2010/08/31

Duo Kalypsoの放送聴いた!

…が、「ラプソディ・イン・ブルー」しか聴けなかったよー(T_T)

仕事へ出かける前に録音開始したのだが、ポータブルラジオの電源が干上がってしまったようだ。バッテリーが無くなること見越して、AC電源に接続したつもりだったのだが、本当に"つもり"だったようで(爆)。

だが、最後に一曲聴けた「ラプソディ・イン・ブルー」が大変に素晴らしくて、これ一曲聴けただけでも価値があるなあと思った。李早恵さんのブログ記事にもあるように、ソプラノ、アルト、テナーサックス+ピアノという編成で、Duo Kalypsoが作り出したスペシャルなアレンジ。いや、このレベルになると、作り出した、というよりも、再創造と呼んだほうが正しいかも。

冒頭の、まるでクラリネットかと見違うような特徴的な音色(たぶんアルト)の見事なグリッサンドに始まり、サクソフォンもピアノも高難易度のパッセージを振りまきながら爆走していく。これ、ライヴで聴いたらぜったい楽しそうだ!吹き終えたあとの大きな拍手が、それを物語っているかのよう。

アンコールは、同じくガーシュウィンの「前奏曲」の第1曲だった。これも、よく演奏されるマルガリータ・シャポシュニコワの編曲ではなく、オリジナルの編曲なのですねえ。深いこだわりとDuo Kalypsoのアイデンティティ。またライヴで聴ける日を、心待ちにしたい。

2010/08/30

明日はDuo Kalypsoのラジオ放送

2010年2月に、和歌山県で公開収録されたDuo Kalypsoの演奏が、再放送されるそうだ。前に放送されたときは聴けなかったから、今度はなんとか録音しよう(リアルタイムで聴くには、時間帯がキビシイ)。

見ての通り、ちょっと眺めると誰でも知っている"軽めの"プログラムなのだが、実はいろいろなところにコダワリが感じられる。ガーシュウィンはDuo Kalypsoの十八番だが、もしかしたら聴いたことがないかも。楽しみだなー。

【ベストオブクラシック・セレクション ~和歌山県海南市公開録音~】
出演:ミーハ・ロギーナ(sax)、李早恵(pf)
日時:2010年8月31日(火)19:30~21:10
放送局:NHK-FM
プログラム:
D.ミヨー「スカラムーシュ」
M.ムソルグスキー/李早恵「組曲“展覧会の絵”から“古い城”」
M.デ=ファリャ/Duo Kalypso「スペイン舞曲」
S.プロコフィエフ/ミーハ・ロギーナ「フルート・ソナタニ長調」
M.ラヴェル/Duo Kalypso「ソナチネ」
G.ロッシーニ/Duo Kalypso「フィガロ・パラフレーズ」
C.サン=サーンス「白鳥」
B.バルトーク/Duo Kalypso「組曲作品14」
G.ガーシュウィン/Duo Kalypso「ラプソディー・イン・ブルー」
G.ガーシュウィン/Duo kalypso「前奏曲 第1番」

2010/08/29

今週末もいろいろ

土曜日は、Tsukuba Saxophone Quartetの練習@江戸川区の松江区民プラザ。バッハの「シャコンヌ」なのだが…道は険しい(>_<)近代の巨大な建造物を登攀しようとしているような、そんなイメージ。演奏時間の関係で中間部はカットしているが、それでもここまで難しいのか。伊藤康英先生オリジナルの音符も、奏者にかなりハイレベルな?ことを要求する部分が多く、一筋縄ではいかない。9月末までに、果たしてどこまで詰めていけるか。合わせ練習のあとは、30分昼寝して1時間ほど個人練習。難しいフレーズを、ゆっくりゆっくり、ひたすら繰り返し。

18時過ぎから池袋へ移動し、サクソフォニー関東の飲み会 feat.國末先生。終始ハイテンションで、二次会までたっぷり4時間。面白かった(タンバリンとか)。プロデュースのSさん、ありがとうございました。

土曜日から日曜日にかけて7時間半たっぷり睡眠をとったあと、10月の石森楽器の本番に向けての四重奏初合わせ音出し会@またまた松江区民プラザ。4時間ほどかけて20曲ほどを初見にて簡単に合わせ、プラネル「バーレスク」、野村秀樹編の「日本の四季」ほか数曲を選定。特にバーレスクはやったことがないので、きちんと練習しないと。こういう曲をさくっとできるようになりたいなあ。

タッソ氏の協奏曲集

ドミニク・タッソ Dominique Tassotというサクソフォン奏者の名前は、あまり日本では知られていない。だが、このアルバムが国内でも比較的きちんと流通していることもあり、CDショップでサクソフォン協奏曲のアルバムを探したことのある方ならば、このタッソ氏のCDを手にとったこともあるはず。

タッソ氏は、1960年フランス出身のサクソフォン奏者。現在は、Charleville-Mezieres音楽院の教授を務めるほか、コンサート・サクソフォニストとして、室内楽奏者、さらにピアニストとしても活躍しているそうだ。また、ジャズの方面での活躍も目覚しく、数々のバンドへ参加してレコーディングなども行っているとのこと。

「French Saxophone: 20th Century Music for Saxophone and Orchestra(audite 97.500)」は、タッソ氏がミュンヒェン放送管弦楽団と組んで録音した、サクソフォン協奏曲集。そもそもサクソフォン協奏曲のアルバム自体、Naxosが台頭してくるまではやはり割合は少ない。CDの制作は、よっぽどもの好きなプロデューサーや社長の鶴の一声があるという状況下以外では、採算がとれるかどうかというところに関わってくるから、「サクソフォン協奏曲」などという領域になると、なかなか…(^^; 本当は、それだけじゃ音楽は発展しないのだけど。

Henri Tomasi - Concerto
Andre Caplet - Legende
Jean Absil - Fantaisie caprice, op.152
Marius Constant - Musique de concert
Claude Debussy - Rapsodie

見ての通り、なかなか正統派というかドビュッシーはともかくとして「そういえば、この曲のオーケストラ版って聴いたことないね」という曲を取り上げていることがわかる。トマジは、たぶんドゥラングル教授のアルバムがリリースされるまでは、これ一枚だけだったと思う。カプレ、コンスタンも、SNEレーベルにレコーディングされたダニエル・ゴーティエ氏のCD(私は持っていないけれど…)くらいではないかな?アブシルに至っては、このCDで初めて聴いた。

最初はびくびくしながらCDを再生したが、意外なほどに上手いのですよ!技術的にはかなりきちんとしたレベルだ(サクソフォンのCDでは、けっこうここが重要だったりする…)。例えばトマジを聴いてみると、オーケストラが良い。トマジはオーケストラがガタガタだと勢い系の演奏に走りがちだが(シンガポール交響楽団とか…)、このアルバムに収録されているのは、熱くならずに冷静にアンサンブルしているような雰囲気を感じられる。さすがにサクソフォンのパートはドゥラングル教授の演奏には敵わないか…ここまでヴィブラートを抑制するならば、一つ一つの音のニュアンスにもう少し変化があっても良いと思う。しかしこれも、あくまで聴き比べた場合の話であって、これだけ聴くなら十分すぎる独奏かも。

他に収録されている中だと、コンスタン「ムジク・ドゥ・コンセール」が良いなあと感じた。ゆっくりな曲になると、どうしても表情の変化が欲しくなってしまうところ、「ムジク・ドゥ・コンセール」くらい現代的な曲であればとても素直に聴ける。

最近ではCDショップで見かけることは少ないが、探してみたところAmazonで取り扱っているようだ→French Saxophone 20th Century Music Saxophone & Orchestra

2010/08/27

情報:門馬美智子さんのリサイタル

洗足学園音楽大学を経てカンブレ音楽院を卒業し、昨シーズンに帰国されたサクソフォン奏者、門馬美智子さんが、ご出身である山形県でリサイタルを開くそうだ。一番最初にお会いしたのは、松雪明先生の門下発表会(そこで聴いたヴァンサン・ダンディの「コラール・ヴァリエ」が絶品であった)だったが、それから6年ほどが経ったことになる。帰国後も、リエゾンSEへの参加など、積極的に活動されているそうだ。

