2011/12/31

シャリーノの音響世界

サルヴァトーレ・シャリーノ Salvatore Sciarrinoは、イタリアの作曲家。管弦楽から室内楽、独奏曲、オペラまで多くの作品を作っているが、サクソフォンとの関わりで言えば超巨大編成のための重要な2作品「La Bocca, I Piedi, Il Suono」と「Studi per l'intonazione del mare」がすぐさま思い出されることだろう。サクソフォン"100本"というキーワードは思いつくのも難しいし、実現も難しいし…というところだが、CD出版されているし、その後再演もされているようだ。

YouTubeにリハーサル映像+通しのダイジェスト映像があったので、貼り付けておく。

「La Bocca, I Piedi, Il Suono」(サクソフォン4本、サクソフォン100本)


「Studi per l'intonazione del mare」(声、フルート4本、サクソフォン4本、打楽器、フルート100本、サクソフォン100本)


音らしい音を紡いでいくというよりは、どちらかというと多数のサクソフォンから聴いたことのない"音響"を引き出すイメージだ。ブレスノイズ、キイノイズ、スラップタンギング…と、特殊奏法の渦の中に身を委ねていると、音楽というよりは環境音を聴いているような感覚に陥ってくる。壮大な実験的な作品ではあるが、とにかくインパクトは絶大。

すでに各所で話題となっているが、1/17にオペラシティにおいて「Studi per l'intonazione del mare」の実演が行われる。詳細はこちら。行きたいけど…1月も引き続き仕事が繁忙期なので…行けるかな。

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本年最後の記事となりました。2010年に引き続き2011年も、ブログの目標「ひと月ごと、その月の日数と同じ数の記事を書く」が達成できました。これも、ご覧頂いている皆様方のおかげと思います。

皆様方におかれましては、良いお年をお迎えください。

2011/12/30

Quatuor Arcanes参加のヴィヴァルディ・トリビュート・アルバム

ヴァンサン・ダヴィッド Vincent David氏率いるサクソフォン四重奏団、Quatuor Arcanesのアルバム「Vivaldi Universal - season 5(Cristal)」。デビューアルバム「[R+D]」はラヴェルとドビュッシーの弦楽四重奏曲を取り上げたものであったが、こちらはなんとヴィヴァルディの名曲「四季」を現代の感覚で再構成してしまったアルバム。仕掛け人はChristophe Monniotなるフランスのジャズサクソフォン奏者。モニオ氏の経歴やアルバムのコンセプトの詳細な解説は他資料に譲り、ここでは聴いてみての感想に集中して書いてみたい。

アルバムの全体像から最初に受けた印象は、クラシックの四重奏団と、卓越した能力を持つ即興演奏家の共演というコンセプトということもあり、ルイ・スクラヴィス Louis Sclavisとハバネラ四重奏団の共演となるアルバム「L'Engrenage(alpha)」と似通ったものであった。ただ、こちらのヴィヴァルディのアルバムのほうがずっとジャズ寄りだ。基本的にモニオ氏はサクソフォンを含むジャズ・カルテットの中で吹いており、飛び出してくる響きはスクラヴィス×ハバネラとは大きく異なったものだ。

そんなサウンドであるから、最初から最後までクラシック・サクソフォンを楽しむという部分はあまりない。大きな流れで見れば、四重奏パートはあくまでも、ジャズトリオ、エフェクタ、SE、その他諸々とともに、モニオ氏のプレイを支える一部として使われており、ひとつの素材としてヴィヴァルディの再構成音楽の中に組み込まれてしまっているとも言える。Quatuor Arcanesのアルバム、としては考えることができない内容となっている。

曲中では、モニオ氏の他にもQuatuor Arcanesのヴァンサン・ダヴィッド氏やダミアン・ロワイヨネ氏がソロを担当しており、モニオ氏とはまた違った雰囲気のソロを聴くことができる。ただ、いずれも強烈であることには変わりなく、フランスのクラシック・サクソフォン周辺発の即興演奏家はすごいなあと感じ入った次第。どうやったらそんな音楽を着想できるのかという驚きがある。もちろん、その即興に合わせて絶妙なバック・ミュージックを展開するプレイヤーの方々もすごい。

楽曲は、至る所にヴィヴァルディ「四季」のフレーズが散りばめられているが、ほとんどもうジャズの世界に突入しており、フレーズが出てきたとしてもごく断片的なものだ。それらのフレーズを題材とした収録曲が、これがまたカッコ良いのなんの。ある曲では激烈なスピード感があって、ある曲では「四季」を面白おかしくパロった雰囲気があって、とにかく一曲一曲進むごとに新鮮な驚きがある。

クラシックの感覚からすると面食らうが、ジャズや現代作品が好きな方にはとても面白く聴けるのではないかな。おすすめ。CDは、Quatuor Arcanesの公式サイトからPayPalを使って購入できる。

2011/12/28

手放せない3つの…

あまりサクソフォンに関係する話ではないのだが。

出かけるときに手放せない3つの電子機器がある。といっても、ポータブルオーディオプレイヤー、デジカメ、携帯電話なのだが、どれも完成度が高くお気に入りなのだ。一つのものを気に入って長く使える、というというのは、実に幸いなことだと思っているのだ。

・ポータブルオーディオプレイヤー:iriver Clix2
たぶん2007年後半頃の購入。容量4Gbytes。イヤフォンは故障や破壊が続き3台目となったが、本体はピンピンしている。気に入っているポイントはいくつかあって、サイズ、見やすい画面(有機EL)、対応フォーマットの幅広さ、マイク内蔵(簡易録音ができる)…といったところなのだが、個人的にはiPodに勝るとも劣らないその操作のためのインタフェースに最大の魅力があると思っている。45mm x 78mmの小型ボディの全体がボタンとなっており、各辺に対して"カチッ"と傾くようになっているのだ。そのインタフェースを通して操作するメニュー画面構成もシンプルで、ストレス無く各種機能にアクセスできる。

音質については、これは聴き比べたわけではないのでなんとも言えないが、不都合を感じたことはない(これを出力元としてJacobTV作品の伴奏をコンサートホールで鳴らしたこともある)。iriverには、このClix2の良さを継承したプレイヤーを出して欲しいのだが、どうも単発で終わってしまったよう…もったいないことだ。さすがに最近バッテリーがへたってきたようなので、2年以内には買い替え先を見つけたいのだが、これを凌ぐものが見つけられない。

・デジタルカメラ:Canon PowerShot S90
2010年4月購入。当時、本当はRICOHのGR DIGITAL IIIが欲しかったのだが、PowerShot S90とのおよそ2万円の価格差を目にして怖気づき、結局こちらになった…という購入経緯がある。小型だし、画質も良いし(自然画の細部の描写は気になるが、全体の雰囲気はとても良く描かれる)、気軽に持ち歩いてパシャパシャやるにはもってこいのカメラだと思う。また、薄暗い環境での強さはさすがである。コンデジとしては大きな1/1.7 CCDセンサーと、F2.0の明るいレンズ、DIGIC4のノイズリダクションの組み合わせで、飲み屋のような場所でもブレずに撮れるのには感動した。

とにかく撮りまくっており、いつの間にか累計10000枚を超えていた。ズームすると画質が悪い、暗い所でホワイトバランスが時々変、メニューダイアルの操作感が悪い、気合を入れて撮ってもそれなりの画にしかならない、など弱点もあるが、それらを補うカメラだと思う。壊れた時のためにもう一台買っておきたいのだが、最新のPowerShot S100はなぜかCMOSセンサーだというし(なんでわざわざ切り替えたのだろう?)…もし買うならCCDのS95が良いかも。

・携帯電話:SHARP IS05
2011年3月購入のスマートフォン。これまで渡り歩いてきた3台の携帯電話に次ぐ4台目。購入するまでは、スマートフォンがここまで使えるものだとは正直思わなかった。IS05の完成度の高さによるところも大きいのだろう。Android 2.3.4、バッテリーは1230mAh、小型(3.4inch)、1GHz駆動のSnapdragonまで乗っている。IS01~IS04と試行錯誤を続けてきたauスマートフォンの、初期完成形と言えるだろう。

必要なアプリケーションをどんどん入れて活用している。使う頻度が高いのは、Gmail、Facebook、乗り換え案内、Google Map、Google Readerあたりかなあ。

Sonic Art SQのセカンドアルバム

現代作品を見事に演奏した、あの衝撃的なデビューアルバムから2年、ついに待望のセカンドアルバムが発売される運びとなった。現代のプロフェッショナルの四重奏団に必要不可欠ともいえる、「隙のない技術力」を持ち、さらにアンサンブル力や音色の美しさにも優れたSonic Art Saxophone Quartet。ドイツの四重奏団といえば、ちょっと前まではNew Art Saxophone Quartetが幅を利かせていたイメージがあったが、彼らをさらに洗練させたような印象を受ける。

セカンドアルバム「Philip Glass & Michael Nyman - Works for Saxophone Quartet(Genuin GEN11222)」の内容は、なんとミニマル尽くし。同じコンセプトでイギリスのDelta Saxophone QuartetがClarinet Classicsに吹き込んでいるのが思い出される(事実、曲目も2つ重なっている)が、Sonic Art SQがどのようにこれらの曲を演奏するのか、楽しみだった。

Philip Glass - Mishima
Philip Glass - Saxophone Quartet
Michael Nyman - Songs for Tony

Sonic Art SQの透明感のある音色は、これらの作品に実に良くマッチする。「Mishima」での"耽美"とも表現される雰囲気など、ゾクゾクするような魅力にあふれている。想像を絶する楽器としてのコントロールそして丹念なリハーサルの跡を感じる。あくまでもサクソフォンという楽器の範疇に留まりながら、その中での表現を突き詰めていく姿勢に好感を持った。続くグラスでも、第1楽章でソプラノサックスがあの美しいフレーズを奏で、そのようなイメージのまま進むかと思いきや、第2楽章や第4楽章ではガリガリとエッジの利いた大胆な表現までもこなしてみせる。

やはり一番驚いたのはナイマンだ。第1楽章の音色の処理とコントロールって、難しいんですよ。これまでのどの録音を聴いてみても、「この位のテンポが限界でしょう」というところを超えるものは無かったのだが…それを軽々と飛び越えている。いやはや、驚いた。楽章が進むにつれてテンポはゆっくりになっていくが、さらに濃密な音楽が展開されている。

全体的に期待通りの作りとなったアルバムだ。現代作品→ミニマルとくれば、今度はフランスのアカデミックな作品を聴いてみたいな。デザンクロやシュミットなど、なかなか良い演奏になりそうなのだが。

2011/12/27

サクソフォーン・フェスティバル2011二日目(その3)

今回のメイン企画、フェスティバルコンサート。独奏サクソフォン+サクソフォンアンサンブルという企画だが、思い返してみれば私が知る範囲では確かにこれまでに取り上げられた記憶がない。バックのアンサンブルは以下のような布陣であった。

松元宏康, cond
塩安真衣子, sn&ssax
國末貞仁、佐藤淳一, ssax
貝沼拓実、山浦雅也、石橋梓, asax
富岡祐子、木藤良朝子、細川紘希, tsax
原博巳、坂東邦宣, bsax
田村真寛, bssax
稲川美穂, hp
亀井博子, vib&glk

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/長瀬敏和
H.トマジ/柏原卓之 - バラード

(前も書いたが)これまでずっと協会の楽譜を使用してきたフェスティバルで、柏原卓之さん編曲の楽譜が使われることに感慨深いものを感じる。長瀬さんは、数年前に同じくフェスティバルで聴いた田中久美子「セドナ」でのソリストとしての演奏を聴いたことがあったが、その時はどちらかと言えばバックの管楽アンサンブルパートに比重がある曲であり、ソリストとしての力量を聴ける曲ではなかったように記憶する。今回はさすが、最初から最後まで大活躍であった。なんとも味わい深い音色、深いヴィブラート…バックで吹くどの奏者とも違う、真のソリストとしての演奏であったと思う。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/新井靖志
M.ブルッフ/ミ=ベモルSE - コル・ニドライ

新井さんがご自身の十八番レパートリーとしてしばしば取り上げる「コル・ニドライ」。ピアノとの演奏、シエナWOとの演奏などこれまでにあったが、まさかvs.サックスアンサンブルでの演奏がフェスティバルで取り上げられるとは思わなかった。慣れた歌いまわしや芳醇な音色は、聴いていてさすがに説得力の高いものだと感じた。ちょっと大げさかもしれないが、テナーという楽器をこのようにクラシックのソロ楽器として扱える人は、日本にあとどれだけいるのだろう、とも思ってしまった。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/大城正司
L.ベリオ/C.ドゥラングル&V.ダヴィッド - Récit (Chemins VII)

もちろん原曲の「Chemins VII」を聴いたことがあるのだが、サクソフォン+サクソフォンアンサンブルという形態に落としてしまうと、魅力が損なわれてしまうのは致し方ないところだろうか(魅力、というか、拡張の必然性が損なわれているという表現が正しいかも)。演奏は素晴らしかったのだが…。

♪フェスティバルコンサート(JSAスペシャルソロイスツ)/ヨナタン・ラウティオラ
A.K.グラズノフ/J.M.ロンデックス - 協奏曲

一つ前の企画で現代曲を軽々と吹きこなしたかと思えば、グラズノフのようなロマン派の作品でも鉄壁の演奏を繰り広げる。ヨナタン氏の適応能力の高さを思い知ると同時に、例えばいま現在国際コンクールで入賞しようとすると、あの位吹けないとダメなのだということを見せつけられる思いだ。自分のようなアマチュアの想像の域を超えている。しかし、2010年代に突入して、国際コンクールで入賞するというのはそういうことなのだろう。名演と呼ぶにふさわしい堂々たる演奏だったが、この曲を足し算的に聴かせていく要素を明確に見つけられなかったのが残念。これは自分の耳の問題だろう。

♪フェスティバルオーケストラ
J.シベリウス/金井宏光 - 交響詩"フィンランディア"

どんな感じになるかなー、と聴き始めたが、想像以上にマッチしている!なんでサクソフォン・オーケストラってこんなになんでもできちゃうんだろうか。最後の最後まで良いものを聴かせてもらいました。実は自分たちでもちょうといま演奏しているところで…。

楽譜スキャン再始動

リュセット・デカーヴがシャンゼリゼ劇場管弦楽団と共演したジョリヴェ「ピアノ協奏曲」の録音を聴いている。サクソフォンは誰だろう?

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購入した楽譜は、すべてスキャンしてデータ化し、Gmailに飛ばしていつでも取り出せるようにしてある。何が便利って、あっという間に楽譜を配布できてしまうその手軽さだ。もちろんその先には、スマートフォンのネットプリントアプリを利用したどこでも印刷環境とか、タブレットPC所持前提でダウンロードしたものがそのまま見られるとか、そんなところも視野に入れている。

もちろん、楽譜のスキャンには膨大な手間がかかるのだが、大学卒業時までに入手した楽譜については全てデータ化が完了している。あとは楽譜を購入するたびにスキャンすれば良かった。知り合いから中古のスキャナを譲り受け、少しずつ作業を継続していたのだが、そのスキャナもついに先日故障してしまった。

ということで、Epson GT-S630を購入。こういったスキャナが8000円もせずに購入できるとはすごい時代だ。到着したときに初期不良でまともにスキャン出来なかったのには面食らったが、交換手続きも特に問題なく済ませることができた。速度的にもそれなりに満足の行くもので、400dpiならば慣れてくればおよそ1分に2枚のペースでスキャンできる。早速Benjamin Booneがアレンジした「My Favorite Things」をスキャン→Gmailへ。

スキャナ故障中に入手したその他の楽譜についても、引き続きデータ化を行なっていく予定。

2011/12/26

ヤマハ目黒吹奏楽団 クリスマス・コンサート2011

"ヤマメ"ことヤマハ目黒吹奏楽団の名前は今までにも聞いたことがあったのだが、関わるのは今回が初めて。前身は東京アンサンブルアカデミーというプロフェッショナルの団体であったが、1977年以来アマチュアの吹奏楽団として活動しているそうだ。"ヤマハ"の名前を冠する吹奏楽団は他にもあるが(ヤマハ浜松:職場バンド、ヤマハ横浜吹奏楽団:ヤマハ吹奏楽コースのバンド)、純粋なアマチュアの吹奏楽団はここだけだそうだ。

【ヤマハ目黒吹奏楽団 クリスマス・コンサート2011】
出演:ヤマハ目黒吹奏楽団、鳥谷部武夫(指揮)、大田昌穂(司会)
日時:2011年12月25日(日)14:00開演
会場:めぐろパーシモンホール
プログラム:
建部知弘 - ダンス・セレブレイション
S.シュワルツ/J.ボコック - セレクションズ・フロム・ウィキッド
上岡洋一 - マーチ"潮煙"
M.アーノルド/瀬尾宗利 - 第6の幸運をもたらす宿
M.ブラウン - ディズニーランド・セレブレイション
R.スミス&F.バーナード/森田一浩 - ウィンター・ワンダーランド
磯崎敦博 - ジャパニーズ・グラフィティV
J.パッヘルベル/郷間幹男 - カノン・ブラス・ロック
M.トーメ&R.ウェルズ/A.シュナイダー&J.ヒギンズ - クリスマス・ソング
オムニバス/林直樹 - ハッピー!ハッピー!!ハッピー!!!クリスマス
~アンコール~
オムニバス - AKB48メドレー
L.アンダーソン - そりすべり

演奏で参加したわけではなく、なんとステージマネージャーとしての参加。サクソフォン関連でお知り合いが何人か参加しており、その辺りのつながりで仰せつかった。こちらの楽団では、ひな壇組み上げやセッティング、リハのタイムキープ等は楽団の幹部の皆さんの指示のもとにほとんど完了してしまうため、ステマネは演奏会中の進行と照明切り替え演出の指示出し(これが初めてでだいぶ苦労したが…)に集中すれば良いことになっている。一日全体のスケジュールを見ると余裕があるが、とにかく演奏会が進行している最中は集中力が必要、という感じ。

午前中から開始となるリハーサルでは、ホールの照明担当の方とコンタクトしながら、実際の演奏会での照明演出を作り出していく。照明の切り替え表は楽団の幹部の方が用意してくださっており、手元の楽譜&切り替え表とにらめっこしながらインカムで照明室に指示を出す、というイメージ。この取り仕切りが初めてでリハでは手間取ったが、慣れたホールのスタッフの方にも助けられつつ、なんとか本番では上手くいったのだった(と思う)。照明切り替え以外の本番中の仕事は、まあ普通のステマネの仕事、という感じ。

長い曲の時には、舞台袖から演奏を聴く余裕もあった。演奏もクラシックとポップスでメリハリがついており、安定感があり、お客さまの反応も暖かく、素敵な演奏会だったと思う。これまで客席で聴けなかったのが悔やまれるほどだ。"名物司会"という大田さんのMCも最高。本業はヤマハエレクトーンの講師だそうだが、あのMCを聞くだけでも演奏会に来る価値があるのではないか、というほどのもの。1200席という超巨大ホールだが、見た目7~8割の客入り。長年やっていることで、地元の固定客も多くいるのかもしれない。

打ち上げも楽しかった。なんと打ち上げの中まで席次・進行が決まっていたのはびっくり(笑)。初めて話す方も多かったが、およそ3時間にわたって楽しいひとときを過ごした。

2011/12/24

つくばでのラージ練習

つくばで、1月に行われる筑波大学吹奏楽団の団内アンサンブル・コンサートに向けての練習に参加。昨日の疲れのせいかうっかり二度寝してしまい、つくば駅では乗ろうとしたバスに目の前で出発されるという踏んだり蹴ったりな状態だったが、ちゃんと時間通りに到着できた(つくば駅から春日公民館まで、歩いてもたった20分だ)。

J.シベリウスの「フィンランディア」。バリトンサックスパートが多かったせいか、最初は妙に凶悪な「フィンランディア」だったが(笑)、指揮者に迎えた方の的確な支持により、どんどんとドラマティックな響きに変化していった。サクソフォンによる合奏の醍醐味だ。もしかしたら他の編成では、こうも簡単に響きを変えることなどできないのかもしれない。

帰り際に、つくばセンターのCREOビル前でやっていた天久保オールスターズバンドのライヴを観るなど。なぜか最後の2曲だけ飛び乗り笑)してから、東京へと戻った。一日中良い天気でよかったなー。

