2010/10/31

エスポワール第9回演奏会

直前までどちらに行くか決められず…だったのだが、散々迷った挙句にこちらへ伺った。

【エスポワール・サクソフォン・オーケストラ第7回定期演奏会】
出演:エスポワールSO、福井健太(cond.)
日時:2010年10月31日 13:30開演
場所:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
~第1部~
G.F.ヘンデル - "水上の音楽"より"Alla hornpipe"
R.モリネッリ - "ニューヨークからの4つの絵"より第1,2,4楽章
~第2部~
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"より第1,4楽章
E.モリコーネ/中尾敦 - ニュー・シネマ・パラダイス
吉松隆 - アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット
石毛里佳 - セレブレーション
~第3部~
B.バルトーク/深山覚 - "弦楽のためのディヴェルティメント"より第3楽章
R.ワグナー - "ニュルンベルクのマイスタージンガー"前奏曲
~アンコール~
E.エルガー - 威風堂々第1番

まず、ラージアンサンブルはさすがに驚異的な上手さを誇る。もちろん指揮者(プロのサクソフォン奏者)を迎えているということにも理由があると思うが、それだけではない、ラージアンサンブルにおけるサウンドと技術の"地"が、9年間(?)続けるうちに醸成されてきたということなのだろう。バランスや要所要所における見せ場など、もしかしたら音楽大学のアンサンブルと肩を並べている部分すらあるのではないか。バルトークやワグナーをすらすらと吹けてしまうなんて、よく考えたらとんでもないことだ。

そのぶん、小編成のステージはいろいろな演奏があって面白い。小編成のステージは、"ずっと固定メンバーで続けているグループ"というのは存在しなくて、基本的にはその年限り、というもの。プログラムが多彩なのも楽しい。石毛里佳さんの「セレブレーション」なんて初めて聴いたけれど、良い曲ですね!

モリネッリは、団員が楽章ひとつずつ独奏を務めた。ソロもバックもさすがの演奏で、客席が大いに湧いていたのも印象深い。ラージアンサンブル版は第1楽章や第2楽章でキーノイズが割り当てられている箇所があるのですね…これは新たな発見だ。バルトークは、第3楽章のみだったが、東京大学ブラスアカデミーの指揮者も務める深山氏の編曲。途中出現する各ソロが素晴らしかった(特にM氏が吹いたソプラノ・ソロは、テクニック、そして最終部の音色の変化に舌を巻いた)。ワグナーの、ストレスとは無縁のふくよかな響きは、余裕から来るものかな。

お客さんは7割くらいの入りで大盛況。さすがにこれだけ長い期間続けていれば固定客も多いようで、福井氏MCで「初めていらっしゃった方は?」の問いかけに、それほど手が挙がらなかった。素敵なホール、素敵な演奏で、回を重ねるごとに着実に地位を確立しつつあるようだ。

ついでに補足:ソリストの皆様の衣装がステキだった、某なかま○さんの曲紹介が素晴らしいと思った、アトムハーツの第1楽章はTarkusっぽくガリガリ吹いて欲しかったー、等々。

2010/10/30

どちらに行きますか?

エスポワール・サクソフォンーケストラと、サクソフォーノ・ロッソ。それぞれ、東京を代表するサクソフォンアンサンブル団体のひとつだと思っているが、その団体の演奏会が同じ日・同じ時間帯にあるとは…困った。実は、まだどちらに行くか決めていない。それぞれに魅力的で、それぞれにお知り合いがたくさん参加されていて…。明日の午前中に、コインでも投げて決めようかしらん。

【Espoir Saxophone Orchestra 9th Regular Concert】
出演:福井健太(cond.)
日時:2010/10/31(日)13:30開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
R.ワグナー - マイスタージンガー前奏曲
R.モリネッリ - "ニューヨークからの4つの絵"
B.バルトーク - 弦楽のためのディベルティメント
G.F.ヘンデル - "水上の音楽"より"Alla Hornpipe"

モリネッリの「Four Pictures from New York」は、サクソフォン奏者オーティス・マーフィ氏がレパートリーにしていることでも有名な、サクソフォン・ソロのための作品。作曲者自身が編んだサクソフォンオーケストラ版は、今回が日本初演となる。ひとつの楽章ずつ団員の方がソロを取るそうだ(3楽章は演奏されない、とも聞いた)。小編成ステージは、A.ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"」、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」、E.モリコーネ「ニュー・シネマ・パラダイス」、石毛里佳「Celebration」。










【Saxofono Rosso 第8回演奏会 ~遠藤朱実先生を囲んで~】
出演:田中靖人(sax.)、西尾貴浩(cond.)
日時:2010/10/31(日)13:30開演
会場:府中の森芸術劇場・ウィーンホール
プログラム:
P.イトゥラルデ - ギリシャ組曲
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
H.トマジ/柏原卓之 - バラード(田中靖人, sax)
C.サン=サーンス/野村亮太 - 組曲「動物の謝肉祭」

やはり注目は田中靖人氏がソロをとるアンリ・トマジ「バラード」だろう。今や八面六臂の活躍である柏原卓之氏の手によるアレンジだが、委嘱初演となった東京芸術大学の演奏会(ソロは角口圭都さん)以来、何度目の演奏となるのだろうか。ラージアンサンブルでは、毎回素敵なレパートリーを演奏するロッソだが、今回は野村亮太さん(ラランさんのお弟子さんとしても有名)の手による「動物の謝肉祭」!これも聴いてみたい。

2010/10/29

Dinant 2010の一次予選スケジュール

開催が迫ってきた第5回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)だが、ようやく公式スケジュールが発表された。下記リンク先中段の、Horarios/Scheduleをクリックすると、PDF形式でスケジュールを参照することができる。

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70

第1次予選は、11/1から11/7にかけて行われ、ここで2次予選への進出者18人が選ばれる。課題曲は、下記の3曲。
必須曲:
I.ゴトコフスキー「悲愴的変奏曲第6楽章」
J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番より最終楽章」
選択曲(1曲選択):
Pierre Liemans - A la Bonne heure
Nina Senk - Impetus
Jean Absil - Sonata
Jeno Takacs - Two Fantastics
Claude Pascal - Sonatina
Michel Lysight - Chronographie IX
Robert Muczynski - Sonata
Piet Swerts - Klonos
Frederic Devreese - 3 Pieces
William P. Latham - Sisyphus 1971

既に何人ものサクソフォン奏者が現地入りしている。時差や気候、慣れない環境での戦いは難しい部分もあると思うが、全員の健闘を祈りたい。…といっても、勝ち負けがついてしまうのがコンクールだが。

それにしても、審査員はわからないまま。いつもはかなり早い段階で発表されていたはずだが、今回はギリギリまで隠しておく方針なのだろうか。

2010/10/28

コテカン with ピアノ

超々難易度の作品として有名なピート・スウェルツ Piet Swertsの「コテカン Kotekan」。2006年の第4回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)における本選の課題曲委嘱作品であり、2010年第5回アドルフ・サックス国際コンクールの2次予選の課題曲でもある。初めて2006年本選の動画を通してこの曲を聴いたときは、「??」という感じだったが、聴くにつれ面白い曲であると感じてきた。「クロノス」よりも「ウズメ」よりも高難易度、かつ演奏効果も高い作品だ。

その「コテカン」であるが、スウェルツ氏のMySpaceページに、サックス+ピアノという編成での録音が置いてあることを知った。スウェルツ氏のMySpaceページは、こちら

