2013/11/19

ギャルド復刻CD(GDWS-0011)レビュー

レビュー開始。やはり長くなりそうなので1枚ずつにレビューを分けることとした。ピエール・デュポン Pierre Dupont楽長指揮ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団 Musique de la Garde Républicaine。以前ブログでもご紹介したデュポン楽長時代の復刻盤に、収録時間の関係で入りきらなかった録音をカバーするディスクである。

収録曲目は下記の通り…グリーンドア音楽出版のページからコピペした。1928年から1936年にかけて、ColumbiaレーベルにSP盤として吹きこまれたものである。同封のライナーノーツには、各盤の正確な型番が示されているので、ぜひご覧頂きたい。復刻環境は、木下氏のシステム(それぞれ完璧に調整された、Pierre Clementカートリッジ&アーム、トーレンスターンテーブル、マランツ#1イコライザーアンプ)である。

1.リール:ラ・マルセイエーズ
2.ワーグナー:ワルキューレの騎行
3.ウェーバー:Bbクラリネット小協奏曲
4.ウェーバー:クラリネット協奏曲 第2番より レシタティーヴ(ルネ・ヴェルネイ)とポロネーズ
5.ビゼー:組曲「ローマ」より 第2楽章
6.ビゼー:歌劇「カルメン」より 前奏曲集
7.ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
8.ブラームス:ハンガリー舞曲 第6番
9~16.国歌集(フランス、イギリス、ベルギー、アメリカ、オランダ、ポーランド、フィンランド、スイス)
17.ガンヌ:ロレーヌ行進曲
18.デュポン:アルザス行進曲
19.プランケット:行進曲 サンブル・エ・ムーズ連隊
20.メステール:コーカサスの擲弾兵
21.国民分列行進
22.ウェットジュ:ギャルド・レピュブリケーヌの分列行進

聴きどころは大変多いが、いくつか挙げていこう。

現代の奏者であっても登攀しがたいその圧倒的なテクニックに注目したい。ウェーバーの「クラリネット小協奏曲」「クラリネット協奏曲第2番"ポロネーズ"」では、なんとこの曲をクラリネットパートのユニゾンで聴かせている。高難易度のフレーズを、ユニゾンで見事にアンサンブルしてしまう手腕に驚いてしまう。前回の復刻盤におけるメサジェの「舞踏組曲"二羽の鳩"」での驚異的なアンサンブル能力が、こんなところでも聴けるとは思わなかった。

音色の妙。私は、デュポン楽長~ブラン楽長時代のギャルドの最大の魅力は、その不思議な音色にあると思っている。「組曲"ローマ"」の冒頭に聴かれるフーガは、一聴するといったい何の楽器で吹いているか解らないほどだ。おそらくクラリネットとサクソフォンとその他の楽器が絶妙にブレンドされた結果なのだろうが、ここまで多彩な響きを生み出すそのデュポン楽長の手腕に、改めて感心してしまう。続く「カルメン」では、おなじみのメロディが、次々と色を変えながら演奏される様子に、ついにやけてしまう。

ノイズは修正していない。例えば、冒頭のジョルジュ・ティルが歌う「ラ・マルセイエーズ(Columbia DF-76)」はMarianne Melodieから復刻されているのだが、ノイズを取り去っているMariannne Melodie盤と今回のグリーンドア音楽出版の盤を比べてしまうと、原音のリアルさという点でグリーンドア盤が圧倒的だ。原音をそのまま残すことにこだわる木下さんの姿勢は、多くの"復刻盤"と一線を画すものであるが、わたしは木下さんのポリシーを支持したい(とにかく、聴いていただければわかると思う)。

国歌集(Columbia DFX-234)で聴かれる響きは、とりわけ豪華絢爛であるが、編成の違いなどがあるのだろうか。おそらく編曲はデュポン楽長なのだろうが…特にオランダ国歌やスイス国歌なんて、実に感動的だ。全てではなににしろ、国歌のひとつひとつをこのようにギャルドの演奏の録音として残してくれたことは、実に幸いなことであったと思う。また、最後に6曲収められたマーチは、ブラン楽長時代にもいくつかマーチが録音されているが、デュポン楽長時代のマーチはさらにサウンドとして引き締まっており、聴き応えがある。(どちらも言わずもがなレベルが高く、ここまで来ると好みの問題かなと思うが)

Amazonから入手可能:ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団

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