2013/09/30

マッキーのS.SAX協奏曲の楽譜・録音

ジョン・マッキー John Mackeyが作曲した「ソプラノサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲」の録音、スコアは、下記リンクから参照できる。リンク先に飛んで、[Audio & Score]というボタンをクリックすると、楽譜の注文ができるほか、全曲版のスコアをPDFで参照でき、さらにマカリスター氏による演奏もストリーミングで聴くことができる。

http://www.ostimusic.com/SaxConcerto.php

録音を聴きながら楽譜を追ってみると、やはりとんでもなく難しいのは間違いなく、さらソロパートのみならずバンドにも相当な技術力が要求されることがよく分かる。ソロと同じ音形を吹くなんてのはザラで、ソロが悠々とメロディを吹いている裏で細かく動く部分も多数。一筋縄ではいかない作品なんだな、ということを再確認した次第。

しかし、やはりマカリスター氏のソロの見事なこと!テクニカルな部分で限界を感じさせないのはもちろんのこと、たった一音の伸ばしをこう解釈するのか、という驚きが随所に見られる。さすがだ。

2013/09/29

海老原恭平&田代あかり@カーサ・クラシカ

海老原さんと田代あかりさんのコンサート@カーサクラシカへ。カーサクラシカでは時々サックス関連の催しも開かれているのだが、なかなか伺う機会がなく、2012年1月にTSQで演奏して以来の久々の訪問となった。40席ほどの狭いスペースに、グランドピアノが鎮座し、演奏スペースはごくわずか。かなり前の方に席を構えると、サクソフォンの音をダイレクトに浴びることとなる。たっぷりのトークを交えつつ、演奏会は和やかに進行した。プログラム冊子には、演奏者から直筆のメッセージが!これ、いいなあ。こんど真似してみよう。

【Kyohei Ebihara Saxophone Live】
出演:海老原恭平(sax)、田代あかり(pf)
日時:2013年9月29日(日曜)19:00開演
会場:カーサ・クラシカ
料金:2000円(ミュージックチャージ)
プログラム:
B.コッククロフト「青と黒」
R.シューマン「アダージョとアレグロ」
武満徹「めぐり逢い」
旭井翔一「ジャズソナタ(新作初演)」
G.フィトキン「ゲート」
M.ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
A.ピアソラ「悪魔シリーズより」
F.クライスラー「愛の挨拶」(アンコール)

プログラムが個人的に非常に面白かった。コッククロフトの無伴奏作品は初めて聴いたし、旭井翔一さんの新作はやはりとても面白かったし、フィトキンは言わずとしれた名曲であるし、最後のピアソラの演奏者に対する共感度は高いし…という感じ。

ホールで聴くと、海老原さんの特に華のあるプレイにはついつい耳が行ってしまうが、今日聴いていて特に「おおっ」と思ったのは、曲の冒頭でシンプルな一音を伸ばした時の美しさだった。シューマン:ソプラノで演奏の冒頭然り、ラヴェル:アルトで演奏の冒頭然り、である。もちろん、フィトキンやピアソラのような、際立って派手な作品でのハマり具合も。田代あかりさんの演奏もさすがだった。なんだか大嶋千暁さんと同じ大学の同じ専攻の同じ学年に在籍しているのがちょっと信じられない(名手がなんで二人もいるの、っていうか…)くらいだが、今回も期待通り。アグレッシブな音楽づくりは、ソリストの音楽性にもマッチしている。

旭井さんの隣で一緒に聴いていたので、いろいろお話できたのも良かった。「ジャズソナタ」のスコアも見せてもらった。ご本人いわく、楽章の追加や改訂を行って、再演の予定もあるとのこと。

終演後のひとこま。

第4回交流会事務局打ち上げ(名古屋側)

昨日は第4回サクソフォン交流会事務局打ち上げ@名古屋側、だった。名古屋側から7名、関東側から3名、そして瀧先生の、合計11名が参加。14:30にこちらを出発し、16:30には名古屋に到着して、裏道を歩きながら栄のヴァードウィークというダイニングバーに歩いて向かった。

飲み会のために名古屋に行ったのは初めてだなあ笑(念のため書いておくと、もちろん交通費・飲食代は自費です)。食事も美味しく、お酒も美味しく、もちろんお喋りも楽しく、盛り上がってついつい飲み過ぎてしまった。移動先の二次会途中で潰れてしまい、そのあたりところどころ記憶が飛んでいるが、三次会でちょっと寝たら復活。結局4:00まで続いて、朝マックで軽く食べたのち、6:30名古屋駅発の高速バスで帰ってきた。ああ、楽しかった。

カキツバタのみなさん、瀧先生、ありがとうございました。あっ、あと東京側から参加したみなさんも…

一次会の乾杯の写真。集合写真を撮るのを忘れてしまった(汗)

2013/09/28

ルソー氏のCD入手先

Jeanne, Inc.において、ユージン・ルソー Eugene Rousseau氏のCDがなんとほぼ全て取り扱われていることを知った。しかも1枚あたり12USD!破格である。同社について、ルソー氏に関連する注目すべきコンテンツを積極的に取り扱っているという認識はあったが、CDについてもこれだけ充実しているとは知らなかった。

http://www.jeanne-inc.com/mm5/merchant.mvc?Screen=CTGY&Store_Code=JI&Category_Code=CD-ER

LP時代はもちろんだが、ルソー氏のCD時代の録音については、名録音が多いといえるだろう。特にRIAXに吹きこまれた4枚…「Saxophone Masterpiece」「Music of Jindrich Feld」「The Haydn Trio of Vienna」「The Undowithoutable Instrument」は、いずれも超級の名盤であり、お手本というレベルを超えてクラシック作品として鑑賞するに相応しい盤。多くの方に聴いていただきたいところだ。

2013/09/26

日本初演、その後

少しずつだがJohn Whelan/Skolvan/Benoit Menutの「Trip to Skye」とRichard Inghamの「Mrs Malcolm, Her Reel」が浸透していく実感があって嬉しい。いずれもTsukuba Saxophone Quartetで日本初演した作品で、メンバーもそれぞれとても大好きな作品だが、インターネットを使った地道な普及啓蒙活動によって、取り上げてくださる団体が増えているようだ。

