2014/01/31

ピアソラの「AA印の悲しみ」再発売

アストル・ピアソラの名盤「AA印の悲しみ」にアルバムに収録されている同名曲「AA印の悲しみ」の演奏の素晴らしさについて、以前ブログで紹介したことがあった。ジャンルを問わず最も素晴らしい22分間の音楽の瞬間を切り取った録音のひとつだと言える。

http://kurisaxo.blogspot.jp/2008/06/tristezas-de-un-doble.html

素晴らしい盤であるにも関わらず、長らく廃盤となっており、入手至難の状態が続いていた。だが昨年、(まったくノーマークだったのだが)嬉しい事にリマスタリング・再発売の運びとなったそうだ。さらに、「AA印の悲しみ」と同時に、こちらも名盤として名高い「ライヴ・イン・ウィーン」も再発売されているではないか!驚き。再発売される前は、いずれも新品がウン万円という状態が珍しくなかったので、朗報である。「タンゴ・ゼロ・アワー」などとはまた違った、ピアソラ最高の音楽を聴くことができるだろう。
AA印の悲しみ
ライヴ・イン・ウィーン

時折サクソフォンでピアソラの作品を演奏することもあるのだが、頭にあるのはいつでもこの「AA印の悲しみ」の録音である。次元が3つか4つくらい違うことを思い知りつつも、本物のピアソラの音楽はこうなんだと知っておくことで、ほんの1ミリでもその境地に近づく道標となるのではないかと考えている。

2014/01/30

エリプソスSQのアルバム

フランスの若手、エリプソス・サクソフォン四重奏団 Ellipsos Saxophone Quartetの3rdアルバムをご紹介。一昨年のワールドサクソフォンコングレスで、ラヴェル「クープランの墓」の、オリジナル・アレンジによる見事な演奏を披露し、一躍注目を集めた団体だ。その「クープランの墓」を含む、意欲的なアルバムである。しかし、Genuinレーベルとは…Sonic Art Saxophone Quartetもここだったが、サクソフォンが好きなプロデューサーでもいるのだろうか。→Amazonでの購入リンク

「Bolero(Genuin gen14543)」
M.ラヴェル - 亡き王女のためのパヴァーヌ
M.ラヴェル - クープランの墓
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
T.エスケシュ - ル・バル
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーゾ
J.フランセ - 小四重奏曲
M.ラヴェル - ボレロ

2013年4月~5月、まだまだできたてホヤホヤのセッション録音。こういった時代にピエルネやフランセを敢えて(敢えて、などとも思っていないかもしれないが)世に問うというその選曲の覚悟に拍手。

最初の「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、期待に反してあれ?という感じだが(良くも悪くも普通の演奏、という印象)、続く「クープランの墓」はやはり聴きモノ。「プレリュード」から、ライヴのようなスリリングさの中の見事な連携プレイに惚れ惚れする。それはどの楽章でも同様の印象だが、特に急速楽章での煌めくようなスピード感は、サクソフォンの有利な点を上手く前面に押し出していると思う。第4楽章「リゴードン」や第6楽章「トッカータ」も強烈で、特に「トッカータ」ではこんな演奏ができるのかと関心してしまった。

ピエルネは、意外にも落ち着いている演奏。ミュールやデファイエのようにぶっ飛び系ではなく、着実にアンサンブルを組み立てていく…かといって骨太でもなく、瞬間瞬間に音色をころころと変えていくあたり、音楽的な完成度の高さを窺わせる。意外と録音が少ないエスケシュの2曲も佳演!フランセも、見事。「滑稽なセレナーデ」での流麗さと茶目っ気の同居など、あのトルヴェールQやニューセンチュリーQの録音にも匹敵するかと思ってしまったほどだ。

そして「ボレロ」!フルモーSQあたりがショートバージョンを演奏しているのを聴いたことがあるが、なんとこれは16分に及ぶフルバージョンの編曲!サクソフォン・オーケストラ的なアレンジで(多重録音か?)、演奏・編曲ともども非常に良い仕事をしている。ぜひこれはいろんな方に一度は耳にしてほしい。

最後に件のワールドサクソフォンコングレスでの「クープランの墓」の動画を貼り付けておく。

2014/01/29

最近のJacobTV作品 on Vimeo

サクソフォン界では「Grab It!」や「The Garden of Love」といった作品で有名なJacobTVだが、最近は連作「The NEWS」という、オペラ作品に注力している。彼のVimeoアカウントに飛ぶと、「The NEWS」に関連したムービーがたくさん観られるので、要チェック。特に「Kaku 2014」は非常に面白い。

以下は、「The NEWS」のプロモーションムービー。

渡瀬英彦&La vie cherie@松濤サロン

昨日伺ったライヴ。なんとも贅沢で素敵な時間を過ごした。

【渡瀬英彦 & La vie Cherie LIVE! vol.1】
出演:渡瀬英彦(flute)、寺田正彦(piano)、Yoshino(vocal)、園山光博(saxphone, flute, clarinet)、渡辺茂(bass)
日時:2014年1月28日(火)19:00開演
会場:タカギクラヴィア松濤サロン
プログラム:
?
? - 中国地方の子守唄
? - ひげうさぎのダンス
La vie cherie - 水辺にて
G.フォーレ - 水辺にて
園山光博 - セキレイ
La vie cherie - 慕情の物語
La vie cherie - 旅
J.ラフ - カヴァティーナ
J.S.バッハ - G線上のアリア
J.S.バッハ - ブーレ
E.サティ - あなたが欲しい
La vie cherie - 水たまり
La vie cherie - オン・フォール
M.ラヴェル - 亡き王女のためのパヴァーヌ
La vie cherie - 鏡(アンコール)

松濤サロンは、どちらかというとクラシカルな音楽が頻繁に演奏される場であるが、この日は、シャンソンというかジャズというかクロスオーバーというか、ノンジャンルの音楽が一気に奏でられた。フルートの渡瀬センセは、バスフルートを中心に抜群の存在感を放ち、寺田氏は作曲・演奏の両面から抜群のサポートをみせる。ブロックコードひとつひとつが煌めくように美しい。園山氏の音色の輝かしさにノックアウトされ、渡辺氏はニヤリとしながら人を喰ったようなフレーズを紡ぎだす。ヴォーカルのYoshinoさんが入ると、響きはさらに昇華される。フランス語がネイティブだということで、歌詞はすべてフランス語だ。艶かしい口当たりのヴォーカルに、ついつい曲に入り込んでしまう。ありきたりな感想を敢えて言えば、やはり「声」の表現力の偉大さに改めて感じ入った。

