2010/04/30

MAX!MAL BL!NDMAN

ピアニストの大宅裕さんに教えていただいたCD。演奏者のBL!NDMAN Saxophone Quartetは、ベルギーの四重奏団体である。いくつかのCDはオンライン上で全ての録音が公開されており、誰でも無料で聴くことができる(→公式ページはこちら)。

この団体について語るときは、彼らが目指す方向性について簡単に解説しておかなければならない。「ブラインドマン」という言葉は、1917年に刊行されたマルセル・デュシャン監修の雑誌の名。「盲目の男」とは、「芸術展に訪れた 訪問者を引き連れる 盲目の男」というダダイストの観念を表しているそうだが、これってダダイズムの基本思想である「既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想(Wikipediaより)」の同義語なのだろうか。

公式サイトの言葉をそのまま引用すると、「同団体の創設者であるEric Sleichim氏は、マルセル・デュシャンやヨーゼフ・ボイスといった芸術家の思想を音楽に適用しようと考えている。サクソフォン四重奏という形態から出発し、慣例にとらわれない演奏表現の追求、"芸術"と呼ばれるすべての分野からのレパートリーの拡張、等に務めている」ということなのだそうだ。世の中の95%のサクソフォン四重奏と呼ばれる団体が、フレンチ・アカデミズムをベースに演奏活動やレパートリー構築に励むなか、一線飛び越えて"音楽"の本質に迫ろうとする姿勢は、大いに評価すべきではないだろうか。相当ぶっ飛んだことをやっていると思うのだが、それに共感するメンバーが4人も!同門だから、とか、上手いから、だけでは務まらないだろう(^^;

「MAX!MAL BL!NDMAN(Universal Music 986835-6)」は、ベルギー・ミニマリズムのパフォーマンスをフランクフルトでライヴ収録したディスク。全曲が聴けるサイトへのリンクは、ここ

Thierry de Mey/Peter Vermeersch - Contre Six [2pf, vc, saxq, loop]
Walter Hus - Five to Five [2pf, vc, saxq, loop]
Eric Sleichim - Third movement for Beuys [tsax]
Peter Vermeersch - Scrum [tsax]
Thierry de Mey - Balatum [8percs]
Thierry de Mey/Peter Vermeersch - Habanera [2pf, vc, saxq]

編成がずいぶんと特殊だが、いろいろな響きがして面白いぞ。ベルギーのミニマル・ミュージックというのも初めて聴いたが、オランダのミニマルを深青色に染めたような響き(適当なこと言ってる)。「Contre Six」「Habanera」の2曲が楽しいですね。こういう音楽の需要がある、というのも凄いことだな。

2010/04/29

バッハのことなど

最近のことだが、寝付く前にはかならずバッハの何かしらを聴いてから寝るようにしている。聴けば聴くほどに、和声の動きやそれぞれの声部の独立性に耳が引き込まれる。いまさらながら実に味わい深く、どれもが魅力的である。

大バッハ、ことヨハン=セバスチャン・バッハの家系には他にもたくさんの作曲家がいて、例えばC.P.E.バッハなどかなり響きが似た作品を書いているのだけれど、言葉で説明するのは難しい「深遠さ」という点では、大バッハの作品は他と一線を画している。作品から立ち上がる響きは、時に宇宙などと喩えられることもあるくらいだが、バッハほどに、響きに身を委ねられる作曲家はいない。私は、バッハとは何かと訊かれたら、「シンプル&古典的な端正さと天才的な閃きの同居」と答えるが、聴き手それぞれに、それぞれの独立した印象を植えつけてしまうのも、やはりバッハならではの作用なのだろうか。

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ざっと見渡したときに、サクソフォン・カルテット向けに編曲されたバッハの作品って、何があるかな。「フーガの技法」「パルティータ第4番」「パルティータ第6番」「シャコンヌ」「イタリア協奏曲」くらいだろうか。ソロでやるのも面白そうだけれど、やっぱりバッハの面白さは多声にあるのかなあとも思う。

一曲、なにかしっかりと四重奏でバッハを取り上げてみたい今日この頃。もしやるなら、ぜひマイナーキーの作品を吹いてみたい。そういえば伊藤康英先生が編曲した「シャコンヌ」が、イトーミュージックから楽譜を買ったきり手付かずだ(音を出しては挫折しを、4回くらい繰り返しているような)。

水曜日の夕方

サックスメーカー系飲み、じゃなかった、メーカー系サックス飲みだったのかな?(笑)mckenさん、けこっつさん、masaxさんと、大田区下丸子の沖縄料理屋さん「とんとんみー」で飲み。Twitterのつぶやきから飲み会がセッティングされてしまうなんて、楽しいですね。masaxさんのウェブサイト「SAXOFAN」は、私が高校生だった頃からよく存じているのだが、この日が初めてお会いできて感激!(mckenさんとは、古くからのお知り合いらしい)

さすがサックスの話が出る出る…ドビュッシーの話題が面白かったなあ。飲み会から帰ってから思わずデファイエとロンデックスとミュールの、それぞれのドビュッシーの「ラプソディ」の録音を聴いてしまった!デファイエの吹き方は、サックスの枠を踏み越えているように聴こえますね。さすがだ。

あ、あと、まめこさんとこつぶさんと遊びました(爆)まさか飲み屋で折り紙折ってみたり、足ジャンケンしたりするなんて(^∨^)楽しかったなあ(なんか童心に還った気分)。

2010/04/27

Northshore Saxophone Trio plays たかの舞俐 on YouTube

先日聴きに伺った、ノースショア・サクソフォン・トリオのコンサートの一部模様が、YouTubeにアップロードされていた(アップロードしたのは、誰なのだろうか。たかのさんの関係者かな?)。

