2013/08/29

Prof. Frederick Hemke plays "Facade"

フレデリック・ヘムケ博士が、ウィリアム・ウォルトン「ファサード」の演奏に参加している映像だ!!2008年に録画された映像で、ノースウェスタン大学が管理するPickstaigerというサイトで公開されている(このサイト、他にもサクソフォン関連でとっても面白いものがたくさん公開されているので、またご紹介したい)。

J. Lawrie Bloom氏(シカゴ交響楽団クラリネット奏者)を始めとする名手陣…全員ノースウェスタン大学の講師陣のようだ…の中にあって、圧倒的な鳴りと存在感。感動してしまった。シカゴ・プロ・ムジカにおけるロバート・ブラック氏のサクソフォンを思い出した。

http://www.pickstaiger.org/video/excerpts-william-waltons-facade-entertainment-reciter-and-chamber-ensemble

北朝鮮のサクソフォン演奏動画 on YouTube

独奏等ではなく、ポピュラー音楽コンサート(銀河水管弦楽団旧正月音楽会という動画タイトルから推察するに、いわゆるニューイヤーコンサートか?)の一幕ではあるが…。

12'30"くらいから、ヴォーカルの女性と共演するサクソフォン演奏、続いて15'10"くらいからサクソフォン6重奏(AAATTB)の演奏の様子を観ることができる。ポップス作品とはいえ、北朝鮮にサクソフォン演奏の文化(?)があることに驚いた。演奏されている作品は聴いたことがないのだが、"お国モノ"なのだろう。

使用楽器は判らなかったが、時々映るネックに「何かしらの青いロゴがあること」を確認できる。セルマーだろうか。

2013/08/28

参考演奏を探す

「ある曲の参考演奏を探す」時に取る方法は、近年目覚ましく変化した。私がサクソフォンを好きになった頃は、何か気になる曲があればインターネットを使って収録されたCDの情報を手に入れて(だいたいがmckenさんのデータベース)、東京に出てきた時にCD屋さんを回るか、CD屋さんに注文するか、当時出てきたばかりのAmazonを使うか、といったところだった。

当時は回線も細く、レンタルサーバーの容量も限られていたので、あまりネット上に録音を公開している人はいなかったと記憶する。流行り始めのMP3を使ってホームページ上に録音を公開していたプロフェッショナルの奏者が、国内・海外ともちらほら、という感じである。やはり探しだすことのできるレパートリーとしては限定的だった(そういえばGoogleも流行り始めで、gooを利用していたっけな…)。

「ファジイバード・ソナタ」が聴きたくて、須川展也氏の「Fuzzy Bird Sonata(Apollon APCE-5552)」に入っていること、そして廃盤であることを知り、入試の帰りに東京のディスクユニオンで中古を見つけて1200円で購入したり、デファイエカルテットのデザンクロが聴きたくて「サクソフォーンの芸術(東芝EMI)」を探していたところ、たまたま高校の修学旅行先の長崎の場末のCD屋で見つけて購入したり、まあさすがにそれらは極端な例ではあるが、1枚1枚の購入について、手軽さとは程遠い時間と労力が必要だった。

あれから12年。GoogleかYouTubeで"Fuzzy Bird Sonata"と調べれば、世界中の演奏者による「ファジイバード・ソナタ」がいくつも表示される。さらに、Facebookのタイムラインに流れてきた動画を何も考えずに良しとして参考にしてしまう、ということもある。想像だが、今の中高生がサクソフォン音楽をなにか調べようとすれば、まずYouTubeをチェックするのではないかなあ。さすがにデファイエカルテットなど、歴史的録音はあまり見つけられないようだが、当時からしたら考えられない動画などを観ることもできる(「世界の創造」の演奏映像など…)。

そのお手軽さが良いのか悪いのかはわからないが、今も昔も重要な事は、その中から本当に良いものを見つけることなのだろうな。誰もが発信者たりえる時代に、昔に比べて石が圧倒的に大多数を占め、玉を見つけることはままならないが、物怖じせず十分な時間を使っていろいろな演奏を探していくべきなのだと思う。もちろん、インターネット上にとどまらず、ダウンロード配信やCD、あらゆるメディアを探さなければ、本物にはたどり着くことができない可能性が高い。

2013/08/27

Delangle plays Concerto with Chinese Orch. on YouTube

鐘耀光 Yiu-Kwong Chung氏作曲の、アルトサクソフォンと中国伝統楽器によるオーケストラのための協奏曲、「サクソフォン協奏曲第1番」の演奏動画。サクソフォン独奏はクロード・ドゥラングル教授!編成も、そして曲想も、強くナショナリズムを感じさせるものである。この中にあって違和感を感じさせない西洋楽器、というのも凄いな(もちろん演奏者の技量はあると思うけれど)。

2013/08/26

アンブロワーズ・トマ「ハムレット」上演予定

アンブロワーズ・トマが曲をつけた「ハムレット」が、今週末8/31&9/1に上演される。オーケストラにサクソフォンが含まれている作品としては、サクソフォン黎明期の重要な作品のひとつで…と言いながら、実はきちんと聴いたことがないのだが、まさか日本でライヴでの上演機会があるとは夢にも思わなかった。サクソフォンは大石俊太郎さん!クラシックのみならず、ジャズや即興の分野でも活躍する若手サクソフォン奏者のひとりである。

同曲のバレエ組曲版?のスコアをIMSLPから参照することができる(→こちら)。ざっと眺めてみたところ、La Freya(ポルカ)と呼ばれる楽章にて、Saxophone Mib Alto Barytonの指示があり、最初はアルト単独、後半ではバリトンとともに美しい旋律を奏でている譜面を参照することができる。オペラ版であれば、さらにサクソフォンの出番が多いのではないだろうか。

大変残念なことに私は伺えないのだが、サクソフォン、そしてクラシック音楽に興味がある方、ぜひ。

http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=7301

2013/08/24

ご案内:雲井雅人サックス四重奏団第11回定期演奏会

さあ、今年も雲カル定演の季節!である。ディヴィッド・マスランカ氏の新作「Songs for the Coming Day」を含むCD発売に先立ってのコンサートとなり、同CDの先行発売も行われるとのこと。今回は、ジャズサクソフォン奏者であり作曲家・編曲家の三木俊雄氏を迎え、委嘱新作「Moon Flower」を含む魅力的なプログラムが展開される。