クラシック作品のアレンジも、面白かった。特にバッハ作品や、最後のラヴェル作品での、思わず踊りだしてしまいそうに成る愉悦感など、ここ最近感じることのなかったものだ。

終わった後は、5th cafe Udagawaにて軽く飲む。まだ2回目だったが、お喋りしながら、美味しい料理と日本酒に珍しい国産ワインと、ライヴ後の幸福な気分がさらに増幅されるような時間を過ごした。ここはおすすめ!また行きたいなあ。

2014/01/27

明日は松濤サロンへ

明日は渋谷のタカギクラヴィア・松濤サロンへ伺う予定。お世話になっている渡瀬先生の演奏があるのだ。これまで聴いてきた渡瀬先生の演奏会と、ちょっと毛色が違う雰囲気…。簡単ではあるが、こちらでも宣伝しておきたい。

【渡瀬英彦 & La vie Cherie LIVE! vol.1】
出演:渡瀬英彦(flute)、寺田正彦(piano)、Yoshino(vocal)、園山光博(saxphone, flute, clarinet)、渡辺茂(bass)
日時:2014年1月28日(火)19:00開演
会場:タカギクラヴィア松濤サロン
料金:4000円(全席自由)
問い合わせ:info20140128@gmail.com
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/798703613477641/

イベントを立てたときのネットの宣伝も、昔に比べてだいぶ楽になったなあと思った。Facebook様々だが、私も最近、メールに代わる連絡や写真管理や…をだいぶ依存している部分があるなあ、と。。。

2014/01/26

北浦和→つくば

午前は北浦和の某所にておなじみ"しらこばと音楽団"の演奏。今回のメンバーは、ニジマスさん(S&ASAX)、ぽきゃさん(ASAX)、mckenさん(BSAX)、そしてkuri(TSAX)。年配の方向けにこれぞ!という選曲にして演奏したのだが、どの曲でも歌ってくださるなどして、こちらも楽しく演奏することができた。セットリストは以下のとおり。

おぼろ月夜
サザエさん
本居長世メドレー
上を向いて歩こう
見上げてごらん夜の星を
川の流れのように
いつでも夢を
浪花節だよ人生は

演奏の後は埼玉県特定地域民のソウルフード?だという「ぎょうざの満洲」にて炒飯・餃子セットを注文して昼食。美味しかった!今度はまた別の地域民のソウルフードだという、にゃんにゃん?娘々?も食べてみたいなあ!

そして北浦和から京浜東北線~武蔵野線~つくばエクスプレスと経由し、つくばへと移動。15:00から後輩の皆様数名と打ち合わせ、一緒に取り組む"変態な曲"として、スティーヴ・ライヒの「エレクトリック・カウンターポイント」を選曲。「ニューヨーク・カウンターポイント」でないところが何とも(笑)。単なるエレクトロニクス作品ではなく、編曲、レコーディング、ミキシング作業も入り道は険しいが、勉強のつもりで頑張って実現させたい。

そのあとは来週末の母校の大学の吹奏楽団の団内アンサンブルコンサート向けに「アルセナール」の練習。1時間ほどだったが、打楽器との合わせも入って本番前最後の練習であった。若い皆さんはみんな上手いなあ…。

19:00には家に帰り着き、夕食をとったあと、WX-5とAudacityを使って「エレクトリック・カウンターポイント」のレコーディング作業・ミキシング作業のトライアル。レコーディングはものすごく繊細で、ミキシングはものすごく手間がかかることがわかり、恐れおののいて今に至る。前途多難だ。

作業の様子はこんな感じ。

2014/01/25

東京サクソフォンアンサンブル再結成

FBのタイムラインに流れてきた情報。驚いた。

"東京サクソフォンアンサンブル"という名前は、私にとってはGrammophonの刻印を冠したアルバム「サクソフォーン・アンサンブル名曲集(UCCG-3224)」の演奏者としてクレジットされているのを見たことがあるだけだ。リアルタイムで聴いたことはないし、録音もこれの他に聴いたことがない。実はメンバーもよく知らなかった(CDにもこんな記述があるだけなのだ…「本アルバムで丁寧なアンサンブルと抒情的な表現、美しく調和したサウンドを聴かせているのは、フランス国立ボルドー音楽院に学び、ボルドー市立管楽合奏団首席奏者、東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスターなどを歴任した下地啓二を中心に、1980年に結成された東京サクソフォーン・アンサンブル。…」。グラモフォンらしいなあ)。「The SAX」のVol.52の記事(Thunderさん執筆)によれば、1980年代から1990年代にかけ、日本のサクソフォン四重奏界を代表する団体のひとつであったそうだ。

そのアンサンブルがなんと再結成する。非公式な情報ではあるが、これを限りにもう結成されることはないとの話も聞こえてくる。平日ではあるが、なんとかして伺いたいと思う。

【ムッシュ・クダッチ サクソフォンの世界】
出演:クダッチ・サクソフォーンオーケストラ、東京サクソフォンアンサンブル(S下地啓二、A宗貞啓二、T市川豊、B佐々木雄二)
日時:2014年3月3日(月)開演18:30
会場:小金井市民交流センター大ホール
料金:一般3000円、学生1000円(当日500円増)
プログラム:
A.ドボルザーク - 弦楽四重奏曲「アメリカ」
平部やよい - 委嘱作品「倖せヲ呼ぶ嶌」
E.グリーグ/奥野大樹編 - ホルベルク組曲
W.A.モーツァルト/奥野大樹編 - ディヴェルティメントk136
F.シューベルト野村秀樹編 - 交響曲第7番「未完成」
F.メンデルスゾーン/各川芽編 - 交響曲第4番「イタリア」

2014/01/23

トーンプレロマス55 on YouTube

黛敏郎が26歳の時に書いた傑作「トーンプレロマス55」の演奏動画がYouTubeにアップロードされていた。岩城宏之指揮東京交響楽団、1998年7月2日のサントリーホールにおける演奏とのこと。

実質"吹奏楽"編成の、サクソフォン5本を含む管楽アンサンブルのために1955年に書かれた作品だ。この作品を聴くと、黛敏郎という作曲家…いや、この人は昭和を代表する文化人の一人と言えるだろうが…が、いかに先見性を持っていたかがよく解る。こんなにモダンな響きを、1955年という時代にオーケストラという媒体を使って提示してみせた黛氏の、計り知れない天才性!