ちょっと解りづらいが、リンク先ページのMySpace音楽プレイヤーのなかに「KOTEKAN」というトラック名があるはず。トラック名左の再生ボタンを押すと、聴くことができる。演奏は2006年の覇者であるセルゲイ・コレゾフ Sergey Kolesov氏。ライヴ録音ということで、さすがにややミスや粗さも散見されるが、それにしても15分近くの長時間に渡ってこのような強烈な演奏ができるとは、恐れ入るばかりだ。ロシアのサックスって、すごいなあ。

開催が近づいているアドルフ・サックス国際コンクールは、オンライン中継&録画が予定されている。2次予選では、この曲のどんな素晴らしい演奏が出てくるのだろうか。楽しみに待ちたい。

2010/10/27

しらこばと音楽団@岸町公民館

日曜日はしらこばと音楽団に参加。岸町地区文化祭に合わせて「おんがくの広場」を開催し、いつものサックス四重奏+ピアノに加え、ピアノとカホン、ドラムサークルなど、"体験できる"音楽も含めて盛りだくさんでお送りした。今回のメンバーは、ニジマスさんのご主人、ニジマスさん、mckenさん、kuri、やまーさん。Cross-Road39の時と、同じ布陣。

相変わらず楽しくて「トトロ」から「長崎は今日も雨だった」まで、おもいっきり楽しんで吹いてしまった。お客さんもたくさんいらっしゃって、嬉しかったな。また、ニジマスさんのご主人と、デュエットを3曲ほど。ジャズのバックグラウンドを持つ方なので、さすがの素晴らしいフェイク(もちろん、extended!)を間近で聴けて興奮した。他の催し…ドラムサークルも楽しかったし、だがっぴあのカッコよさ&上手さには呆然。いやはや、驚いてしまった。

以下、自分が参加した編成のセットリスト(mckenさんのところから拝借)と、写真。

セットリスト(四重奏+パーカッション)
・セプテンバー
・勇気100%
・となりのトトロメドレー
・テキーラ
・L-O-V-E
・赤い靴~青い目をしたお人形~七つの子
・長崎は今日も雨だった
・崖の上のポニョ
セットリスト(デュオ+パーカッション)
・A列車で行こう
・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
・枯葉

2010/10/26

波多江史朗・松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会

先週末土曜日のイベント。私はお二人の門下生ではないのだが、主催のOさんに頼んでラージだけ乗せていただいた。なんとなくお知り合いも何人かいらっしゃって、さらに新しくお会いする方も何人かおり、個人的には「演奏よりもどちらかというと交流メイン」のつもりで参加した。

【波多江史朗・松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会】
日時:2010年10月23日(土)13:00開演
会場:板橋区立グリーンホール
料金:入場無料

Quartet Lotus: J.B.Singelée - Premier Quatuor Mov.1
ロメオとジュリエット: S.Watanabe - Dancing Fairy
はにかむず: J.B.Singelée - Duo Concertante
Quartet Unknown: E.Bozza - Andante et Scherzo
ぷりんせす くぁるてっと: F&M.Jeanjean - Quatuor
Plaisant Saxophone Quartet: A.Desenclos - Quatuor
Quatuor O: Woman in Scorpio, Bark at the Sun!
Quatuor P: T.Muramatsu - Far Away
バリっ子倶楽部: J.M.Leclair - Sonata No.1
Rouge et Noir: J.M.Leclair - Sonata No.2
チームまなかな: J.B.Singelée - Duo Concertante
Quatuor allo: J.B.Singelée - Premier Quatuor Mov.1,4
アバンチュール: J.S.Bach - Italian Concerto
講師演奏(波多江史朗、松井宏幸、泉谷絵里): F.Poulenc - Trio
ラージアンサンブル: B.Bartok - Rumanian Folksongs, M.Deighan Aux Champs-Elysées

最初はこんな長時間聴けるかなあと心配だったが、どれも凄くステキな演奏ばかりで聴き入ってしまった。演奏の感想は割愛する。デザンクロの四重奏曲は、やはり類稀なる傑作なのだなと思った。特に第1楽章…和声進行に耳を傾けていたら、聴きながら涙が出そうになった。デュエットについては、無伴奏ならルクレール or ヒンデミット、ピアノ付きならサンジュレになってしまうレパートリー認知の低さは何とかせねばなるまいと感じた。デュエットのレパートリーって、他にも素晴らしい作品ばかりで、スタンダードにとどまる必要は無いはずなのだが…。やはり、地道に情報発信していくしかない。

講師演奏は、プーランクのトリオをソプラノ(波多江氏)、テナー(松井氏)、ピアノの編成にて。リハーサルも含めて聴くことができた(贅沢…)。美しい音色と輝かしいテクニック、ということは言うまでもなく、極上の演奏を楽しんだ。この世界で一番幸福なユニゾンの音楽は、波多江さんや松井さんの音楽性にとても合っているような気がする。

ラージアンサンブルは、松井さんの指揮で「ルーマニア民族舞曲」と「オー・シャンゼリゼ」。「オー・シャンゼリゼ」の前に、松井さんの結婚を祝してサプライズでメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を(突然)演奏。面白かった。「オー・シャンゼリゼ」では、最初のテーマを波多江さんが演奏していたのだが、これがまた素晴らしくて。このフレーズを聴けただけでも、今回参加した価値があったかもしれない。…いやー、これは一朝一夕には真似できない、波多江さんのフレーズだ。自分だけの演奏をできる奏者って、日本ではもの凄く稀なのではないかと。

本番が終了し、池袋にて飲み会!お知り合いの皆様はもちろん、初めてお話する方もいて、とても楽しかった。いつもの通りだいぶ酔っ払ってしまったが…(笑)。また機会があれば、ぜひ参加してみたい。

デュトワ指揮モントリオール交響楽団のボレロ on YouTube

シャルル・デュトワのモントリオール交響楽団のコンビと言えば、私にとっては「ダフニスとクロエ」のディスクだ。その他にも、フランス音楽を取り上げたCDをいくつか聴いたが、そのコンビが演奏するラヴェル「ボレロ」の動画がYouTubeにアップロードされていた。1996年の来日公演@サントリーホールの模様だそうだ。…ということは、フルートは、ティモシー・ハッチンズかな?

サクソフォンの登場は、前半の5分~6分くらい。カナダということならば、ダニエル・ゴーティエ(その後ドイツに移住しているが)あたりが出てくるかな?と思ったのだが、テナー奏者もソプラノ奏者も知らない顔。ご存知でしたらぜひ教えてください。サクソフォンに限って言えば、あまりフランスっぽさは感じられない。

前半


後半

ミ・ベモル on YouTube

プロフェッショナルのサクソフォンアンサンブル団体として有名な、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルの動画が、YouTubeにアップロードされていた。主に関西で活動している同団体だが、こうやって演奏を楽しむことができるのはありがたい。とは言ったものの、いつか一度くらいはライヴで聴いてみたいものだ(昨年の関東公演も伺えなかった)。

N.リムスキー=コルサコフ - "シェエラザード"より

動画冒頭で、既に飛び上がってしまう。この大人数でこの緻密なアンサンブル!ライヴで聴いた人は口々に「凄い!」というのだが、その一端を垣間見ることができる。いったいどんな練習をしているのやら、練習会場に忍び込んでみたいくらいだ(笑)