ちなみに、とある曲用に、曲目解説を提供予定。その作品もとっっっても素敵な作品なので、ぜひ多くの方に聴いていただきたい。

サクソフォン四重奏+ソロサクソフォン、という形態の演奏には興味を持っており、古くはMarilyn Shrude「Evolution V」、最近であればハバネラ四重奏団がルイ・スクラヴィスと共に取り組んだ一連の楽曲(アレクサンドロス・マルケアス「Engrenages」など)が思い浮かぶ。「Ulla in Africa」や「Stepping Out」も演奏される!「Ulla~」はちょっと意外だったが、この演奏(http://www.youtube.com/watch?v=S-34f68stk0)を思い出すなあ。三木氏がソロをとるのかな?ボブ・ミンツァー「Three Pieces」は、四重奏曲とは違うようだが、これも面白そうだ。

【雲井雅人サックス四重奏団第11回定期演奏会~三木俊雄氏を迎えて~】
出演:雲井雅人サックス四重奏団、三木俊雄(sax)
日時:2013年10月8日(火)19:00開演
会場:銀座ヤマハホール
料金:\4,000(一般)\3,500(学生)全席自由
プログラム:
Heiner Wiberny - Ulla In Africa
David Kechley - Stepping Out
David Maslanka - Songs for the Coming Day より
Bob Mintzer - Three Pieces for Saxophone Quartet
三木俊雄 - Moon Flower(委嘱初演)他
問い合わせ:
ヤマハアトリエ東京(TEL03-3574-0619(平日10:00~18:30))

チラシはこちら(クリックして拡大)

Does anyone record today's Adams' Concerto streaming...?

Does anyone record todays live stream of Adams' concerto...? I failed to record the performance because of network trouble;-(

昨日7時から、オーストラリアのラジオ局のインターネットストリーミングラジオで、ジョン・アダムズ「協奏曲」の中継があったようだ。昨日朝にTwitterで情報を見つけ、慌てて録音予約したものの、仕事から帰ってきたところPCのエラーかネットワークエラーか何かで録音ができていなかった…悲しすぎる。どなたか録音されたという方、聴かせていただけると幸いです。。。

最初話が出た頃から経過を追っていただけに、残念すぎる。ショック。

2013/08/22

アダムズ「協奏曲」についてのインタビュー

本日オーストラリアにて初演されたジョン・アダムズの「サクソフォン協奏曲」。マカリスター氏、アダムズ氏の短いインタビュー動画がYouTubeにアップされていた。ほんのさわりだけだが、内容を聴くこともできて、ちょっと感激。10月頭に予定されているライヴのストリーミング中継が楽しみだ!



The Saxophone Works of Karlheinz Stockhausen

とりあえず自分用のメモ。アリゾナ大学出身のElizabeth Bunt氏が著した博士論文「The Saxophone Works of Karlheinz Stockhausen」へのリンクを書いておく。「エデンティア」の演奏経験もあるとのことで、内容はなかなか充実しているような雰囲気がする(まだ目次しか読んでいない)。

http://arizona.openrepository.com/arizona/handle/10150/195346

エリザベス氏自身による「エデンティア」の演奏動画。

Stockhausen's Edentia from Elizabeth Bunt on Vimeo.

Karlheinz Stockhausen "Edentia"

今日はカールハインツ・シュトックハウゼンの誕生日!あとで「ティアクライス」を聴こう。

シュトックハウゼンが作曲した連作「Klang (Die 24 Stunden des Tages)」の20作目「エデンティア」は、ソプラノサクソフォンとエレクトロニクスのための作品である。21作目「楽園」の完成後にシュトックハウゼンは亡くなったというから、まさに死の直前に完成された作品だといえるだろう。

「Klang」13曲目に配置されている「宇宙の脈動」という24トラックの合成から成る電子音楽の、4~6トラックを抜粋、さらにカティンカ・パスフェーア(フルート奏者で、シュトックハウゼンの良き理解者・協力者であった)の声がミックスされ、そこにソプラノサクソフォンが重なっていく。終始鳴り止まない電子音楽に、最初聴いた時は大きな衝撃を受けたが、その躍動感あふれる繰り返しを嘲笑するような技巧的なサクソフォンの動きが面白い。全体を通してサクソフォンはやや副次的に扱われるという印象も受けた。以下の動画で舞台上での演奏を観ることができるが、パフォーマンス要素も含まれた作品である。



Wikipediaの説明を少し眺めてみたところ、エデンティアとは「エデンティアとは天体ウランティアが所属する「銀河(constellation)」ノルラティアデク(Norlatiadek)の中心天体である」だそうだ。...(?_?)なるほどわからん。この説明が載っているというウランティアの書(ウランティアブック)ってなんじゃい、と思って、オペラ「光」の元となった哲学本?宗教本?なのだそうだ。パブリックドメインとのことで全文が参照可能だが、およそ2000ページ弱…無理。エデンティアの説明を拾ってきたが、こんな調子。うーむ、ますますわからん。。。

Edentia, the headquarters of your constellation of Norlatiadek, has its seventy satellites of socializing culture and training, on which ascenders sojourn upon the completion of the Jerusem regime of personality mobilization, unification, and realization.

