2011/04/04

Brahms, Franck, Schumann

ということで、ボーンカンプ氏のページで(mp3形式にて)無料配布されているCDのご紹介。…の前に、まず簡単にボーンカンプ氏についてご紹介しなければなるまい。何せ、いまの若い世代の方々はボーンカンプ氏やアウレリアSQの名前を知らない人もいるくらいなので。

オランダを代表するサクソフォン奏者の一人。スヴェーリンク音楽院で名教師エド・ボガードに師事し、卒業後は幅広く活動している。古典作品から現代作品まで幅広い作品を演奏することで知られ、また、レコーディングも数多く、ソロ・四重奏合わせて20枚以上となる。あのJacobTVと最も親交の深いサクソフォン奏者。アムステルダム音楽院のサクソフォン科教授、アウレリアサクソフォン四重奏団メンバー。1990年代は度々来日し、その素晴らしい演奏を日本の聴衆に届けていたようだが、最近はめっきりその機会が減ってしまい、それに伴って国内での若い世代への認知度が落ちてしまったようだ。

この「Brahms, Franck, Schumann(Vanguard Classics 99144)」は、私はすでにCDとして所有していたが、これを機として久々に聴いてみた。

J.ブラームス「クラリネット・ソナタ第2番」
R.シューマン「アダージォとアレグロ」
C.フランク「ヴァイオリン・ソナタ」
R.シューマン「3つのロマンス」

録音は1998年。密度の高い輝かしい音色(使用楽器はクランポンのS-1か?)は、現代フランス風の軽やかな音色とは一線を画するものだ。同じクランポンだが、デファイエのそれとも違う、オランダで醸成されたオリジナルな音だ。安定したヴィブラートが伴う、自己主張の強い下地を感じる。それをベースに、きちんとした解釈で作り上げられるブラームスやシューマンの音楽…。見事だ。そういえば、ブラームスの「クラリネット・ソナタ」やシューマンの「アダージォとアレグロ」をサクソフォンの演奏で聴いたのはこれは初めてだったかな。いまでこそ演奏される機会も多いが、改めて聴いてみると完成度の高さに驚く。

フランクの「ソナタ」は、やっぱり一番好きなのはTodd Oxfordのバリトン・サクソフォンによる(あの暑苦しい)演奏なのだが、この演奏だって素晴らしい。ヴァイオリンを弓で弾く瞬間に現れる、管楽器ではどうしても表現できない"音を産み出す苦しみ"のようなものがあると思っているのだが、ところどころそんな表現も聴こえてきたりして、これだったらフランクも納得してくれるのではないかな、と思っている。

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