お近くの方は、ぜひお運びください。シュトックハウゼンを山形でやってしまう、というのもすごいなー。門馬さんのブログはこちら:http://momonmon.seesaa.net/

【門馬美智子 サクソフォンリサイタル】
出演:門馬美智子(sax)、佐野隆哉(pf)
日時:9月4日(土) 18:00開演
場所:山形市 文翔館議場ホール
入場料:一般2500円、高校生以下1500円(前売り各500円割引)
プログラム:
C.ドビュッシー - ラプソディ
R.ムチンスキー - ソナタ
K.シュトックハウゼン - 友情に
L.ロベール - カデンツァ
F.ショパン - 幻想即興曲(ピアノソロ)
A.グラズノフ - サクソフォン協奏曲
問い合わせ:
023-635-1390(門馬)
momomon_mon1@yahoo.co.jp

2010/08/26

Quatuor Alexandre "Reminiscence"

ときどき、昔にも紹介したCDを引っ張り出して、もう一度紹介しないといけない。何気に1600件くらいの記事があるのだから、全部の記事を読んだことがあるのは…書き手くらいだろう(爆)。

アレクサンドル四重奏団 Quatuor Alexandreは、ダニエル・ゴーティエ Daniel Gauthier氏を中心に結成されたカナダの四重奏団。名前の由来は、グラズノフに敬意を表して付けられた。ゴーティエ氏は現在ドイツでアリアージュ四重奏団のメンバとして活動しているため、アレクサンドル四重奏団は現在は活動していないと思う。その四重奏団がおそらく唯一レコーディングしたアルバムが、「Reminiscence(Societe Nouvelle d'Enregistrement SNE-566-CD)」である。

個人的には、世界に数多存在するサクソフォン四重奏のアルバム(CD)の中で、確実に5本の指に入るものだと思っている。トータルポイントでこれを上回るとしたら、デファイエ四重奏団のEMI復刻盤や、ハバネラ四重奏団のライヴアルバム…くらいではないか?

Alfred Desenclos - Quatuor
Alexandre Glazounov - Quatuor, Op.109
Guy Lacour - Quatuor
Daniel Pilon - Transparences

技術的に完璧なものを目指すために、気が遠くなるほどの時間をかけて楽譜を隅々まで読み込み。縦を合わせ、和音を合わせ、ニュアンスを合わせ、バランスを整え…とやっていくと、おそらくこのような演奏になるのだろう。ひしひしと伝わってくるのは、作曲家に対する真摯な態度、ただそれのみである。際立って音色が美しいとか天才的な閃きが感じられるとか、そういったものははっきり言ってしまえば、無い。人間臭さを感じさせながら、人間ができる限界のことにトライしているような感じを受ける。

デザンクロは、デファイエ四重奏団と完全に対称的ながら、稀代の名演と言っても良いだろう。このような演奏に近づいてみたい。グラズノフも、さすが団体名として取り上げるだけある。今でこそ録音が増えてきたが、ここまでカッチリ作ってある演奏は他にあるまい。ラクールは、もともと録音が少ないということもあるが、世界最強と言い切ってしまって良いのではないか。耳なじみの無いパイロンの作品は、いわゆる現代音楽の部類に入るのだが、妙に聴きやすいのが不思議。

残念なことに廃盤。オークションや中古CDショップで見かけたら、速攻ゲットをおすすめする。

2010/08/25

Amstel QuartetのYouTubeチャンネル

Twitterの書き込みを読んでいて知ったのだが、オランダのアムステル・サクソフォン四重奏団、Amstel QuartetのYouTubeチャンネルがあるそうだ。

http://www.youtube.com/user/amstelquartet

内容が充実しすぎており、バッハに始まり、ハイドンの弦楽四重奏曲、スヴェーリンクの「半音階幻想曲」などのお国もの、グラス、ナイマン、ライリーなどのミニマル・ミュージック系統、オランダの現代作曲家の作品、トリスタン・クラウスやクセナキスなどの渋くてハードな作品、果てはアルヴォ・ペルトまで!アムステル四重奏団の、様々な作品への適応能力の高さを思い知らされる。

動画の量が多すぎて、私もまだ全部観きれていないくらいなのだが、どの演奏もレベルが高くて存分に楽しめる。少しずつ観ていこうかと考えている。一番注目すべき動画は、「fire alarm」だったりして…不測の事故なのだろうが、ちょっと音楽的に聴こえてしまうのも面白い。

2010/08/24

三つの大四重奏曲

Quatuor de Saxophones Emphasisというフランスのサクソフォン四重奏団をご存知だろうか。1987年に結成され、FNAPECコンクールの室内楽部門ほか、数々のコンクールでグランプリを獲得して地位を築いた。ドゥラングル・クラスを、1994年から1995年にかけて卒業したプレイヤーで構成され、日本でもおなじみのニコラ・プロスト氏を始めとするプレイヤーが在籍していた。ハバネラ四重奏団の世代とほぼ共通、ディアステマ四重奏団よりは2、3年ほど年下となる。

Gilles MARTIN (saxophone soprano)
Nicolas PROST (saxophone alto)
Jean-Yves CHEVALIER (saxophone ténor)
Nicolas WOILLARD (saxophone baryton)

現在は、次のメンバーで活動を継続しているそうだ。MySpace上に、公式のページを見つけることができた(→こちら

Bertrand PEIGNE (saxophone soprano)
Laurent BLANCHARD (saxophone alto)
Jean-Yves CHEVALIER (saxophone ténor)
Nicolas WOILLARD (saxophone baryton)

そのQuatuor Emphasisの「Trois Grands Quatuor pour Saxophones(Quantum dQM6961)」というアルバムが存在する。おそらく、FNAPECコンクールの入賞記念に制作されたCDであり、本四重奏団の実質的なデビューアルバムと捉えても良さそうだ。特筆すべきはその収録曲!なんと、グラズノフ、シュミット、デザンクロ、である。大曲ばかり3曲の真っ向勝負!著名なレコード誌のひとつであるDiapason誌も、5つ星をつけたそうな。

存在自体は、mckenさんのサイトで比較的早くから知っており、入手したいとは思っていたのだが、実際に聴くことができたのは比較的最近のことだったと思う。レーベル元からはとっくに廃盤で(このQuantumというレーベルも、活動実態が非常に怪しい)探せど探せど見つからず、最終的にeBayか何かのオークションサイトで発見して新品を落札したのだった。

例えばQuatuor DiastemaがデファイエQとハバネラQをつなぐミッシング・リングだとするならば、このQuatuor EmphasisはQuatuor Diastemaをさらに現代的にし、ハバネラQ世代を予感させる演奏を展開している。だから、技術的に完成され、難関部も軽々と吹いてしまう凄み、そして抑制されたヴィブラートを適所に使い分けながらの表現などが特徴として挙げられる。

ただし、いわゆる「現代フランス風」とされる羽のような軽い音色や、繊細な音楽表現については、まだ過渡期であったのだろう。ところどころ「?」というような表現が聴かれることもある。こういった表現の試行錯誤の上に、現代のフランスのサクソフォン界が成立していると考えると、軽い気持ちでは聴けない。ミュール~デファイエと続いた伝統からの脱却と、新たな世界の構築は、一筋縄ではいかなかったはずだ。10年かけてそれを成功させ、さらに10年かけて進化させているドゥラングル教授とその一派の活動には、恐れ入るばかり。

2010/08/23

点字楽譜

2008年の6月~9月頃に、クリスチャン・ロバの「エチュード第1巻」を点字楽譜に翻訳する、という小さなプロジェクトに携わっていたことがある。この時期、"楽譜点訳の会「星」"の会員の方からご相談を受け、サクソフォン特有の記法や特殊奏法について何度もやりとりを行った。それ以来ご無沙汰してしまっていたのだが、久々に連絡を取り、楽譜が完成したとの話を伺ってとても嬉しい気持ちになった。今日は、点字楽譜について簡単にご紹介したい。