尻切れトンボな説明ですみません。Marcus Weissが公式録音に参加しているので、興味がある方はぜひお買い上げいただければと。日本では、白井奈緒美さんが初演している。

2013/08/21

シガード・ラッシャーの最高の録音は…

しばらく現代の演奏ばかり聴いていたせいで耳が飽和してしまったため、原点に立ち戻ってマルセル・ミュール、シガード・ラッシャー、ダニエル・デファイエ、ジャン=マリー・ロンデックス各氏の往年の録音を聴いている。フランスの御三方については木下直人さんに復刻していただいた珠玉の録音がたくさんあるし、ラッシャー氏についてはこれがほぼ全てをカヴァーしている。

ラッシャー氏の史上最高の録音は何だろう。正直なところ、フランスの名手と比較した時に多くの録音はテクニカルな面で劣っており(音程・リズム等)、時に鑑賞に耐えない録音すらあるほどだ(暴言失礼…)。しかし特筆すべきはその音色である。"無菌室で培養したような(パイパーズに寄稿した時の文句)"極めて純度の高いサウンドは、現代にも通じるほどのもの。さらにフラジオ音域ではますます輝かしく、映えている。"はまった"時の氏の演奏ほど魅力的なものはない。

いくつかの協奏曲の録音が素晴らしい。エルランド・フォン=コックの「協奏曲」での透明感のある演奏は、ミュンヒェン・フィルの好演も相まって素晴らしい効果を上げているし、ヘンリー・ブラントの「協奏曲」ではアメリカン・エンターテイメントと言えるような底抜けた楽しさを表現している。商用録音では、この2点がお気に入り。

それらを越えて、まさに"最高"と言えるのは、デモ用としてヨーロッパにおいて収録されたJ.Gurewich「Capricchio」の録音である。まだ1935年5月3日、ピアノのJean Doyenとの録音で、圧倒的とも言える技巧。フラジオ音域も含んで大見得を切ったあとは歌心に溢れたフレーズ、そして最終部の激流のようなフィンガリング。現代に氾濫するサクソフォン・ソロの録音をまとめて吹き飛ばしてしまうほどの印象だ。ラッシャー氏がそのキャリアの内で到達したひとつの極地と言い切ってしまって良いだろう。

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とはいえ、ふとデファイエ氏の録音を聴くとまたそちらかは離れられなくなってしまったり…笑。これだけ聴き続けても常に新鮮な感動を味わえる楽しさよ。

2013/08/20

Android用SMARTalkリリース

以前、着信用の電話番号として050から始まる番号を月額無料で取得できるサービス「FUSION IP-Phone SMART」をブログで紹介した。その時はまだAndroid用のフュージョン・コミュニケーションズ謹製通話アプリ、SMARTalkは"開発中"だったのだが、本日バージョン1.0がリリースされたようだ。

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.fusioncom.smartalk.android

早速インストールして、常駐させた。実運用はまだまだ先になりそうだが…。

2013/08/19

久々のTSQ練習

日曜日の午前中はTSQ練習だった。前回の集合が6/16の長野での演奏会だから、およそ2ヶ月ぶりとなる。

練習、というか、しばらく時間をかけて取り組むための曲決め。だからあまり楽器は吹かなかった。候補4曲から絞り込んで、なんとか決めることができた。これまで取り組んだ曲の中で、一番難しい曲かもしれない(思わず練習のための工程表を作ってしまったほど)。

また、若干ではあるが2015年辺りに向けての話をすることもでき、良い機会となった。

2013/08/18

李源冀サクソフォンコンサート@ヤマハ池袋

今日はいろいろなところで催しが重なったようだが、午前中TSQ練習の後にぴったりと予定が合い、伺うことができた。昨年アクタスでお会いして以来、未だライヴでは音を聴いたことがなかったのだが、素晴らしい演奏だった。

【李源冀サクソフォンコンサート】
出演:李源冀 Lee Wonki(sax)、羽石道代(pf)
日時:2013年8月18日(日)14:00開演
会場:ヤマハミュージック池袋店
プログラム:
D.べダール - ファンタジー
P.ヒンデミット - ソナタ
E.ボザ - プルチネッラ
R.ブートリー - ディヴェルティメント
J.イベール - 黄金時代~バレエ音楽「放浪の騎士」より(アンコール)

池袋店への訪問は、以前カスタネットを購入のために来て以来2回目。てっきりホールのようなものがお店あると思っていたのだが、そうではなく、入り口すぐ左手の一段高いステージにピアノが据え付けられており、1階のフロアを使っての演奏。しかし音響はなかなか良い。

べダールから美しく輝かしい音で魅せる。テクニックも申し分なく、歌心もある。かつては波多江先生について学び、今はマンハッタン音楽院において研鑽を積まれているとのことだが、日本・フランス・アメリカといったインターナショナルな視野を持ちながら最良の部分を選び出し、他でもない李さん自身の音楽としてプレゼンテーションする能力があるのだな、と感じた。

ヒンデミットは、ちょっと聴いたことのない音。木製の楽器でも操っているかのような奥ゆかしさを感じる。"ヒンデミット研究家"ことピアノの羽石さんともども素晴らしい演奏を繰り広げ、ライヴで聴いてこの曲が"腑に落ちた"のは初めてだったかもしれない。セッティングによるものかとも思ったのだが、不思議なことに普通の170に3半というから驚き。かと思えば「プルチネッラ」では小回りの効く音色へと変化。唸ってしまった。ブートリーも佳演だった。第1楽章の盛り上がりの部分など筆舌に尽くしがたい(Crestレーベルのあの演奏を思い出してしまったほど…とは褒めすぎかなあ)。

それにしてもこの選曲!楽器店でのミニコンサートにしては、ヘヴィというか媚びないというか…李さんの哲学があるのかな。今回は45分という短い時間ではあったが、ぜひいつかフル・リサイタルを聴いてみたいものだ。プログラム冊子も興味深かった。通りすがりの方が読むには少し難しすぎる?かもしれないが、私なんかはとても面白く読めた。ヒンデミット「ソナタ」付随の詩は、なんと李さんによる翻訳であった!

終演後、昨日のサクソフォーン発表会(そちらには伺えなかったのだが)にて演奏を終えたばかりの京青さんを発見。池袋駅までの途上、お喋りに花が咲いた。

2013/08/17

関東サクソフォン連合の打ち上げ

もう昨日のことだが、第4回サクソフォン交流会のための臨時編成アンサンブル"関東サクソフォン連合"の打ち上げを決行した。

一次会は豊洲のCAFE;HAUSにてお手軽手ぶらBBQ(暑かったけど肉も野菜も美味!)→二次会は月島でもんじゃ焼きとお好み焼き(実は月島で食べるのは初めて)→三次会はその辺の飲み屋で3時間。15:00に始めて、散会がなんと23:00過ぎ。俗な話題にて遠慮無く騒いでしまったが、楽しかった!