特に「Trip to Skye」は、日本国内での楽譜入手については基本的に私経由であるということもあり、演奏実績をトラックできるのが嬉しい所。これまでに、ダッパーサクセーバーズ→Green Ray Saxophone Quartet→That's Saxophone Philharmonyと来ており、10月には雲カルの演奏予定があり、またすでに他の団体からも問い合わせをいただいている(もし楽譜に興味が有って演奏したい方は、kuri_saxo@yahoo.co.jpまでご連絡を…)。「Mrs Malcolm, Her Reel」も、日本からLargo Musicへの問い合わせが増えているようだ。いずれの作品も、日本人好みというか、サクソフォン四重奏作品として非常に楽しい作品だと思う。あとは、どこかプロフェッショナルの四重奏団が国内レーベルのCDにレコーディングしてくだされば…もっと広まるだろうなあ、などと妄想している。

単に初演しておしまい、ではなく、やはり素晴らしい作品は素晴らしい作品として、啓蒙し続けていくことも必要なのだろうなあと思う。プレスCDを作るわけにはいかないが、今はYouTubeやらSNSやら、便利なものがたくさんあるのだ。

Benoit Menutがアレンジのベースに使ったSkolvanによる「Trip to Skye」の演奏。

2013/09/25

冨岡祐子さんから演奏会ご案内

実は、今週月曜日に開催されたばかりの宗貞先生+アテナSQの演奏会案内もいただいていたのだが、うっかりしてご紹介が遅くなってしまった。ということで、もう1件いただいたヒンデミット作品への出演の演奏会のご紹介を。

サクソフォンとの共演でも有名な、羽石道代さんは、"ヒンデミット研究家"なのだそうだ。ヒンデミットと聞いて"渋い"という印象を持つのは私だけではないだろうが、普段演奏会で拝見する羽石さんの出で立ちにはずいぶんとマッチしているような気もする。そんな個人的感覚はさておき、非常に面白いプログラムだ。多作家で、生涯に600作品以上を作ったヒンデミットの作品群から、珠玉の4作品を。

アルトホルン(もしくはアルトサクソフォン)のためのソナタは有名だが、ピアノ、ヴィオラ、テナーサクソフォンのための「トリオ」が取り上げられるとは興味深い(アルトサクソフォンソナタの10倍くらい難しい作品!)。「ルードゥス・トナリス」や「4つの気質」は、普段サクソフォン方面で活動しているとあまり知ることはないだろうが、面白い作品だと思う(できれば予習されることをオススメする)。冨岡さんは、トリオで羽石さんと共演されるようだ。

【羽石道代 プラス ヒンデミット】
出演:
貝沼拓実(Alto saxophone)
冨岡祐子(Tenor Saxophone)
長岡聡季(Viola,Violin)
竹内弦 (Violin)
伴野剛 (Viola)
朝吹元 (Cello)
倉持敦 (Contrabass)
羽石道代(Piano)
日時:2013/10/4 (金) 19:00
会場:浜離宮朝日ホール
料金:一般3,000円 学生2,500円(全席自由)
プログラム:
全曲、パウル・ヒンデミット Paul HINDEMITHの作品
ルードゥス・トナリス「音の遊び」~対位法と調性、およびピアノ奏法の練習~
トリオ ピアノ、ヴィオラとヘッケルフォーンもしくはテナーサクソフォーンのための
ソナタ アルトホルン(もしくはアルトサクソフォーン)のための
主題と変奏「4つの気質」弦楽合奏とピアノのための
問い合わせ:
プロアルテムジケ 03-3943-6677

2013/09/24

國末さんから演奏会ご案内2件

おなじみ、サクソフォン奏者の國末貞仁さんからコンサートのご案内を頂戴した。10月の平日は仕事が忙しく、いくつか行く予定として前々から決めているコンサート以外は伺えそうになく、なんとも残念。しかも、超注目コンサートが続くのだ!こんな時期に限って仕事が忙しいとは…(涙)

【Trio YaS-375 5th Concert】
出演:Trio YaS-375、須川展也、福井健太、上野耕平
日時:2013年9月26日(木)19:00開演
会場:東京オペラシティリサイタルホール
料金:一般4,000円 学生3,000円(全席自由)
プログラム:
S.ジョプリン/高橋宏樹 - エリート・シンコペーションズ
R.ピーターソン - トリオ
L.v.ベートーヴェン - ピアノ三重奏曲第4番
C.コリア - スペイン
石川亮太 - 銀河鉄道の夜
問い合わせ:
trioyas375@gmail.com

Trio YaS-375、定常的に活動を展開しており、素晴らしいと思う。デュオはなかなか定常的に活動する団体が限られている。やはりレパートリーの少なさが問題だと思うのだが、それを逆手に取って、高品質な新曲・新アレンジを量産しているのだ。今回も、高橋宏樹氏、石川亮太氏という若手人気作曲家の作品とともに、オーソドックスなベートーヴェン、超豪華ゲストを迎えての豪華な「スペイン」が演奏される。個人的に要注目のラッセル・ピーターソンの「トリオ」は、フルートとサクソフォンとピアノのための「トリオ」を、おそらくサクソフォン2本とピアノで演奏するということなのだろう(確認中)。こんな曲です。超かっこいい。

以下、國末さんからの紹介文。

ピアニストの小柳美奈子、サックスの山田忠臣、國末貞仁によるユニット「Trio YaS-375」の結成5周年の記念コンサートです。今回は、須川展也先生、福井健太くん、上野耕平くんの3名の豪華ゲストをお迎えして、いつも以上に楽しいステージをご用意しています。メインは亮太くんの書き下ろしの新曲「銀河鉄道の夜」です。さらに出演者全員によるチック・コリアのスペインなど、聴きどころが満載です!