アンサンブルひだまり・ウィンターコンサート

というわけで、昨日は大宮のプラザノースにて本番。

【アンサンブルひだまり・ウィンターコンサート】
出演:いろいろ
日時:2011年12月23日(金・祝)19:00開演
会場:さいたま市プラザノース
プログラム:
~第1部アンサンブルステージ~
R.モリネッリ - ニューヨークからの4つの絵(小倉大志、大嶋千暁)
F.プーランク - オーボエとバソンとピアノのためのトリオ(小倉大志、中島諒、大嶋千暁)
久石譲 - 海の見える街(ひだまりクインテット)
久石譲 - はるかな地へ(ひだまりクインテット)
伊藤康英 - 琉球幻想曲(Tsukuba Saxophone Quartet)
吉松隆 - Atom Hearts Club Quartet(Tsukuba Saxophone Quartet)
~第2部管楽合奏ステージ~
M.ジアッチーノ - Mr.インクレディブル
葉加瀬太郎 - 情熱大陸
オムニバス - クリスマスメドレー
L.アンダーソン - そりすべり
菅野よう子 - Tank!
~アンコール~
L.プリマ - シング・シング・シング

午前中からプラザノース入りし、TsukubaSQの調整。現在、TsukubaSQは5人体制となっているのだが、アルトに小倉君が入る初めての本番だった。メンバーの都合がつかなくて合わせの回数が少なく、なんとたった2回の合わせでステージまで持っていくことになった。「琉球幻想曲」の不安定さにはちょっと…という感じだったので、この点についてはリベンジの機会までに、なんとかしたい。「Atom Hearts Club Quartet」はさすがに慣れているのだが、早めに着地点を見つけて落ちつかせてしまうことが必要だ。

最初のソロと、トリオはさすがだった。テナーは中島諒君だったが、あれだけ響き渡るテナーっていったい…(軽く凹みました笑)。そのあとの久石譲の2曲だって、このプログラムの中ではすごく効果的に聴こえる。2部の管楽合奏のステージは、一気に駆け抜けてしまったが、特に「情熱大陸」は吹いていて楽しかったなあ。1月には四重奏版でも再演予定であるため、継続的にさらっていきたい。アンコールは、予想外の(!?)事態により1曲のみ。聴いていた方にはまったく気付かれなかったので良しとしよう(笑)。

終演後は、打ち上げ。遅かったのでほとんど参加できなかったが、楽しいひとときを過ごすことができた。

2011/12/23

フィリップ・ガイス氏のMySpaceページ

TsukubaSQ出演のアンサンブル&管楽合奏の演奏会、明日です!詳細はこちらから。

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フェスティバル依頼、ネット上に転がっているガイス氏の録音・映像を観ている。その音楽性たるや、とにかく一筋縄では捉え切れないものであり、完全なるクラシックからコンテンポラリー、民族音楽、電子音楽…クロスオーヴァーという言葉がここまで当てはまるサックス奏者もなかなかいないだろう。

手っ取り早くその音楽性の幅広さを知るために、ガイス氏のMySpaceページが適切だと思った。いくつかの録音が公開されているのだが、ついひとつひとつに聴き入ってしまう。個人的な興味としては、やはりクリスチャン・ロバ「バラフォン」のアレンジ作品。これも、Karlaxを利用しているのだろうか。

http://www.myspace.com/geissphilippe/

2011/12/21

第3回サクソフォン交流会に向けて

TsukubaSQ出演のアンサンブル&管楽合奏の演奏会、明後日に迫っている!詳細はこちらから。

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すでに書いたような気もするが、第3回サクソフォン交流会に向けて動き出している。すでにアドバイザーの先生も決まり、年明けくらいにはアナウンス可能な状態となっている。続報をお待ちいただきたい。

2011/12/20

演奏会のご案内:アンサンブルひだまりウィンターコンサート@プラザノース

今週金曜日の本番のご案内。Tsukuba Saxophone Quartetとしては、前半のアンサンブルステージで、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」と伊藤康英「琉球幻想曲」を演奏する。後半は、管楽アンサンブルのステージのサクソフォン・セクションを担当…なのだが、なんとサックスには中島諒さんがいたりと、なんだか妙にハイレベルなメンバーに囲まれている。

前半には、小倉大志くんと中島くんのプーランクも聴ける(実はこれがけっこう楽しみだったり)。

【アンサンブルひだまり・ウィンターコンサート】
日時:2011年12月23日(金)19:00開演
会場:さいたま市プラザノース
料金:入場無料
プログラム:
~アンサンブルステージ~
F.プーランク - ソナタ
吉松隆 - アトム・ハーツ・クラブ・カルテット
伊藤康英 - 琉球幻想曲
~管楽アンサンブルステージ~
M.ジアッチーノ - Mr.インクレディブル
葉加瀬太郎 - 情熱大陸
オムニバス - Xmasメドレー
L.アンダーソン - そり滑り
菅野よう子 - Tank!

皆様のお越しをお待ちしています。

2011/12/19

サクソフォーン・フェスティバル2011二日目(その2)

サクソフォーン・フェスティバルの感想、2回に分けて書くつもりだったのだが、まとめて書いている時間が取れないので3回に分けようと思う。

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フェスティバルにおけるサクソフォンとエレクトロニクスの企画というと、私にとってはやはり2007年だ。JacobTVの「Garden of Love」「Pitch Black」、P.ジョドロフスキ「混合(Mixtion)」、C.ロバ「Stan」、酒井健治「波と記憶の間に SideA」が演奏され、特に井上麻子さんによる「Mixtion」は記憶に残る名演だったことを思い出す。そして2011年、言葉に落とし込んだときのコンセプト「サックスとエレクトロニクス」は共通だが、中身としては全く違ったものであった。

曲目リストはプログラム冊子に挟まっていたようなのだが、挟まれていることをまったく気づかず、先が見えない状態で聴き続けることになった。これは、ある意味良い経験だったかもしれない。

ステージ上には2本のマイク、MacBookとミキサー(?)、そして得体の知れない"Karlax"なる黒い物体が。最初の曲は、ガイス氏の独奏で「Electro kit」。無伴奏のサクソフォンから生み出される音や効果音にリアルタイム加工やループ処理を行い、美しい音世界を展開していた。MacBook上で動いていたのは、Max/MSPだったのか?

そのままシュトックハウゼン「誘拐」へと突入。演奏が終わるまで曲目などまったくわからず聴いていたのだが、よもやシュトックハウゼン作品の中から「誘拐」が演奏されるとは思わず、ついつい興奮してしまった。2008年には、同じくフェスティバルの場で白井奈緒美さんが大変見事な演奏を披露し、感銘を受けた覚えがある。ヨナタン氏の演奏はもちろん暗譜で、あきれるほどに難しいフレーズをステージ上を飛び回りながら吹きこなしたかと思えば、後半では客席をゆったりと練り歩きながらやはりここでも音をばらまいていた。せっかくなので、狼の遠吠えとともに月を昇らせてほしかったですな(白井さんのパフォーマンスを観た方は覚えていることだろう)。

お次はなんと、ガイス氏バリトンに持ち替えて超ファンキーでクールな曲!JacobTVの曲っぽいなー、と思ったら、やはりJacobTVの曲だった(^^;これは…バリトンサックス持っていたら、ぜひやってみたい!これまでJacobTVのバリトンサックス作品というと「Believer」というゆったりな曲しかしらなかったのだが、まさに対極にある作品だ。「Grab It!」のようなパワーを持つコンサート・ピースだと思う。気になる方は、こちらから一部を聴くことができる。

ここからは、ヨナタン氏とガイス氏のデュエット。ヨナタン氏はアルト・サクソフォンを奏で、ガイス氏はKarlaxを持ち出してきた。「Kosso Kosso」という作品で、ヨナタン氏が奏でるエスニックなフレーズに乗せて、ガイス氏がKarlaxを振り回す。打楽器のような音が出たり、動物の鳴き声のような音が出たり、またサックスの音にエフェクトがかかったり。出てくる音自体は真新しいものはあまりないと思うのだが、そのパフォーマンスからは、確かに新世代の楽器…という印象を受ける。これは観た人にしかわからないだろう。

お次は、なんとクリスチャン・ロバの「ジャングル」に、やはりKarlaxでリアルタイム・エフェクトをかけてしまうという「Jungle morphing」なるパフォーマンス。これがまた驚くほど効果的で、「ジャングル」の原曲の素晴らしさを残しつつ、エフェクトも効果的に仕上がっていて、ここでしか聴けない一期一会の「ジャングル」を堪能した。ヨナタン氏自身の演奏もなかなかにぶっ飛んだもので、それにKarlaxを操るガイス氏の姿が妙な投影となって、、、なんだかステージ上だけ異次元。

実質的なアンコールとして演奏されたのは、「Remembering B.Franklin」というアルトサックス二重奏とエフェクトのための作品。スラップ・タンギングを存分に含むヨナタン氏の超絶リフの上で、あなた実はジャズが本職でしょう!というような強烈なアドリブを繰り広げるガイス氏。いやあ、びっくりした。クロスオーヴァーも、このレベルまで行くときっと文句言える人などいないでしょう、という感じ。

いやー、楽しかったなあ。またぜひライヴで聴いてみたい!

♪21世紀のサクソフォーンとエレクトロニクス/フィリップ・ガイス&ヨナタン・ラウティオラ
P.ガイス - Electro kit (P.ガイス, asax&electro)
K.シュトックハウゼン - Abduction (J.ラウティオラ, ssax)
JacobTV - Pimpin (P.ガイス, bsax)
P.ガイス - Kosso Kosso (J.ラウティオラ, asax; P.ガイス, karlax)
C.ロバ/P.ガイス - Jungle Morphing (J.ラウティオラ, asax; P.ガイス, karlax)
P.ガイス - Remember B.Franklin (J.ラウティオラ, asax; P.ガイス, asax&karlax)

2011/12/18

埼玉大学吹奏楽部第47回定期演奏会

【埼玉大学吹奏楽部第47回定期演奏会】
出演:埼玉大学吹奏楽部、山本敬明、船越孝太(以上cond.)
日時:2011年12月18日(日曜) 14:00開演
会場:埼玉会館
プログラム:
J.ヴァン=デル=ロースト - フラッシング・ウィンズ
R.W.スミス - 海の男達の歌
渡口公康 - 南風のマーチ
S.プロコフィエフ - 「ロメオとジュリエット」より
A.リード - エル・カミーノ・レアル
伊藤康英 - 琉球幻想曲
M.アーノルド/小峰章裕 - 「スウィーニー・トッド」セレクション
B.ピクール - 交響曲第0番
~アンコール~
J.スウェアリンジェン - ロマネスク
A.リード - 第1組曲より"ギャロップ"

某お知り合いが所属しているということで聴きに伺った。そういえば去年も来たのだが、同じ会場・同じ時間帯で、何となくいろいろ思い出すことがある。ある団体を毎年聴くというようなことは、最近ほとんどやらなくなってしまったが、定期的に伺うことで分かってくることや期待することなど、単発とはまた違った楽しみがあるというものだ。1000人規模の巨大なホールだが、見た目9割5分超えの大盛況。二階席のできるだけ前のほうに席を構えた。

「フラッシング・ウィンズ」から、小気味よいリズムと見事な響きに聴き入ってしまった。私自身も何度も演奏した/聴いた曲であるが、こういうスタンダード作品をきっちりまとめられるあたりが、ベースとなる力の高さを示しているのだろう。指揮者によるところも大きそうだ。とても明解な棒さばきで、大編成のバンドをリードしていた。「海の男たちの歌」でもその傾向は同じであり、良い意味での"予定調和的な"音楽は、非常に好感が持てるものだ。中間部のゆったりとした部分でのソロの掛け合いなど、なかなか感動的ですらあった。

続いて演奏されたのは、今年のコンクールで取り上げたという2曲。…そういえば夏に県大会だか支部大会だかを聴きに行ったぞ(笑)。今日の演奏は、やはりコンクールメンバーでの演奏だったのだろうか。常任指揮者の小峰氏の指揮で、安定感に加えてダイナミックな要素もプラスされた音楽を楽しんだ。コンクールの曲を定期演奏会に乗せるとき、いろいろなシチュエーションがあるとは思うのだが、どのくらい追加練習を重ねるのだろうか。

「エル・カミーノ・レアル」「琉球幻想曲」「スウィーニー・トッド」の3曲は、小峰章裕氏の埼玉大学吹奏楽部常任指揮者就任10周年を記念してのステージという扱いであった。昨年も聴いてびっくりした「アルメニアン・ダンス」の演奏を思い起こさせる、聴衆を興奮のるつぼへと誘う魅せ方や全体構成などは小峰氏の面目躍如といった感じ。「琉球幻想曲」は、実質ピアノ協奏曲的なスタイルの作品だった(ピアノは部員の方が担当)。ちょうどいまサクソフォン四重奏版に取り組んでいるところだったので、その響きや構成の違いなど、興味深く聴くことができた。

「スウィーニー・トッド」の前に小峰氏のあいさつ。なんとここで、10周年を期に同部の常任指揮を離れることが伝えられた。埼玉大学吹奏楽部といえば小峰氏、というイメージがあったので、唐突な発表にかなり意外だったし、何があったのかといろいろ考えを巡らせてしまった。続いて演奏された「スウィーニー・トッド」は、小峰氏のまさに十八番。アーノルド氏に絶賛されたという自身のアレンジで、隅々までを知り尽くしたタクトは、さすがに説得力のあるものだった。

メインとなるピクールの「交響曲第0番」。この不思議なタイトルは、不死鳥伝説を題材にしたことに由来するもので、死→蘇生を繰り返す不死鳥のライフサイクルの環(○)を連想させる0(ZERO)が与えられたことによるものだそうだ。とにかく演奏者にとっては至難な作品で、現代的なリズム処理など大変そうな場所も散見されたが、長大な楽曲をきちんと作品として聴かせられていたことに感心。楽曲中の各ソロも、名演揃いだったと思う。

アンコールでは(これがホントの最後ということで)小峰氏が再びタクトを取り、スウェアリンジェン「ロマネスク」とリード「第1組曲」の「"たぶん世界最高速の"ギャロップ」。大盛り上がりの中、幕となった。

サクソフォーン・フェスティバル2011二日目(その1)

やっぱり年末はフェスティバルですね!仕事の都合で一日目は伺えず、二日目のみ。一日目も、なかなか充実した催しだったようで、聴けなかったのが残念だ。二日目は、小田急線を使おうとしたところダイヤが乱れるという出鼻のくじかれっぷり(?)に驚きつつ、なんとかほとんどの部分を聴くことができた。

自分たちの演奏はとりあえず置いておいて、聴いた催しの感想をば。

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♪音大生によるサクソフォーン・アンサンブル/東京音楽大学
D.ヴィレーン/中村ちひろ - 弦楽のためのセレナーデ

以前国立音楽大学の演奏会で聴いたことがある。第4楽章が「ポケットの中にはビスケットがひとつ♪」のメロディが現れるということもあって、良く覚えていた。だれの選曲かはわからないが、なかなか面白いアプローチかと思う。ちなみに、この演奏の時にホールに到着して聴き始めたのだが、演奏者が出てきたとき「若っ!」と思ってしまった…(苦笑)。楽曲のせいもあるが、立体感のある音づくりで、面白く聴けた。テナー、バリトンパートともなると、やはり常日頃から吹いているというわけでもないのだろうか、弱音部分でコントロールの難しさが散見された。

♪音大生によるサクソフォーン・アンサンブル/尚美ミュージックカレッジ専門学校
L.E.ラーション/新実信夫 - 小セレナード

スウェーデンの作品が続く。有名な「サクソフォン協奏曲」よりも、さらにさかのぼる時期に作曲された作品だそうだ。冒頭の部分を聴くだけで、モーツァルトなどの古典的音楽に大きな影響を受けていることがわかる…のだが、曲が進むにつれて思ったよりも多面的な要素が含まれている作品だということに気づいた。原博巳さんの指揮は初めて見たが、オーケストラからダイナミックな響きを引き出しているあたり、なんとなく佐々木雄二氏の指揮を思い出した。オーケストラは、奏法がかなり洗練されている印象を受けた。

♪音大生によるサクソフォーン・アンサンブル/上野学園大学
E.H.グリーグ/島田和音 - 組曲「ホルベアの時代から」

上野学園大学にサクソフォン科が新設されたのが4年前、そこから一回りして、4つの学年が埋まったのが今年とのこと。来年早くには、サクソフォン科での演奏会も開くということで、めでたいことだ。指揮はなんと松原さん…あまり松原さんがサクソフォンオーケストラの指揮を振っているところを想像することができない(笑)。人数が17人とかなり少ない割には、各個人の美しい音色とMAX音量方向へのダイナミクスレンジの広さに驚いた。弱音は、やはり少し厳しい部分があるかなー、などとも思った。サクソフォンオーケストラの一般的な弱点ではあるが。

♪音大生によるサクソフォーン・アンサンブル/東京芸術大学
E.H.グリーグ/山下祐加 - 「ペールギュント」第一組曲より

近年の東京芸大サクソフォン科のレベルの上がりっぷりには驚かされるばかりだが、今日も名前のリストを見れば知った名前があちこちに。サクソフォンの基本的な奏法の弱点に関しては完全にクリアされており、有名な「朝」のメロディと和音の中からはノルウェーのまさに夜明けの情景が思い浮かび(行ったことないけど)、「魔王の城」からはおどろおどろしい城の情景が思い浮かび(行ったことないけど)と、音楽的な部分が見事に聴こえてきた。

♪管打楽器コンクール入賞者披露演奏/第3位:角口圭都
T.エスケシュ - テネブレの歌

フランスのサクソフォン奏者、ニコラ・プロスト氏のためにかかれたヴィルトゥオーゾ的作品で、ソプラノのために書かれた現代作品としては再演回数も多い。ネオ・ロマンティック的な美的感覚と、宗教的なテーマに彩られたあたり、ともすればバッハの作品でも聴いているような気分になる。至難な作品だが、角口さんは構成感を保ちながら、かつピアノとの緻密なアンサンブルでもってこの曲を吹きこなしてしまう。多くのアルティシモ音域を含む、まるでインプロヴィゼイションのようなフレーズをスラスラと吹きこなしており驚いた。エスケシュ⇔バロックというつながりで、角口さんの古典的作品の演奏も聴いてみたくなった。モーツァルトの器楽のためのソナタとか、けっこう似合うんじゃないかなー。

♪管打楽器コンクール入賞者披露演奏/第2位:小澤瑠衣
長生淳 - 天国の月

恥ずかしながら小澤さんの名前は管打コンの入賞まで存じ上げなかったのだが、倍音をたっぷりと含んだ輝かしい音色と、各難所へクサビを打ち込みながらぶったぎる感性は、あまり女性の奏者では聴いたことがない(男性だから、女性だから、という分け方はあまり普段考えないのだが)。ちょっと方向性は違うが、安井寛絵さんの演奏を思い出した。しかし、若い方々はなんとリズム処理が巧いことか。ポップな要素も含む長生作品を、ひとつの作品としてきっちりまとめていた。

♪管打楽器コンクール入賞者披露演奏/第1位:上野耕平
E.グレグソン - サクソフォン協奏曲

管打コン・サクソフォン部門での一位、そして特別演奏会での大賞受賞が記憶に新しい上野氏だが、ようやくライヴで聴くことができた。音色とか、テクニックとか、フレージングとか、ステージマナーとか、そういった言葉に表すことのできる要素を超越したところにある演奏だった。やっぱり、須川さんのベクトルに似通っていますね。技巧的と呼ぶにはややはばかられるグレグソンを、あのような説得力でもってさばいてしまうのかという驚きがある。特にアルトを繰る姿には、感動すら覚えた。

続きはまた今度。

2011/12/16

今日・明日はフェス

仕事が長引いてしまい、一日目となる今日は伺えなかった。

明日は頑張って朝から伺うつもり。後から全てレポートするのは大変なので、LifeTouch Note持ち込もうかな。

2011/12/15

サキソフォックス楽譜ダウンロード販売

某O氏に教えてもらって知ったのだが、サキソフォックスの楽譜のラインナップのうち、いくつかはダウンロード購入できるようだ。アット・エリーゼという楽譜ダウンロード配信の大手から購入可能で、もちろん、版元のスーパーキッズレコード公認である。

ここのリンクからどうぞ。
http://www.at-elise.com/elise/Services.SvSession?method=GakufuSearch&F_TEMPLATE=search_ret.htx&F_ARTIST=%A5%B5%A5%AD%A5%BD%A5%D5%A5%A9%A5%C3%A5%AF%A5%B9&F_TITLE=&F_ORDER=0&F_OFFSET=1&F_LIMIT=20

