2011/02/28

演奏会案内いろいろ

洗足学園音楽大学の演奏会には、伺うことができませんでした(仕事で)…無念。

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一気に3つほど演奏会のご案内をする。なにせ、3つとも明日・明後日に迫っているもので(^^;他にもいろいろと書きたい記事があるのだが…笑。

ええと、出ます(爆)。

…といっても、楽器を吹くわけではない。プログラム冊子に掲載する曲目解説の執筆と、演奏終了後の演奏者へのインタビュー@ステージのインタビュアーとしての役割を担う。こういった形でのステージ久々だなあ。

もちろん、それだけではない。大西さんがこだわり抜いて選んだ珠玉の名曲(たぶん、日本初演もあるのでは)たち。ぜひ聴きにいらしてください。

【大西智氏サクソフォンリサイタル Vol.1】
出演:大西智氏(sax)、中村ゆか里(vn)、成田良子(pf)
日時:2011年3月1日(火曜)19:00開演
会場:大泉学園ゆめりあホール
料金:一般2500円、高校生以下2000円(当日各500円増)
プログラム:
E.デニゾフ - "ソナタ"より第2楽章、第3楽章
S.ローロフ - リット・リズム
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIII
I.ゴトコフスキー - 叙情的三重奏曲
J.C.アンリ - リード、弓、ハンマー
問い合わせ:
satoshi.ohnishi.saxo.recital@gmail.com

武蔵野音楽大学でサクソフォンを学ばれている原田涼香さんからご案内いただいた。なんと、大西さんの演奏会と同日・ほぼ同時刻…ということで、こちらは伺えない。そういえば、武蔵野音楽大学の演奏会を聴いたことはないんだよなあ。

以前他の記事にも似たようなことを書いたが、音楽大学のそれぞれの指向性が、演奏会には如実に現れると思っている。それはやはり、聴いてみないとわからないもので…。

【武蔵野音楽大学サクソフォーンアンサンブル演奏会】
出演:武蔵野音楽大学サクソフォーン専攻生3・4年生有志
日時:2011年3月1日(火曜)18:30開演
会場:練馬文化センター・小ホール
料金:前売900円、当日1000円(全席自由)
プログラム:
P.チャイコフスキー - 弦楽セレナーデ
J.S.バッハ - 管弦楽組曲第2番
A.デザンクロ - 四重奏曲

問い合わせ:
m_saxmk@yahoo.co.jp

おなじみ、佐藤淳一さんが講師を務める東邦音楽大学・短期大学のアンサンブル演奏会である。何と言っても注目は、佐藤淳一さんがベーレンライター版のグラズノフ「協奏曲」を演奏すること!誰が日本初演を手がけるのかなあと楽しみにしていたのだが、やはり、という感じ。聴き慣れたLeduc版との違いを楽しめるほか、カデンツァも佐藤淳一さんのオリジナルなのだそうだ。…そういえば、まだ楽譜買ってない。

そのほか、「協奏曲」と一緒に「四重奏曲」も演奏されるとのことで、楽しみ。こちらは私も伺うつもりだ。

【東邦音楽大学・短期大学サクソフォーンアンサンブル】
出演:東邦音楽大学・短期大学サクソフォーン専攻生
日時:2011年3月2日(水曜)18:30開演
会場:文京シビックホール・小ホール
料金:900円(全席自由)
プログラム:
P.I.チャイコフスキー - バレエ「くるみ割り人形」
E.グリーグ - 組曲「ホルベアの時代から」
A.K.グラズノフ - 四重奏曲作品109
A.K.グラズノフ - 協奏曲
問い合わせ:
080-1108-6362(代表)

週末二題

恒例、週末日記。ブログ名が「diary.kuri_saxo」なのだから、週に一回くらいは日記ぽい記事を書いても良いよね…。

・土曜日
「さいたま市市民活動サポートセンター春のフェスティバル」にて演奏。メンバーは、わんわんさん、ニジマスさん、きゃさん、Saxofono Rossoの、ええとニックネームわかんないけれどバリトンの方、やまーさん、kuri。ちょっと風はあったけれど、暖かい日差しの中気持よく演奏できた!楽しかったなー。セットリストは、以下。

セプテンバー
勇気100%
美女と野獣
宇宙戦艦ヤマト
長崎は今日も雨だった
となりのトトロ

・日曜日
川崎市教育文化会館にて、サクソフォニー関東の練習。来週に差し迫った、幸区民音楽祭に向けて、J.ヴァン=デル=ローストの「アルセナール」とL.バーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」をみっちりと。大人数で吹いているときこそ、針の穴を通すようなコントロールが要求される(少人数のアンサンブルだと、お互い勝手に合ってくるのだが)。難しい。練習の後は飲みでした(笑)こちらも楽しかった。飲み会のときに撮影したスナップをどうしようか、目下思案中…。

2011/02/26

幡田賢彦「5本のバリトンサクソフォンのためのパラフレーズ」

幡田賢彦「5本のバリトンサクソフォンのためのパラフレーズ Paraphrase for 5 Baritone Saxophones」(以下「パラフレーズ」)をダッパーサクセーバーズのイエロさんからご紹介いただいた。昨年のダッパーサクセーバーズさんの定期演奏会のために委嘱された作品である。初演はグルリカン・サクソフォンアンサンブル。グルリカンとは…バリトンの一番「管」が「ぐるり」という形状をしていることから名付けられた造語である(うろおぼえ)。

この「パラフレーズ」は、クラシック・サクソフォンの古今東西の名曲を散りばめた作品なのである。委嘱に際して、グルリカンのメンバーより作曲者へ有名フレーズ集が渡され、作曲者はそのフレーズを自由にちりばめて作品を構成したそうだ。まずフレーズ集も見せてもらったのだが、例えばピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」、デザンクロ「四重奏曲」、デュボア「四重奏曲」、他にもパスカル、リヴィエ、フランセ、シュミット、リュエフ、サンジュレ、プラネル、ボザ…と、挙げていけばキリがないほど、その数なんと50。そんな名曲の名旋律を集めて書かれた作品…面白そうでしょ?

スコアと録音を送っていただいた。スコアとフレーズ集を対照して眺めると、なんとなくどこに何のフレーズが使われているかがわかる。が、いざ録音を聴いてみると、もとの音楽上で使われている印象はかなり除去されて、音型としてのみ聴こえてくるように書かれている。また、おそらくオリジナルのフレーズもいくつか組み込まれており、何も知らない人が聴けば、この曲の中にサクソフォン・アンサンブルの有名フレーズが含まれていることは気づかないだろう。

つまり、パロディ音楽として作られたわけではなく(アルモSQの「焚き火の主題による変奏曲」やフランセの「組曲」の第4楽章ように…)、あくまでもフレーズを基に"再構築"された音楽なのである。個人的には、思いっきりパロディの方向に走ってみた作品、というのも聴いてみたい気がするなあ。

最後に、この曲のプログラムノートを引用しておく。

Paraphrase for 5 Baritone Saxophones
この曲は「古今のバリトンサックスの名フレーズのみで1曲演奏してみたい!」との企画のもと作曲され、この曲の初演のために「グルリカン・サクソフォン・アンサンブル」が結成されました。デザンクロ、ピエルネ、リヴィエなどのちょっとしたフレーズが曲中の至る所にさり気無く配置されています。作曲者幡田賢彦プロフィール:山口県光市出身、日本大学芸術学部音楽学科作曲コース卒。学部長賞受賞、第80回読売新人演奏会に出演。

2011/02/25

SAX4重奏でラインアート?