表題となるトーンプレロマスのプレローム=pleromeとは、「荘厳さと力に溢れた状態をいう」とのこと。サクソフォン5本によってバリバリ演奏されるマンボのパートを含むこの作品は、まさに名は体を表すという趣。

サクソフォンは、栃尾克樹氏、岩本伸一氏、新井靖志氏、福本信太郎氏、滝上典彦氏の5人(Thunderさん、情報ありがとうございました)。

そういえば、1957年にNHK交響楽団でウィルヘルム・ロイブナー指揮のもと演奏された録音が現存するが、この時の5人のサクソフォンはいったい誰が吹いていたのだろうか。N響の事務局に問い合わせればわかるのかもしれないが。

2014/01/21

9周年

2005年1月21日に、この記事:
http://kurisaxo.blogspot.jp/2005/01/qlp.html
を取っ掛かりにウェブページkuri_saxoを開設し、2006年にはブログへ移行して記事の執筆を続けてきたが、本日で9周年を迎えた。…ようやく10周年が見えてきた。

総記事数は現在のところ(この記事を入れて)2906である。ここまで続いているのは、ひとえにご覧頂いている皆様のおかげである。改めて感謝申し上げたい。

2011年後半あたりをピークとして、アクセス数は減少傾向にある。まず、学生の頃に比べて書く時間が取れず、質の高い記事を提供できなくなったことが挙げられる。これについては、まあしょうがないというところもあるが、どんな内容であろうと、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるの精神で、意地でも一日一記事のペースを守り続けたい。また、時代の流れだろう、インターネット上でのコミュニケーションが、Facebookを始めとするSNSを中心に回っていることがもうひとつの原因として考えられる。しかし、これについては「双方向性」「リアルタイム性」をないがしろにしたとしても、「検索性」「公共性」を持ったブログが必要だという信念が、更新のモチベーションとなっている。

そういえば、当初は人のために書いているという記事は少なく、自分のための外部記憶装置のような目的のために開設していた。そういったところから始まるFACE-TO-FACEの交流は、最初のうちこそあくまでも付随的なものとして捉えていたのだが、いつの間にかその中からかけがえのない繋がりが生まれ、それは私の"趣味"という領域の中の大部分を形成するものとなっている。そういったことがとても楽しいのだ。

2014/01/20

マルセル・ミュールの珍しい写真!(木下直人さんから)

木下直人さんからお送りいただいた大変珍しい写真。インターネット上での公開は世界初だと思う。

1943年10月発売の、ラジオ・フランスの番組表の表紙に大きく写ったマルセル・ミュール Marcel Mule氏。実は演奏中の姿を捉えた写真というのは意外にも少なく、ミュール四重奏団時代の数枚を見たことがあるだけだ(フィンガリングやアンブシュアに注目)。携えている楽器は、宮崎真一さんによれば「Couesnon Monopole Model1のようだが、F#付きは珍しい」とのこと。

写真そのものについて「MARCEL MULE」と書かれた下に小さく刻印があるが、パリの名門写真館であるスタジオ・アルクールでの撮影のようだ。陰影を活かしたダイナミックな画が、より一層この写真の価値を高めていると思う。

クリックすると拡大する。アップロード時に勝手に色味が補正されているようだ(元の見た目より若干黄色がかっている)。元の色で見たい方は私のFacebookアカウントページにアクセスしていただきたい。

2014/01/19

"似非先駆者"にならないように

佐藤淳一さんと打ち合わせのSkypeしていて面白いなと思った話。

何かとある"新しい"ことに取り組もうとしているとき「これはまだ誰もやったことがないから自分こそが先駆者だ!」と思っていたが、実は「これまでたくさんの先人が思いついたけれど、価値が無いものだから誰もやらなかった」ということがある。この状態に陥ることに注意しなければならない、と。

ああ、これってけっこう真理なのかもしれない。例えばサクソフォンひとつとっても、自分以外にも取り組んでいる人は100人も1000人もいるのだし、それだけ人がいればアイディアなんて想像がつかないほど生まれているだろう。自分が良いな、と思ったことが、実は一般的に見れば非常にどうしようもないもので、「それだけはやっちゃあダメだよ」と、やった後に評されてしまうのは、目も当てられない。裸の王様ならぬ、似非先駆者といったところか。

あるタイミングでは見向きもされなかったものが、時代が変わった時に途端に注目されてくることもあるから、さらに難しい。

だからこそ、事前の慎重な調査や、優れたものを見極める眼識を常日頃から磨いていくことが重要なのだろう。その上で、自分の信念に従って重要だということをやれば良い。改めて肝に銘じておきたいなと思ったのだった。

2014/01/18

茨城大学サックスアンサンブルコンサート

午前中だけ仕事をしてから伺った。上野⇔土浦間の常磐線に乗るのも今となっては稀になってしまった…まだTXが無かったころに何度か乗ったはずだが、車窓から見える景色などすっかり忘れてしまっている。土浦駅からは徒歩で15分で、終業時間との兼ね合いもあり少々遅刻。

【茨城大学サックスアンサンブルコンサート】
出演:茨城大学吹奏楽団サクソフォンパート他
日時:2014年1月18日 14:00開演
会場:土浦市民会館・小ホール
プログラム:
福島弘和「のっぴきならない虹へ」
サンジュレ「四重奏曲第一番より第4楽章」
ピアソラ「ブエノスアイレスの夏」
吉松隆「ファジィバード・ソナタより第1楽章」
クレストン「ソナタより第1楽章」
本多俊之「遊戯」
葉加瀬太郎「情熱大陸」
メンケン「パート・オブ・ユア・ワールド」
ロジャース「私のお気に入り」
「茶摘みによるディヴェルティメント(アンコール)」
「ブエノスアイレスの夏(アンコール)」