売り譜との違いで目につくのは、やはり価格の安さであろう。420円という価格は、売り譜の1/3~1/5くらいである。まとめて買うということで言えば、かなりお得な感じがある。ラインナップは限られているが、お試しで購入して、次のステップで他の楽譜に手を伸ばしていく、という流れを狙っているのだろう。提供側にとっても消費側にとっても、良いことであると思う。

ハードコピーの楽譜にはあの可愛らしいクリアケースがついてくるし、常に手元に置いて練習の時にさっと出せる便利さは何物にも変えられない。ダウンロード販売によって、ハードコピーの価値が下がるということは全くないと思う。

2011/12/14

演奏会ご案内:塙美里さんリサイタル

今日のヨナタン・ラウティオラ&フィリップ・ガイスのリサイタル、伺えなかった…(泣)。まあ、フェスを楽しみにしておきましょう。

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【塙美里サクソフォンリサイタル vol.2】
出演:塙美里(sax)、酒井有彩(pf)
日時:2012年1月13日 19:00開演
会場:仙川アヴェニューホール
料金:全席自由前売り2500円(当日500円増)
プログラム:
I.ストラヴィンスキー - イタリア組曲より
D.トリフォノフ - 舟歌、タンゴ
M.グリンカ - 悲愴的三重奏曲
M.スコリック - スペイン舞曲 他
問い合わせ:
misatosax@hotmail.co.jp
http://miimiisax.jimdo.com/

塙美里さんからリサイタルのご案内を頂いた。以前のリサイタルが2009年、当時はまだ演奏スタイルやプログラミングなどジャン=イヴ・フルモー氏の影響の只中にあったが、さらに2年の留学生活を経て獲得したまさに"塙さん自身の"音楽を聴けそうだ。これは、ジュリアン・プティ氏との師弟関係によるところも大きいとのこと。いち個人のリサイタルにおいて、プログラムを眺めるのはひとつの楽しみだ。そのプログラムを組むに至るバックグラウンドに考えを巡らせるのである。特に、2010年のショパン国際ピアノコンクール以来塙さんが傾倒しているピアニスト、ダニイル・トリフォノフの自作を含むなど、かなりこだわりの強いプログラミングとなっているあたりが面白い。

チラシ表(クリックして拡大)












チラシ裏(クリックして拡大)

2011/12/13

サクソフォーン・フェスティバル2011:個人的見所

スキャナを購入したのだが、初期不良…泣。全面真っ青になるとは。さて、ここからの販売店とメーカーの対応に注目である。

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年末恒例、サクソフォーン・フェスティバルが近づいてきたが、いくつか見所を挙げておきたい。

詳細:http://homepage2.nifty.com/jsajsa/festival2011/festival2011.html

1日目:
●JSAスペシャル・ソロイスツ with 若き青春の吹奏楽!
こういう企画はなかなかいいですね!いかにも"フェスティバル"という趣だ。曲もわかりやすいものばかりだし、演奏者も豪華。客入りも見込める。やはり、フェスティバルの運営には良いバランス感覚が必要である。

2日目:
●音楽大学アンサンブルステージ
今回は朝から入って、ぜんぶ聴こうかなと思っている。選曲が気になるよなー。

●愛好家の祭典
見所…っていうか、出ます。いつものEnsemble PHI。

●野平一郎の世界
これ聴講したい!のだが、愛好家の祭典との出番次第かなあ。ある音楽について語ろうとした時、作曲家本人の口から語られる言葉ほど、説得力に満ちたものはない。

●第28回日本管打楽器コンクール上位入賞者ガラコンサート
管打コンの覇者の演奏を一気に聴ける機会。上野耕平さんのグレグソンも楽しみだが、個人的には角口圭都さんのティエリー・エスケシュ「テネブレの歌」が楽しみだ(大変評価が高かったと伺っている)。

●フィリップ・ガイス&ヨナタン・ラウティオラ
問答無用。「サクソフォンの音をその場で直接加工し、様々な効果を持った音に変換するLive Morphing、またサクソフォンと新しいマルチメディア楽器(コントローラー)《Karlax》との交叉から、エレクトロニクスの世界とサクソフォンの出会う場所をテーマにしたコンサートを展開」ということで、なんかすごそう。Live Morphingくらいであれば、今はMax/MSPランタイムとマイクとMacとスピーカーさえあれば誰でもお手軽にできてしまうが、"Karlax"というのは初耳…楽しみにしておこう。

●JSAスペシャル・ソロイスツ with フェスティバル・サックス・アンサンブル
なんとなく、フェスティバルでも柏原さんのアレンジが演奏されるようになった辺りに感慨深いものがある。ヨナタン氏が演奏するグラズノフ…なかなか聴きものであろう。

ボーンカンプ&野田燎 on YouTube

オランダを代表するサクソフォン奏者の一人、アルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏と、サクソフォン奏者にして医学博士の野田燎氏が、オランダのテレビ番組で合同インタビューを受けている動画を発見した。インタビューに続いて野田燎氏のサクソフォン・デュオ作品「紫の淵 Murasaki no Fuchi」の演奏も収められている。

ボーンカンプ氏が若い!なんと、20年前(1991年)のテレビ番組におけるインタビュー映像なのだそうだ。ボーンカンプ氏、意外と控えめ。野田燎氏、よくしゃべる。デュオ演奏の様子は高い集中力にソリッドな音色と、一見の価値アリだ。途中で切れてしまっているのが残念。

インタビュー前半:


インタビュー後半:


「紫の淵」解説と演奏:

2011/12/12

ルディ・ヴィードーフ入門

ルディ・ヴィードーフ Rudy Wiedoeft(ウィードフト)は、マルセル・ミュール以前では間違いなくもっとも偉大なサクソフォン奏者のひとりである。初めて彼の録音を聴いたのは、スティーブン・コットレルの論文つきCD「History of the Saxophone(Clarinet Classics)」に収録された「SAX-O-PHUN」よってであったが、1920年代に録音されたとは到底信じがたい技巧、自作曲の完成度の高さ、密度の高い音色、特殊奏法の数々に驚いたものだ。

メディアへの露出も多く、いくつもの録音が残されていることも幸いであった。CDとして復刻されているものも含め、私たちは今でもたくさんの録音を耳にすることができる。

当時の大衆芸術(ヴォードヴィル)の流れにのって、後にはレコード、ラジオにもその活躍の場を広げるなかで空前絶後の成功を収めたとされる。当時のアメリカでは、本当か嘘か知らないが、皆がヴィードーフに憧れてサクソフォンを手に取ったという。本流のクラシック・サクソフォンとは違うものの、純粋なサクソフォンの技術や音楽性という面で捉えれば間違いなく当時のナンバーワンであろう。そもそもマルセル・ミュールの演奏にしたってポップス界がルーツなのだし、クラシック・サクソフォンとも関わりが深いと思う。実際に、ヴィブラートの捉え方や音色に対する考え方など、共通点も多いと感じる。

ご存じない方は、ぜひその世界を覗いてみよう。当時のアメリカを震わせ、ただひたすらにエンターテイメントに徹した(しかし完成度は異常なほどに高い)サクソフォンの世界が、いやヴィードーフの世界感が、良く現れていると思う。

Saxo-O-Phun


ショート・ムービー。Cメロサックスを吹くルディ。


ディズニー映画「Music Island」。主人公のサックスは、ルディではないかと言われている。アニメーションとしても超一級品!

2011/12/11

CRONACA DI UN AMORE on YouTube

Androidマーケットの10日間日替わりアプリ10円セール、まんまと引っ掛かっている。初めて有料アプリに手を出してしまった…(苦笑)。

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マルセル・ミュールは、独奏者や室内楽奏者としてのコンサートホールでの活動、教育者としての活動のみならず、放送用録音や映画音楽の録音にも積極的であった。特に映画音楽に関しては、ジャン・フランセやダリウス・ミヨーとの共同作業により、数多くのフィルムを残したとされている。その多くは情報として埋もれてしまっており、今となってはどこにミュールの演奏があるのかはほとんど判らない…とされているが、ひとつだけ記録されているものがある。

イタリア映画"CRONACA DI UN AMORE"(Michelangelo Antonioni監督)がそれである。1950年制作のモノクロフィルムで、Giovanni Fusco作曲のサウンドトラックに、マルセル・ミュールのサクソフォン、アルマンド・レンツィのピアノで演奏されている。オープニングから強烈だ。ミュール録音のイベールを聴いた時のような、センセーショナルな衝撃を受けることだろう。サクソフォンを知らない人が聴いたら、何の楽器だと思うのかな。

すでに制作から50年たっており、YouTubeからも鑑賞可能。オープニングも凄いが、ぜひ中間部の(いかにも恋愛映画という感じの)甘いフレーズを歌うサクソフォンにも耳を傾けて頂きたい。

2011/12/10

サキソフォン物語(読み始めてみて…)

金曜の夜から、急遽実家に戻ってきている。火曜日には東京に戻る予定…

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巷で話題のマイケル・シーゲル著「サキソフォン物語」を読み始めた。まだ1/4ほどしか読んでいないのだが、感じたことについて少しだけ書き出しておきたい。

この本は2010年に青土社より翻訳本として出版され、日本のサクソフォン界で広まったが、原本は2005年出版の「Devil's Horn」と呼ばれる著作である。実は私自身は2007年にカナダのビクトリア大学(学会のために伺った)の書店でこの書籍を購入し、たびたびリファレンスとして利用していた。売値20カナダドル。クラシック・サクソフォンにまつわる面白いエピソードも満載で、内容としては良いのだが、英語は難しいしエッセイ的な書き方になかなか抵抗はあるしで、原本を一気貫通して読むことは結局しなかった。

翻訳本が出たことを知ったときは驚いたものだ。およそ内容としては利益にはならなさそうな、また、図書館に置くにしてはやや雑多な…とにかくカネからは遠い位置にある存在で、出版にどんな経緯があったか、ぜひ知りたいところ。だが、おかけでようやく頭から最後まで、順に読み進めることができるようになった。

サクソフォンの発明者、アドルフ・サックスのエピソードから、軍楽隊での採用、ボードヴィルでのダンスバンド隆盛、1929年の大恐慌とともに崩壊した様子など、1930年以前にサクソフォンがたどった道を(体系的でないにしろ)日本語で述べた文章など、これまでにはなかった。サクソフォン史研究において、これはひとつの事件であり、サクソフォンを学ぶものにとっては知らねばならない内容だ。

エッセイ風の文体は、やはり日本語になっても変わらず、読み進めることは簡単だが情報を頭のなかで並び替えて整理していくのが難しくもある。個人的な嗜好は体系的書籍なのだが、これはこれでありかと。読み終えたとき、どれだけの情報が入手できるかと、いまから楽しみだ。

2011/12/08

ヘムケ氏のCD購入サイト

ヘムケ氏のCDが、公式サイトからPayPalを利用して購入可能になった。

フレデリック・ヘムケ Frederick Hemke氏のCDは、これまで氏の公式サイトから購入しようと思ったら、EnF RecordsにBank Checkを送るしかなく、購入が難しかった。しかし、この度PayPalに対応したことで、クレジットカードさえあればとても簡単に購入できるようになった。歓迎すべき変化である。

現在のラインナップは、「Fascinating Rhythm」「Simple Gifts」「The American Saxophonist」の3つ。ガーシュウィンの作品集で新譜の「Fascinating Rhythm」や、オルガンとの共演盤となる「Simple Gifts」も良いのだが、何と言ってもこれまで手に入れづらかった「The American Saxophonist」をオススメする。このCDは、ヘムケ氏がBrewster Recordsに吹き込んだ名盤との呼び声高き2枚のLP「The American Saxophone」「Music for Tenor Saxophone」の復刻盤なのだ!その内容は、(4年前にヘムケ氏にメール送って確認したのだが)以下のようなもの。

Frederick Hemke, Saxophone
Milton Granger, Piano
Ingolf Dahl: Concerto for Alto Saxophone 18:19
Warren Benson: Aeolian Song 4:50
M. William Karlins: Music for Tenor Saxophone and Piano 10:59
Walter Hartley: Poem for Tenor Saxophone and Piano 3:44
Karel Husa: Concerto for Alto Saxophone 16:30
William Duckworth: A Ballad in Time and Space 3:30
James DiPasquale: Sonata for Tenor Saxophone and Piano 8:43
Warren Benson: Farewell 1:46

私はLPで2枚とも所有しているのだが、まあとにかく強烈な演奏である。この輝かしい音色をいつも安易に「セルマー・サウンド」と形容してしまうのだが、この表現が便利なのだから仕方がない。雲井さんが米国留学を決めたダールの「協奏曲」の見事な録音や、"耽美"という言葉がこれほど似合うものはないであろうベンソンの「エオリアン・ソング」、そしてDiPasqualeを始めとしたネオ・ロマンティック風のテナーサクソフォン作品など、聴きどころを挙げていけばキリがない。3枚ともオススメだが、まずは「The American Saxophonist」以外に考えられないだろう。

2011/12/07

Daniel Kientzy "L'Art du Saxophone"

雲井雅人さんがpercussions-de-tamponのことについて書いてらっしゃったので、久々に引っ張り出して聴いている。(ある意味)世界最強のサクソフォン奏者、ダニエル・ケンジー Daniel Kientzy氏によるCD「L'Art du Saxophone(Nova Musica NMCD 5101)」。サクソフォンの見本市、とでも言えるようなCDで、録音当時開発されていなかったソプリロサックスやチューバックスを除く、ソプラニーノからコントラバスサックスまでのサクソフォン7種のデモンストレーションと、譜例付き(厚さ5mmのブックレット!)100の特殊奏法が、ケンジー氏自身の演奏で収録されている。

ケンジー氏はサクソフォンの特殊奏法に関する600ページ近くに及ぶ論文「SAXOLOGIE」を執筆しており、このCDはその論文を音として参照できるようにしたもの。現代奏法を一気に俯瞰するには大変良い内容であり、まず持っていて損はないだろう(ネタにもなりますよ笑)。このCDを入り口として、さらに深い演奏法を学ぶために「SAXOLOGIE」を購入して掘り下げる…という過程を容易に想像することができる。また、サクソフォン奏者のみならず、作曲家にとってもサクソフォンによる音響の可能性を知る、という意味でおすすめできる。

1. G.クルターグ「ブカレストの叔父を訪ねて(snsax, synthesizer)」
2. D.テルッギ「Xatys(ssax, mix)」
3. A.ヴィエルゥ「メタクサクス(asax, electronics)」
4. S.ニクレスク「カントス(tsax, orch)」
5. M.マルベ「ダニエル・ケンジー協奏曲(bsax, orch)」
6. C.ミエロヌ「Aksax(bssax)」
7. L.d.パブロ「Une couleur...(cbssax, orch)」
8. サクソフォンによる100の特殊奏法~譜例を交えながら

演奏のクオリティも尋常ならざるもので、ケンジー氏の気合の入った演奏を堪能することができる。一発目から、ソプラニーノ・サックスとシンセサイザーののオリエンタルな響きが聴こえてきてびっくりするのだが、じつは全て即興でした、とか。オーケストラに乗って吠えるコントラバス・サックスとか(こちらの作品は有名なので、聴いたことがある方も多いだろう)。とにかく息つく暇のない内容だ。

やはり圧巻は特殊奏法のトラックであり、ブックレットの譜例を見ながら追っていけば面白さ倍増。サクソフォンからこんな響きが!という新たな境地にも出会えることだろう。vandorenscores等から購入できる。

2011/12/06

演奏会情報:一気に紹介

ご案内いただいている演奏会を一気に紹介。いつもは整形して紹介文まで書くのだが、今日は余裕が無いのでコピペで(すみません)。

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催し物名:「シベリウスから現代まで」P.Geiss と J.Rautiolaの世界
日時:2011年12月14日
会場:洗足学園音楽大学前田ホール
開演時間:19:00
入場料:無料
出演者:
フィリップ・ガイス(ストラスブール音楽院教授)
ヨナタン・ラウティオラ(A・サックスコンクール4位)
内容:
F・ガイス、J・ラウティオラが伝統と開放を結びつけたプログラムで、クラシカルなレパートリーから即興音楽に渡る作品を演奏。若きスーパーソリストの妙技が期待できる。
第1部:J・ラウティオラがJ・シベリウス、B・ブリテン、L・フランチェスコーニ、W・オルブライトなどの作曲家を取り上げ、クラシカルな作品から現代曲までを演奏。
第2部:F・ガイスが彼の作品を中心に、記譜音楽と即興音楽との交叉をテーマとした音楽を紹介する。稀有な柔軟性を持つ音楽家として、ソプラニーノからバスサックスまでを操るパフォーマンスが繰り広げられる。
問い合わせ:
洗足学園音楽大学 冨岡和男(090-3686-5123)

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この度、活動しているSaxアンサンブルの演奏会を開催しますので、下記の通りご案内させていただきます。
年末のお忙しい中と思いますがお立ち寄りいただければ幸いです。

♪♪♪ビジネスクラスサキソフォンアンサンブル 2011コンサート♪♪♪
日時:2011年12月17日(土) 開場17:30/開演18:00
会場:かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
交通:京成線「青砥駅」より立石方面へ徒歩5分全席自由・入場無料
交響詩「わが祖国」より「モルダウ」サキソフォン8重奏のための「月夜の祈り」 他
公式HP http://www7b.biglobe.ne.jp/~bcse/

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12月23日(金・祝)に渋谷にあるトーキョーワンダーサイトで「TOKYO EXPERIMENTAL FESTIVAL― SOUND,ART & PERFORMANCE vol.6」の一貫としてソロ・リサイタルを開催します。
今回は「アラウンド・ザ・ルチアーノ・ベリオ」というテーマに沿って選曲いたしました。ベリオの「セクエンツァVII」を中心としながら、「アラウンド」というテーマ通りに共演する編成が、電子音、サクソフォン・カルテット、11人の弦楽器と多様に変化します。またその編成は全て会場の「周辺」に配置されます。同じ曲に対する共演者の変遷と音場の変化を楽しんで頂けたらと思います。またベリオの「周辺」の作曲家として師弟関係にあった田中カレンとスティーブ・ライヒの作品も取り上げ、これもオリジナルに対して映像を足したり、6つの多面体スピーカーを用いるなどしております。
師走のお忙しい時期だとは思いますが、ご来場頂けるととても嬉しいです!