Sonic Art Saxophone Quartetが演奏するG.リゲティ「6つのバガテル」…というか「ムジカ・リチェルカータ」の第3曲に、ラインアートを付けたアート作品を発見した。FacebookのSonic Art SQのアカウントで紹介されていたものだ。Schnelle Bunte Bilderというアーティストの手によるものだそうだ。

sonic.art – Bagatelle I from schnellebuntebilder on Vimeo.


なんだか面白いなあ。最初は抽象的な図形ばかりだが、徐々にはっきりとしたサクソフォンや演奏者の輪郭が描かれるのだ。どうやって書いたのかなと思ったら、どうやらハンド・ライティングとのこと。右下に小さく表示されている枚数カウンタを眺めると…1200枚!凄い。

サクソフォンと他の芸術作品とのコラボレーションは、私自身はちょっと斜めに構えてみてしまうのだが、サクソフォンはハイ・クオリティのSonic Art SQ、曲はリゲティの傑作、そしてラインアートも素晴らしい。こんな相乗効果があるのだったら、いろいろと見てみたいかも。

2011/02/24

演奏会のご案内:洗足学園音楽大学サックス科の定期

洗足学園音楽大学の鈴木研吾さんからご案内いただいたので、ご紹介したい。

各音楽大学のサクソフォン科の演奏が、近年ますます面白くなっている。その筆頭はやはり国立音楽大学だと思うのだが、他の大学だって負けていない。洗足学園音楽大学は、なによりもまずその擁する人数の点で優位にたっており、独奏から、サクソフォン・オーケストラまで様々な編成を繰り出してくるところが面白いと思う。また、学外交流も盛んであり、例えば先年のアルネイ=ス=ボワ音楽院との交流演奏会や、今度オペラシティで演奏されるシャリーノの実験音楽への協力など、様々な場所で「洗足学園音楽大学サクソフォン科」の名前を見る。

年度末の総決算とも言えるこの演奏会は、その洗足学園音楽大学サクソフォン科の総力を結集したものである、と言って良いだろう。たしか昨年は大学内の講堂にて開かれていたが、今回はなんと杉並公会堂で演奏されるとのこと。チケット入手済みであり、伺うのがたのしみだ(ただ、月曜の18:00からということで、仕事次第な部分はある…)。

【Saxolution~洗足学園音楽大学サクソフォン研究会第13回定期演奏会~】
日時:平成23年2月28日(月)18:00開演
会場:杉並公会堂(JR中央線・東京メトロ丸ノ内線「荻窪駅」北口から徒歩7分)
料金:800円(全席自由)
プログラム:
~第1部~年度末試験成績優秀者によるソロ&カルテット
~第2部~学内オーディションを通過したアンサンブル
・M.ラヴェル - クープランの墓より(arr.中村均一)
・F.メンデルスゾーン - 弦楽八重奏曲より(arr.大森浩司)
~第3部~サックスオーケストラ
・A.ドヴォルザーク - スラブ舞曲(arr.岩本伸一)
・R.シュトラウス - サロメ(arr.岩本伸一) 他
問い合わせ:
090-2921-4806(鈴木研吾)
senzoku_sax_tomi@yahoo.co.jp

2011/02/23

クローバーSQ 2nd CD発売記念リサイタル

【クローバー・サクソフォン・クヮルテット 2nd CD発売記念リサイタル】
出演:クローバー・サクソフォン・クヮルテット(林田祐和、田村真寛、貝沼拓実、坂口大介)
日時:2011年2月23日(水)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
プログラム:
J.S.バッハ/栃尾克樹 - イタリア協奏曲
C.ドビュッシー/伊藤康英 - 小組曲
林田祐和 - Passion
伊藤康英 - 四重奏曲第2番
F.シュミット - 四重奏曲

クローバーSQの演奏会。水曜日は残業規制がかかっているため、余裕を持って会場に到着することができた。二日連続の東京文化会館参りである。そういえば、クローバーSQのデビューリサイタルも、同じ東京文化会館の小ホールであった。この時の演奏は、私も聴いている。

到着してプログラム冊子を眺めてみると、なんと「ミステリアス・モーニングII」がない!ええっΣ('д`/)/!!と思って端に書かれた注意書きを読むと、プログラムが変更になり、代わりに伊藤康英先生の「四重奏曲第2番」が演奏されるとのこと。大ショック…かなり楽しみにしていたのに。今日来た目的の70パーセントくらいが「ミステリアス・モーニングII」だったため、あまりのショックに呆然としたまま、いつの間にか開演時間となった。

バッハ。東京文化会館の小ホールでバッハの「イタリア協奏曲」というと、ずいぶん前に来日したハバネラSQの演奏を思い出す。あの時も一曲目が「イタリア協奏曲」だった。さすがの演奏で、第2楽章冒頭の和声などこれまて聴いたことのないような厳粛な響きで始まるし、第3楽章の疾走感もまるでグレン・グールドのように生き生きと聴かせるし(バリトンの難所も難無くこなす)。さすがだ。そういえば、この曲を始めとして、林田さん、ずいぶんヴィブラートの質が変わったなあと(細かく&下に広く)思った。

二曲目は、伊藤康英先生のアレンジによるドビュッシーの「小組曲」。小舟が始まった瞬間に、「フランスの和声」が聴こえてきて感心!アレンジもの、しかもフランス物をやるなら、こうでなくっちゃ!アレンジ、演奏ともども素敵な感じで、いつだか演奏された同じくドビュッシーの「ベルガマスク組曲」とは比べ物にならない完成度だと思った。細かい仕掛けが各所に織り込まれ、うーん、これは出版されたりしたら流行るかも?

第一部最後は林田さん作曲の「パッション」。「ストレンジ・フォー・カラーズ」もそうだが、到底いちプレイヤーの余技?とは思えないほど濃密に書かれたスコア。しかも、クローバーSQのテクニックを熟知して書き付けられており、演奏者がギリギリのところでせめぎあうドライブ感がたまらない。最近は新曲がないのだろうか?もっといろいろと書いてほしいなあ。

後半は、伊藤康英先生の「四重奏曲第2番」。私も今日初めて聴いたのだが、これは「ツヴァイザムカイトシリーズ」「協奏曲」「幻想協奏曲」といった、かなり康英先生が作曲する音楽が尖っていた時期のものだそうだ。「ツヴァイザムカイト」は特定の音列をベースに構築されることが多いが、この作品のテーマは「民族音楽的な微分音」。その通り、まるで音楽の始源へと還っていくような/はるか遠くから呼ばれるような響きが印象的である。20年以上前の作品だが、もの凄くカッコいい!第1楽章は短いアレグロ…続いて中間部の四つの楽章を各楽器の即興フレーズで繋いだあとは再び第1楽章と近い外観をした終楽章が奏されるが、最後は西洋音楽の和声が出現する。ここの響きは実に"甘い"トライアド(たぶん)。「ミステリアス・モーニングII」を聴けなかったのは残念だが、この曲の演奏でだいぶテンションが上がった。

最後はシュミット。リズムとアーティキュレーションのコントロールは想像を絶する。"スタイリッシュ"という言葉がそのまま当てはまる演奏であり、マルセル・ミュール四重奏団の演奏と聴き比べてみると、まるで別の曲である。作曲家が聴いたら、(もちろん良い意味で)飛び上がって驚くのではないかな。