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【Quatuor B 第1回演奏会】
出演:Quatuor B
日時:2013年10月2日(水)19:00開演
会場:紀尾井ホール
料金:3,500円(全席自由)
プログラム:
J.S.バッハ/栃尾克樹 - イタリア協奏曲
F.J.ハイドン - 四重奏曲第23番作品20-5
K.ベッファ - ファイヤーワークス(日本初演)
A.デザンクロ - サクソフォン四重奏曲
問い合わせ:
紀尾井ホールチケットセンター 03-3237-0061

結成7年目にして、東京での初のフル・リサイタル!國末さんと小山さんの2007年のデュオ・リサイタル(→Thunderさんのコンサートレビュー)を原点として結成されたQuatuor Bも、7年目突入。プログラムは、Quatuor Bの十八番ばかり。さらに、カロル・ベッファの名曲「ファイアワークス(これってクラリネット四重奏のイメージがあったのだけど…)」をも引っさげて、いったいどんな演奏をプレゼンテーションしてくれるのだろう。

以下、國末さんからの紹介文。

國末貞仁、山浦雅也、有村純親、小山弦太郎のB型4人によるサクソフォーン四重奏団「Quatuor B」は今年で結成7年目を迎えました。東京では初となる本格的なコンサートをクラシックの殿堂・紀尾井ホールで開催します!紀尾井ホールは、ロックミュージシャンでいう武道館のようなホールです。とても素晴らしい響きのホールでこれまでの7年間の集大成をお届けします!!

2013/09/23

Worksong played by Richard Ducros

映像ではないが、Richard Ducros氏の演奏したChristian Lauba「Worksong」の録音がYouTubeにアップされていた。ロバ氏自身のFacebookタイムラインにて掲載されていたので、公式なのだと思う。

http://www.youtube.com/watch?v=HDw5L97Shmk

定番となっている、初演者ダグラス・オコナー氏による演奏も凄いが、こちらのDucros氏の演奏もなかなか。ダイナミクスレンジの幅はやや狭く感じるが、録音のせいだろうか。

後輩の披露宴二次会~三次会

昨日は、大学の吹奏楽団の後輩(3つ下!)にあたるご夫妻の結婚式披露宴の二次会~三次会に参加してきた。吹奏楽団の関係者を中心に、100人近い出席者が集まった。素敵な会で、祝福ムードたっぷりで、なんだか参加しているだけで嬉しくなってしまう。楽器を持っていって、久々にあまスタとして演奏にも参加した。結婚式の二次会、というもに出席するのはたぶん4回目くらいなのだが、そのうち3回は音楽関係の友人。必然的に出し物のネタとして生演奏がいくつも出てくるのだが、やっぱり生演奏があるっていいですよね。

ふなぴくん、しゃーりーさん、このたびはおめでとうございます!末永くお幸せに…。

写真は、NEX-5Nと標準ズーム・SEL50F18・SEL16F28&フィッシュアイの組み合わせで撮影。SEL50F18を使った時のピントの後ろ抜けに苦労しながら撮った。F1.8で通していたが、写真を整理してみるとピント合わせに苦労しているものが多く、F2.2くらいでも良かったかもしれないと思った。

2013/09/21

That's Saxophone Philharmony 第9回ソロ・アンサンブルコンサート

【That's Saxophone Philharmony 第9回ソロ・アンサンブルコンサート】
出演:That's Saxophone Philharmony、Saxofono Rosso、JION Saxophone Quartet

G.ヴェルディ「乾杯の歌」
J.ウィーラン「トリップ・トゥ・スカイ」
久石譲/石毛里佳「スタジオジブリ・メドレー」
J.イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」より第1楽章
レハール「メリー・ウィドウ・メドレー」
A.ピアソラ「ブエノスアイレスの春」
本多俊之「"家族ゲーム"より」
A.ピアソラ「フーガと神秘」(Rosso & That's)
A.ピアソラ「アヴェ・マリア」(Rosso & That's)
J.ノレ「トカデ」(JION SQ)
福田洋介「Sakura Song - Five」
G.ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」

普段はラージアンサンブルを中心として活動しているザッツさんの、ソロ・アンサンブルのコンサート。この秋季のコンサートも、春季の定期演奏会も、毎回代々木のオリンピックセンターで開かれており、初めて伺ってから何度も足を運んでおり、私にとってはすでにお馴染みの会場だ。

デュオから始まり、カルテット、ソロ、ゼクステット、クインテットと続く。毎回の定期演奏会で感銘を受けているが、小編成であってもとても高いクオリティ!やっぱり、ラージでのあの充実した響きは、こういった地力の高さがひとつの大きな要因なんだなと実感させられる。以前演奏会のご紹介でも書いたが、今回特に嬉しかったのは「Trip to Skye」を演奏してくださったこと!ザッツさんの、音で奏でられるこの曲の響きがとても心地よかった。

二部はゲストステージ。ロッソさんとザッツさん、各三名によるバリトン・ゼクステットと、JION Saxophone Quartet。バリトン・ゼクステットは、チェロのために書かれた「フーガと神秘」と、優しげな「アヴェ・マリア」を濃厚な演奏で、JIONはあの「トカデ」を圧巻の演奏でこなしていた(説得力のある構成と、四楽章のスピード!)。

三部は、いつものザッツさんの編成による演奏。東京近郊のラージアンサンブルというと、ザッツさんのほかにロッソさんやエスポワールさんやなめら〜かがすぐ思い浮かぶが、これだけの多人数にもかかわらずそれぞれに個性のある音が飛び出すのは、不思議。普通は人数が増えるほどそういった特色って減じる方向に向かうと思うのだが…。アンコールは全員集合で最終週に突入しようとしている「あまちゃん」のオープニングテーマだった。バリトン近辺にチャンチキが用意された時点で何が演奏されるかわかっちゃったぞ(笑)。

打ち上げも伺いたかったのだが、やる事を溜め込んでしまっているため知り合いにご挨拶して失礼した。来年の定期はぜひまた伺いたいなあ!

