2010/06/30

ルクレールのデュオ

2本のサクソフォンでよく演奏されるジャン=マリ・ルクレールの「2つのヴァイオリンのためのソナタ」だが、これまで元の曲をきちんと調べたことがなかった。まず、ルクレールの作品リストを引っ張り出してみたのだが、驚きの曲数!(→こちら

このなかで、「2つのヴァイオリンのためのソナタ」は、作品番号3の6作品と、作品番号12の6作品がある。ロンデックスによりサクソフォン用に編曲されているのは、以下の4タイトル。

Sonata for 2 Violins in C major
Sonata for 2 Violins in F major
Sonata for 2 Violins in D major
Sonata for 2 Violins in A flat major

さらに、原曲とは次のように対応しているようだ。付いている調号が違うので、対応が分かりづらくなってしまっている。

アレンジ→原曲
in C major→Op.3-2 in A major
in F major→Op.3-6 in D major
in D major→Op.3-1 in G major
in A flat major→Op.3-4 in F major

※in F majorの対応については、ブログをご覧になったS様よりご教示いただきました。ありがとうございました。

ダヴィッド・ワルター氏のマスタークラス

急遽情報を仕入れて、アクタスまで聴きに行ってきた。いくらサクソフォン吹きの私でも、オーボエ奏者ダヴィッド・ワルター David Walter氏の名前くらいは常識として知っている。パリ国立高等音楽院教授、モラゲス木管五重奏団のオーボエ奏者として、世界の第一線で活躍中のプレイヤーであり教育家だ。

1人目の受講生は、ベンジャミン・ブリテンの「6つのメタモルフォーゼ」を演奏。物語を湛える曲だけに、ストーリーに即した場面転換のことについて多く言及していた。物語が変わる瞬間の、間合いの取り方やイントネーションの変え方など。「あなたが求められることは、音楽を使って聴衆にストーリーを伝えることです」と。5曲目の「Narcissus」などは、ワルター氏が身振りをしながら受講生が曲を吹くと、現実と鏡面世界の差がよりくっきり表れるように思えた。

2人目の受講生は、バッハの「協奏曲ヘ長調」を演奏。一部音程の不安定さについて、かなり容赦無いツッコミが。不安定な音程をヴィブラートでごまかそうとするとさらに音が崩れていくことを指摘し、お腹の支えをステーブルにし、ストレートな音で練習することを心がけることを再三にわたって口に出していた。一瞬でもいつもの癖が戻るようなら、「いまなぜ戻った?」と、、、怖っ。自分の中で出来てしまっているクセを打ち消すように、頭をつかった練習をとのことです。

オーボエを久々にキチンと聴いた印象。受講生お2人とも、有名な音楽大学を卒業された方だったが、弱音のコントロールや、音程の支えなどに明らかな問題が聞き取れた。素人目に聴いてもそうなのだから、オーボエという楽器って難しいんですねえ。ワルター氏のコントロールは、相当洗練されたもの。空気に溶けて消えていくオーボエの弱音だなんて、初めて聴いたよ…。

それから、ワルター氏、いろんな物事に対して明確な「説明」を求めていた。答えられない受講生タジタジ…なんだか聴いてるこちらまで気まずい雰囲気になっちゃっいました(´・ω・)笑。これも人事ではなくて、普段から音やフレーズ一つ一つに具体的な説明を持って演奏しないと、ダメだということだと思う。「ここは何をイメージして吹いていますか?」とか「ここのフレーズで一番大切な表現は何ですか?」と訊かれたときに、即答できるようではないと、たとえアマチュアとはいえ、音楽などできないのかもしれない。

2010/06/29

木下直人さんの復刻環境

木下直人さんの、現在の復刻環境を教えていただいた。

ステレオLP用カートリッジ:Ortofon SPU-G
トランス:Ortofon Jorgen Schou JS-41
アーム:SME

モノラルLP用カートリッジ:Pierre Clement E25M
SP用カートリッジ:Pierre Clement L5
アーム:オリジナル

イコライザ:Marantz Model1
プレーヤー:Thorens TD-124
CD-Rレコーダー:Marantz CDR-630

ご覧になって判るように、とにかく1950~60年代の音楽を現代に復刻しようと試行錯誤をした上に完成したシステム。木下さんは「当時の奏者を探し出し、再編成し、最高だった当時の音楽を指揮する気分です」とおっしゃっている。なるほど…!!

木下さんが行っているのは、単なる音の復刻ではない。以前も書いた気がするが、当時の音楽の復刻であり、当時のatomosphéreの復刻であり、当時の芸術の復刻である。単純に高い機材を使っているのではなく、当時の音楽に最もふさわしいオーディオ機器を整備して、作業を進められているのだ。

ステレオ盤のカートリッジは、オルトフォン。SPU-GTのトランスを外し、SPU-Gのトランスと交換してあるそうだ。フランスのSP/モノラルLPに関しては、完全に蘇ったPierre Clementのカートリッジが使用されている。ひとつ前の記事に木下直人さんからコメントを頂戴したが、特にダンパーゴム(交換不可能)の修繕には、大変な研究を重ねられたとのこと。

イコライザーは、マランツ#1。これも、完璧にオーバーホールされている(以前はModel 7を利用されていたこともあるそうだ)。ターンオーバー(低域補正)が、ヨーロッパ盤とアメリカ盤の中間となっているとのこと。CDR-630は以前640との聴き比べ盤を送っていただいたことがあったが、現在は630に落ち着いている。

現在の復刻環境の写真を送っていただいた(クリックすると拡大)。以前伺ったときは、Pierre Clementはまだまだ使用不可能な状態であったが、今回はアームの先にしっかりとカートリッジが映り込んでいる!

2010/06/28

木下直人さんから(ミュールのSP第2集)

木下直人さんから、マルセル・ミュールのSP復刻を送っていただいた。

ミュール演奏のSPはサクソフォン界、いやもしかしたら、クラシック音楽界の中の、ひとつの財産だ。しかも、そのSPを一つ一つ丁寧にクリーニングし、完璧にオーバーホールした当時の機材(ピエール・クレマン Pierre Clémentのカートリッジ他)を使ってCD-Rへ忠実にトランスファーしたというのだから、このCD-Rこそが音楽界の宝だ!と言い切ってしまって良いものだと思う。値段など到底つけられるものではない。

ノイズリダクションの処理は一切無し。原盤の音に何かしらの変更を加えるということは、収録されている楽器の音にまで影響が及び、原音が失われてしまうということだ。だから、SP特有のスクラッチノイズはたくさん聴こえるけれど、そこから聴こえてくる音はSPが制作された当時の音そのままだということになる。

以前送っていただいたぶんと併せ、ミュールのSPのコンプリート・コレクションへ向けてのこの2枚目となる。木下さんからは「価値のわかる方に積極的にわけてあげてください」と言われているので、興味がある方はkuri_saxo@yahoo.co.jpまで連絡を(CD-R代や送料等の心配はなさらなくて結構です)。両方あわせてお送りします。第1集の情報は、こちらから。

(Selmer Y7092)
Alexandre Glazounov - Theme et Scherzo
Luigi Boccherini / Marcel Mule - Menuet