Koji Ueno - Sirius B

素敵なアルバム。不思議な温度感、しかし底知れぬカッコ良さ。上野耕路氏の面目躍如…である!

音楽がこれだけ氾濫する世の中で、ある曲を聴いて「あっ、これはあの作曲家の作品だ!」とか「これはあのプレイヤーが演奏しているんだ!」とわかることが、どれだけあるだろう。私の知る限りそれはとても少数で、だがしかし最も重要なことの一つではなかろうかと思う。

「Sirius B(Music Marketing Research MMRC-001)」
All tracks are composed by Koji Ueno
Canis Major
Hypno-masses
Control Games
Sirius B
Il Pacifico
Interlude
Clockwork Seagull
Archaeopteryx and Compsognathus
Oil Barons and Cattle Dukes
Tomorrow will be brighter than today
Groucho Marx's Economics

上野耕路(pf. & Key.)、赤木りえ(fl.)、佐々木理絵(fl)、秋山かえで(cl.)、曽根美紀(asax.)、小池裕美(tsax.)、矢島恵理子(bsax.)、田澤麻美(tp.)、国木伸光(tub.)、東佳樹(mrb.)、中島オバヲ(perc.)、杉野寿之(dr.)、久保田信吾(vo.)、清水万耶子(Sop.)、真部裕(vn.)、多井智紀(vc.)、谷嶋ちから(bs.)

前作「Polystyle」も愛聴盤であるが、この「Sirius B」もそれに匹敵する個人的ヒット。自主制作盤とのことで、相当の気合いが入ったアルバムだ。とにかく曲が良い。グロテスクでいて、美しく、カッコ良い。管楽器アンサンブルのサウンドを前面に押し出した、紛れもなく上野耕路氏の音楽。8/9に発売されたばかりで、Amazonでも取り扱っている(こちら→SIRIUS B)。上野耕路氏の音楽については、「たらこ・たらこ・たらこ」が超メジャーだが、それだけでは済まされない才能を、ぜひいろんなひとに聴いていただきたい。MP3アルバムストアでは試聴もできるので、聴いて「これは!」と思った方はぜひ。

演奏者のクレジットを眺めると、クラシックと言うよりもジャズ方面のプレイヤーが多いですね。あっ、曽根美紀さん(雲井雅人氏の奥様)が参加されている!前回アルバムは、全体的な音作りのコンセプトとしてオールドスタイルの雰囲気を湛えていたが、今回はもう少しモダンなサウンド。演奏はさらにソフィスティケイトされ、緻密なアンサンブルが耳に心地良い。久保田信吾氏のヴォーカルは存在感ならびに雰囲気にベストマッチといった風で、さすが8 1/2時代からの協業によって、久保田氏のヴォーカルを楽曲中でどう配置すべきか、というセオリーに長けているとも言えるだろう。

各トラックの意味もなんだか面白く、そんなところからもこだわりが感じられる。アルバムタイトルが「シリウスB(おおいぬ座の連星シリウスを構成する白色矮星)」ならば、最初のトラックタイトルは「Canis Major(おおいぬ座)」、とう具合…。「Clockwork Seagull(時計仕掛けのカモメ)」とか「Archaeopteryx and Compsognathus(始祖鳥と小型肉食恐竜)」なんてのもいいなあ。

2013/08/15

着信用050電話番号を準備

例えば自主公演の開催時、チラシには電話番号を掲載しておきたい。いくらネット時代で申込みの大多数がFacebook経由やメール経由とはいえ、まだまだ電話での問い合わせもある程度発生する(とは、前回TsukubaSQの演奏会時に思い知った)。また、サクソフォン交流会の時も緊急連絡先としてタイムテーブルに電話番号を記載する必要があった。

だが、なんとなく自分のプライヴェート用の携帯電話の番号は掲載したくないもので…これまではやむにやまれず掲載していた、という感じではあった。そこで、着信用の電話番号で無料で利用可能なサービスがないかなと調べたところ、こんなものがあった。

FUSION IP-Phone SMART:http://ip-phone-smart.jp/

初期登録費用・月額基本料0円で、050から始まるIP電話番号を取得できるというもの。IP電話番号とはいっても、もちろん固定電話や携帯電話等、通常の電話から050に対する発信は可能で、通常の電話番号と何ら変わりなく利用することができるので、ちょうど目的に合致していると思い、登録した。同様のサービスとしてNTTコミュニケーションズの「050 plus」があるが、こちらは月額基本料315円がかかるという点で、差異がある。

電話番号を取得したあとは、Android端末にChiffonというIP電話アプリをインストールし、設定して常駐させる。iPhoneであれば、フュージョン・コミュニケーションズが謹製アプリを提供しているので、それを利用すれば良い(現時点で残念ながらiPhone用のみ、Android用は残念ながら"開発中"とのこと→2013/08/20にリリースされました!)。固定電話・携帯電話からの発信テストを行ってみたが、もちろん問題なし。

実運用はしばらく先になるだろうが、とりあえず電話番号を使わなければならない時の懸案が無くなったのは幸いだった。

2013/08/14

【ご案内】日下部さんのリサイタル

数年前からWSCはじめいろいろなところでご一緒する機会がある日下部さんのリサイタル情報。渡欧前の総決算、といったところだろうか…。残念ながら関東では予定されておらず、私も伺うのは厳しいのだが、京都で2回(うち初回はすでに終了)、名古屋で1回開かれるそうだ。グラズノフをメインに置くなど、プログラムの内容が大変"渋く"、あまり最近では聴くことのできない内容であるため、お近くの方は伺っていただければと思う次第。

リサイタル名の"Heimat(ハイマート)"とは、"故郷"を意味するドイツ語である。なんとなく日下部さんがリサイタルにかける気持ちが何であるか、が伝わってくるようだ。

【Heimat 日下部任良サクソフォンリサイタル】
出演:日下部任良(sax)、柿原久実子(pf)
日時(京都公演2回目):2013年8月18日(日)
会場(京都公演2回目):かめおか桂ホール
料金(京都公演2回目):一般2000円、学生1500円
日時(名古屋公演):2013年8月25日(日)
会場(名古屋公演):ドルチェ・アートホールNagoya
料金(名古屋公演):一般2500円、学生2000円
プログラム:
Z.コダーイ - 3つのコーラル前奏曲より
P.ヒンデミット - サクソフォン・ソナタ
F.デクリュック - サクソフォン・ソナタ
C.ロバ - エチュード
W.ベンソン - エオリアン・ソング
A.グラズノフ - サクソフォン協奏曲
問い合わせ:tad.k.saxophone@gmail.com