オリンピックセンターをNEX-5Nを使ってワイド撮影してみた。

TATATATA DUO

JacobTVの作品で、チェロとビートボックス(屋外用大音量ラジカセ)のために書かれた「TATATATATA」の改変版、「TATATATA DUO」の楽譜を入手。テナーサクソフォンとバリトンサクソフォンのためにアレンジされており、アウレリアサクソフォン四重奏団のJohan van der Linden氏とWillem van Merwijk氏による初演されている。以下、JacobTV自身による解説(だいぶ意訳している)。

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数年前、私はある録音に出会った。年老いた男が、彼が子供の頃に出会ったというフランスの詩人ギヨーム・アポリネールについてその思い出を語っているというものだ。第一次世界大戦の直後のある日、アポリネールは自分の膝の上に男の子を座らせ、ある軍歌の一節を「タタタタ…」と歌っていたという。この節はほんの5秒以下といったところだ。この録音をもとにして、私は1998年にチェロ奏者のルネ・ベルマンのために「TATATATATA」を書いた。音素材は、(時間的に)圧縮・伸長され、思いもよらない響きが聴こえてくる。最終部では、アポリネール自身の肉声が引用される。そこで語られている一節は、「日も暮れよ、鐘も鳴れ(詩集:アルコールより"ミラボー橋")」である。

2013/09/19

原博巳さんのサイバーバード協奏曲演奏予定

原博巳さんが吉松隆の「サイバーバード協奏曲」を演奏するとのこと。実はこのブログ記事を見た時に、「あれ?なんでサイバーバードの楽譜が載ってるの?」と思ってはいたのだが、ようやく公式発表となったようだ。ちなみに、チラシの全景は未入手で、これは原博巳さんのFBから引っ張ってきたもの(勝手にすみません…)。

日本人の演奏は、初演者の須川展也さん、昨年素晴らしい演奏を披露した上野耕平さんに次いで、3人目ということだろうか。海外ではけっこう演奏されているようなのだが。平日だが、なんとか頑張って伺いたいところだ。もちろん、暮れの第九も楽しみ要素のひとつ!

【2013年「文の京」の第九】
出演:鈴木織衛指揮SHOBIシンフォニーオーケストラ
日時:2013年12月19日(木)19:00開演
会場:文京シビックホール 大ホール
料金:指定席A 2000円 指定席B 1000円(全席指定)
プログラム:
♪吉松 隆 - サイバーバード協奏曲 (sax.原 博巳、pf.大岡 晋平、perc.橘 将平)
♪L.v.ベートーヴェン - 交響曲第九番 ニ短調 作品125「合唱付」(西本真子S、奥野恵子A、朝倉佑太T、加藤宏隆B、仁階堂孝指揮「文の京」の第九合唱団)
問い合わせ:
「文の京」の第九実行委員会 03-3814-2813

2013/09/18

Jean Denis Michat氏のCDについて

昨日、ミシャ氏の楽譜に関連して公式サイトを見ていたところ、あの名盤「Mendelssohn-Grieg(JDM001)」と「Bach, Mozart, Schubert(JDM002)」が紹介されていた。6年以上前に入手&ブログでレビューしたが、疑いようのない名盤である。ぜひサイトで聴けるBWV1020あたりを聴いてみていただきたい。呆れ返るほどの上手さ、とはこのことだ。

http://kurisaxo.blogspot.jp/2007/09/jean-denis-michatcd.html

演奏のみならず、プログラムとしても大変興味深く、多くの方に聴いてほしいCDだが、ほぼ廃盤状態で入手困難(日本で店頭販売されていたのは、某Kさんが持ち込んだ200枚だけだったと言われている)。いまも供給は不安定のようで、「VENTE: Aux concerts(コンサートで販売していますよ)」とのこと。これだけのCDが入手困難になっているのは、非常にもったいないことだと思うのだが「もったいない、だから何とかして」が通じないのがこの業界の常ではある。見つけた時に買っておけというのは今も昔も変わらず。。。

メンデルスゾーン&グリーグのほうは、ここでも手に入れられるかもしれない。

2013/09/17

Jean Denis Michat氏の楽譜

フランスのサクソフォン奏者・作曲家で、リヨン音楽院教授のジャン=ドニ・ミシャ Jean Denis Michat氏が編曲したアレンジ譜、ならびにオリジナル譜を、氏の公式ページで無料ダウンロードできる。

http://www.jdmichat.com/

上の、Freeというボタンをクリックした後に、左からEnsemble, Musique de chambre, Sonateを選択すると、下記のPDF楽譜をダウンロードできる。なかなか凄いラインナップで、興味がある方も多いのではないかな。ヘンデルの「水上の音楽」など(きちんと確認していないが)もしかしたら全曲版…?

F.Mendelssohn - Romances op.30-2,3
I.Albeniz - Granada, Cataluna, Sevilla, Cordoba, Asturias
M.Moussourgsky - La grande porte de Kiev
J.Brahms - Romanze op.118
J.D.Michat - El magnifico, El virtuoso ed Il Drammatico
W.A.Mozart - Quatuor K.160
Happy Birthday
J.D.Michat - Easy Haka
J.D.Michat - Mokuso
J.D.Michat - La chenille
Chuck Rio - Tequila
S.Rachmaninoff - Vocalise
When the Saint Go Marching In
F.Couperion - La steinkerque
E.Grieg - Suite Holberg
W.A.Mozart - Gran Partita
W.A.Mozart - Concerto pour hautbois
G.F.Hendel - Water Music

2013/09/16

ご案内:That'sさんのソロ・アンサンブルコンサート

私も常々お世話になっているThat's Saxophone Philharmonyの広報担当Fさんから、葉書にてご案内いただいた。That'sさんは、春季に定期演奏会を、秋季にソロ・アンサンブルコンサートを実施している。秋季のコンサートでは、毎回?ゲストのアンサンブル団体を呼んでおり、以前2回ほどTsukuba Saxophone Quartetとしてお呼び頂いたことがある。近年は声をかけていただいているにも関わらず、なかなか予定が合わずに参加することもできないのだが、またいつかご一緒できたらいいなあと思っている。今回のゲストは、Saxofono RossoとJION Saxophone Quartetとのこと。

今回、ちょっと嬉しいのはビル・ウィーラン/ブノワ・メニュ編「トリップ・トゥ・スカイ Trip to Skye」を取り上げてくださること!この曲(とアレンジ)が徐々に日本のサクソフォン界に浸透しつつある、そんな実感がある。

今回は、もちろん聴きに伺う予定。

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【ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー 第9回ソロ・アンサンブルコンサート】
出演:ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー、Saxofono Rosso、JION Saxophone Quartet
日時:2013年9月21日(土)14:00開演
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター・カルチャー棟小ホール
料金:無料
プログラム:
本多俊之 - "家族ゲーム"より
G.ガーシュウィン - ラプソディ・イン・ブルー 他
問い合わせ:
http://thatssax.blog137.fc2.com/