(Selmer Y7091)
Pierre Vellones - Les Dauphins
Domenico Scarlatti / Marcel Mule - Scherzo
Nicolai Rimsky Korsakov - Vol du Bourdon

以上、Quatuor de saxophones de Paris
Marcel Mule, saxophone soprano
André Bauchy, saxophone alto
Georges Charron, saxophone ténor
Marcel Jossé, saxophone baryton

(Selmer SA7002)
Fritz Kreisler - La Precieuse
Fritz Kreisler - Liebesfreud

(Selmer SA7001)
Jacques Ibert / Marcel Mule - Bajo la mesa
Paul Bonneau - Caprice

(Selmer Y8472)
Jean Joseph Cassanéa de Mondonville / Marcel Mule - Tambourin
François Joseph Gossec / Marcel Mule - La fete au village
Gabriel Pierne - Canzonetta

以上、ピアノ奏者の明記はなし

(Decca GMB-15008)
Jacques Ibert - Aria
Enrique Granados - 5eme Danse espagnole

(Decca AB-8246)
Maurice Ravel / Marcel Mule - Piece en form de habanera
Alex Roelens / Marcel Mule - Pavane et Menuet vif

(Decca AB-8239)
Ludwig van Beethoven / Marcel Mule - Menuet
Jean-Philippe Rameau / Marcel Mule - Gavotte

(Decca 8238)
Enrique Granados - Intermezzo des Goyescas

以上、ピアノはMartha Pellas-Lenom

2010/06/27

じんぱちにて

木下直人さんから送っていただいたマルセル・ミュールのSP復刻については、明日の記事でご紹介できると思う。引き続き、ギャルド四重奏団のAFA盤(ついに原盤を入手されたそうだ!)と、ロンデックスのsne盤(ダニエル・パイロンの作品が入っている)もお送りくださるとのことで、これも非常に楽しみ。

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つくば市で四重奏の練習。サキソフォックスと、ピアソラの「ナイトクラブ1960」だった。サキソフォックスは、帰りがけに音源を聴いて思ったのだがまだまだ詰められるところがあるな。その後、成り行き(?)で、天スタメンバーの友人たちと"じんぱち"にて5曲ほど演奏。天スタのステージの前に、カルテットのステージも少しだけ頂いた。

・ルパン三世のテーマ
・グリーンスリーヴス
・チェッカーズメドレー
・長崎は今日も雨だった
・ピアソラ「NightClub 1960」(なぜかこの曲がアンコール)

思いがけずの本番ということで、なんか数カ所グダグダになってしまったが、ヘンテコなテンションで最後まで駆け抜けた(ポップスだからって、オーヴァーブロウするのはもうやめよっと…)。もうちょっと練習しないと…。貴重な場所を提供してくださり、ありがとうございました。

サクソフォニー演奏会終了

昨日、「Saxophony Project KANTO第一回演奏会」が終了。まずは、ご来場いただいたお客様に感謝申し上げます。客演の國末貞仁先生、司会の阪本様、そして当日の演奏会スタッフの方々にも、感謝申し上げます。

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いろいろ思うところはあるのだけれど、やはり柏原氏(アレンジ・指揮)・島藤氏(指揮)の手腕と、音楽に対するモチベーションが極めて高い50人のメンバーと、代表の望月さん以下運営陣営(練習場所の確保~当日の打ち上げまで)の働きと…この3点だろうなあ。演奏面でも、運営面でも、勉強になることが本当に多かった。吹奏楽のような大人数のクラシック系の団体は、数年前からかなり食傷気味だったのだが、少し考えを改めることとなった。こりゃ楽しいや~。

リハーサル、本番、打ち上げと、とっても充実した長いようで短い一日だった。ぜんぶ楽しかったなー。

今回の演奏会だが、関東における50人規模のアマチュア・サクソフォンオーケストラの、そのスタート地点となった。100年後に振り返られたときに、日本のサクソフォン史にこの演奏会のことが載るのではないかな?そのような演奏会に乗れたことを、誇りに思っている。

これからも良い状態で前進していけるといいな。

個人的な反省点は、リバーダンスのMCと、アルメニアンのミスか…。特にアルメニアンのほうはトラウマになりました。申し訳ない&お恥ずかしい…。どこかでリベンジしないと!

2010/06/25

再掲:明日の演奏会

【Saxophony Project KANTO第一回演奏会】
日にち:2010年6月26日(土)
時間:開場15:30、開演16:00
会場:かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール(小ホール)
料金:入場無料(整理券が必要)
ゲスト:國末貞仁
プログラム:
・第1部:アンサンブルステージ
・第2部:サクソフォンオーケストラステージ
- スカイブルーファンファーレ
- イギリス民謡組曲
- スカラムーシュ
- オペラ座の怪人
- アルメニアンダンスパート1

楽譜も衣装も譜面台も準備して、あとは晩ご飯を食べてお風呂に入って寝て、、、ああ、その前にアルメニアンダンスの新しい部分を少し練習しなおして…という感じで、本番前にこれだけ落ち着いているのは初めてだ!吹奏楽を離れてから、大人数での本番というのがめっきり減ったせいだろうか。

とても良い演奏会になる気がする!ぜひお越し下さいませ~。

2010/06/24

ご案内:坂口大介氏のリサイタル

【坂口大介サキソフォンリサイタル】
出演:坂口大介(sax)、石橋衣里(pf)
日時:2010年7月6日 19:00開演
会場:ルーテル市ヶ谷 ホール
料金:一般3000円、学生2000円
プログラム:
M.ブルッフ - コル・二ドライ
C.ケックラン - バソン・ソナタ
J.S.バッハ - ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ
P.スウェルツ - クロノス
A.デザンクロ - プレリュード、カデンツァとフィナーレ
P.ヒンデミット - ソナタ

ぱっとプログラムを眺めて思い出したのは、何年か前の東京藝術大学のサクソフォン専攻生によるコンサート。あのとき、たしか坂口さんはサクソフォンアンサンブルをバックに、「コル・ニドライ」を吹いていたはずだが…と、昔の記事を辿ってみると、あったあった→こちら。もう2年以上前なのだな(^^;

ということで、クローバーSQを始めとして、各所でご活躍中の坂口大介さんの(おそらく初の本格的な)リサイタル。ソロの演奏を聴く機会はこれまであまりなかったので、ぜひ聴きに伺いたい。問題は木曜日だ、ということで、仕事との兼ね合いか…。何とかなるかな?ルーテル市ヶ谷、最近ずいぶんと伺う機会が多いですね。数年経ったのち、クラシックサクソフォンの聖地、とか呼ばれていたりして(笑)

最後に、坂口さんからのコメントを紹介しておく。
「アルトとバリトンによる2つの声、2つの歌のコンサート。祈りの歌、慈しむ歌、喜びの歌、また狂う歌-そんな人間だからあるいろんな歌を集めたプログラムです。」

2010/06/23

マカリスター氏のマスタークラスレポート

【Timothy McAllister Master Class in DolceTokyo】
日時:2010年6月16日 18:30
会場:アーティストサロンDolce

