2012/11/14

カルチャーシンセシス

少し前になるが、Thunderさんからお借りしたCD「カルチャー シンセシス(Andersen ACD-0086)」。ジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏率いるL'Ensemble International de Saxophonesの演奏で、1988年に川崎で開かれた第9回世界サクソフォーン・コングレスに乗じてセッション録音・出版されたものである。録音時のメンバー(コングレスと同一)は、次の通り。今や国際レベルで影響力を持つ著名な演奏家ばかりである。

Federico Monderci, sopranino
Jean-Michel Goury, soprano
下地啓二, soprano
Daniel Gauthier, alto
James Umble, alto
William Street, alto
市川豊, tenor
Jorgen Pettersson, tenor
上田啓二, tenor
Massimo Mazzoni, baritone
Johannes Ernst, baritone
佐々木雄二, bass

日本でのサクソフォンの隆盛期と、当時最新(まさにクリスチャン・ロバがボルドーで注目され始めた頃だ)のフランス・ボルドーのサクソフォン界が交差する場所から生まれた貴重な記録として、日本のサクソフォン史にとっては重要なアルバム。こういった企画が通ってプレスCDとして世に出るというのは、まあバブル期ならではというところもあるのだろうが、幸いなことであった。当然のように現在は廃盤となっているのだが。

Christian Lauba - Les 7 Iles
George Gershwin - Suite American Stories
Darius Milhaud - Le boeuf sur le toit
Giobanni Gabrieli - Canzona XV

異常なほどにレベルの高い演奏は、はっきり言って現在でもなかなか聴けないほどのものであろう。特に、コングレスに際して初演された「Les 7 Iles」は非常に集中力の高い演奏でアルバムの中核を占める。Quantumレーベルの「SUNTHESIS」に収録されたライヴ録音と聴き比べてみると、面白いかもしれない。

残りの3作品は、おなじみのメロディをサクソフォン・アンサンブルで解釈したもの。ガーシュウィンのメドレーはロンデックス氏の編曲によるものだが、もし楽譜があったら現代で取り組まれていてもおかしくない。ロンデックス氏は、来るべきラージアンサンブルのあるべき形態を20年以上前から予見していたのではないか…と勘ぐってしまうほどだ。

ミヨー作品「屋根の上の牛」をサクソフォンで聴くというのも面白いし、ガブリエリの中世の響きがサクソフォンにベスト・マッチするのは、これはご想像どおり。録音はやや音場が遠く若干繊細な響きを感じ取りづらいが、それでもどの曲においてもレベルが高いことには間違いがない。いやはや、貴重な記録を聴けて感激だ。Thunderさん、ありがとうございました。

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余談。このライナーの写真は手持ちのNEX-5を使って撮影した。最初、標準ズームレンズのSEL1855を使って撮影したのだが、中心と外周の半分あたりから収差が気になり始め、字がマトモに読めなかった。それならとSEL50F18を使ったところ、隅々までくっきり解像。ここまで違うのかと驚いてしまった。

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