2012/11/18

グランプリコンサート2012 モーフィン・クァルテット東京公演

公益財団法人:日本室内楽振興財団主催の、2011年第7回大阪国際室内楽コンクール第2部門(管楽アンサンブル)第1位を受賞したモーフィン・クァルテットの、グランプリコンサート2012・東京公演を聴いてきた。

【グランプリコンサート2012 モーフィン・クァルテット東京公演】
出演:モーフィン・クァルテット
日時:2012年11月17日(土曜)14:00開演
会場:津田ホール
プログラム:
E.グラナドス - スペイン舞曲より
J.ハイドン - 弦楽四重奏曲作品20-5
A.グラズノフ - 四重奏曲より第3楽章
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIIより第1楽章
K.ワイル - 三文オペラよりタンゴ
G.リゲティ/G.ブルゴーニュ - 6つのバガテル
C.ドビュッシー - 亜麻色の髪の乙女
F.メンデルスゾーン - カプリツィオ作品81
P.ガイス - パッチワーク
~アンコール~
P.ポルテジョワ - ?
M.マウアー - ?

下記メンバーでの来日。コンクール入賞時には、ロペズ氏がテナーだったが、アルトだったマーテ・トリヨ氏が怪我のため来日できなくなり、テナーのマルクン=アンリオン氏が新規加入し、ロペズ氏がアルトに移ったとのこと。

Christophe Grezes (クリストフ・グレズ), soprano saxophone
Eddy Lopez (エディ・ロペズ), alto saxophone
Anthony Malkoun-Henrion (アントニー・マルクン=アンリオン), tenor saxophone
Matthieu Delage (マティオ・ドラズ), baritone saxophone

バリトンのマティオ・ドラズ氏は、フランスの大御所サクソフォン奏者、Jean-Louis Delage氏の息子さんだそうだ!驚き…。

ヴィブラート控えめ、最低音からフラジオ音域までよくコントロールされた音色、倍音レベルまで和声をコントロールする響きの構築…といった、現代フランスの最先端とも言えるサウンドは、元をたどればおそらくディアステマQや、アドルフQあたりから始まるのだろうが、ハバネラQがそれを拡張・洗練させて、ひとつの完成系をすでに提示している。そこでモーフィンQはどのようなアプローチを取っているのか、ということが一番の興味・関心だった。その答えのようなものは、なんとなく今回の演奏会を聴いて得られたような…ただし、ここでは敢えて書かないこととした。

冒頭から、サクソフォンという枠組みでこれ以上やることはない、というほどのコントロールに舌を巻く。そして、やり尽くされた感のあるワルター編のハイドンに、あのような新鮮さ(まるでその場で即興で作曲しているような)を与えるその音楽性は、世界的に見ても稀有なものであろう。グラズノフ作品・棚田作品は、ぜひ全楽章聴いてみたかったのだが、この客層では仕方ないかな(苦笑)。

さらに面白かったのは後半。リゲティにおける強烈なダイナミクスやリズムは、一朝一夕に獲得できるものではないだろう。やはり日本人がやるのとは違った楽曲の捉え方(あるポイントでどこに重きが置かれるか)の感覚は、新鮮さに満ちている。ドビュッシーの入り組んだ激烈なフーガを瑞々しく聴かせてしまう手腕は見事!(客席も沸いていた)最後の、フィリップ・ガイス氏のワールド・ミュージック的作品まで隙なく料理。大喝采。

アンコールに、まさかマウアー氏の作品が演奏されるとは。これが今日一番の私的サプライズだったかも。

終演後、mixiフルート吹きの方々の飲み会に参加@神保町→角口さんのコンサート@名曲喫茶カデンツァ(これについてはまた記事にします)→モーフィン打ち上げ参加@新宿という、充実のフルセットx2。モーフィン打ち上げ参加も面白かったのだが、とりあえずフランス語の壁は高い(苦笑)。英語がギリギリ使えたのは、不幸中の幸いだった。そのほかにも、久しぶりの方や初めましての方にご挨拶できて、うれしかった。

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