アンコールに、新CDにも収録されたサンジュレ「四重奏曲第一番」の第4楽章を。実は、これが驚きの名演!うーん、なんとなくクローバーSQとは相性が良さそうな曲だが、こうして実際聴いてみるとますます良いな。…ということで、CDも買いました(笑)。そのうちレビューします。

2011/02/22

第18回東京芸術大学サクソフォーン専攻生による演奏会

【第18回東京藝術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝大サクソフォーン専攻生、池上政人(指揮)
日時:2011年2月22日(火)19:00開演
場所:東京文化会館・小ホール
プログラム:
J.アブシル - 3つの小品
J.M.ダマーズ - トリオ
P.ヒンデミット - ソナタ
P.I.チャイコフスキー - フィレンツェの思い出
藤倉大 - Reach Out
J.S.バッハ - ブランデンブルク協奏曲第3番
D.ミヨー - パリ組曲

仕事のため大遅刻し、前半は聴けず、後半ギリギリに東京文化会館小ホールへと滑り込んだ(知り合いの話によると、最初に演奏されたアプシルの四重奏が凄く良かったとのこと。聴きたかった!)。

後半一曲目は藤倉大「Reach Out」。サクソフォン界では、特に大石将紀氏のために書かれた委嘱作品「SAKANA」の作曲で有名だが、もっと前にアポロ・サクソフォン四重奏団のために四重奏作品を書いているのだ。今回は、それに目をつけたおなじみ佐藤淳一さん率いるカルテットが、日本初演を行った。編成は、Sn+S、S+A、S+T、S+Bの各持ち換え四重奏。前半はSnSSSで演奏され、後半徐々にSATBの編成へと移行してゆく。なんだか「ミステリアス・モーニングII」みたいだ。まずは曲を知るところからだったのだが、録音(藤倉大氏のウェブページで公開されているアポロSQの録音)を聴いているだけでは解らないディテールと遠近感が感じられ、また後半の強力に聴き手を惹き付ける練り込まれた和声を実感できた。演奏もまたクオリティの高いこと!確かな技術に裏付けられた上に「熱演」という言葉が当てはまるテンションの高いもので、日本初演としてふさわしいものだったのでは。

後半二曲目は「ブランデンブルグ協奏曲」。ソリスト(ソプラノ奏者)を三人立て、さらにSATBBsが合奏パートを担当する。「サックスでバッハ」にはいろいろなスタイルがあるが、今日のはさながら平野さんスタイルだったかなあ。自分の趣味である端正なバッハ像からはやや離れた所に位置するもので(例えば、今日のスタイルでモーツアルトは吹けないだろう、ということ)、第一楽章は「???」なまま終わってしまったが、第二楽章のドローン上即興で納得した。やはりこれは、骨格を残したまま現代に再構築されたバッハだ。それだけバッハが偉大だということなのかもしれないが…。第二楽章で吹っ切れたのか、第三楽章は素晴らしい演奏だった!自分の聞き方が第二楽章を経て変わったということもあったかもしれない。

最後はダリウス・ミヨーの合奏作品。なかなか面白い並び(客席に向かって扇を拡げた…一般的な弧とは逆の並び)、衣装も素敵な感じ(レインボー!)。指揮は池上政人氏。恥ずかしながら曲は初めて聴いたが、いかにもミヨーらしい、独特のカラッとした明るい旋律線と、多調技法が駆使された楽しい作品。細かい音符まできちんと聴かせるあたりは、さすがに高い技術を伴っていることならでは、だろう。楽章ごとのカラーの違いをもう少し聴きたかったかなー。指揮がサックス吹き、というあたりにも原因があるのかもしれないが。最後はクレストン「ソナタ」第3楽章をサックス合奏版にて。アンコールとして、ピアノ+サックスをサックス合奏用に編曲したものを演奏するのは、おなじみになりつつあるようだが、今回のクレストンは編曲・演奏ともに、不覚にも「いいじゃん!」と思ってしまった(笑)。

以上。前半が聴けなかったのは残念だが、なんとか後半から聴けたのは幸い。パリ国立高等音楽院のサックス科が世界のサクソフォンの歴史を作っていくように、東京芸大のサクソフォン科は日本のサクソフォン界の歴史を作っていくべきなのだろう。そういえった気概が感じられる演奏を、この毎年の演奏会で聴きたいのである。近年の平均化・グローバル化の波のなかで、そういった「名」と「実」を保ち続けることは容易ではないと思うのだが、ぜひこれからも日本のサクソフォン界におけるひとつの標準として在り続けて欲しいと思う。そして、その標準が他の大学との切磋琢磨、ひいては日本のサクソフォン会の発展につながっていって欲しいと考えている。

2011/02/21

ご案内:水曜日のクローバーSQ

坂口さんからご案内いただいたので、紹介したい。…あ、2日連続東京文化会館参りになるかな?

クローバーSQのリサイタルが、明後日に迫っている。今回は、2nd CD発売に合わせたとのことだが…曲目を眺めれば判るとおり、明らかに大阪国際室内楽コンクールを視野に入れている。普通「ミステリアス・モーニング」とかやろうって思わないもんねえ(^^;今回は第1回リサイタルと同じ東京文化会館の小ホールである。あの会場で再びクローバーSQを聴くことができるとは…。

【クローバー・サクソフォン・クヮルテット 2nd CD発売記念リサイタル】
出演:クローバー・サクソフォン・クヮルテット(林田祐和、田村真寛、貝沼拓実、阪口大介)
日時:2011年2月23日(水)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
料金:一般4000円、学生3000円
プログラム:
J.S.バッハ/栃尾克樹 - イタリア協奏曲
C.ドビュッシー - 小組曲
棚田文則 - ミステリアス・モーニングII
林田祐和 - Passion
F.シュミット - 四重奏曲
問い合わせ:
03-3475-6870(インターミューズ・トーキョウ)

なによりも、「ミステリアス・モーニングII」が楽しみである。ソプラノ4本→四重奏へ持ち替え、というとんでもない編成、しかし類稀なる傑作。ハバネラSQがレパートリーとしていることでも有名だが、日本で定常的に活動する四重奏団体が演奏するのは初めてなのではないかな?また、すでに各所で演奏されつくされているシュミットのスコアから、クローバーがどのような(新たな)音を引き出してくれるのだろうか?こちらも名演を期待したい。

週末ドタバタ

金曜日:
サクシズム・ナイトは聴かず、高速バスで実家へ。19:30に新宿を出発し、家に到着したのは22:30ちょっと過ぎ。母が作ってくれる実家のとん汁が美味しい(これが毎度の帰省の楽しみなのだ)。

土曜日:
朝から楽譜打ち込み(ELPの「タルカス」サックス四重奏版)とFacebook閲覧をしながら、シルシルミシルの録画鑑賞。スラーだけはCDから聴きとるしかないのだが、その肝心のスラーが上手く聴き取れない。うーむ。夜は家族全員でQuatuor Bコンサート(先の記事にてレビューした通り)。

日曜日:
8:00台のバスで新宿へ。そのままティアラこうとうの練習場入りし、13:00よりサクソフォニーの練習。バーンスタインはカッコイイが難しい!針の穴を通すようなリズムとニュアンスの処理が求められて、自分のコントロール能力をあっという間に超え、対応できなくなってしまった(>_<)むむむずかしいよ。
サクソフォニーの練習を16:00過ぎに早退し、今度は浦和へ。プラザウエストにてTsukuba Saxophone Quartetの練習だった。「タルカス」と「N.R.の肖像(第1楽章)」を中心にさらう。どちらもやりがいはあるのだが、難しい。どうなることやら~。
練習が終わって家に帰り着くと、なんと23:30!さすがに今日の出勤は大変だった(^^;

2011/02/20

箕輪町でQuatuor Bを聴いた!