チケットは直接佐藤までご連絡頂くか、トーキョーワンダーサイト(performingart11@tokyo-ws.org)の方にご連絡下さい。

以下詳細です。

TOKYO EXPERIMENTAL FESTIVAL― SOUND,ART & PERFORMANCE vol.6
佐藤淳一サクソフォン・リサイタル
「Around the Luciano Berio -ルチアーノ・ベリオの周辺」
12月23日(金・祝) 18時30分 開場 19時開演
チケット2500円
於:トーキョーワンダーサイト渋谷

曲目
・L.ベリオ/セクエンツァVIIb
・田中カレン/ナイト・バード
・L.ベリオ+C.ドゥラングル/アラウンド/セクエンツァVII
・S.ライヒ/ニューヨーク・カウンターポイント
・L.ベリオ/シュマンIV(onセクエンツァVII)

共演
・サクソフォン
加藤里志 鈴木崇弘 大石俊太郎 細川絋希
・音響
田野倉弘向
・映像
衣袋向弘輝
・11人の弦楽アンサンブル

主 催:
公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト

http://www.tokyo-ws.org/archive/2011/11/tokyo-experimental-festival-sound-art-performancevol6.shtml

2011/12/05

演奏会情報:清水靖晃&サキソフォネッツ@三鷹

【清水靖晃&サキソフォネッツ~zig-BACH-zag-PENTA~】
出演:清水靖晃、サクソフォン四重奏団STRIKE
日時:2011年12月10日(土)18:00開演
会場:三鷹市芸術文化センター・風のホール
料金:会員3,600円 一般4,000円 学生2,000円(全席指定)
プログラム:
J.S.バッハ - 「無伴奏チェロ組曲」、「フーガの技法」より
清水靖晃 - アルバム「ペンタトニカ」と5音音階作品より
詳細:http://www.yasuaki-shimizu.com/

私と同世代かちょっと上の世代の方の中には、清水靖晃氏の演奏によって「無伴奏チェロ組曲」を初めて知ったという方も多いだろう。あの衝撃的なテナーサックスによるバッハは、大ヒットともに賛否両論を巻き起こしたが、それだけ注目度は高かったと言えよう。CMなどにも使われていたっけな。元々は筋金入りのファンク分野の演奏家とのことだが、やはり有名なのはバッハだったり、ペンタトニカだったり、かな。

今回の演奏会は江川良子さんよりご案内いただいたのだ。清水氏の演奏の魅力は、表面上は単純に捉えることのできる音楽を一旦取り込んで、強烈なオリジナリティの上にマッピングしてしまうというものだろう。そんな清水氏の音世界を存分に楽しむことができる機会となりそうだ。私も伺う予定…やはりステレオスピーカーでは捉え切れない、臨場感("スペース"とも表現される)にこだわる清水氏の真骨頂を聴いてみたい。

今回の演奏会について、清水靖晃氏自身が語ったインタビュー記事を、下記サイトから読むことができる。なんと動画も!
http://mitaka.jpn.org/ticket/1112100/

2011/12/04

Susan Fancher plays Torke(音だけ) on YouTube

マイケル・トーク Michael Torkeのサクソフォン作品といえば、まっさきに「July」が思い浮かぶが、「サクソフォン協奏曲」も名曲として名高い。ミニマル風な曲作りの中に隠された様々な仕掛けが楽しい作品だ。ブログをお読みの皆様は誰の演奏で聴いたことがあるだろうか…おそらく、ジョン・ハールかジェラルド・マクリスタルのCDによって、ではないだろうか。

アメリカの女流サクソフォン奏者、Susan Fancherが同曲をSusquehanna University Wind Ensembleと共演した録音をYouTubeで発見した。さすがにジョン・ハールのハイ・テンションな録音などと比べるとやや分が悪いかもしれないが、曲の構造を丁寧に浮き彫りにしており、これはこれで面白い。

週末練習とTSQ演奏案内

土曜日:
12/17用の、サクソフォーン・フェスティバルでの愛好家ステージ出演のための、EnsembleΦ練習。サクソフォン8重奏に加え、ピアノに高橋宏樹さん、ドラムスに佐々木佳奈さん(本番は齋藤たかしさん)を迎えて、NAOTO/啼鵬「Si-So Dance」と啼鵬「along with you...」のリハーサルを行った。練習はつつがなく(?)進行し、その後は飲み会へ。自分もそこそこ飲んだが、まーみなさんもよく飲むこと(^^;なんかつくばの飲み会みたいな激しさを久々に楽しんだ。

日曜日:
12/23のアンサンブル&管楽アンサンブルのコンサート@大宮のプラザノースのための練習。晴れ渡った空のもと、なんとなく気分良く練習に向かうことができた。ちょっと練習回数も少ないが、なんとか良い演奏になるように精一杯努力していきたい。

…ということでとりあえず速報を。Tsukuba Saxophone Quartetとしては、今年最後の本番になる。吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット」と、伊藤康英「琉球幻想曲」を演奏する他、管楽アンサンブルのサックスセクションとしても演奏する予定。

日にち:2011年12月23日(金曜・祝)
開演:18:45(仮)
会場:プラザノース・ホール(アクセス

ぜひお越しください。

2011/12/03

【復刻記事】ハバネラSQライヴ盤

ブルーオーロラ・サクソフォン・カルテット(BASQ)の演奏を聴いてこのCDのことを思い出した。2006年の4月の出版であり、ずいぶん前のことなのでブログ記事としても埋もれてしまっていたのだ。ブログというやつは日々の更新には便利だけれど、アーカイヴとしての機能は弱い…。5年以上前ということは、例えばいまの音大生の中にはこのCDの存在を知らない方もいるわけで、紹介の意味で再度記事を掲載する。

私がこれまで手に入れたサクソフォン四重奏のCDのなかでも、まちがいなく3本の指に入るものである。これを聴かずしてサクソフォン四重奏を聴いた気になってはいけない…というのは誇張表現だろうか。例えばクセナキス「XAS」やグラズノフの「四重奏曲」など、alphaレーベルからセッション録音がCDリリースされているが、こちらの録音を聴いてしまうと全然別物だ…もちろんセッション録音のほうが安定度や質といった面では上回るのだが、ダイナミクスやテンションなどはライヴ盤のほうがずっと上である。

理屈抜きにしたサクソフォン四重奏の興奮を味わうことができる。これって、高校生の頃、デザンクロの四重奏曲の第3楽章を初めて聴いた時の興奮に似ているな(笑)。超オススメ盤…だが、現在入手は難しいかもしれない。

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ハバネラ・サクソフォン四重奏団のCD「The 5th Osaka International Chamber Music Competition & Festa 2005(Yomiuri Telecast Corporation YC-0515)」。タイトルどおり、昨年5月に行われた第5回大阪国際室内楽コンクールの実況録音盤で、読売放送が限定盤として作成したディスク。一次予選からデザンクロ「四重奏曲」、ドナトーニ「ラッシュ」、二次予選から野平一郎「四重奏曲」、そして本選からグラズノフ「四重奏曲」、クセナキス「XAS」を収録。

何回か聴いてみたが、うーん圧倒的。ハバネラは今までセッションレコーディングのCDでしか音を聴いたことがなくて、丁寧な解釈をして丹念に音楽を運ぶような印象が強かったのだが、この録音では異常なテンションの高さのせいかまるで別の団体のように聴こえる。しかし実際に聴き終えると、これぞハバネラサウンドであるという強いアイデンティティを感じ取ることができた。現代にあって演奏にアイデンティティを感じさせる奏者ってほとんどいないのだから、やっぱりすごい四重奏団なのだなあ。

一次予選のデザンクロからまったく手抜きなしの全力勝負。しかし気負いを感じることはなく、純粋に良い音楽を奏でようとする意思が秘められているようにも感じる。音程が良いとかバランスが良いとかは当たり前で、決められた枠の中で各々が主張をしながらアンサンブルが動的に組み上がっていく。三楽章なんか音を間違えてるしタテだってあまり合ってないのに、ものすごくうまく聴こえる…なんだこりゃ。しかもめちゃくちゃ速い(笑)。

ドナトーニや野平はいわゆる「現代作品」。ドナトーニの冒頭、四本のサックスが極小音量でそれぞれのモチーフを奏でるところなんかも、ありえないほどの安定性。対して野平作品ではCDの音が割れるほど鳴らす、異常なまでのダイナミクス。一本一本の音色はぜんぜん違うのに、ユニゾンではオルガンでも聴いているようなパワーだ、うーむ…。

最後に向かって華麗なaccel.を魅せるグラズノフの終楽章、今まで聴いたどんな演奏よりもカッコイイし、加えて品格を湛えている。爆速のエンディングを聴き終えたあとに残る高揚感が心地よい。ロマン派にありがちなトリルや装飾音を多用したフレーズも、ここまで自然に…まるで四人の他愛のないおしゃべりを聞いているようだ。グラズノフに続いて最後を飾るクセナキス「XAS」はもう凄すぎて何がなにやら。現代作品ではあるものの、音楽は常に淀みなく流れていく。

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2011/12/02

ブルーオーロラSQリサイタル@浜離宮朝日ホール

仕事を切り上げて、浜離宮朝日ホールへ。かなり走って大変だったが職場から45分で到着することができた。

【ブルーオーロラサクソフォンカルテット CDリリース記念コンサート東京公演】
出演:ブルーオーロラサクソフォンカルテット(平野公崇、田中拓也、西本淳、大石将紀)
日時:2011年12月1日(木)19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
プログラム:
J.S.バッハ/平野公崇 - コラール・プレリュードBMW659「来たれ、異教徒の救い主よ」
W.A.モーツァルト/平野公崇 - オーボエ四重奏曲へ長調K.370より第1楽章
P.I.チャイコフスキー/平野公崇「四季」作品37bisより10月
M.ラヴェル/久保田麻里 - 「クープランの墓」よりプレリュード
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲変ロ長調作品109
武満徹 - 一柳慧のためのブルー・オーロラ
B.バルトーク/平野公崇 - 「ミクロコスモス」第6巻「ブルガリアのリズムによる6つの舞曲」から
平野公崇 - ララバイ(新作初演)
~アンコール~
J.S.バッハ/平野公崇 - 「心と口と行いと生活で」BWV147よりイエスこそわが喜び(主よ人の望みの喜びよ)
J.S.バッハ/平野公崇 - 「平均律クラヴィーア曲集第1巻第2曲」よりプレリュード

やはり、という感じの充実した催しだった。ブルーオーロラSQは、というか平野さんは、いったん音楽を自分のなかに取り込み、常に「平野公崇の音楽」として聴衆に提示するスタイルであると思う。平野さんの演奏を聴いたのは久々であったが、無伴奏にしろピアノデュオにしろサクソフォン四重奏にしろ、その方向性は変わらないのだなと思った。

冒頭のバッハは、彩/綾の絡みが印象的であったが、想像よりも落ち着いた解釈。モーツァルトは、これはまたよい意味で裏切られた。弦楽四重奏を意識したSSABという編成に、繊細な(実に良くコントロールされた)音色、そして丁々発止のテンション。mpでのスーパーライヴ、という感じであった。チャイコフスキーも、モーツァルトと同様のスタイルであったが、古典的なモーツァルト作品と比べてさらにサクソフォンならではの特徴を生かした感覚で演奏されていた。

ラヴェルの「クープランの墓」を四重奏で演奏する、というアイデアはかの昔からスタンダードであるが、さすがこのグループならではの演奏に仕上がっていた。アレンジャーが、なんとあの久保田麻里氏ではないですか!とか。この人の四重奏のアレンジは、私がこれまで吹いたアレンジの中でも最高クラスのものであると思う。いまいち経歴がわからないのだが、どういう方なのだろうか。グラズノフは、ぜひライヴで聴いてみたかった演奏だ。ある意味想定通りのテンションだが、やはり目の当たりにしてしまうと引きこまれてしまう。第1楽章終わりで思わず拍手が起こってしまうのも、納得だろう。第3楽章など、ハバネラ四重奏団のライヴ盤を思い出した。CDで聴いても、決してわからない部分だ…。

休憩時間。ちょっといつものサックスの演奏会とは少しだけ客層が違うような気もする。坂田明氏を見つけて、一人悦に入ってしまった(笑)。

さらにパワーアップしての後半は、一柳慧作曲の…じゃなかった、武満徹が作曲した「一柳慧」の名前を冠した作品から。いやほんと、一柳慧の作品だと言われても信じてしまうかもしれない。「室内楽の歩み」というCDシリーズに平野氏が参加して一柳作品を演奏していたのを思い出した。

バルトークでは、複雑な変拍子をまるでポップスのようなテンションで駆け抜けてみせ、新作「ララバイ」は即興のオンパレード。アンコールだって「主よ人の望みの喜びよ」のExtended Version(?)に、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第2曲「プレリュード」の四重奏版と、最後に向けて、まさに「平野公崇サクソフォンリサイタル」とでも表したくなるような感じだったな。しかし、それを支えきる他の3人もすごかった。大石将紀氏は、その卓越した技術・音楽性に加えて、保坂一平氏らとともにimprovisationとactを組み合わせたようなステージをいくつもこなしているし、内声2人だって一筋縄ではいかないほどのものだ。たぶん、他のメンバーではこういった演奏にはならないのだと思う。

日頃からどっぷりとサクソフォンに浸かっていると、どんな演奏を聴いたとしても99%の興奮する部分と1%の醒めて観測する部分が同居するのだが、これが例えばサクソフォンについて「アンコン」くらいしか知らないような人が聴いたら、もの凄いショックを受けるのではないか。そういった意味でも、ぜひ今後ともさらに活動の幅を広げて欲しいものだ、とも思った。

CDも買ったので、そのうちレビューします。

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終演後は、チケットを世話になった大学時代の友人(というか盟友)たちとともに、東銀座駅近くの山形田にて一杯。東京で蕎麦といったらこの店なのだが…今日も変わらず美味しかった。熱燗とともに味わう板そばが絶品である。

2011/11/29

アントルモンが弾くジョリヴェ「ピアノ協奏曲」

今週木曜に迫った、ブルーオーロラSQ演奏会情報はこちら

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いやはや、グレート!である。フィリップ・アントルモンが弾くアンドレ・ジョリヴェの「ピアノ協奏曲(通称"赤道コンチェルト")」。LP時代に発売され、CD時代に移行してからはずっと入手不可能だった録音なのだが、どういうわけかこのとおり復刻されてしまった。何があったか知らないが、大変に歓迎すべき事態である。超おすすめ。Amazonなどでも容易に入手可能(→ジョリヴェ:赤道コンチェルト)。

「ジョリヴェ:赤道コンチェルト(Sony Music Japan SICC 1522)」。併録はミヨー「ピアノ協奏曲」と「世界の創造」。すべての作品でフィリップ・アントルモンがピアノを演奏。ちなみに「世界の創造」は、なんとピアノ五重奏版(pf, vn1, vn2, va, vc)での演奏である。

これまでジョリヴェの「ピアノ協奏曲」を聴こうとすれば、入手できた盤はリュセット・デカーヴが弾いたストラスブール放送交響楽団との共演盤くらいだったが、純粋な聴後感としてもいまいち不満があった。アントルモンの盤は、この曲に必要な最高のパワーでの録音ではないだろうか。昔から決定盤とされていたが、確かに聴けばわかる。世の中にピアノ協奏曲は数あれど、これだけパワーのある作品・演奏といえば、この他にはサンソン・フランソワが弾いたラヴェル「ピアノ協奏曲」と、フセイン・セルメが弾いたフローラン・シュミット「協奏曲交響曲」くらいしか思いつかない。

サクソフォン的興味としても面白い。こちらのページでDonaxさんが解説しているが、おそらく演奏しているのはダニエル・デファイエである。時にはピアノとのユニゾンで、大きな存在感を放ちながら見事な演奏を繰り広げている。ジョリヴェの「トランペット協奏曲第2番」のErato録音でのデファイエの演奏を思い起こさせる。

2011/11/28

再掲:BASQ演奏会情報

CD発売以降、なにかと話題のBASQ(バスク)ことブルーオーロラ・サクソフォン・カルテットの演奏会が近づいてきた。

さっそくCDを手に入れた人が口々に「これはすごい!」と言っているのをFacebook上でみかける。どこで見たかは忘れたが、あの超名演と言われるハバネラ四重奏団のグラズノフ「四重奏曲」のライヴ録音に匹敵する、という評まで。まじっすか。例えば、これはmckenさんのCD評。

ライヴで聴くのが、ますます楽しみだ!

ちなみに私は、チケットは購入したものの、仕事がふたたび繁忙期に突入してしまい当日の仕事の状況次第。なんとか伺えると良いのだが。

【ブルーオーロラ サクソフォン・カルテットCDリリース記念コンサート】
出演:ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット
日時:2011年12月1日(木曜)19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
料金:一般5000円、学生3000円(当日各500円増)
プログラム:
J.S.バッハ - コラール・プレリュード
P.I.チャイコフスキー - 「四季」より10月
M.ラヴェル - 「クープランの墓」よりプレリュード
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏団
詳細:
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2011/12/event897.html

上野耕路「四重奏曲」の楽譜

終業後、江古田の日本大学芸術学部キャンパスへ。上野耕路氏から「サクソフォン四重奏曲」の楽譜をお借りしてきた。これまでもブログで何度か取り上げたことはあったが、まさに知る人ぞ知る名曲。「N.R.の肖像」の認知度を10としたら、こちらは3か2くらいかもしれない。

かつてシナジー幾何学というレーベルから、この曲と「N.R.の肖像」と「コノテイションズ」という3作品が収録されたCD「Chamber Music」が出ていたのだが、レーベル倒産により廃盤となってしまったのだ。3作品のどれも傑作、かつ演奏も気合いの入ったもので、廃盤になるには惜しいCDであった。「N.R.の肖像」がアルモSQのアルバム「革命児(マイスター・ミュージック)」のアルバムにも収録されていたのに対して、「サクソフォン四重奏曲」は「Chamber Music」にしか収録されておらず、いまやマトモに聴くことができなくなってしまっている。

CDが手に入らないなら演奏するしかないじゃないか(?)ということで上野氏に連絡を取ったところ、楽譜借用をご快諾いただいた。伺った際にいろいろとお話を聞いてきた。第1楽章の冒頭など、アカデミックかつモーダルな響きがするので、そういう方向性で作曲したのかと思ったら、実はそうではないようで。システマティック…どころか、Basicで2つの曲線とサックスの音域をプログラミングして引き出した音運びだそうな。へえええ。そのほか、興味深い話がいっぱいだった。

どこかで取り上げたいと思っている。いくつか候補はあるのだが、さて…。また、「N.R.の肖像」についても、ちょっと違った編成での演奏をすることができるかもしれない。委細後日。

2011/11/27

いろいろ事務作業だったり、練習だったり

いま、なぜか無性にラーメンが食べたくなった!

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今日はあちらこちらへ移動。まず、朝一番の高速バスに乗って長野の実家から東京へと戻り、いろいろとTsukubaSQ関連の事務作業。その後、埼玉県のプラザウエストでTsukubaSQ練習。練習後、アマリリス合奏団の演奏会にも行きたかったが、我慢して自宅に戻り、またまた事務作業。

毎週末の練習と、いくつかの本番、そして各種申込が迫っているため、ドタバタ。ああ、サクソフォン交流会についても少しずつ話しが進んでおり、そちらの作業も進めなければ。

2011/11/26

佐藤渉 Saxophone Recital

「佐藤渉 Saxophone Recital(Cafua CACG-0175)」

C.ケックラン「練習曲 2, 5, 9」
N.シェドヴィル「"忠実な羊飼い"からソナタ第6番」
J.ウィリアムズ「エスカペイズ」
R.ムツィンスキー「ソナタ」
P.M.デュボワ「協奏曲」

雲井雅人サックス四重奏団のメンバーとしてもおなじみの佐藤渉さんの、ファーストアルバム。独奏としてのCD収録は、実はこれが初めてというわけではない。アメリカ時代にシンシナティ交響楽団と吹き込んだGerhard Samuel「Remembering Orpheus」(未聴)でのクレジットというものがあるが、これはそんなに日本では有名ではないだろう。

佐藤さんの演奏は、これまでも様々に聴く機会があったが、特に印象深いのはマスランカ「レシテーション・ブック」のレッスンを受けたときのことである。これが普段聴いているアルトサックス、圧倒的な鳴りと豊かな響きに驚いたものだ。呼吸法とアンブシュアによる鳴りのコツを教えてもらったのだが、なるほど、最近のフレンチ・スタイルとは一線を画すコンセプトに、私たちが雲井雅人サックス四重奏団の演奏で「マウンテン・ロード」や「レシテーション・ブック」を聴いたときの、感動の秘密を見たような気がした。

ソロ・リサイタルは都合が合わず伺えなかったので、ソロCD発売はずっと楽しみにしていた。選曲も気合いの入ったもので、ぜひ多くの人に聴いてもらいたいものだ。ちなみに、超個人的な感覚では、ウィリアムズとムツィンスキーというアメリカン・サクソフォンを代表する2曲が収録されているのが嬉しかったりする。

ケックラン作品から、その美しい音色と豊かなフレージングを堪能することができる。ケックランの第2楽章とは、また憎いところを持ってきたなあ。思いつきはしても、ケックランの緩徐楽章を冒頭に配置するなど、なかなかできる芸当ではない。(フランス産とはいえ)古典的な様式美を持つケックラン、続けてバロック風のシェドヴィルという、奏者の音楽性が裸にされる作品を並べるとは…。

ウィリアムズ(そう、あのジョン・ウィリアムズ)の「エスカペイズ」は、前の2曲に比べればかなり強烈な印象を残す。ウィリアムズらしいネオ・クラシックの雰囲気に乗せて、サクソフォンが目まぐるしく駆け回る。こういう曲をクラシックとポップスの絶妙なバランスでさばいてしまうのが、佐藤さんの魅力である。この曲がついに日本でも知られるところになった、というのも、嬉しいポイントだ(国内発売のCDに組み込まれる、というのは、ある作品にとっては大きな事件である)。

ムツィンスキーも名演と呼ぶにふさわしい。好きな曲であるので、なおのこと気になってしまうのだが…。特に第2楽章はスピード先行型かと思いきや、ゴツゴツしたリズムを丁寧に掴んで演奏しており、よい意味で裏切られた気分だ。最近はいろんなプレイヤーがムツィンスキーを吹き込んでいるが、その中でもトップクラスの演奏ではないだろうか。雲井雅人氏が指揮を振ったデュボワも、おそらく相当な準備の上に臨んだのだろう、あのルソーの演奏を思い起こさせるものであった。

ひとつだけ不満点を書いておこう。ライヴで佐藤さんの演奏を聴いたときに感じられる、あの強烈な響きが、CDからは感じ取れない。これは、演奏・録音云々の問題ということではなく、CDというメディアの限界なのかもしれない。というわけで、気になる方はCDを購入しつつ直接聴ける機会を心待ちにしましょう。

雲井さん、林田さん、佐藤さんと来れば、次は西尾さんのCDを期待してしまいますな(笑)

音楽を聴く環境

金曜の夜から、長野の実家に戻ってきています。明日の朝には東京に戻る予定…。

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自分のアパートの部屋では、ずっと前に買った30000円くらいのONKYOのミニコンポーネントシステムを使っている。ふつうに音を聴くぶんには構わないのだが、いつかはもう少し良いものを、ということを考えている。なにせ、良いものを聴いてしまうとその魅力には抗えない。いまだに、何年か前に木下直人さんのところで聴いたタンノイのオートグラフの音・定位感が耳に残っている。少しずつ買い揃えることになると思うのだが(オートグラフではないですよ)、10年くらいかければそれなりのものが揃うかもしれない。もしくは実家にある古いスピーカー、コンポを復活させられないだろうか、とも考えている。

電車やバスでの移動中は、だいたい携帯音楽プレイヤー(iriver Clix2という何年も前の機種)を使っていろいろな音楽を聴いている。クラシックサクソフォンに加えて、ラテンジャズやらプログレッシブロックやらが雑多に入っている。たまーにマルセル・ミュール氏やダニエル・デファイエ氏の演奏を携帯音楽プレイヤーに入れることもあるのだが、やはり気軽に聴けるものではないですね(笑)。こういうのはやはりきちんと聴かないと、バチが当たりそうだ。

2011/11/24

プロフィールを更新

毎年この時期恒例の、本家サイトのプロフィール更新を実施した。研究活動関連、演奏活動関連の記述を、数ヶ所修正。そういえば、最近はプログラムノートの執筆もあまりやっていないなあ…なんかネタがあったらやるので連絡ください。

いまや更新の大部分はブログに集約されており、本家サイトの存在意義がどんどんと無くなっていってしまうような感じなのだが(苦笑)、ジオシティーズが存在する限りは定期的にメンテしていこうと思っている。

2011/11/23

To "B" Continued...