6つの点から成る"ブライユ点字"は有名だが、これを楽譜に応用しようと考えたのもブライユ自身であった、というから驚きだ。一定の規則に従いながら音階を6つの点に直し、楽譜を点字へと翻訳する。コンシューマPCの拡がりによって、MusicXMLを自動的に点訳するソフトウェアなども開発されているようだが、特に現代記法などが入ってくると、自動で…というわけにはいかず、翻訳者は試行錯誤しながら出来る限り楽譜を忠実に点訳することに注力する。また、様々な楽譜の点訳をこなしていくなかで記譜についての裾野の広がりなどもあり、楽譜の点訳もブライユの基礎的な記譜法から日々進化し続けているのだそうだ。

ロバの「エチュード」の点訳は、大変に難航したそうだが、ボランティアで担当されていたM様の創意工夫と努力によりおよそ2年間を経てほぼ完成したと伺った。もともとは、タイのマヒドン大学(第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールの会場となった大学)の学生からの依頼だったそうで、コンクールの世界では、このような現代曲の点訳の需要があるということなのだ。

M様が"楽譜点訳の会「星」"は、日本の点字楽譜会の草分け的存在として、30年にわたってボランティアで楽譜点訳の活動を続けている。もともとは、視覚障害を持つ方々が教科書などと同じように楽譜を点訳しようと始めた活動がキッカケであり、その後多くの賛同者を得ながら現在までいくつもの点字楽譜を世に送り出している。

出版譜のリストはこちらから見ることができるが、声楽、ヴァイオリン、ピアノの膨大な数に及ぶ楽譜のほか、サクソフォンの楽譜が掲載されていることに驚かされる。フェルリング、ブレーマン、サミーのエチュード、そしてなんと、ブートリーの「ディヴェルティメント」とガロワ=モンブラン「6つの音楽的エチュード」である。クラシック・サクソフォンの中に、点字楽譜という世界があるということを、多くのサックス吹きに知ってもらいたいものだ。

私も、サックス界にこの活動を知ってもらうために何かできることがないかな、と思い、来年のサクソフォーン協会誌用に、記事を準備できれば良いなと考えている。

2010/08/22

第2回日韓合同演奏会 in 東京

【第2回日韓合同演奏会 in 東京】
出演:Nat's Wind Ensemble、Wetutti Wind Orchestra
日時:2010年8月21日 19:00開演
会場:ティアラこうとう 大ホール
プログラム:
Timothy Mahr - Hey!
Bela Bartok - Dance Suite
(以上、濱本広洋指揮Nat's Wind Ensemble)
Marcel Peeters - Charles Chaplin Selection
Johan de Meij - La Quintessenza
(以上、You Dong-Hwui指揮Wetutti Wind Orchestra)
真島俊夫 - 五月の風
John Barnes Chance - Variations on a Korean Folk SOng
Alfred Reed - Armenian Dance Part1
(以上、You Dong-Hwui指揮合同バンド)

Nat's Wind Ensemble主催の、日本の吹奏楽団と韓国の吹奏楽団のジョイントコンサートを聴いてきた。そもそものこのイベントの成立について、簡単に説明しておきたい。筑波大学吹奏楽団出身のMさんという方が韓国の高麗大学へ留学し、そこでWetutti WOに所属。帰国後、筑波大学吹奏楽団出身者へ声をかけ、合同演奏会を目的にNat's WEを立ち上げたということだ。第1回の合同演奏会は2009年5月に韓国にて行われ、それにひき続いて今回(第2回)は日本での開催となったとのこと。

そんなわけで、Nat's WEにはお知り合いもたくさん乗っているし、近年ちょっと不足しがちな吹奏楽成分(?)を補うためにもティアラこうとうまで出かけてきた。練習場所は何度か入ったことがあるが、大ホールは初めて。1500席~2000席はあろうかという大きなホールに、たくさんの来場者。

演奏は、Nat's WEが先陣を切った。木管の充実した響きと、鋭いエッジの立った金管群、安定した(時に爆発もする)パーカッション。それぞれのパートは2000年前後に筑波大学吹奏楽団の各パートの全盛期を築いたメンバーを中心に構成され、安定したテクニックが心地良い。長時間に渡るバルトーク作品も、徹頭徹尾の集中力によって見事な音世界を提示していた。それにしても、バルトークのリズムを聴いていると、まったくこの曲が1920年代に作曲されたとは思えない。

続いて、Wetutti Wind Orchestraの演奏。ざっと顔立ちを眺めてみると、若い方から40代くらい?と思われるような方まで、幅広い年齢層。韓国の、いわゆる一般バンドという位置づけなのだそうだ。「チャップリン・セレクション」はメドレー形式といった趣きで、次々に楽しいメロディが登場。「ラ・クィンテセンザ」は昔から好きな曲だが、やっぱりペンタトニックは世界共通語ですね!とても楽しく聴けた。Nat's WEと比較すると、金管のアタックや音色はかなりふくよかであり、木管の方がエッジの立った音色だった。まだWetutti WOしか聴いたことがないので何とも言えないが、韓国の吹奏楽の音色傾向か…大変興味あるところだ。それにも増して、クラシックサクソフォンの様子なども気になっている。

最後は合同バンド。「朝鮮民謡の主題による変奏曲」はなるほど、という選曲だが、「アルメニアン・ダンス」を演奏できるのは、やっぱり吹奏楽の特権!この曲が、未来永劫世界中に拡がる吹奏楽のスタンダード・ナンバーとなっていく様子の一端を垣間見たような気がした。「アルメニアン・ダンス」という作品については近年スタンダード化の傾向があるが、そういった気持で聴けたのは初めてだ。演奏はもちろんブラヴォー。

アンコールは、ホルスト「木星」の中間部、そして「夏の思い出(はるかな尾瀬~ってやつですね)」の妙にテクニカルな藤田玄播の編曲。最後は「君の瞳に恋してる(ヨハン・デ=メイ編曲)」だったのだが、その時の客席との一体感ある盛り上がり、これぞ大編成の魅力ですよね。

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終わったあとは、会場で行き会った知り合いと新橋のCoopersで飲み。そのままウチ(大田区の6畳アパート)に転がり込んで、7人で朝の3時まで盛り上がったのでした(私は早々にダウン…笑)。面白かった。

2010/08/21

速報!デュポン楽長時代のギャルド録音復刻版が発売

木下直人氏よりお知らせを頂いた。このたびギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の、ピエール・デュポン楽長(第6代楽長 1927-1944在任)時代の録音が復刻されて、グリーンドア音楽出版より2枚組で発売されるそうだ。

しかも今回は、復刻に関して木下直人氏が全面的に監修を行ない、氏が長年の研究の中で修理に成功したPierre Clementのカートリッジを使用した、とのこと。さらに、ノイズリダクション処理を行わず、SPからのダイレクトカッティングでマスターCDを作成したそうだ。ノイズリダクション処理に限らず、何かしらの音響処理を加えてしまえば、原音に影響が及ぶのは言わずもがな。今回は木下氏のポリシーに沿った復刻が行われたとのことで、氏自身も絶賛する世界最高のSP復刻を、一般発売のCDで楽しむことができそうだ。

曲目も、先立って教えていただいた。個人的な注目は、これまで最終部分しか発見されなかったフローラン・シュミットの「ディオニソスの祭」の前半部分が発見され、完全な形で聴けるようになったこと。その他にも、EMIのシリーズでは含まれなかった音源がいくつか含まれている。

Musique de la Garde Republicaine ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
Pierre Dupont, direction ピエール・デュポン指揮
1927~1935年録音

・ディスク1
Florent Schmitt - Dionysiques (F.Columbia DFX-137/ D-11012)
Gabriel Pares - Richilde (D-11022/3)
Franz Liszt - Rapsodie hongroise No.2 (DFX-202)
Alexis Emmanuel Chabrier - Espana (D-11019)
Carl Maria Friedrich Ernst von Weber - Invitation a la valse (D-11040)
Franz Liszt - Le preludes (DFX-55/6)
Mehr - Air Varie Sur Un Theme Suisse (D-11041)
Carl Maria Friedrich Ernst von Weber - Freischutz (D-11042)