そういえば、ロバのエチュードは何番なのかはチラシからは分からなかった。9番だったりして。

Chien Kwan Lin氏の経歴

先日、Facebookのタイムライン上に、ティモシー・マカリスター、オーティス・マーフィ、ケネス・チェ、チェン=クヮン・リン、キャリー・コフマン各氏が一緒に写っている写真が大量にアップされていた。なぜこんなビッグネームが一同に会していたのか調べてみたところ、どうやら、8月の4日から9日までイーストマン音楽院でAmerican Saxophone Symposiumなる催しが開催されていたようで、そこに指導陣として参加していたのがこの5名だった…ということのようだ。

元締めはイーストマン音楽院サクソフォン科のチェン=クヮン・リン Chien Kwan Lin氏。2002年から同音楽院で教え、ダグラス・オコナー氏を始めとする俊英を多数輩出&イーストマン音楽院のあの驚異的なサックスオーケストラを指導していることでも知られる名教師である。「どんな人物だっけ…そういえば、あまり日本でチェン=クヮン・リン氏の名前は知られていないなあ」と思い、経歴を少し調べてみた。

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シンガポール出身。1972年生まれ。5歳からヴァイオリンを始め、シンガポール音楽コンクールのヴァイオリン部門で4回連続最高位受賞。第12回National Band Leaders Festivalでベスト・コンダクター・アワード受賞。ニューハンプシャー交響楽団、インディアン・ヒル交響楽団、ハノーファー室内管弦楽団で、ヴァイオリン奏者として活躍した。また、ジャズ・ヴァイオリン奏者としても活動した。16歳からサクソフォンを始め、ニューイングランド音楽院でKen Radnofsky氏に師事し、学士号・修士号を取得。続いてイーストマン音楽院でRamon Ricker氏に師事し、博士号を取得した。独奏者として、ボストン交響楽団、ロチェスター管弦楽団、アメリカ海軍バンド他にゲスト奏者として招かれている。2002年からイーストマン音楽院の助教に就任、現在は准教授に就いている。イーストマン音楽院ではアメリカ国内初の指揮者を置かないサクソフォン・オーケストラEastman Saxophone Projectを組織した。

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以上。簡単に調べただけだが、意外と知らない事もあって、やはりきちんと調べてみるのは重要だと思った。

ちなみに、ヴァイオリン奏者としてのチェン=クヮン・リン氏の演奏については、YouTube上にこんな動画を見つけることができる。圧巻だ。

2013/08/13

実家へ

本日夕方から金曜朝まで実家へ帰省する。

今は中央道を走る高速バスの中。都内は混んでいたが、少し走るとすぐに流れが良くなった。東京から3時間程度で到着してしまうのは何だかんだでありがたいことだ。

2013/08/12

Gustavo Dudamel & Los Angeles Philharmonic - The Inaugural Concert

サクソフォンが大活躍するジョン・アダムズ「シティ・ノワール」の話題はちょくちょくこのブログでも出していたが、初演のDVDについてのレビューを書いていなかった。2009年10月8日、ウォルト・ディズニー・コンサートホールにおける、ドゥダメル氏のロサンゼルス・フィルハーモニック音楽監督就任記念演奏会の模様を収録したDVDで、Amazonで新品が妙に安かったこともあって、いつからか所有している。

John Adams - City Noir
1. The City and its Double
2. The Song is for You
3. Boulevard Night
Gustav Mahler - Symphony no.1 in D major

「シティ・ノワール」におけるティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏の、ロサンゼルス・フィルハーモニックの中における存在感は相当なもので、ジャズのニュアンスをも取り込んだ超絶技巧(サクソフォンのオーケストラ・スタディとしては世界最高難易度ではないか…)で要所要所でかなり魅せる。特に第3楽章「Boulevard Night」では、これはもうほぼサクソフォン協奏曲といって良いレベルではないか、というほど目立つ書き方がされており、サクソフォン的興味の側面からも大変見応えがある。

殊更にリズム処理が至難な作品を、ドゥダメル氏の棒は非常に上手くさばいている。いつだか拝見したヴァルトビューネでの客演指揮の時もそうだったが、オーケストラを乗せて曲の持つパワーを存分に引き出す手腕は、ドゥダメル氏ならではのものであろう。オーケストラ、特に弦パートの細部の処理はやや大味だが、それすらも味わいかもしれない。

ハイ・テンションで初演直後、客席で拍手するアダムズ氏。この笑顔である。いや、本当に、それだけ素晴らしい演奏だったのだから。…って、隣に座っているのはトム・ハンクス夫妻ではないか!(驚)アメリカの上流階級の一端を垣間見るようですな。直後、アダムズ氏はステージ上に呼ばれて、ドゥダメル氏の労をねぎらっている。

カーテンコールでは、アダムズ、ドゥダメル両氏によって、真っ先にマカリスター氏が立たされている!これには感動。

2013/08/11

録音環境…

ずっとZOOMのH1で通してきていたのだが、さすがに外に出すものを録音するときには限度があるかなと思い始めており、アップグレードを検討している。今考えているのはZOOM H4nとRODE NT5の組合わせ。少し高いけれど、自分が考えている用途ではもっともシンプルに完結できるシステムではないかと思う。これにそこらへんのスタンドとステレオマイクバーを組み合わせれば…。

そのうち映像とも組み合わせられるようなシステムまで揃えられれば良いな。ちなみに、手持ちのSONY NEX-5Nは、外部マイク入力 or ライン入力に対応せず、ホットシューに接続する専用マイクしか繋げられないようだ。ちょっと探してみたが、外部音声入力に対応する映像撮影機器って、ずいぶん少ないようで…。こちらはかなりハードルが高そう。

2013/08/10

クロアチアの国際コンクール要項速報(2014年第1回開催予定)