たかの舞俐さんの「リガリアン」を2曲楽しむことができる。「リガリアン」は、LigetiとAlienを融合させた言葉で、「I」については、作曲家の言葉によれば「リゲティにエイリアンの遺伝子を融合させ、発展させていったらどうなるだろう?」というコンセプトに基づいて作曲されているそうな。「IV」は、同じタイトルを持つものの、そのコンセプトからは外れ、浮かんできた曲想を躊躇なく受け入れて書いていった、とのこと。

前半こそシリアスな場面が未受けられるが、「リガリアンI」後半はブギウギ風、「リガリアンIV」後半はジャズ風で、比較的受け入れやすい響きだと思う。第4楽章最後の重音は、何か長い前置きがあるんだよなあ(笑)。まあ、それに関しては心にとどめておこうっと。

たかの舞俐 - リガリアンI


たかの舞俐 - リガリアンIV

2010/04/26

アルルの女(クリュイタンス指揮パリ音楽院管)

これも、さとうさんに送っていただいた録音。

アンドレ・クリュイタンス×パリ音楽院管弦楽団という組み合わせは、フランス音楽をやらせたらもう言わずもがなの史上最強コンビ(だと思う)。木下直人さんに最高の状態で復刻していただいたラヴェル作品集は頻繁に聴くし、フォーレのレクイエムの録音も素晴らしいし、、、えっと、あと何か手持ちの録音はあっただろうか。

ビゼーの「アルルの女」第一組曲&第二組曲の録音もまた、このコンビの名を知らしめた名録音。瞬間瞬間の響きが美しく、夢のようなピアニシモから、豊潤なフォルテまで、いかなる時にも常に輝きと高貴さを失わないのだ。楽器の響きとしては、弦の何気ない響きと、あと個人的にはホルン、というか「コル」が好きですね。ヴィブラートがかかるんですよ。去年、諸事情によりなぜかテナーサクソフォンでこのパートを吹いたのだが、そのとき参考にしたのもこの録音だった。

ソシエテって、聴けば聴くほどに"ラテン系"オーケストラなイメージがあるのだが、皆様はどうお思いだろうか。音色の明るさといい、リズムの弾けっぷりといい…ヴィラ=ロボスとかやらせたら凄いんじゃないかなあ、とか(笑)不謹慎ながら夢想してしまう。

サクソフォンは、たしかギャルド・レピュブリケーヌのミシェル・ヌオー Michel Nouaux氏だったと思う。さすがにダニエル・デファイエと比べてしまうと劣勢なのだが、素朴ななかにも煌きと意志を湛えた、「この時代の音」を出している。第二組曲「メヌエット」でのオブリガートなど、ゾクッとしてしまう。

2010/04/25

チェンバー・シンフォニーの楽譜

やる予定はないけれど、アンドリュー・スティラー Andrew Stillerの「チェンバー・シンフォニー」の楽譜を買ってみた。たぶん国内の多くのサックス吹きにとっては、「チェンバー・シンフォニー」といえば雲井雅人サックス四重奏団、と連想されると思うが、私にとってはアムハースト四重奏団 AmherstSQのCDで知ったときの衝撃が大きい。当時から刺激的な作品だとは思いつつ、楽譜がどうなっているかなど考えたこともなかったのだが、さすがに国内でこれだけ流行り出すと気になってくるもの。以来ずっと購入するタイミングを逃していたのだが、先日某氏とこの「チェンバー・シンフォニー」の話しになり、良い機会だと思って購入手続きを進めた。楽譜が到着したのは、つい昨日のことだ。

ざっと眺め、一瞬だけ音出しもしてみたが。音から聴こえるとおりに微分音の使用があったり、メヌエットにハイノートがあったり、第4楽章のバリトンはやっぱり30秒のlightly spicedな完全即興だったりと、「ふむふむ」言いながらスコアを読み進め…あ、「Vancouver, Vancouver, This is it!!」はやっぱりテナー奏者が叫ぶのか(^_^;ここは個性が出そう(アムハーストの録音では、録音プロデューサーが叫んでいたっけ)。楽譜には、Call out with Great Excitementの指示が(笑)

どの楽章も、符ヅラはかなり普通なのだが、これがああいったぶっ飛んだ響きになるというのが面白い。第4楽章は、フレデリック・ジェフスキーの「パニュルジュの羊」を地でゆく作曲法、だが冒頭の拍は単純な4/4で、頭が混乱する。各所セクションに繰り返しがあるあたりは、さすが「ハイドンの交響曲をモデルにしている」と言うだけあるな…たしかに、アレグロ~アンダンテ~メヌエット~フィナーレ(プレスト)という形式だけみれば古典派そのものだ。

・件の部分のスコア

2010/04/24

サキソフォックスの楽譜セール

サクソフォン交流会でダッパーサクセーバーズさんの演奏を聴いて以来、サキソフォックスにハマっている。CD「サキソフォックスのお気に入り」を聴いたり、ウェブ上で試聴(MIDI音源だけど)したりすると、なかなか面白い編曲が多いようで、いくつか楽譜を購入しようかなーと考えていた。音楽の絵本 WebShopから、編曲譜を購入することができるのだが、ほとんどの楽譜が2000円と、なかなかリーズナブル。

CDと楽譜が、容易にリンクするのは嬉しいな。有名な曲ならまだしも、CDを聴いて「あって、これいいかも!」と思っても、だいたい楽譜って手に入らないからな。

…などと思っていたら、なんと!本日4/24はズーラシアンブラスのお誕生日ということで、ズーラシアンブラス関連(もちろんサキソフォックス含む)の全楽譜・CDが半額セール中なのだとか!渡りに舟とはこのことで、早速朝から全曲試聴→がっつり購入。XX冊購入して、あっさりと予算オーバー(苦笑)。6~7月あたりに、Tsukuba Saxophone Quartetのメンバーで、つくば市の居酒屋で小さなライヴを行う予定であるため、そこで使えるだろうと考えている。