・ディスク2
Lavagne - Fuite et Mort de Neros (D-11046)
Alfred Bruneau - Messidor (D-19204)
Andre Messager - D'Isoline, ballet suite (D-11083/4)
Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov - Capriccio espagnol (日本コロムビア J-3286/7)
Andre Messager - Les deux pigeons balet suite (D-11020/1)
Wilhelm Richard Wagner - Prelude du 3e acte de Lohengrin (DFX-148)
Wilhelm Richard Wagner - Marche de tannhauser (DFX-148)
Giacomo Meyerbeer - Marche du couronnement (DF-147)
Hector Berlioz - Marche hongroise (DF-147)
Wolfgang Amadeus Mozart - Marche turque (日本コロムビア J-3210)

サクソフォン的な興味としても、当時ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団に在籍していたマルセル・ミュール(1923年から1936年まで在籍)がサクソフォンのトップを務めていたということもあり、ミュールの音色をたっぷりと堪能できそうだ。木下氏によれば、「Air Varie Sur Un Theme Suisse」ではミュールの素晴らしいソロが聴ける、とのこと。

というわけで、歴史的録音関連ではかなり興奮するニュース。発売された暁には、みなさんぜひ買いましょう(^∀^)ノ

吹奏楽の演奏会情報

もう今日だが、私のお知り合いが乗っている演奏会の情報を掲載しておく。韓国のバンドとの合同演奏会で、第1回は韓国で開催、そして第2回ということで、国内開催の運びとなったとのこと。一般バンドのこういった試み、ありそうでないよなあ。

【第1回日韓合同演奏会 in Tokyo - Nat's Wind Ensemble & Wetutti Wind Orchestra】
日時:2010年8月21日(土)19:00開演
会場:ティアラこうとう 大ホール
料金:全席自由 1000円
プログラム:
T.マー - ヘイ!
B.バルトーク/鈴木英史 - 舞踏組曲
(以上、濱本広洋指揮 Nat's Wind Ensemble)
J.デ=メイ - ラ・クインテセンザ
ペーテルス - チャールズ・チャップリン・セレクション
(以上、ユ・ドンフィ指揮 Wetutti Wind Orchestra)
真島俊夫 - 五月の風
J.B.チャンス - 朝鮮民謡の主題による変奏曲
A.リード - アルメニアン・ダンス パートⅠ
(以上、ユ・ドンフィ指揮 合同バンド演奏)
問い合わせ:
http://www.geocities.jp/natswind/concert.html

2010/08/20

Reich's Works on YouTube

スティーヴ・ライヒ Steve Reichの「Reed Phase」「Tread on the Trail」の動画…ではないが、それぞれの作品を下敷きとした映像作品のようなものを、YouTubeで見つけた。

演奏は、いずれもジョン・ギブソン John Gibson氏である。ミニマル・ミュージックの世界において非常に重要なサクソフォン奏者のひとりであり、例えばテリー・ライリーの「インC」の初演、スティーヴ・ライヒの「リード・フェイズ」の初演は、彼の手によって行われている。フィリップ・グラス・アンサンブルのプレイヤーとしても名高いが、ピーター・グリーナウェイ監督による記録映画「4 American Composers」で、その演奏姿を観られることについて以前ブログでも取り上げた…と思ったのだが、この時話題にしていたのはジャック・クリプル氏か。

「トレッド・オン・ザ・トレイル」は、サクソフォンの多重奏ではなく、ジャズ・カルテットのような編成での演奏だ。どのような編成でも許されるといえ、音域と音色がここまでバラバラだと逆に新たな発見があり、面白い。

「Reed Phase」


「Tread on the Trail」

2010/08/19

須川展也氏が考えていること

サクソフォーン発表会の打ち上げの席におじゃましたときに、須川氏とちょっとだけ話す(とは言わないな、あの状態は(苦笑)離れたところで話を傾聴していただけ)機会があって、アマチュアの活動について、須川氏が考えていること・目指すことを伺うことができた。

一言で言えば、敷居を低くサクソフォンを広めていきたい、というポリシーがあるそうだ。

須川氏のあの日本全国に展開するアクティブな活動も、その考えに基づいたものだと考えれば、なるほどと納得がいく。自身の活動の多くの時間を、日本のサクソフォン界の裾野を広げるために割いている姿勢には、恐れ入る。逆に、雲の上の人のような(個人的なイメージです)須川氏が、そんなことを考えてくれているなんて、嬉しいじゃないですか。

そういえば、私自身だって、一番最初に聴いたプロフェッショナルのサクソフォン奏者の演奏は、地元の高校バンドと須川氏が共演するアンリ・トマジの「協奏曲」だったし、一番最初に聴いたプロフェッショナルの四重奏は、トルヴェール・クヮルテット演奏のウジェーヌ・ボザ「アンダンテとスケルツォ」であった。普段は、サクソフォンの演奏なんかないような田舎の出来事である。

須川氏がいなかったら、日本のサクソフォン人口はどの位変わっていただろうか。私もサクソフォンを続けていたかどうかわからないし、やっぱり日本のサクソフォン界が須川氏に負っている部分というのは大きいのだなあと、改めて感じいった次第。

2010/08/18

第23回サクソフォーン発表会

聴きに伺ったのは初めてだったが、とても良かった!今後、聴きに行くのが毎年恒例となりそうだ。

【第23回サクソフォーン発表会】
出演:かつての須川展也門下生のみなさまと、関係者
日時:2010年8月17日(火曜)18:20開演
会場:川口リリア・音楽ホール
プログラム:
L.アンダーソン - トランペット吹きの子守唄
A.ピアソラ - タンゴの歴史より
A.ピアソラ - タンゴの歴史より
M.ブルッフ - 8つの小品より
V.ダンディ - コラール・ヴァリエ
E.ナザレス/伊藤康英 - ブラジル風組曲
R.シューマン - 幻想小曲集
C.ケックラン - 練習曲集より
P.M.デュボワ - 6つのカプリスより
J.S.バッハ - フーガの技法よりコントラプンクトゥス9番(浜松サクソフォン倶楽部)
菅野よう子 - Strange Grass Hopper(浜松サクソフォン倶楽部)
啼鵬 - モダン・チャルダッシュ(Le Revoir SQ)
本多俊之 - 陽だまり(Le Revoir SQ&須川展也)
J.ブラームス - ソナタ第2番より第2,3楽章(新井靖志&小柳美奈子)
長生淳 - パガニーニ・ロスト(YaS-375)
コブクロ - 蕾(YaS-375)
P.スウェルツ - ウズメの踊り(須川展也&小柳美奈子)
J.S.バッハ - G線上のアリア(須川展也&小柳美奈子)

そもそものこの発表会が何なのかということについては、須川氏が自身の演奏の前に説明していた。須川氏が大学を卒業してまもない頃、東京大学と埼玉大学へサクソフォンパートのレッスンに行っていたそうなのだが、そのうちにパートレッスンがソロのレッスンとなり、ソロレッスンが充実していくにしたがって、発表会やろう、というこになり…その一連の経緯が第1回(1985/4/21)開催の動機となった、とのことだ。須川氏の仕事が忙しくなって、アマチュアへのレッスンをすることができなくなっても、発表会だけはずっと続いているのだとか。

当日は仕事を終えるのに少し時間がかかり、また東京を南から北まで横断しなければいけない会場の遠さもあり、第1部最後の方の演奏のときにギリギリ駆け込んだ。アマチュアの皆さんのソロ…どなたの演奏も選曲も三者三様といった感じなのだが、それぞれの方に「ここは!」というこだわりが感じられる。こんなに大きい会場なのに、ぐっと引き込まれて演奏者の姿がずいぶんと大きく見えたのだった。

スペシャルステージは、まず新井靖志氏。ブラームスの「ソナタ」をアルトで、という選曲にも驚き。ソロを聴いたのは、地元の高校選抜バンドへ客演して、ロナルド・ビンジの「協奏曲」を吹いているのを聴いて以来だった。第2楽章の集中力とフレージング、見事だったなあ。YaS-375(山田忠臣氏、國末貞仁氏、小柳美奈子氏)のトリオは、須川氏とケネス・チェ氏の演奏でも有名な「パガニーニ・ロスト」と、肩の力を抜いて「蕾」を。「パガニーニ・ロスト」はライヴで聴くと緊張感があっていいですね。11月にはオペラシティのリサイタルもあるようで、聴きに行けると良いな。私が大好きな「オリエンタル」を取り上げるとのこと。

