2010/06/01

Louis Andriessenのサクソフォン作品

ルイ・アンドリーセン Louis Andriessenは、日本ではそれほど知名度は高くないが、オランダのもっとも重要な作曲家のひとりだ。キャリア初期には実験的な音楽を数多く発信していたが、最近ではミニマル・ミュージックやジャズの影響も取り入れた作品も多く手がけているようだ。

サクソフォンに関係した作品をいくつか作曲しているのだが、面白いのが、室内楽編成の中にサクソフォンを含めた作品が多いこと。たとえば、サックス3本、トランペット3本、トロンボーン1本とか、テナーサックス、マリンバ、ギター、ピアノとか…。アンドリーセンが、サクソフォンという楽器をどのように捉えているかが、垣間見えるような気がする。

サクソフォン関連の作品で、重要なものに「Facing Death」「Hout」「Hoketus」があるので、ひとつずつご紹介する。

「Facing Death」
弦楽四重奏曲をサクソフォン四重奏(SATB)にアレンジしたもの。"弦楽四重奏曲"とか"Facing Death"というキーワードからは、およそ想像不可能な曲。なんと、ディジー・ガレスピーやらチャーリー・パーカーあたりの、ほとんどモードジャズのフレーズを振りまく作品なのだ(しかも、18分間も!)…さすがに長いよ(苦笑)。オランダのAurelia SQ、そしてイギリスのDelta SQは、レパートリーに入れてCDのレコーディングもしている。かなり昔の話だが、Aurelia SQが来日公演を行った時に、トルヴェールQとの合同ステージで、お互いのレパートリーを一曲ずつ演奏しよう、ということで、なんとトルヴェールQがこの曲を吹いた、ということがあったらしい(けっこうはまるかも)。

「Hoketus」
1977年の作曲で、編成は2 Panpipes, 2 ASax, 2 Pf, 2 Elec Pf, 2 Elec Bs, 2 Congaというもの。13世紀のフランス音楽の一様式である、Hocket(ひとつの旋律を、短いスパンで声部間毎に受け持つ)とミニマル・ミュージックを融合させた音楽で、演奏家は2つのグループに分かれて、お互いに呼応するようにひとつの曲が作り上げられる。日本でも最近演奏記録があり、2009年にアンサンブル・ノマドが取り上げている。ちなみにこのときのサクソフォンは、大石将紀氏と江川良子氏。

「Hout」
テナーサックス、マリンバ、ギター、ピアノという編成。これはなかなか面白くて、ジャズ風の断片的なフレーズをテナーサックスが先行して演奏し、それに一拍、ニ拍と遅れて、他の楽器が追従してエコーを形作っていく、というもの。最終部では完全なユニゾンとなり、そして、なぜかウッドブロックの音が…(笑)。構成的にもユニークで、ライヴで聴いても面白そうだ。

2 件のコメント:

vismet さんのコメント...

ルイ・アンドリーセン Louis Andriessenの曲にサックスが含まれている曲が多いのは、彼が1972年に創設したアンサンブル Orkest de Volharding 

http://en.wikipedia.org/wiki/Orkest_de_Volharding

の編成がhree each of trumpets saxes and trombones, plus Andriessen on the pianoであることからの影響が大きいと言えます。

kuri さんのコメント...

貴重な情報ありがとうございます。さすが、vismetさんです!

作曲家がサクソフォンを自作に入れるきっかけって、知られていたり知られていなかったりなので、こういった情報はとてもありがたいです。