2010/04/23

John Whelan - Trip to Skyeについて

「Trip to Skye(トリップ・トゥ・スカイ)」は、アコーディオン奏者のジョン・ウィーラン John Whelanによって作曲された小品。ごくごく小規模なAメロ&Bメロからのみ成立している作品で、そのどちらのメロディもとても耳に残る。スカイとは、スペルでも解る通り「空」ではなく、「スカイ島」というスコットランドの島の名前なんだとか。へえ。


大きな地図で見る

メロディだけ辿ると、なんてことはないくらいのものなのだが、フランスの作曲家/アレンジャーであるブノワ・メニュ Benoît Menut氏によって、サクソフォン四重奏用に素敵なアレンジメントがなされている。同じくフランスのQuatuor de saxophones Carré Mêléという団体(あのジュリアン・プティがソプラノを担当)のために書かれ、同団体のCDにも収録されている。

(サクソフォン四重奏版の楽譜に興味がある方は、kuri_saxo@yahoo.co.jpまで)

バリトンのベースに、テナーとアルトが和音を重ねてゆくフワリとした序奏に始まり、アルト(ソプラノ持ち替え)が最初のメロディを吹く。2本のアルトの間でメロディが幾度も交換され、だんだんとリズムが賑やかに…そして、ソプラノに持ち替えると、横に流れていたリズムが突如クサビのように変化する。中間部は、バリトンのオスティナートに導かれる展開部。各楽器にソロが割り当てられ、決まるとそのどれもがカッコいい。さらに進んで、後半は全く別のケルト風主題が現れ、最後の最後では序奏部分のエコーが聴かれ、accel.しながら終結する。

原曲と聴き比べてみたときは驚いた。サクソフォン四重奏用に編曲されたトラディショナル音楽の中でも、最も優れたアレンジの一つだと思う。

2010/04/22

フランソワ・ダニール、逝く

原博巳さんのブログで知った。ベルギーを代表する演奏家・教育者であり、母国を起点にサクソフォンの発展に尽力した。あのゴトコフスキー「ブリランス」は、彼に献呈されている。

ああ、なんということか。また一つ、クラシック・サクソフォン界の巨星が失われてしまった。

2010/04/21

【演奏会ご案内】雲井雅人サクソフォーンリサイタル2010

すでに各所で話題となっているが、雲井雅人氏の大きなリサイタルが東京で開かれる。キャッチコピーの「ずっと聴きたかったあの音。この春、待望のリサイタル!」という言い回しは、まさにその通りと思った。実際、私も心待ちにしていたのだが、そういった聴衆の期待に応えるかのような素晴らしい内容だ。本気でおすすめする。

面白いのが、今回の演奏はすべて弦楽四重奏+ピアノという編成であること(「ブランデンブルク協奏曲第二番」には、さらにフルートとオーボエが加わる)。雲井氏の昔のライヴ録音を聴くとこの編成のものが多いが、それを再び取り上げるというわけではなく、新たに委嘱をしたものが多いようだ。相当な気合の入りようで、聴きに行こうとする向きにとっても、楽しみである。

【雲井雅人サクソフォーンリサイタル2010】
出演:雲井雅人(sax)、藤井亜紀(pf)、クァルテット・グラーツィア(qt cord)、菅原潤(fl)、庄司知史(ob)
日時:2010年5月20日 19:00開演
会場:津田ホール(JR千駄ヶ谷駅前)
入場料:全席自由4500円(学生4000円)
プログラム:
J.S.バッハ/大野理津 - イタリア協奏曲
A.K.グラズノフ/伊藤康英 - サクソフォン協奏曲
L.E.ラーション/成本理香 - サクソフォン協奏曲
J.S.バッハ - ブランデンブルク協奏曲
問い合わせ:レックス→http://www.concertrex.jp/

グラズノフやラーションなどは、ピアノとのデュオではどうしても色彩感がでないところを、弦楽四重奏を交えることによってガラリと印象が変わることだろう。バッハの「ブランデンブルク」は、マルセル・ミュールがサクソフォン奏者として参加した、1950年のプラド音楽祭と同じ編成である。当時のソリストは、ヴァイオリンがアレクサンドル・シュナイダー、オーボエがマルセル・タビュトー、フルートがジョン・ワマーというメンバーであった。復刻録音もリリースされている。

第一回サクソフォン交流会・全プログラム公開

♪ハタカル(東京)
F.J.ハイドン「弦楽四重奏曲第35 番」より第1, 2, 4楽章

♪Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
J.ウィラン / B.メニュ「トリップ・トゥ・スカイ」
D.マスランカ「レシテーション・ブック」より第5楽章

♪サクソフォンアンサンブル・なめら~か(神奈川)
P.ランティエ「アンダンテとスケルツェット」

♪アマリリス合奏団(東京)
E.モリコーネ / 後藤洋「ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー」
P.ハーヴェイ「ロバート・バーンズ組曲」より

♪Duo Green Green(東京)
P.アルマ「ディヴェルティメント第12番」

♪Espoir Saxophone Orchestra(東京)
C.A.ドビュッシー / 中村均一「ダンス」

ダッパーサクセーバーズ(香川)
つんく / 石川亮太「ズルい女」
村松崇継 / 浅利真「彼方の光」
M.ルグラン / 渡部哲哉「ミシェル・ルグランメドレー」

♪カキツバタサクソフォンアンサンブル(愛知)
P.イトゥラルデ「ギリシャ組曲」
P.ランティエ「アンダンテとスケルツェット」

♪ラファンドゥモンド(東京)
J.M.ルクレール「ソナタハ長調」

IBC Saxophone Ensemble(福島)
J.S.バッハ / 栃尾克樹「イタリア協奏曲」

♪THAT’S SAXOPHONE PHILHARMONY(東京)
O.レスピーギ「リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲」より