テキスト入力目的で、QWERTYキーボード付きの端末がずっとほしかったところ、LifeTouch NOTEがずいぶんと安くなっていたので購入。最初ATOKの流儀に苦労したが慣れればガンガン入力できる。Jota Text Editorとの相性もすばらしく、持ち歩いて文字を打ち込む機会が増えそうだ。

下の文章は、LifeTouch Noteを使って書いた後、GmailでPCに飛ばして少々加工したもの。

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R.プラネル「バーレスク」
A.デザンクロ「四重奏曲」
J.マティシア「チャイニーズ・ラグ」
高橋宏樹「アルルのサックス展覧会」
J.S.バッハ「G線上のアリア」
石川亮太「日本の四季によるミニアチュアシンフォニー」
高橋宏樹「トゥー"ベー"コンティニュード」

おなじみQuatuor Bのアルバム、ようやく聴くことができた。ここ3年ほどで新生のカルテットはどんどんと出てきているが、それぞれ個性的な活動を展開しており(ありきたりな活動や、他の真似事をするような四重奏団はほとんどない)、聴く方にとっても楽しみが増えたなあと思っている。昔みたいに圧倒的にこの団体かこの団体ということはなく、それぞれが肩を並べながらオリジナリティを競っているようなイメージだ。

Quatuor Bについては、すでに多くの方がご存じの通り。各種リサイタル、CD録音、地域活性化事業、サキソフォックスのお友達…それぞれが独奏者として十分な技術と音楽性を持っているメンバーであり、かつエンターテイメント性にも優れた団体であると思う。デビューアルバムは、スタンダードから新作までをバランスよく集めた選曲となった。

プラネルの「バーレスク」とデザンクロの「四重奏曲」は、まっとうなプログラムにまっとうな演奏と、逆にちょっと物足りない位なのだが、堂々たるものである。10年ちょっと前であると、その曲を演奏をしたくなくなるような変な演奏も氾濫していたものだが、確実にサクソフォンの技術の底上げは継続しているのだなあという印象を受けた。おそらく、地方公演の際にロビーで売られるのはこのCDなのだろう。とある中高生にとっては、この演奏を通してデザンクロの存在を知るということだ…なんだか嬉しくもある。ただし、第3楽章最後のアーティキュレーションについては、ちょっと釘を刺しておきたい。

マティシアという、ちょっとひねくれた選曲もGood(まあ、クリスチャン・ロバですから)。遊び心いっぱいで、間合いの取り方など日本人が聴いてドンピシャの部分を突いていると思う。「アルルのサックス展覧会」は、これはサクソフォンの名曲をコラージュしたものであるが、楽譜も同時出版されているとのことで人気がでそうだなあ。おなじみの高橋宏樹氏による珠玉のアレンジ。

箸休めの「G線上のアリア」を聴いた後は、日本の四季をテーマにした組曲。石川亮太という素晴らしいアレンジャーのサポートの元、縦横無尽に駆けめぐる。サクソフォンのために書かれた日本の四季メドレーといえば、野村秀樹氏のものが有名であるが、全部入り&アタッカの野村氏編と比べると、厳選かつ抜粋可能という対比が面白い(素材は同じなんですが)。これも流行りそう。

最後に置かれたアンコール作品は、ポップス&ジャズスタイルの小品。セカンドアルバムでの、さらなる飛躍を期待させるものである。

Amazonでの購入リンクは、こちら(→To B Continued)。

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…(続きの続き)

ミュール派とラッシャー派の統合に成功した初めてのサクソフォン奏者は、クロード・ドゥラングル教授なのかもしれない。Garage SのSさんからの示唆をベースにした考え方なのだが、ドゥラングル教授が何を考えて、あのような緻密なコントロールを前提とした目指しているのかといわれれば、そのひとつの理由として、サクソフォンのクラシック楽器としての地位向上を目指している、という理由があるのだという。

例えば、ミュールを始祖とするフレンチ・スクールのスタイルで、ジャック・イベールの「コンチェルティーノ」を吹けば、たちまち見事な演奏になってしまうだろう。しかし、同じスタイルでアントン・ヴェーベルンの「四重奏曲」を吹くことができるだろうか…いや、そんなはずがない。完成されたクラシックの演奏として求められているのは、隅々までよくコントロールされた音色・音量・音程感・フレージング、etcなのである。

ドゥラングル教授は、自身の協奏曲集に吹き込んだイベール「コンチェルティーノ」の演奏で、第2楽章を全て元の楽譜の通りにアルティシモ音域で演奏していた。その理由も、クラシック・サクソフォン流派の統合といった次元の話で考えれば納得がいく。レパートリーに関しても、初期のドゥラングル教授はずいぶんと現代よりの作品ばかりを取り上げていたイメージがあったが、BISレーベルの型番が進むにつれ、アドルフ・サックスの時代の作品~エリザ・ホール周辺の作品~フランスの近代作品~現代作品等々、サクソフォンが存在していた時代のあらかたの音楽はカヴァーしてしまったように思える。

その試みは成功していると言えるだろう。ただ、ミュール派に感じられるサクソフォンの「趣味の良さ」が失われてしまった、と評する向きもあり、次世代のサクソフォンは、楽曲に応じて表現や音色をカメレオンのように変えられるような、そんなことが求められているのだろうか。

2011/11/21

Ma meets Madeleine Isaksson

フィリップ・アントルモンが独奏を弾いたジョリヴェの「ピアノ協奏曲」初めて聴いた!感動!

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21世紀に入ってリリースされた最高の室内楽のCDは、Ma Ensembleの「Ma(Nytorp 0001)」だと思っている。そのMa Ensembleだが、このNytorp以外の録音を知らなかったのだが、Phono SueciaレーベルにMadeleine Isakssonの作品を吹き込んだCDを見つけた。

「Madeleine Isaksson - Failles(Phono Suecia PSCD 134)」というアルバムで、一枚まるまるMadeleine Isakssonの作品集となっている。Madeleine Isakssonは、1956年ウェーデン生まれ、ストックホルムの王立音楽院出身の女流作曲家である。ブライアン・ファーニホウ、ヤニス・クセナキス、モートン・フェルドマンといった作曲家たちに影響を受けながら、独自の活動を展開したそうだ。彼女がMa Ensembleに曲を提供した経緯についてはよく判らなかったのだが、ともかくMa Ensembleの演奏を聴けるというだけで盲目的になってしまう。

一曲取り上げるならば、やはりサクソフォン(もちろん、クリステル・ヨンソン Christer Johnssonだ!)が参加した「Inné」であろう。いくつもの音の彩が複雑に絡みあって、まるで植物の成長するさまを音で表現したかのようだ。ストラヴィンスキーの「春の祭典」の第1楽章の冒頭を思い出した。アルバムとしての完成度は、さすがにNytorpのそれには及ばないものの、高水準の演奏であることに間違いはない。Amazonなどからも買えるので、興味ある方はどうぞ(→Madeleine Isaksson - Failles

2011/11/20

John Harle plays Schulhoff on YouTube

最近、ジョン・ハールってどんな演奏活動をしているのかなと気になっているのだが、まだまだ演奏活動は現役のようで。Erwin Schulhoffの名曲「Hot Sonata」を全楽章吹いている動画を見つけた。この曲、もともとはサクソフォン&ピアノのデュオの作品だが、なんとRichard Rodney Bennettによるウィンド・アンサンブル用編曲!編曲の妙を楽しむのも、また一興であろう。

ジョン・ハールは、現役のサクソフォン奏者のなかではドゥラングル教授と並んで大好きな演奏家である。CDのジャケットなどで見られる写真と比べれば、年を重ねたなあ、という印象。さすがにちょっと求心力のようなものは薄まってしまっているような気もするが、第4楽章の最終部に向けてのパフォーマンスなど、世界中でもハールしかできないような演奏だ。

第1楽章


第2楽章


第3楽章


第4楽章

2011/11/19

パイパーズにラッシャーの記事を書いた

管楽器専門誌としておなじみのパイパーズに、シガード・ラッシャーの記事を7ページぶん載せてもらった。パイパーズの方から9月頃にシガード・ラッシャーに関連した記事を載せたいとの連絡があり、私も常々パイパーズには記事投稿を行いたいと考えていたため、渡りに船ということで二つ返事で引き受けたのだ。

数年前にサクソフォーン協会誌"SAXOPHONIST"に投稿した記事をブラッシュアップし、さらに30%ほどラッシャー四重奏団や、ラッシャーの演奏に関する(主観的な)考えの部分を書きおろして追加し、メール等で打ち合わせを重ねながら最終版にこぎつけた。私は文章といくつかのポートレイトを提供しただけなのだが、担当の方によるレイアウトの素敵さは特筆に値するもので、ゲラ刷りが上がってきたときは本当に感動した。担当のS様には、この場を借りて改めて御礼申し上げる次第。

2011年12月号、11月20日発売(明日!)である。詳細はこちらから。

本日執筆者用の配布冊子が届いたのだが、他にも面白い記事がたくさん。お恥ずかしいことに、実は今までマトモにパイパーズを買って読んだことがなかったのだが、いつもはサクソフォンだけ追っかけているため、他の楽器の記事など新鮮な気持ちで読むことができる。アドルフ・ハーセス(シカゴ響の黄金時代を支えた伝説的トランペット奏者)と演奏活動をともにしたティモシー・ケントの連載など、痛快そのものだ。

ラッシャーのことについて日本語で書かれた文章は、これまであまりなかったはず。サクソフォーン協会誌にラッシャーの記事を書いたときには、商業誌ではないゆえ限られた範囲にしか読んでもらえなかったのが残念だった。その点パイパーズは大きな書店か大概の楽器屋なら日本全国どこでも手に入るからなあ。

というわけで、ぜひよろしくお願いします。感想などいただけると幸いです。

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…(続き)

前回の記事にて、伝統的なフレンチ・スクールのクラシック・サクソフォンを特徴付ける要素…甘美な音色、演奏会場中を満たす大音量、ヴィブラート、弦楽器をお手本としたフレージング…のルーツはポップス音楽、すなわち、世界の大多数でクラシック・サクソフォンと思われている演奏スタイルのルーツはポップス音楽にある、と結論づけてしまった。

少なくとも、サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスが意図した方向性とはまったく逆の流れである。シガード・ラッシャーの流派は、こんにちどちらかと言えば亜流と捉えられているが、ラッシャー派のほうがよほど"クラシック"なのかもしれない(アドルフ・サックスは、まさか自分が発明した楽器のメインストリームが、このような方向に進むとは夢にも思っていなかったことだろう)。

数あるコンサートやコンクールやレコーディングが"ポップスがルーツ"の演奏スタイルを軸に評価されていると考えると、ある意味不思議と言うか、ちょっと怖いものがある。いや、サクソフォンの中で閉じていれば全く問題はないと思うのだが、他の楽器からの視線などを考え始めてしまうと、ちょっといたたまれないものすら感じる。サクソフォンがオーケストラに入れなかった理由も、クラシック音楽でなかなか使われなかった理由も、実はそのあたりにあるのではないか。

サクソフォンを取り巻く諸々の事情が、"クラシック・サクソフォンのルーツはポップスである"という考えのもとに成り立っていると考えていけば、これまで説明をつけられなかった様々なことに明確な理由を与えられるかもしれない。今後は、フレンチ・スクールのサクソフォンを考えるときに、そういった切り口も組み入れたい。

2011/11/17

クラシック・サクソフォンの源流を辿ると…

先日、某管楽器専門誌の方と話している中で、話題に出て気付かされたことを書き留めておきたい。

言うまでもなく、現在のクラシック・サクソフォンの元祖として認知されているのは、マルセル・ミュールの演奏である。ミュールが開拓し、ダニエル・デファイエが継承たこのスタイルだが、少なくとも1990年ころまではクラシック・サクソフォンの標準であったと言えるだろう。その後も、例えば日本国内のサクソフォンは、ミュールやデファイエのスタイルこそが王道だという根深い考えのもとに発展を遂げているし、フランスにだってその考えは残っている(先日、ファブリス・モレティ氏がらいにちしたばかり)。

ともかく、世界中のサクソフォニストほぼすべての共通認識として「マルセル・ミュール=クラシック・サクソフォンの元祖」という考えがあることは間違い無いだろう。

それでは、ミュールはどうやってクラシック・サクソフォンと呼ばれるジャンルを確立したのか。ミュールの演奏も最も強く特徴付けているのは、ヴィブラート、弦楽器をお手本としたフレージング、甘美な音色、演奏会場中に響き渡る大音量、といった要素である。では、ミュールはそれをどこから取り入れたのか。ミュールの初期の経歴を読んでみると"ダンスバンドでの仕事をしていた…"というような記述を見つけられるとおり、ポピュラー音楽からそれらの特徴を仕入れてきたのだ。

つまり、極端なことを言えば、クラシック・サクソフォンのルーツはポピュラー音楽である、と言ってしまえるのだ。

続く(かも)。

2011/11/16

作曲家の個展、という妄想

「作曲家の個展」というテーマでいくつかサクソフォン四重奏の演奏会を開いてみたい、という構想(というか妄想)がある。ひとつの作曲家をテーマにした演奏会、というのはちょっとした夢であるが、どんなことができるのか考えてみた。

ざっと思いつくのは、J.S.バッハ、JacobTV、上野耕路だろうか。

バッハは、栃尾克樹氏編曲の「イタリア協奏曲」、伊藤康英先生編曲の「シャコンヌ」、成本理香氏編曲「パルティータ第4番」という名アレンジが連なっており、楽譜探しには苦労しなさそうだ。ただしバッハはバッハであり、お客様に変化に富んだラインナップをみせたければ、すこし変化球のアレンジを加えるなどすればなんとかなりそう。

JacobTVに関しては、これはもう大石将紀さんがやってしまったが、例えば「Heartbreakers」とか、「TATATATATA」など、いくつか取り上げられていないネタもある。また、継続的にJacobTVの音楽を広めていくためには、再びこのコンセプトで演奏会を開くことも重要だろう。

上野耕路氏がサクソフォンのために書いた作品といえば、「サクソフォン四重奏曲」と「N.R.の肖像」あたりが有名だろうが、たとえばここに「コノテーションズ」とかその他の作品の編曲を混ぜたら「サクソフォン×上野耕路」というテーマでひとつの演奏会が開けそうだ。夢のまた夢だが、もし何か作品を委嘱…ということになれば、上野耕路氏にお願いしたい、などとも考えて(妄想して)いる。

んー、夢が広がるなあ。全部実現できることになるのは、何年後、何十年後だろうか。

2011/11/14

Quatuor Versaillesが演奏するグラプレ

先日のMichel Meriotの四重奏団の記事に呼応して、SaxofanのまさのびさんからQuatuor de Saxophone de Versaillesが演奏するジャン・リヴィエ「グラーヴェとプレスト」を聴かせてもらった。Meriotの四重奏団の演奏を初めて聴いたときは、まるで「グラプレREMIX(とは、宮崎真一さんのコメント)」とも表現できるような原曲無視っぷりに驚いたものだが、まさかそれと同じ演奏が他に存在するとは知らなかった。

Quatuor de Saxophone de Versaillesは、フランスのサクソフォン四重奏団。件のグラプレが収録されたアルバム「Pourquoi Pas?」録音当時は、mckenさんのサイト情報によると下記のようなメンバーで活動していたようだ。

Claude KELOGLANIAN, Soprano
Xavier RASSELLE, Alto
Michel OBERLI, Tenor
Dany AUBERT, Baritone

一時期は、Xavier Rosselle(ソプラノ)、Claude Brunel(アルト)というメンバー構成となったこともある。ちなみにその時の録音は、作曲家Demis Visvikisのサイトなどで聴くことができる。Claude Brunelは、ダニエル・グレメル Daniel Gremelleとのデュオ活動でも有名だ。

「グラーヴェとプレスト」がMichel Meriotの四重奏団と同じように演奏されていたということは、どこかに楽譜が存在するのではないか。出版されているとは考えにくいので、Meriotがプライヴェートに作ったか、作ってもらったかして録音し、その後受け継がれていった…といったところだろうか。それとも、Quatuor de Saxophone de VersaillesがMeriotの四重奏団の録音を聴いて、採譜したのだろうか。

さらに驚いたのはQuatuor de Saxophone de Versaillesの演奏スタイル。ほぼノン・ヴィブラートを貫いており、音色も軽量、まるで現代の四重奏団の演奏そのもので、1991年の録音だということが信じられない。現代の四重奏団の演奏だといって聴かされても信じてしまうかもしれない。驚きが驚きを呼んできた、という感じだ。

2011/11/13

午前~午後練習

12月のプラザノースでの本番(管楽アンサンブル)と、TsukubaSQでの四重奏の練習。それにしても、夕方のプラザウエスト~浦和駅は時間がかかるなー。京浜東北線沿線の遅延にも巻き込まれ、まさか練習場所から自宅に帰り着くまで、2時間半もかかってしまった(^^;プチ旅行気分。

四重奏のほうは、しばらく「N.R.の肖像」の第3楽章を練習していくこととした。また、フィル・ウッズの「3つの即興曲」も少し音出ししてみたのだが、こちらも良くできている曲だなあと感じ入った。

プラザウエストからバスに乗って帰る途中で、Ustreamをつないでみたところ、ちょうどサクソフォニー・フェスティバル沖縄のステージが佳境となっていた。サックス100人の演奏に乗せてホール全体が踊るカチャーシー…これはその場で体感したら、さぞかし凄かっただろうなあ。しかし、リアルタイムで演奏を観ることができるなんて、良い時代になったものだ。

東京文化会館アーカイブ

先の記事のコメント欄にて、おなじみThunderさんからオーケストラのことや指揮者のことなど様々な情報をいただいた。

その際リファレンスとなっていたのが、東京文化会館のアーカイブ。私は今まで存在を知らなかったのだが、これが面白いのなんのって。なんと、開館(1961年)から現在までの、すべての演奏会情報を調べることができるのだ。プログラム冊子の表紙のデータもあり、興味深い。

http://i.t-bunka.jp/

当たり前のように、「サクソフォン」「サクソフォーン」「サキソフォン」「サキソホン」などと調べてみるのだが、とにかく圧巻である。東京文化会館は、都内の数あるリサイタル・ホールの中でもある意味特別な位置を占める、そんなイメージがある。平たく言うと「デビュー・リサイタルはここ!」という感じ。少なくともサクソフォンに関して言えば、重要なリサイタルの多くが東京文化会館で開かれていると思っている。