G.ホルスト - 組曲"惑星"より

これも凄いなあ。ミ・ベモルの楽譜は多くが出版されているが、おそらく同じように吹くことができる団体はまず他に存在しないだろう。それにしても、あの有名な三拍子のメロディ、サックスによく合いますね。

M.ラヴェル - ボレロ

正直ソロにはそれほど期待していなかったのだが(だって、ジャック・テリーやダニエル・デファイエ以上に吹ける奏者がいるとも思えないし…)特に動画の冒頭に出てくるテナーサックスソロには驚いた。もの凄く良いソロだと思う。アレンジも、想像以上に秀逸。

2010/10/24

この土日

いずれの本番も、楽しく終えることができた!土曜の波多江さんの門下発表会では、ステキな演奏がたくさん聴けたし、初めてお会いしてお話できた方がたくさん。日曜のしらこばと音楽団はお客さんがたくさん来てくれて、これもまた嬉しかった。

いやあ、充実充実。詳しくは後日。

2010/10/22

土日の演奏予定

土曜日は、波多江さんの門下発表会に、ラージと飲み会だけ参加。初めてお会いする方が多く、楽しみ。

【波多江史朗、松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会】
日時:2010年10月23日(土)13:00開演
会場:板橋区立グリーンホール
料金:入場無料

日曜日は、おなじみ"しらこばと音楽団"で岸町公民館ジャック(笑)。

【しらこばと音楽団 presents おんがくの広場】
日時:2010年10月24日(日)9:00~15:00
会場:岸町公民館第3講座室
料金:もちろん無料

2010/10/21

国立音楽大学専攻生によるサクソフォーンアンサンブル2010(その2)

前回の記事の続き。

第2部までで、学生の小編成のアンサンブルステージが終了。ロビーに出てみると、お知り合いばかり。いろんな方にご挨拶することができた。

第3部、ゲストステージ。フレデリック・ヘムケ博士とオルガンの藤田恭子さんの共演。ステージへと登場したヘムケ氏、一曲目の「Simple Gifts」をさりげなく吹ききった。様々な録音で聴いたあの音、そしてあのヴィブラートだ。セルマー・サクソフォンを鳴らしきったときに聴こえてくる音が、会場を満たした。だが、それほど力んで吹いているようにも見えないのだよな…不思議。2曲目は、Frank Ferkoの「Nebulae」。立ちはだかるオルガンの強奏をさらに上回る響きで耳に届くサクソフォン。技巧的にもかなり難しいはずだが、強烈なオーラを発しながら会場をその音世界に巻き込んでいった。いくら小さな音でも、そしてサイドキーであったとしても、響きのレベルは常に一定である。

良く考えてみたら、私はミュールの直弟子の演奏を生で聴くのは初めてだった!サクソフォンの歴史の重要な一端に触れることができたわけで、この貴重な機会をサクソフォンに志を同じくする皆さんと共有できたことに感謝したい。アンコールは「赤とんぼ」。ただひたすらに美しかった。

演奏が終わって、雲井さんがヘムケ氏に簡単にインタビュー。後ろではサクソフォン・オーケストラへの舞台転換。聴くことができたという感動で、ポヤっとしていたかもしれない。

トリを飾るのは、下地啓二指揮の国立音楽大学のサクソフォン・オーケストラ。柏原卓之氏が構成した「サクソフォン・オーケストラのための"アイリッシュフェアリー組曲"」である。著名なバンドである、ケルティック・ウーマンの楽曲をサクソフォン・オーケストラにために再構成した作品だということだが、とても面白い楽曲で、さらに随所に工夫も見られ、充実した聴後感を得ることができた…というか、最終楽章の最後の音が鳴り響いた瞬間に「良いじゃん!!!」と心のなかで叫んでしまったのだった。ケルト音楽のメロディは問答無用で人の心に響くが、やはりそれも高レベルなアレンジと丁寧な練習・熱演があれば、さらに素晴らしい音楽へと昇華されていくのだなあと感じた瞬間だった。客席の湧きっぷりも凄かったですよ。

国立音楽大学のサックス科演奏会、良いなあ。来年も是非伺いたい。

2010/10/20

書き書き…

別所で物書きが忙しいので、まともな更新ができないかも。

国立サックスの感想その2を早く書かなければいけないのだが…。あと、週末の宣伝とか。書いている物の詳細については、またブログ上でもお知らせしたい。物書きといえば、来年のサクソフォーン協会寄稿用の記事、どんなテーマにしようかなあ。ボヤボヤしていると、気がつけば3月、というのはよくある話でして。

2010/10/19

国立音楽大学専攻生によるサクソフォーンアンサンブル2010(その1)

というわけで、昨日聴いてきた演奏会の感想を。

【国立音楽大学専攻生によるSaxophone Ensemble 2010】
出演:国立音楽大学サクソフォン専攻生、下地啓二(cond.)、フレデリック・ヘムケ(guest sax.)
日時:2010年10月18日(月)18:30開演
会場:府中の森芸術劇場ウィーンホール
料金:全席自由 800円
プログラム:
J.S.Bach/新川奈津子 - Piano Concerto Mov1
兼松衆 - October Song for 8 Saxophones
D.Maslanka - Recitation Book Mov1,5
J.S.Bach - Partita No.6
狭間美帆 - Beyond the Wind
G.Ligeti - 6 Bagatellen
Traditional - Simple Gift(フレデリック・ヘムケ sax.)
F.Ferko - Nebulae(フレデリック・ヘムケ sax.)
柏原卓之 - Irish Fairy Suite

国立音楽大学の演奏会は2年前にも伺った。このときも、充実したプログラミングと演奏の質に驚いたものだったが、今回はその印象をさらに上回るものだったと思う。例えば、2008年に聴いたときは、やはり演奏の多くはいかにも音楽大学らしいものであり、次の壁をクリアしようとする団体はひとつ(ベネット)くらいしか無かったと記憶する。だが、今回は殆どの団体が「普段の勉強よりももう一段上のステップ」の素晴らしい演奏を披露していたと感じた。聴き手の心に響く音楽は、何かを超えようとしている部分から生まれるものだと思う。

バッハの「ピアノ協奏曲」は、国立音楽大学大学院在籍中の新川奈津子(しんかわなつこ)さんによる、サクソフォン12重奏へのアレンジ。ピアノは入らない。とても丁寧な音作りで、コンサートの幕開けに相応しい響きがホール中に響いた。ポリフォニックな単一楽器の独奏譜を複数の単音楽器に落としこむのって、なかなか面白い効果を生み出すアイデアだと思うのですよ。

兼松衆氏の「October Song」は、解説の通りにジャズにヒントを得て、現代風の音響で再構成を施した3楽章からなる作品。これはカッコイイですね!こういった演奏会で聴くことができる"委嘱作品"の"世界初演"はある意味バクチみたいなもので、ヒドイ作品をいくつも聴いたことがあるが、これは疑いようのなき佳曲!調べてみると、きちんとしたジャズのバックグラウンドをお持ちのようで、たしかにそうでなければあのソプラノサックスのフレージングは描けないよなあ。演奏者の共感度が高いのも、聴き手に良く伝わってきた。

「レシテーション・ブック」。第1楽章と第5楽章。さすが、めちゃくちゃに上手い。自分も吹いたことがあるが、天と地ほどの差がありすぎて、ちょっと比較にならないくらいだ。もっと音楽に没入することで聴こえてくるこの曲の精神性というものもあるかもしれないが…?あ、あと、前ブロックで聴いていたせいかしら、バリトンの音量が妙に小さかったような。