♪Saxofono Rosso(東京)
R.ロジャーズ / 伊藤健司「”サウンド・オブ・ミュージック”より」

♪サクソフォン交流会事務局によるアンサンブル
高橋宏樹「小組曲”月森の詩”」1.前奏曲、2.歌、3.舞曲

♪参加者全員によるラージアンサンブル
G.ホルスト「第一組曲」 1.シャコンヌ、2.間奏曲、3.マーチ
J.シュトラウスI世 / 上埜孝「ラデツキー行進曲」
指揮:西尾貴浩

聴き合うこと…

今回のサクソフォン交流会、出演された皆様ひとりひとりが他の団体の演奏を聴いて、感想を紙に書く、という試みを行った。Thunderさんもブログに書いているが、アマチュア同士が集まって演奏するイベントでは、自分の出演順以外はなかなか聴くことがない。それぞれの団体を聴き合って、感想を紙に落とし込むことで、「なんとなく」聴くという状況がなくなって、良かったのではないかなー。

書かなければいけない感想用紙の多さには面食らったが(笑)最終的には、このシステムはなかなか好評だったようだ。

2010/04/19

サクソフォン交流会を終えて

(←昨日とは違う集合写真)…まずは改めて、ご来場くださったお客様と、ご出演いただいた各参加団体の皆様に御礼申し上げます。

びっくりしたのが「さすがに5時間も演奏を聴き続けるのは大変なんじゃないか」と思っていたのが嘘のように、面白い会だったこと。各団体の個性が浮き出てきて、あっという間の5時間だった。今回の試みとして、出演者全員が、各団体の演奏を聴いて感想用紙を書く、というものがあったが、ひとつひとつの団体の演奏について、本当にいろいろ聴いて思うことが多くて、書き切れないくらいだった(実際は、写真撮影などで手一杯だったため、走り書きみたいになってしまったのだけど…)。

ラージアンサンブルは感動的だったな。ホルストの「第一組曲」とシュトラウスI世の「ラデツキー行進曲」。ほとんどの出演者はこの日が初見だったはずだが、本番は実にダイナミックで感動的な演奏となった!選曲は正解だったかも。

自分たちTsukuba Saxophone Quartetの演奏に関しては、「トリップ・トゥ・スカイ」が良く判らないまま終わり、「レシテーション・ブック」は会場が暑すぎて、爆走。あ!でも中間部のゆっくりした所の演奏は、未だかつてない集中力で演奏できた!3/10のマスタークラス効果だろうか?ちなみに「レシテーション・ブック」の16分音符が続く変奏で、テナーサックスで2拍分をごっそり落とすという大失態をやらかした。メンバーの皆様ごめんなさい。演奏が止まらなくて良かった…。うーむ、反省点は多いが、どちらの曲も、ぼちぼち好評だったようで幸い。「トリップ・トゥ・スカイ」のあの(ちゃんと吹ければ)超かっこいいブノワ・メニュさんのアレンジは、この日が日本初演だった。ううう、あの演奏をメニュさんに送るのか…?録音を聴くのが怖い。とりあえず、メニュさんにお礼のメールを打たなければ。

飲み会も楽しかったなあ。飲んだお酒の量はいつもに比べたらすごく少なかったけれど(ここ重要)、楽しい雰囲気に巻き込まれて、幸せな時間でした。いろいろな方と話せて、良かった!お土産交換も、盛り上がった!二次会で伺った新橋のたこ焼きバーは閉まっていて残念だったので、今度個人的に伺おうかと。

運営に関しては、個人的にいろいろと反省しきりな部分ばかりで、特にご出演された方々にはかなりご迷惑をかけてしまったのではないかと。なんだか、サクソフォーンフェスティバルの運営陣の苦悩を、身を持って体感した感じでした(苦笑)。この点に関しては、ご出演された方々にいろいろと助けられて、なんとかなったという感じ。次回やるとしたら、当日の動きにはかなり見直しをかけないとなあ。

と、取止めも無くなってしまったが、良いところは良しとし、ダメな所は次に繋げるというところで。

交流会以外にも、いろいろと野望が浮かんできた。実現可能性は考えず、まずは本気で動こうかと。

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西尾先生とTsukuba Saxophone Quartet。

2010/04/18

残務が…

サクソフォン交流会の感想を書きたいのだが、残務他がちょっと忙しく、しばらく後になりそう。昨日家族(母)が聴きに来てくれたため、今日は一日家族サービス(笑)でした。鎌倉の大仏、初めて見た…。

とりあえず、ウェブページを簡単にアップデートした。ほんの少しだが、写真を掲載している。各団体の集合写真等や打ち上げの写真掲載は、許可を取らなければ掲載できないと思う。

集合写真は、こんな感じ!

2010/04/16

サクソフォン交流会、明日です。

【第1回サクソフォン交流会】
日時:2010年4月17日 13:00開場 13:30開演
会場:中目黒GTプラザホール(東急東横線中目黒駅徒歩3分)
料金:入場無料

プログラム:
参加団体によるアンサンブルステージ
参加団体による合同ラージステージ(客演指揮:西尾貴浩)
グスターヴ・ホルスト「第1組曲」
ヨハン・シュトラウスI世「ラデツキー行進曲」

参加団体(50音順):
IBCサクソフォンアンサンブル(福島)
アマリリス合奏団(東京)
Espoir Saxophone Orchestra(東京)
カキツバタサクソフォンアンサンブル(名古屋)
Saxofono Rosso(東京)
サクソフォン・アンサンブルなめら~か(神奈川)
That's Saxophone Philharmony(東京)
ダッパー・サクセーバーズ(香川)
Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
Duo Green Green(東京)
ラファンドゥモンド(東京)