東洋英和女学院大学ウィンドアンサンブル部 第四回定期演奏会

土曜は、9:00から13:00まで住吉で練習、14:30から三ツ境駅近くの瀬谷公会堂で演奏会を聴き、18:00から21:00まで池袋で練習、その後練習後の飲み会、という流れ。口がつかれた…。

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【東洋英和女学院大学ウィンドアンサンブル部 第四回定期演奏会】
出演:東洋英和女学院大学ウィンドアンサンブル部、松下洋(客演)
日時:2013年9月14日 14:30開演
会場:瀬谷公会堂
プログラム:
P.スパーク - ハンティンドン・セレブレーション
田嶋勉 - エアーズ
旭井翔一 - パガニーニ・リミックス(客演:松下洋)
R.ヴォーン・ウィリアムズ - グリーンスリーブスによる幻想曲
M.アーノルド - 第六の幸福をもたらす宿
M.ブラウン - ディズニーランド・セレブレーション
菅野よう子 - 花は咲く
真島俊夫 - ジェラート・コン・カフェ
久石譲 - 千と千尋の神隠しHIGHLITHGTS
大野雄二 - ルパン三世(アンコール)

お目当てはサクソフォン協奏曲の新作初演だったが、もちろん演奏会全体も大変楽しむことができた。こういった演奏会に伺うのは久々だったが、普段の自分の活動からすると、ないものねだりというか、隣の芝生は青く見えるというか、そんな甘酸っぱさも感じながら聴いた。アーノルドのダイナミックさは見事であったし、真島作品や「千と千尋の神隠し」での演奏者の曲に対する共感度の高さは、やはり聴いていて心地よい。高校生的なノリと、大人の演奏の中間地帯を、上手く捉えていた。

旭井翔一さんの新作初演、アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲「Paganini Remix パガニーニ・リミックス」は、松下君の演奏をよく知っている旭井さんだからこそ書き上げられた作品だ、という印象を受けた。もちろんサクソフォンには生半可ではない超絶技巧が要求され…しかしそれは技巧のための技巧には終わらず、あくまで聴き手を楽しませるために書き付けられた音符群であった。場面転換は非常に高速で、咀嚼の暇もないまま次のセクションへと移行し、プログレやスウィングジャズ、バラッドの境界を縦横無尽に駆け巡る。松下君の演奏も、その譜面の要求に応えて、実にアグレッシブなものであった(ぜひ再演を聴いてみたい)。バンドへの要求も高く、さすがにアンサンブル精度という面では若干不満が残ったものの、熱演。新作を世に送り出す気概が伝わってきた。

2013/09/13

とある実況録音盤の入手見込み

"Saxophone D'aujourd'hui Et De Demain"というCDをフランスの某中古商品サイトで見つけて、購入にトライ。日本への発送はできないので、フランス在住の小倉氏の住所に送って、帰国時に持ってきてもらうことにした(感謝!)。

実は内容をよく知らないのだが、第1回のジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールと、メセナ国際コンクールの実況録音盤なのだそうだ。平野公崇氏、ヴァンサン・ダヴィッド氏、オーティス・マーフィー氏、そしてハバネラ四重奏団の演奏が聴けるということで、10年以上にわたって探索し続けていた。限定的に制作されたCDのようで、これまでネットで見かけたことは数回。これでなんとか入手できれば良いのだが。

上手く届いて耳にできたらレビューします。

(追記)

無事に小倉氏受け取ったそうな。収録曲ならびに演奏者は次の通り:

H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア(平野公崇)
C.ロバ - ジャングル(平野公崇)
E.デニゾフ - ソナタ(ヴァンサン・ダヴィッド)
L.ベリオ - セクエンツァ(7b? or 9b?)(ヴァンサン・ダヴィッド)
A.デザンクロ - PCF(オーティス・マーフィー)
C.ロバ - バラフォン(オーティス・マーフィー)
A.デザンクロ - 四重奏曲(ハバネラ四重奏団)

2013/09/12

Let's play サックス&エレクトロニクス

こんなレクチャー・コンサートをやってみたい…というか、構想中。

いまのところ、メモ書きレベルではあるが。

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1. こんなに魅力的な作品たち

「サクソフォンとエレクトロニクス作品と聞いて浮かべるイメージ」
→なんか難しそう
→ゲンダイオンガクは嫌だ!
→試験やコンクールではやらないし…
→よく聞くけど、いまさら?

~作品としての魅力~

確かに難解な作品も存在する
♪後藤英「タン・トレッセIII」:初めて聴いた時は頭痛がしました(笑)
→それだけじゃない!

あなたは、J-POPは好き?ロックは?ジャズは?

(個人的には)クラシックと他ジャンルの融合による"ハイブリッド作品"に特に魅力がある、と感じる
♪JacobTV「Grab It!」:ハードロックの融合

では純粋なエレクトロニクスのクラシック作品には魅力がないということ?
→そうではない!
♪野平一郎「Iki-No-Michi」:電子音やミュージック・コンクレートを使って新しい響きを追い求めた作品

オーケストラや吹奏楽よりも多彩なサウンド
→ダイナミクスレンジ
→音域

まずはハイブリッド作品を入り口に、慣れてきたらクラシカルな作品へと進んでいくことをオススメ
作品数は増加し続けている→お気に入りの作品を見つけて!


2. 演奏してみよう

「えっ、だって難しいんでしょう?」
→機材揃えるのが大変そう
→コンピュータの知識ないし…
→試験やコンクールではやらn(略

まずはエレクトロニクス作品がどのような方式で演奏されるのかを理解してみよう

BGM
A. カラオケ方式
B. スイッチ方式(one by one)
MIC
A. 生音方式
B. エフェクト方式(アンプリファイア、エコー、変調 etc.)
スピーカー
1ch, 2ch, 4ch, 6ch...