例えば、最初に東京文化会館にサクソフォンが登場したのは、おそらくこの演奏会が最初であろう。なんと、石渡悠史氏が参加した修了演奏会だ。

例えばこれ。キャトル・ロゾーの最初期のリサイタル@東京文化会館の記録。この頃はまだキャトル・ローゾとなっていた時代であり、冨岡和男氏の名前も川俣和男となっている。それにしても、ゲストが超豪華だな…。

1975年のダニエル・デファイエ来日公演。そうそう、後半は打楽器との共演だったのだ。録音も聴いたことがある。

トルヴェール・クヮルテットのファーストリサイタルだって、記録が残っている。メンデルスゾーン、デザンクロ、ウッズ…いかにもこの時代のトルヴェール、という感じ。

時代は飛ぶが、第20回記念となったサクソフォーン・フェスティバルのプログラムとか。なかなか面白い。

とまあ、全部書いていくときりがないのだが、他にも、例えば田中靖人氏のファーストリサイタルがとてもシリアスな曲目だったり、平野公崇氏のリサイタルがすごく普通の曲目だったり(写真の若さにも注目)、アポロ四重奏団が来日してリサイタルを開いたり、さらには自分が聴きに行ったリサイタルの記録をたどってみたりと、見所が多い。みなさんもぜひ、検索して遊んでみることをおすすめする。

2011/11/11

彦坂眞一郎 plays Tomasi "Concerto" on YouTube

トルヴェール・クヮルテット等の活動で有名な、彦坂眞一郎氏の演奏動画をYouTube上で発見した。1986年…ということだから、彦坂氏が東京藝術大学を卒業した年だろうか、その頃のアンリ・トマジ「協奏曲」の演奏である。なんでこんな演奏が突然YouTubeにアップロードされていたのか、知る由もないが、貴重な記録である。

彦坂氏のソロは、実に真っ当かつ安定したもので、曲のパワーを存分に引き出すことに成功している。カデンツァや第2楽章では大胆な部分も散見され、ツボを押さえた、名演と呼ぶにふさわしいものだ。会場は東京文化会館とのことだが、指揮者・オーケストラの情報は無し…(ご存知の方がいたら教えてください)。トマジは、力量の低いオーケストラがやると強奏部で爆発気味になってしまうものだが(ドゥラングル&シンガポール交響楽団とか、ロンデックス国際第1回でのタイ交響楽団とか)、このオーケストラはずいぶんと落ち着いた演奏だ。高速部での、指揮者のまとめ方も素晴らしい。

・第1楽章


・第2楽章

2011/11/10

A.Tchaikovsky "Concerto for Saxophone Quartet" on YouTube

残念ながらPyotr Il'yich Tchaikovskyではなく、Alexander Tchaikovskyである。紛らわしいなあ。まあ、有名な作曲家と同じファミリーネームを持つ人物が作曲家となったところで、別段珍しいこともない。1946年、モスクワ生まれの作曲家であり、モスクワ音楽院で作曲を学び、現在同音楽院で教鞭をとっているそうだ。

それほど聴きこんではいないが、面白い作品であることは間違いない。パーカッションやピアノも使いながら、豪華なサウンドに仕上がっている。本作品の成立についてはきちんとした情報を見つけられなかったが、何度か再演されているようだ。そのうち、日本でも演奏される機会があるのではないだろうか。

この演奏におけるメンバーと使用楽器が、下記のように記述されていた。ソプラノサックス(途中アルトサックス持ち替え)を吹いているアレクセイ・ヴォルコフは、カプースチンとエシュパイのサクソフォン協奏曲集で独奏を担当していたプレイヤーとして名前を知っていた。他のプレイヤーについては、特に情報を見つけられなかった。

Alexei Volkov - soprano saxophone Selmer serie III
Leonid Drutin - baritone saxophone P. Mauriat 302
Igor Gurevitch - tenor saxophone P. Mauriat 66
Dmitri Sarasek - alto saxophone Selmer serie III

・前半


・後半

2011/11/09

木下直人さんから(Meriot率いる四重奏団)

もう1枚、木下直人さんから送っていただいたのが、大変珍しいMichel Mériot率いる四重奏団"Le quatuor de saxophones de la musique de la Sureté nationale(直訳すると、国家警察音楽隊サクソフォン四重奏団、ということだろうか)"の12センチ盤LPのトランスファーである。日本どころか、世界的に探してもほとんど手に入らないものであろう。毎度のことながら、木下直人さんには感謝申し上げる次第。

パリの"REGENCE"という聞いたことのないところからのリリース。収録曲は以下。"サクソフォン四重奏名曲ミニアルバム"といった趣である。

Isaac Albeniz - Sevilla
Pierre Vellones - Les dauphins
Jean Rivier - Presto
Nikolai Rimsky Korsakov - Vol du bourdon

非常にデッドな録音で、電気処理も(おそらくほとんど)加えられておらず、往年のLPの典型的なスタイルを思い出す。Thunderさんのところで取り上げられているパリ空軍バンドのロベール・レテリーの四重奏団のミニアルバムも同系統の録音であることを思い出した。初めて聴いたときは驚くが、繰り返して聴くにはこのほうがずっと良い。復刻についてはこれまでにも何度か書いているとおり、木下直人さんのトランスファー技術は単なる復刻ではなく、当時の空気感をも復刻しようとする世界最高クラスのものである。まさに、当時のフランスではこの音が聴かれていた…という部分を現代に蘇らせるのだ。

そのような最高の状態で聴くのだが、このキレキレな演奏はなかなかのカルチャーショックである。楽器の性能を十分に引き出し、超高密度の音で和声やリズムを組み立てていく様は、マルセル・ミュール四重奏団がフランセのオペラ「2人のパリ」を吹いた時の方向性に似ている。前述のレテリーの四重奏団の演奏にも類似している。当時のフランスのサクソフォン四重奏は、このようなベクトルを持つ演奏が流行していたのだろうか。貴重な記録だ。

最も興味を引いたのが、リヴィエの「プレスト」。「グラーヴェとプレスト」の「プレスト」部分の単純な抜粋(天理高校とかがアンコンでやってますね)だろうと思って聴き始めたのだが、まさかの超展開に驚いてしまった。最初聴いたときは、編集ミスかとも思ったが、いやはや。どおりで尺がやや長いわけだ…。

2011/11/08

木下直人さんから(Trois ballets)

先日書いた記事に呼応して、おなじみ木下直人さんからLPのトランスファーを送ってもらった。ジョルジュ・プレートル指揮のパリ音楽院管弦楽団(いわゆるソシエテ)、1961年の録音。ダニエル・デファイエが参加したというダリウス・ミヨー「世界の創造」の録音が収録されている。ジャケット裏面には、Pathé Marconiの印字が。

「Trois ballets Francais contemporains」
Francis Poulenc - Les biches
Henri Dutilleux - Le loup
Darius Milhaud - La creation du monde

プーランクの「牝鹿」(こういう充実した作品をわずか24歳にして作曲してしまうというその才能には、恐れ入るばかり)と、デュティユーの「狼」が同時収録されるところはなかなか面白い。デュティユーをきちんと聴くのはこれがほぼ初めてなのだが、こんな聴きやすい作品なんだ。いかにもフランス音楽の系譜に乗っている感じの、輝かしい響きを堪能できる。

オケがパリ音楽院管弦楽団というところも良いですね。大してクレジットも確認せずまずは聴き始めたのだが、トランペットの鳴りがまさにあのラヴェル作品集で聴いたトランペットそのものであり、すぐにこのオーケストラだと判った。おそらくルイ・メナルディの音ではないかと思われるが…。そして、弦楽器の特徴的な艶やかさ、木管楽器群の超名人芸的プレイなど、特徴を挙げていけばきりがない。フランス音楽が最も充実していた時期である。

さて、デファイエ氏が参加したという「世界の創造」である。これが初聴きとなるが、ミヨーの自作自演盤で聴いたような、「開始4音でデファイエと断定できる」というものではなかったのが興味深い。やや音程のとり方が不自然な場所が散見され、デファイエ氏のコンディション的には、もしかしたらベストな録音ではないのかもしれない。要所をきっちりと抑えた高音域の輝きや、ヴィブラートの流儀など、さすがである。何より、パリ音楽院管弦楽団の中で吹いているデファイエなど、この盤でしか聴けないのではないか。

録音的にも、サクソフォンをしっかりと捉えたミヨー盤、バーンスタイン盤とは違い、やや音場が遠いものであり、サクソフォンがそれほどクローズアップされていないと感じた。皮肉にも、ミヨー盤を担当したアンドレ・シャルランの録音の素晴らしさが際立つ結果となっている。ワンポイントであの極上のバランスを再現してしまうなんて!

2011/11/07

【演奏会ご案内】野村亮太さんのリサイタル

上野の居酒屋"大統領"に飲みに行きたい今日この頃です。寒いような暖かいような、そんな季節。

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【野村亮太サクソフォンリサイタル】
出演:野村亮太、大川千都(sax)、粥川愛(pf)
日時:2011年11月19日(土曜)14:00開演
会場:アクタス・アンナホール
料金:全席自由2000円
プログラム:
N.バクリ - 叙情的なソナチネ
W.オルブライト - ソナタ
E.タンギー - リトルネッロ
R.シューマン - 5つの民謡風小品
N.バクリ - アメリカン・レターズ

洗足学園音楽大学、オルネイ=ス=ボワ音楽院で学んだサクソフォン奏者として有名な、野村亮太さんからリサイタルのご案内をいただいた。確か最初はジェローム・ラランさん繋がりでお知り合いになったのだが、その後もサクソフォン交流会やサクソフォーン協会絡みでお世話になっている。

国内でこれまでも何度か単独のリサイタルを開いているはずだが、今回のリサイタルはプログラムがなかなか強烈である。ニコラ・バクリの聴いたことのない作品(いずれもサクソフォンがオリジナルではないようだが)や、私も大好きなウィリアム・オルブライトの「ソナタ」、シューマンも「幻想小曲集」とかではなく、知らない作品。タンギーにいたっては、スペルがわからず調べることすらかなわなかった(苦笑)。

ゲスト出演の大川千都さんも、野村さんと同じく洗足学園音楽大学を卒業され、フランスへの留学経験がある。バクリの「アメリカン・レターズ」で共演するようだ。大川さんも、なんだかんだで繋がりがあるのだがお会いしたことはないんだよなあ。

2011/11/06

久々のTsukubaSQ練習

大田区にて、先月の練馬の本番以来のTsukuba Saxophone Quartet練習。Oくんを加えて5人体制へ移行した、その初の練習だった。伊藤康英先生の「琉球幻想曲」、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」、そしてエルッキ=スヴェン・トゥール「ラメンタティオ」を合わせた。琉球とAtomは、まあなんとかなるが、トゥールはめちゃくちゃ難しいっす(苦笑)。

12月の本番まで合わせの時間がほとんど取れないが、その中でどこまでできるか…。なんとか上手くやっていきたい。

2011/11/05

Saxofanのブログバージョン

"クラシック・サクソフォン界ウェブ黎明期"なんていうものが定義されるとしたら、それを支えた2大サイトがThunder's WebFantastic Classical Sax、そしてそこに続く4つの有名サイトがSaxophone Box!!、SAXOLOGIE(閉鎖)、Saxofan、真珠の母(閉鎖)だと思っている。

この中で"まさのび"さんが管理されていたSaxofanは、ドビュッシーの「ラプソディ」について調べたことのある方にはおなじみだろう。「ラプソディ」の成立について、当時からCDのブックレットには情報として掲載されていたけれど、インターネット上のまとまった情報は、Saxofanにしかなかったはず。まさのびさんとは、1年ちょっと前にFantastic Classical Saxの管理人、mckenさんのご紹介で初めて対面することができ、それ以来演奏会や飲み会などでお会いしている。

さて、そのSaxofanだが、ここ最近ブログに移行し更新が再開しているのだ→http://saxofan.at.webry.info/

横浜楽器フェア2011の、Garage Sブースのレポートもアップされていた。アドルフ・サックス社製の楽器出展は、明日11/6まで!

コンフローレ室内合奏団第28回大学祭コンサート(11/5)

tfmさんにご案内いただいて伺った。会場は千葉大学のキャンパス内。面白い所で演奏会が開かれるんだなあと思っていたら、到着してびっくり!なんと学園祭の真っ最中じゃないですか。先月に伺った母校の学園祭とはまた違った雰囲気を楽しんだ(といっても、出店の前を通過しただけだが…)。

本日のコンサートは、2日連続で開かれるうちの1日目。会場となった"B号館"と呼ばれる建物は、ひとつの建物がそのまま大教室になっているような場所だった。音響は大丈夫なのかなあとおも思ったのだが、意外にも聴きやすい。黒板が上手いこと反響板の役目を果たしていたのかもしれない。演奏者と聴衆の距離もほどよく、良い具合に音が飛んでくる。

【コンフローレ室内合奏団第28回大学祭コンサート】
日時:2011年11月5日(土曜)14:00開演
会場:千葉大学西千葉キャンパス総合校舎B号館
プログラム:
W.A.モーツァルト - フルート四重奏曲第1番より第1楽章 [fl, vn, va, vc]
H.C.ワーク - 大きな古時計 [2tp]
いずみたく - 見上げてごらん夜の星を [2tp]
永野紗希 - 5本のフルートのための小品 [5fl]
G.ホフマン - ヴァイオリン四重奏曲 [4vn]
E.ラロ - ピアノ三重奏曲 [vn, vc, pf]
J.イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラより第1楽章 [asax, vn1&2, va, vc, cb, fl, ob, cl, fg, hr, tp]
L.v.ベートーヴェン - 三重奏曲より第3,4楽章 [fl, ob, cl]
J.S.バッハ - 2つのヴァイオリンのための協奏曲より第1楽章 [vn1&2, pf]
R.シューマン - ピアノ四重奏曲より第3楽章 [pf, vn, va, vc]
A.ハチャトゥリアン - 仮面舞踏会より第1楽章 [pf]
J.S.バッハ - チェンバロ協奏曲第1番より第1楽章 [pf, vn1&2, va, vc, cb]

弦楽器、管楽器、ピアノまで、さまざまな室内楽編成を聴くことができた。プログラムだけ見るとかなりの有名曲が並ぶが、時々「おっ、これは!」という新たな発見や、めちゃくちゃ上手い演奏があったりして面白い。お客さんもかなり多く入っており、後半にかけては会場がどんどんと熱気を帯びていった。

さて、お目当てのイベール。とても難しい曲だし、いくら名手が揃っているとはいえアマチュアだし、どんなもんかなと思って聴き始めたのだが、冒頭のドミナント・コードの響きからすごく良い演奏が聴こえてきて、驚き!オーケストラの緊張感も心地よいし(いくつかのCDで聴かれるオケが低調な演奏と、今日の演奏はかけ離れている)、サクソフォンが導入部を演奏して弦楽器パートのピツィカートと絡むところなんか、ぞくぞくしてしまった。サクソフォンパートも、熱いだけではなく技術的に作り込んであって、実に聴きごたえがあった。いやあ、ブラヴォーでした。お客さんの反応も上々。

テンポ設定に関しては、すっかり耳を洗いなおされてしまった。これまではどちらかと言うと、ミュールやデファイエのようなかっとび系演奏が好きだったのだが、今日の演奏を聴き、須川展也氏&BBC&佐渡裕氏のようなテンポもアリなのだなあと思えるようになった。

ふと考えてみたのだが、音大生を除くアマチュアで、イベールをオケバックでやったことある方って…Thunderさんくらいしか思い当たらないのだが(笑)tfmさんの行動力には恐れ入る。今度はアンドレ・カプレの「伝説」とかやってほしいなあ。

Vibrato Polycarbonate Saxophone

明日のtfmさんの演奏を宣伝!オケバックでイベール!すごいなあ…。私も聴きに行きます。

【コンフローレ室内合奏団大学祭コンサート】
日時:2011年11月5日(土)14:00開演
会場:千葉大学西千葉キャンパス総合校舎B号館
プログラム:
イベール「アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」
問い合わせ:
http://saxastfm.blog.fc2.com/blog-entry-56.html

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昨日の楽器フェアでは、Garage Sのブース以外にもいくつか伺った。ひとつお目当てだったのは、イシバシ楽器のブース。

最近何かと話題の、Vibrato社製ポリカーボネイト・サクソフォン A1/A1Sである。先週末にトラクシオン・アヴァンの演奏会で、宮崎真一さんが吹いているのを聴いたばかりだったが、まさかこんなに早くに実際吹ける機会が巡ってくるとは思わなかった。スタッフの方にお願いして、A1/A1Sを両方共吹かせてもらった。

取り合わせは、通常のアルトサクソフォン用のSelmer S90-180とVandoren Traditional 3番リード。直前までアドルフ・サックスの楽器を吹いていたせいか、吹きこんだ瞬間の音量にはびっくり。さすがに、金属の楽器のような引き締まった音は望むべくもないが、意外と普通に吹けてびっくり。屋外で遊びで吹く用途なんかには、もってこいなのではないかな。2本あれば、もっと楽しそう!この楽器をつかってストリートで演奏…など、いろいろと夢(?)が広がる。

隣で試奏していた方はジャズの方だったが、低音から高音までしっかりした鳴りが特徴的。クラシックというよりは、ポップス用途・ジャズ用途では楽しく使えそうだ。もし楽器フェアに行かれる方、ぜひイシバシ楽器のブースもいかがだろうか。もちろん、アドルフ・サックスの楽器が吹けるGarage Sのブースは、全サクソフォン奏者必須!

お店の方に聞いた(書けそうな)ことをご紹介しよう:

・A1とA1Sの違いについて。"S"はソリッドのSであり、管体の材質が違うそうだ。A1Sのほうがどちらかと言うと固めで引き締まった材質でありまとまった音を、A1のほうはよりスモーキーかつブライトな音を、それぞれ想定しているとのこと。個人的にはA1のほうが好きかな…?という感触。

・パッドはシリコン製で、塞ぎを調整する必要がない、いわゆるメンテナンスフリーを謳っているが、このパッドが実は高品質。さすがにメーカーは教えてくれなかったが、自動車用部品と同じ製造ラインで作られているそうだ。実際の製造は、部品をプラモデルのように組み立てる作業が主体であるが、その組立て自体も質が高く、例えば管体と部品の接合などは見た目よりも頑丈で、思い切り衝撃を与えても実はダメージは皆無(さすがに試せなかったが)とのこと。

・日本への初回入荷分は、とっくに予約で埋まってしまった。タイ製で、やはり洪水の影響もあり部品の納入が難しくなっているそうだ。幸い、出荷のロジスティクスについてはノーダメージであるとのこと。今のところ継続して生産・出荷を続けているそうだ。

・すでにウェブページには書いてあるとおりに、いずれはテナー、そしてその先までの計画(これは楽しみにしておきましょう)があるそうだ。この情報にはドキドキしてしまった!笑

・日本で売り出される形になるまで何度かバージョンアップがあった。例えばバネ。最初は針バネを使っていたが、どうしてもタッチに違和感があり、螺旋バネに変更して、比較的良いレスポンスを得たそうだ。管体は某楽器をそのまま型取りコピーしたものだが、音程を獲得するためにトーンホールの位置を修正した。ネックの中間部にあるオクターヴホールも、もともとは通常のサックスのような形をしていたが、耐久性等の観点から現在の位置(中間部下側)に変更された…等々。

2011/11/03

ガレージエスのブース@楽器フェア2011

パシフィコ横浜で開かれている"楽器フェア"に伺った。2年間に一度開かれている催しで、楽器メーカーから販売店まで多くの出展・デモを楽しむことができる。事前に伺っていた話だと、関係者がだいぶ多いということだったのだが、会場に足を踏み入れるとそんなこともない印象を受けた。休日ということもあって家族連れや若い方々も多く、なにより楽器のイベントであるためにぎやか!仕事で行くような展示会とは大違いだ。

今回の一番の目的は、"ガレージ エス(Garage S)"のブース。以前もこのブログで取り上げたが、アドルフ・サックス社のサクソフォンを試奏可能な状態で展示しているのだ。ブースでは、浜松サクソフォンクラブのてるてるさんやその旦那さん(初めてお会いした)、明後日にイベールの本番を控えたtfmさんにもお会いした。

"ガレージ エス"ウェブページ→http://garages.p-kit.com/
楽器フェアの"ガレージ エス"出展内容紹介ページ→http://musicfair.jp/exhibitor/information.html?id=MF11012

まずは、持ってきた現代のマウスピース:Selmer S90-180を使ってアルトサクソフォン(息子、エドゥアルドの時代のサクソフォン)を吹かせてもらう。出展されていたアルトは2本で、いずれもエドゥアルドの時代のもの。片方はコンセルヴァトワールの主席卒業生に寄贈品として贈られたもので、もうひとつは普通の楽器だそうだ。手にしただけで作りの丁寧さが感じられる。メカは少なく、管の円錐型の開きがよく分かる。吹いてみると、意外にも簡単に音が出た。オクターヴ・キィを離したソ以下の低音部は、現代風の奏法で演奏することができず、アンブシュアを緩めにコントロールしなければならなかった。高音域は、オクターヴ・キィが2つに分かれており、ラの運指あたりから切り替えなければならない。もちろん、音程感覚は現代の楽器とはかけ離れている。

続いて、その楽器に付属していたというメタルのマウスピースをお借りして吹いてみた。マウスピースから先が共鳴して、現代のマウスピースとの組み合わせで感じられた違和感がなくなった。5分ほど音域を行ったり来たりしていると、アンブシュアが慣れてきて、いよいよ吹くのが楽しくなってくる。そんな状態で「アルルの女」のフレーズやグラズノフの冒頭など吹いてみると、得も言われぬ魅力的な音がするのだ。オーケストラ・スタディなど持ってくれば良かったかなあ。

現代の楽器で演奏するときにやるような、しっかりと息を吹きこんで音量を出す、という感覚からは程遠い。それほど息を吹き込まなくとも、アンブシュアとマウスピースと楽器が、勝手に響きを作ってくれる感じ。周りがにぎやかだったのではっきりとはわからないのだが、それでも体内を通して跳ね返ってくる音は、いままで体感したことのないようなものだ。

ジャズなどで求められるような"ソリッドな"音は、この楽器・奏法では出すことができない。アドルフ・サックスがクラシックの楽器としてサクソフォンを開発したということがよく分かる。現代の楽器は、キャパシティが大きすぎるとも感じる。フュージョンやジャズには合っているかもしれないが、クラシックは現代の楽器の性能の何%を使っているのだろうか。そして、果たしてクラシックの演奏に、現代の楽器は必要なのだろうか…などとも考えてしまった。

続いて、ラッシャーのマウスピースとBuescherのTrue Toneの組み合わせ。アドルフ・サックス社のサクソフォンを吹いた後にこの組み合わせに移行すると、全く違和感がない。音色のコンセプトはそのままに、操作性と音量が正統的に進化している、という感触。同じように「アルルの女」や「世界の創造」など吹くが本当にアドルフ・サックス社のオリジナルに近い感覚だ。

そして、驚いたのがこのあと。ガレージエスのSさんが、デファイエの演奏する短いフレーズをiPodで聴かせてくれたのだが、驚いたことにアドルフ・サックス~ラッシャーと続く、その延長線上にデファイエの響きが位置するように聴こえたのだ。…デファイエはクランポンとセルマーの楽器を使っていたが、出てくる音は、同じ楽器を使ったとしても誰も真似できない音である。もしかして、デファイエの奏法はアドルフ・サックスの楽器を吹くときのものに似ていたのか?