詳細:
http://enjoysax.web.fc2.com/

2010/04/15

小型スピーカー

練習チェック用に、録音機(モノラルマイク付きのMP3小型メディアプレイヤー)はあるのだが、複数人での練習などで音を共有するのが難しく、持ち運びできるようなスピーカーを探していた。「乾電池駆動または充電池駆動であること」を条件に、いくつか探していたのだが、迷った挙句PROTEKの「サウンドボーイ」という小型スピーカーを購入した。amazonで980円(→こちら)。リチウム電池内蔵、充電式のスピーカーである。

外観からしてオモチャで、音量も音質もあまり期待していなかったのだが、いざ届いて使ってみると驚いた!とにかく、音量がデカイのですよ。部屋で鳴らしていると、キッチンまで余裕で聴こえてくるくらい。カルテットの練習時に4人程度で聴くくらいならば、まったく不都合は感じない。音が割れないというのもすごいな(録音機に繋いだときに音が割れたが、スピーカーではなくマイクの音割れだったみたい…)。スピーカーをひねると蛇腹が出てきて、中音域が豊かになる。最初この特徴を見たときには「なんだこの変な機能は」と思っていたのだが、いざ音の変化を目の当たりにすると、そんなことも言えなくなってしまった。

バッテリーはどうなんだろう。連続再生2時間ということだが、不足と感じたことはないなあ。むしろ、この安さと小ささだったら、2つ持っても良いのではないか(笑)。ということで、練習に使える小型スピーカーを探している向きには、けっこうオススメ。良い買い物をしたなあ。

2010/04/14

うーむ

うーむ、これを観ると、ジャズもクラシックも関係ないと思えてしまう。全ての曲において、音程も音色もフレージングも完璧(ボノーのカプリスとか吹いちゃってる…)!これが、坂田明氏が言うところの「北極星」なのだろう。

2010/04/13

平野公崇「七つの絵」

平野公崇氏が作曲し、山田武彦氏の手によってオーケストレーションされ、最終的にサクソフォンとピアノのためのダブル・コンチェルトとして実を結んだ作品。数年前の「深夜の音楽会」で流れていたライヴ映像を観て買ったCDなのだが、当時はまさかシングルカット(?)までされるとは思ってもいなかった。まあ、そのおかげで今でもこうして聴くことができるわけだ。

平野公崇「七つの絵~有元利夫に捧ぐ~(CHAK-00001)」
想い出を運ぶ人、東風、花降る日、春、飛ぶ人、7つの音、終曲
藤岡幸夫指揮 読売日本交響楽団
平野公崇(サクソフォン)
山田武彦(ピアノ)
大久保光哉(バリトン)

有元利夫という画家の絵にインスピレーションを受けた作品なのだそうだ。有元氏の名前を聞いたことはなかったのだが、どこかで見たことがある絵だと思った。小学校の時に授業で使っていた国語の教科書の表紙が、もしかしたら有元氏の絵だったかも…?ライナーノートには各楽章のなった絵がフルカラーで掲載されている。個人的には、「東風」という絵が好きですね。2人がステップを踏んでいる、とある瞬間が切り取られたような絵なのだが、面白いほどに"動き"を感じる。

7つの各楽章について、絵を眺めながら聴いていくと、有元氏と、平野氏と、自分の頭の中がリンクするような感覚に陥る。「想い出を運ぶ人」冒頭の壮大な響きは、絵の奥へと広がる山々、そして空にな流れゆく雲そのままですね。その壮大なイメージを、やはり絵の中の人物と同じように、絵(メディア)という形にしてCDに閉じ込めてしまったと…いろいろと想像を巡らせていけばキリがない。

平野氏のサクソフォンは、楽譜に沿って様々な音の形を創り出すほか、即興演奏も存分に披露している。第1楽章後半のカデンツァや、第2楽章のルンバ風(?)のリズムに乗って咆哮するソプラノ、第5楽章のテナーの地を這うような(楽章タイトルは「飛ぶ人」だが)サウンドなどは、これはライヴで聴いたらもっともっと凄かっただろうなあ。

2010/04/12

ドビュッシー「ラプソディ」(コンスタン指揮ORTF)

これも、さとうさんに送っていただいたCD-R。ロンデックスが独奏として参加した、ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団のEMI盤が、長らく愛聴盤となっていて、デファイエ氏が独奏として参加したErato盤を聴き始めたのは、比較的あとになってからである。

国内盤のLPを、ヤフオクで1000円くらいで落札したのだが、たしか「放蕩息子」等とカップリングされていたような。音はしっかりとデジタル化して持ってきているのだが、LPのモノ自体は実家に保管してあるため、詳しい情報を観ることができない。

この盤に関しては、すでにDonaxさんの素晴らしいレビューがこちらのページで見られるため、解説はそちらにおゆずりしたい(笑)。サクソフォンに関しては、間違いなく史上最高のものであると思うし、オケも快演!!(指揮は、作曲家としても高名なマリウス・コンスタンだ)かつてはCDでもリリースされたそうなのだが、現在は入手不可。まことに残念極まりない。

2010/04/11

展覧会の絵(ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管)

個人的なムソルグスキー「展覧会の絵(ラヴェル編)」の刷り込みは、アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏である。今にして思えば、まあこの古い録音をずっと聴いていたものだと思うが、良い影響だったのかもしれない。

"さとう"さんから送っていただいたCD-Rの中に、アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院管弦楽団の「展覧会の絵」の録音があった。「展覧会の絵」を全曲通して聴くのも久々となったが、これはなかなか痛快な演奏だ。冒頭の「プロムナード」、パリ音楽院管の特徴である、極めて明るい音のトランペットが、非常に強い推進力を保ちながら進んでいく。