(以降は、考え中)
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2013/09/11

サックス&エレクトロニクスの面白い作品

「サクソフォンのエレクトロニクス作品」と一口にいってもいろいろあるが、サクソフォンにあまり触れたことのない方でも「これは面白い!」「もう一度どこかで聴いてみたい」と思ってくれる作品は何だろうか。

先日観たヴァンサン・ダヴィッド氏の動画で、屋外の音楽祭にてベリオ「セクエンツァVIIb」を演奏している様子を観て、演奏終了後の意外なほどのウケの良さに驚いたからだ。また、4月に参加したサクソフォニーフェスティバル四国のアンケート(一般のお客様多数)では、印象に残った曲として、白井奈緒美さんが演奏したJocobTVの「ガーデン・オブ・ラブ」に多くの票が集まっており、意外であった。

どちらも、もちろん演奏が凄いという理由はあるけれど、曲が本来持つパワーも重要な要素の一つだろう。エレクトロニクスと生音で楽器演奏の組み合わせ、というだけではない。その中でもいくつかの作品に絞られると思う。使われている素材、テーマ、構成、尺などによって、一聴すると難しそうな作品であっても多くの人の心の琴線に触れるものが、いくつか挙げられると思う。

ざっと思いつくものというと、こんなところだろうか。

JacobTV - The Garden of Love
JacobTV - Grab It!
Wayne Siegel - Jackdaw
Pierre Jodlowski - Mixtion
Mark Bunce - Waterwings
Terry Riley - Assassin Reverie
Will Gregory - Interferences
Kumiko Omura - La complication d'image
Michele Tadini - Buleria
Karlheintz Stochhausen/Eric Spangler - Leo

2013/09/10

ご案内:第35回東京音大サックス定期

東京音大大学院の井澤さんよりご案内いただいた。

私は仕事のため伺うことができなさそうなのだが、ご興味あればぜひ。…「第35回」ってすごいな。誰がどのように立ち上げて、どのような歴史をたどってきたか、ということに興味がある。それは、東京音大の演奏会に限らず、である。

【第35回東京音楽大学サクソフォーンアンサンブル定期演奏会】
出演:東京音楽大学サクソフォン専攻生、小串俊寿(指揮)、波多江史朗(指揮)
日時:2013年9月12日(木)19:00 開演
会場:川口総合文化センター リリア音楽ホール
料金:900円
プログラム:
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
J.イベール - 『物語』より
A.グラズノフ - サクソフォーン四重奏曲よりカンツォーナ・ヴァリエ
篠崎めぐみ - 委嘱作品(8重奏)
M.I.グリンカ - 歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲
A.P.ボロディン - 歌劇『イーゴリ公』より ダッタン人の踊り

2013/09/09

Vincent David plays Debussy, Berio and Ravel on YouTube

ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏と、ピアノのDorothe Bocquet氏のデュエット。Les Flaneries Musicales de Reimsという、屋外で開かれる音楽祭での1999年の演奏とのこと。ダヴィッド氏をフィーチャーしたメイヤー財団制作のCDの出版が1999年であるから、まだ彼が第三課程に所属していたころだろう。

ダヴィッド氏、若い!彼の演奏の凄さの一つとして、どんなに演奏が難しい曲であったとしても、まるでサクソフォンと戯れるかのような自在さが挙げられるが、この当時の映像からも同様の印象を受ける。それは、ラヴェルの古典趣味でも、ドビュッシーの東洋趣味でも、ベリオのような最先端の現代音楽(今では音大生も軽々吹いてしまうほどだが、1999年当時はまだ吹きこなせる奏者は限られていたのではないかな)でも変わらない。あまりに軽々吹くものだから、曲の難しさが伝わらないほどだ(^^;

30分近くに及ぶ映像で、画質・音質ともイマイチではあるが、貴重な映像を観られることが嬉しい。誰が所蔵していたのだろうか?プログラムは以下のとおり(ドビュッシー、ヒンデミットはいずれも抜粋…というか、途中で切れている)。

ドビュッシー - ラプソディ
ドビュッシー - ベルガマスク組曲より「パスピエ」
ベリオ - セクエンツァVIIb
ラヴェル - ソナチネ
ヒンデミット - ソナタ


2013/09/08

ノースウェスタン&パリ国立高等音楽院のジョイントコンサート

今日は茨城県水戸市の赤塚へと赴いた。常磐線で水戸の付近まで行くのは久々であった。

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2008年に開かれた、ノースウェスタン大学サクソフォン科と、パリ国立高等音楽院サクソフォン科の合同演奏会@ノースウェスタン大学の抜粋映像をご紹介。

http://www.pickstaiger.org/video/nu-and-paris-conservatoire-saxophone-ensembles

アレクサンドル・スーヤ氏、ヨナタン・ランティオラ氏、カール=エマヌエル・フィシュバシュ氏、クリストフ・グレズ氏、杉原真人氏、Sean Hurlburt氏、シモン・ディリク氏…どんだけ凄いメンバーが揃っているんじゃい、という感じ(人違いでしたらこっそり教えて下さい)。あれ、ソプラノの後列でさりげなく吹いているのは…パリ国立高等音楽院を率いるドゥラングル教授ではないですか。。。

Leonard Bernstein - Slava!
Alexandros Markeas - Engranages
Claude Debussy - Prélude à "L'après-midi d'un faune

「スラヴァ!」の演奏ですでにお腹いっぱいだが、続く四重奏と即興のためのマルケアス作品「歯車のように」では、即興演奏者としてフランス在住の、卓越した即興演奏者の一人、Vincent le Quang氏がフィーチャーされている!まるで何かが取り憑いたかのような鬼気迫る即興は聴きモノ。「牧神の午後への前奏曲」での不思議な温度感あらは、喩えようのない面白さを感じた。全編の映像を観てみたいくらいだが…。

いろいろとフリーダムな「ファジイバード」

パーカッションが入っているし、ピアノは楽譜にないフレーズ弾きまくりだし、サクソフォンもソロ譜変えているし…ということで、いろいろとフリーダムな吉松隆「ファジイバード・ソナタ」の演奏を見つけた。だがしかし、演奏は相当なレベルに到達しており、奇をてらうを超えて、3人のプレイヤーが"遊ぶ"様子が感じられ、とても楽しい。第1楽章だけだが、このコンセプトで第2楽章、第3楽章まで演奏したら面白いかもしれないな。