オオトリは、やはり須川氏。「ウズメの踊り」を聴いたのも、いつ以来になるだろうか。大半の方がご存知のように、フィンガリングとフラジオの総合商社のような曲だが、高い技術に聴き手を惹きつけるプレイはさすが!の貫禄を感じさせるものだった。アマチュアサックス吹きにとっては、神様のような雲の上の存在だけれど、お高くとまろうとするような感じを受けないのが不思議だ。きちんとしたリサイタルも聴いてみたいが、東京でそんな機会がないだろうか…。

終演後は、ちゃっかり?打ち上げにも参加させていただいて、ここでもまた久々の出会いや、新しい出会いがあった。楽器で繋がっていけるって、素敵ですね。ありがとうございました。

2010/08/16

カザルス指揮の「ブランデンブルク第2番」 on YouTube

残念ながら動画ではないが…。

パブロ・カザルス指揮プラド祝祭管弦楽団の演奏による、バッハ「ブランデンブルク協奏曲第2番」の、音だけがYouTubeにアップロードされていた。そういえば、この録音は1950年のものであり、著作隣接権が消滅しているため、人類共有の財産として自由に公開されて良いものなのだ。

第1楽章:http://www.youtube.com/watch?v=LQKTTfvYDCs
第2楽章:http://www.youtube.com/watch?v=47Gsy5Jqzko
第3楽章:http://www.youtube.com/watch?v=m6sZT1KITJc

マルセル・ミュールが、ソプラノサクソフォンでトランペットパートを吹いていることは今更説明するまでもない。速いテンポで演奏したかったカザルス(たしかに録音を聴いても速い)に、「そんなテンポでの演奏は無理だ」と帰ってしまったトランペット奏者の代役を探していたところ、このプラド祝祭管弦楽団の中にミュールと知り合いだったプレイヤーがおり、その人物がカザルスに、ミュールの抜擢を進言したということだ。ソリストは、以下の通り。まったく、トンデモナイ布陣である。

Alexander Schneider, violin
Marcel Mule, saxophone
John Wummer, flute
Marcel Tabuteau, oboe
Paul, Tortelier, cello

実に、いや、実に見事な録音である。モノラルの録音の奥から聴こえてくるのは、ただただ「音楽を奏でる喜び」。バッハ作品の中でも、屈指の愉悦感に満ちた作品に共感する、カザルスと名手たち。このような演奏が、録音されていたということにも、大きな喜びを感じる。

2010/08/15

Claus Olesen氏のソロCD

午後いっぱい、部屋でNHK-FMの「今日は一日フュージョン三昧」を聴いていた。「フュージョン」という割にはずいぶんゆったりな選曲で(ちょっと不満)、聴きながら昼寝してしまった。23:00までやっているらしいので、これからに期待…。

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最近日本のサクソフォン界でも有名になってきた、デンマークのサクソフォン奏者、クラウス・ウールセン(オレセン) Claus Olesen氏。ウールセン氏は、ソロでの活動の他、ジョットランディア・サクソフォン四重奏団のソプラノ奏者としても有名である。ジョットランディアSQとしては、2005年に初来日し、さらに独奏者としても、一昨年のサクソフォーンフェスティバルに合わせて来日し、見事な演奏を披露した。そのときウールセン氏が演奏したフローラン・シュミット「伝説」は、後にも先にも、これ以上の演奏を聴いたことがない、というほどのものだった。

そのウールセン氏が、2007年に吹き込んだソロCDを聴くことができた。ClassicOレーベルという、それなりに有名なレーベルからリリースされているアルバムなのだが、なぜかあまり流通しているのを見かけたことがない。不思議。

「A Case of Music(ClassicO CLASSCD 741)」
Claus Olesen (sax)、Aya Tominaga (pf)
Claude Debussy - Petit Suite
Camille Saint Saens - Sonate pour hautbois
Paule Maurice - Tableaux de Provence
Roger Boutry - Divertimento
Francis Poulenc - Sonate pour hautbois
François Borne - Carmen fantasie

このCD、mckenさんがレビューを書いている。また、たしかThunderさんもこのCDは持っているはずなのだが、レビュー記事は見つけられなかった(いつか見たことあるような気がするのだがなあ)。

何か奇をてらっているとか、超絶技巧だとか、そういったものは一切ない。選曲も、基本的にはオーソドックスなものだし(ドビュッシーの「小組曲」は驚いたが)、見た目の派手さはあまり感じられない。逆に、2007年という時代に、こういったアルバムを制作した勇気というか、思い切りの良さにまず驚いた。

聴いていると、サクソフォンとピアノのフレージングの綾の中に自分の意識が溶けこんでいきそうになる。透明感あふれる優しい音色は、音楽と聴き手を直接リンクさせるものだ。あまりウールセン氏の音楽を聴いた、という感じではなく、ブートリーの音楽だったり、モーリスの音楽だったり、それらを直接浴びているような感覚。

収録されているアレンジ作品は、実演で聴いても実に面白そうだ。フラジオ音域も当たり前のように登場するが、テクニックを聴いているという感じはない。ウールセン氏はここでも、聴き手に対して作曲家の音楽をそのまま届ける、ということに徹しているように感じる。

2010/08/14

キャトル・ロゾーのライヴ録音(1978年)

これも、神奈川県のT様より送っていただいた録音である。1978年5月6日、兵庫県西宮市でキャトル・ロゾーが公演した時のライヴ録音(冨岡和男氏所蔵)を、ダビングさせてもらったものなのだそうだ。プログラムは、以下。

A.K.グラズノフ - カンツォーナ・ヴァリエ
M&F.ジャンジャン - 四重奏曲
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
I.アルベニス - セヴィリャ
M.デ=ファリャ - スペイン舞曲第2番
J.S.バッハ - G線上のアリア、バディネリ
C.ドビュッシー - リトル・ネグロ、ゴリウォーグのケークウォーク
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト
~アンコール~
N.リムスキー=コルサコフ - 熊ん蜂の飛行
L.ボッケリーニ - メヌエット
W.A.モーツァルト - アヴェ・ヴェルム・コルプス

プログラムのリストだけ眺めてみると、小品に混ざってグラズノフ(第2楽章だけだが)、ジャンジャン、ピエルネ、リヴィエといった大曲が並んでいることに驚く。録音は、おそらくホールの吊りマイクからのものだろう。およそ30年前の録音ということになるが、意外なほどに良い音質に驚いた。アナログソースは、保存状態さえしっかりしていれば長期にわたって保存することが可能なのだ。

冒頭からじっくり聴いてみる。そして美しい音色&ヴィブラートと均整の取れた楽器間バランスに、頬が緩んでしまう。グラズノフでは、おなじみ「シューマン風飛ばし」をやられていきなり面食らうが、それでも残りの変奏を淡々と演奏する。上手い。今でこそ、中学生でも演奏してしまうような曲だが、30年前にこういった音が響いていたのか。

ジャンジャンの第1楽章では、あのアルトとテナーがアルペジォを奏でる中間部で、冨岡氏のソプラノサックスがしなやかに歌う。この懐かしいヴィブラート!時に、冨岡氏32歳。"中堅どころ"と呼ばれていたであろう30代前半のプレイヤーが、こんな音を奏でる時代があったのだなあ。それは、ファリャの「スペイン舞曲」やバッハの「G線上のアリア」でも聴くことができる。たった一音の伸ばしが、聴き手を30年前のホールへと連れ去ってしまうかのようだ。

ピエルネやリヴィエは、テクニックの高さとアンサンブル力の高さに驚いた。ライヴ録音であることが信じられないほどにキズが少ない。同じキャトル・ロゾーのCDの録音よりも、こちらの方がずっと聴きごたえがあるのではないかな?というわけで、ちょっといろいろと「驚き!」な録音であった。

これにて、T様からお譲りいただいた録音をすべて紹介し終えたことになる。貴重な録音の数々をお譲りいただいたT様に、改めて御礼申し上げたい。

2010/08/13

のだめにサックスが…

本日夜、東京へ戻ってきた。人が少なくて驚き。金曜日21時台の東横線特急に座れるなんて、初めての経験だ。

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実家でまだ読んでいなかった"のだめ"の単行本に目を通していたら、なんと!千秋が、ブラジルのオーケストラに客演し、ダリウス・ミヨーの「スカラムーシュ」の指揮を振る、という場面描写が出てきた。びっくり!