この曲に抱いていたイメージは、美術館の中に掲げられた様々な絵に対して、カメラがゆっくりとパンしていくような(手塚治虫の「展覧会の絵」のような)情景だったのだが、この演奏は、なんというか美術館の中をのっしのっし歩いていくような、ちょっと面白い効果が想起させられた。バランスとかテンポ設定のせいだと思うのだが、なんだかそれが新鮮で、すごくビビビと来てしまった!その後の楽章も似たような感じで、どうやら全体的に管楽器のバランスを大きく取っているのかな、という印象。

「古城」のサクソフォンは誰だろうか。クリュイタンスが指揮を振る映像などには、デファイエが参加しているが、どうもデファイエではないような。音色の存在感も薄いし、フレージングも凡庸。

パリ音楽院管弦楽団特有の、随所に聴かれる見事な管楽器の音色、弦楽器のつややかさについては、ここで改めて言葉を並べる必要はあるまい。1961年録音ということだが、こんな音に満たされていた当時のフランス音楽界、羨ましいなあ。

2010/04/10

世界の創造(プレートル指揮パリ音楽院管)

ダリウス・ミヨー Darius Milhaud「世界の創造 La création du monde」と言えば、アルトサクソフォンがオーケストラの中に入っている例として最たるものの一つである。ダニエル・デファイエ氏が参加したバーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団の演奏が(サクソフォンを含めて)ほぼ決定盤と言って良いと思うのだが、同じくデファイエ氏が参加したという、ジョルジュ・プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団の演奏は、聴いたことがなかった。この度、木下直人さんを通じてお知り合いとなった"さとう"さんに、そのLPの復刻音源をおわけいただいた。

バーンスタイン盤が刷り込まれているため、少しプレートル指揮の演奏は不自然に聴こえてしまうのだが、こちらも大変に良い演奏だと思った。なにせ、天下のパリ音楽院管弦楽団だものなあ(ちなみにジョルジュ・プレートルは、アンドレ・クリュイタンスの指揮法の弟子だそうだ)。少し耳にしただけで判る、特徴的な管楽器の音色は、やはりこういう小さな編成のアンサンブルでこそ映えるものだ。デファイエ氏のサクソフォンについては、Thunderさんのウェブページでも触れられている。個人的には、のちのバーンスタインとの共演盤と大きな差はなく感じたが、アーティキュレーションの処理は、こちらのほうがはっきりしているようにも思えた。

他にも貴重な音源をいくつか頂いたので(そのいくつかは、木下直人さんから送っていただいたものと重なっている)少しずつご紹介したい。

2010/04/09

Eric Marienthalのためのコンチェルト

サックスのマリエンサルと、ネバダ州立大学ラスベガス校ウィンドオーケストラの共演盤をご紹介する。

エリック・マリエンサル Eric Marienthalと言えば、アメリカを代表するフュージョン分野のサクソフォン奏者の一人。一世を風靡したチック・コリア・エレクトリックバンドのサクソフォン奏者として、素晴らしい演奏を披露している姿が印象深い。かたや、ネバダ州立大学ラスベガス校ウィンドオーケストラ(UNLVWO)といえば、トーマス・レスリー指揮のもの、吹奏楽界にスパイスの効いたレパートリーを提供してくれるバンドの一つである。エリック・ウィッテカーの「ゴースト・トレイン三部作」などは、ウィッテカーとUNLVWOのコラボレーションにより生まれた作品である。

どういうキッカケから始まったかは知らないが、マリエンサル氏とUNLVWOの両者は頻繁に共演しているようで、フュージョン・サクソフォンと吹奏楽のための作品が、数多く生まれている。

「Concert for Marienthal(kcd-11178)」。マイケル・ケイメン Michael Kamenの「サクソフォン協奏曲」の、サックスと吹奏楽のバージョン…ということは、あのディヴィッド・サンボーンのために書かれた「コンチェルト・フォー・サクソフォン」と同一曲、なのかな!?きちんと調べがついていないが…。内容としては、至極まっとうな"クラシックの協奏曲"で、アドリブっぽい箇所は、第3楽章のカデンツァを除いて皆無。第2楽章は、なんだかヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第5番」のアリアみたいだ。うーん、正直、わざわざマリエンサル氏を呼んだ意味が解らない…。

「3 Steps Forward(kcd-11146)」。ネイサン・タノウエ Nathan Tanouye「3 Steps Forward」収録。吹奏楽と、ソロ・ソプラノサクソフォン、キーボード、バス、ドラムスのための作品。「Light Years from Here」「Quite Stride」「Fate of the Gait」の3つの楽章に分かれている。

最初聴いていると、わりと普通のクラシックな感じだなあと思うのだが、第1楽章中間部で"豹変"。突如としてジャズ・カルテットが音楽の流れをリードし、吹奏楽はビッグバンド風にノリノリで絡む。中間部から始まる長大なソロは、これぞマリエンサル氏の独壇場!バックの吹奏楽も、負けないくらいにカッコいい。第2楽章は、なんか普通のフュージョンのバラード聴いているみたいだ(笑)。ベースのソロまであるし…(ジョン・パティトゥッチの演奏で聴いてみたかった)。第3楽章は、ミステリアスな雰囲気から始まり、徐々にフィナーレへと突き進む感動巨篇。キーボード(チック・コリアの演奏で聴いてみたかった)、ベース、サックス、ドラムス(ディヴ・ウェックルの演…以下略)に長大なソロが。というわけで、最終楽章に限って言えばあまり吹奏楽っぽくないです(^^;

「4 Flew Over the Hornet's Nest(kcd-11163)」。これも、「3 Steps~」と同じネイサン・タノウエ氏の作品。ジャズ・カルテットと、吹奏楽のクァッド・コンチェルト、というコンセプトからはもう少し離れ、個々の雰囲気が目立つような作り方になっている。最終部の炸裂っぷりはスゴイな。