バッハ「パルティータ」これは、4本のバランスの良いアンサンブルという点では、本日の白眉だったと思う。丁寧な練習の跡と、各個人が持つ響きの融和に耳を奪われた。小川が流れるように、技術的には殆ど淀みがない。"好きだからやりました"では到達できない領域で、アマチュアではこうは演奏できないだろうなあ。このメンバーでの他の曲も聴いてみたくなった。

世界にその活動の幅を広げつつある挟間美帆さんの「Beyond the Wind」は、5本のサクソフォンとパーカッション(カホン、サスペンションシンバル、ベル、ウィンドチャイム)のための作品。これも委嘱作品とのことだが、美しい部分と楽しげな部分が交錯した佳曲だった。各楽器にきちんと見せ場が用意されていて、兼松氏の作品と同様、演奏者の共感度が高い。

リゲティは、ソプラノサクソフォンの音楽性が輪郭を形作り、それに十分に応える他パート、といった構図が面白かった。聴こえてくる以上のハイ・テクニックを要求する作品だが、ちゃんとサックスではなく作品が聴こえてきた。3曲目の、ソプラノが旋律を奏で始める場所では、いったいホールのどこから聴こえてくるのか、というような上質な音に酔いしれ、6曲目ではよく練られた超スピードのスポーツカーのような演奏に飛び上がった。

あ。ちょっと長くなってしまったので、後半は次の記事にて。

2010/10/18

国立サックス科の定期2010に行ってきた

帰宅が遅くなってしまったので詳細は明日書くが、素晴らしい演奏会だった。

府中本町から府中の森芸術劇場まで歩くという、知っている人からすれば「バカぢゃないの!」と言われそうなルートを選択してしまったのだが、開演に間に合ったのは幸いだった。

お目当てのヘムケ氏ももちろん素晴らしかったが、学生の演奏の質が高いのも国立サックスらしいところ。音楽大学の演奏を聴くと、よくアマチュアの延長線に聴こえてしまったり、いかにも"音大です"といった感じの演奏だったりするのだが、本日の演奏の殆どは、"学生"という枠組みを越えてプロフェッショナルに向かおうとする気合いが感じられた。

明日詳細を書くために、インスピレーションをざっと書いておく。

バッハ:丁寧な音作り、美しい音色。演奏会の幕開けに相応しい。兼松:委嘱だが、なかなか秀逸な作品。演奏も楽しげで、ノッてしまった。マスランカ:さすが、超上手い。もっと音楽に没入した感じが聴きたかったかも。パルティータ:アンサンブルとしての完成度は本日の白眉。ずっと大人の演奏かと思いきや、魅せるところでは魅せる。狭間:パーカッションも加えての楽しげな演奏。客席の共感度も高い。リゲティ:超ハイテクニックが要求されるが、多くの箇所でテクニック的にクリアして、作品そのものを提示することに成功していた。第3曲のソプラノの冒頭が大変に美しかった。ヘムケ氏:オルガンとの共演。弱音のみずみずしさ、強音における圧倒的なパワー、サイドキーの美しさ、強烈なフラジオ。アメリカのサクソフォン界を牽引した存在の一端に触れることができ、感無量。ミュールのお弟子さんの演奏をライヴで聴くのは、これが最初で最後となるだろう…。ラージ:終わった瞬間に、「良いじゃん!!」と心のなかで叫んでしまった。アレンジが上がったのは●日前だったとのことだが、奏者の共感度はとても高かったような。最終楽章ではホール中を巻き込んで、大盛り上がりのテンション。楽しかった。

以上。…今日は、良いこと、楽しいことがたくさんあったなあ。

2010/10/17

アドルフ・サックス国際コンクール2010中継

開催が近づいてきたアドルフ・サックス国際コンクール2010だが、2006年に続き、今回もライヴ・ストリームでの中継があるようだ。利用する仕組みは前回と違うみたい。adolphesax.comの、http://adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70に飛ぶ方法が最も一般的だが、他にも、下記のようにembedができたり、いろいろと便利な仕組みが用意されている。

アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)中継

URLからも明らかなように、中継の仕組み自体は、livestream.comにホスティングされているようだ。2006年は配信元サーバが弱すぎて放送が常に途切れ途切れだったが、今回は配信元サーバもきっと変わったことだろう。通信品質の改善がなされていることを期待したい。

"サクソフォン・アンサンブル なめら~か"第10回記念定期演奏会

おなじみ、Thunder's WebThunder's音楽的日常の、Thunderさんが代表を務めるサクソフォンアンサンブル団体"なめら~か"。もともとは音の輪という催しから派生して始まったアンサンブルなのだそうだが、その後メンバーの入れ替わりもありつつ定期的に演奏会を重ねて、今や10回!素晴らしいことだなあ。結成したころの様子は、Thunderさんの昔の日記(まだブログが登場する以前の日記だ…)から読むことができるが、なかなか面白い。

【サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第10回記念定期演奏会】
日時:2010/10/16(土)18:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーソ
三浦真理 - ティータイムの画集
A.ピアソラ/啼鵬 - ミケランジェロ'70、ブエノスアイレスの冬、ブエノスアイレスの夏
A.リード - 5つのカメオ
G.ホルスト/啼鵬 - 吹奏楽のための第2組曲
P.A.グレインジャー - デリー地方のアイルランド民謡
N.リムスキー=コルサコフ - 交響組曲"シェエラザード"より第1,4楽章

この日は仕事だったため、さすがに最初からは聴けず(開演が18時…)。小ホールへ向かうエレベーターの中で、同じように遅れてきたと思われる御婦人方の「"なめら~か"って名前がなんだか良いわよねぇ」などというおしゃべりを横目(?)にホワイエへ。「ティータイム」の途中から聴いた。楽章の合間でも、ホールの係員さんが誘導してくれて入れるのですね。誘導されて入った最後方の座席からは、たくさんのお客さんとともに、舞台上の演奏者が見える。上質な室内楽の響き。後方の座席であっても、ちょうど良い響きで聴こえてくる。お客さんの数には毎回驚かされているが、長く続けていることによるものもあるのだろうな。

ピアソラは、ピアノに古関美香氏を迎えての編成。古関氏が「ラプソディ・イン・ブルー」を弾いたのは、たしか第8回だったかな?中高音域でのくっきりとしたタッチは非常に私好みで、特に「ブエノスアイレス」ではそれがプラスに働いていたような印象を受けた。もちろん、サクソフォンパートも熱演。せっかくだから、ブエノスアイレスに絞って全曲聴きたかった…というのは贅沢かな?啼鵬さんのアレンジも、改めて聴いてみてもやっぱり素敵だ。

休憩を挟んで、まずアルフレッド・リード氏の「5つのカメオ」。言わずと知れたなめら~かさんの委嘱作品で、第1回の演奏会に際して生み出されたもの。その後も何度か演奏の機会はあったようだが、記念演奏会ということで、改めて取り上げた、ということらしい。この曲の演奏に、とても感銘を受けた!第1楽章の冒頭からビビッと来て、楽章ごとのスタイルをきちっと描き分けながら進んでいく。各ソロも、本当に見事だった(私はテナーメインで吹いていることもあり、特にテナーのS氏のソロは鳥肌立ちました)。また聴いてみたい。