金曜の夜に実家へと帰省し、土曜の日中をELP「タルカス」サクソフォン四重奏版のスコア作りとシルシルミシルの録画鑑賞に費やし、夕方から箕輪町文化センターに出かけて聴いてきた。実家から会場までは、車でたった10分(近い!)。会場近くには私が通っていた中学校もあるのだが、自転車でも25分くらいかければ行ける場所なのだ。

文化センターは、私が中学生のころに建てられた。現在の稼働率やら細かい情勢やらは良く分からないが、思い出の場所の一つであることは間違いない。落ち着いた響きの500人規模ホールが備え付けられており、演奏会を開いたり演奏を聴きに行ったりしたのだ。そういえば、箕輪中学校の吹奏楽部の第1回演奏会(今もやっているかどうかは知らない)は、ここだった。音楽とはあまり関係ないが、成人式もここだったな。

東京に出てしまった今、自分の出身の町の文化センターで、プロのサクソフォン四重奏団(しかもQuatuor B)の演奏を聴くなんて、ちょっと不思議な感じだ。

と、前置きが長くなったが、今日は自分+母親+妹2人で鑑賞。会場は、ほぼ満員!驚いた(この写真)。中学生のような感じの方から、ご年配の方まで、まんべんなくいろいろな世代の方が来場していた。全席指定でチケットは母にお任せでお願いしたのだが、なんと前から2列目(笑)。間近で音楽のシャワーを存分に浴びることとなった。

【Quatuor B Concert & Activity クワチュール・ベー コンサート】
出演:Quatuor B(國末貞仁、山浦雅也、有村純親、小山弦太郎)
日時:2011年2月19日(土曜)18:00開演
会場:箕輪町文化センター
プログラム:
W.A.モーツァルト - 歌劇"魔笛"序曲
J.ハイドン - 弦楽四重奏曲ヘ短調作品20-5
M.ラヴェル - ボレロ
R.ロジャース - ドレミ in Jazz
名探偵コナンのテーマ、ズルい女("べーかるぼっくす"による選曲)
石川亮太 - 日本の四季によるミニチュア・シンフォニー
~アンコール~
J.S.バッハ - G線上のアリア
高橋宏樹 - To "B" Continued

前半にクラシックの王道を2曲。「魔笛(どこでなにを勘違いしたのか、ずっとフィガロだとばかり思っていた)」と、当初グラズノフの「四重奏曲」が予定されていたが、残念ながらグラズノフは演奏されず、代わりにハイドンの「弦楽四重奏曲」が演奏された。サクソフォンから、まるでピリオド楽器のような落ち着いた響きを引き出した「魔笛」に始まり、MCをはさみながら和やかに進む。楽器紹介を含むトーク・演出もとても慣れたもので、客席の反応も良い感じ。

「弦楽四重奏曲」のこのアレンジ譜は有名だが、こうやってプロフェッショナルの団体が取り上げるのを聴くのは初めてかもしれない。もとが弦楽四重奏名だけに、ハイドンの構造美を表現しようとすると難易度の高いスコアだが(どうしてもサクソフォンでやると、色物系に走ってしまいがち)、Quatuor Bは高い技術と音楽性で、「ハイドンらしさ」を確実に聴き手へと届けていた。

後半は、打って変わってポップなステージ。まずは、暗闇の中始まるボレロ。サックスのベルにライトをつけて、客席のドアから4人それぞれが入場しながら、ステージへと終結。一気に第2部の雰囲気に引き込まれた。高橋宏樹氏の新作(?)アレンジである「ドレミ」は、これもまた想像を超えたカッコよさ(サキソフォックス・シリーズにラインナップされないかなあ)。四人それぞれが、クラシックだけでなく、ポップな音楽をガンガン吹きこなせるパワーを持っているのだ…楽しくないはずがない。客席も手拍子が飛び出たりと、沸く、沸く。

続いて"べーかるぼっくす"。ジュークボックスはコインを入れてボタンを押すことで演奏曲を決めるが、べーかるぼっくすは、客席からの拍手で演奏曲が決まるのだ。まずはアニメ音楽。「アンパンマンメドレー」「サザエさんメドレー」「ルパン三世」「名探偵コナンのテーマ」から、一番拍手が大きかった「コナン」を(山浦さんが喝采を浴びていた)。そして後半は歌謡曲。「ズルい女」に興奮し過ぎて、他に何があったか良く覚えていないのだが、いやー、Quatuor Bの「ズルい女」をまさか箕輪町で聴けるとは思わなかったよ。嬉しかった。

最後は、CDにも収録されている四季折々の童謡をモチーフとした小交響曲風作品。一つの楽章ごとにスタイルが全く違うのだが、実演を聴くと、さらにその楽章ごとの性格の違いがはっきりとわかって面白い。「四季メドレー」といえば野村秀樹編のアレだが、こちらも今後流行るんじゃないかな。アンコールに「G線上のアリア」、そして「To "B" Continued」。「To "B" Continued」は、最初聴いた時あまりピンと来なかったが、こうやってアンコールとして聴けばなるほど納得の曲調、スタイル。手拍子も交えながら、楽しく終演となった。

終演後は、CDを買い求める人、サイン会でロビーが大混雑。皆さんとゆっくり話したかったが、さすがに無理そうで、差し入れだけ渡して早めに退散(^^;

2011/02/17

シャリーノ「海の音調への練習曲」実演!

いやー、オペラシティ文化財団はすごいね…。

サクソフォンを含む、もっとも変態的な編成の作品のひとつに、サルヴァトーレ・シャリーノの「海の音調への練習曲」という作品がある。カウンターテナー、サクソフォン四重奏、フルート四重奏、パーカッション…と、ここまではまあまあ普通なのだが、さらにサクソフォン100本+フルート100本が加わるという、お化け的編成なのだ。200人以上を巻き込んだ、壮大な音響実験的作品だとも言えるだろう。

StradivariusレーベルからCDが出版されていて(初演ライヴ)私もいちおう聴いたことがあるのだが、正直CDを聴いただけでは面白さがよく判らず、悶々としてしまうのだ。実演を聴く機会など、一生のうちにはないだろうな…と思っていたのだが、まさかこんなに早く聴ける機会が訪れるとは!100本のサクソフォンと100本のフルートを、どこから連れてくるのかなあと思ったら、洗足学園音楽大学が協力するそうで…なるほど、その手があったか。この作品の演奏に参加できる学生の皆さんが羨ましいぞー!