ということで、「ブエノスアイレスの夏」から聴いた。発音や指まわりに問題がない、地がしっかりしている「きちんとした技術」といったところが、やはり今の若い方たちの持つアドバンテージだ。ピアソラも簡単な作品ではないが、何のそのという感じ。すごいなあ。ソプラノサックスの調子がおかしくなってしまっていたのが少し残念だったが、アンコール最後でもリベンジとして聴くことができ、嬉しかった。これだけ技術があるなら、さらにアグレッシブな表現も聴いてみたいところ。

二部はソロ。「ファジイバード」やクレストン「ソナタ」をアンサンブルコンサートにひねり込んでくるって、なかなかやれない事だが、こういった方向性もぜひ続けていただきたい。いずれもチャレンジングな作品ではあるが、特にクレストンはピアノともども聴き応えのあるレベルに達しており、素晴らしいと思った。

三部は再びアンサンブルで、耳慣れたメロディをいくつか。いずれの曲も、丁寧な練習の跡と、個々の技術の高さに裏打ちされ、楽しんで聴いた。情熱大陸ではなんとサクソフォン四重奏にヴァイオリンが加わっての豪華な響き。カッコ良かったなあ 。「私のお気に入り」も、例の真島俊夫編のテクニカルな編曲ながら難なくこなしており、さらに積極的な表現がいくつも飛び出した。演奏会の〆にふさわしい。

アンコールは、まさかの「茶摘み」で、これをここで聴くことができるのかと、嬉しくなってしまった。最後に再び「ブエノスアイレスの夏」で幕。

演奏会の立ち上げには、相当な覚悟と準備と労力が必要であり(私もいくつかの立ち上げに携わったことがあるから判っているつもり)、ただそういう過程を経て生み出されたものはそれだけでも価値があるが、なおそれに妥協せず様々な面でプラスアルファを加えていたという意味でも、良い演奏会だったのではないかなと思う。ぜひ、次回、次々回と続けていただきたいところ。

会場となった土浦市民会館の全景。

2014/01/17

ご案内:明日の茨城大学サックスアンサンブルコンサート@土浦

明日、聴きに行く予定のコンサート。千葉大学SAX Projectでお会いした、茨城大学吹奏楽団のサクソフォン・パートの皆さんによる演奏会。これが第1回となるようで、6年前にやはり大学のサックス仲間と演奏会を立ち上げた時のことを思い出した(演奏会を立ち上げるって、大変なのだ)。

プログラムも初回からかなり気合いが入っており、ピアソラ/啼鵬編「ブエノスアイレスの夏」やヴァイオリンとの共演、ソロもあるとのこと。都心からはやや遠いが、お近くの方はぜひ、いかがだろうか。

【茨城大学サックスアンサンブルコンサート】
日時:2014年1月18日(土曜)14:00開演
会場:茨城県 土浦市民会館・小ホール
料金:入場無料
プログラム:
A.ピアソラ/啼鵬「ブエノスアイレスの夏」
本多俊之「遊戯」
R.ロジャース/真島俊夫「私のお気に入り」他
問い合わせ:iusx.ensemble@gmail.com

2014/01/16

シガード・ラッシャーの言葉より

シガード・ラッシャー Sigurd Rascherの高弟として名高い、ジョン=エドワード・ケリー John Edward Kellyが、「ラッシャーが信じていたこと」として、インタビューの最中に語りだす言葉が凄い。

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He (Sigurd Rascher) believed that music is one of the great accomplishments of human history, central to the identity of the human being, who he is, and that we have to take care of that identity, it doesn't happen by itself.

ラッシャーは信じていた。音楽は人類史上、もっともすぐれた業績のひとつであり、人間が人間であることを証明するものだ、と。人間はそれを大事にする必要がある。無から生じるわけではないから(諸岡敏行訳)。

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どこまでも深く音楽に関わってさえ、いや、音楽を生業としている方でさえ、こういったフレーズを口に出すことができるだろうか。「サキソフォン物語(現代:Devil's Horn)」を読んでいて、最も深く私の心に残った言葉だ。「もっとも優れた業績」とは、音楽学者あたりからは出てきそうな言葉ではあるが、さらに続いて「人間が人間であることを証明するものだ(原文ではcentral to the identity of...となっている)」と…。

聴き手をその場限りの興奮で満足させるような商用音楽ばかりが売れるこの時代に、敢えて見直すべき言葉ではないだろうか。もっと高い精神性を持つ音楽がたくさん生まれ、皆に演奏され、広く聴かれても良いのではないか。…それとも、その現代の商業主義の潮流さえも、音楽のあるべき姿=現代の人間のアイデンティティとして、自然な流れに乗ったものなのかもしれない。

…いやー、それにしてもidentityってのは本当に日本語に直しづらいですな。

2014/01/15

スウェルツ「クロノス」のジャズ・アレンジ

ピート・スウェルツ Piet Swerts「クロノス Klonos」のジャズ・アレンジバージョンなるものを見つけた。サクソフォンと、ギター、ドラムス、コントラバスのジャズ・カルテットによる演奏である。

Klonos


サクソフォンの演奏は、なんとMathieu Gaulinではないか!ファーストアルバムを以前ブログ記事にてレビューしたが、素晴らしい若手奏者の一人で、注目している。Jazz qui peutなる団体での演奏のようだが、まさかジャズも演奏するとは知らなかった…「クロノス」はサクソフォンは記譜どおりなのだが、ジョシュア・レッドマンの作で有名な「Hide and Seek」などでバリバリに即興を取っており、恐れ入る。

Hide and Seek


それにしても、「クロノス」ってネタにしやすいんですかね。以前もこんなことになっていたのを思い出した。

Quatuor Arcanesの演奏動画 on YouTube

ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏がソプラノを務めるサクソフォン四重奏団、Quatuor Arcanesの演奏動画がいくつかYouTubeに上がっている。いずれもクリストフ・モニオ氏との共演動画。以下に、2つ貼り付けておく。リゲティでは、第3曲にてモニオ氏が登場する。