ラージは、ホルスト、グレインジャー、リムスキー=コルサコフ。バリトンには、mcken氏がゲスト出演の他、なんと斎藤了氏まで!おどろいた。ここでは、ホルスト、そしてリムスキー=コルサコフが楽しかった。リムスキー=コルサコフはどんな響きになるかと思ったが、楽器ごとの特徴を上手く生かしながら、さらにピアノまで巻き込んだThunderさん渾身のアレンジ。素晴らしかった。

別件の予定があったため、アンコールは聴けずに(>_<)退散。次回日程も決まっており、2011/10/22とのこと。楽しみに待ちたい。

2010/10/15

Sheet Music Plusの送料

Sheet Music Plusは、私も良く利用している楽譜通販サイト。品揃えと在庫が比較的豊富で、円高ということもあって最近はほとんどの楽譜をここから買っている。

ひと月程前に、海外向け発送のプランが追加された。そのお値段、なんと2.99ドル(!)。さすがに保険などは付かないと思うのだが、この安さは魅力的だ。なにせ、国内の通販サイト等から楽譜を買って送ってもらうのよりも安いのだ。入手時期さえ気にしなければ、国内から買う必要性を感じなくなってしまった。デフレな世の中だが、まさかこんな所にまで価格破壊の足音が聞こえてくるとは…。

2010/10/14

Simple Gifts

サクソフォン奏者のフレデリック・ヘムケ Frederick Hemke氏が、無事来日されたようだ。フルブライト財団のサポートを得ながらおよそ2週間国内に滞在し、マスタークラスや演奏などを行う。どうやら、今月18日の国立音楽大学のサクソフォン科定期演奏会でも演奏が聴けそうで、楽しみだ。10/25の石森管楽器でのマスタークラスも行ければ行きたいが、こちらはやや難しいかも。

さて、そのヘムケ氏のCDを紹介しておきたい。なんとサクソフォンとオルガンの共演盤で、はっきりとした情報が判らないのだが、おそらく2001年ころの録音だと思われる。出版は少し遅れて、2006年ころ。マイナーレーベルからの出版であり、入手はやや難しいのだが、Amazon.com等から購入できる。

「Simple Gifts(EnF Records 7005)」
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts I
Frank Ferko - Nebulae
Pamela Decker - Elegy and Dances
Traditional / Frederick Hemke - Three Russian Folk Songs
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts II
Alan Stout - Suite
Michael Johanson - Memento
Misha Zupko - The Seventh Seal
Timothy Broege - Musette-Chaconne-Forlorn-Time's Telling True
Richard Proulx - Fantasy on "Veni Creator Spiritus"
Kirk O'Riordan - Cathedral
Traditional / Frederick Hemke - Two Norwegian Folk Songs
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts III

CDを再生してただただ驚くのは、その圧倒的な音色の存在感。「セルマーを鳴らしきっている音」と単純に書いてしまってもその印象は伝わるかもしれない。超高密度の輝かしい音色。どんな強音・弱音であろうと、いかなる場所にも隙間が見当たらない。ジャケットでヘムケ氏が携えている楽器にくっついているのはメタルの(おそらくジャズモデルの)マウスピースなのだが、このCDでも同じマウスピースを吹いているのかな?

ジャケット表紙の印象そのままの、気高く崇高な音楽である。"気高く崇高"とは言っても高飛車な感じではなくて、聴き手を抱擁するような優しさをも感じさせる。表題にもなっている「Simple Gifts」など、まるで歌手がさりげなく歌うような暖かさに満ちているし、かと思えば続く「Nebulae」ではオルガンの大音響と対等に渡り合うような存在感を示す。レコーディング時に、ヘムケ氏はおそらく65歳を超えていたはずだが…驚くばかりだ。

いくつかの作品は、実質的にこのCDのために書かれた新作といって良いものだが、それよりも、CDレコーディング時点までに既に作曲されていた作品が多いことにびっくりした。サクソフォンとオルガンというと、アンリ・ソーゲの作品くらいしか思い浮かばなかったのだが、意外といろいろあるもんなんですね。

さてさて、このCDを取り出して聴いたのも久々だったが、俄然来週の月曜日が楽しみになってきたぞ!

2010/10/13

A Transcription of Cesar Franck's Sonata

アメリカのサクソフォン奏者、トッド・オクスフォード Todd Oxford氏が、テキサス大学オースティン校博士課程を卒業する際に書いた論文をご紹介する。その名も、「A Transcription of César Franck's Sonata in A Major for the Baritone Saxophone」。最近よく演奏されるフランクの「ソナタ」(原曲はヴァイオリン)を、バリトンサクソフォン用に編曲した顛末を、論文形式でまとめたものである。

まずこのCDをご紹介しておこう。論文の発表とほぼ同時にレコーディングされた、オクスフォード氏のCD「Finesse(Equilibrium EQ-22)」。フランクの「ソナタ」をメインに、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」、ボザ「即興とカプリス」、ボノー「ワルツ形式のカプリス」という、真っ向勝負の4曲を、全てバリトンサックスの演奏で収録したアルバムだ。私が初めて買った全編バリトンサックスのアルバムでもある。Amazonへの購入リンクはこちら→Todd Oxford : Finesse

クラシックの分野で捉えてしまうなら栃尾克樹氏の「アルペジョーネ・ソナタ(Meister Music MM-1189)」と比肩するほどの素晴らしいアルバムだ。チェロ奏者などにアドヴァイスを受る等、時間をかけてレコーディングの準備が為されたということは知っていたが、まさか論文がベースにあるとは知らなかった。

論文の内容は、下記の通り。
Chapter 1 : Biography of César Franck
Chapter 2 : The Sonata in A Major for Violin and Piano
Chapter 3 : Preparation and Research
Chapter 4 : Preparing the Transcription

第1章がフランクの経歴、第2章が「ソナタ」の成立の調査。続く2つの章が、実際の編曲作業についての解説である。例えば、調性やアーティキュレーション、ブレスなどに関する考慮が、ひとつひとつ丁寧に解説されている。そして、本編にも増して面白いのは、付録だと思う。まず、テキサス大学のヴァイオリン科教授 Eugene Gratovichへのインタビュー、編曲を進めるにあたりたくさんのアドヴァイスを受けたという、チェロ科教授 Paul Olefskyへのインタビュー。さらにさらに、オクスフォード氏の編曲譜も、ピアノスコアとともに全て掲載されている。圧倒的なボリュームだ。

さらに素晴らしいことに、この論文はテキサス大学のデジタル・リポジトリから無料で入手可能なのだ。ぜひ入手して、多くの方に読んでいただきたい。

2010/10/12

ニコラ・プロスト氏が韓国の歌謡番組に… on YouTube

記事のタイトル通り。フランスの著名なサクソフォン奏者のひとり、ニコラ・プロスト Nicolas Prost氏が、韓国の歌謡番組のようなものに出演している動画を発見したので、ご紹介したい。なんというか、突っ込みどころ満載なのだ。画面のスナップショットを乗せながら、私が初めて動画を観た時の心の声?を併記してみた。