Albert Julià, sax
Daniel Garcia, pf
Daniel Forcada, perc

サクソフォンのアルバート・ジュリアは、スペインのリセウ高等音楽院、テラッサ高等音楽院のサクソフォン科教授である。



上の貼付けが見えない場合は、下記のリンクから。
https://www.facebook.com/photo.php?v=126174894253618

…最後のピアノのブロックコードはどこにいった。

2013/09/07

David Kechley - Restless Birds before the Dark Moon

日本国内では、特にサクソフォン四重奏のための「ステッピング・アウト Stepping Out」で知られるディヴィッド・ケックレー David Kechley氏は、サクソフォンのために次のような作品を書いている。

Bounce [git, ssax]
Concerto [asax, chamber orch]
Double Variations [chamber]
Driveline [asax, git]
In the Dragon's Garden [asax, git]
Mixed Massages [chamber]
Music for Saxophones [5sax]
Restless Birds Before the Dark Monn [asax, winds]
Rush [saxq]
The Sea of Stones [git, asax, orch]
Stepping Out [saxq]
Surface Tension [chamber]
Tsunagari [5sax]
Valencia [mrb, saxq]

最近、アルトサクソフォンと吹奏楽のための協奏曲「レストレス・バーズ・ビフォア・ザ・ダーク・ムーン Restless Birds before the Dark Moon」を聴いた。「ステッピング・アウト」にも見られるミニマル風の要素を持ち、13分にわたって技巧的なフレーズの連続、最終部の盛り上がりなどなかなかのものだ。サクソフォンと吹奏楽のための作品て、面白いものがたくさんあるんだなあ!不思議と、日本では知られていないけれど…録音がないのが問題か、楽譜が手に入りづらいのが問題か。

WASBE(世界吹奏楽大会)2003におけるライヴ盤が存在する。サクソフォンはWayne Tice、越智邦宏指揮ストラスブール電力吹奏楽団との共演盤である。サクソフォン独奏は、やや荒削りだがライヴならではの熱気が伝わり、聴いていてとても興奮した。

2013/09/05

McAllister plays Mackey's Cocnerto

Mallory Thompson指揮、Northwestern University Symphonic Wind Ensembleとの共演による、ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏演奏のJohn Mackey「ソプラノサクソフォン協奏曲」の映像。サクソフォンと吹奏楽の作品のなかでも、特に至難な(演奏技術的に難しいという意味)作品の一つであるが、至難なだけにとどまらないエンターテイメント的な面が全面に押し出されており、聴いてとても楽しい作品だと思う。第4楽章Woodから最終楽章Finaleへの流れなど、最高である…。

マカリスター氏のソロは、驚異的なレベルに到達しており、テクニカルな面はもちろんのこと、絶妙な音色の瞬間瞬間の変化についつい耳が引き寄せられてしまうのであった。現代最強のサクソフォン奏者の一人であると言ってしまっても良いのではないだろうか。バックバンドも全体を通してなかなか引き締まっており、ソリストに対する万全のサポートが心地よい。

http://www.pickstaiger.org/video/concerto-soprano-saxophone-and-wind-ensemble-2007-john-mackey

上に「吹奏楽作品のなかでも、特に至難」と書いたが、よく考えたらサクソフォンと吹奏楽の作品て難しいものばかりだな。ダール、CTスミス、マスランカ、ボルコム、長生淳(He Calls)、オルブライト、伊藤康英、フサ、スウェルツ、石毛里香etc。

2013/09/03

ご案内:三國可奈子サクソフォンリサイタル

【三國可奈子 サクソフォンリサイタル Between】
出演:三國可奈子(sax)、山崎早登美(pf)
日時:10月1日(火) 18時30分開場19時00分開演
会場:すみだトリフォニーホール・小ホール
料金:2,500円 ※当日券500円増 (自由席)
プログラム:
F.シュミット - 伝説 作品66番
A.パドヴァ - 間(世界初演)
W.オルブライト - ソナタ
C.サン=サーンス - ソナタop.166
F.デクリュック - ソナタ嬰ハ調 他
問い合わせ:鈴研音楽会 suzuken_concert@yahoo.co.jp

主催の鈴木さんよりご案内いただいた。実は三國さんとはお知り合いではないのだが、チラシは時々演奏会などで目にするし、プログラムが面白そうだし、ということで前々から演奏会が気になっていた。

なんといってもオルブライトのソナタである。日本にこの作品を「きちんと演奏できる」プレイヤーがいるのか、ということは常々気になっている。私自身も実際これまでにライヴで聴いたことは一回しかない(しかもその時はマカリスター&グッドソンという、この曲を演奏させたら世界最強のコンビ)のだが、果たして三國氏どのような演奏を展開するのだろうか。どうせ聴くならば、飛び上がるような、日本人離れした強烈な…いや、激烈な演奏を聴いてみたい!

パドヴァは、ピアニストとして高名なAndrea Padovaのこと。どういった経緯で委嘱が成立したのかはわからないが、そのパドヴァ氏がサクソフォンのために作品を提供した、ということがとても興味深い。

チラシはこちら。クリックして拡大する。

2013/09/02

David Maslanka - Concerto for Saxophone Quartet and Wind Ensemble

ディヴィッド・マスランカ氏の作品は数多いが、「サクソフォン四重奏と吹奏楽のための協奏曲」などという作品ができていたとは知らなかった。Iridium Quartet(ソプラノは、なんとあの「The Book of the Dead」を初演したPaul Nolen氏ではないか!)というアメリカの四重奏団が。2012年11月16日に、Steve Steele指揮イリノイ州立大学バンドとともに初演したようだが、まったくノーマークだった。ちょうどその直前、9月末にはサクソフォン四重奏のための新作「Songs for the Coming Day」が初演されたばかりであった。

以下から、Oasis Quartetによる演奏を抜粋で聴くことができるが、なかなか強烈な作品のようだ。全編を聴いてみたいし、楽譜も見てみたいな。入手できるかどうかは不明。

2013/09/01

アラン・ベルノー「デュオ・ソナタ」について(服部先生)

2013年7月13日、第4回サクソフォン交流会 in 名古屋、服部吉之先生と瀧彬友先生がベルノーを演奏した後の、服部先生に対するインタビューを文字起こしした。公開OKとの許可を得ることができたので、公開。言い回し等、しゃべった言葉をできる限り変えずに書き起こしたつもり。