2014年がサクソフォンの国際コンクールラッシュだということは、既に多くの方々が存じていることと思う。

Zagreb Saxophone Quartetのページを眺めていたところ、5月にかなり規模の大きな第1回"JOSIP NOCHTA"国際コンクールが開催されるという情報が書かれていた。

まとめてみると、こんな感じか。なんだこのラッシュっぷりは。

5月:クロアチアの第1回"JOSIP NOCHTA"国際コンクール←NEW!!
7月:第4回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール
8月:日本管打楽器コンクール
10月:第2回International Saxophone Symposium And Competition(ISSAC)
10月末~11月:第6回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)

そのクロアチアの国際コンクールの要項だが、次のとおり。コンクール名のJOSIP NOCHTAとは、Zagreb Saxophone Quartetのメンバーの共通の師であるクロアチアのクラリネット奏者の名前。おそらく、命名の由来は偉大な先駆者に敬意を表して、、、といったところだろうか。コンクールの内容はまだ速報レベルで、詳細は9月発表とのことだが、審査員(ルソー氏、ドゥラングル氏、ボーンカンプ氏、Matjaž Drevenšek氏、他!)やステージ数&課題曲の数など眺めると相当規模の大きなコンクールとなりそうだ。ということで、以下は"ほぼ"コピペの情報。

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1st "JOSIP NOCHTA" INTERNATIONAL SAXOPHONE COMPETITION
Zagreb, Croatia, May 12th to 17th 2014.

- The Competition is open to all saxophonists born in 1984. or younger

JURY:
Eugene Rousseau (USA), president
Claude Delangle (FR)
Arno Bornkamp (NL)
Matjaž Drevenšek (SLO)
Dragan Sremec (HR)
Gordan Tudor (HR)
Pavle Dešpalj (HR) (final round)


I ROUND:
- each candidate performs three works in the following order:

a/ Gordan Tudor - QUARTER TONE WALTZ – ed. Diapason
/available through www.aclassic.hr/

b/ Johann Sebastian Bach - 2. Cello Suite BWV 1008 – SARABANDE
/reference urtekst, transposition and phrasing on candidate's
choice, performance without repeats/

c/ work chosen from the following list:
Roger Boutry - DIVERTIMENTO – ed. Leduc
Alfred Desenclos - PRÉLUDE, CADENCE ET FINALE – ed. Leduc
Claude Pascal - SONATINE – ed. Durand
Lucie Robert - CADENZA – ed. Billaudot
Pierre Sancan - LAMENTO ET RONDO – ed. Durand

II ROUND, 10 candidates :
- each candidate performs three works in the following order:

a/ Dubravko Detoni - 22 PER 2 IN 2 for saxophone and piano – ed. Diapason /soprano or alto saxophone version on candidate's choice,
available from september 2013. through www.aclassic.hr

b/ sonata chosen from the following list:
William Albright – SONATA – ed. Peters
Fernande Decruck – SONATA – ed. Billaudot
Edison Denisov – SONATA – ed. Leduc
Jindřich Feld – SONATA – ed. Leduc
Jeanine Rueff – SONATA FOR SAXOPHONE ALTO SOLO – ed. Leduc
Takashi Yoshimatsu – FUZZY BIRD SONATA – izdavač Billaudot

c/ The work of the candidate's choice

III ROUND – FINALE, 4 candidates with The Zagreb Philharmonic Orchestra:
- each candidate performs two concertos in the following order:

a/ Pavle Dešpalj – CONCERTO FOR ALTO SAXOPHONE AND STRINGS
– ed. Southern Music Pub. Co. (piano reduction) and ed.
Splitsko filharmonijsko društvo (score)/available through
www.mic.hr from september 2013.

b/ concerto chosen from the following list:
Jacques Ibert - CONCERTINO DA CAMERA – ed. Leduc
Lars-Erik Larsson - CONCERTO op. 14 – ed. Gehrmans
Jeanine Rueff - CONCERTINO FOR ALTO SAXOPHONE AND CHAMBER ORCHESTRA op. 17 - ed. Leduc

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各ステージには、クロアチアの作曲家の作品が含まれている。一次予選のGordan Tudor「QUARTER TONE WALTZ」はSound Cloudで聴けるので、どうぞ。二次予選の課題曲となっているDubravko Detoniの「22 PER 2 IN 2」って、ヴァイオリンとピアノのための作品じゃないのかと思ったら、サクソフォン版の出版が予定されているのですね。本選の協奏曲Pavle Dešpalj「CONCERTO」は、CantusレーベルからCDが出版されているようだ。

浜里明さんのコンサート

浜里明さんのコンサート。木曜日にピアノの大嶋千暁さんから案内を頂戴し、急遽伺った。

【Reves d'amore Saxophone Concert】
出演:浜里明(sax)、大嶋千暁(pf)
日時:2013年8月9日 19:00開演
会場:KMアートホール
プログラム:
P.ボノー「組曲」
D.べダール「幻想曲」
R.プラネル「ロマンティック組曲」
吉田和弘「愛の夢」
F.デクリュック「ソナタ」
P.M.デュボワ「りす」(アンコール)


昨年発行の日本サクソフォーン協会紙にて、ティエリー・エスケシュの「テネブレの歌」についての論文(かなり読み応えがある)を寄稿していた…ということで名前は存じていた。が、演奏を聴くのは初めて。会場の幡ヶ谷KMアートホールは最近よく聞くが、これも伺うのは初めてだった。なかなか素敵なスペース。

前半でとても面白かったのが、プラネル「ロマンティック組曲」。なかなか実演での全曲演奏の機会はなく、かなり勇気がいるはずだが、こうして敢えて取り上げたことにコダワリを感じる。変な例えだが、フランス人が演奏しても絶対こうはならないという演奏だな、と。日本人が隅から隅まで丹念に楽譜を読み込んだからこそ実現できるような演奏で、興味深く聴いた。

後半の吉田氏の作品は、タイトルから想像できない曲想。意外なほどに都会的なセンスに溢れており、甘いメロディも散りばめられつつ、いくぶん冷徹に進んでゆく箇所もあって、面白い。そして、何度も出現する決めどころでの半音の進行が印象的。MCによれば、浜里さんが演奏する「ロマンティック組曲」の演奏を聴いて、この曲を書いたとのことだ。最後のデクリュックは、つべこべいわずに大河のような流れの中に聴き手をも巻き込んでしまう圧巻の演奏。千暁さんの好サポートも手伝って、素晴らしい演奏となった。