ジェルジュ・リゲティ「6つのバガテル」


クリストフ・モニオ「スパニッシュ、クイズ、マネー・ホット」


その他にもいくつかあるようなので、Christophe Alary氏のYouTubeカウントからご参照いただきたい。

2014/01/14

ジョン・ハール氏関連のCDが…

ジョン・ハール氏関連のCDがAmazonにて中古品が安く出ているので、興味ある方はぜひ。どれも超おすすめ盤。

その昔に書いた文章を使ってご紹介。

サクソフォーン協奏曲集
1. Bryars, Gavin ギャビン・ブライヤーズ - The Green Ray ザ・グリーン・レイ
2. Nyman, Michael マイケル・ナイマン - Where the Bee Dances 蜜蜂が踊る場所
3. Westbrook, Mike マイク・ウエストブルック - Bean Rows and Blues Shots ビーン・ロウズ・アンド・ブルース・ショッツ
特徴ある現代音楽の録音を数々リリースし続けたArgoレーベルからのリリースによるCD。全三曲すべてがこのアルバムのために書き下ろされた新曲という、現在ではなかなか作ることのできない豪華な仕様のCDとなっている(リリースは1992年)。
一曲目タイトルの「ザ・グリーン・レイ」とは、ライナーの解説によると、太陽が地平線に沈み始めた瞬間に緑色の光を放つ現象のことだと言う。そのタイトルから連想されるとおり、ソプラノサクソフォーンによって奏でられる神秘的で表現豊かな長いメロディが楽曲の核となる。音数の極端に少ないメロディを音楽として表現できるのはハールの得意分野の一つであるが、そんな彼の長所が最大限生かされた作品だ。
二曲目の「蜜蜂が踊る場所」は、ナイマン特有のミニマル風の小気味良いパッセージが、だんだんと熱狂を帯びてゆく様がなんとも楽しい作品。今日ではすでに多くのサクソフォニスト達によって取り上げられ、サクソフォーンの重要なレパートリーの一つとして数えられている。サイモン・ハラームやジェラルド・マクリスタルによる録音もあるが、それらは項を改めてご紹介したい。
「ビーン・ロウズ・~」は変形されたブルースをモチーフとした、三楽章に渡るジャジーなコンサート・ピース。ピーター・フェアクロウのドラムス(絶品!)にのって縦横無尽に暴れまわるサクソフォンをご堪能あれ。

エレジー~スタン・ゲッツに捧ぐ
1. Myers, Stanley スタンリー・マイヤーズ - Concerto 協奏曲
2. Bennett, Richard Rodney リチャード・ロドニー・ベネット - Concerto for Stan Getz スタン・ゲッツのための協奏曲
3. Torke, Michael マイケル・トーク - Concerto 協奏曲
海外では「Sax Drive」というアルバムタイトルで売り出されているが、国内盤では「エレジー~スタン・ゲッツに捧ぐ」という名前になっている。三曲がそれぞれ別のオーケストラとの録音(アーゴ響、BBCコンサート管、アルバニー響)だが、どの曲も万全の仕上がりである。
国内盤ではアルバムタイトルにもなっている「スタンゲッツのための協奏曲」は日本の雲井雅人氏も注目する名品で、テナーサクソフォンによるアドリブ部分を交えた集中力の高い演奏が、さらにこの曲の価値を高めている。当初は委嘱者のゲッツ自身が初演する予定だったが、ゲッツの死去によりハールが初演を行ったのだという。
一方、映画「ディア・ハンター」の映画音楽作曲でも知られるスタンリー・マイヤーズの純音楽へのアプローチが、この「協奏曲」として実を結んでいる。スピード感溢れるスーパー・テクニックの演奏に、抜群の存在感を誇る曲だ。この作品はジョン・ハールに捧げられている。
トークの「協奏曲」は分かりやすい(耳に残る)旋律線を湛えた作品。前半二曲に比べるとインパクト面では少々劣るものの、やさしい調性音楽として書かれている。伴奏弦楽器とサクソフォーンがテーマを交互に演奏していく様が楽しい。


※ハール氏ではなく、Apollo Saxophone QuartetのCDだが、ジョン・ハール一派の流れを汲む重要なアルバム。
チルドレンズ・ソング
1. Corea, Chick チック・コリア - Children's Songs チルドレンズ・ソング
2. Nyman, Michael マイケル・ナイマン - Songs for Tony トニーへの歌
3. Bedford, David ディヴィッド・ベッドフォード - Fridiof Kennigs フリディオフ・ケニングス
4. Gregory, Will ウィル・グレゴリー - Hoe Down ホー・ダウン
5. Powell, Roy ロイ・パウエル - Bow out ボウ・アウト
唯一Argoから出版されたアポロ四重奏団のアルバム。ジャズ・ピアニスト&作曲家としても有名なチック・コリアの「チルドレンズ・ソング」が目を引くが、サクソフォーン四重奏という形態を生かした、ピアノソロにくらべて多様性ある演奏になっているのが面白い。「トニーへの歌」は様々な団体の録音が出ているが、このCDの演奏が一番だろう。第一楽章のアルトの歌い上げ始め、曲にどっぷりとつかった密度の濃い名演。この録音を聴くだけでも十分価値あるCDと言えるだろう。
メンバーの師匠であるハールと作曲家グレゴリーが参加した「ホー・ダウン」は、西部劇を思わせるようなスピード感あふれる作品。中盤に挟み込まれた唸るバリトンサックスのソロは一聴の価値ありだろう。吹いているのはグレゴリー氏自身だろうか?
瑞々しさと表現力がバランスよく配置されたアルバムになった。イギリスの四重奏のCDの中でも、特にオススメしたい一枚である。

ジョン・ハール氏の新譜を試聴

昨日のブログ記事で紹介したジョン・ハール John Harle氏の新譜「Art Music」だが、Sound Cloudに試聴用のページができているので紹介しておく。聴いていただければ、この不思議かつクールなハール氏の音世界を感じ取っていただけるのではないかと思う。ぜひ多くの方に聴いていただきたい。

インターネット上でのCDの試聴のスタイルは、数年前と比べたら隔世の感がある。リンク先に飛ぶか、Embedしたオブジェクトからどうぞ。

https://soundcloud.com/johnharle/sets/art-music-demo

2014/01/13

John Harle "Art Music"

私が大好きなサクソフォン奏者・作曲家である、ジョン・ハール John Harle氏の新譜!いやー、最高だ。

まずは、このアルバムに関連してハール氏が語った言葉を紹介したい。"Music is painting. Music and painting are both about capturing the essence of something. When I see images I hear music at the same time. I paint pictures in music(音楽とは絵画のようなものだ。音楽と絵画は、対象となる何かの本質を掴みとるという点で共通している。私は何かしらのイメージを見た時、同時にそのイメージの中に音楽を聴くのだ。私の作曲作業とは、音楽の中に絵を描いているようなものだ)"

