2011/04/30

交流会終演~打ち上げ(途中経過)

(携帯から更新)

アンサンブルステージは、昨年の手探り状態から一転、各団体文字通り"容赦ない"感じで、大変聴き応えがあった!

レクチャーステージは、時間がおしてしまって短くなったのが残念!手前味噌ながら面白い試み。

合奏ステージで演奏された「カンタベリー・コラール」は、演奏の様子をカメラにおさめるために客席にいたのだが、感動的で、涙してしまった。

そして、打ち上げも、大盛り上がり中!

2011/04/29

ダメ押しで宣伝!

ダメ押しで、最後の最後にもう一回宣伝!

【第2回サクソフォン交流会】
日時:2011年4月30日(土曜) 12:00開場 12:30開演
会場:小松川さくらホール・多目的ホール(都営新宿線「東大島駅」徒歩10分)
料金:入場無料
プログラム:
各参加団体によるアンサンブルステージ
ラージアンサンブルレクチャーステージ
 →W.A.モーツァルト - "フィガロの結婚"序曲
 →O.レスピーギ - "リュートのための古風な舞曲とアリア"より
全体合奏
 →J.ヴァン=デル=ロースト - カンタベリー・コラール
参加団体(50音順):
Unknown Saxophone Quartet(東京)
カキツバタサクソフォンアンサンブル(愛知)
Saxofono Rosso(東京)
サクソフォンアンサンブル・なめら~か(神奈川)
THAT'S SAXOPHONE PHILHARMONY(東京)
しらこばと音楽団(埼玉)
Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
Duo Green Green(千葉)
Lion Saxophone Quartet(東京)
ラファンドゥモンド(東京)
問い合わせ:
http://enjoysax.michikusa.jp/

交流会直前練習

赤羽でTsukuba Saxophone Quartetの練習だった。明日のサクソフォン交流会に向けた調整がメイン。

ちなみにTsukuba Saxophone Quartet、明日のサクソフォン交流会では、ELP「タルカス」と、吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット(抜粋)」を吹く予定。「タルカス」のこの編曲は、明日が日本初演である。

2011/04/28

ヘムケ氏新譜の試聴ページ

サクソフォーン協会機関誌の編集会議(懇親会)でした。楽しかった。

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下記リンクより、フレデリック・ヘムケ氏の新譜「Fascinating Rhythm(ガーシュウィン作品集)」を試聴可能。輝かしく明るい音色、抜群に良い音程、色気のあるヴィブラート…ため息が出るほど素晴らしい。これはCDを買わなければ!

http://www.cdbaby.com/cd/frederickhemke/from/viglink

ちなみに、個人的には「キューバ序曲」が入っているのがツボ。ガーシュウィン作品のなかで、一番好きな作品だ。

2011/04/26

【直前ご案内】第2回サクソフォン交流会

いよいよ期日が迫ってきましたので、再掲します!前日にも再掲予定です!

【第2回サクソフォン交流会】
日時:2011年4月30日(土曜) 12:00開場 12:30開演
会場:小松川さくらホール・多目的ホール(都営新宿線「東大島駅」徒歩10分)
料金:入場無料
プログラム:
各参加団体によるアンサンブルステージ
ラージアンサンブルレクチャーステージ
 →W.A.モーツァルト - "フィガロの結婚"序曲
 →O.レスピーギ - "リュートのための古風な舞曲とアリア"より
全体合奏
 →J.ヴァン=デル=ロースト - カンタベリー・コラール
参加団体(50音順):
Unknown Saxophone Quartet(東京)
カキツバタサクソフォンアンサンブル(愛知)
Saxofono Rosso(東京)
サクソフォンアンサンブル・なめら~か(神奈川)
THAT'S SAXOPHONE PHILHARMONY(東京)
しらこばと音楽団(埼玉)
Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
Duo Green Green(千葉)
Lion Saxophone Quartet(東京)
ラファンドゥモンド(東京)
問い合わせ:
http://enjoysax.michikusa.jp/

全体合奏ステージ(カンタベリーコラール)は飛び入り歓迎です!ぜひ楽器と譜面台を持ってお越しください。

以下は、mckenさんのところからのコピペです:
なお、今般の震災の復興に少しでも協力するため、宮城県吹奏楽連盟の楽器バンク http://www.ajba.or.jp/miyagi/osirase/gakkibank.pdf
に賛同し、当日不要の楽器や用品(リード、マウスピース、マレット、譜面台など)などを集めて送ります。お手持ちで余っている未使用またはそれに準じる用品類がありましたら、ご持参いただけると幸いです。

チラシ画像:

2011/04/25

第2回サクソフォン交流会でのチラシ挟みこみについて

サクソフォン交流会のページに、第2回サクソフォン交流会(4/30)におけるチラシ挟みこみについての連絡を掲載した。下記リンクより辿っていただきたい。

http://enjoysax.michikusa.jp/

2011/04/24

展覧会の絵 on YouTube

本日のN響アワーでは、ムソルグスキー/ラヴェル編の「展覧会の絵」が放映されたようだが、「古城」のサクソフォンは有村純親さんだったようだ。mixi等で絶賛されており、観たかったなあと思った。

代わりに、と言ってはなんだが、YouTubeで「展覧会の絵」の動画を探してみた。見つかったのが、セルジュ・チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団の演奏。チェリビダッケというと、ミュンヘン・フィルというイメージがあるが?登場するサクソフォン奏者、かなりご年配の方だが名前が全くわからない(ご存じの方はぜひ教えてください。)。ちょっと古めかしい音色と音程感覚だが、オーケストラを突き抜けてくる音色はなかなか素敵。

サクソフォン四重奏版「タルカス」について

Bowling Green State Universityのジョン・サンペン John Sampen門下生の4人で結成された"Sax 4th Avenue"という団体によって初演された。以前ブログで記事にしたように、同団体の「Delusions de Grandeur(私家版)」というCDでこのアレンジを知った。アレンジは、Adrian Music CollegeのPete Ford氏。どうやらSax 4th Avenueのアルトサクソフォン奏者、Shanonn Fordさんの旦那さんのようだ。

