2010/12/31

Shadows and Dawning

アメリカの重要なサクソフォン奏者のひとりに、ジョン・サンペン John Sampen氏という奏者がいる。ノースウェスタン大学でフレデリック・ヘムケ氏に師事したほか、ラリー・ティール、ドナルド・シンタらにも師事したそうだ。クラシカルな作品のみならず現代作品にも力を発揮し、これまでの委嘱作品・献呈作品の数は60を超える。CDも10枚以上を数え「Electric Saxophone(Capstone)」を始めとしていずれも素晴らしい物ばかり。

Marilyn Shrude - Renewing the Myth
William Albright - Sonata
Marilyn Shrude - Shadows and Dawning
Burton Beerman - Concerto No.1
Marilyn Shrude - Evolution V

ここで紹介するのは2002年にリリースされた「Shadows and Dawning(Albany Records TROY526)」。入手しやすく内容も充実しているため、サンペン氏のCDの中ではかなりお薦めできるもののひとつ(Amazonでの購入リンクはこちら)。ピアノはMarilyn Shrude女史…サンペン氏の奥様で、作曲家でもある。ここにも2作品収録されているが、並大抵にはいかないほどの超高密度の曲で驚かされる。たとえば「Renewing the Myth」は、パガニーニのカプリス第24番のコラージュ作品:YouTubeでも聴けるが、サクソフォン奏者にもピアニストにも高度な技術を要する作品。

収録されているプログラムは、そのシュリュード「Renewing the Myth」「Shadows and Dawning」を含み、さらに直前の記事でも紹介したウィリアム・オルブライトの「ソナタ」、テープとサクソフォンの「コンチェルトNo.1」に、Sax 4th Avenueとの共演となる「Evolution V」ときている。面白い作品ばかりだ。

どれも輝かしく濃密な音。そして、高い技術と誰が聴いても納得の音楽性。現代作品をきっちりと聴かせ、作品そのものの本質を聴き手に提示する。これはサクソフォンの録音として理想的な形と言えるだろう。「Evolution V」での師弟共演では、お互いがお互いを尊敬し合いながら着実に歩みを進めているのがわかる。オルブライトの「ソナタ」は、マカリスター氏の録音と甲乙付けがたいほどのカッコ良さだ。

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本年最後の記事となりました。2010年の隠れたブログ目標「ひと月ごと、その月の日数と同じ数の記事を書く」が達成できてホッとしています。皆様方におかれましては、どうか良い年をお迎えください。

オルブライトのサクソフォン・ソナタ

ウィリアム・オルブライト William Albrightと言えば、もしかしたら一部の方は言語学者の名前を連想するかもしれないが、サクソフォン吹きにとっては、やはりアメリカの作曲家、オルブライトである。アルト・サクソフォンのための「ソナタ」を初めとして数々のサクソフォン作品を手がけたが、1998年に53歳という若さで亡くなっている。ジュリアード音楽院、ミシガン州立大学、パリ音楽院(ここではオリヴィエ・メシアンに師事)で学んだのち、帰国後はミシガン州立大学の教授として活躍した。

やはりアメリカの著名な作曲家であるウィリアム・ボルコムと親交が深く、彼のことを"wonderfully gifted, creative and inventive composer, and a marvelous teacher who cared about teaching and put his whole heart into it.(才能豊かで、創造力に富み、独創的な作曲家。そして心のすべてを後進の育成に注ぎ込んだすばらしい教育家)"と評している。

サクソフォンのための創作リストを眺めるだけで、「Fantasy Etudes(サクソフォン四重奏)」「Heater: Saga(サクソフォン+吹奏楽)」「Pit Band(アルトサクソフォン+バスクラリネット+ピアノ)」「Doo-Dah(サクソフォン三重奏)」と種々編成に渡っているが、やはり「Sonata for Alto Saxophone and Piano(サクソフォン+ピアノ)」だろう。

今年のティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏来日の折に、この曲について初めて知った!という向きも多いはず。マカリスター氏は、この「ソナタ」をプログラムの最後に配置し、とんでもないインパクトを日本のサックス界に与えて帰っていった。あの場にいた誰もが圧倒されたことだろう。現代的かつ、叙情的でいて暴力的、そして超高難度のスペシャル・ピースである。もともとは、Donald Sinta、Laura Hunter、Joseph Wytkoという3人のサックス吹き(というか、サックス+ピアノのデュオ)のコンソーシアムのために書かれたそうだ。今では、アメリカのサックス吹きが取り組むべき4大ABCDレパートリーのひとつとして数え上げられている(Albright, Berio, Creston, Denisov)。

4つの楽章からなり、全部演奏するとおよそ20分の長さとなる。いやはや、大曲だ。
Two-Part Invention
La follia nuova: A Lament for George Cacioppo
Scherzo, "Will o'the wisp
Recitative - Mad Dance