2010/04/08

サクソフォン交流会

再度掲載。もう一週間ちょっと先まで近づいてきた(汗)というわけで、ぜひお越し下さい。

【第1回サクソフォン交流会】
日時:2010年4月17日 13:00開場 13:30開演
会場:中目黒GTプラザホール(東急東横線中目黒駅徒歩3分)
料金:入場無料

プログラム:
参加団体によるアンサンブルステージ
参加団体による合同ラージステージ(客演指揮:西尾貴浩)
グスターヴ・ホルスト「第1組曲」
ヨハン・シュトラウスI世「ラデツキー行進曲」

参加団体(50音順):
IBCサクソフォンアンサンブル(福島)
アマリリス合奏団(東京)
Espoir Saxophone Orchestra(東京)
カキツバタサクソフォンアンサンブル(名古屋)
Saxofono Rosso(東京)
サクソフォン・アンサンブルなめら~か(神奈川)
That's Saxophone Philharmony(東京)
ダッパー・サクセーバーズ(香川)
Tsukuba Saxophone Quartet(茨城)
Duo Green Green(東京)
ラファンドゥモンド(東京)


詳細:
http://enjoysax.web.fc2.com/

2010/04/07

ラランさん率いるラージアンサンブル来日

ジェローム・ラランさん率いるサクソフォンのラージアンサンブル、"Continuo"が、この度来日するそうだ。ラランさんから情報をもらうまで、このアンサンブルは知らなかったのだが、まだ新しい団体なのだろうか。東京では、洗足学園大学のサクソフォンオーケストラとともに、「交流演奏会」という形で公演を行うそうだ。ラランさんにも久しく会っていないので、久々にお会いできるのが楽しみだ。

面白い試みだなあ、と思うのは、日本のサクソフォンオーケストラと、フランスのサクソフォンラージアンサンブルが同じステージに立つ、ということ。ありそうでないのではないかな?サウンド作りとか、アンサンブルの捉え方とか、如実な差がでるのではないかな、と。その差に注目して聴くのも面白そう。

【オルネイスボワ音楽院&洗足学園音楽大学 サクソフォーン交流演奏会】
出演:Saxophone Ensemble 、洗足学園音楽大学サクソフォーンオーケストラ
日時:2010年5月5日(水曜)14:00開演
会場:洗足学園音楽大学講堂(2400)
オルネイスボワ音楽院プログラム:
C.ドビュッシー - 小組曲
A.マルケアス - Engrenage
D.ミヨー - スカラムーシュ(ソリスト:大城正司)
洗足学園音楽大学プログラム:
S.ラフマニノフ - パガニーニの主題による狂詩曲

2010/04/06

Twitter雑感

Twitterで、意外なほどに多くの話題が醸成されていることに驚いている。システムからして、暇さえあればみんなチャットに参加しているようなものなので(ただし、発言に必ず返信しなければいけないとか、そういった空気は無い)、もっともと言えばもっともか。私が2008年に使い始めたころは、まだまだ利用者も少なくて、知り合いとのコミュニケーションや、独り言くらいにしか使っていなかったのだが、今やクラシカル・サクソフォンなどといったマイナーな分野でも、確実にソーシャル・ネットワークとして機能しているほどになった。

もともと集まるのが好きで外には出たがらないサックス吹きという種族なので(笑)誰かがポツリと呟いたこと(つぶやき、ではなくツイートと言うらしい)に対して、同業者からの反応率の高さは、凄まじいほどのものがある。しかも、時にはそれが1分以内にリプライされるのだから、ただただ驚くばかり。

オンライン上のコミュニケーションは、これから先どうなっていくのだろうか。パソコン通信のフォーラム→ウェブページ+メール+掲示板→ブログ+コメント→ミクシィ→Twitter→その次は?20年弱のうちに起こったこの変化は、一定の規則に従っている。すなわち、それぞれの情報発信源がだんだんと小さくなり(情報発信の敷居が低くなったから)、リアルタイム性が高くなる(携帯端末からのアクセスが容易になったから)、という二点。だが、この次の20年は、ちょっと想像できないな。

※過去~現在のことに目を向けると、私はウェブページの最盛期にオンラインコミュニティに参加し、ブログ黎明期に情報の発信を開始した。ウェブページ、ブログ、ミクシィ、Twitterのいずれも利用しているが、結局はそれぞれを上手く棲み分けることが重要なのだと思っている。

2010/04/05

Timothy McAllister - In Transit

というわけで、聴きました「In Transit(Innova 652)」。ティモシー・マカリスター Timothy McAllisterの名前は、国内ではあまり知られていないけれど、アメリカでは間違いなくトップクラスのサクソフォン奏者の一人だ。アリゾナ州立大学の教授であり、サクソフォンのコンテンポラリーの分野では、おそらくジョン・サンペン John Sampen氏と並ぶアメリカの二大巨頭ではないかな。

Timothy McAllister(sax), Kathryn Goodson(pf)
Roshanne Etezady - Streetlegal
William Albright - Sonata
Milton Babbitt - Accampanied Recitative
Gregory Wanamaker - Sonata deus sax machina
Mischa Zupko - In Transit

発売されてから、それなりに時間が経っているはずなのだが、これまで聴いていたなかったことを恥じた。オルブライトの「ソナタ」の決定盤は、疑いなくこれだと言えよう。ジョン・サンペン氏の盤もあるが、まさかあのディスク以上のテンションとテクニックで演奏されてしまった録音が存在するとは…。最初、部屋の掃除をしながら何気なく聴いていたのだが、オルブライトに突入した途端に金づちで頭を殴られたような気がして…。