「タルカス」という曲については、このアレンジを通して初めて知った。そのあと原曲のセッション録音版やライヴ版を聴いてELPを好きになったのだが、そうなった今でもこのアレンジが実に秀逸だということがわかる。取り上げられているのは、下記の6曲(もちろん最後にはEruptionに戻る)。Massが無いのが少し残念だが、もともと長めな曲であるし、コンパクトにまとまっているのはそれはそれで良いのかなとも思う。

Eruption
Stone of Years
Iconoclast
Manticore
The Battlefield
Aquatarkus

楽譜は、Pete Ford氏から直接ご提供いただいた。たいへんありがたい事である。実際に音を出してみると、さすがに4本では和声が足りなかったり、ミニマルっぽくて呼吸が辛かったり、通常の和声進行や調性を無視しまくっていたりしてなかなか身体に入っていかなかったりするのだが、それでも何とか(?)形になりつつある…のかな。変拍子のキレキレなサウンドを、室内楽という小回りのきく形態で取り上げるのは、非常に面白い。

2011/4/30の第2回サクソフォン交流会でTsukuba Saxophone Quartetのメンバーで日本初演を行い(時間の都合上、Aquatarkusのソロはカットする)、さらに2011/5/22の演奏会でも取り上げる予定。

2011/04/23

AureliaSQ plays Desenclos

デザンクロの「四重奏曲」を、一年に何度か、ふとした瞬間に聴きたくなることがある。普通はここで、木下直人さんがLPからトランスファーしてくださったデファイエ四重奏団の復刻盤を聴くのだが、今日はアウレリア四重奏団の演奏を取り出してみた。アウレリア四重奏団は、アルノ・ボーンカンプ氏を始めとする名手が参加した、オランダの代表的な四重奏団である。

あまり「曲」を聴く感覚では聴けない。楽譜にもないような表現を臆すること無く盛りこんできて、そのアグレッシヴさ頭が引き寄せられる。スラーやアーティキュレーションの付け方も、あれ?こんなんだったっけ?と思いながら聴き進めるのだが、不思議といやらしい感じはない。むしろその積極的な表現に賞賛を送ってしまいそうになるくらいなのだ(ちなみにこのCDに収録された曲はどれも、程度は大小あるものの全部こんな感じ)。技術的に洗練されているというわけでもなく、なんだかヴィブラートがぶら下がり気味だったり、音が割れていたりなのだが(これでゴーサインを出すプロデューサーというのも面白いな)、それも魅力のひとつのように聴こえてくる。

聴いているうちに、ようやくデザンクロの「四重奏曲」そのものを聴けるようになってくる。第1楽章の主題の旋律線、和声、シンコペーション、そして夢のように美しい再現部…このありあまる天才性はどうだろう(かずある四重奏曲のなかで、最高傑作と躊躇なく断言したい)。第2楽章の、穏やかに始まって徐々に高揚していくその構成感。第3楽章は他の2つの楽章にくらべやや短絡的な感じもするが、多面的な技法が織り込まれ、楽しいことに間違いはない。

私自身の高校~大学前半にかけてのサクソフォン演奏は、この曲とともにあった。第3楽章を2回、第1楽章を1回、吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストに向けて取り組んだ経験があり、聴くたびにワンフレーズ、ワンフレーズ、練習した内容とか、レッスンで指摘された内容を思い出す。

ちなみにこのCD、私が持っているのはすでに廃盤となっているEtcetera盤なのだが、さいきん再発し、お得な2枚組セットで売られているようだ。お持ちでない方はぜひ。

2011/04/21

宮城県楽器BANK

恥ずかしいことに最近まで知らなかったのだが、「宮城県楽器BANK」という取り組みがあるそうだ。今回の震災で影響を受けた宮城県吹奏楽連盟加盟団体への、楽器・小物等の寄贈窓口としての役割を担っているとのこと。リンクを貼り付けておこうと思う。

内容を説明したPDFファイル:
http://www.ajba.or.jp/miyagi/osirase/gakkibank.pdf

サクソフォンの展覧会

まさに、サクソフォン博物館かサクソフォン展覧会といった趣の動画!演奏される曲目はジャズだが、これはサックス吹きだったら誰が観ても楽しいだろう。

http://www.youtube.com/watch?v=v0tFp2_H3R8

観ながら、出てくる機種をざっと書き下してみた。名前すら聞いたことのないようなものもあって、面白いなー。最後がYAMAHAの62で終わるというのも、意外といえば意外。

Adolphe Sax made Tenor Saxophone, France, 1864
Saxorusofono Bottali, Italia, 1915(ダブルリード?)
Sopranino Saxophone, Selmer Super Baranced Action, France, 1950
Curved Sopranino Saxophone, Italia, 1995
Strait Baritone Saxophone, Australia, 1990
Conn O Sax, USA, 1928
Semicurved Soprano Saxophone, USA, 1926
Grafton Plastic Alto Saxophone, 1953(プラスチックのサクソフォン)
Buescher Strait Alto Saxophone, USA, 1928
Conn Chu Berry Artist Baritone Saxophone, USA, 1924
Conn Chu Berry Artist Tenor Saxophone, USA, 1925
Eppelsheim Soprillo Saxophone, German, 2009(あ、ソプリロ!)
Orsi Contrabass Saxophone, Italia, 1990
Tarogato Basso Gregus Pali, 1870
Conn C-Melody Saxophone, USA, 1927
Swanee Slide Saxophone, 1927
Couesnon, Sax a fori aperti Saxie della, France, 1924
Sax tromba jazzphone, 1927
Buescher Tipped Bell Soprano Saxophone, USA, 1928
The Couenophone sax armonica goofus, France, 1927(ハーモニカ?)
Sax a membrana Mellosax, France, 1927
Muheli tarogato Soprano, 2009(木製ソプラノ?)
Selmer Cigar Cutter Bass Saxophone, France, 1931
L.A.Sax Strait Tenor Saxophone, USA, 2001
Yamaha 62 Soprano Saxophone, 1988

何度か見返して聴いてみるとなかなか面白いぞ。例えば、チャーリー・パーカーが使っていたことで有名なGraftonのプラスチック製サクソフォンを使って、同じくチャーリー・パーカーの「Confirmation」を吹いている、とか…。

2011/04/20

Donald Sinta plays Leslie Bassett

ドナルド・シンタ Donald Sinta氏が、レスリー・バセットの「Music for Saxophone」を吹いている録音を、YouTubeで発見した。動画ではなく録音のみだが、そもそもバセット自体ほとんど録音がないものなので、貴重だと思う。かなりきちんとした音で提供されているが、もしかして商用録音としてリリースされているのだろうか?それとも初出?