一曲目の受講者は、山崎憂佳さん(東京芸術大学の2年生)。ピアノは沼田良子さんで、クレストンの「ソナタ」で受講していた。山崎さんの演奏は、これまでにジュニアコンクール入賞者披露演奏の、ブートリー「ディヴェルティメント」を聴いたことがあった。音符が細かいところで微妙なミスがあったものの、小柄な身体からは想像もつかないほどのパワーと、美しい音色を堪能した。

マカリスター氏は、山崎さんの演奏を非常に素晴らしいと賞賛した上で、いくつかのサジェスチョンを話した。第1楽章第2主題の話の時、サックスのみならず、ピアノにも影響を与えて音色が変わっていったのは面白かった!
・クレストンの生い立ち(イタリア系の移民)と、時代背景を元に、「ソナタ」が1930年代の音楽の影響を受けている。
・「ジョージ・ガーシュウィン」のような、ある種ポピュラーミュージック的なアプローチを。
・第1楽章に出てくる第2主題(これは第2楽章にも引用されている)の出現時に、急に曲のテイストを変えることで第1主題との対比をつけること。
・ヴィブラート(全ての国籍に訴えるヴィブラート)や音量、音色。装飾音もロマンチックに、ビートへ当てて吹く。素敵な部分を探していこう、Think, George Gershwin!!
・第2楽章は、フィンガリングの選択肢を多く持ち、必要に応じて(ピアノの和声に応じて)切り替えを。例えば、最後のシbは、1+4で吹くのもひとつの手だ。
・第3楽章は、サーカス音楽。ボードビル、キャバレー。

二曲目の受講者は、小川卓朗さん(洗足学園音楽大学の4年生)。ピアノは松浦真沙さんで、ピート・スウェルツの「クロノス」を演奏。以前リサイタルを拝聴したが、その時と変わらずものすごいパワーとテクニックで、、、おそらくアドルフ・サックス国際コンクールに持っていくのだろう。

マカリスター氏、小川さんの演奏も大絶賛。ポイントを絞ったいくつかの提案を行っていた。
・ピアニストとのコミュニケーションを行うには、譜面台とピアノの位置を考えたほうが良い。
・タイに長く捕まってはいけない。良い拍節感で、ビートを感じて。この指摘の直後、第1楽章の吹き方が魔法のように変化した。
・フラジオのTriangle System(4+Ta+Tc)。これはミュールの時代の指使い。右手を固定し、左手だけで上に登っていける指使いを使ってみてはどうか。
・フロントFキー(ヘムケやデファイエ)のフラジオの指使いも使えるように。ドローンの上でフラジオの練習を行ないなさい。
・フラジオは、基音が高い位置にあればあるほど安定して当たりやすい。いくつかのパターンを持っておくことが良い。

ミニコンサートの様子については、別記事に書く予定。

2010/06/22

マカリスター氏関連のいろいろ

マカリスター氏について、記事に含められないものを雑多に書いていく。あ、マスタークラスのレポートも書かなきゃ!

・チューニング:時々、ピアノのペダルをオープンにして、そこに共鳴させることでチューニングをしていた。初めて見る光景。
・ミュート:アルトサックスだが、緑色の布にくるまれたミュートを使用していたみたい。
・ピアニスト:奥様かなー?とてもユニークな演奏をする方で、とにかく新鮮。
・教え方:こんな先生に習っていたら、めきめき上手くなるのではないか。マスタークラスで鳥肌が立ったのは初めてだった。深い洞察力、知識、おてほん演奏の素晴らしさ、etc.
・フラジオ:いろいろな系列のフラジオの指を使い分けているのだそうな。マスタークラスのレポートの時に、分かる範囲で詳しく書きます。
・音色:ソプラノの音色は、意外と細身。アルトサックスは、マットな音色。
・緩徐楽章における表現:とにかく、ロマンティック。
・見た目の印象:チラシだとワイルドな30代って感じだが、見た目は40前後の長身・温和なおじさん、って感じ。実際は38歳だそうな。
・人柄:終演後も、お客さん一人ひとりにファンサービス。嬉しかったなー。
・初来日:とにかく、今回の来日に際し、様々な面で尽力された方々に感謝したい。

2010/06/21

演奏のご案内:サクソフォニー関東

というわけで、週末の本番のお知らせです。

およそ一年ほど前に初めて練習に参加し、いよいよ本番を迎えるわけだけだが、とにかくクリエイティヴな体験の連続だった。指揮の柏原氏とS氏の合奏、事務局のパワフルな働き(私は何もできていませんが…)、ソプラニーノからバスまで、40人を超えるサックスの多彩な響き、ゲストの國末先生の演奏。メンバーのモチベーションも際立って高く、とにかく面白い音がする。

サクソフォン的興味としても…主宰でもある柏原卓之氏のアレンジメントは今後ますますサクソフォン界のスタンダードとなっていくはずだが、この演奏会こそが、そのスタート地点になるものだと確信している。

ぜひ、お越し下さい。

【Saxophony Project KANTO第一回演奏会】
日にち:2010年6月26日(土)
時間:開場15:30、開演16:00
会場:かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール(小ホール)
料金:入場無料(整理券が必要)
ゲスト:國末貞仁
プログラム:
・第1部:アンサンブルステージ
・第2部:サクソフォンオーケストラステージ
- スカイブルーファンファーレ
- イギリス民謡組曲
- スカラムーシュ
- オペラ座の怪人
- アルメニアンダンスパート1

2010/06/20

合宿に行ってきました

この土日は、Tsukuba Saxophone Quartetの練習(土曜午前)と、川崎市青少年の家でサクソフォニー関東の合宿(土曜午後~日曜夕方)。2日間に渡って、まるまる耳と息と頭を使い続けたのは、久々かも。だが、さすがに身体や口は疲れているが気分的には非常に爽快だ。あと、調製直後の楽器を吹くのは、とっても楽しいなー…ストレスなく低音が出るというのは、嬉しいですね。

合宿の方は、カメラを持っていっていろいろ撮ったはずだったのだが、飲み会の写真しかなかった(爆)。どの曲も仕上がりがかなり良く、来週の本番が楽しみだ。

サクソフォニー関東の演奏会、明日ブログ上で告知しますので、ぜひお越し下さい!

2010/06/18

今日~週末の予定

会社後に、楽器の調整のため小田桐工房を訪問。いろいろと話し込んでしまい、家に帰りついたのは22時過ぎだった。楽器の状態は最高になった!(ありがとうございました)これで来週の本番を迎えられる~。

明日は、午前中大田区でTsukuba Saxophone Quartetの練習。その後、川崎で日曜日までサクソフォニー関東の合宿に参加する。いろいろと書きたいこと、書かなければいけないことも溜まっているのだが(マカリスター氏のマスタークラスの感想とか、坂口さんの演奏会案内とか)、全部記事にできるのは来週になってしまうなあ。まあ、書くことが尽きないのは嬉しいことである。

そういえば、昨日、木下直人さんからマルセル・ミュールのSP復刻をまた頂戴した!今度またブログ上で詳しくご紹介するが、空気感・音場感までもが伝わってくるような相変わらずの素晴らしい復刻で、興味ある方にはどんどんおわけしたい。サクソフォン界の、いや、クラシック音楽界の財産となるような復刻盤だと思う。

2010/06/17

マカリスター氏のリサイタル聴いた!