ちなみに、マリオ・カローリというフルーティストの演奏も楽しみだ。かつてレックスが招聘していたが、未だに実演を聞く機会には恵まれない。今回は、マリオ・カローリのために書かれたフルート協奏曲の日本初演ということで、カローリの演奏を存分に堪能できることだろう。

サクソフォンは、平野公崇氏、大石将紀氏、西本淳氏、田中拓也氏、という布陣。ま、この作品にあっては何をもってサクソフォンらしいと感じるかは難しいのだが、それにしても豪華なメンバーであることは間違いない。フルートも、東京シンフォニエッタの斎藤和志氏、アムステルダム音楽院出身の大久保彩子氏、アンサンブル・コンテンポラリーαの多久潤一朗氏、アンサンブルノマドの木ノ脇道元氏と、鉄壁のラインナップ。面白い機会になりそうだ。

2011/02/16

日本音楽コンクール1982年の録音

兵庫県のTさんよりお送りいただいた。1982年の日本音楽コンクールの本選会がラジオで放送され、それをエアチェック→デジタルデータ化したものである。お送りいただいたTさんには感謝申し上げる。

第51回日本音楽コンクール:サクソフォン本選会
課題曲:イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
第1位なし
第2位:須川展也
第3位:雲井雅人
入選:下地啓二

須川展也氏の経歴をたどると必ず出てくるコンクールの名前。話には聞いたことがあっても、まさか2011年にもなってその録音を聴くことができるなんて、夢にも思わなかった。なんとなく、夕食の準備でもしながら聴こうと思ったのだが、流れてくる下地啓二氏のイベールにはたと手が止まった。そして、スピーカーの前に正座して、もう一度最初から流してみた。

実は、私はピアノとサックスで演奏されるイベールが苦手だ。ピアノで生み出される音色は限界があるし、サックスパートもなんだか妙にのっぺりしていて、この曲がもつ"軽妙酒脱"の精神を体現した演奏に出会ったことがないからだ。唯一の例外は、マルセル・ミュールがアメリカツアーで吹いたときの録音で、ピアノは空中分解気味なのだけれど、サックスは"ミュールのイベール"そのものであり、非常に素晴らしい物なのだが、ほかはどうも…。

オーケストラとの録音だと、ミュール、デファイエ、ヌオー、ドゥラングルと、良いものがたくさんあるのだが。

…という先入観を持って聴き始めたのだが、その期待を見事に裏切られた。これはとんでもない録音だ。現代のサックスで演奏されると痛々しくなってしまうイベールだが、ここでは3者とも見事な演奏が展開されている。ある点では、ジュネーヴのミシェル・ヌオーの録音などにも負けないほどかもしれない。これは日本のコンクールなのだが、なぜかイベールの時代からのリンクを感じる。不思議。

2011/02/15

スロヴェニアのサクソフォン事情(続き)

以前書いた記事の続き。引き続き、ピアニストの李早恵さんより情報を頂戴した。李さんには、この場で改めて感謝申し上げる次第。

メールで情報を頂いたのだが、今回ちょっと趣向を変え、少し文体を整えてインタビューっぽくしてみた(実際にインタビューしたわけではありません笑)。

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kuri「スロヴェニアの国立音楽大学に、サクソフォン・クラスが開設されたきっかけを知りたいです。」

「…もともと、音楽高校でサクソフォンを教えていたDrevenšek氏が高校を卒業するサクソフォンの生徒たちがそのまま大学でも、サクソフォンを勉強できる体制を作ることを目的とし、国立音楽大学、政府にかけあいスロヴェニアの国立音楽大学にサクソフォンクラスが(クラリネットクラスの一部として)1993年にできたそうです。1年目は4人の生徒が入学したそうで、もしサクソフォン科としてその後きちんとクラスが開設されなければ、彼らのディプロマには専攻楽器クラリネットと書かれていたかもしれないと話していました。」

kuri「Drevenšek氏の教育方針について教えていただけますか?」

李早恵さん「…Drevenšek氏のモットーは、生徒のやりたいことをできるだけやらせてあげること。小さな所に収まらず、どんどんと他の先生にも習い、色々なことを積極的にやっていってほしいと言っていました。(Drevenšek氏は、リヨン音楽院でセルジュ・ビションに師事していましたが)ビションクラスのDrevenšek氏の同期にはハバネラクワルテットのテナー奏者のファブリツィオや、ジャン=ドゥニ・ミシャがおり今でもとても仲が良いようです。」

kuri「スロヴェニアのサクソフォン界の、レパートリーについて教えてください。」

李早恵さん「スロヴェニアのレパートリーですが、スロヴェニアサクソフォン奏者が個人的に作曲家に委託して作曲されたものがほとんどだそうです。」

* ソロ
(以下、ミーハ・ロギーナ氏のお勧め曲)
- Janez Matičič: Repliques
- Milko Lazar: Sonata ←Duo Kalypsoが初来日した時にノナカホールで演奏しました。

(以下、Drevenšek氏のお勧め曲)
- Lojze Lebič: Invocation
- Slavko Osterc: Sonata
- Nina šenk: Impetus
- Uroš Rojko: Godba

* カルテット
- Janez Matičič: Memory Quartet
- Milko Lazar: Concerto for Sax No.1
- Milko Lazar: Concerto for Sax No.2(四重奏+オーケストラの作品)

李早恵さん「以下のリンクは、今年6月終わりから7月頭にかけてイタリアとスロヴェニアの国境、NOVA GORICAで行われるコンクールのページです。審査員は、フルモー、ゴティエ、Drevenšek、ミーハ、Lars Mlekuschの5人です。コンクールの前には、6月27日ミーハ、28日フルモー、29日ゴティエによるマスタークラスが行われます。コンクールは2つのカテゴリーで行われ、スロヴェニア人作曲家の曲もたくさん課題として含まれています。」

http://www.kulturnidom-ng.si/eng/glasbeniprogram-dnevisaksofona-11-tekmovanje.html

2011/02/14

ご紹介:TsukubaSQのFacebookページ

ブログやmixiとともに、最近はFacebookを活用しているのだが、Tsukuba Saxophone QuartetのFacebookコミュニティページを作成した。このページでは、練習や本番の写真・動画などを掲載している(最近では、一昨日演奏した「Atom Hearts Club Quartet」の演奏動画など)。

かつてのもくろみでは、ブログがその役割を果たすことを想定していたが、メディアを共有する場合のハンドリングの容易さではFacebookに勝るものはない…と思っている。コミュニティページ自体は、Facebookに登録していなくても参照可能だ。

http://www.facebook.com/pages/Tsukuba-Saxophone-Quartet/113306422069060

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もしFacebookに登録されている方がいらっしゃいましたら、右上の[いいね!]ボタンを押していただけると嬉しいです(^^)

Quatuor B @長野県箕輪町

いろいろとご紹介したい演奏会があるのだが(2月に入ってから"紹介記事⇔普通の記事"の比率がとんでもないことになっている)、ひとつひとつ進めていこう。

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この情報を知ったときには驚いた!最近話題のあのQuatuor B(クワチュール・ベー=國末貞仁氏、山浦雅也氏、有村純親氏、小山弦太郎氏)が、長野県の箕輪町で演奏会を開くというのだ。財団法人地域創造という団体がバックアップする公共ホール音楽活性化事業という催しの一環で、今週の木曜日~金曜日にかけて箕輪町の各種施設(役場、老人ホーム、保育園など)を回ったあと、最終の土曜日にホールでコンサートを開く、という流れのようだ。

そして、なぜ驚いたかというと…私は長野県箕輪町の出身なのですよ。あー、本籍は違うけれど、生まれ育ったのは確かにこの箕輪町なのだ。今回最終日の会場となる箕輪町文化センターだって、足を運んだことも、吹奏楽で演奏したこともある。中学時代までは、この町が私にとっての全てだった、と言っても過言ではない。その箕輪町で、Quatuor Bがクラシック・サックスの演奏会を開くなんて…なんだかとても不思議な感覚。

私の家族以外、このブログを見ている箕輪町周辺の方はいないと思うが、せっかくなのでご紹介したい。私も今週末は実家に帰り、このコンサートを聴いてくる予定。楽しみだな~。

【Concert & Activity Quatuor B】
出演:Quatuor B
日時:2011年2月19日(土曜)18:00開演
会場:箕輪町文化センター
料金:一般1000円、高校生以下500円
プログラム:
W.A.モーツァルト - 歌劇"魔笛"序曲
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲より
オムニバス - べーかるぼっくす
石川亮太 - 日本の四季によるミニチュアシンフォニー