(追記)
コメント欄に情報をいただきました。

2011/04/18

5/22のTsukubaSQ演奏会曲目について

今度のTsukuba Saxophone Quartetの演奏会(5/22)曲目について、以前書いた短文を公開。

まあ、曲目を選ぶだけは誰でもできて、あとは実際演奏なんですが…(がんばらないと!)

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John Whelan / Benoit Menut - Trip to Skye
? - The Shop of Electric Salesman
Traditional / Benoit Menut - An Awen
かねてより感じていた、クレツマー音楽とサクソフォンとの相性の良さを、四重奏というフォーマットで提示しようという試み。いざ作品を探し始めると、何よりもまず良質なアレンジを探すことに苦労した。Quatuor Carre MeleのCDに収録されたこの3曲を聴き、これしかない!と考え、編曲者のブノワ・メニュ氏より楽譜を提供いただいた。「Trip to Skye」はTsukuba Saxophone Quartetが2010年に日本初演を手がけた。「The Shop of Electric Salesman」「An Awen」は、今回が日本初演である。

Keith Emerson / Pete Ford - Tarkus
1970年代のプログレを代表する名曲「タルカス」を、4本のサクソフォンで表現する。同種楽器の編成へと変換されたことで、原曲に感じられる色彩感が削ぎ落とされ、スタイリッシュな外観を獲得した。ピート・フォードによる本アレンジは、4/30の第2回サクソフォン交流会でTsukuba Saxophone Quartetが日本初演を行う。

Koji Ueno - Retletti di N.R.
テーマは「サックスで映画音楽」。蔓延する直球勝負のアレンジ作品の演奏を避け、普通のサックス界から少し離れた場所から、四重奏のために書かれた大傑作を。四楽章に及ぶ、上野耕路が手がけたニーノ・ロータ作品の壮大なコラージュ。さまざまな仕掛けをふんだんにちりばめたスコアは、演奏者としての楽しみも大きい。作曲者本人より楽譜をご提供いただき、アルモSQ以来の蘇演となる。

Johann Sebastian Bach / Yasuhide Ito - Chaconne
最後はバッハで締めくくる。バッハ作品の中でも最高傑作のひとつとして名高い「シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より)」を、伊藤康英のアレンジで。だがこれは単純なアレンジではなく、作曲と同レベルの創造作業を経て産み出されたものである。躊躇なく「サクソフォン四重奏のために書かれた…」と言ってしまいたいくらいだ。

2011/04/17

Ensemble Squillanteのファーストアルバム

Ensemble Squillanteは、パリ国立高等音楽院出身のサクソフォン奏者で結成されたアンサンブル。第五回アドルフサックス国際コンクール優勝のSimon Diriqが参加するなど、その実力のほどは折り紙つきだ。そのこれまでも何度かこのブログ上で動画等を紹介するなどしてきたが、まとまった演奏を聴く機会はなかった。だがこのたびファーストアルバムをリリースし、お茶の間でこの演奏を堪能できるようになった。

Squillante(SC848-C874734)
J.S.Bach - Toccata et Fugue
E.Grieg - Holberg Suite
A.Corelli - Concerto Grosso Op.6-8
M.Ravel - Le Tombeau de Couperin

みずみずしく美しい、寒色系のスマートな音色は、現代フランスの流れに乗ったもの。バッハ「トッカータとフーガ」から、まるで晴れ渡った青空に向けて水しぶきが散っていくような爽快さを感じる。あまり技巧的な困難さを感じさせないというのも凄くて、このような演奏が可能な技術レベルの高さは、想像すらつかない。

「ホルベルク組曲」も果してこれまで何度サクソフォンの演奏で聴いたことだろう。スキランテの演奏は、間違いなくそのなかでもトップクラス。コレルリは、YouTubeにも彼らの演奏がアップロードされているが、なんだか妙にカッコ良い演奏で、一気に聴き通してしまった。バッハ、グリーグ、コレルリのような音楽的にベーシックな曲を臆すること無くファーストアルバムで取り上げてしまうのは、自信の表れだろう。

そして注目すべきはやはりラヴェル「クープランの墓」か。ラージアンサンブルの演奏というとミ=ベモルが思い浮かぶのだが、残念ながら私は聴いたことがなく…。というわけで比較はできないのが残念だが、まあとにかくトンデモ級の演奏で恐れ入る。「プレリュード」での、一本の旋律線が各楽器の間をスルスルと通り抜けていくさまなど、誰もが一聴の価値アリだ。オクターブ間の連結、フラジオ、何ですかそれ?と余裕を見せ、さらに9本のサクソフォンを駆使した音色の変化は、まるでフルオーケストラを聴いているかのような充実度。いやあ、参りました…。今回のアルバムは古典的な曲が多いが、ぜひ現代作品を集めたアルバムも聴いてみたいところだ。もしそんなCDが出た折には、なんだか選曲ともども凄いアルバムになりそう。

本CDは、Ensemble Squillanteのブログ上から、PayPal(クレジットカード可)決済で入手可能。

ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー第8回定期演奏会

昨年はサクソフォン交流会の時にご案内いただいたのだが伺えず、今回が初めてだった。東京の著名なサクソフォンアンサンブルのひとつである、ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー(以下、ザッツさん)の定期演奏会である。

【ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー第8回定期演奏会】
出演:近藤久敦(cond)、ザッツ・サクソフォン・フィルハーモニー
日時:2011年4月16日 18:00開演
会場:国立オリンピック記念青少年総合センターカルチャー棟大ホール
プログラム:
G.ロッシーニ - "セビリアの理髪師"序曲
N.リムスキー=コルサコフ - スペイン奇想曲
E.シャブリエ - 狂詩曲"スペイン"
M.デ=ファリャ - バレエ音楽"三角帽子"より
アンコール
I.アルベニス - セヴィリャ
もう一曲は曲名分からず

直前まで練習があり、少し遅れてロッシーニの最中に到着。第2回サクソフォン交流会でのザッツさんの演奏曲目も、ロッシーニだったような(書いていいのかな^^;)。ということで、リムスキー=コルサコフの名曲「スペイン奇想曲」から聴くことができた。

大きいホールを満たす、非常に美しい響き。そういえば昨年の演奏会のライヴ録音(「序曲"ルスランとリュドミラ"」)をザッツさんのブログリンク先で聴くことができるが、まさにこんな感じ。しばしば大編成のサクソフォンアンサンブルで聴かれる、大音量に任せた…といったサウンドとは対極に位置するもので、あまりサクソフォンの集合体を聴いている、という感じがしない。ソプラノの寺田さんを始めとした各ソロも見事だし、とても驚きながらリムスキー=コルサコフを聴き終えることができた。指揮者に近藤久敦氏を迎えていることが一因なのかなあ。いや、それにしても。

後半も良かった。特に「That's スペシャルミュージックストーリー」と題されたファリャの「三角帽子」は、脚本朗読を挟みながら音楽が進行していくというもので、恥ずかしながらこれまでほとんど「三角帽子」のあらすじを知らなかった私も、とても楽しめた。ストーリーテラーは田辺政美さんという名前だが、プロの方かなあ?また、これまた高難易度の曲であることは言うまでもないが、音楽の方も素晴らしかった。怒涛とも言える「終幕の踊り」に唖然。

アンコールは、アルベニスの「セヴィリャ」。おお、これは理髪師に掛けたのだな!(笑)ニヤニヤしてしまった。

ザッツさんは、2週間後の第2回サクソフォン交流会にも参加予定である。ご一緒できるのがたのしみだ。

2011/04/16

Saxophone Joint Concert

このブログでも何度かご案内したが、仕事の方も都合がつき、伺うことが出来た。竹原宏さんからご案内いただいた、昭和音楽大学の同窓生6名(+1名は作曲で参加)によるSaxophone Joint Concertである。

【SAXOPHONE JOINT CONCERT】
出演:高梨寛子、森山宙香、竹原宏、中村賢太郎(以上sax)、中村文香(pf)、藤原耕(perc)
日時:2011年4月15日(金)開場18:30 開演19:00
会場:神奈川区民文化センターかなっくホール
料金:一般/2000円 高校生以下/1500円
プログラム:
G.P.テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジーより 第1番、第3番(S.sax)
S.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ(B.sax+pf)
M.ラヴェル:ピアノ三重奏曲(S.T.sax+pf)
C.ドビュッシー:ベルガマスク組曲(S.A.T.B.sax)
B.ウィーラン:リバーダンスより(S.A.T.B.sax+pf+per)
村田淳一:El CUENTO… ~Hommage A Piazzolla~(委嘱初演)(S.A.T.B.sax+pf+per)
~アンコール~
R.ロジャース/村田淳一:All I Ask of You(S.A.T.B.sax)

かなっくホールは東神奈川駅の駅すぐ近く。ホールの名前だけは聞いたことがあったが、入るのは初めてだった。300席くらいのシューボックス型ホールが、およそ8割~9割の大入り。こういった時期なだけに宣伝は苦労したそうだが、それにしてもここまで埋めるのは凄いと思った(受付にHさんがいて驚き)。

前半は、ソロ、ピアノとのデュオ、トリオの3曲。テレマンは高梨さん、ラフマニノフは中村さん、ラヴェルは森山さんと竹原さんだった。高梨さん演奏の確信に満ちた響きが、のっけから会場に響き渡る。そういえば、サクソフォンカルテット"桜"の演奏を聴いたこともあったなあ。ソロで聴くのは当たり前だが初めて。キラキラと輝かしい音だった。バリトンサクソフォンで"チェロのソナタ"を演奏する、というアイデアは今後も広がっていくだろう。フラジオ音域に行くと、チェロの押し⇔バリトンサックスの引き、という違いが出てくるのはさすがにトランスの難点だったかな?ラヴェルは、想像だけするとちょっと無理がある気がしなくもないが、驚きの完成度の高さ。音色を刻一刻と変化させ、なんだか、あまりサクソフォン、という感じの音ではなかったような。中村文香さんのピアノも、なんとなくラヴェルの淡い音に合っているような気がした。

「ベルガマスク組曲」あ、アルモサクソフォン四重奏団のアレンジ。この曲のこのアレンジを全曲通してライヴで聴くのって、そういえば初めてかもしれない。日本のサクソフォン界が生み出した、もっとも優れたアレンジ作品のひとつだと思っている。プレイヤーそれぞれの音色は違うが(もちろん)技術的な部分をクリアした上で、かなり"聴かせる"演奏だった。

ウィーランからは、ピアノとパーカッションを加えて。「リバーダンス」は"キャスリーン伯爵夫人"と"ファイアダンス"の2曲。さすがにこのアイリッシュの音楽は盛り上がる!委嘱初演だという村田淳一さんの「El Cuento」がまた名曲。およそ22分にわたり、ピアソラ作品と自作のメロディをテクニカルにアレンジしたセクションが連続して出現し、最終部に向けてじわじわと沸き上がってくるパッションに、感動。単純な「サックスでピアソラを」とはひと味も二味もちがったアプローチに、であった。

