2010/05/02

フランソワ・ダニール氏の録音

先日亡くなったフランソワ・ダニール François Daneels「Kaleidosax」というディスクがあるのは知られているが(しかも持っていないや…)、LPの録音があるという話は聴いたことがなかった。国内ではミュール、デファイエ、ロンデックスといった、フランス派の演奏が知られているが、その他の国のクラシック・サクソフォン音楽に目を向けてみると、研究が進んでいるとは言い難い状況であり、録音を収集している方も少ないように思える。

このCD-Rは、以前から何度かLPのトランスファーをしていただいている島根県のFさんから頂戴した。ダニールの独奏と、ダニールがソプラノサクソフォン奏者として参加しているベルギー四重奏団 Quatuor belge de Saxophonesの録音である。いずれもモノラルで、おそらくダニール氏全盛期の姿が刻印されたディスクの一つなのではないだろうか。貴重なLPをお送りいただいたF様に、改めて感謝申し上げたい。

* Gaston Brenta - Saxiana
François Daneels, solo
L'Orchestre de chambre de la R.T.B.
D'Egard Doneux, cond

* Victor Legley - Cinq miniatures
* Raymond Moulaert - Andante, Fugue et Final
* Gerard Bertouille - Prelude et Fugue
Quatuor Belge de saxophones

詳細な録音時期がジャケットの情報からは読み取れなかったのだが、モノラルということで、おそらく1960年代だろうか。さすがに、マルセル・ミュールの数ある名録音などと比べてしまえば音程感やフレージングの持続力に差を感じてしまうが、それにしても技術的な安定度は、当時としては世界でも指折りであったのではないだろうか。柔らかく暖かい音色は、まさに往年の音そのもの。楽器はビュッフェ・クランポンなのだそうだ。

ちょっと面白かったのは、レイモンド・ムラエールトの「アンダンテ、フーガ、フィナーレ」が収録されていること。ご存じの方も多いと思うが、サンジュレ、サヴァリ、フロリオらの作品とともに、サクソフォン四重奏の黎明期に書かれたものの一つ。個人的にはかなりの傑作と考えており、実は楽譜も持っているくらい。ベルギー四重奏団が、まさかこの作品を録音に取り上げているとは、嬉しいな。冒頭のミステリアスな雰囲気は、現代の楽器ではなかなか再現しづらいものなのかもしれない。この録音ですら、作曲当時とは時期がかけ離れているが、それでもオリジナルの響きに迫るような気負いを感じる。

2 件のコメント:

kimmy さんのコメント...

ムラエールトが入っているのは、いいですね!いつか演奏したい楽曲リストのひとつですが、いま組んでいるカルテットはAATBなので、サキソフォックスのレパートリーばかりになっています。。。

大宅さんに教えてもらったブリュッセルのショットに、CEBEDEMからの出版譜が売られていたわけですが、珍しい出版社だったのはブリュッセル生まれの作家だからでしょうか。http://www.cebedem.be/en/composers/m/110-moulaert-raymond
ほかにも、アルトサックスとオーケストラのための小品があるようですね。

kuri さんのコメント...

> kimmyさん

そういえば、ムラエールトの楽譜に関しては、kimmyさんにお世話になったのでした。ベルギーの作品は、たとえばアブシルの四重奏曲などもCeBeDeMから出版されていました。味わいがありますが、どうも見づらくて…(^^;苦笑

ムラエールトがほかにもサクソフォンの作品を書いていたのは、驚きです。作曲時期がかけ離れているので、作風はぐっと変化していそうですね。