…同じく長野県出身の小山弦太郎さんのブログにも、紹介記事がアップされていた。

2011/02/12

つくば市で演奏

Tsukuba Saxophone Quartetのメンバーで演奏。筑波大学吹奏楽団アンサンブルコンサート2011という、毎年開かれている筑波大学吹奏楽団のアンサンブル発表会?のようなものがあるのだが、そこで10分のステージを頂いて演奏した。曲目は、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」。さすがに難しくて、これまで何度もリハーサルを重ねてそれなりの体制で臨んだが、いやー、好事魔多し。直前までは上手くいっていた第1楽章の最終部が微妙にアンサンブルが合わなかった。できることに限りがある中で、なんとかクオリティを高めていくしかないだろう。

例によって、写真はTsukuba Saxophone QuartetのFacebookページに掲載…と言いたいところなのだが、演奏の写真を撮り忘れた!あとで誰かからもらおう。動画も撮影したので、YouTubeかFacebookにアップロードしようと考えている。

さてと、明日も午後から楽器関係の予定が詰まっている。早く寝ようっと。

サックスでDream Theater!?

ドリーム・シアターは有名な現代のプログレッシブ・ロックのバンド。個人的にはバカテク系なところが魅力だと思っているが、そのドリーム・シアターの「Instrumedley」を、サックスソロとテープでやってしまった、という動画を発見した。



いやー、びっくりした。冒頭を大笑いしながら見始めたのだが、その後の超絶技巧に唖然。フラジオ&循環呼吸使いまくりで、流れるように吹ききっている。全編を通してあまりに余裕過ぎて(音色もほとんど崩れない…)スリリングさが感じられないくらい(苦笑)。そして、良く良く探してみたらサックス+ピアノ版まであるではないか!



アレンジ&演奏のWisuwat Pruksavanich氏は、1985年タイ生まれのサクソフォン奏者。マヒドン大学でShyen Lee氏に学び、いくつかのコンクールで入賞しているようだ。そういえば、JacobTVの「Grab It!」演奏動画も観たことがあるなあ。なかなか面白い演奏活動を展開しているようで、これからも注目していきたい。エレクトロニック・アレンジの技術も持ち合わせているようで、ドリーム・シアターのアレンジ以外にも、動画もいくつかアップロードしているようだ。またこのブログでご紹介したい。

Yahoo!メールの調子が悪い

このブログ等に関して連絡を取りたいときは、kuri_saxo@yahoo.co.jpにメールをお送りいただきたいのだが、どうも最近Yahoo!メールの調子が悪い。

目下のところ最重要の問題は、時々、スパムメールでないメールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうことだ。迷惑メールは、2、3日ごとに捨てているのだが、ちゃんとしたメールが迷惑メールフォルダに入っており、気付かずに捨ててしまうことがあるようで…(汗)。迷惑メールが1日100件くらい届くこの状況では、一通一通中身を調べることも難しい。

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頂戴したメールには基本的に一週間以内に、内容に関わらず必ず返信しております。もしkuri_saxo@yahoo.co.jpから返信がないということがありましたら、別のメールアドレスからの送信を試していただけますでしょうか。もしくは、Facebookのメッセージ機能等使っていただいても構いません。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いします。

2011/02/11

清水靖晃 with サキソフォネッツ

これも、あかいけさんに録画して送ってもらったDVD。

いくらクラシック・サックス畑の人でも、清水靖晃の名前を知らない人はいないだろう。ジャズ畑の出身ながら「チェロ・スウィーツ(バッハの「無伴奏チェロ組曲」テナーサクソフォン版)」の演奏によって一世を風靡したサクソフォン奏者である。私自身はバッハの作品はもっと端正に演奏されるべきだと考えているので、やや趣向からは外れるのだが、それにしても人気の高い演奏家であることは間違いない。

そういえば、サキソフォネッツ(後ろで和音を重ねたりしている奏者たち)のメンバーが豪華だということでも話題になったなあ。確か、田中靖人、新井靖志、大城正司、二宮和弘、平野公崇…(敬称略)という感じだったような(この映像の冒頭参照のこと)。

その清水靖晃氏、今度は同じバッハの「ゴルトベルク変奏曲」に挑んだらしい。サクソフォネッツのメンバーは、サクソフォーン四重奏団"STRIKE"の江川良子、東涼太、林田祐和、鈴木広志(敬称略)という布陣。さらにコントラバスも加えて、清水靖晃氏の独自アレンジによる演奏が展開されている。

冒頭の「アリア」を聴き始めたときに「うわっ」と思ってしまった(繰り返すが、私は端正なバッハが好きなのだ)のだが、聴いているうちに気にならなくなってきて、最終的には大変楽しめた。清水靖晃氏による編曲は非常に変化に富んだもので、変奏曲をより変奏曲らしく聴かせることに一役買っている。変奏の中には、かなりテクニカルな側面が押し出されたものもあるのだが、見事に吹ききっていて恐れ入る。

STRIKEの面々も、さすがに上手いなあ。って、これは当たり前か。音をばらまくようなフレーズであっても、どこまでも音色が瑞々しい。

東京芸術大学サックス関連の演奏会情報2つ

【The Saxism Night~サクソフォーン・アンサンブルの夕べ~】
出演:冨岡和男、池上政人、大城正司、平野公崇、林田祐和、東京藝術大学サクソフォン専攻生、他
日時:2011年2月18日(金)19:00開演
会場:東京藝術大学奏楽堂
料金:2000円(全席自由)
プログラム:
P.ヒンデミット - コンチェルトシュトゥック
R.カルメル - 3つのチベットの呪文(オーボエ、クラリネット、サックス、ファゴット)
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト
L.ベリオ/V.ダヴィッド&C.ドゥラングル - Récit (Chemins VII)
J.S.バッハ/平野公崇 - 平均律クラーヴィア曲集より
問い合わせ:
050-5525-2300(東京藝術大学円相藝術センター)

芸大版サクスケルツェットかな?聞くところによると冨岡和男氏の退官記念演奏会とのこと。魅力的なプログラムが並ぶが、チラシからはどの奏者が何を演奏するのか判らなかった。今年のはじめくらいまでは行く気満々だったのだが、この金曜日の夜から実家に帰ることにしたため、残念ながら行くことができない。何人か知り合いが足を運ぶとの情報を得ているため、あとで感想を伺おうっと。



【第18回東京芸術大学サクソフォーン専攻生による演奏会】
出演:東京藝術大学サクソフォン専攻生
日時:2011年2月22日(火)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
料金:1500円(全席自由)
プログラム:
藤倉大 - Reach Out
P.I.チャイコフスキー - フィレンツェの思い出
J.S.バッハ - ブランデンブルク協奏曲
D.ミヨー - パリ組曲
問い合わせ:
geidaisax@yahoo.co.jp

毎年おなじみ、芸大サックス科の演奏会である。今までに2、3度伺ったことがあるが、たまに面白い試みがあったりして毎年楽しみにしている。各自思い思いのプログラムを取り揃えてくる当たりは毎年のことだが、今年は藤倉大氏の「Reach Out」が演奏されるのか!Apollo Saxophone Quartetによって初演された曲で、日本で演奏されるのは初めてではないかな?どうやら選曲には佐藤淳一さんが一枚噛んでいるようで、なるほど、佐藤さんらしい。こちらは行けそうなので、楽しみにしているところ。