動画が始まった途端、このお客さんの数!え!なんだなんだ?韓国ではニコラ・プロスト氏のファンがこんなにいるというのか?
司会のお姉さん(けっこう美人さん)が韓国語で何やら解説しています。
そして始まるジョージ・ガーシュウィンの「サマータイム」。って、え?舞台上に2人?
あ、なるほど、歌の女性がメインなのですね。だからあの客席の埋まり具合かあ。韓国では人気の歌手なのだろうか。
ゲストのニコラ・プロスト氏、即興のオブリガートで絡みます。カッコイイ!
そして、中間部ではどソロ!…と、聴いているうちに、なぜかサクソフォンがもう一本聴こえてきて…。
ええ!!もう一人サックスの人がオーケストラの中にいるよ!しかも、ニコラ・プロスト氏なんか気にせずバリバリ吹いちゃってるよ!それでいいのか!?
そして終わるソロ。って、ええ!!さっきのサックス吹いていた方って、指揮者だったのおおぉ!?
ボサノヴァ風のリズムに乗って、再び歌とサックスの共演。残念ながら、動画は途中で切れている。






以上。初めて観たとき、なんだか収まりの悪さのようなものを感じた。サックス二人で主役の取り合いですな(苦笑)。動画は、ここから観ることができる。

2010/10/11

喇叭集団<奏> presents "The Ensemble Party Vol.2"

【~喇叭集団<奏>presents~ The Ensemble Party Vol.2】
日時:2010/10/11(月・祝)開場12:30 開演13:00
会場:石森楽器B1F イベントスペース
出演団体(出演順):
Saxo-Four-"K"(sax4)
T4(trb4)
comodo escargot(hrn7)
エンドレスフルートアンサンブル(fl3)
Bourton on the Brass(brass5)
椎名大樹と佐合傭太郎(tsax, pf)
ジョバンニ☆ガブリヨリ(brass10)
喇叭集団<奏>(trp9)

というわけで、爽やかな秋晴れ…というか、ちょっと暑すぎるくらいの天気の中、上記のような催しに参加してきた。実は石森楽器自体伺うのが初めてだったのだが、あんな場所にあるのですね。写真を撮ってみたが、鮮やかな青空との対比が美しい。

10:30の開店と同時にホール入り。会場がオシャレなんですよ!石森楽器の訪問が初めて=イベントスペースも初めてだったのだが、中型のスタインウェイのグランドピアノが鎮座し、椅子が並び、壁面もきちんと仕上げられている。ホール後方にはバーコーナーもあり、お酒も出せるようになっているみたい。全員合奏のリハーサル、団体ごとのリハーサルをこなしていると、あっという間に開場・開演。本日のセットリストは、以下のとおり。

R.プラネル - バーレスク
G.F.ヘンデル - 私を泣かせてください
L.アンダーソン - プリンク・プレンク・プランク
A.ボロディン - だったん人の踊り
オムニバス - "四季の童謡"

いくつか事故があったが、全体の流れを確保することはできたかな?まあ、流れとメリハリは紙一重の部分があるし、難しいところだとは思うが。技術的にクリアせねばならない部分が多かったのも反省点。しかし、お客さんも比較的入っていて、特に「"四季の童謡"」が終わったあとには大きな拍手を頂いた。嬉しかったなあ。

別の用事があったので、演奏終了後は後ろ髪をひかれつつすぐに失礼してしまったのだが、リハーサルを聴く限り、どの団体も個性的なプログラムで面白そうだった。特に、喇叭集団<奏>は、なんだか圧倒されてしまった。自主演奏会などはないのだろうか。

2010/10/10

明日の演奏予定

サクソフォニー関係者で結成した臨時編成アンサンブルの"Saxo-four-K"にて、下記の催しに出演する。Tsukuba Saxophone Quartetではない四重奏の本番って、いつ以来だろうか…。お時間ありましたらお越しください。

【喇叭集団<奏>Presents The EMSEMBLE PARTY VOL.2】
日にち:2010/10/11(月・祝)
時刻:開場12:30 開演13:00
会場:石森管楽器B1ライブスペース(http://www.ishimori-co.com/shop/info.html
料金:入場無料

いくつかのアンサンブル団体が出演するそうだが、Saxo-four-Kはトップバッター。R.プラネル「バーレスク」、野村秀樹編「日本の四季メドレー」などを演奏する。

2010/10/09

Trio Futurum on YouTube

トリオ・フチュロムは、パリ国立高等音楽院の出身者で結成された室内楽団。馬場みさき(pf)、ブナシール・ブーカテム Benachir Boukhatem(vn,va)、クレモン・アベール Clément Himbertというメンバーで結成されている。なかなか珍しい変性であるが、基本的にオリジナル作品などへ取り組み、委嘱作品なども多いようだ。2009年にSaxianaコンクールの室内楽部門で優勝するなど、その実力は折り紙付き。

2010年には東京芸術大学との交流演奏会のために来日を果たしたが、その演奏会には伺えず、大変悔しい思いをした。そんなわけで、どんな音がする室内楽団なのか、全くわからないままであった。この編成であれば、すぐ思いつくのはヒンデミットの「トリオ」だが、それにしてもいったいどんな演奏をするのか!?と、気になっていたのだ。

今日、Skypeで大西智氏さんと話しているときに教えてもらったのだが、そのトリオ・フチュロムのプロモーション用動画がYouTubeにアップロードされている。内容は、どうやらヒンデミット特集のようだ。「コンチェルトシュトゥック」「ヴィオラ・ソナタ」「トリオ」などが演奏されている。ちなみに、茶髪のサクソフォン奏者はゲストのJoonatan Rautiola氏(フィンランド出身)。サクソフォン・デュオやピアノとサクソフォン2本のトリオなどを演奏する際に、呼んでいるそうだ。



トリオ・フチュロムがどのような室内楽団かと、この動画からでもなんとなく様子は判るが、ぜひCDや長編などで一曲丸々、プログラム丸々聴いてみたいものだ。俄然興味が湧いてきた。

2010/10/08

Rollin' PhonesのCD

スウェーデンのサクソフォン四重奏団であるRollin' PhonesのCDは、私がサクソフォンにハマった最初期に聴いたサクソフォン四重奏のアルバムのひとつである。当時クラシックサクソフォンの情報すら手に入れることもままならない高校生だったが(インターネットも発展途上だった)、同じ高校の卒業生の方が部活に10枚近くのクラシックサクソフォンのCDを寄贈してくれたことで、私たちはそのCDを通してプロフェッショナルなサクソフォンの世界に触れることができたのだ。このCD(BIS CD-466)は、その中の1枚である。BISレーベルだということで、後にNMLなどでも聴くことができた。

その頃の私はあまりに知識がなさすぎて、例えば「Jean Baptiste Singelée - Premiér Quatuor」というジャケット裏面に書かれた情報を見ても、この言葉のどの部分が作曲者の名前で、どの部分が曲名なのか、まったく判別できなかったことを思い出す(結局2つ上の先輩に教えてもらった)。もちろん、レーベルがBISだとか、そんなことにも全く興味なし。なんとなく聴いていただけだ。ただ、下記のようなサクソフォン四重奏の名曲が入っていたことは幸いだった。さらに良かったのは、ほぼ同時にトルヴェール・クヮルテットの新譜「マルセル・ミュールに捧ぐ(EMI)」を買っていたため、聴き比べができたことだ。ボザ、フランセ、グラズノフと、3曲も重なっていて、団体によってずいぶん演奏が違うものだなと素直に感じ入ったのだった。

Jean Baptiste Singelée - Premiér Quatuor
Eugéne Bozza - Andante et Scherzo
Jean Françaix - Petit quatuor
Alexandre Glazounov - Quatuor, op.109