いやー、トンでもないものを聴いてしまった。先に今夜のリサイタルについて書こう。マスタークラスの話も早く書きたいが、ちょっと前後する。

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【Timothy McAllister Saxophone Concert】
出演:Timothy McAllister (sax), Kathryn Goodson (pf), Jonathan Wintringham(guest sax)
日時:2010/6/17 開演19:00
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
プログラム:
Roshanne Etezady - Streetlegal
Heitor Villa-Lobos - Fantasia
Cesar Franck - Sonata
平義久 - Pénombres VI
Charles Ives - The Alcotts
Caleb Burhans - Escape Wisconsin
Wolfgang Jacob - Barcarolle (guest: Jonathan Wintringham)
William Albright - Sonata

ブライアン・サカワ Brian Sacawaと並ぶ、ドナルド・シンタ Donald Sintaの高弟のひとりであり、レコーディングなどでは特に現代作品に力を発揮しているマカリスター氏。本日のプログラムは、フランクのようなロマン派から、日本人作曲家、「エスケイプ・ウィスコンシン」といった最新の作品、そして十八番のオルブライトまでと、非常に多彩なプログラムで、ずっと楽しみにしていたが、期待以上・想像以上だった!

「Streetlegal」は、ソプラノサクソフォンとピアノのための作品。サクソフォンの運動性能&フラジオ音域を、限界まで引き出した作品で、一曲目だというのに飛ばす飛ばす。終わった瞬間に、一気に客席が会場が沸いた。

ヴィラ=ロボスとフランクは、これは今までマカリスター氏の演奏で聴いたことのないタイプの作品で、昨日マスタークラスを聴くまではどんな演奏になるのか想像がつかなかった。だが、これがまた良いのですよ。ロマンティックな歌い上げ、非常に濃厚なルバートなど、時に「やりすぎではないか?」と思えるほどの表現も、全体の大河のような音楽の流れの中に位置するものなのだ。「ファンタジア」は、昨日も聴いたが、スピードが3段階くらいレベルアップしていたぞ。なんだあれは。

ピアノのキャスリン・グッドソンさんの演奏は、実にユニークなフレーズをピアノから引き出していた。左手の使い方が面白いのですよ。多彩な音色と、完璧なテクニック。そしてなにより、マカリスター氏との緻密かつ有機的なアンサンブル。

さらにパワーアップしての後半は、平義久作品から。「Pénombres」とは、"薄明かり"というような意味で、たぶん多くの方がドゥラングル教授の「The Japanese Saxophone」で聴いたことがあると思う。だが、実演されるのは稀。演奏は、非常に彫りを深くしたようなゴツゴツした演奏で、興味深い発見がいくつもあった。演奏家によって、これだけ変わるんだなあ。

アイヴスはピアノ独奏(これはベートーヴェンの「運命」へのオマージュか笑)。そして、「エスケイプ・ウィスコンシン」はサックス独奏だったが、非常に面白かった!ミニマル風のタンギングを伴うフレーズがひたすらに続く作品だが、特殊奏法一切なくして、最初から最後まで張り詰めたテンション。ブラヴォーだったなあ。

「舟歌」は、お弟子さんのジョナサン・ウィントリンハム氏との共演。ラッシャー父娘とヤコビ氏のトリオ演奏を想定して書かれた作品なのだそうだ。海面に映る、ゆらめく月の光の反射光のような、そんな音世界だった(献呈先がラッシャーだということで、当たり前のようにフラジオが…)。

そして、全てを飲み込んでしまったオルブライト!これはもう十八番なのだろう。第1楽章「2-part Inventions」から客席を緊張の糸で縛り付け、第2楽章は宗教的な美しさを湛えた感動的な楽章。思わずルーテル市ヶ谷ホールの十字架を見上げてしまったよ…。ごくごく短いスケルツォと、第4楽章冒頭のカデンツを経て、「マッド・ダンス」のテンションで、サックスの限界を突破!いやー、ぶっ飛びました。正直な話、日本人がやってもああいう演奏にはならないのだと思う。

日本のサックス界に衝撃を与えたといって過言ではないかも。初めてジェローム・ラランを聴いたとき、ミーハ・ロギーナと李早恵さんのデュオを聴いたとき、ヴァンサン・ダヴィッドを聴いたとき…のようなショックを受けた。

アンコールは、ピアソラの「ブエノスアイレスの春」とガーシュウィン「3つの前奏曲」から第1曲。終演後は、CDを買ってサインまでもらっちゃいました~。またライヴで聴きたいなあ。

マカリスター!

「ティモシー・マカリスター マスタークラス in DolceTokyo」を聴いてきた。凄かったー!今まで聴いた「マスタークラス」というものの中で、一番感銘を受けたかもしれない。その後のミニコンサートも、とにかくユニークで面白かった!

詳しい感想は後日に回すとして、とりあえず、再度明日のリサイタル情報を掲載する。必聴ですよ!!当日券も出るということなので、ぜひ。

【Timothy McAllister Saxophone Concert】
出演:Timothy McAllister (sax), Kathryn Goodson (pf)
日時:2010/6/17 開演19:00
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
料金:当日3500円
プログラム:
Roshanne Etezady - Streetlegal
Heitor Villa-Lobos - Fantasia
Cesar Franck - Sonata
Wolfgang Jacob - Barcarolle (guest: Jonathan Wintringham)
平義久 - Pénombres VI
William Albright - Sonata
問い合わせ:
03-5909-1771(ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京)

2010/06/15

グレインジャーとサクソフォン

作曲家&ピアニストのパーシー・オルドリッジ・グレインジャー Percy Aldridge Grainger(1882 - 1961)とサクソフォンの関わりについて。

グレインジャーは、幼少より母からピアノのレッスンを受け、10歳の頃までに、いくつかのコンサートに出演している。1894年にはドイツにわたり、フランクフルトにおいてジェームス・クヴァストに教えを受けた。さらに、ドイツでは数回、ブゾーニにもレッスンをけている。1900年にイギリスを活動拠点と定め、このころ南アフリカとオーストラリアへ演奏旅行に行っている。

この通り、ピアノ畑の出身であったグレインジャーだが、サクソフォンとの出会いは1904年頃とされている。彼は、ロンドンのBooseyから楽器法を学ぶために、いくつかの管楽器を借りたのだが、その中にサクソフォンがあったのだ。そのころ、まだサクソフォンは楽器として十分な市民権を得ていなかったが、彼は、クワイア、吹奏楽、オーケストラの中でのサクソフォンが使われていくことに、に大きな可能性を感じたという。

グレインジャーは1914年にニューヨークへ移住し、翌年デビューを果たした。1917年6月、楽隊員としてアメリカ陸軍に入隊。フォート・ハミルトンの第15歩兵団に配属され、ここでオーボエとサクソフォンの演奏を学んだ。この楽団でアレンジャーの仕事を与えられるまでは、ずっと演奏者として活動していたという。

グレインジャーがサクソフォンのために手がけた作品リストは、こちらのリンクから見られる。自作の他、バッハの作品のアレンジなども行っている。これらの曲のほか、もちろん吹奏楽曲などにおける用例が豊富なことは、言うまでもない。オーケストラ作品でも「ヒル・ソング」などに用例が見られる。