終演後は、チケットを都合していただいた竹原さんにごあいさつ。同郷の村田さんともお話しすることができた。そういえば演奏会を聴きに行くのも久々だったなあ。素敵な余韻の中、帰路につくことができた。

2011/04/15

2011年度の東京芸術大学の先生

本日聴きに行ってきた演奏会の感想は、明日書こうと思う。なんだか、とても充実した時間を過ごした気分だ(^^)素敵な余韻。

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原博巳さんのブログ記事に書いてあるが、今年度の東京芸術大学のサクソフォン関連の先生は、須川展也氏、大城正司氏、原博巳氏、平野公崇氏、林田祐和氏、貝沼拓実氏、なのだそうだ。東京佼成ウインドオーケストラのこのニュースリリースが出たときに、ちょっと不思議に思ったものだったのだが、なるほど、そういうことだったのだなあ。

音楽大学の講師陣て、なかなか変わらないものなのだなと思っていたが、いろいろと動きが出てきて面白いなと思っている。

2011/04/14

【再掲】演奏会のご案内:Saxophone Joint Concert

以前ブログ上でもご紹介したが、期日が迫ってきたので再掲する。

昭和音楽大学のサクソフォン専攻、竹原宏さんより、演奏会のご案内をいただいた。昭和音楽大学出身の4人による、演奏会のタイトル通りの「ジョイント・コンサート」。竹原さんいわく、ソロやデュオも面白い上に、委嘱作品のピアソラがかなり注目すべき内容だそうだ。ということで、私も伺う予定。皆様も是非。


【SAXOPHONE JOINT CONCERT】
出演:高梨寛子、森山宙香、竹原宏、中村賢太郎(以上sax)、中村文香(pf)、藤原耕(perc)
日時:2011年4月15日(金)開場18:30 開演19:00
会場:神奈川区民文化センターかなっくホール
料金:一般/2000円 高校生以下/1500円
プログラム:
G.P.テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジーより 第1番、第3番(S.sax)
S.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ(B.sax+pf)
M.ラヴェル:ピアノ三重奏曲(S.T.sax+pf)
C.ドビュッシー:ベルガマスク組曲(S.A.T.B.sax)
村田淳一:El CUENTO… ~Hommage A Piazzolla~(委嘱初演)(S.A.T.B.sax+pf+per) 他
問い合わせ:
http://profile.ameba.jp/saxophone-joint-concert/

チラシオモテ面。












チラシウラ面。

2011/04/13

サクソフォン交流会打ち合わせ

サクソフォン交流会事務局メンバーが新宿に大集結。交流会に向けての事前確認を行った。地震の影響で遅れていた各案件を、何とか軌道修正できたかな。ただ、遅延しているものは多く、4/30に向けてさらに加速していかなければならない。

もちろん、自分たちの演奏も…。

2011/04/12

見事!パガニーニ「常動曲」 on YouTube

見事!としか言いようがない。

パガニーニ「常動曲」


パスカッリ「蜂」



安定したテクニック、集中力、素晴らしく美しい音色、循環呼吸。演奏しているDaniel Loudenback氏は、ミシガン州立大学で博士号を取得し、現在はいくつかの学校で教えたりプライヴェートレッスンを行ったりしているそうだ。初めて知った名前だったが、世界には素晴らしい奏者がたくさんいるんだなあ。

2011/04/11

スコアからのパート譜起こし

スコアからのパート譜起こしというと、だいたい楽譜作成ソフトを利用して打ち込むか、楽譜をスキャンして各種ツールを使って切り貼りして作るか、のどちらかである。いま急ピッチで「N.R.の肖像」のパート譜おこしをしているのだが、音数の多さから、これは打ち込みでは間に合わないと判断し、切り貼りで対応することにした。

これまでは、IrfanViewとペイントの合わせ技だったのだが、どうも使い勝手が悪い。要は、消すところを消して、カット&ペーストできれば良い、というだけなのだが、例えば全体を見ながらカット&ペーストがやりやすいか、範囲選択に柔軟性があるか、とか考え始めると、物足りないのである。ちょっと探したところ…おお、Paint.NETがとても便利そうだ。保存に2値保存がないのが残念だが、今回はこれでやりきってみようと思う。

2011/04/10

Italian Saxophone QuartetのCD

一日ドタバタと四重奏(ELP「タルカス」に行き先が見えてきた感じ)やサクソフォニー関東の練習で駆け回ったあと、わけあって上野耕路氏にお会いしてきた。もちろんお会いするのは初めてで、緊張した。しかし感激!まだ興奮覚めやらぬ感じ。今日のことは落ち着いたら書きたいと思う。

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ヨーロッパのクラシカル・サクソフォン界は、国ごとに特徴があって面白い。フランスを筆頭に、ドイツ、スペイン、イギリス、オランダ、イタリア、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ギリシャ…とキリがないが、それぞれの国がそれぞれ特徴ある奏者、レパートリー、教育スタイルを擁し、個性的な活動を展開しているのだ。陸続きとはいえ、ここまでそれぞれの国によって分断されているのは、やはり言語が分かれていることが大きいのだろうか。

イタリアは、フェデリコ・モンデルチ Federico Mondelciという大ボスを中心にサクソフォン界が形成され(たぶん)ている。このモンデルチ氏、私見ではイタリアの須川氏みたいな存在で、教育に、レコーディングにと大活躍。なんと吉松隆「サイバー・バード」までレコーディングしてしまっているのだから、驚きだ。単なる技術に留まらないエンターテイメント性抜群の演奏は、これはやはりイタリアという土壌から生まれたものだから、だろうか。

モンデルチ氏がソプラノサクソフォンを務めるItalian Saxophone Quartetは、まさにイタリアのサクソフォン界を代表する四重奏団。テナーのマリオ・マルツィ氏は、クロスオーヴァーな活躍でも有名ですね。