そういえばこの団体、女性のみで結成された数少ない四重奏団のひとつ。ストックホルム王立音楽アカデミーに在籍していたメンバーで1986年に結成された。現在ではかなりメンバーが変わっているようだが、CD録音当時のメンバーは、Pia Nilsson(ssax)、Lotta Petersen(asax)、Annien Sjostrom(tsax)、Neta Noren(bsax)となる。ちょっと面白いのが、ソプラノからテナーまでをクランポンのプレスティージュで統一していること。さすがにバリトンは入手が難しかったのか、セルマーのサクソフォンを使っているが、確かに全体を通してクランポン特有の?優しい響きを堪能することができる。

ちょっと残念なのは、響きを出すことに傾倒しすぎて、やや音楽の流れが停滞気味なこと。単純に、テンポが遅いと言ってしまえばそれまでなのだが、サンジュレやグラズノフではそれがプラスに働く部分もあるが、さすがにボザやフランセなどはもっと"軽妙酒脱"という感覚で吹いて欲しい。あ、あと、プレスティージュのテナーの低音部分はコントロールが難しいのだなあと…(^^;さらに言えば、まるでお風呂場のように、録音がイマイチ…(^^;;;

と、文句ばかり書いてしまったが、CDの隅から隅まで、ちゃんと丁寧に作りこまれているのがよく判る。CD一枚出すのって、(今でもそうだが)ちょっと前までは大変なことだったんだよなあ。いちおう、Amazonでの購入リンクも書いておきます→こちら

2010/10/06

Daniel Dorff

ダニエル・ドルフ Daniel Dorffという名前を聞くと、私も含めた多くのサクソフォン吹きの方々は、まず「ああ、あの『早歩き』の作曲家ね」と思い出して、「『タンゴは四人で』とかいう曲も書いていたよね」と続き、「あとは知らないなあ…」と、3段階を経るのみであるのが普通だと思う。小品が1曲か2曲有名で、あとは作曲者の素性も知らないし、調べようとする動機も起きない。たまに、(本人が望む・望まないに関わらず)サクソフォン界にそのような形態で作品提供をしている作曲家っていますよね。例えば「異教徒の踊り」のパトリス・ショルティーノとか、「サクソフォーン・シンフォネット」のR.R.ベネットとか。

10月の中頃に控えている本番のプログラムを決めるときに、ダニエル・ドルフの「早歩き Fast Walk」が候補に挙がっていて音出しを行った。録音を聴いたことしかなくて、その時はそれほど印象には残らなかったのだが、いざ音を出してみると楽しいもので(それもよくあることだが)、いつかやってみたい曲のひとつとなってしまった。"早歩き"というタイトル通りのウキウキしてしまう曲想、ABAの簡素な形式、ジャズ風の和音、変拍子の絶妙な割り込み、ごくごく短い各楽器のソロ…(ここから試聴可能、ABAのB部分)。

超高級料理を食べたり、バイキングでお腹いっぱい食べたり、そういった幸せではなくて、スーパーで安売りしていた98円のマウントレーニアを自分の部屋で味わう幸せ、とでも例えられるのではないかな?あるいは、コース料理の最初に出てくる素材の味を生かしたサラダか、ああ、八百屋で売っている100円の汲み出し豆腐ってのもアリかな(謎)。演奏者と聴衆に小さな幸せを届けてくれる作品だと思う。

そんな「早歩き」を作曲したダニエル・ドルフの経歴が少し気になって、調べてみた。公式ページはこちら。1956年ニューヨーク州に生まれ、18歳のときに作曲したサクソフォン四重奏曲「Fantasy, Scherzo and Nocturne」にてAspen音楽祭の20歳以下の部で最優秀作曲賞を受賞。コーネル大学とペンシルヴェニア大学で作曲を修めたが、そのときの先生にはカレル・フサやヘンリー・ブラントといった、サクソフォンとゆかりの深い作曲家も数名いた。また、なんとシガード・ラッシャーにサクソフォンを習ったことがあるとのこと(!)これには驚いた。

サクソフォンの作品リストは、次のとおり。
The Seven Chakras [tsax, pf]
Barnyard Bash [asax, pf]
Cool Street [asax, pf]
Fantasy, Scherzo and Nocturne [saxq]
Fast Walk [saxq]
It Takes Four to Tango [saxq]
Quartet [asax, vn, vc, pf]
Summer Strut [asax, pf]
The Beautiful Frog Pond Waltz [asax, pf]

現在は、有名な出版社のひとつであるTheodore Presser Companyの役員を務めているそうだ。サクソフォンの世界に明るいことは、上の経歴から想像するのはたやすいが、オーケストラ、吹奏楽、室内楽、ソロなど、数々のジャンルに幅広く作品を提供している。特に、オーケストラ作品については、あの著名なフィラデルフィア管弦楽団などともつながりが強い。

2010/10/05

Ensemble Continuo on YouTube

Facebook上でジェローム・ララン氏に教えてもらったのだが、フランスのサクソフォンラージアンサンブル、アンサンブル・コンティニュオ Ensemble Continuoの動画がYouTube上にアップロードされている。アンサンブル・コンティニュオは、オルネイ=ス=ボワ Aulnay sous Bois音楽院の教授を務めるララン氏と、その門下生により結成されたアンサンブル。今夏には来日を果たし、洗足学園音楽大学との交流演奏会などを行った。私も聴きに伺ったが、聴きごたえのあるアンサンブルで、とても楽しめた。

そのコンティニュオの動画が、YouTube上にアップロードされていた。しかも、洗足学園音楽大学との交流演奏会そのままの動画だ!現在のところアップロードされているのは、ドビュッシー「小組曲」と、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」、そしてアンコールに演奏された「Itamar freilach」というクレツマー音楽。

http://www.youtube.com/user/EnsembleContinuo

聴いていただければ、アンサンブルの演奏スタイルをすぐ捉えていただけることだろう。ドビュッシーなどを聴いてみると、確かにお洒落な感じがするのだが、"オシャレ"の一言では済ませることのできないようなものがあるんだよなあ。日本国内の10重奏などとは一線を画す、丁々発止のやりとり、はじけ飛ぶ火花、うねりと収束。まるでその場で即興で音楽が生み出されているような、そんな感覚に陥る。

アンコールに演奏された「Itamar freilach」の動画だけ貼っておく。


サクソフォンでクレツマー音楽…実は、今私がもっとも気になっている演奏するための音楽ジャンルの一つ。フランスの方ではどうやらたくさん取り上げられているようだが、日本国内ではまだまだ。Tsukuba SQあたりでも、「Trip to Skye」を演奏しているが、もっとたくさん取り上げていきたい。楽譜がないんですよねー。やはり自分でアレンジするしかないのだろうか。

行けなかったー

やむにやまれぬ事情(仕事じゃないです)により雲井雅人サックス四重奏団の演奏会、行けず…(>_<)残念。

2010/10/04

面白そうな演奏会…"S"

パリ国立高等音楽院を2007年シーズンに卒業された白井奈緒美さん。帰国後、主に西日本で精力的に活動されているが、白井さんが中心としている活動の一つにカールハインツ・シュトックハウゼン作品の精力的な紹介がある。私も2回ほどシュトックハウゼン作品の演奏を聴いたことがあるが、飛び上がるほど強烈な演奏で、特に数年前にフェスティバルで聴いた「誘拐 Abduction」は凄かったなあ。およそ20分に渡って、文字通り会場の中を飛び回りながら繰り出される超絶技巧…そのときの感想が、ここに残っている。

白井奈緒美さんが、近いうちにご出身?の香川県でリサイタルを開くそうだ。「S」と題して、シューマン、シュトックハウゼン、酒井健治の作品を取り上げるという、意欲的なプログラム。面白そう!

