2013/05/29

ユージン・ルソー氏のCoronet盤(その3)

島根県のF様より頂戴した、ユージン・ルソー氏のLP録音をCD-Rに復刻してもらったもの(3枚のうちの3枚目)。ここまでご紹介した2枚はピアニストがMarion Hallだったが、この盤ではJoseph Rezitsが弾いている。表面にアレンジ作品、裏面にオリジナル作品が収録されている。アレンジ物はそれほど珍しくないが、ユージン・ルソー氏が吹くジョリヴェの「ファンテジー・アンプロンプテュ」なんて、けっこう興味を持つ方が多いのではないかな。

「Duo for Saxophone and Piano(Coronet 1703)」
Eugene Rousseu, saxophone
Josephh Rezits, piano
George Frideric Handel - Sonata in C Major for Viola da gamba
Francesco Cilea - Sonata in D Major, Op.38 for Cello
Andre Jolivet - Fantaisie-Impromptu
Juan Orrego-Salas - Quattro Liriche Brevi

表面のヘンデルでの、まるで隙だらけのようでいてきちんと吹いている様がなんとも面白い。アルトサクソフォンにしては妙に低い音が連発となる編曲であり、なんだか不思議な体温で演奏されている。抑揚が出てくるのはフランチェスコ・チレアの作品からで、スタイルとしては古典的だが、ヘンデルの作品・演奏のあとに聴くと妙にダイナミックに聴こえてくる。

ジョリヴェに続いて演奏されるオレゴ=サラスのシリアスな響きは、一聴の価値ありだ。それまでがどこか浮遊感のある印象であったのが、突然地に足がついたように奏でられる。緩徐楽章ではさらにルソー氏の美音が冴え渡り、"耽美"とでも表現できるような音楽が展開される。ルソー氏は、後年Delosレーベルに同曲を録音しているが、聴き比べるのも一興である(音色の違いに驚かされるはず)。

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