打ち上げは駅前の中華料理屋で。妙に安かったがとても美味しく、堪能した。残った6人ほどでK氏の家に移動して、朝まで(苦笑)

2013/08/07

吹奏楽版のトマジ「協奏曲」録音

本日のアプリコ(フルモー氏&TKWOのトマコン演奏)は仕事が終わらなかったため残念ながら伺えず、代わりに家で「英雄の時代(佼成出版社 KOCD-4002)」を聴いている。アンリ・トマジの「サクソフォン協奏曲」といえば、今でこそ、Tassot氏の録音やドゥラングル教授のcdが入手できるし、YouTubeを探せば国際コンクールの録音や彦坂眞一郎氏の演奏を観ることができる。しかし、私がサクソフォンを聴き始めた頃は、アンリ・トマジの「協奏曲」が収録されたCDなんて簡単に入手できるはずもなく、唯一入手できたのが大きなCD屋さんの吹奏楽の棚に置いてあったこのCDだった。この演奏でトマジに触れることができたのは、幸いだったかもしれない。

原曲がもつある種のヘヴィさ…言ってしまえば若干胃もたれするようなしつこさは、同曲を聴いたことのある方なら感じたことがあるだろう。仲田守氏(TKWOのテナーサクソフォン奏者でもある)によるアレンジは、吹奏楽ならではの色彩感を引き出しながら実にすっきりとまとめ上げており、好感が持てる。

もちろん、須川展也氏による独奏も非常に素晴らしいもので、緩徐部分でますます歌い方が濃密となる様は、曲の性格に良く合っているものだと思う。そして、特筆すべきは山下一史指揮TKWOの熱演。特に独奏をも掻き消すほどの(笑)熱い音楽は、数あるTKWOのセッション録音のなかでも、トップクラスに位置づけられるものと思う。須川展也氏とフィルハーモニア管弦楽団とのセッション録音の響きが頭のなかにあると、ちょっと驚くくらいかもしれない。

佼成出版社は今後CDの取り扱いをやめて、(もう既にやめてしまった?)配信専門に移行してしまうので、在庫があるうちにどうぞ。Amazonへのリンク

2013/08/06

Zzyzx Quartetの動画いくつか

アメリカの四重奏団、Zzyzx Quartetの動画が、FBの彼らのページで新しく紹介されていた。

John Mackey - Strange Humor
やはりマッキーのこの作品は掛け値なしに面白い!



David Maslanka - Hell's Gate
この記事でも紹介したものと同一テイクだが、アングルが違う。録れている音も違うので、だいぶ印象が変わる。

2013/08/05

第4回ロンデックス国際コンクール要項発表

2014年7月6日から14日まで開かれる第4回ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォン・コンクールの要項が発表されていた。

http://www.music.mahidol.ac.th/jmlisc/en/rules.php

やっぱりまずは課題曲に目を通してしまう。一次予選は無伴奏作品、二次予選はピアノとの演奏と、ここまではあまりこれまでと変わり映えがしないのだが、本選は面白い傾向が。本選の曲が選択制ではなく課題曲一曲になっている!Narong PRANGCHAROEN
ナローン・プランチャルーン氏の「Maha Mantras」という、ソプラノ&アルト・サクソフォンとオーケストラのための作品なのだそうだ。ソプラノサクソフォンと吹奏楽のための「Mantras」という作品の演奏はYouTubeで観ることができるし、Albanyレーベルへレコーディングもされているが、「Maha Mantras」は編成も違うし、全く違う作品なのだろうか。それとも似通った作品なのだろうか。

2014年は、管打、アドルフ・サックス(ディナン)、ロンデックス(タイ)とコンクールが目白押し。参加される方々にとってはもちろん大変なことと思うが、聴き手としては次代を担うスターの誕生の瞬間が見られるということで楽しみなことこの上ない。情報が出次第、こちらでもご紹介していきたい。

2013/08/04

ジョン・アダムズ「サクソフォン協奏曲」各種情報

2013年8月22日、ジョン・アダムズ John Adamsの「サクソフォン協奏曲 Saxophone Concerto」が作曲家自身の指揮、シドニー交響楽団、ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏の独奏によりオーストラリアで世界初演を迎える。

そもそもこの作品の制作のキッカケは、グスターヴォ・ドゥダメル氏のロサンジェルス・フィルハーモニック音楽監督就任記念演奏会にて初演されたアダムズ「シティ・ノワール City Noir」の演奏だと言われている。本作品のアルト・サクソフォンパートとして招かれていたマカリスター氏の、あまりに鮮烈なプレイ(初めてその映像を観た時は飛び上がった。ベクトルこそ違うが、オーケストラの中のサクソフォン演奏としては、ダニエル・デファイエ氏がミヨー「世界の創造」に参加したバーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団の録音にすら匹敵すると、個人的には思っているくらいだ)に感銘を受けたことがキッカケとなってスケッチを書き始めたそうだ。

同曲のサクソフォンパートは至難!クラシカルなテクニックはもちろん、かなりファンキーな作品の性格にも沿った演奏が求められ、マカリスター氏以外にこのサクソフォンパートを吹ける奏者が果たして他に何人いるか、と思ってしまったほど。そんな演奏にインスピレーションを受けて書き始められたサクソフォン協奏曲ということは、きっと凄いものになるに違いない!と、前々から注目していたのだ。

そんな折、ノースウェスタン大学のページに同曲に関するまとまった情報が掲載された。掲載されていた情報から、重要なものをピックアップ。

2013年8月22日、23日に初演。マカリスター氏は、2013年9月20日、バルティモア交響楽団との演奏でアメリカ初演、続いて21日、22日も演奏を行う。10月5日と6日にはセントルイス交響楽団とも演奏を行う。10月5日の演奏会は、 www.stlpublicradio.orgにて中継予定となる。また、10月には、セントルイス交響楽団とともに引き続きNonesuchレーベルへの「サクソフォン協奏曲」「シティ・ノワール」のレコーディングも予定されており、こちらも楽しみだ。2014年8月14日から16日には、サンパウロ交響楽団とともにブラジルでの演奏が予定されている。