ハール氏はLucian Freud他の手によるいくつかの絵画を選び作曲・演奏・プロデュースを実施。仲間の音楽家とともにアルバム「Art Music(Sospiro Records )」を作り上げた。題材となった絵画についてはSospiro Recordsのアルバム紹介のページから参照可能だ。

絵画とサクソフォンというと、平野公崇氏が読売テレビとともに手がけた「七つの絵~有元利夫に捧ぐ~」を思い出す。あれはオーケストラとサクソフォンの協奏曲だったな。趣はかなり異にするものの、こういった他分野と関連したサクソフォンは、いつも興味深く聴く。成功すると相乗効果で凄い物ができあがるからだ。

冒頭トラックから、ジャンル・フリー、まさにハール氏でしか作ることの出来ない音楽だ!作品も良いが、演奏ももちろん良い…サラ・レナードを始めとした豪華布陣により、素晴らしい作品となっている。「The Arrival of Spring」の壮大さや、「Innocent」の奇妙な音響風景、「Arcadia」のヴァイオリンとの濃密かつスピード感あふれるアンサンブルなど、聴きどころは多い!ハール氏の演奏が好きなら、買って損はない。

もちろんサクソフォンの技巧・音楽性も相当なものだが(「Memory and Imagination」での高速タンギングなど、ハール氏いまだ健在なり!と思ってしまった)、サクソフォンはあくまでも「Art Music」というこのアルバムを作り上げるための一手段であり、サクソフォンのアルバムとして聴き始めると面食らうかもしれない。なかなか日本ではこういった強烈なコンセプトを持つアルバムは作れないだろう…最近では田中靖人氏のモリコーネアルバムがあったが、皮肉なことにあれもハール氏のプロデュースであった。しばらくヘビーローテションしてしまいそう。Amazonでの購入リンクはこちら→ジョン・ハール:アート・ミュージック

参加アーティストは次の通り。

John Harle - Composer, Saxophones, Guitars, Keyboards
Marc Almond - Voice
Sarah Leonard - Voice
Pavel Šporcl - Violin
Steve Lodder - Piano
The Doric String Quartet

トラックリストは次の通り。

Painted Life - Berlin Tango
Painted Life - The Interpretation of Dreams
Painted Life - Memory and Imagination
Painted Life - Painted Life
Arrival of Spring - In the Wood
Arrival of Spring - Angel Eyes
Arrival of Spring - The Arrival of Spring
Innocent
In Nomine
Arcadia - Invocation
Arcadia - Procession
Arcadia - Meditation
Arcadia - Evolution
Arcadia - Dedication

FST打ち上げ、TSQ練習

日曜日の昼は、12月に3つの本番をこなしたFour Seasons Trioの打ち上げ@千葉県の某市。メンバーの3名に加え、水戸方面に勤める某氏も召喚。ビールやらワインやら肉やら何やらを持ち寄り、ぐだぐだと過ごした。美味しい料理とお酒に舌鼓を打ち、様々な音楽を聴き、DVDを鑑賞する。写真は、会場となったお家の飼い猫・マイケル。

14:00に集合して、結局終わったのが次の日のAM2:00だったから、延べ12時間もあーだこーだと過ごしていたことになるが…あっという間だった。さすがにこんな過ごし方は、1年に1回くらいでいいかなあ(笑)とても楽しいのだけど、毎週末やっていたら廃人になりそう…(苦笑)。

で、空けて月曜日・祝日は、午後からTsukuba Saxophone Quartet練習。2014年12月21日の夕刻にルーテル市ヶ谷で演奏会を行う予定なのだが、それに向けて始動となった。フィリップ・ガイス「パッチワーク」と、ティエリー・エスケシュ「タンゴ・ヴィルトゥオーゾ」の音出し。どちらもフランスの某有名団体のアンコール定番曲だ。ガイスは後半のTiKuTiKuといった擬音語のような部分が難しく、エスケシュはリズムが難しい。どちらも取り組みがいがありそう。他の曲も楽譜が揃い始めている。

「カルミナ・ブラーナ」にハマる

この3連休、なぜかカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」にハマっている。既に4回くらい通して聴いたか。もちろん昔から知っていた曲なのだが、金曜の深夜に突然ふと聴きたくなってオイゲン・ヨッフム指揮ドイツ・オペラ座管弦楽団のCDをかけてみたところ、ああやっぱり良いなあ、と。

10年も前となるが(音楽関連で昔の話をするときに、2桁年以上前という単語も出るようになってしまった…)、2004年5月に開かれた日立市民吹奏楽団の30周年記念演奏会で、合唱・ソリスト入りの全曲演奏、しかもかなり高クオリティで超白熱した演奏に接し、以来お気に入りの曲のひとつ。原曲はもちろんオーケストラということもあり、サクソフォンとは全く関係ないのだが、発作的に聴きたくなることがあるのだ。

その金曜深夜をキッカケに、小澤征爾とベルリン・フィルのライヴ演奏(映像が残っている)を観たり、NMLにあったムハイ・タン指揮のロイヤル・フランダース・フィルハーモニーの演奏(かなり良い、しかもライヴ)を聴いたり。

改めて歌詞、というか元になったカンタータのテキストの日本語訳を読んでみたが、何とも凄いと再認識。生命万歳、酒で乾杯、男女の戯れ…快楽を追い求めて何が悪い、それもそれ運命に従うのみなのだから、と。内容が(良い意味で)どうしようもなく、突き抜けた清々しさを感じ、ああ、人間の根っこの部分てそういうものだよなあ(苦笑)と感じながら、ひたすらにダイナミックな音楽に身を委ねていた。

ヤマハ目黒吹奏楽団 ファミリーコンサート2014

演奏での参加ではなく、ステージマネージャーとしてお呼びいただいて演奏会に携わっている。今回で5回目だった。

舞台裏での、演奏会中の進行・照明切り替え指示出しが主要な業務だ。いつもいろいろと勉強させて頂いているが、もちろんそれだけではなくて、舞台裏から素敵な演奏を聴くことができるのも嬉しいのだ。きちんとした技術と暖かみのあるサウンド、ホールの音響の良さ、お客さんの反応(毎回、人数は800~1000と、かなりの割合で客席が埋まっているのがわかる)、司会の大田先生の名調子など、見どころ・聴きどころが多い。