サクソフォン・クワイアのための作品の自筆譜は、大英博物館、Upsala Collegeの図書館、ニューヨークのPercy Grainger Collectionなどに所蔵されている。

最後に蔵出し写真を一つ(クリックすると拡大)。カーヴド・ソプラノサクソフォンを携えたグレインジャーの写真。1917年にニューヨークで撮影されたものであるとのこと。

2010/06/14

田村哲サクソフォンリサイタル1st

フランクの「ソナタ」を演奏する感覚ってどういうものなのだろう。ある人の、激動の一生を表すような作品だが、この大曲を演奏し終えたときに、独奏者に、そしてピアニストの中には何が残るのだろうか。たぶん、実際に演奏したことがある人にしか判らないものなのだろうが、演奏者をひとつ違う次元へ押し上げられるような何かがきっとあるのだと思う。

ということで、行ってきました。なんだか仕事のほうがゴタゴタしてしまい、到着が大幅に遅れてしまったのが悔やまれる。やっぱり、月曜火曜木曜の演奏会は伺うのが難しいなあ。

【田村哲サクソフォンリサイタル 1st】
出演:田村哲(sax)、榮萌果(pf)
日時:2010年6月14日 19:00開演
会場:みなとみらいホール 小ホール
プログラム:
R.プラネル - プレリュードとサルタレロ
P.M.デュボワ - ソナチネ
F.デクリュック - ソナタ
B.コッククロフト - ビート・ミー
A.リード - バラード
C.フランク - ソナタ

デクリュックをロビーで聴いて(悔しい…)中に入ると、うわっ!なんと440もの席がある小ホールが、満席状態!ほとんどの方々が、田村哲の関係者なのだろう。部活ぐるみで来ているような、高校生っぽい方もたくさんいたなあ。そういえば、いつもサクソフォンの演奏会でお会いする方に、今日はほとんだ会わなかった。

そういった客層の前で提示する「クラシカル・サクソフォン」としての堂々としたプログラム。デクリュックがいいですね。フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」のように、おそらく誰が聴いても名曲だと断言されるほどの作品であり、一般の音楽ファンにもっと認知されて欲しいところだ。あと、やっぱり「Beat Me」は、聴き手もびっくりしていたみたい。

きちんとアルトサクソフォンの音を楽しめたのは後半から。もともと均整のとれたふくよかな音色を持つプレイヤーだが、さらにホールの豊かな響きも手伝って、まるで音がどこから聴こえてくるのか判らないほどに、ホールいっぱいにサクソフォンのサウンドが満ちていた。ピアノよりも一段大きいバランスであったのだが、聴いていた位置(中程の通路前)のせいもあったようだ。

リード「バラード」のような作品では、本当に田村哲の良さが出ますね。オペラのアリアのような…という文言は曲目解説に書いたのだが、その人が持つアトミックな音楽性がストレートに出る曲なのだと思う。そして、圧巻は上にも書いた「フランク」。30分近くにわたって、聴衆に対してこれまでの人生(って言っても25年か)のうねりを独白するような、愚直なまでにストレートな演奏だった。これほどまでに長い曲で、聴衆の集中力が続いていたことにも恐れ入るが、それはやはり演奏のせいだったのだろう。

アンコールは、ミシェル・ダマーズの「バカンス」。終演後のロビーは大混雑で、なんだか珍しい人にたくさん会えたなあ。田村哲のまわりは人がいすぎてとんでもないことになっていたが、ちらっとだけ挨拶して帰路についた。

2010/06/13

しらこばと音楽団@昭和記念公園

立川市の昭和記念公園という場所で、しらこばと音楽団に参加して演奏してきた。会場は、昭和記念公園の一角に鎮座する、昭和天皇記念館内ガラス張りの講堂(写真)。記念館は大変モダンな建物だが、いったい誰の設計なんだろうか。ここで、本日いっぱい、NPO団体"立川子ども劇場"が主催する、とびっきりまつりという子供向けイベントが開かれていた。

メンバーは、サックスが、ねぇ。さん(Duo Green Green)、ニジマスさん(Duo Crescent)、kuri、mckenさん(アマリリス合奏団)はバリトンサックスのみならずMCも担当、そしてパーカッションがやまーさん。セットリストは、以下。

ピタゴラスイッチのテーマ
ミッキーマウス・マーチ
星に願いを
ピンクパンサーのテーマ
G線上のアリア
誰も寝てはならぬ
時の流れに身をまかせ
見上げてごらん夜の星を
長崎は今日も雨だった
トトロ・メドレー
崖の上のポニョ
名探偵コナンのテーマ(アンコール)

いやー、楽しかった!子どもたちの反応が楽しくて、演奏しているこちらもついついニコニコしながら演奏してしまったよー。トトロやポニョでの会場の湧きっぷりは、本当に楽しいなあ。一回の練習で四重奏を本番に乗せるというのも、個人的にはほぼ初めての経験で、いろいろと勉強になった。ぜひまたお願いします(笑)。

他にもいくつかイベントが開かれていたのだけれど、小学2年生くらいの女の子たちがドローンの上でフルートでジョン・ケージ風即興を吹いていたりとか、親子連れが手をつなげながらぐるぐると、テリー・ライリーのような音楽をひたすら歌いながら踊っていたり?とか、なんだか実験音楽的な催しが開かれていて、非常に面白かった。

さて、PowerShot S90を持っていったので、その写真をいくつか。

今日の演奏メンバー。もう帰りの写真ですが(笑)







聴いてくださったお客様方。こんなにたくさん!







やまーさんのパーカッション(クリックすると拡大)。珍しい楽器ばかりで、子どもたちも興味津々。椅子はもちろんカホンです。

2010/06/12

O.マーフィー&雲井雅人SQのDVD

Twitterのアカウント「kuri_saxo」です。みなさんも始めましょう(^∀^)ノ

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先日の雲井雅人氏のリサイタル会場で見つけて、購入したDVD「オーティス・マーフィ×雲井雅人サックス四重奏団 ジャパン・ツアー2009(Brain Music BOD-3095)」。前々から気にはなっていたものの、会場では3000円で売られていて(定価は3980円)ラッキーだった。

この演奏会、なぜだか忘れてしまったけれど伺うことができなくて、そして後から演奏会がすばらしかったということを人づてで聞き、悔しい思いをしたものだった。それにしても、DVDが制作されていただなんて、本当に発売されるまで知らなかった。それだけ、注目されていて、DVDを発売したときに売れる見込みがあるほどの演奏会だったということだ。だから、非常に良い映像、良い音質で収録されており、観応えは十分。そういえば、フルモー氏のDVDもまだ買っていないな…(あれは、記録映像として撮ったつもりが、反響が大きすぎて急遽発売に至った、というような経緯でDVD化されたはず)。

