2012/10/30

イベール「祝典序曲」初演の頃

ナクソス・ジャパンの企画"N響アーカイブ・シリーズ"が面白い。

http://ml.naxos.jp/pages/NHKsoArchive.aspx

NHK交響楽団に関する歴史的アーカイブを順に配信しており、例えば戦時中の録音、海外遠征時の録音、海外の大規模作品日本初演の録音等、貴重な資料が満載だ。貴重なだけでなく、演奏もかなり熱の入ったものが多く、またいくつかの録音はとても質が高い。戦後間もない頃に、こんな音楽が日本に流れていたのかと感動してしまう。このような興味深い録音を(符号化圧縮されているとはいえ)安価に聴くことができるのはとてもありがたい。

私が個人的に面白いなあと思って聴いているのは下記のディスク。
http://ml.naxos.jp/album/NYNN-0016
http://ml.naxos.jp/album/NYNN-0027
http://ml.naxos.jp/album/NYNN-0031

そして、最近追加されたタイトルに「皇紀2600年奉祝楽曲集(1940)」というものがある。当時の日本政府が、皇紀2600年を記念し、イベール、ブリテン、シュトラウスといった海外の名だたる作曲家に新作を委嘱、日本で当時の新交響楽団(NHK交響楽団の前身)を中心としたメンバーにより結成された紀元二千六百年奉祝交響楽団により初演した、というイベントである。イベールが制作した「祝典序曲」にはサクソフォンが使われているのだが、その当時どのような響きがしていたのかとても気になっていたのだ。今回のリリースにより、聴くことができたのはとても幸い。

サクソフォンは、深いヴィブラートを伴った、見事な響きである。Thunderさんがこの録音についてとても興味深い記事を書いてらっしゃる(下記リンク参照)のだが、新交響楽団のクラリネット奏者、松島貞雄氏ではないかとのこと。こういう演奏をできる奏者が、1940年の日本にいたのか…と、(Thunderさんと同じ感想になってしまったが)なんとなくその初演の頃に思いを馳せるのである。
http://thunder-sax.cocolog-nifty.com/diary/2011/12/1940-5183.html

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