2011/02/09

West Side Storyの管楽器セクションクレジット

昨日の記事で取り上げたバーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」について、宮崎真一氏にご教示いただいた情報をきっかけに、クレジット情報を発見することができた。当時トランペット奏者として参加していたWilmer Wise氏の書き込みによるもので、ほぼ確実に信頼できる情報と言って良いだろう。

Flutes: Julius Baker, Harvey Estrin
Oboe: Ronald Roseman
Bassoon: Donald Mac Court
Clarinets: Al Regni, Les Scott
Alto Saxophone: Seymour Red Press
Tenor Saxophone: George Marge
Baritone Saxophone: John Campo
Bass Saxophone: Wally Kane
Trumpets: Wilmer Wise, Phil Ruecktenwald, David Gale
Trombones: Douglas Edelman, Larry Benz, Horns-Paul Ingraham, Robert Carlise

この録音セッションのために召集された臨時編成のオーケストラだが、バーンスタイン自身もドキュメンタリー中で言っているように、全編にわたって大変素晴らしい仕事をしている。しかし、なぜか奏者のクレジットは公式な情報がないようだ。

サクソフォンに限って言えば、まずアルトのSeymour Red PressはTommy DorseyやBenny Goodmanとともに仕事をしたこともあるポピュラーバンドのプロ中のプロ。テナーのGeorge Margeも、同じくポピュラー畑の出身で、クレジットされている録音は数多い(御用とお急ぎでない方は"George Marge"でGoogle検索を)。John Campoは木管低音を得意とする奏者。そしてWally Kaneは、New York Saxophone Quartetの奏者としてクレジット情報を見つけた。宮崎真一氏によると、セサミストリートの仕事などにも携わっていたようだ。

2011/02/08

Making of the West Side Story

静岡のあかいけさんより、録画して送っていただいた。

クラシック音楽ファンの中では名が知れた"メイキング・オブ・ウェストサイドストーリー"である。バーンスタインがグラモフォンに吹き込んだディスク「West Side Story」の収録風景をドキュメンタリー映像化したもので、指揮のバーンスタイン、レコーディング陣営、ベテラン歌手たち、オーケストラ演奏家たちによる、リアルなリハーサル風景・収録風景を楽しむことができる。

この録音の素晴らしさは敢えて説明するまでもなく、何と言っても、バーンスタイン自身が「可能な限り最高なメンバー」というコンセプトのもとに集めたオーケストラ奏者、そしてキリ・テ・カナワやホセ・カレーラスといったベテラン歌手勢の起用…によるシナジー効果だろう。幾度もの奇跡が起きる瞬間を目にしているような気持ちになる。例えば「Tonight」などは、終わった瞬間に鳥肌がたつほど(バーンスタインが思わずFabulous!!と叫ぶ)。

「ウェストサイドストーリー」をこうやって聴くのも久々だが、1950年代(そう、1950年代に!)に書かれたということが信じられないほど強烈な魅力を放つ音楽だ。クラシック音楽の範疇にありながら、他ジャンルの音楽を取り込み「オリジナルの響き」として再構築するバーンスタインの才能には恐れ入ってしまう。

映像は、瞬間瞬間の奏者の表情を見事に捕らえている。この場所に参加するひとりひとりの気持ちが、手に取るようにわかるのだ。レコーディングに臨むプレイヤーの、うれしさや葛藤、辛さ、そういった音からだけでは判別できない部分までを実感できるのが興味深い。

オーケストラにはサクソフォンが含まれており、例えばJetsongの冒頭などアルトサクソフォンが大活躍する(こんな音)。ややジャズ風の音色ながら、跳躍を含む非常に難しいフレーズを大変見事に吹きこなしている。映像にはバリトンサクソフォンとバスサクソフォンが映るが、他のサクソフォン奏者の顔は判らずじまい。誰なんだろう…もしご存じの方がいたら教えてください。

2011/02/07

【演奏会情報】リエゾン・サクソフォンアンサンブル第3回演奏会

しばらくは、ブログ記事はいろいろと演奏会の案内が続く予定。こういうのって本当は記事にすべきではなくて、ブログの横にカレンダーを表示させて云々…とするのがセオリーなのだろうが、そこまでブログレイアウトを整備している暇はない。

リエゾン・サクソフォンアンサンブル(気がついたらこんな素敵な公式ページができていた)の第3回定期演奏会。メンバーの門馬美智子さん(洗足学園を卒業された後カンブレ音楽院で学んだ)よりご案内いただいた。第1回の演奏会は私も聴いたが、いかにも第1回らしいなあと、様々な思いを巡らせながら聴いたのを覚えている。第2回は聴けなかったが、今回の第3回、再び聴きに行くことができそうだ。

【リエゾン・サクソフォンアンサンブル第3回定期演奏会】
出演:リエゾン・サクソフォンアンサンブル
日時:2011年3月15日(火)19:00開演
会場:東京文化会館・小ホール
料金:一般3000円、学生2500円(当日各500円増し)
プログラム:
A.ヴィヴァルディ - 協奏曲集「調和の霊感」作品3-11
W.A.モーツァルト - 交響曲第17番
W.A.モーツァルト - トランペット協奏曲ニ長調(独奏:北村源三)
R.シュトラウス - メタモルフォーゼス

なんという意欲的なプログラムか。「ピリオド楽器を用いた演奏会」という枕詞がついてもおかしくないほどだ(我ながらなんと安易な発想…)。こういうプログラムを目の前にしたときに、ここが聴きどころ!と明確に言うことができない=いかに普段からひん曲がったクラシック音楽の趣味に走っているか、ということを良く良く表していますな。…いや、サクソフォン自身だってそうなのかもしれない。当日は、「このプログラムをサクソフォンでやることに意味があるのだ」というメッセージを期待したい。

それにしても、北村源三氏のモーツァルトは楽しみだなあ!!恥ずかしながら聴いたことないのですよ。

2011/02/06

この週末のこと

金曜日:
サクソフォン交流会の事務作業をゴチャゴチャと。

土曜日:
午後から、ラージアンサンブル練習@つくば市。ちょっとゆっくり出て、開始の1時間ほど前に到着し、個人練をしてから臨んだ。ホルストの「第1組曲」…いろいろな点で難しさを感じる。参加人数は、総計で20名ほどに及ぶらしい。ラージ練習後は、簡単に個人練をして、その後灯禾軒へ。8人であれだけ飲み食いして20000円ちょっとは破格。続いて"ごう家"でラーメン、BANBANでカラオケ…やはり今のご時世、AKB48くらい歌えなければダメなのか!?(勉強しておこう)当たり前のように終電を逃し、最後はなんと東京の自宅までDさんに送っていただいた(到着は夜中の1:00過ぎ)。

日曜日:
朝起きてメールチェックすると、次回TsukubaSQ演奏会で取り上げる予定曲の楽譜が到着していた。感激!その後ドタバタとブログ書きやらサクソフォン交流会やらメール返信やらの作業を進め、11時30分頃にプラザウエストに向けて出発(TsukubaSQの練習)。一時間半ほどかけて到着し、その後バリトン無しで4時間みっちりと合わせる。進歩はあるが、いくつかの点でまだまだ理想とは遠い。帰りの電車の中で、某区某公民館のファミリーコンサートに受かったとの連絡が。だが幾つかの候補日中、ドンピシャでメンバーの都合が悪い日。候補日をずらせなければ、辞退せざるを得ないかもしれない。帰ってからは、いくつか溜めていた仕事(サクソフォン交流会事務作業や、大西さん曲目解説書きなど)をこなす。