そして、聞き慣れないミッシャ・ツプコという作曲家の「In Transit」は、コンテンポラリー風味のテクニカルな箇所と、爽やかな(ポップ)な箇所が錯綜する、なかなかの傑作であった。ちょっと長いんだけど。最後の楽章が、The Dreamと名付けられていて、夢のような美しい響きで幕引きとなるのも、センスがあるな。

少し聴きづらい作品が多いのだが、そんな作品であっても、軽々と聴かせていく(音色が軽くなるわけではない)のは、マカリスター氏の実力によるところが大きいだろう。ディスクとしての完成度は非常に高い。コンテンポラリーにアレルギーがなければ、強烈におすすめできる。

最後に、Innovaレーベルの、このディスクの紹介ページをリンクしておく。こちら。One Sheet Textという項目の、このディスクの評が痛快そのものだ(爆)。

2010/04/04

レパートリーとか

ちょっと四重奏で本番を増やしていこうかなと思っている。また、レパートリーとしても重厚長大路線だけでな
く、軽めのレパートリーを蓄えていきたい(もちろん練習の手は抜かないが)。幸いにして、そういう系統の楽
譜が、最近多いことだし。とりあえず、まず直近の目標は6月あたりかなー。6月までに、30分間くらいのレパートリーを揃えたいな。

そういえば、今日、四重奏練習を録音して思ったのだけど、やっぱりテナーで普通のメロディを吹くとボロが出
る(汗)。なんとまあ自らのフレージングの、センスのないことか(^_^;

2010/04/03

昨日の芸術劇場

昨日のNHK芸術劇場、グスターボ・ドゥダメルのロサンゼルス・フィル音楽監督就任記念演奏会だったのだが、その中で演奏されたジョン・アダムズ John Adams「シティ・ノワール City Noir」が凄かった。ドゥダメルは、こういうイケイケでプログレッシヴな(?)曲を振らせたら、向かうところ敵なしですな。ベルリンフィルのヴァルトビューネで演奏された、ヒナステラやマルケスの音楽を思い出した…。

このアダムスの作品は、委嘱初演だった。曲中でサックスが目立ちまくっていたことにお気づきだろうか。サクソフォン奏者は、画面を観ただけでは誰だか判らなかったのだが、調べてみたところ、ティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏がフィーチャーされていたようだ。彼の公式ページのプロフィール欄にも、しっかりと載っていた

サクソフォンには、中間部のソロと、最終部に出現するオブリガード風の、いずれも超難パッセージが割り当てられていた。リズム、発音、音色変化、どれをとっても本当にAmazingなサクソフォンソロで、マカリスター氏の本領発揮!といったところ。本人としても、これはきっと会心のソロだったのではないかな。

…そういえば、芸術劇場史上、サクソフォンの音数の最多数を更新したのではないだろうか(笑)。うーん、「In Transit」が聴きたくなったぞ。よし、聴こう。

2010/04/02

演奏会情報:田村真寛リサイタル

田村さんよりご案内いただいた演奏会情報を掲載する(ご案内ありがとうございました)。すでに各所でチラシが話題になっているので、知っている方も多いのでは。面白いプログラムだ。4/18かあ、、、ちょっと予定の調整次第というところはあるが、聴きに行けたら良いなあ。特に、メンデルスゾーンが気になるなあ…。

【田村真寛 サクソフォン・リサイタル 2nd】
出演:田村真寛(sax)、遠藤真理(vc)、野田清隆(pf)
日時:2010年4月18日(日)14:00開演
会場:トッパンホール
料金:一般4000円、学生2000円(当日各500円増)
プログラム:
・W.A.モーツァルト「フィガロの結婚」より序曲
・L.v.ベートーヴェン「魔笛」の“愛を感ずる男たちには”の主題による7つの変奏曲
・F.シューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」
・J.S.バッハ「管弦楽組曲第3番」より序曲
・F.メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番」
問い合わせ:
03-5840-2222(トッパンホールチケットセンター)

メールに書かれていた告知文は、以下。CDなどでは似たコンセプトのものを聴いたことがあるけれど、「リサイタル」という場で、アレンジ物に、ここまで無心で取り組むという例は、今まであまりなかったかもしれない!


 春の嵐とともに、若手実力派サクソフォーン奏者・田村真寛の渾身のリサイタルが近づいてまいりました。
やりたいものを一気につめこんだ1st リサイタルから1年3ヶ月…。今回はバロックからロマン派まで、オール・アレンジ作品によるおよそサクソフォーンのコンサートとは見当もつかないコンサート。クラシックサックスの歴史が変わる?!
 共演者には、1stリサイタルでも白熱のステージを繰り広げたピアノの野田清隆氏と再共演。
そしてもう一人は、国内外主要オーケストラとの共演も多数、もはやスーパーソリストであるチェロの遠藤真理氏。
 このプログラムで、この顔ぶれ!はったりのきかない真剣勝負!!
 ぜひ、みなさまのご来場を心よりお待ちしております。


ウワサのチラシ、追加しました!(2010/4/15)

2010/04/01

パブリックドメインのスコアいくつか

IMSLPにて扱われている、パブリックドメインのスコアのうち、サクソフォンに関連するものについていくつかピックアップした。

おなじみ、アレクサンドル・グラズノフの「サクソフォン協奏曲」。表紙にデカデカとOp.109と書いてあるとは、何事だ(苦笑)→こちら

クロード・ドビュッシーが作曲し、ポール・デュカがオーケストレーションを行った「サクソフォンとオーケストラのためのラプソディ」→こちら

ヴァンサン・ダンディの「コラール・ヴァリエ作品55」のオーケストラスコア。ソロ+ピアノの楽譜は見たことがあるけど、オーケストラ譜は初めて目にするなあ→こちら

こういったオーケストラスコア、なかなか入手しづらいものであるだろう。音楽を学ぼうとする向きにとっては、格好の材料なのではないだろうか。没後50年以降のものに限られるとは言え、非常に有用であると思う。