Federico Mondelci, sax soprano
Marco Gerboni, sax alto
Mario Marzi, sax tenor
Massimo Mazzoni, sax baritono

代表盤は、やはり「The Sound of Italian Saxophone Quartet Live in Verona(Delos)」だろうか。スカルラッティ、バッハ、フランセ、ピアソラといった、定番のレパートリーが収録されているが、それまで日本かフランスか、くらいの演奏しか聴いたことのなかった私には、この音色と音楽性の明るさは、センセーショナルだった。飛び出す音は底抜けに楽しく、そして何よりも本人たちが一番楽しんでいるのが良い。

フランセやイトゥラルデを聴いてみよう。これって、やっぱ楽譜を適当に変えて吹いちゃっているのかな?と思いつつも、もうかっこいいの何の。ライヴならではの疵も散見されるが、このパワーの前にはぐうの音もでない。疲れもふきとぶ感じだ。

事務作業いろいろ

本日は完全OFF…にして、第2回サクソフォン交流会とサクソフォニー関東の事務作業いろいろを進める。たぶん集中してやれば3時間くらいで済む作業を、いろいろとアレコレ浮気しながらやっていたためか、まるまる半日かけて実施。まあ、たまにはこんな休日も良いだろう。

作業を進めながら、シューベルトの第8番やら、チャイコフスキーの5番やら、ハチャトゥリアンの第3番やらを聴く。普段興味を持って聴かないロマン派は、絶好の作業BGMだが、チャイコフスキーやハチャトゥリアンは、作業BGMとはならなかった。

…こんな時間まで起きていたのも久しぶり。さすがに疲れたので、寝ます。明日は午前がTsukubaSQ練習、午後がサクソフォニー練習。

2011/04/08

フォーレの「エレジー」をサクソフォンで

フォーレの「エレジー」をサクソフォンで、というと、真っ先に思い浮かんでしまうのがこのアルバム。バリトンサクソフォン奏者のHenk van Twillertが演奏したアルバムで、「On Classical Tour with the Baritone Sax(Movie Play MPC 101.852)」と題されている。版元のMovie Playなんて、このCDくらいでしか聞いたことがないぞ…。

トゥイラールト氏のCDは、「Tango」を始めとしてとにかく個性的&素晴らしいものが多いのだが、その中にあってやや中途半端な印象を残すアルバム。ちょっとプログラムを眺めてみると、タイトルに偽り無し、たしかに「クラシック名曲集」のとおりだ。シューマンの「幻想小曲集」や、グラナドスの「ゴイエスカス」あたりは珍しいが、ほかは改めてバリトンサクソフォンで取り上げることにも特に魅力を感じない…。録音があまり良くない(妙に解像感が乏しい)ことも、原因のひとつだろう。

Robert Schumann - Fantasiestucke Op. 73
Gabriel Faure - Après un rêve
Gabriel Faure - Pavane
Gabriel Faure - Elegie Op.24
Fritz Kreisler - Liebesleid
Eric Satie - Gymnopedie No. 1
Eric Satie - Gnosienne No. 1
Eric Satie - Gymnopedie No. 3
Sergey Rachmaninoff - Vocalise Op.3a No.14
Maurice Ravel - Piece en forme de Habanera
Enrique Granados - Intermezzo from Goyescas
Claude Debussy - La fille aux cheveux de lin (1er livre des "Preludes")
Claude Debussy - Le Petit Berger (Children's Corner)
Claude Debussy - Golliwogg's cake walk (Children's Corner)

などと思って聴き始めるのだが、フォーレの「エレジー」ではたと動かしていた手が止まった。なんだかこの曲の演奏だけ妙に引き込まれる。今にもはちきれそうな情熱を内包しながら、クライマックスでその感情が爆発する名演奏だ。CDなのに、ちょっと感動的なくらい。CDを手に入れたのは確かもう7年ほど前だが、このアルバムのなかではやはりフォーレの「エレジー」を一番聴いているなあ。

2011/04/07

Hot Sonate!

ということで、ボーンカンプ氏のページで(mp3形式にて)無料配布されているCDのご紹介・第2弾。こちらは、今まで持っていなかったCDで「Hot Sonate!(Vanguard Classics 99092)」というタイトルが付けられているが、これはもちろんシュルホフの「ホット・ソナタ」から取ったタイトル。その「ホット・ソナタ」を始めとして、フランス作品以外の、なかなかに尖った曲目が取り上げられている。

Erwin Schulhoff - Hot Sonate
Edmund von Borck - Introduction et Capriccio
Karl Husa - Elegie et Rondeau
Marcel Mihalovici - Chant Premier
Jeno Takacs - Two Fantastics Opus88

このプログラムはどうだろう!ドイツで先走りすぎて迫害されたシュルホフ、ラッシャーと縁が深いボルク、言わずと知れたフサの傑作、第2回のJML国際コンクールではひと騒動あったミハロヴィッチの「シャント第一番」、ジャズの影響を大いに受けたタカクス、と、このCDのレコーディングが1996年ということを考えると、ボーンカンプ氏自身、かなり広く・深くサクソフォンのレパートリーを研究していることが伺える。

演奏も最高。サクソフォンもイケイケ系な上に、ピアノにイヴォ・ヤンセン氏(ボーンカンプ氏といったら、ピアノはヤンセン氏と決まっているのだ)を迎え、サクソフォンとピアノの室内楽としてもレベルの高い演奏を聴かせる。シュルホフから飛ばしまくりで、これはCD一枚をコンサートとして聴くもできるだろう。

フラジオ音域を駆使したボルク作品は、献呈先こそ明確でないものの、ラッシャーを意識して書かれていることが判る。ラッシャーに献呈され、ベルリン・フィルとも演奏されたという「協奏曲」が1932年の作曲、この「序奏とカプリツィオ」が1934年だということからも明らかだ。フサの「エレジーとロンド」は、なぜか非常に瑞々しい演奏だと感じた。普通この曲の演奏をマクドナルドのハンバーガーとするならば、この演奏はモスバーガーか(?)。