ただでさえオーケストラ漫画には登場しづらいサクソフォンだが、そういえばラヴェル「ボレロ」の描写だって出てきたし、単行本の表紙をテナーサクソフォンが飾ったこともあったし(20巻)、その他にもベルク「ヴァイオリン協奏曲」、ジョリヴェ「打楽器協奏曲(ピアノリダクションだけど)」、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」、ムソルグスキー/ラヴェル編「展覧会の絵」等、サクソフォンが含まれる曲の登場する確率はけっこう高い。作者が意識しているかどうかは別として、なんとなく嬉しい。

ソリストは、イギリス人のジミー・メラーズという若手奏者で、「硬派な奏者と聞いていた」人物だったがブラジルの海に1日過ごしただけで「ラテンの空気にやられて」しまい「性格変わっちゃった気がします」(Wikipediaより)という、いかにも"のだめ"らしい設定で登場する。なんかイギリス人奏者ってだけで、妙にマニア心がくすぐられるが…。

嬉しくなってTwitterに書き込んでみたが、どうやらサックス関係者には常識らしく、むしろ私の流行への乗り遅れっぷりを露呈してしまったのでした。ちゃんちゃん。

2010/08/12

デュボワ作品集

フランスの作曲家、ピエール=マックス・デュボワ Pierre Max Dubois(1930 - 1995)はサクソフォンのために、なんと70以上の作品を残している。じゃあ、その作品が全て有名か?と言われるとそうでもなくて、順番に「ディヴェルティスマン」「協奏曲」「性格的小品」「四重奏曲」「変奏曲」「サーカス・パレード」まで挙げたところで、その先が続かなくなってしまうのが普通だろう。

このCD「Pierre Max Dubois - Divertissement - Works for Saxophone and Piano(Hungaroton HCD32584)」は、そんなデュボワがサクソフォンとピアノのために書いた作品を集めた(おそらく世界初の?)ディスクである。私がこのディスクを知ったのは最近であり、ちょっと古めのCDなのかな、と勝手に思い込んでいたのだが、発売されてまだ1年程度しか経っていないようである。

ハンガリーのサクソフォン奏者、Rigo Sandorと、ピアノのChristina Leeb-Grillによる演奏。取り上げているのは、「Divertissement」「Concertstuck」「Sonata」「Pieces caracteristiques」「Sonatine」の5曲。「Concertstuck」「Pieces caracteristiques」「Sonatine」の3曲は、恥ずかしながら、不勉強でこれまで知らない作品だった。が、作品の質としてはなかなか高く、どれも他の作品にも引けを取らないものばかりだった。

演奏もなかなか良く、たとえば取り上げられることの多い「Divertissement」などは、流石に名演奏の数々(ミュール、フルモー、須川氏)と比較したときに分が悪いが、このCDの演奏だけ取り出して考えれば、十分なほどと感じる。「作品集」としてまっとうな演奏なのだ、とも言えると思う。デュボワの作品が好きだとか、デュボワの作品について研究してみたいとか、そういった向きには自信を持ってお勧めする。

調べてみたところ、Amazonから購入できるようだ。こちらからどうぞ。

Facebook使ってます

実家に新しいテレビ(REGZA RE1)が来ました。時代は変わるもんだなあ、としみじみ。

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Facebookを最近使い始めた。Twitterと連携させて、Twitterの書き込みがFacebookにも飛ぶようにしてある。利用し始めた一番の目的は、海外のサクソフォン奏者との交流である。私も最近知ったのだが、たとえばクロード・ドゥラングル教授や、マルガリータ・シャポシュニコワ教授がFacebookのアカウントを持っているなど、想像すらできなかったことだ。

Twitterはさすがに日本語で書きこんでおり、その書き込みがそのままFacebookにも反映されるので、日常的な交流といったものはあまり多いとは言えないが、何か必要と思えるときに、こういったコネクションを持っておくのは有用と考えている。FacebookとTwitterを切り離せばよいではないかと思われるかもしれないが、メール、ブログ、mixi、Twitterくらいがハンドリングできる限界で…(^^;

そして、こういった様々なサービスを使っていると、やはり問題となるのが住み分けだが、今のところ何とかなっているのは幸いか。それぞれを適切にハンドリングしていきたいが、どこかで限界が来るはず。Googleかどこかが、すべてのSNSを席巻してしまうようなサービスを開始してくれればなあ…そんなわけで、Google Waveは少し残念だったし、今度出てくる"かも"という噂のGoogle Meあたりには、ちょっと期待している。

2010/08/10

冨岡和男氏と服部吉之先生のデュオ録音

これも神奈川県のT様に頂戴した録音である。冨岡和男氏と服部吉之先生のアルトサクソフォン・デュエットの録音で計3曲を吹いている。T様が、冨岡氏から直接ダビングさせてもらった録音とのことで、状態は非常に良い。

Jean Marie Leclair - Sonata in C major(Op.3-2 in A major)
Jean Marie Leclair - Sonata in D major(Op.3-1 in G major)
Aubert(スペル失念…東京に戻ったら修正します) - Duo Suite

ルクレールとオーベール。2本のアルトサクソフォンのためのレパートリーとしては、非常にスタンダードなものの一つに数えられる。時期が時期だけに、それほどデュオののためのレパートリーの開拓が進んでいないことを感じさせる。

演奏は実に見事なものだ。当時脂が乗りきっていたであろう二人の、丁々発止のやりとりを聴くことができる。何より音色が良い!そういえば、冨岡氏が服部先生をキャトル・ロゾーに誘ったきっかけについては、「音色の美しさに惚れた」と言っているくらいなのだった。ライヴで聴いてみたかったなあ。

実家へ

今週が夏休みということで、実家へ帰ってきています。いくつか用事はあるが、基本的にはゆっくりできそう。

楽器はあえて持って来なかった。楽譜読んだり勉強したりサックス関連の調べ物したりして過ごそうかと思っている。東京へは、金曜日の夕方に戻る予定。

2010/08/09

Midsummer Bigband Festival 2010@保谷こもれびホール

保谷こもれびホールが今年より始めたイベント「ミッドサマー・ビッグバンドフェスティバル2010」に伺った。"フェスティバル"の名に相応しく、アマチュアのバンドから、日本を代表するバンドまでが一同に会し、午後目一杯かけてビッグバンド・サウンドを響かせる、という催し。チケットについては、大学時代の友人、というか盟友にお世話になった(ありがとうございました)。

今回の出演は、アマチュアのLa Musica Sabrosa!、Northern Six Big Bandの2つと、笹路正徳がこの日のために結成したという笹路正徳 Japan Allsters、ジャズヴォーカリストの綾戸智恵、そして結成15周年を迎えてますます活躍の幅を拡げる熱帯JAZZ楽団、という超豪華な布陣。さらに、ロビーコンサートでは、ジャズのサックス四重奏団であるQUADRAと、ヴァイオリンの真部裕氏が出演。

La Musica Sabrosa!とNorthern Six Big Bandは、アマチュアで活動しているとのことだが、それぞれが個性的なサウンドを持っていて、とても楽しく聴けた。ラテン色を全面に押し出したLa Musica Sabrosa!は、迫力あるCoroの大合唱に始まり、最後はホーン隊のサウンドが炸裂。ラテン・パーカッションのサウンドもご機嫌。Northern Six Big Bandは、打って変わっていかにもスタンダードなレパートリー。メンバーは30代から、上は80代(!)とのことで、驚いたが、味わい深い演奏だった。

第2部は、日本を代表する音楽プロデューサーのひとりである笹路正徳氏が結成したビッグバンド。さらになんと、綾戸智恵をフィーチャーしてのステージだった。メンバーのリストは以下。