G.ガーシュウィン/R.マルティノ - ガーシュウィン・ファンタジー
山田耕筰/伊藤康英 - 赤とんぼ
A.パスクッリ/K.チェ - 蜂
R.モリネッリ - ニューヨークからの4つの絵
A.I.ハチャトゥリアン/A.ボーンカンプ - 剣の舞
新井満 - 千の風になって
D.マスランカ - マウンテン・ロード
W.A.モーツァルト/和久井仁 - オーボエ四重奏曲より第1楽章
E.モリコーネ/柏原卓之 - ガブリエルズ・オーボエ
秋透 - 3つの富山県民謡より第1,3楽章
伊藤康英 - 琉球幻想曲
B.エヴァンス - ワルツ・フォー・デヴィ

前半がマーフィー氏の独奏曲で、後半が雲井雅人サックス四重奏団の演奏。共演曲は、モーツァルト、伊藤康英「琉球幻想曲」と、アンコールとなったエヴァンスの「ワルツ・フォー・デヴィ」。

マーフィ氏の演奏は、最近ようやく生で聴く機会も増えてきたが、かつてRIAXから発売されていた初期のCD「Memories of Dinant(RIAX RICA-2004)」の印象が強かったため、初めて聴いたときは驚いたっけなー。近年の演奏はとにかくアツイ!のですよ。長い演奏活動の中で、少しずつ演奏のスタイルを変えてきた結果だと思うし、レコーディング⇔ライヴ、という媒体の違いもあろうが、それにしてもすごいな。

一曲目のガーシュウィンから、奥様の晴子・マーフィーさんとともに飛ばしまくり。大曲である「ニューヨークからの4つの絵」を1つの物語のように聴かせ、さらにハチャトゥリアンでは聴衆へのサービスも忘れず。演奏もレパートリーも、素晴らしいバランスだ。また、曲間に幾度かインタビューが挟まれるのだが、ただただ誠実で優しい人柄が言葉の隅々から溢れ出る。やはり音楽は人柄!カメラがかなり近くまで寄るため、奏法などをしっかり確認できるのも面白い。知り合いのサックス吹きの方もおっしゃっていたが、すごいアンブシュアだなー。決め所などでも全体的に音を低めに当てていくのは、アメリカのサクソフォン奏者の系統を受け継いでいる部分だろう。

前半だけでかなり満足してしまうのだが、後半冒頭、脳天からカミナリが落ちるような「マウンテン・ロード」の冒頭!ピタリとはまった純正律の響きは、これほどまでにパワーを持つものなのか!すでに幾度も演奏している「マウンテン・ロード」だろうが、雲井雅人サックス四重奏団の演奏はいつ聴いてもスリリングで興奮させられる。共演曲も楽しいですね。端正だが、光り輝くような音に溢れたモーツァルト(アレンジャーが和久井仁氏というのも凄いな…)、そして問答無用の「琉球幻想曲」はなんとサックス5重奏+ピアノという豪華絢爛な編成。これは、ヴァイオリンとサクソフォーン四重奏とピアノ版、という編成の楽譜を使っているのかな?アンコールの「ワルツ・フォー・デヴィ」

DVDの特性を非常に上手く生かしていると思った。演奏者の息遣い、会場の雰囲気が伝わってきて、クラシック・サクソフォンモノのなかでも、とても観る価値のあるメディアのひとつだ!まだ観ていない方は、ぜひどうぞ。Amazon購入ページへのリンク→こちら

2010/06/11

ご案内:しらこばと!

最近、なんだか最近ブログのネタが演奏のご案内ばっかりだなあ(笑)。いろいろと書きたいこともたまっているが、まあ徐々に書いていこう。

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こんなイベントで、しらこばと音楽団のメンバーとして演奏してくる。メンバーは、サックスが、ねぇ。さん(Duo Green Green)、ニジマスさん(Duo Crescent)、kuri、mckenさん(アマリリス合奏団)、そしてパーカッションがやまーさん(初めてご一緒する)。演奏プログラムは、サクソフォックスを始めとした曲。楽しみ~。

【第4回とびっきりまつり ~みどりの音のゆうえんち~】
日時:6/13(日) イベントは9時頃~、しらこばと音楽団の演奏は13時~
会場:昭和記念公園 はなみどり文化センター
費用:100円(イベント参加の保険料)
主催:立川子ども劇場

詳細はこちら。お近くの方は、ぜひ家族連れでいらしてください。

2010/06/10

Kenneth Tse plays Canfield on YouTube

ケネス・チェ Kennth Tse氏の演奏動画をご紹介。ディヴィッド・デボア・キャンフィールド David DeBoor Canfieldによって作曲されたサクソフォン協奏曲「アフター・グリエール Concerto after Glière」。2年前にタイで開催されたサクソフォーン・コングレスの演奏映像のようだが、このように画質・音質とも高いものが存在していたことに驚いた。他のもあれば良いのに。

"アフター・グリエール"ということは、レインゴルド・グリエールのフレーズになぞらえた作品ということなのだろうか?(演奏後に、キャンフィールド氏がグリエールの肖像を持ってステージに駆け上がっている)私はグリエールの作品をほとんど聴いたことがないので、定かではないのだが…。

サクソフォンの小川卓朗さんは、この時の演奏を聴いて、自身のジョイント・リサイタルの曲目に本作品を入れようと思ったのだそうだ。こんどは全曲通して聴いてみたいな。

第1楽章


第2楽章


第3楽章

2010/06/09

演奏会情報:田村哲 サクソフォン・リサイタル

【田村哲 サクソフォン・リサイタル】
出演:田村哲(sax)、榮萌果(pf)
日時:2010年6月14日(月)19:00開演
会場:みなとみらいホール 小ホール
入場料:一般2500円 高校生以下1500円(全席自由・当日券各500円増)
プログラム:
R.プラネル - プレリュードとサルタレロ
P.M.デュボワ - ソナチネ
B.コッククロフト - ビート・ミー
F.デクリュック - ソナタ
A.リード - バラード
C.フランク - ソナタ

おなじみ、田村哲氏のリサイタル。実は、もうチケットが完売してしまったようなのだが(すごい!)、いちおう案内を掲載しておく。デクリュック、フランクという、弦楽器的な2曲(デクリュックは一応サクソフォンのオリジナルだが、明らかに弦のフレーズ運び)を軸に、宝石のようにおしゃれな小品を散りばめている。コッククロフトは杉原真人氏のリサイタルで聴いてインスピレーションを受け、プログラムに組み入れたそうなのだが、一本のテナーサックスからどんな演奏が繰り広げられるのかなあ。

あいにく月曜日ということで、開演に間に合うかどうかはアヤシイが、なんとかして伺おうと思う。楽しみ~。

2010/06/08

安井寛絵さんのリサイタルを聴いてきた

なんとか仕事を抜け出して伺ったが、案の定一曲目には間に合わず…(苦笑)。

【安井寛絵サクソフォーンリサイタル】
出演:安井寛絵(sax)、望月友美(mez-sop)、羽石道代(pf)、田野倉広向(electro)
日時:2010年6月8日(火曜)18:00開場 18:30開演
開場:ティアラこうとう 小ホール
プログラム:
田中カレン - ナイトバード
細川俊夫 - 暗い道
野平一郎 - 舵手の書
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIII
A.ジョリヴェ - 幻想即興曲
A.カプレ - 伝説
E.デニゾフ - ソナタ

