つけられたものを貼り付けておく。テナーサクソフォンと弦楽四重奏のための秘曲「Heaven to clear when day did close」が聴ける、というのも凄いな…。特別なアクセス制限もなく、普通に公開されているということは、出版社間の許可等も取ってある…ということなのだろう。

「Heaven to clear when day did close(tsax, strq)」


「Hell's Gate(asax, tsax, bsax, band)」


「Concerto for Saxophone Quartet(saxq, band)」


「Sonata(ssax, pf)」


「Concerto(asax, band)」


Bach/Maslanka「Goldberg Variations(saxq)」

2014/08/01

サクソフォン関連の動画の探し方

時折「YouTubeのサクソフォンの動画ってどうやって見つけてくるの?」と聞かれる。

方法は至極単純で、検索窓に「saxophone」と打ち込んで検索をかけた後、フィルタを使ってアップロード日が新しい順にソートするだけである。そうやって、数日に一回検索をかけてはめぼしい動画をブックマーク、気が向いた時にブログで紹介するのだ。

時には、「John Harle」とか「Vincent David」とか「Timothy McAllister」とか「Daniel Kientzy」とか、特定の奏者の名前で検索することもある。また、「saxophone concerto」や「saxophone quartet」などと検索すればそれに応じた編成が出てくる。また、英語以外の「saxophone」を表す言語で調べることも有効である。

候補は大量に出てきてしまうので、あとはその中から良い動画を地道に選別するだけだ。