【白井奈緒美サクソフォーンリサイタル Vol.2 "S"~ロマン派から現代へ】
出演:白井奈緒美(sax)、蒲生祥(pf)
日時:2010年10月10日(日曜) 18:00開演
会場:アルファあなぶきホール 小ホール
料金:前売り→一般1800円、学生800円 当日→一般2000円、学生1000円
プログラム(音響・照明・映像あり):
R.シューマン - 3つのロマンス、幻想小曲集、ヴァイオリン・ソナタ第1番
K.シュトックハウゼン - 誘拐、友情に、エデンティア(日本初演)
酒井健治 - 新作(世界初演)
問い合わせ:
Sプロジェクト(090-4789-5210)

私が個人的に特に注目しているのは「エデンティア」の日本初演である。これは、ソプラノサクソフォンとエレクトロニクスのための作品で、シュトックハウゼンが作曲していた「Klang」シリーズ24時のうちの20時間目にあたるもので、シュトックハウゼンの最晩年のものにあたる。初演を行ったのはMarcus Weiss。なんと8チャンネルの音響効果から繰り出される作品だということで、CDも出ているそうだが、まだ聴く機会には恵まれていない。それをいち早く聴くことができるなんて、羨ましいなあ。

それから、酒井健治氏の作品も気になるところ。大石将紀氏のために書かれたシリーズと同じく、これはやはりサクソフォンとコンピュータのための作品なのだろうか…?また、シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ」をサクソフォンで吹く、というのは、初めて聞くかも。「3つのロマンス」や「幻想小曲集」は良く演奏されるけれど…。

2010/10/03

Dinant 2010参加者リスト

ブログ的にはすっかり話題に取り残されていたが、今年2010年は4年に一度のアドルフ・サックス国際コンクール(ベルギー、ディナン市)の開催年だ。ディナンのこのコンクールは、世界最大のサクソフォンのための国際コンクールだと言い切ってしまっても差し支えないだろう。

そのディナンのコンクール、前回もそうだったが、Dinant市のページではなくなぜかAdolphesax.comに公式情報がホスティングされる。どういった経緯があってのことなのだろうか。2006年の時は多くの情報が満載だったが、今回はこの時期になってもまだ情報は少ない。しかし、Adolphesax.comから参加者一覧が参照することができるようになっているを知った。こちら→Official Participants List of CIAS 2010

ううーん、有名人がたくさん。ざっと上から眺めていくと、ベルギーのSimon Diricq氏(2006年に吹いたロバ「ジャングル」は圧巻であった)、ミーハ・ロギーナ氏(たびたびの来日で実力のほどは言わずもがな)、フェデリコ・コカ・ガルシア氏(スペイン出身だがパリ国立高等音楽院のドゥラングル・クラスで学んだ)、アレクサンドル・スーヤ氏(2009年来日、おなじみ某Y女史の婚約者です)、ニキータ・ツィミン氏(2006年優勝のコレゾフ氏と並ぶロシアサックス界の若きスーパースター)、ダグラス・オコナー氏(第2回ロンデックス国際コンクール第2位の実力者)、等々。ものすごい顔ぶれだ。さらに、まだ実力未知数の大型プレイヤーがこのなかにたくさんいる、と考えると、ワクワクしてしまう。

2006年は、情報が多く出てきたということもあって詳細に追っていたが、今回については、情報の出方によってはまとめるほどの価値が見出せないかもしれない。せめて各参加者が選択したレパートリーのリスト程度は出してほしいものだ。ただ、もし価値ある情報が出た場合は(形式はどうであれ)順次ブログ上でもご紹介していきたい。

今回(毎度のことながら)日本人の参加者も多い。原博巳氏、貝沼拓実氏らに続く上位入賞者は、はたして現れるのだろうか?健闘を祈りつつ楽しみにしていたい。

2010/10/02

NLCC & Raschèr SQ

ベルギー在住のピアニスト、大宅裕さんから教えて頂いたのだが、オランダのVerkadefabriek Grote Zaalにて11/10に非常に注目すべき演奏会が開かれるそうだ。なんと、New London Chamber Choirと、Raschèr Saxophone Quartetの共演である。うーん、日本ではぜったい実現しなさそうな組み合わせだ(爆)。

詳細ページはこちら。November Musicという、国際音楽祭の一環としてのプログラムとのこと。

詳細ページの内容をざっと訳してみよう:
この音楽祭のオープニングは、嵐のように幕を開けることだろう。そう、単なるそよ風ではない。合唱とサクソフォンが、天に向かって歌い上げるのだ。合唱は、高名なNew London Chamber Choir、サクソフォン四重奏は、Raschèr Saxophone Quartetである。これまで、New London Chamber Choirは、Jonathan HarveyやLuca Francesconiといった作曲家たちと、また、Raschèr Saxophone Quartetは、Luciano Berio、Philip Glass、Sofia Gubalidulinaといった作曲家たちと、それぞれ共同作業を行ってきた。コンサートホールにおける合唱とサクソフォン四重奏の共演は、間違いなく希少な機会である。さらに、2つの世界初演作品と、聴くことがあまりないクラシック作品をプログラムに載せられることに、運営陣・演奏陣はとてもエキサイトしている。
2004/2005年にマウリシオ・カーゲル Mauricio Kagelが書いた大曲"Les inventions d'Adolphe Sax"では、"全ての音色"が引き出される(訳注:原文は、pulls out all the stops)。これは、カーゲル(2008年に死去)の遺作となった作品のひとつで、サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスの心情…苦悩や疑念を描いた、テアトル的な要素をも含む作品となっている。そして新作品は、イギリスのMichael Finnisyが、合唱とサクソフォン四重奏のために作った"Gedächtnis-Hymne"と、Peter Adriaanszが、エレクトロニクスをも使用して紡ぎだした美しくゆっくりとした作品である。このNinnissyとAdriaanszの作品は、November Musicにおいて世界初演される。

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さすがに聴きにはいけないが、おもしろそうだなあ。この演奏会自体にも興味があるが、マウリシオ・カーゲルの「Les inventions d'Adolphe Sax」が気になって仕方がない。どんな作品なのだろうか。Petersから、楽譜も出版されているそうだ。

Grab It!の楽譜について

「Grab It!」の楽譜の入手先について、たびたびメールを頂戴するので、ブログ上に記事として残しておこうと思う。

オランダの作曲家、JacobTV(ヤコブ=テル・フェルドハウス Jacob ter Veldhuis)が書いた、テナーサクソフォンとゲットブラスター(大音量ラジカセ)のための「Grab It!」だが、国内初演を行った井上麻子さんのライヴを皮切りに、近年演奏される機会がますます増えている。

楽譜については、かつてはJacobTV氏に直接メールするしかなかったが、今ではJacobTV氏のオンラインショップにて購入可能である。「Grab It!」の楽譜購入ページへの直接リンクは、こちら。楽譜には、スコア、パート譜、サウンドトラック(伴奏CD)が付属する。別に、"impro CD"という商品もあるが、これは再現部がextendedされたサウンドトラックのみのアイテムである。

「Grab It!」だけでなく、たとえば12/1には、大石将紀氏を中心としたメンバーが、VACANTにおいてJacobTV祭り…じゃなかった、JacobTV特集のコンサートを開催するそうだが、JacobTV作品に関する盛り上がりがあるのは、ファンの一人として嬉しいことだ。