住吉駅から猛ダッシュして会場に到着。同じく一曲目に間に合わなかった(ナイトバードを聴けなかったのは残念!)mckenさんとともに、最前列に席を構えた。

初めてライヴで聴く細川俊夫から、ぐっと引き込まれる。実質的なデビュー・リサイタルという場で演奏家としての「地」を、ここまでストレートに聴衆へ届けることができるのは、ある種自信の表れでしょう。しかも、気合い先行ではなく、強固なベース(音色、テクニック、音楽性)を持つあたり、安井さんの個性のひとつと捉えられるかもしれない。

田中カレン、細川俊夫、野平一部、棚田文則というプログラムが第一部にならんだ作品展のようなセレクトは、実際にリサイタルで取り上げることには勇気が必要だったと想像する。だが、ここまで高レベルで吹かれてしまうと、安井寛絵さん⇔舵手の書とか、安井寛絵さん⇔ミステリアス・モーニングとか、プレイヤーと作品の一騎討ちのような印象を受ける。20代にして作品とバトルできる方って、なかなかいないのではないかなあとも思った。第一部は、鳥のさえずりを抱きながら夜が明けていた…(なんとコンセプチュアルな!ナイトバードを聴けなかったのが、ますます残念だ!)。

細川俊夫作品について、個人的な解釈を一点:
くらきより くらき道にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端(は)の月 - 和泉式部
歩けば歩くほどに、暗い暗い中に迷い込んでしまいそうだ。山の端の月よ、どうか行く先を照らしてくれ。ここでの「暗き道」とは、「煩悩の道」のことをも言っている。


後半は、とにかくデニゾフが圧巻。第一楽章を古典的な「ソナタ」として聴かせた演奏は初めて聴いたし(しかも、ありあまるほど楽譜に忠実!)、第三楽章のJazzyな愉悦感は、単に"さらっているだけ"の演奏とは一線を画したレベルにあったと思う。最近でこそいろいろな方が吹いている曲だけれど、自分の血肉としてレパートリー化している方は、少ないのではないかな。そういう意味で、今日のデニゾフの演奏を聴くことができて良かった!

相当さらっているのだろうなあ。アンコールまで聴衆に気を抜かせないだなんて、いやはや、聴く側としても一筋縄ではいかないですね。そこまで自分の内面を掘り下げて、聴き手をみなその穴の中に無理やり誘い込んでしまう演奏スタイルは、現代のサクソフォン界のなかでも稀なものなのかもしれない。ジョン・ハールとか、平野公崇とか、そのあたりの音楽家のコンセプトにも通じるのでは。

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会場は関係者だらけ。いろいろな方にご挨拶できて良かったー。特に、7年ぶり?となるモンマミチコさんにお会いできたのが収穫!帰りは、mckenさんと「軽く」一杯。音楽の話から、現代で一番大切と思われるようなことの話まで、いろいろと話せて楽しかったです。ありがとうございました!

2010/06/07

やりたい曲…

やりたい曲を、忘れないように書いておこう。

ソロ:
Dave Heath - Out of the Cool
JacobTV - The Garden of Love
Pierre Jodlowski - Mixtion
Jacques Becker - Western Ghats

四重奏:
伊藤康英 - 琉球幻想曲
上野耕路 - N.R.の肖像
横内章次 - Ballad for Trouvère
Erkki Sven Tuur - Lamentatio
Louis Sclavis - Attente et Danse
Alexandros Makeas - Engrenage
ELP - Tarkus
Johann Sebastian Bach - Chaconne
JacobTV - Heartbreakers
Benoit Menut (arr.) - Trip to Skye & An Awen
Roland Becker - Le marchand de chaussures électriques

あとなにかあったっけ?それにしても、挙がるだけ挙げてみたが、全部出来たらプロだな(爆)。でも、いくら吹いても足りないほど、素晴らしい曲はあるところにはあるものだ。見渡せないほどの大海原に漕ぎ出すのでなく、ひとつの湖の周りを一生かけて詳細に研究し尽くすのも、また楽しいもの。

あと、人前で吹かなくて良いから「Atom Hearts Club Quartet」とか、音を出してみたいですな。どこか他の四重奏団と、長生淳の「サクソフォン八重奏曲」とかも楽しそう。

2010/06/06

大石将紀スタジオコンサート

最近ラーメン食べてないなー。大学のときは、うっかり一週間に4食くらい食べてしまったこともあったくらいなのだが…まあ、ほどほどに味わいたい。

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自宅にテレビがない(もうかれこれ7年以上)ため、先日何度か放送されたという大石将紀氏のスタジオコンサート"ガーデン・オブ・ラブ"を、ついに観ることができず、悔しい思いをしていた。ところが、知り合いを当たっていたところ、なんとねぇ。さんがご自宅で録画していたとのこと!昨日、DVDに録画したものを頂戴した。ありがとうございます>ねぇ。さん

【ガーデン・オブ・ラブ 大石将紀スタジオコンサート】
出演:大石将紀(sax)、倉澤華(pf)
B.Britten - Pan (from Six Metamorphoses)
JacobTV - The Garden of Love
B.Britten - Niobe (from Six Metamorphoses)
藤倉大 - SAKANA
大石将紀氏による曲目解説
V.D'indy - Chorale Variée
Marco Stroppa - Ninnananna
Luciano Berio - Wasserklavier
André Caplet - Legende

門仲天井ホールで行われた、一連のリサイタルからピックアップしたであろうプログラム。凄すぎる(笑)JacobTVの音楽が、BS2とはいえ国内のテレビで放映されるような時代になるとは。初めて「Grab It!」を聴いて衝撃を受けた頃(2006年)には、想像すらできなかった。ようやくオランダに追いついたということだ。

特に感銘を受けたのが、後半のダンディとカプレ。この点、Donaxさんのレビューと同じ。ものすごい緊張感を湛えた演奏で、ビロードのような美しい音色と長大なフレージングに魅了された。前半の、JacobTVやSAKANAもいいですね!まず目を引いたのが豪華なスタジオセットで、NHKの本気を見たなあという印象。曲の進行に、三面スクリーン&電飾がシンクロするのだ…。「ガーデン・オブ・ラブ」でのソプラノサクソフォンの音色は、ずいぶんと固く収録されているのだが、大石さんの本来の音色はこんなものではないはず…もうちょっとレコーディングエンジニアに頑張って欲しかったなあ。

ストロッパとベリオはピアノのソロ作品。どちらも初めてだったが、興味深く聴いた。ピアノの倉澤さんについては大石さんが番組中に喋っており、そこで語られたエピソードが、なんだかその光景を想像してしまうようなもので、面白かった。

2010/06/05

ティモシー・マカリスター氏のリサイタル情報

先日ご紹介した、安井寛絵さんのリサイタル前売り券は、なんと売り切れてしまったとのこと。買えて良かったー♪

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今月半ばにアメリカより来日する、ティモシー・マカリスター氏のリサイタルをご案内する。以前、ブログ上で立て続けにマカリスター氏について、経歴や映像、CDなどを紹介した。

ティモシー・マカリスター氏の経歴
マカリスター氏とドゥダメル氏の共演
Prism Saxophone Quartet "Pitch Black"
中華的薩克斯風響
YouTubeの宣伝用音源

【Timothy McAllister Saxophone Concert】
出演:Timothy McAllister (sax), Kathryn Goodson (pf)
日時:2010/6/17 開演19:00
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
プログラム:
Roshanne Etezady - Streetlegal
Heitor Villa-Lobos - Fantasia
Cesar Franck - Sonata
Wolfgang Jacob - Barcarolle (guest: Jonathan Wintringham)
平義久 - Penombres VI
William Albright - Sonata
問い合わせ:
03-5909-1771(ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京)

Thunderさんもブログ上で書いているが、ヴィラ=ロボスの「ファンタジア」とセザール・フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」が特徴的だ。いくつか発売されているCDからは、比較的、同時代の作品に力を発揮する演奏家、というイメージを持っていたので、ちょっと意外?というか。どんな演奏になるのだろう!