笹路正徳, pf
村田陽一, trb
綾戸智恵, vo
近藤和彦、萱生昌樹、竹野昌邦、吉田治、山本拓夫, sax
西村浩二、菅坡雅彦、奥村晶、岡崎好朗, trp
東條あづさ、川原聖二、朝里勝久, trb
渡嘉敷祐一, drs
バカボン鈴木, bs
田中倫明, perc

この強力な編成で、ジャズのスタンダード(しかし、相当にテクニカルなアレンジ)を数曲。綾戸智恵氏は、途中の3曲に登場…実は綾戸氏のステージングを拝見するのは初めてだったのだが、冒頭のトークから超強烈なキャラクターに飛び上がり、続いてパワフルな歌声、ステージ上を飛び跳ねまわるかのようなダンス!たった3曲の間に、ファンになっちゃいました。

お待ちかねの第3部は、熱帯JAZZ楽団。前日まで北海道の音楽祭に参加しており、その日は北海道に宿泊し、朝一番の飛行機で羽田へ、さらに在来線(京急線→JR→西武池袋線)を乗り継いで保谷入りしたとのこと!そんなカルロス菅野氏の軽妙なトークを楽しんでいると、いつの間にやら熱帯JAZZ楽団のあのヘヴィかつ開放的なサウンドが聴こえてくる。実は今日の催し、客層が不思議な感じ(明らかにビッグバンド知りませんという感じの年配の方が多数…どういうチケットの売り方をしたのだろうか)だったのだが、とにかく熱帯JAZZ楽団だけは問答無用で客席も沸いていたみたい。

ちなみに、本日はサポートメンバーとして佐久間勲氏(trp)と佐野聡氏(trb)が参加していた。中路英明氏を見られなかったのはちょっと残念だったが、佐野聡氏の存在感、というか爆笑モノだったソロは、とにかく印象深い。初めて観ると、卒倒しそうになるだろうな(笑)。近藤和彦氏のソロでは、頭に「ストーリーテラー」という言葉が思い浮かんだ。とにかく、起承転結がものすごいのですよ。

最後は、「シング・シング・シング」のスペシャル・セッションにて幕。いやー、楽しいイベントだった!本年を起点として、今後継続していくそうだ。来年の催しが、さらに充実したものになることを期待したい。

2010/08/08

松美ウッドストック~四重奏練習

8/7(土)に、1960年代後半のロックをカバーして一気にやってしまおうというイベント…その名も「松美ウッドストック2010」に参加した。私は、Sly & the Family Stoneというグループの楽曲をコピーしたバンドで出演。炎天下の中、5曲演奏した。

Dance to the Music
Thank You
Everyday People
I Want to Take You Higher
You Can Make It If You Try

ご覧の通りの快晴。会場の背後は広々とした池。めちゃくちゃ暑かったが、それにも増して爽快だった。自分以外のメンバーは、こちらの音楽には慣れた方ばかり。自分自身の演奏はいくつか反省しきりな部分があったのだが、ソロの部分などは楽しく吹けたなー。誘っていただいて、ありがとうございました。

演奏の前後は、池のほとりの芝生に座って、ビールを飲みつつ鑑賞。ビールサーバーのディスペンサー中って、ああなっているんだ(初めて知った)。

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15時くらいにはお酒も抜けてきたので、ライヴ会場を抜けだして、四重奏の個人練習へ。しかし、ライヴ後で疲れていたせいか、1時間ちょっとでダウン。気がついたらソファで寝ていた(笑)17時からTsukuba Saxophone Quartetで、バッハ/伊藤康英「シャコンヌ」のサクソフォン四重奏版の合わせ。最初はSATの三人だったが、19時には全員が揃い、結局20時半ころまで合わせ練習を行った。

大きな流れを作るのはなんとかなりそうな気がしたが、問題は細かい部分。テクニック的な問題が(できる範囲で)完全に解決しないと、そもそも人前に出すことができない。本番まで2ヶ月を切っているが、なんとか頑張っていきたい。

その後は灯禾軒にて飲み。四重奏のメンバーでは初めてだったかも…。灯禾軒では久々に飲んだ&食べたが、やっぱり美味しいお店だなあ。結局終電を逃して、続いて松美池での打ち上げに合流し、筑波時間25時にようやくお開き。最後は、Sly...に誘ってくれた友人宅に転がり込んで寝てました(笑)。

2010/08/06

サクソフォーン協会結成当時?の録音

神奈川県のT様より送っていただいた録音。私自身は知る由もない頃のことだが、日本サクソフォーン協会立ち上げのために、当時の音楽大学の教授陣が集まって、ラージアンサンブルの立ち上げを行っていたのだそうだ。そして、第1回のサクソフォーン・フェスティバルに先立って録音され、ラジオ放送されたもの、とのこと。

つまり、日本における最初期のプロフェッショナルなラージアンサンブルの響き、ということになる。1980年前後の日本のサクソフォン界のラージアンサンブル…どんなとんでもない演奏なのか、とビクビクして聴き始めたのだが、予想を大きく裏切られるほどの、高いレベルに驚いた!ものすごく丁寧なリハーサルの跡が見られ、ややエッジが立った均質な発音・音色が心地良い。ある部分については、現代のラージアンサンブルを凌駕する部分もあるのではないかな。

プログラムは、以下のとおり。レパートリーに関しては、金管アンサンブルのものを持ってきたり、弦楽アンサンブルを編曲してみたりと、いかにも黎明期らしいセレクトだ。

G.ガブリエリ/宗貞啓二 - カンツォン・プリ・ミトニ
G.ガブリエリ/宗貞啓二 - カンツォン・ソナタからカンツォン第14番
G.F.ヘンデル - 合奏協奏曲ハ長調より第1楽章
A.ドヴォルザーク - スラブ舞曲第3番より

日本サクソフォーン協会の歴史については、松沢増保氏が著した「日本サクソフォーン協会20年のあゆみ」というページが有名であるが、残念ながら今回頂いた録音と、関連性を見つけることはできなかった(第1回のプログラムも、こちらのページには"ラージアンサンブル"としか書かれていない)。

今度、松沢氏に伺ってみようかな。もしくは、当時のことをご存じの方がいましたらぜひ教えてください。この放送が実現した経緯や、当時のメンバーなど、非常に興味がある。

ちなみに、T様の話によると、バッハの「ブランデンブルク協奏曲第2番」もリハーサルされていたそうな(本番は実現しなかったそうだが)。これは、ミュールのあのLPを意識してのことなのかな。

2010/08/05

アル・ガロドロ氏の録音

アル・ガロドロ Al Gallodoro, Alfred Gallodoro氏の録音を、神奈川県にお住まいのT様から送っていただいた。ガロドロ氏、2年ほど前に惜しまれつつ鬼籍に入ったが、ポール・ホワイトマン楽団のスター・サクソフォン奏者であり、80年近くも現役で演奏活動を続け、数多くの録音を残した偉大なサクソフォン奏者である。経歴についてはmckenさんのブログ記事に詳しいので、ぜひそちらをご覧頂きたい。

お送りいただいたのは、阪口新氏(!)がLPからテープへと録音し、それをT様がダビングさせてもらったもの、とのこと。プログラムは、以下。

Summer Time
Hora Staccato
Dark Eyes
Indians Summer
Oid Vienna
Czardas
Jalousie
Liza

ああもう、本当に素敵な演奏だ!すっと身体に染み入るようなヴィブラートと、温かい音色、上質なフレージング。そして、驚くほどのテクニック。1930年代から40年代にかけての、アメリカのポピュラー音楽界が輝いていた時代の音楽だ。聴き進めていくうちに、タイムスリップしてしまいそう。私はガロドロ氏の演奏を初めて聴いたのだが、一発でファンになってしまった。復刻CDがいくつか出ているようなので、手に入れてみようかな。

休日の昼下がり、こんな音楽を聴きながらウトウトできたら、最高かも。はたまた、一日の終わりに、ミルクティーを飲みながら聴けたら、それも最高かも。こんなシチュエーションで聴きたい!と思わせる音楽って、凄いですね。