ミハロヴィッチでは、ボーンカンプ氏がテナーサクソフォンを吹きまくる。一筋縄ではいかない高難易度の作品だが、さすがの演奏だ。最近のトレンドである軽やかなテナーサクソフォンとは違う、質量のある音色・音楽性で迫ってくるが、特に冒頭の呪術的な部分の濃厚な演奏が鳥肌モノ。そして、最後のタカクス「2つの幻想」は、最終楽章でのジャズ風の息つく間もない畳み掛けはブラヴォー!である。

2011/04/06

Paul Mefanoさんから

先月、Facebookでたくさんのお誕生日おめでとうメッセージを頂戴したのだが、その時になんと作曲家のPaul Mefanoさんからのメッセージがあった。あまりに驚いて、2e2mの話とかドナトーニの「Hot」の話とかで会話していたところ、成り行きで「Periple」の楽譜を送っていただくことになった。

ええっ、と驚いて、なんとなく待っていたら、本当に送られてきて驚いているところ。無伴奏サクソフォンのための「Periple」のほか、二本のサクソフォンのための「Periple a 2」、四重奏のための「Periple a 4」まで送っていただいた。

無伴奏サクソフォンのための「Periple」は、ボーンカンプ氏のアルバム「reed my mind(BVHAAST )」でも堪能した作品だ。まさかこういう形で楽譜を見ることができるとは思ってもみなかった。Mefanoさんに感謝!!である。

2011/04/04

Brahms, Franck, Schumann

ということで、ボーンカンプ氏のページで(mp3形式にて)無料配布されているCDのご紹介。…の前に、まず簡単にボーンカンプ氏についてご紹介しなければなるまい。何せ、いまの若い世代の方々はボーンカンプ氏やアウレリアSQの名前を知らない人もいるくらいなので。

オランダを代表するサクソフォン奏者の一人。スヴェーリンク音楽院で名教師エド・ボガードに師事し、卒業後は幅広く活動している。古典作品から現代作品まで幅広い作品を演奏することで知られ、また、レコーディングも数多く、ソロ・四重奏合わせて20枚以上となる。あのJacobTVと最も親交の深いサクソフォン奏者。アムステルダム音楽院のサクソフォン科教授、アウレリアサクソフォン四重奏団メンバー。1990年代は度々来日し、その素晴らしい演奏を日本の聴衆に届けていたようだが、最近はめっきりその機会が減ってしまい、それに伴って国内での若い世代への認知度が落ちてしまったようだ。

この「Brahms, Franck, Schumann(Vanguard Classics 99144)」は、私はすでにCDとして所有していたが、これを機として久々に聴いてみた。

J.ブラームス「クラリネット・ソナタ第2番」
R.シューマン「アダージォとアレグロ」
C.フランク「ヴァイオリン・ソナタ」
R.シューマン「3つのロマンス」

録音は1998年。密度の高い輝かしい音色(使用楽器はクランポンのS-1か?)は、現代フランス風の軽やかな音色とは一線を画するものだ。同じクランポンだが、デファイエのそれとも違う、オランダで醸成されたオリジナルな音だ。安定したヴィブラートが伴う、自己主張の強い下地を感じる。それをベースに、きちんとした解釈で作り上げられるブラームスやシューマンの音楽…。見事だ。そういえば、ブラームスの「クラリネット・ソナタ」やシューマンの「アダージォとアレグロ」をサクソフォンの演奏で聴いたのはこれは初めてだったかな。いまでこそ演奏される機会も多いが、改めて聴いてみると完成度の高さに驚く。

フランクの「ソナタ」は、やっぱり一番好きなのはTodd Oxfordのバリトン・サクソフォンによる(あの暑苦しい)演奏なのだが、この演奏だって素晴らしい。ヴァイオリンを弓で弾く瞬間に現れる、管楽器ではどうしても表現できない"音を産み出す苦しみ"のようなものがあると思っているのだが、ところどころそんな表現も聴こえてきたりして、これだったらフランクも納得してくれるのではないかな、と思っている。

2011/04/03

ボーンカンプ氏のCD音源無料配布

オランダのサクソフォンの第一人者であるアルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏が、自らのサイトでCD音源をMP3形式にて無料配布している。

http://www.arnobornkamp.nl/uk/discografie.html

配布されているのは、「Hot Sonate!」と「Sonata for the Stringed Instrument: Brahms, Franck, Schumann」の2枚。いずれもサクソフォンの世界では大変な名盤であり(といっても「Hot Sonate!」は持っていなかったけど)、まさかこの2枚をこういった形で聴くことができるようになるとは思ってもみなかった。インターネット時代様々、である。こんなのでクラシック音楽業界はやっていけるのか?と心配にもなってしまうが。

とりあえず本日はダウンロード可のご紹介にとどめて、内容は後日レビューしよう。どちらもなかなか良いですぞ。

ドゥラングル教授のコンサート情報

2011年5月に開かれる第7回大阪国際室内楽コンクールに合わせ、パリ国立高等音楽院サクソフォン科教授、クロード・ドゥラングル Claude Delangle氏が来日する。現代音楽方面で活躍中のヴァイオリン奏者である辺見氏(京青さんのお知り合いなのだそうな)が音頭をとって、ドゥラングル教授のリサイタルが決定した。会場は大阪府豊中市。残念ながら、今回は関東方面での演奏会は無いとのことだが(マスタークラスとかでもやってくれないかなあ)、お近くの方は聴きに行かれてみてはいかがだろうか。…そういえば、ドゥラングル氏の意向により、コンサートの収益は東日本大震災の義援金として寄付されるそうだ。