そして、サクソフォンとピアノのための名曲、平義久の「Penombres VI」に、マカリスター氏が最も得意とする曲の一つであろうオルブライト「ソナタ」、さらにお弟子さんであるジョナサン・ウィントリンハム氏との共演も行うなど、盛りだくさん。ここ最近のサクソフォン関連の演奏会の中でも、もっともオススメできる演奏会の一つ。

このブログをご覧の皆様、ぜひ6/17はルーテル市ヶ谷ホールへ!!

片足の騎士 on YouTube

以前、カキツバタSEさんのライヴCDについてレビューを行ったが、その中でちらっと書いたGGさん作曲「片足の騎士」の演奏が、YouTubeにアップロードされていた。演奏の映像ではなく、録音にスライドショーのようなエフェクトがついているもの。

バリトンサクソフォン、ここに見参!瞠目せよ!って感じで、本当にカッコいいなあと思う。この動画URLは、コメント欄で匿名さんに教えていただいた。ありがとうございます!

2010/06/03

Attente et Danse

このLouis Sclavisのブログって、あの即興で有名なLouis Sclavisなのかなあ。どなたかご存知ないですかね。

というのも、このブログ内でAttente et Danseという記事を見つけたからだ。このタイトルは、サクソフォン四重奏とクラリネット&バスクラリネットのための、超カッコいいあの曲のタイトルと同じではないか!本当に素敵な写真で、"期待"と"ダンス"とは、よく名付けたものだ。

ハバネラサクソフォン四重奏団のアルバム「L'engrenage(Alpha 518)」を聴くまで、恥ずかしながらルイ・スクラヴィスの名前は知らなかったが、この一枚を聴くだけでも、本当に凄いミュージシャンだと思う。「Attente et Danse」は、その中でも最もよく聴いた作品(スクラヴィスの自作)。Attenteの不安定さと、Danseの愉悦感の対比が非常に面白い。

うーん、演奏してみたいなあ。しかし、さすがに楽譜が手に入らないかなー。

安井寛絵さんのリサイタル情報

【安井寛絵サクソフォーンリサイタル】
出演:安井寛絵(sax)、望月友美(mez-sop)、羽石道代(pf)、田野倉広向(electro)
日時:2010年6月8日(火曜)18:00開場 18:00開演
開場:ティアラこうとう 小ホール
プログラム:
田中カレン - ナイトバード
細川俊夫 - 暗い道
野平一郎 - 舵手の書
棚田文則 - ミステリアス・モーニングIII
A.ジョリヴェ - 幻想即興曲
A.カプレ - 伝説
E.デニゾフ - ソナタ
問い合わせ:
株式会社アクタス 03-5458-1521
安井寛絵 hiroeyasui.saxophonerecital@gmail.com

安井寛絵さんは、東京藝術大学卒業後に渡仏し、セルジー・ポントワーズ音楽院、パリ区立13区音楽院、ボーラレンヌ音楽院で研鑽を積んだサクソフォン奏者。フランスで行われるコンクールで入賞しまくっている他、一昨年の管打楽器コンクールでは第3位に入賞している。最近でこそ、サクソフォン奏者のブログが増えてきたが、安井さんのブログはずいぶんと前(2005年)から定期的に更新されている、サクソフォン界の老舗ブログのひとつ。そんなわけで、けっこう安井さんの名前は、私の周りのアマチュアサックス吹きの中でもよく知られている。

その安井寛絵さんの、帰国後初の本格的なリサイタルとなる。非常に充実した内容で、個人的には田中カレン、細川俊夫、野平一郎、棚田文則というあたりを連続でぶつけてくるのが楽しみだなあ。

2010/06/01

Louis Andriessenのサクソフォン作品

ルイ・アンドリーセン Louis Andriessenは、日本ではそれほど知名度は高くないが、オランダのもっとも重要な作曲家のひとりだ。キャリア初期には実験的な音楽を数多く発信していたが、最近ではミニマル・ミュージックやジャズの影響も取り入れた作品も多く手がけているようだ。

サクソフォンに関係した作品をいくつか作曲しているのだが、面白いのが、室内楽編成の中にサクソフォンを含めた作品が多いこと。たとえば、サックス3本、トランペット3本、トロンボーン1本とか、テナーサックス、マリンバ、ギター、ピアノとか…。アンドリーセンが、サクソフォンという楽器をどのように捉えているかが、垣間見えるような気がする。

サクソフォン関連の作品で、重要なものに「Facing Death」「Hout」「Hoketus」があるので、ひとつずつご紹介する。

「Facing Death」
弦楽四重奏曲をサクソフォン四重奏(SATB)にアレンジしたもの。"弦楽四重奏曲"とか"Facing Death"というキーワードからは、およそ想像不可能な曲。なんと、ディジー・ガレスピーやらチャーリー・パーカーあたりの、ほとんどモードジャズのフレーズを振りまく作品なのだ(しかも、18分間も!)…さすがに長いよ(苦笑)。オランダのAurelia SQ、そしてイギリスのDelta SQは、レパートリーに入れてCDのレコーディングもしている。かなり昔の話だが、Aurelia SQが来日公演を行った時に、トルヴェールQとの合同ステージで、お互いのレパートリーを一曲ずつ演奏しよう、ということで、なんとトルヴェールQがこの曲を吹いた、ということがあったらしい(けっこうはまるかも)。

「Hoketus」
1977年の作曲で、編成は2 Panpipes, 2 ASax, 2 Pf, 2 Elec Pf, 2 Elec Bs, 2 Congaというもの。13世紀のフランス音楽の一様式である、Hocket(ひとつの旋律を、短いスパンで声部間毎に受け持つ)とミニマル・ミュージックを融合させた音楽で、演奏家は2つのグループに分かれて、お互いに呼応するようにひとつの曲が作り上げられる。日本でも最近演奏記録があり、2009年にアンサンブル・ノマドが取り上げている。ちなみにこのときのサクソフォンは、大石将紀氏と江川良子氏。

「Hout」
テナーサックス、マリンバ、ギター、ピアノという編成。これはなかなか面白くて、ジャズ風の断片的なフレーズをテナーサックスが先行して演奏し、それに一拍、ニ拍と遅れて、他の楽器が追従してエコーを形作っていく、というもの。最終部では完全なユニゾンとなり、そして、なぜかウッドブロックの音が…(笑)。構成的にもユニークで、ライヴで聴いても面白そうだ。