ファミリーコンサートということで、聴きやすい作品が多かった。後半は、いつにもまして定番中の定番。最後の長大な美空ひばりメドレー=「UTA-HIME」など名曲ばかりで、涙なしには聴けない(実際は、照明指示でドタバタだったのだが笑)。ふだん吹奏楽にはまったく関わっていないため、たまーにこういうサウンドに触れると演奏したくなってしまいますね(笑)まあとにかく、今はサクソフォンにしっかりと取り組んでいかないと。

【ヤマハ目黒吹奏楽団 ファミリーコンサート2014】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2014年1月11日(土)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール・大ホール
プログラム:
A.リード - カーテン・アップ!
黒島健 - テルブライト序曲
P.マスカーニ - "カヴァレリア・ルスティカーナ"より間奏曲
N.ヘス - イーストコーストの風景
宮川泰 - ゲバゲバ90分
真島俊夫編 - アマデウス、浮かれる!
星出尚志編 - ジャパニーズ・グラフィティXVIII
G.ハル - チューバ吹きの休日
C.M.シェーンベルク - 夢破れて
杉浦邦弘編 - UTA-HIME 美空ひばりメドレー
馬飼野康二 - 勇気100%(アンコール)
J.シュトラウス一世 - ラデツキー行進曲(アンコール)

初回以来となったが、打ち上げにも参加。賑やかに楽しい時間を過ごした。

2014/01/09

第5回サクソフォン交流会:速報

日時:2014年6月28日(土曜) 開演時刻未定
会場:埼玉県草加市・アコスホール(東武伊勢崎線「草加」下車徒歩1分)
アドバイザー/客演指揮:林田和之

団体の参加要項発表は2月上旬、募集開始は2月中旬以後を予定。詳細は、ウェブページまたはFacebookページの続報をお待ちいただきたい。

http://enjoysax.michikusa.jp/
https://www.facebook.com/enjoysax

2014/01/08

交流会事務局打ち合わせ

飯田橋の某居酒屋(mckenさんセレクトだったが、なるほどやられた!という感じ笑。いやー、あの外見えの佇まいと、中のギャップは反則でしょう)にて、交流会事務局新年会ならびに打ち合わせ。各タスクの分担を決定し、本格的に動き出す準備が整った。とりあえず、マネージャーは前回に引き続き私が受け持つ(予定)。

参加団体の募集スケジュールは近々に公にする。ぜひ交流会ウェブページならびにフェイスブックページをチェックしていただきたい。

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2014/01/07

John Harle plays "Prick Up Your Ears" on YouTube

1987年公開のイギリス映画、「Prick Up Your Ears(邦題:プリック・アップ)」の映画音楽を、ジョン・ハール氏が演奏している映像。1988年にBBCで放送された、ジョン・ハール氏に関するドキュメンタリー「One Man and his Sax」からの一場面なのだそうだ。ハール氏、若い!存在感やテクニックが冴え渡っており、ハール氏のファンとしては感涙モノだ(何度もブログ上では述べているが、私が世界で一番好きなサクソフォン奏者はジョン・ハール氏)。

埋め込み不可であるため、リンク先で閲覧されたし。
http://www.youtube.com/watch?v=MnrpIlFzyO8

その他の演奏陣も非常に豪華で、ピアノがジョン・レネハン、テナーサクソフォンがディヴィッド・ローチ、トランペットがガイ・ベーカー、といったところ。このドキュメンタリー「One Man and his Sax」、全編を観てみたいのだが…なんとか方法はないだろうか。サクソフォン関連の映像作品というと、ダニエル・ケンジーの「SAXISTE!」も観てみたいのだよなあ。

2014/01/06

読売新聞の記事より(アドルフ・サックス)

2013年3月1日付の記事だが、短いながらも簡潔にまとまっており読みやすい(新聞ならではだなあ)。1分程度で読めるので、ぜひ。要求された時にこういう文章を書けるのは、トレーニングを積まなければ難しいだろう…。

楽器発明 不運の天才…アドルフ・サックス(1814~94)ベルギー・ディナン
http://www.yomiuri.co.jp/otona/trip/earth/20130222-OYT8T00869.htm

2014/01/05

Mebius Saxophone Ensembleの動画

関西方面で活動するメビウス・サクソフォン・アンサンブルという団体がある。大阪音楽大学出身のメンバーを中心に構成された8重奏の団体で、結成は2007年。YouTube上に数多くの演奏動画をアップロードしており、下記リンクより閲覧することができる。

http://www.youtube.com/user/sax0216mebius

メビウスSEさんの魅力は、なによりその選曲バランスの良さである。オリジナルアレンジが殆どなのだと思うが、例えば最近では「踊り明かそう」「聖者の行進」といった良く知られている曲を取り上げて、高い技術で演奏してしまうのだ。とにかく方向性がハッキリしており、おそらくこの境地に達するまでは多くのものを捨て去ったのだと思うが、その姿勢は清々しくもある。そして、聴いていて実に心地よい。

アップロードされている動画は多いが、個人的お気に入りを貼り付けておく。

・宝島


・人生のメリーゴーランド


・カルメン・コレクション

2014/01/04

ヤマメのリハ

夕刻より、ヤマハ目黒吹奏楽団のリハーサル@浜離宮朝日ホール・リハーサル室に伺った。ここ数回にわたってステージマネージャーとして呼んでいただいているのだ。時折吹奏楽など耳にすると、やはりちょっとうらやましく思ってしまうな。ナイジェル・ヘスの「イーストコーストの風景」なんて、いったいいつ吹いたっけ。懐かしすぎる…。

こんな高天井のスペース(もちろん初めて入った)。なかなか入る機会もない場所だけに貴重な経験をさせてもらった。そういえば前回は東京オペラシティのリハーサル室だったな。

