2011/12/02

ブルーオーロラSQリサイタル@浜離宮朝日ホール

仕事を切り上げて、浜離宮朝日ホールへ。かなり走って大変だったが職場から45分で到着することができた。

【ブルーオーロラサクソフォンカルテット CDリリース記念コンサート東京公演】
出演:ブルーオーロラサクソフォンカルテット(平野公崇、田中拓也、西本淳、大石将紀)
日時:2011年12月1日(木)19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
プログラム:
J.S.バッハ/平野公崇 - コラール・プレリュードBMW659「来たれ、異教徒の救い主よ」
W.A.モーツァルト/平野公崇 - オーボエ四重奏曲へ長調K.370より第1楽章
P.I.チャイコフスキー/平野公崇「四季」作品37bisより10月
M.ラヴェル/久保田麻里 - 「クープランの墓」よりプレリュード
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲変ロ長調作品109
武満徹 - 一柳慧のためのブルー・オーロラ
B.バルトーク/平野公崇 - 「ミクロコスモス」第6巻「ブルガリアのリズムによる6つの舞曲」から
平野公崇 - ララバイ(新作初演)
~アンコール~
J.S.バッハ/平野公崇 - 「心と口と行いと生活で」BWV147よりイエスこそわが喜び(主よ人の望みの喜びよ)
J.S.バッハ/平野公崇 - 「平均律クラヴィーア曲集第1巻第2曲」よりプレリュード

やはり、という感じの充実した催しだった。ブルーオーロラSQは、というか平野さんは、いったん音楽を自分のなかに取り込み、常に「平野公崇の音楽」として聴衆に提示するスタイルであると思う。平野さんの演奏を聴いたのは久々であったが、無伴奏にしろピアノデュオにしろサクソフォン四重奏にしろ、その方向性は変わらないのだなと思った。

冒頭のバッハは、彩/綾の絡みが印象的であったが、想像よりも落ち着いた解釈。モーツァルトは、これはまたよい意味で裏切られた。弦楽四重奏を意識したSSABという編成に、繊細な(実に良くコントロールされた)音色、そして丁々発止のテンション。mpでのスーパーライヴ、という感じであった。チャイコフスキーも、モーツァルトと同様のスタイルであったが、古典的なモーツァルト作品と比べてさらにサクソフォンならではの特徴を生かした感覚で演奏されていた。

ラヴェルの「クープランの墓」を四重奏で演奏する、というアイデアはかの昔からスタンダードであるが、さすがこのグループならではの演奏に仕上がっていた。アレンジャーが、なんとあの久保田麻里氏ではないですか!とか。この人の四重奏のアレンジは、私がこれまで吹いたアレンジの中でも最高クラスのものであると思う。いまいち経歴がわからないのだが、どういう方なのだろうか。グラズノフは、ぜひライヴで聴いてみたかった演奏だ。ある意味想定通りのテンションだが、やはり目の当たりにしてしまうと引きこまれてしまう。第1楽章終わりで思わず拍手が起こってしまうのも、納得だろう。第3楽章など、ハバネラ四重奏団のライヴ盤を思い出した。CDで聴いても、決してわからない部分だ…。

休憩時間。ちょっといつものサックスの演奏会とは少しだけ客層が違うような気もする。坂田明氏を見つけて、一人悦に入ってしまった(笑)。

さらにパワーアップしての後半は、一柳慧作曲の…じゃなかった、武満徹が作曲した「一柳慧」の名前を冠した作品から。いやほんと、一柳慧の作品だと言われても信じてしまうかもしれない。「室内楽の歩み」というCDシリーズに平野氏が参加して一柳作品を演奏していたのを思い出した。

バルトークでは、複雑な変拍子をまるでポップスのようなテンションで駆け抜けてみせ、新作「ララバイ」は即興のオンパレード。アンコールだって「主よ人の望みの喜びよ」のExtended Version(?)に、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第2曲「プレリュード」の四重奏版と、最後に向けて、まさに「平野公崇サクソフォンリサイタル」とでも表したくなるような感じだったな。しかし、それを支えきる他の3人もすごかった。大石将紀氏は、その卓越した技術・音楽性に加えて、保坂一平氏らとともにimprovisationとactを組み合わせたようなステージをいくつもこなしているし、内声2人だって一筋縄ではいかないほどのものだ。たぶん、他のメンバーではこういった演奏にはならないのだと思う。

日頃からどっぷりとサクソフォンに浸かっていると、どんな演奏を聴いたとしても99%の興奮する部分と1%の醒めて観測する部分が同居するのだが、これが例えばサクソフォンについて「アンコン」くらいしか知らないような人が聴いたら、もの凄いショックを受けるのではないか。そういった意味でも、ぜひ今後ともさらに活動の幅を広げて欲しいものだ、とも思った。

CDも買ったので、そのうちレビューします。

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終演後は、チケットを世話になった大学時代の友人(というか盟友)たちとともに、東銀座駅近くの山形田にて一杯。東京で蕎麦といったらこの店なのだが…今日も変わらず美味しかった。熱燗とともに味わう板そばが絶品である。

2 件のコメント:

mcken さんのコメント...

お忙しそうですね。
編曲の久保田さんですが、この方だと思います。Facebook恐るべし。
http://www.facebook.com/profile.php?id=100003099288749

kuri さんのコメント...

広島の方なのですね!平野さんとは、エリザベト音楽院つながりでしょうか。

カルフールSQという団体は、ちょうどCDを聴いてみたいと思っています。なかなか取り上げるプログラムが面白いですよね。

Facebook、広まりましたねえ。ブログ→mixi→Twitter→Facebookときて、次はなにかなあと注視しているところです。