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これまで16回演奏して、今日が17回目だと思います。1974年で第4回世界サクソフォーンコングレスがボルドーで開かれました。その時大学3年生、21歳で、演奏はしませんでしたが見学しに行きました。コングレスで初演されたのがこの曲の1,2,3楽章、名手ダニエル・デファイエとジャン・ルデューが演奏をしていたのを聴きました。その時、いずれこの曲を演奏することができるのか、と思ってしまうほど難しい曲に感じました。次の年1975年の3月14日に、新橋の近くで聴いた時、その時もう既に東京佼成の仕事をしていたが、吹奏楽関係者は皆来ていました。ソプラノとバリトンを聴いた後に、バリトンってああいう音がするんだよね、と会う人会う人に言われて、針のむしろのような生活を1年くらい送ったわけです。
当時楽譜は出版されていませんでした。それからしばらく経って東京佼成をやめ、1979年に渡仏した時に、ダニエル・デファイエ先生に楽譜を借りたいと言ったところ、彼はすぐ貸してくれたんです。その前にルデュー先生に言った時は、作曲家の許可を得なければいけない、といって貸してくれなかったのだが、今考えれば確かにそうだったかもしれません(笑)。デファイエ先生曰く、何時に返すかと聞かれ、午前10時に借りて午後2時までに持ってこいというわけです。シャンゼリゼ通りにあるFnacというところで慌ててコピーを取りました。
ベルノー、変人でして。住所がセーヌ川なんです。船の上で住んでいて、係留されている船の住所はパリ市セーヌ川なんです。本当に自由人なんでしょう。儲けようという気もなく、ルデュー先生のコンブレ社のコレクションから出版されたときに、何部ぐらい刷ったら良い?とベルノーに訊いたところ、100部もあればいいよ、という具合でした。さすがにもう少し刷ったと思いましたが…さすがに1000部くらい刷らなければ採算が合わないと思いますので。しかしベルノー先生曰く、どうせ売れないから、とのこと、私はそんなことはないでしょう、みんな欲しいだろうと思いました。私も原本を買いましたけれど、私が持っている楽譜は本人の自筆の楽譜なんです。細かく書き込みがしてある譜面を30年間、この曲を気に入って以来使っています。最初にやったのが30のときです。長瀬氏とやりました。それから雲井雅人氏とやって、原博巳氏とやって、ファブリス・モレティとやって、この間、瀧氏が去年のリサイタルのときにやりたいということで、久しぶりに…もうやらないと思っていたのですけれど、50以降演奏活動をやめて教育活動をしようと思っていた矢先に、去年やらされた(笑)という感じです。ダニエル・デファイエ先生たちは全4楽章での演奏を3回しかやっていないんですね。ボルドーでやって東京でやってパリでやって、ボードというところでやった記録しか残っていません。だからたぶん世界でいちばんたくさん演奏しているんです。
いまだに、本当にできる日が来るのかなと思いながらやっています。音を並べるのが精一杯で、何かやろうと思ったとたんに間違ってしまう、という感じでした。今日も何かやろうと思わないように忠実に譜面をそのまま音にしましょうというぐらいのつもりで演奏しました。年取るとだめですね。最初にやったのが30ちょっと前で、今年60の大台に乗ったのですが(会場から拍手)、皆さんのおかげです、この年でできるとは思いませんでした。おかげでそういう場所を作っていただいて。
この話を今年の春に東京で交流会を2年続けてということで、言っていたのですが、幹事のkuriと、フランス行く前でカメラを買いに行ったんだよね。デジカメを、そういうものが疎いものですから、いろいろと細かく訊いて、ご飯を食べようとか言ってうどん屋に入ったんです、食べている間に実は、っていうから、演奏するのは勘弁してよという話になってずっと、言われて、なんかやってくださいというので今回やってみました。本当にもうちょっとさらえば良いかもしれませんけど(笑)。

蛎崎洋個展「monochord」&東京写真教室Photons「colors of life」

友人N氏からのお誘いというか情報で渋谷のギャラリー・ルデコに伺った。蛎崎洋氏という写真家の個展、ならびにその蛎崎氏が主宰する写真教室の生徒の作品展示会に伺った。ふだんは音楽、というかサクソフォンばかりで、あまり視覚芸術を観に行くことはなくてとても新鮮だった。

それぞれの生徒の写真は、どれもが個性あふれるもので…普段デジタルカメラやレンズの新製品が出るたびに画質が~とか高感度性能が~とかレビューされることが、果たしてどれだけ重要な事なのか、と考えてしまった。確かに高性能なカメラはそれだけキャパシティがあるけれど、もともと持っているカメラの性能を活かした写真ばかりで、唸ってしまった。ノイズや煩いボケすらも効果的に使いながら、魅力的な一枚一枚を仕上げている。私自身は写真にガチに取り組むほどの余裕はないけれど、こうやって完成度の高い写真を眺めるのは楽しいものだ。

別フロアで開かれていた蛎崎洋氏の写真点「monochord」は、透明な空気感すらも一枚の写真に収めているように感じた。また、被写体の女性(蛎崎氏の奥様かな?)の湛える不思議な雰囲気と、日常なんだか非日常なんだか、非常に曖昧な境界をピタリとフレーミングしている、その組み合わせがなんとも魅力的だ。

たまには、サクソフォン以外にも触れなければ、ですね。

第4回交流会事務局打ち上げ(東京側)

昨日は第4回サクソフォン交流会事務局打ち上げだった。服部先生を交えて、10名が参加。

16:00から始めて、池袋の居酒屋でゆっくりと一次会。今回交流会そのものを立ち上げた押田さん、そして生まれたばかりのお子さんも参加(かわいかった~)。三時間ほどで切り上げて西口の磯丸水産に移動し、二次会。磯丸水産、けっこう好きなんだよなあ。最後はKさんちに転がりこんで三次会。SEIYUで買った果物祭り?一次会でだいぶグロッキー状態になってしまった…(笑)

まだ名古屋側での打ち上げも残っているが、とりあえず対外的には第4回交流会事務局は解散となった。よかったよかった。

一次会の集合写真。