T様からは、他にも貴重な録音をお譲りいただいた。追って紹介していきたい。

Klassik & BLUE

京青さんから送っていただいた、ニコラ・プロスト Nicolas Prost氏の新譜である。「Klassik & BLUE(JDT 3447)」というタイトルから想像されるようなクラシックとジャズを混合したプログラミング、というわけではなく、プロスト氏のこだわりが随所に感じられるような選曲となっている。トラックリストを見た瞬間に、ニヤリとしてしまった。

Artie Shaw - Concerto
Steve Reich - New York Counterpoint part3
Leonard Bernstein - Prelude, Fugue, Riffs
Philip Glass - Façades
Aaron Copland - Quiet City
John Williams - Catch Me If You Can
Alex Kotch - Reduce, Reuse, Recycle
Mark Phillips - Rappin' with Dizz and Bird

という、超変化球プログラムだけでも驚いてしまうのだが、さらに各曲の間にチャールズ・アイヴス Charles Ivesのバリトンのための歌曲…「Memories」「Charlie Rutlage」「On the counter」「The circus band」「Ann Street」「Maple Leaves」が挿入されている。これらのトラックも、なんとプロスト氏ご本人が歌っているのだ。あまりに見事な演奏に驚いていたら、プロスト氏は声楽でパリ国立高等音楽院を受けようと思うくらいに、本格的に勉強した経験がおありとのこと(井上麻子さん情報)。なるほど、と思ってしまった。

ざっと一曲ずつ追っていこう。アーティ・シャウの「協奏曲」は、私自身は初めて知ったのだがクラリネットとジャズバンドのための曲。ちょうどYouTubeに良い映像があったのでこちらを参照いただきたい。このクラリネットパートを、ソプラノサクソフォンで吹いているのだが、クラリネットに匹敵するほどの軽やかなフレージングに惚れ惚れ。ライヒは、なんとYAMAHA WX5での演奏!実は個人的に密かに構想していたため、「やられた!」という感じだった。どうやったらこんなにくっきりと低音が出せるんだろうか。

バーンスタインの曲も、超有名曲のひとつだが、これをソプラノサクソフォンで吹いてしまうとは恐れいった。この曲の究極系って、佐渡裕&シエナWOあたりの演奏だと思っているのだが、それと比べると、さすがにバックバンドとしては分が悪いかも。そして、CDを眺めていたら、アーティ・シャウとバーンスタインの芸術監督として、ブノワ・メニュ Benoît Menutさん(私も大変お世話になった、フランスの作曲家、編曲家)の名前が!驚いた。

フィリップ・グラスとアーロン・コープランド(先日名古屋でも演奏された)で中休みして、誰もが知るジョン・ウィリアムズの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」。これは、吹奏楽との共演だが、なんとポンピエ音楽隊ですよ!こんなところで名前を見ることになるとは。安井寛絵さんがアドルフ・サックスコンクールで優勝された時の共演バンド、ということで名前を知っていた。

アレックス・コッチの作品から、とたんに現代よりとなるが、内包するリズムや和音は、親しみやすいものが多い。最後のマーク・フィリップスの作品にいたっては、なんとWX5とテープの作品ですよ!3分弱と短いが、タイトル通りの、凝縮されたパワーを感じる。ジャズ、というよりも、まるでロックのようだ。

2010/08/03

グラズノフのカリーナ・ラッシャー監修版出版予定

度々話題となっている、アレクサンドル・グラズノフの「サクソフォン協奏曲」だが、最近Amazonから一方的にキャンセルされてしまい、困っていた。どうも出版状況が判らなかったため、版元のベーレンライター社に問い合わせたところ、次のような返答があった。

Thank you very much for your email. I am sorry to inform you that there has been a delay in the publication of the Glazunov "Saxophone Concerto" (BA 8732). A new source has recently been discovered and this of course has to be included in our edition. At the earliest, this new edition will be published in October of this year.

ということで、未だに出版されておらず、予定では最速で10月、状況によってはさらに遅れることになるそうだ。だが、何らかの"new source"を出版譜に盛り込むための遅延ということで、さらに充実した内容を携えて我々の前に姿を見せてくれることだろう。楽しみに待ちたい。

…えっと、"new source"が気になりすぎて、再度問い合わせしちゃいました(^^;

2010/08/02

ニコラ・プロスト氏演奏会のプログラム2010

先週あたりからご紹介すべきものが増えてきているが、ひとつひとつ記事を書いていきたい。

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おなじみ、名古屋にお住まいの京青さんより、本年のニコラ・プロスト Nicolas Prost氏のコンサート@名古屋の、プログラム冊子を送ってもらった。ここ数年、プロスト氏は小森伸二氏の招きで毎年来日しており、名古屋で非常に興味深いプログラムにて演奏会を開いている。確か去年は、トリオ・サクシアーナとしての来日だったが、今年はプロスト氏とピアノのローラン・ワグシャル Laurent Wagschal氏のデュオ・サクシアーナでの来日となったようだ。また、今年は小森伸二氏も演奏に参加している。

2010年7月6日、会場は名古屋伏見の電気文化会館。テーマは、"Klassik & Blue"。最近発売されたニコラ・プロスト氏の新しいアルバム"Klassik & Blue"のコンセプトを、採りたてそのまま新鮮なうちにフランスから運んできた…といったところか。

Darius Milhaud - Scaramouche
Jean Franĉaix - 5 danses exotiques
Maurice Ravel - Pièce en forme de habanera
Bela Bartok - Sonatine
Witold Lutoslawski - Dances preludes
~Intermission~
Christian Lauba - Clauds, étude n.17
Pedro Iturralde - Suite hellenique
Gilles Cagnard - Portrait de Erik.S
Aaron Copland - Quiet City
Franck Bridge - 3 miniatures

なんといっても、まず目をひくのがクリスチャン・ロバ Christian Laubaの新作エチュードである「雲」。なんとこの日が世界初演だったそうで、日本でロバのエチュードが初演されることがあるなんて…と、ちょっと感動した。肝心の内容については知るすべもないが、京青さんのブログのレポートに作品の描写がある。サクソフォンとエレクトロニクスのための作品だそうで、なんとなく「スタン Stan」あたりを想像したのだが…聴いてみたいなあ。

前半・後半とも、よく知られたプログラムの中にスパイスの効いた佳曲を混ぜ込むセンスに脱帽。おそらくフランセの作品と対応付けたのだろう…と思われるルトスワフスキの作品は、元々はクラリネットの曲である。こうしたプログラムを見ると、まだまだサクソフォンの演奏会は面白くなりそうだ!と感じる。

アーロン・コープランドの「静かな都市」を持ってくるというのも意外だった。私などは、イーストマンWEのCD「Quiet City(Sony Records CSCR8180)」(このCD、「プラハのための音楽1968」が入っているんですね)にて、ウィントン・マルサリス氏の演奏で楽しんでいたクチだが、まさかサクソフォンの演奏会でこのプログラムに出会えるとは思っていなかった。

というわけで、実際の演奏を聴いていないのでなんともアレな記事だが(爆)、いつか東京での演奏機会を設けてくれることを楽しみに待ちたいと思う。

2010/08/01

TSQ練習

土曜日の昼と日曜日の午前に、つくば市での練習が入っていたため、土曜日の夜は、筑波研修センターに宿泊した。非常に年季が入った建物で、なんだか学生時代に3年間過ごしていた筑波大学の学生宿舎を思い出した。それにしても、3600円で泊まれるとはお得だ。門限も24時までOKだし、大きな浴場も付いているし。

ということで、今日は朝からTsukuba Saxophone Quartetの練習。9月の後半に、四重奏でのクラシックの本番が入っているため、それに向けての練習だった。候補曲のJ.S.バッハ「シャコンヌ(伊藤康英先生の編曲)」初合わせ。非常に難しいが、なんとか頑張っていきたい。

やっと、Tsukuba Saxophone Quartetでも、バッハを演奏できるようになった…のかなあ(まだまだヘタクソですが)。今後、ポリフォニックな音楽にも、少しずつ手を伸ばしていきたいと思っている。