【クロード・ドゥラングル サクソフォンコンサート】
出演:クロード・ドゥラングル、井上麻子(以上sax)、太田真紀(sop)、大宅さおり(pf)、葛西友子(perc)、松村多嘉代(harp)、辺見康孝(vn)
日時:2011年5月21日(土)18:00開演
会場:大阪府豊中市立ローズ文化ホール
料金:一般前売3,000円(当日3,500円)学生前売1,500円(当日2,000円)
プログラム:
Frederic Durieux - Ubersicht 2 (日本初演)(tenor saxophone)
Toshio Hosokawa - Für Walter – Arc Song II – for soprano saxophone, piano and percussion(日本初演)
Toshio Hosokawa - 3 Love Songs for voice and altosaxophone
Noriko Miura - new piece for saxophone, violin, and harp (委嘱作品;世界初演)
Takashi Fujii - Lichthof (1989/95) Für zwei sopran-saxophnen
Jean-Baptiste Singelée - Grand Duo Concertant (soprano saxophone, alto saxophone and piano)
問い合わせ:
http://asako-inoue.blogzine.jp/saxophonique/2011/05/20110521_in_osa.html(井上麻子さんのブログ)

プログラムが凄すぎる。ドゥリユーの「Ubersicht 2」("2"なんてあるのか!しかもテナーサクソフォン・ソロ)、細川俊夫氏のサクソフォン、ピアノ、パーカッションのための「ワルターのために」など、名前すら聞いたことがない。同じく細川俊夫作品で、CDにもレコーディングされていて私も大好きな「3つの恋歌」とか…。かと思えば、最後にはサンジュレの「デュエット」が置かれたりして、古典的なクラシックを楽しむこともできそうだ。邦人作品の新作も気になる。

ちょっと驚いたのは、ピアニストが大宅さおりさんだということ。いつもお世話になっている大宅裕さんの妹さんだ。私は直接のお会いしたことはないが、Facebook等で大宅さんを通じて交流がある。

行こうかなあと考えたのだが、この日は自分たちの演奏会の前日(^^;行けるはずがない(笑)。関西の方々は楽しんでください~

2011/04/02

スロヴェニアの国際コンクール録音

4/1は、記事を書けなかった。なんだか、気の利いたウソ記事でも書かなければいけないような気がして…。そういえば、昨日ネットを彷徨っていたときに見つけたこの記事にはまんまと騙されたなあ。

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「4th International Saxophone Competition in Slovenia(JKDNG CD 001)」というライヴCDを頂戴した。Arts Center Nova Gorciaという出版元から、プロモーション目的で500枚だけ限定出版されたCDで、2007年7月に行われた同名のサクソフォンの国際コンクール・ハイライト録音である。もちろん、通常のCDショップ等のルートでは入手できない貴重なものなのだが、ピアニストの李早恵さん(サクソフォン界では、ミーハ・ロギーナ氏との室内楽団、Duo Kalypsoで有名)からお譲りいただいたのだ!(ありがとうございます)いやあ、嬉しいなあ。

本コンクールの要項は、こちらのページ:4th International Saxophone Competition in Sloveniaから参照できる。年齢別によって3つのカテゴリに分けられ、カテゴリー1(1991年生まれ以降)、カテゴリー2(1987年生まれ以降)は課題曲と選択曲の演奏によって順位が決定し、カテゴリー3(1981年生まれ以降)は予選が課題曲と選択曲の演奏、本選も同じく課題曲と選択曲を演奏する、というスタイル。面白いのは、スロヴェニアの作品がたくさん含まれていること。スロヴェニアのサクソフォン界は、非常に自国の作曲家を大事にする、とのことで、そんな姿勢の一つが垣間見える(日本で開催されるコンクールだって、もっと邦人作品が課題曲に入っていても良いと思うのだが)。審査員は、クロード・ドゥラングル教授 Claude Delangle、マルカス・ワイス Marcus Weiss氏ほか、非常に豪華な面々。

収録内容は、次のとおり。
Category 1:
André Jolivet - Fantaisie-Impromptu (3rd prize: Weronika Oleszkiewicz)
Jean-Michel Defaye - Morceau de concours III (2nd prize: Stefan Starc)
Bojan Adamic - Igrackanje (1st prize: Matija Marion)
Category 2:
Claude Pascal - Sonatine (3rd prize: Orr Guy)
Paule Maurice - Tobleaux de Provence Mov.5 (2nd prize: Janez Ursej)
Maks Strmcnik - Recitativ ic arija (1st prize: Oskar Laznik)
Category 3:
Christian Lauba - Hard (3rd prize: Roberto Genova)
Luciano Berio - Sequenza XIb (2nd prize: Adrian Tully)
Janez Maitcic - Repliques (1st prize: Rok Volk)

1位を獲得しているのは、全員スロヴェニア人である。カテゴリー3ともなると、オーストラリアのAdrian TullyやイタリアのRoberto Genova等、他のコンクールでも名前を聞いたことがあるような奏者が参加している。他のカテゴリーでも、イスラエルやポーランドなどからの参加があったようだ。

まず印象に残るのは、カテゴリー1の演奏者たちの、見事な立ち振る舞い(いや、姿は見えないけれど)である。一部では、さすがにやや表現の固さが感じられるものの、まっすぐでキラキラした音は、彼らの年頃にしか出せない音楽なのだ。以前聴かせてもらった、中島諒さんの昔の録音を思い出した。1位の方の、本選での「Igrackanije」の演奏など、まさに圧巻である。その点、カテゴリー2の参加者が演奏するパスカルやモーリスは、テクニック的に数カ所で難しそうな部分があった。

それぞれのカテゴリーの課題曲となっているスロヴェニア作品の面白さにもインスピレーションを受けた。どの作品も、非常に分かりやすく、キャッチーである。カテゴリー3の予選の課題曲であるJanez Maitcic「Repliques」は、しなやかなサクソフォンの音色を堪能できる前半⇔細かい音符が続くテクニカルな後半、と明確なスタイルの違いが面白い。後半の、音のばら撒きっぷりなど、圧巻だ。

李早恵さんからは、もう一枚スロヴェニアのサクソフォンに関するCDを頂戴した(感謝!)。こちらもレビュー予定なので、お楽しみに。