2010/08/23

点字楽譜

2008年の6月~9月頃に、クリスチャン・ロバの「エチュード第1巻」を点字楽譜に翻訳する、という小さなプロジェクトに携わっていたことがある。この時期、"楽譜点訳の会「星」"の会員の方からご相談を受け、サクソフォン特有の記法や特殊奏法について何度もやりとりを行った。それ以来ご無沙汰してしまっていたのだが、久々に連絡を取り、楽譜が完成したとの話を伺ってとても嬉しい気持ちになった。今日は、点字楽譜について簡単にご紹介したい。

6つの点から成る"ブライユ点字"は有名だが、これを楽譜に応用しようと考えたのもブライユ自身であった、というから驚きだ。一定の規則に従いながら音階を6つの点に直し、楽譜を点字へと翻訳する。コンシューマPCの拡がりによって、MusicXMLを自動的に点訳するソフトウェアなども開発されているようだが、特に現代記法などが入ってくると、自動で…というわけにはいかず、翻訳者は試行錯誤しながら出来る限り楽譜を忠実に点訳することに注力する。また、様々な楽譜の点訳をこなしていくなかで記譜についての裾野の広がりなどもあり、楽譜の点訳もブライユの基礎的な記譜法から日々進化し続けているのだそうだ。

ロバの「エチュード」の点訳は、大変に難航したそうだが、ボランティアで担当されていたM様の創意工夫と努力によりおよそ2年間を経てほぼ完成したと伺った。もともとは、タイのマヒドン大学(第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールの会場となった大学)の学生からの依頼だったそうで、コンクールの世界では、このような現代曲の点訳の需要があるということなのだ。

M様が"楽譜点訳の会「星」"は、日本の点字楽譜会の草分け的存在として、30年にわたってボランティアで楽譜点訳の活動を続けている。もともとは、視覚障害を持つ方々が教科書などと同じように楽譜を点訳しようと始めた活動がキッカケであり、その後多くの賛同者を得ながら現在までいくつもの点字楽譜を世に送り出している。

出版譜のリストはこちらから見ることができるが、声楽、ヴァイオリン、ピアノの膨大な数に及ぶ楽譜のほか、サクソフォンの楽譜が掲載されていることに驚かされる。フェルリング、ブレーマン、サミーのエチュード、そしてなんと、ブートリーの「ディヴェルティメント」とガロワ=モンブラン「6つの音楽的エチュード」である。クラシック・サクソフォンの中に、点字楽譜という世界があるということを、多くのサックス吹きに知ってもらいたいものだ。

私も、サックス界にこの活動を知ってもらうために何かできることがないかな、と思い、来年のサクソフォーン協会誌用に、記事を準備できれば良いなと考えている。

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