曲についても若干ながら触れられており、サクソフォンが持つ叙情性・機動性の両面を引き出したような作品(だいぶ意訳だが)とのこと。サクソフォンの特殊奏法についても、重音、アルティシモ音域、スラップなどが、使われているそうだ。演奏時間は32分に及ぶ。マカリスター氏のコメントとして、「おそらく、同世代におけるサクソフォンのための最も重要な作品である」とも書かれており、いよいよ楽しみになってきた。

「シティ・ノワール」初演の録画は、以前公式のハイライト動画を観ることができたのだが、公開終了してしまった。もし観たことない方で気になる方は、ぜひDVD(リージョンフリーの輸入盤が安い)をお買い求め下さい(ぜったい後悔しないと思う)。

Clover Saxophone Quartet "CLOVER"

ちょくちょく演奏(会の打ち上げ?)でご一緒する機会のある大嶋千暁さんが、日本音楽審議会主催のアジア国際音楽コンクールで2位を受賞されたとのこと。めでたい!

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クローバー・サクソフォン・クヮルテットのファーストアルバムを未聴であったことに最近気付いて、ロベールの「テトラフォーン」の録音が必要だったこともあり、購入した。セカンドアルバムの素晴らしさは以前ブログ上でのレビューでも書いたとおりだが、このファーストアルバムも聴いてみると大変充実した内容に素晴らしい演奏で、感動した。もっと早く入手しておけばよかった。→Amazonでの購入リンク

「CLOVER(King Records KICC 739)」
林田祐和 - ストレンジ・ラン・フォー・カラーズ
A.K.グラズノフ - 四重奏曲作品109
E.モリコーネ - ニュー・シネマ・パラダイス
L.ロベール - テトラフォーン
P.マスカーニ - カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
石毛里佳 - アレグレットとプレスト
P.I.チャイコフスキー - アンダンテ・カンタービレ

冒頭のストレンジ・ラン・フォー・カラーズ(クローバーSQのアンコールの定番だ)からリズミックでフラジオバリバリのゴキゲンな演奏。作品としても面白く、独学によるものとは思えないこの完成度。楽譜もクローバーSQのサイトから買えるので、興味ある方は挑戦してみては。

グラズノフは、ミュール四重奏団を皮切りに、市場に氾濫する数多の録音のなかでも光るものの一つだと思う。繊細な表現や美しい音色、力みなく・淀みなく、すべてが正しい方向で進んでいく。アルバム全体が、このグラズノフを中心として均衡を保っているような印象も受ける。CD自体がワールドリリースなどされれば、世界各地で聴かれるようになるほどのものだと思うのだが、やはりワールドリリースは難しいのかなあ。

大曲の間に挟まれている小品は、聴いていて少しホッとするが、個人的には小品の代わりにもうひとつ大きな作品を入れてくれても良かったなあ、などとも思った。例えばデビュー・リサイタルで演奏されたデザンクロとか…まあデザンクロは結局セカンドアルバムには収録されたのだが。

また、録音がほぼ無いに等しいロベールもとても良く、あの楽譜からこうもスマートな演奏を繰り広げるのかと驚いてしまった。スコアから想像するのは、もっとガリガリした音楽なのだけれど。これはやはりソルフェージュの格の違い、ということなのだろうか。クローバーSQの委嘱作品である「アレグレットとプレスト」は、ライヴで聴いた時の楽しさを思い出した。録音物としても十分面白いが、これを聴いてしまうと、次はぜひライヴでの再演を期待、という方向に意識が向いてしまった。

2013/08/03

けやきひろばで演奏(しらこばと音楽団)

しらこばと音楽団での演奏@さいたまスーパーアリーナけやきひろば。しらこばと音楽団としての活動は頻繁に行われているようだが、参加は久々だった。ソプラノ:ねぇ。さん、アルト:ニジマスさん、テナー:私、バリトン:Thunderさん、という布陣。そういえば、Thunderさんと四重奏をご一緒したのは初めだったかもしれない(笑)

11時と14時半からの2ステージ。「銀河鉄道999」「Butterfly」「君の瞳に恋してる」など、初見楽譜を当日リハでそのまま本番に乗せてしまうのがしらこばと音楽団の流儀(?)。2年ほど前に頻繁に参加していた頃と比べると、どうやら初見能力が落ちているような気がしてショック。。。

11時からのステージこそそれほど人がいなかったが、14時半からのステージはお昼時をちょうど過ぎたところだった、ということもあり、たくさんの人が耳を傾けてくれていた。木陰はそれほど暑くもなく、快適に演奏できたのも幸い。休憩時間に食べた"なみえ焼きそば"と、うっかり見つけて飲んでしまった猪苗代湖ビール"ゴールデンエンジェル"がどちらも大変美味しかった。

2013/08/01

Antonio Felipe plays Peterson's Concerto for Sax. & Perc. on YouTube

スペインの名手アントニオ・フェリペ・ベリヤル Antonio Felipe Belijar氏が、サクソフォン奏者でもあり作曲家でもあるラッセル・ピーターソン Russell Peterson氏の、「アルト・サクソフォンとパーカッションのための協奏曲」を吹いている動画を見つけた。このピーターソン氏、内容はともかく(笑)なかなかカッコ良く派手な曲を書くことで有名(特に最近人気を博したのはこのトリオ)なのだが、この曲も負けず劣らず、という印象がある。特に15分近辺から始まる最終楽章はなかなか激しい。最後は大喝采!

2012年7月22日からポルトガルで開かれた、第4回パルメラ国際サクソフォンフェスティバルでの演奏だそうだ。アップされたのは最近のようだが、なぜこのタイミングで…?




2007年と2009年のダイジェスト動画もあった。出演者が豪華(笑)トゥイラールト氏がバリトン以外を吹いているのって、初めて観たかもしれない。
2007年:https://www.youtube.com/watch?v=aBeDBL4L8Bs
2009年:https://www.youtube.com/watch?v=mTz7sy4Yx0Y