ちなみにこれらの楽器、販売もしているとのこと。ちなみにアドルフ・サックス社の楽器は、私なんかには簡単に手が出せない値段だが、食指が動いたのはラッシャーのマウスピースとBuescher True Toneの組み合わせ。比較的安価(ぜんぶ組み合わせても10万円くらい?)にアドルフ・サックスの意図した響きを再現できそうだ。

いやはや、数10分のうちに本当にいろいろ貴重な経験をさせてもらった。楽器フェアは6日までやっているので、サクソフォンを吹いている方ならぜひぜひ行って体験すべきだ(強烈にオススメする)。楽器に対する考えが根本から覆ってしまうかもしれない。ご案内いただいたSさんには、改めて感謝。

2011/11/01

ミヨー指揮の「世界の創造」(デファイエ参加)

ダニエル・デファイエ Daniel Deffayet氏が参加したダリウス・ミヨー「世界の創造」の録音といえば、まず代表的なのはバーンスタイン盤である。もし、これを聴いていないサクソフォン吹きがいたら迷わず買って聴いて頂きたい(これを聴かずにオーケストラの中のサクソフォンを語ることなどできない)。その音色、そして音楽の存在感は、ギイ・ダンカンらを始めとするフランス管楽器界の名手たちの自由闊達なプレイの中にあってもなお、圧倒的だ。1976年録音で、フランス国立管弦楽団との共演。

もうひとつ有名なのは、プレートルがパリ音楽院管弦楽団を振った盤。こちらは、実は聴いたことがないのだが、Thunderさんのページに記載があるので挙げておく。1961年の録音だそうだ。

そして最近、フルートのさとうさんに聴かせてもらったLPが、ダリウス・ミヨー指揮シャンゼリゼ劇場管弦楽団との共演盤。著名なバーンスタイン盤に先立つこと20年(!)デファイエがまだ30代前半のころの貴重な録音である。実はクレジット情報は書かれていないようなのだが、演奏を聴くと(最初の4音くらいで)ほぼ間違いなくデファイエと断定できる演奏。オーケストラの演奏も良く、バーンスタイン盤に匹敵するような、質の高い録音だと感じた。

驚異的なのは、1976年だろうが1956年だろうが、デファイエが吹くサクソフォンパートの解釈はほとんど変わっていないということ。30代前半にして、確固たる音楽感を持っていたというのも凄いことではないか。また、1956年ならば、まだマルセル・ミュールも現役だった時期だが、デファイエが指名されたのはなにか理由があってのことなのだろうか。

サクソフォーン・フェスティバル愛好家ステージ出演者募集

実行委員の方に依頼されたので宣伝:2011年のサクソフォーン・フェスティバル、愛好家ステージの出演団体を募集中だそうだ。私もこれまでに2、3回ほど、Tsukuba Saxophone QuartetやEnsembleΦで出演したことがあるが、今年もEnsembleΦ+豪華ゲスト、という編成で出場し、啼鵬さんアレンジを数曲演奏する予定。

年末の忙しい時期だが、参加費以上の楽しみ・交流を得られるのではないかな。参加申し込み締め切りは、11/7ということでやや差し迫っているが、特にまだ出場したことのない団体の方、ぜひ前向きに出場を検討されてはいかがだろうか。Thunderさんのブログでも取り上げられているので、そちらもお読み頂きたい。

参加要項は、PDF化して下記URLにアップロードした。
http://dl.dropbox.com/u/311270/festival2011.pdf

2011/10/30

Life-Work Project Vol.3 ~ザ・サックス カルテット~

【Life-Work Project [東日本大震災支援チャリティコンサート・シリーズ] Vol.1 ~サクソフォン・ファミリー大集合!~】
出演:トラクシオン・アヴァン(宮崎真一、各川芽、清水いずみ、近藤敬行)
日時:2011年10月29日(金曜)15:00開演
会場:石森管楽器B1Fイヴェントスペース
プログラム:
D.スカルラッティ - 3つの小品
F.メンデルスゾーン - ロンド・カプリツィオーソ
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
B.ジョエル - ルートビアー・ラグ
M.リパートン - Lovin' You [Sr, Sn, T, B]
D.ベネット - サクソフォン・シンフォネット [PolySax, A, T, B]
M.ラヴェル - 楽園の美しい3羽の鳥
M.ブレッカー - デルタシティ・ブルース [solo T, A, T, B]
L.アンダーソン - フィドル・ファドル

Vol.1に伺って以来だった。宮崎真一さん関係の演奏会は、普段サックスの演奏会でお会いするような知り合いがあまりいないのだが、今回はTsukubaSQのKさんも来た他、会場ではしらこばと音楽団の本番を終えたばかりのニジマスさんにもお会いした。

かっちりした技術だけではなく、エンターテイメント性やマニアックなところまでをバランスよく配合した演奏は、さすがである。前半のクラシック3曲も、お馴染みのスカルラッティ&ボザに加えて、メンデルスゾーンという編曲を織り込んでくるところが素敵だ。しかもこのメンデルスゾーンがまた爽快な演奏で、会場からはため息が漏れた。

後半は、いわゆるサックス四重奏で演奏される"普通のポップス"が1曲もなかった!高度なテクニックに乗せて、「ルートビアー・ラグ」を演奏。そこら辺のクラシック曲よりもよっぽどテクニカルなアレンジ。リパートンの「Lovin' You」は、相変わらずの各川さんのソプリロ・サックスの驚異的なコントロールに惚れ惚れ、である。

ディヴィッド・ベネットの「サクソフォン・シンフォネット」は、これはAATBで演奏される曲の定番レパートリーだが、なんとこれのアルト1stパートをVibratoのポリカーボネートサクソフォンで演奏。さらに、曲が持つブルース風のイメージも存分に引き出して、これまで聴いたことのないような演奏に仕上がっていた(すごかった…)。

その後、「楽園の美しい3羽の鳥」をしっとりと演奏した後、なんとマイケル・ブレッカーのデルタシティ・ブルースを演奏。いやー、まさかこの曲が出てくるとは思わなかった。サクソフォン四重奏で演奏する、という発想も凄い…冒頭の見事なソロを披露した宮崎真一さんに大喝采が浴びせられた。最後は、アンダーソンのナンバーにて幕。

演奏後のヒトコマ。宮崎真一さんがVibratoサクソフォンを、各川芽さんが普通のアルトサクソフォン(ちなみにこの楽器は、ニジマスさん所有のCrampon S-1なのだ笑)を一緒に吹いている様子。一緒に吹いている様子を聴くと、さすがに違いがはっきりと判る。

ポリカーボネート製サックス、驚いたこと:
Eb管。
コンサート後に持たせてもらったけど、軽い。本当に軽い。
バネが、針バネではなく本当のバネ(いわゆる螺旋形スプリング)。
タンポが、皮等ではなくシリコン。
マウスピース差込口が、シリコンのようなウレタンのような素材。

2011/10/28

最近書いた記事関連で…

一件はサクソフォーン協会誌に、もう一件は某管楽器専門誌に、それぞれ記事を提供した。

サクソフォーン協会誌のほうは、ロシアのサクソフォンについて、S.ウィルソンの論文やJ.M.ロンデックスの評伝、ロシアのジャズサクソフォン史である「Red and Hot」等を参考にしながら書いた。実はもっと現代寄りの話題も出したかったのだが、シャポシュニコワ教授へのインタビューが言語の壁のせいで先送りにせざるを得なくなってしまい…やむなく、ソ連崩壊頃までの内容をまとめることとなった。ロンデックスのロシアツアーの話も盛り込み、そこそこ分量が多くなってしまった。

今回は編集委員としても参加しているので、校正作業のため、レイアウトが出来上がったぶんから少しずつ送られてきているところ。各著者の記事を先に読んでしまうのは楽しみがなくなってしまう…という残念な気持ちもあり、お得な気持ちもあり。発刊は11月頃になりそう、とのこと。

某管楽器誌のほうは、今日編集部まで出向いて担当の方とお話ししてきた。数年前にサクソフォーン協会誌に寄稿したシガード・ラッシャーに関する記事を全面的に見なおして、さらに30%ほどの書きおろし部分を付け加え、掲載してもらうこととなった。校正のためのゲラ刷りをもらったのだが、素晴らしいレイアウトにしてくださって感激である。こちらも11月発刊予定(また案内します)。

担当者の方と話が弾み、かれこれ2時間半も編集部に長居してしまった。サクソフォンのことからクラリネットのこと、何から何までマニアックな話が及んで、楽しかったなあ。

2011/10/27

Garage S出展内容@楽器フェア

Garage SのS様より、来月初頭にパシフィコ横浜にて開かれる"2011楽器フェア"への出展についてご案内いただいた。なんと、最近話題のアドルフ・サックス製の楽器を試奏可能な状態として出展するそうだ。Garage Sのサイトにもお知らせが掲載されている。

実はすでに浜松サクソフォンアンサンブルのてるてるさんからご案内いただいており、11月3日に同ブースに伺うつもりでいたのだが、昨日ラッシャーのマウスピースの記事をアップしたあとに、記事を読んでくださったS様から改めて連絡をいただいたのだ。以前、木下直人さんトランスファーのデファイエの録音でやり取りしたのだが、そんな縁もあってのこと。

楽器フェアの展示紹介のページは、こちら:
http://musicfair.jp/exhibitor/information.html?id=MF11012

以下、Sさんの案内文から引用。

歴史や資料や文章の中だけの楽器ではなく、実際に吹ける楽器として、認識してもらいたいと思って試奏できる機会を探してました。ラッシャー氏やアドルフサックスの音色や奏法、フレンチスクールの流れの根底にあるもの、大げさではありますが、それらの追体験ができると思います。もし機会があればお足を運んで頂けると幸いです。

最近何かと話題のアドルフ・サックス製の楽器、興味ある方はぜひマウスピースを持ってGarage Sのブースに伺ってみてはいかがだろうか。…もしラージ・チェンバーのマウスピースを持っているならば、なおさら!(そんな人、日本にいるのかな?)

ラッシャーのマウスピース推薦文

ラッシャーのマウスピース紹介のページにある、ラッシャー自身の推薦文が面白かったので、翻訳してみた。基本的な考えは、数年前にブログ記事用に訳した文と同じであり、特に真新しい情報はないが、注目すべきところはやはりラッシャーの挑発的な物言いだろう。

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親愛なる友人へ:
これは、私の名を冠した唯一のマウスピースである。私がコンサート活動を始めてから使っているマウスピースの、正確なレプリカである。このマウスピースを使って私が紡ぎ出した音色は、一般に「サクソフォンの音色」と呼ばれている音とは全く違うにも関わらず、世界中で賞賛を得た。

このマウスピースは、ただ一種類のフェイシングを持つ。これは何かの見過ごしでも製造コストの問題でもない。たくさんのプロフェッショナル奏者、サクソフォンを学ぶ生徒たちの経験に基づいたものだ。サクソフォンを演奏する上で、マウスピースのフェイシングは、様々な演奏上の恩恵をもたらすひとつの要因となり得る(フラジオ音域、音色の輝かしさ、音量、レスポンス、等々)。しかし、これらの恩恵は、得てして他の特徴をアンバランスに減少させてしまう。結果的に、不安定な音色を生み出すことになってしまうのだ。ここ数十年の一般的なマウスピースの傾向は、音色の輝かしさとある種のエッジを音色の中に求めるものであり、それらと引き換えに表情の美しさを失っていると考えられる。フェイシングに関する無意味な議論にばかり集中してしまい、マウスピースの内側の空間に関する議論を忘れてしまっていたのだ。

サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスは、マウスピースの内側の空間について、明確ない定義を行なっている。アドルフ・サックスの特許に示された図に描かれているとおり、短くて太いずんぐりした形状で、大きな図体で、マウスピースの内径についても大きく、樽型のチェンバーを持つというものだ。また、特許の図に添えられた文章が示すとおり、すべてのサクソフォンのマウスピースは同じ形で有るべきでなのだ。

音色の改善に関する意見を作る前に、まずは8週間、新しいマウスピースで毎日練習してみなさい。昔のマウスピースと新しいマウスピースを交互に使ってはいけない。初期段階で多大な努力を求められても、諦めてはいけない。この努力に対する見返りは、サクソフォンが本来持つ特徴…滑らかで豊潤な音色、他の楽器との音色のブレンド、独奏の際の表現力となって、もたらされることだろう。このマウスピースを使うことで、アドルフ・サックスが目指したクラシック音楽の高貴な遺産に新しい風を吹き込むという目標を実現する手助けとなることだろう。

私がこのマウスピースから得た利益はすべて、サクソフォンの教育のための基金へと使われる。

Sincerely Yours,

Sigurd Manfred Rascher

2011/10/25

IS05をAndroid 2.3へアップデート

IS05をメジャーアップデート。いちばんの更新点は、OSがAndroid 2.3となったことだ。いろいろと細かい所が使いやすくなって嬉しい。IS05の完成度の高さを改めて感じる。携帯電話の更新サイクルは2年~3年くらいだが、このぶんなら余裕であと2年くらいは使えると思っている。

そういえばauといえば最近はiPhone 4Sが人気だが、Apple製品をひとつも持っていない自分としては、いまいち飛び込む勇気が出ない。これまでに収集してきたデータ資産はWindowsで扱うことを前提としていることもあり…って、要はまんまと囲い込み戦略にはまっているのだが。初めて触れたコンピュータがAppleだったら今の状況は違ったかも。

海の向こうからは、Android 4.0という話も聞こえてきた。Samsungが手がけたリファレンスデザイン(Galaxy Nexus)にはOMAPが乗っているのか…しばらくTIの一人勝ち状態になるのだろう。となると、Qualcommの次の一手は…?

2011/10/24

Arno Bornkamp plays Milhaud & Adams in orchestra on YouTube

オランダのサクソフォン奏者、アルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏が、ダリウス・ミヨーの「世界の創造」とジョン・アダムズの「シティ・ノワール」をオーケストラの中で吹いている動画を発見した。Radio Filharmonisch Orkestこと、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で、指揮者はなんと演奏会通してジョン・アダムズ(!)。驚いた。

アダムズの「シティ・ノワール」には、超絶技巧を要するサクソフォンパートが含まれている。初演はグスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス交響楽団で、ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏がソロパートを務めたが、その強烈な演奏は当時語り草となった(NHKの芸術劇場でも放映された…たぶん、NHK史上最もサックスの音数が多かったに違いない笑)。以前ブログでも取り上げた

ロスフィルでの初演後、ロンドン交響楽団(この時のソリストはサイモン・ハラーム Simon Haram氏)他、いくつかのオーケストラで取り上げられていたようなのだが、オランダで演奏される機会があったとは知らなかった。独奏がボーンカンプ氏…まさに、オランダにあってはこの人以外有り得ないという順当な人選だ。しかも、「シティ・ノワール」のみならず、同じくサクソフォンが活躍しまくる「世界の創造」まで演奏されたとは!しかもその演奏会の模様がまるまるYouTubeに公式にアップロードされているとは!驚き10倍という感じ。

ミヨー、アダムズともに、実に聴き応えがある。時間のあるときにじっくり楽しんで頂きたい。「世界の創造」は、さすがにフランス国立管弦楽団とバーンスタインとデファイエのコンビには敵わないかもしれないが、なかなかの名演である。「シティ・ノワール」は、アダムズ氏の指揮が意外なほどにイケイケで…第3楽章の勢いなど、ロスフィルを思い出すテンションだ。


Darius Milhaud - La Creation du Monde(ミヨー「世界の創造」)…7:00くらい
Igor Stravinsky - Les noces(ストラヴィンスキー「結婚」) 33:30くらい
John Adams - City Noir Mov.1(アダムズ「シティ・ノワール」)…1:27:10くらい
John Adams - City Noir Mov.2…1:40:00くらい?アタッカなのかな?
John Adams - City Noir Mov.3…1:49:30くらい

ちなみに、リハーサル映像が下記動画から少しだけ観られる。ボーンカンプ氏の暴れっぷりは、リハーサルの時のほうが凄いような(この動画については記事を書いていた)。

2011/10/23

しらこばと音楽団@岸町地区文化祭2011

昨年も参加した浦和の岸町地区文化祭に、今年もしらこばと音楽団のメンバーとして参加。今回のメンバーは、ねぇ。さん&ニジマスさん(asax)、mckenさん(bsax)、やまーさん(perc)、kuri(tsax)。

地域の文化祭の催し物の一環ということで、親子連れやガールスカウトのみなさん、ご年配の方など、たくさんの方が遊びに来てくれた。やっぱり、演奏し始めると音が部屋の外に聴こえていくためか、あっという間に大盛況になる。朝の9時半から午後3時まで、ほぼノンストップで様々なイベントを実施した。終日大賑わいだった各イベントの写真は、Facebookにて友人限定で公開中。

・しらこばと音楽団の演奏(11:30~&14:00~の2回公演)
・メンバー持ち寄りの小物楽器体験(机の上に置いておけば、みんな勝手に遊び始めるから嬉しい)
・エコ楽器手作りに挑戦(牛乳パックを使ったウィップは、なんと材料がなくなるほどの人気)
・みんなで叩いてみよう!リズムワークショップ(やまーさん大活躍)
・プロフェッショナル・ギタリストの齋藤泰士さんとやまーさんのデュオ(圧巻)

…など、盛りだくさんだった。それにしても子供たちの元気はすごい!一緒に遊んでパワーをもらったような気がする。音が出るものに対する興味とか、真剣に楽器作りをする様子とか、普段生活している中では決して触れられないものだ。

「サザエさんメドレー」や「宝島」などの新曲も交えた2回分のセットリストは以下(なんか忘れているような)。
* 銀河鉄道999
* サザエさん(オープニング&エンディング)
* ウィーアー!
* となりのトトロメドレー
* ピンク・パンサー
* 宝島
* 浪花節だよ人生は
* ちいさい秋みつけた
* 名探偵コナンのテーマ

ご案内:しらこばと音楽団

案内が直前になってしまったが…。

【しらこばと音楽団ワークショップ】
出演:しらこばと音楽団(今日はねぇ。さん、ニジマスさん、mckenさん、やまーさん、kuri)
日時:2011年10月23日 9:00くらいから15:00くらい
会場:埼玉県岸町公民館第三講座室
なにやるの?:
しらこばと音楽団演奏
ギター&パーカッション演奏
音のでるおもちゃ作り
コラージュパネルづくり
手作りエコ楽器体験コーナー

という感じのワークショップをやっている。特に、お近くにお住まいでお子さま連れの方、遊びに来てください〜♪ヽ(´▽`)/

なめら~か第11回定期演奏会はポップス特集!