SONY HDR-MV1を持っていって、吹奏楽でどんなふうに撮れるのかを試すことができたのも良かった。

2014/01/03

ご案内:白井奈緒美さんのコンサート@アクタス

東京に戻ってきた。もうちょっとゆっくりしたかったけど…。

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白井奈緒美さんから関東地方での演奏会のご案内を頂戴した。白井さんのことは今更わざわざ紹介しなくともほとんどの方がご存知だろう。パリ国立高等音楽院を卒業後、香川県を拠点として活躍中のサクソフォン奏者だ。けっこう前から演奏を聴く機会はあったのだが、じっくりお話する機会を持てたのは、昨年の4月のサクソフォニーフェスティバル四国の時であった。とにかく鮮烈な演奏をなさる方で、未だに強く印象に残っているのはシュトックハウゼン「誘拐」をサクソフォーン・フェスティバルで演奏された時のこと。ここに感想を書き残してある。

さて、今回は、テーマを「飛翔」として、その言葉にまつわる作品をセレクトしているようだ。蝶、ひばり、ファジイバード、火の鳥…時代も題材も違う様々な曲があることに驚かされる。白井さんの「ファジイバード・ソナタ」なんて、きっと面白いだろうなあ。さらに注目すべきは、2013年のシュトックハウゼン講習会で演奏家賞を受賞したという「蝶の舞」。無伴奏クラリネットのために書かれた「愛 Amour」の、第3曲にあたる作品だ。跳躍や高音域を多用し、サクソフォンで演奏されるとさらに輪をかけて難しくなる作品だが、どのように演奏されるのかぜひご自身の耳で確かめていただきたい。

ピアノは李早恵さん。ミーハ・ロギーナ氏とのデュオで何度か聴いたが、この方もアンサンブルや音の粒立ち、技巧といった面などで、本当に素晴らしいピアニストだ。私は、吹奏楽団の演奏会のステージマネージャーの仕事で伺えないのだが、ぜひお時間ある方には聴きに行っていただきたい演奏会だ。

【白井奈緒美サクソフォンコンサート~FLY 飛翔~ in ACTUS】
出演:白井奈緒美(sax)、李早恵(pf)
日時:2014年1月11日(土)17:00
会場:アクタス・ノナカアンナホール
料金:一般3000円、学生2000円(要予約)
プログラム:
ヴィヴァルディ「"四季"より」
マスネ「"2つの小品"より黒蝶、白蝶」
シュトックハウゼン「"愛"より蝶の舞」
石田早苗「秋津の舞」
ガーシュウィン「アイ・ガット・リズム」
ピアソラ「天使の死」
吉松隆「ファジイバード・ソナタ」

http://nonaka-actus.com/?pid=66771191

2014/01/02

2014年は…

夕食後、実家から車で数分の温泉へ。よかったー( ´∀`)

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数年前からぼんやりと思っていたのだが、今年、2014年はサクソフォンにとって非常に重要な「スタートの」年になるのではないかと。

言わずもがな2014年は、アドルフ・サックス生誕200年の年。また、それに合わせたかのようにクロアチア、ベルギー、アメリカ、タイで大きな国際コンクールが開かれ、また日本でも管打楽器コンが開かれる。

ここ数年にわたって私が切望しているのは、次世代のスターの誕生だ。もちろんコンクールはそのきっかけにすぎず、それを足踏みとして日本で/世界でオリジナリティ溢れる活動を広く展開するような奏者が、一人と言わず何人も出てきてほしいと思っている。コンクールへの入賞はスタートだとよく言われるが、正にその通り。それが個人の活動として終わるのではなく、サクソフォン界の大きな流れとして周りを巻き込んでしまうような、そんなところも期待してしまう。また、別の面として、クラシックのサクソフォンを知らない方に対する、裾野の拡がりを担うという点も重要である。

今年のコンクールをきっかけとして、そういった音楽家の誕生をサクソフォン界から期待したい。そして、その活動の展開を、今後幾年にもわたってリアルタイムで注視していければと思っている。

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私は私なりに、できることをやっていきたい。本年もよろしくお願いします。

2014/01/01

サクソフォン関連の論文の探し方

実家で、1914年の東京がどんな様子だったか…というドキュメンタリー@Eテレを観ていたら、突然、湯山昭「マリンバとアルトサクソフォンのためのディヴェルティメント」が流れてびっくり。

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クラシック・サクソフォン関連の論文の探し方について、ちょっと前に某氏から教えてもらったので、自分用のメモとして残しておく。海外の大学のサクソフォン専攻の学生の論文は、様々な情報が体系的に掲載されているという意味で有用である。これまでは、Google検索で調べて出てくるものを引っかけていたのだが、これでは論文だけではなくて他のウェブやブログの情報も出てきてしまう。

で、論文に絞った探し方だが、コロンブスの卵的というか、Google Scholar(Googleの論文検索専用のサイト)を使えば良いのだ。「なーんだ」と思われるかもしれないが、いや確かに私も実にうっかりしていたなあ、と。

http://scholar.google.co.jp/

ここで検索できる論文は、Overviewしか読めないものもあるが、全文が読めるものも少なくない。

例えば、先日のデクリュックのソナタの件。「ところで…不勉強で申し訳ないんですが、アルトサクソフォン版が先、ヴィオラ版が後からできたんでしたっけ(逆でしたっけ)。」などと書いたが、Google Scholarで「saxophone decruck」と調べたところ、「REDISCOVERING FERNANDE DECRUCK’S SONATE EN UT# POUR SAXOPHONE ALTO (OU ALTO) ET ORCHESTRE: A PERFORMANCE ANALYSIS」という論文が出てきた。この論文は、ノーステキサス大学のJoren Cain氏が書いており、全文を参照可能である。この論文を読んでいくと、「作品自体はマルセル・ミュールに献呈されながらも(つまりサクソフォンのために書かれた)、楽章や部分によっては明らかにヴィオラパートがサクソフォンに先立って着想されたのだろう」という説明が譜例・解説付きで掲載されている。今後もしデュクリュックの「ソナタ」のヴィオラ版について聞かれたら、引用元を挙げてこのように説明すれば良いのである。

…とまあ、いろいろと読んでじっくり探していくと一年かかっても読み切れないほどの分量の情報を探し出すことができるだろう。ぱっと10分ほどで次のようなキーワードで検索してみたのだが、出てくる論文の面白いこと。ぜひいろんなワードで試して頂きたい。「franck saxophone sonata(ヴァイオリン編曲の話題)」「germany saxophone」「hemke sinta rousseau」「albright saxophone」「debussy saxophone sonata(チェロソナタの編曲の話題)」「denisov saxophone」