第1楽章は、バッハとミニマル・ミュージックの影響を受けたインヴェンション。だが、全楽章中もっともシリアスな響きがする。第2楽章は、三拍子のシャコンヌ。友人の作曲家であったGeorge Cacioppoへの哀悼の意が込められており、サクソフォン作品の中でももっとも美しく悲しい作品のひとつだ。第3楽章は、あっけないほどに一瞬で終わるスケルツォ。第4楽章は、レチタティーヴォと呼ばれるサクソフォンの無伴奏カデンツを経て突入する凶暴なダンス。Folliaの"Madness"とは全く別世界の、表面的な"Madness"が強奏によって提示される。

CDも数多くリリースされているが、せっかくタイムリーなので、第5回アドルフ・サックス国際コンクールで一位を獲ったSimon Diricq氏が演奏する同曲の動画を貼り付けておこう。終楽章はやや守りに入っている感じもするが、それでも全編に渡って見事な演奏だ!特に第2楽章など筆舌に尽くしがたい。

2010/12/30

They Might Be Gods on YouTube

サクソフォン奏者であり、作曲家でもあるJohn Leszczynski氏が2009年に作曲した四重奏曲「They Might Be Gods」の、Xenix Saxophone Quartetによる演奏がYouTubeにアップロードされていた。最近までこの曲を知らなかったのだが、Facebookで「Perry GoldsteinのBlow!や、Russell PeckのDrastic Measuresのようなカッコイイ曲って何があるかな?」と書いたところ、この曲について教えてもらえたのだ。作品の解説は、作曲者の公式ページより参照することができる(こちら)。



聴いてみると、現代的でハードな響きをより強く感じるが、最終部の煽りなど鮮烈であり、四重奏のために書かれた佳曲のひとつとして捉えられるだろう。自分たちでできるとはあまり思えないが、日本でも取り上げる団体が出てきておかしくないはず。どなたか演奏しませんかね。

Xenix Saxophone Quartetという団体名は初めて聞いたが、おそらくアメリカの若手カルテットのひとつ。アメリカは、最近四重奏団の台頭が激しく、この他にもRed Line Saxophone Quartet、ZZyzx Saxophone Quartet、Anubis Quartetなど、注目しておきたいグループは数多い。

灯禾軒

大学時代に一番お世話になったつくば市の飲み屋は"灯禾軒"だ。大学の吹奏楽団御用達のお店で、演奏会の打ち上げその他もろもろで、さらに引退してから、卒業してからも度々伺っている。今月27日にも伺って、その素敵さを再認識した。

割烹の卓に並べられても遜色ないようなとてもクオリティの高い料理と、美味しいお酒の数々、しかし価格は決して高くない。天スタのれっどりばー氏がかつて書いたこのブログ記事は、その灯禾軒の魅力を存分に伝えるものだが、さらにいくつか私も書いておきたい。

・まずはビール、そして季節のメニューはブラックボードで確認
まずはビールを一杯(サントリー・モルツ)。スタンダードに出てくるメニューのほかに、季節のメニューがたくさん。開店時にブラックボードに書かれたそのメニューをチェックして頼むのだ。27日にセレクトしたのは、なめこの天ぷら!アツアツ揚げたてに、美味しすぎて感動!スタンダードなメニューからは、鶏の唐揚げ(半年に一度仕込まれる秘密調合のタレに浸けられている)、えのきバター焼き、大根サラダ、エシャロットあたりを頼む。

・焼酎の水割りと、お湯割りと…
一番好きな焼酎は芋焼酎の白波なのだが、この白波が300円でたっぷりと(本当にたっぷりと)飲める。ビールに続いてシフトするのがこれ。暑い夏には水割りで、寒い冬にはお湯割りで、ちょっとゆっくり飲みたいときにはロックで…。薫り高いこのお酒は、どんなつまみにもよく合う。

・ブリのかま焼き
時価、そして在庫がいつもあるというわけではないのだが、あれば必ず頼んでしまうのがこれ。焼き上がるまで少し時間がかかるので、早めに頼むのが吉。そして少しお酒が進んだところで満を持して登場する巨大なかま焼き…。大根おろしに醤油をかけ、柔らかい身をみんなで箸でつつきながら食べるのは本当に美味しい。一番美味しいのは目玉の周りのコラーゲン!これを食べずしてブリカマ焼きを食べた気になってはいけない!