なんだか、最近休みが休みではないぞ(笑)まあ、充実しているってことでプラスに考えるとしよう。睡眠時間だけはガッチリ確保しているので、その点は幸いである。

【情報】大西智氏さんの演奏会(3/1)

大西智氏さんは、国立音楽大学で学んだのちフランスに渡り、クリスチャン・ヴィルトゥ氏とジュリアン・プティ氏に師事したサクソフォン奏者。昨年中頃に帰国し、その後各方面でご活躍中である。ブログが取り持つ縁で数年前から知り合いとなり、いろいろと情報を交換していた。フランスへ数年間留学していたということになるが、特にフランスのサクソフォン界の実情など私個人的に非常に興味ある事柄をいろいろと教えてもらっていた(もちろん、ブログには書けない話も…笑)。その大西氏が、フランスで吸収してきたものを一気に見せる!との気概で臨むリサイタルが開かれる。

ちなみに「大西智氏さん」という名前だが、大西智さんではなく大西智氏さん、なので、そこのところ誤解なきよう…。

【大西智氏サクソフォンリサイタル Vol.1】
出演:大西智氏(sax)、中村ゆか里(vn)、成田良子(pf)
日時:2011年3月1日(火曜)19:00開演
会場:大泉学園ゆめりあホール
料金:一般2500円、高校生以下2000円(当日各500円増)
プログラム:
E.デニゾフ - "ソナタ"より第2楽章、第3楽章
S.ローロフ - リット・リズム
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIII
I.ゴトコフスキー - 叙情的三重奏曲
J.C.アンリ - リード、弓、ハンマー

大西さんといろいろ話していて感じるのは、彼なりの"コダワリ"をもって音楽活動を進めているということだ。日本のサクソフォンとフランスのサクソフォンを経験し、その中から最適な部分を引き出そうとする姿勢には頭があがらない。

なかなかハードなプログラムだが、ほぼ日本初演ではないかという2曲…ゴトコフスキーの「叙情的三重奏曲」、そして、パリ国立高等音楽院の卒業試験曲だった「リード、弓、ハンマー(原題:Anche, archet, marteau)」が気になっている。ちなみにゴトコフスキー作品だが、大西さんはこの曲でSAXIANA国際コンクールの室内楽部門に入賞しているそうだ。デニゾフが第2楽章から始まっており目を引くが、これについても大西さんなりの"コダワリ"があるとのことで、実際に聴いてみないとわからないだろう。

私はプログラム冊子の曲目解説を執筆する他、実は私は当日の司会というか曲目解説も頼まれていて、具体的なスタイルは決まっていないのだが、何らかの形で「出演」することにはなりそうだ(楽器は吹きませんよ)。そんなkuriがアワアワする様子を楽しみに来てくれても良いと思う(笑)。

そういえば、ピアノの成田良子氏については、あまり聞いたことのない名前だったのだが、実は沼田良子さんのことだ、とのこと。最近ご結婚されて姓を変えたそうだ(大西さん情報)。

2011/02/04

サクソフォン交流会の業務進行中…

先月末が第2回交流会申込書の締切りで、申込書をもとに団体責任者の連絡先をまとめたり、参加メンバーの一覧をまとめるなどしていた。こうやって業務を積み重ねていくと、なんとなく実感が湧いてくる。

今年は4月から怒涛のイベントが続く。しかも、どの行事もそれなりに中心部で運営に携わるものだ。大変そうだが楽しみだなあ。

4月30日:第2回サクソフォン交流会
5月22日:Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concert Vol.4
6月12日:Saxophony Project KANTO第2回演奏会

また近づいたら告知します!

2011/02/03

黛敏郎「饗宴」

黛敏郎ほど、サクソフォンを愛した邦人作曲家も、他にはいるまい。「スフェノグラム」「トーンプレロマス55」「シロフォンのためのコンチェルティーノ」など、サクソフォンを含む作品は数多い。また、自身が司会を務めた「題名のない音楽会」において4回もサクソフォンの特集を組んでくれているほどなのだ。それぞれの詳しい内容は判らないが、次のようなリストを発見した。いずれかの放送では、阪口新氏が登場することもあったようだ(サクソフォニスト No.22に写真が掲載されている。)。

1966.10.23 サキソフォンの饗宴
1975.04.13 サキソフォンの饗宴(野田燎、渡辺貞夫ほか)
1977.12.04 あるサキソフォンの遍歴(野田燎)
1980.12.21 サキソフォンの全員集合!

最近、福村芳一指揮香港フィルハーモニー管弦楽団の、黛敏郎作品集(Marco Polo 8.220297)を聴く機会があった。ここに収録されている「饗宴(バッカナール)」には、なんとSAATBの5本ものサクソフォンが使われている。曲の最初から最後まで活躍しまくり、ソロやユニゾン部分も数多い。オーケストラにサクソフォンが複数本入って、セクションとして使われたときの色彩感やリズムの推進感は、伝統的なオーケストラの編成では決して実現できないものだ。

演奏はやや荒削りな感じがする(まるでライヴ盤みたいな演奏)ものの、黛氏ならではの爆発的な曲のパワーを表現するにはこのくらいでも良いのかもしれない。熱演である。サクソフォンセクションは、もうちょっと音色に気を使って欲しかったかなあ。場面場面において最適な音色というものは存在するはず。…この嵐のような音絵巻に身を委ねたい方は、ぜひ探してみていただきたい。

2011/02/01

木下直人さんから(フランス名演奏家オムニバス盤)

次の人名リストを見て「うわーー!!と思う」か「ピンと来ない」か、どちらだろうか。

ジャン=ピエール・ランパル(fl)
モーリス・アラール(bsn)
ジルベール・クルシェ(cor)
ロジェ・デルモット(tp)
ジャック・ランスロ(cl)
ダニエル・デファイエ(sax)
ピエール・ピエルロ(ob)

木下直人さんより、フランスPathéより出版された「Les Contemporains écrivent pour les Instruments à vent(Pathé ATX 112)」というLPの復刻盤をCD-Rで頂戴した。私はこのLPの存在を知らなかったのだが、上に挙げた奏者のオムニバスアルバムで、各奏者が1分から3分程度のソロ楽器+ピアノの小品を数曲ずつ吹き込んでいる、というもの。ピアノも豪華で、フランソワーズ・ゴベ、アニー・ダルコという布陣だ。このディスクは、1956年のディスク大賞を受賞しているとのこと。

おそらく、すべての作品が一発録りなのだろう。非常にリアルというか、演奏者の覇気がダイレクトに伝わってくる録音だ。復刻(木下直人さんの手にかかれば!)は言わずもがな、録音の状態もかなり良く、1956年の録音であるということが信じられないほどの音質が飛び出す。フルートやトランペットは、マイクとの位置関係のせいだろうか、まるで眼前で演奏されているかのようなリアリティを感じた。

プログラムリストは、この画像をクリックしてご参照いただきたい。マシス、オネゲル、イベール、ジョリヴェ、オーリック、フランセ、トマジなど、大物作曲家が作品を提供している。サクソフォンはと言えば…なんだか聞いたことのない作曲家ばかりだな(^^;

デファイエは当然として、その他に私が感銘を受けたのはモーリス・アラールのバソンの演奏だった。冒頭の音を何気なく聴き始めたとき、未だかつてこんなバソンの音に出会ったことがないという大きな衝撃を受けた。もちろん、ここに挙げた演奏以外も超一流である。