今年のコンセプトは、なめら~かポップス!!…というわけで、サクソフォン・アンサンブル なめら~かの演奏会を聴くためにみなとみらいへと伺った。これまで2、3回ほどなめら~かさんの演奏会を聴いている身としては、どんな演奏会になるか想像できず、その意外性がどのようにさばかれるのかも楽しみにしていた。

【サクソフォン・アンサンブル なめら~か第11回定期演奏会~NAMERAKA POPS~】
出演:サクソフォン・アンサンブル なめら~か
日時:2011年10月22日(土曜)19:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
大野克夫 - 「名探偵コナン」テーマ
L.バーンスタイン - ウェスト・サイド・ストーリーより
C.コリア - スペイン
R.ロジャース - マイ・フェイバリット・シングス
鳥山雄司 - ソング・オブ・ライフ
J.ウィリアムズ - スターウォーズより

一発目は、サキソフォックスシリーズから「名探偵コナン」。Thunderさんや佐場野さんがコナン吹くなんて、ちょっと感動的なくらいレアな機会だと思うが(笑)、これがびっくりするほどのハイ・テンション!!一曲目から素敵な"つかみ"で、観客席も沸いた。二曲目は「ウェストサイドストーリー」。物語を考慮すると順不同になるが、4曲目(終曲)として、「クラプキ警部」が置かれており、まるでハイドンの室内交響曲でも聴いている気分。音を追っていくと、まぎれもなきバーンスタインの音楽であり、天才的な筆致を楽しんだ。小編成だと音の輪郭を追いやすい…。

三曲目に、本多俊之編「スペイン」。もちろんあの超絶受け渡しもしっかりと演奏され、曲が終わった後など近くにいた方が「すごい」を連発していたのが思い出される。この曲を聴く楽しみのひとつに、ソプラノ二本の性格の違いがあるが、Jさん&けこっつさんという布陣で、これまた面白い。Jさんのソロは、リアルにアドリブだったのだろうか?前半最後が「マイ・フェイバリット・シングス」で、コナンと同じメンバーでの演奏。私自身も、これまでに何度も本番に乗せたことのある曲だが、今回の解釈は大いに参考にしたい!!evenとswingをいかに切り替え、どのようなテンポで全体の印象を作り上げていくのか…etc.

後半は、「song of life」がさりげなく演奏されたあと、メインプロの「スターウォーズ」。交流会のときも聴いたが、あんなもんじゃないほどにパワーアップ!!ここまで演奏されてしまうとぐうの音も出ない。まるで、四楽章形式のアレグロ~アダージオ~スケルツォ(まあ、今回はマーチだったけど)~アレグロと続く、壮大な交響曲の様相を呈していた。最初の曲では、まさにオープニングというだけあって、おなじみの主題が次から次へと顔を出す、"スペース・オペラ"の序曲。2曲目は、もう今日一番の演奏だったかもしれない。美しい各奏者のソロと、ドラマティックな構成に鳥肌が立つ。後半の2曲は、大人数と音域の広さを生かして、まるでオーケストラのような色彩感だった。

アンコールは、おなじみ「○ンダー○ード」。

2011/10/22

ブルーオーロラSQのCD発売・演奏予定

インドネシアのDiscusなるプログレッシヴ・バンドのセカンドアルバム、「...tot licht!」がマイブーム。1曲目の「System Manipulation」や6曲目の「Anne」なんて、想像を絶するほどに"プログレ"している。

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この度、平野公崇氏がサクソフォン四重奏団を結成したそうだ。メンバーは、平野公崇(ソプラノ)、田中拓也(アルト)、西本淳(テナー)、大石将紀(バリトン)という、まさに精鋭の4名。すでにCD発売といくつかのリサイタルが決定しており、私も聴く機会を楽しみにしているところ。ひとたびサックスを吹けばあのような(?)演奏をする平野公崇氏が、四重奏のソプラノサックスを吹くなんてちょっと想像がつかない。他の3人は室内楽のなかでも吹いているところを聴いたことがあるのだが…。いまからどんな演奏になるか、想像を巡らせておこう。

すでに録音され、オクタヴィアレコードから11月18日に発売されるというCD。Amazonでも予約開始している(→ブルーオーロラSQ「ファースト・ブルー」)。収録曲目は、下記の通り。
B.バルトーク - ミクロコスモスより
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏曲
P.I.チャイコフスキー - 四季
A.ドヴォルザーク - ユーモレスク
N.リムスキー=コルサコフ - 熊蜂の飛行

まさかのオール・ロシアン・プログラム!!まさかデビュー盤にこの選曲を持ってくるとは、予想の斜め上を行くというものだ。どういった意図があってのことだろうか。ロシアン・プログラムというと、アウレリア四重奏団の「Four Generations of Russian Composers」や、ソロ録音ならばドゥラングル教授の「The Russian Saxophone」が真っ先に思い浮かぶものだが、19世紀後半~20世紀前半に活躍した作曲家のプログラムというのは、少なくともCDとしては思い当たらない。

首都圏で予定されているリサイタルは、2回。

【ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット CD発売記念ミニコンサート&トークショウ】
出演:ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット
日時:2011年11月6日(日曜)16:00開演
会場:ノナカ・アンナホール
料金:3000円("ご来場のお客様にはブルーオーロラのデビューCDをプレゼントさせて頂きます"とのこと)
プログラム:
CD収録曲目から数曲
問い合わせ&予約:
http://nonaka-actus.com/?pid=35738213

3000円でコンサートが聴けてCDもプレゼントとのこと(お得!)。首都圏近郊にお住まいの方は、いかがだろうか。この日は夜から練習があるので、前半だけでも伺えるかなー。

【ブルーオーロラ サクソフォン・カルテットCDリリース記念コンサート】
出演:ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット
日時:2011年12月1日(木曜)19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
料金:一般5000円、学生3000円(当日各500円増)
プログラム:
J.S.バッハ - コラール・プレリュード
P.I.チャイコフスキー - 「四季」より10月
M.ラヴェル - 「クープランの墓」よりプレリュード
A.K.グラズノフ - サクソフォン四重奏団
詳細:
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2011/12/event897.html

会場が浜離宮朝日ホールというだけでも、食指が動く。平日か…この時期は仕事が再び繁忙期に突入することが予想されるが、業務調整次第かな。CDに収録されていないラヴェルやバッハをやるというのも、面白そう。

2011/10/20

Ensemble international de saxophones "SUNTHESIS"

改めて説明するまでもないが、Ensemble international de saxophones de Bordeauxといえばジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏がボルドー音楽院の生徒たちとともに結成したラージアンサンブルである。1977年に結成され、毎年入れ替わるボルドー音楽院の12人の生徒達がサクソフォン(1Sn, 2S, 3A, 3T, 2B, 1Bs)を担当し、ロンデックス氏は指揮を振っている。ロンデックス氏はすでにボルドー音楽院の教授職から退いているが、このアンサンブルは現在でも存在するのだろうか。

そのボルドーアンサンブルのCDだが、これまでに2枚リリースされており、いずれも入手困難な状態である。そのうちの1枚がAmazon.comだったかAmazon.frだったか忘れたが、このCDが中古で売られているのを見つけたときはとても嬉しかったものだ。なにせ、mckenさんのサイトでそのレビューを読んで、ほしい!と思ったのが高校3年生の頃のこと…探し続けて足掛け10年、ついに手に入れた「SUNTHESIS(Quantum QM6901)」だったが、期待通りの素晴らしい内容であった。

Christian Lauba - Les 7 Iles
Michel Fusté Lambezat - Formes Couleurs
Francois Rossé - Spath

ロバ作品は、なんと1988年に川崎で開かれた世界サクソフォーンコングレスでのライヴ録音。ピアニストにYves Josset(J.M.Gouryとの共演でも有名)を迎え、超絶テンションと緊張感で駆け抜ける18分間。このクラスの編成のサクソフォンアンサンブルとしては、間違いなくトップクラスの録音だろう。ちなみに、いわゆる「エチュード」よりも、どちらかと言えば「ルフレ」を熱く激しくしたようなイメージ。

このロバ作品の演奏については、京青さんが送ってくれたプログラムにクレジットが掲載されている。それによると:

Federico Monderci, sopranino…たぶんイタリアで最も活動的なクラシカル・サクソフォン奏者。イタリアサクソフォン四重奏団メンバー。シャンドスにレコーディングされたケックランのエチュード集が有名。
Jean-Michel Goury, soprano…ロバ作品を始めとする現代作品の演奏で有名。いわゆるロバの「9つのエチュード」をCDに全曲録音している。
下地啓二, soprano…国立音楽大学准教授。
Daniel Gauthier, alto…カナダ出身、現在はドイツでAlliage SQのリーダーとして活躍。国際コンクールの審査員も務める。
James Umble, alto…ロンデックス氏の伝記本の編纂者。
William Street, alto…JML国際コンクールのオーガナイザ。
市川豊, tenor…東京サクソフォーンアンサンブル元メンバー。現在は、大井町の青稜中学校・高校で教師をしているそうだ。
Jorgen Pettersson, tenor…この人はすごいですよ。CDが超変態。
上田啓二, tenor…広島文化短期大学講師。
Massimo Mazzoni, baritone…イタリアサクソフォン四重奏団。
Johannes Ernst, baritone…Arte Novaレーベルに録音された協奏曲集が有名。
佐々木雄二, bass…東邦音楽大学助教授。

とまあ、20年を経た現在から考えれば錚々たるメンバーが吹いている。いやー、このソプラニーノがまさか若き日のモンデルチ氏だったとは…とか。ぜひライヴで聴いてみたかった。

他のセッション録音となる2作品も高クオリティの演奏に驚く。1988年12月の録音ということで、コングレスとはさほど離れていない時期だが、残念ながら正確なクレジット情報は記されていない。「Formes Couleurs」での(タイトル通りに)曲ごとに色彩感を変えていくような響きに、特に惹かれた。ロセの、無限回廊にはまり込んでしまったような音世界も、あまりほかでは経験できないものだろう。ロセについては、他のサクソフォン作品を聴いてもイマイチピンとこなかったのだが、そのイメージを払拭するものであった。演奏の素晴らしさのせいもあるかもしれない。

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(追記)

Thunderさんから、コメント欄に情報を頂いた。ぜひご一読を。
元記事で間違っているところを修正しました。

2011/10/19

The influence of jazz elements on Edison Denisov's Sonata

テキサス大学のデジタル・リポジトリから、2004年にOra Paul Haarが著した論文「The influence of jazz elements on Edison Denisov's Sonata for for alto saxophone and piano」を参照可能だ。御存知の通り、アメリカの多くのサクソフォン科の学位審査は、演奏に加えて論文が非常に重要な位置を占めており、相当に気合の入った論文が出てくるものだ。

いくつかはNorth American Saxophone Allianceの論文誌に収録されているが、ネット上をさまよっていると自由に参照可能な形式で落ちていたりして、たまに見つけては内容を楽しんでいる。今回紹介するのは、下記のような内容。

Chapter 1: Influence of Jazz Upon Melody, Harmony and Rhythm
Chapter 2: General Biographical Sketch of Edison Denisov
Chapter 3: Jazz in Soviet Culture and its Influence Upon Edison Denisov
Chapter 4: An Analysis of Jazz Elements Found in the Third Movement of the Sonata for Alto Saxophone and Piano
Chapter 5: Assimilation of Jazz Elements Into Movements I & II

どうです?面白そうでしょう。特にジャズからの影響に着目したものは、寡聞にして知らなかった。デニゾフの論文はこれまでもいくつか出ていて、Joren Cainの1999年の論文や、日本語だと須々木由子さんがかなり体系的な論文を書いている。

ちなみに私の環境では、いくつかの譜例が文字化けしているのが少し残念だった。フォントが組み込まれていないんだろうな…。

2011/10/18

イトゥラルデ「小さなチャルダーシュ」の四重奏版

ペドロ・イトゥラルデ Pedro Iturralde「小さなチャルダッシュ Pequena Czarda」の四重奏版について、なんとなく噂には聞いたことがあったのだが、問い合わせのメールを受け取って調べてみた。

イタリアのAtem Saxophone Quartetの演奏。ちょいと癖がある演奏をする団体だが、私が最も好きな四重奏団のひとつ。


ロンデックスの目録によると、たしかに四重奏版がリストされており、独奏版と同じくReal Musical Editionの出版となっている。インターネットを使ってさらに調べてみると、Real Musical Edition(editorial@realmusical.com)のカタログ番号134206が四重奏版の楽譜を指し示しているとの情報を見つけることができた。取り扱っている楽譜屋さんは、下記を見つけたが…国内で扱っているところはないのだろうか。入手が容易ならば、けっこう人気が出そうなのだがなあ。

もしご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。

June Emerson
Intermusica

2011/10/17

演奏会ご案内を2つ

おなじみ、Thunderさんが主宰するサクソフォンアンサンブル・なめら~かの演奏会。ふだんはバリバリのクラシックの演奏を手がけているイメージがあるが、今回はなんとポップス特集(!)。なめら~かさんが演奏する「スペイン」や「ソング・オブ・ライフ」というのは想像がつかないのだが、どんな演奏になるんだろうか。

第11回というところに、その歴史の長さを感じる。私なんかにとっては、とうてい想像することすらできないが…。メンバーが少しずつ変わりつつも、コンスタントな演奏活動を展開するところには誠に恐れ入るばかり。ちなみに、mckenさんもラージステージに出演するそうな。

【サクソフォンアンサンブル・なめら~か第11回定期演奏会】
日時:2011年10月22日(土)19:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
料金:入場無料(整理券等は不要)
曲目:
L.バーンスタイン - 「ウェストサイド・ストーリー」より
C.コリア/本多俊之 - スペイン
R.ロジャース/真島俊夫 - マイ・フェイバリット・シングス
鳥山雄司/啼鵬 - ソング・オブ・ライフ
J.ウィリアムズ - 「スター・ウォーズ」より

Thunderさんがこの演奏会に寄せたコメントはこちら

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震災復興支援として「一時的な支援よりも、継続した支援」を目的に、宮崎真一さんを中心に継続的に開催されている演奏会。5月にVol.1が、7月にVol.2が開かれ、今回は第3回目となる。第3回は、待ちに待った四重奏団、トラクシオン・アヴァンの登場だ。トラクシオン・アヴァンというと、私にとってはクセナキスやドナトーニをバリバリ吹いているイメージがあって、そんな想像から宮崎真一さんもコワイ人だと思い込んでいたのだが…(?)。

第1回の演奏会に伺い、職人芸的なところと知的なところと大道芸的なところを絶妙なバランスで組み合わせた、サクソフォンでしかできないような素晴らしい演奏をする皆様だということがわかり(笑)、今回のVol.3も楽しみにしているところ。

【ライフ-ワーク プロジェクト vol.03 『ザ・サックス・カルテット』】
出演:トラクシオン・アヴァン(宮崎真一、各川芽、清水いずみ、近藤敬行)
日時:2011年10月29日(土曜)15:00開演
会場:石森管楽器 B1F イヴェントスペース
料金:1000円
プログラム:
F.メンデルスゾーン - 序奏とカプリチオ
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
ドイツ民謡 - 山の音楽家
ほか
協賛:石森管楽器・株式会社シアターサポート
後援:日本サクソフォーン協会
チケットのお問い合わせ:
lifeworkproject@yahoo.co.jp (LIFE-WORK事務局)
03-3360-4970(石森管楽器)

この演奏会に関する宮崎真一さんのブログ記事はこちら

加藤里志さんリサイタル山梨公演

ということで、山梨まで加藤里志さんのリサイタルを聴きに伺った。山梨といえばほうとうと温泉、そして加藤さんのリサイタル!!(ん?)

11時ころに最寄り駅を出発し、まずは甲府へ。"小作"甲府駅前店にて、ほうとうを堪能した。野菜の旨味と味噌味が見事にマッチした南瓜ほうとうが、実に美味。知らなかったのだか、けっこうな有名店のようで…15:00近くに入ったにも関わらず、なかなかの混雑っぷり。続いて、リサイタル会場最寄り駅となる塩崎へ移動。富士山の景観を楽しみながら丘陵地帯を散策し、日帰り温泉"湯めみの丘"へと伺った。源泉かけ流しで、まろやかな泉質を楽しんだ。露天風呂からは、東に富士山、西に太陽が輝く。南アルプスの山の端へとまさに沈みゆく太陽を、温泉に浸かりながら眺めるという贅沢な時間を過ごした。

山梨といえば、長野に帰省するときにいつも通るのだが、じっくりと滞在するのは初めてだったかも。車で来れればもっといろいろ楽しめそうだなあ。温泉というと、長野出身の私としては対抗意識を持ってしまうのだが…(笑)

さて、加藤さんのリサイタルである。ご出身が山梨だそうで、2009年にも山梨でリサイタルを開いており、今回が二回目だそうな。この立地、この会場の広さ(500席)にしては、なかなかの盛況。地元で開くリサイタルって、普段は見えないその人のパーソナルな一面が感じられて、なんだか素敵ですよね。"月の光"をテーマにしたという、コンセプチュアルなプラグラム。詩の朗読や照明やプロジェクタも使いながら、物語のようにコンサートが進行していった。

【加藤里志サクソフォンリサイタル「月の光」】
出演:加藤里志(サクソフォン)、羽石道代(ピアノ)
日時:2011年10月16日(日)18:00開演
会場:山梨県甲斐市「双葉ふれあい文化館」
料金:大人2000円、学生1000円(全席自由)
プログラム:
G.フォーレ - 月の光
C.ドビュッシー - 艶やかな宴
B.マントヴァーニ - 霧雨の狂
C.ドビュッシー - 小組曲
C.フランク - ヴァイオリン・ソナタ

フォーレの「月の光」とドビュッシーの「艶やかなる宴」は間断なく演奏された。温泉に入ったあとのリラックスした身体に染み入る美しい旋律。広い会場に響き渡るサクソフォンとピアノ。実に贅沢な時間であった。ホール後ろに映し出される幻燈が、えもいわれぬ雰囲気を助長していた。

ブルーノ・マントヴァーニの「霧雨の狂」は、聴いたことが無いような演奏であった。冷徹で、音符の一つ一つに至るまで丁寧に計算し尽くされた演奏は、近代フランス…ドビュッシーの流れのなかに置かれてもなんら違和感を感じない。いろんな解釈が可能な作品で、燃さかるような演奏や、光輝くような演奏はこれまでに経験したことがあったが、このまさに月の光を感じさせるタイプは初めてだった。

ドビュッシーの「小組曲」は、まるで古楽器で演奏されるような様式美を感じさせる。ここで加藤さんは、サクソフォンという存在を消し去り、ただひたすらにドビュッシーの和声と旋律を紡ぐことに意識を傾けていた(たぶん)。

休憩後のフランクは、名演奏と呼ぶに相応しい。この曲って、人生の酸いも甘いも知り尽くした演奏家が奏でるところにこそ魅力を感じるのだが(そもそもそういう曲ですよね)、なぜかそのような人生の悲哀を感じさせるような。。。加藤さんの人生経験が豊富なのか、ピアノの羽石さんの人生経験が豊富なのか(笑)というくらい、"素敵な"演奏であった。うーん、不思議。

アンコールはたぶん東京公演でも共通なので書くのを控えるが、「やっぱりこれがないと!」という1曲と、加藤さんの名前にちなんだ1曲が演奏された。最後の曲では、なんとなくホロリとさせられてしまった。うーむ、フランクのあとにこの選曲とは、センスが良すぎるぞ。

演奏会後は鈍行でトロトロと帰ってきたのだが、電車が遅れて帰りついたのは0時を回ってしまった…(苦笑)。

来週は東京公演。この日はいろいろと演奏会日程が被っているのだが、ご興味ある方はぜひ。私はなめら~かに行きます。