・刺身の盛り合わせと、日本酒
れっどりばー氏も書いているが、刺身の「盛り合わせxxx円ぶん」という頼み方ができる。この間伺ったときは、4人で1500円ぶんという頼み方をしたが、人数に合わせて作ってもらえ(4人なら4切れずつ6種とか)、赤身魚・白身魚と豪華絢爛そのもの。そして、併せて頼むのが日本酒!久保田・八海山・千寿・万寿などの銘柄が、なんと400円台から!灯禾軒でアルバイトしているかたに伺ってみると、刺身も日本酒も採算度外視のサービス品のようなものとのこと。灯禾軒に感謝しつつ味わいたい。

・〆は?
やっぱりお茶漬け(明太子・梅・シャケ)かなー。かつお節の香り高い、焼きおにぎり茶漬けというのも美味しい。

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またそのうち伺いたいなー。というか、灯禾軒に行くためだけにつくば市に行くのだっていいかも。

2010/12/29

サクソフォーン・フェスティバル2010二日目(2/2)

mixi以外に利用しているソーシャルメディア系サービスについて、これまでTwitterをそれなりに利用していたが、今後Facebookへシフトチェンジしていくこととした。Twitterは、演奏会の宣伝等のような発言のみになるかも(今のmixi日記がそんな状態)。

理由?いや、たいしたことではないのだが、Facebookを使ってみるとなかなか面白くて(^^;

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1/2からの続き。「協奏曲の夕べ」と題されたフェスティバルのメインイベント。5人の独奏者を迎えて、海老原光指揮東京フィルハーモニー交響楽団とともに一曲ずつ協奏曲を演奏してもらうという催し。

♪田中靖人
P.モーリス - プロヴァンスの風景

そういえばこの日、多摩センター駅からパルテノン多摩へと楽器を担いでせっせと歩いて行く田中靖人さんの後ろ姿をメインストリートでお見かけしたような。「プロヴァンスの風景」のオーケストラ版は、やはりこの曲がもつビート感をかなり損なうものである。それでも第2楽章や第4楽章の冒頭など、弦の荘厳な雰囲気で奏でられる上にサックスが鳴るのは感動的だ。第5楽章はやや牽制しあいながらだったが、第1楽章や第3楽章よりも、ずっと楽しくて好きだ。

♪西本淳
M.デュクリュック - ソナタ

最初鳴り始めたとき打楽器や弦楽器がおどろおどろしく鳴り出して、なんの曲かと思った(^^;ここの記事にも書いたが、そう、この曲は初めにサクソフォンとオーケストラの編成のために書かれたのだ。打楽器の扱い方が非常に面白く、全編を通して不思議なオーケストレーション。西本淳氏の演奏は音色・解釈ともども非常に清潔感のあるもので、とても好感が持てる。中央よりもやや前寄りで聴いていたが、あまり音が落ちてこなかった…後ろのほうでははっきり聞こえていたのかも。

♪平野公崇
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア

平野さんはやっぱり平野さんだった(^^;ものすごい覇気で飛ばす飛ばす。やはり、平野さんを聴いているとぐわーっ、と引きこまれてしまう。というわけで、ちょっとオーケストラとの絡みはいまひとつだったが(^^;存在感抜群のソプラノサックスは、多くの聴き手もインスピレーションを受けたようだ。

♪雲井雅人
岩代太郎 - Colors

幻想的な、壮大な音楽。私の言葉で表すなら…「調和するメシアン」だろうか。場面から場面にかけて、様々な色や明るさを
提示しながら曲が進む。いままでに聴いたことのない響き。オーケストラのテンションも、ここに至っては前半と打って変わって水を得た魚のよう。雲井氏の演奏に感化されての事だろうか。その雲井氏も、またとんでもないことだ。オーケストラの響きの中から、一筋の光のように突き抜けてくる音は、なんというか宗教的な崇高さすら感じさせるものがあった。

♪原博巳
H.トマジ - 協奏曲

いやー、こちらもまた凄い。オーケストラも完成度を上げてのトマジ。原さんの演奏も(思ったとおりに)完璧でオーケストラを凌駕する響きと音楽がパルテノン多摩に響いた。凄い。やはり、原さんの音楽と対等に渡り合えるのはオーケストラか、吹奏楽か、、、さもなくば野原みどりさんか(笑)。またリサイタルもあるそうなので楽しみだなあ。

2010/12/28

サクソフォーン・フェスティバル2010二日目(1/2)

2010年12月23日の、サクソフォーン・フェスティバル010の二日目のレポートを書く(一日目は平日ということもあり、行けなかった)。

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この日は別所で練習があったため、午後から伺った。さすが会場に着くと、お知り合いの方がたくさん。練習後だったのでテナーサックスを抱えてフラフラ。楽器店ブースのダクで、杉本さんにレジェール・リードの新作(名前失念…)など試させてもらった。アルト用がだいぶ進化したそうで、実際に吹かせてもらったが、たしかに天然リードと変わらない吹き心地。音色も、吹き手ですら、違いがほとんどわからない。

♪田村真寛
C.ロバ - タージ
J.S.バッハ - パルティータBWV1013

いずれもソプラノ・サクソフォンで、ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールを意識したような選曲。ロバでの自らを手綱で抑えるような楷書体の演奏が、大変印象に残った。かなり完成度を高めようとする強い意志が感じられた。良く考えてみたら、タージをライヴで聴くのは初めてかもしれない。バッハは音ミスも散見され、音色は大変美しかったもののあまり田村氏らしくなかったような。やはりターゲットはJMLコンクールか。

♪ジェローム・ララン
久保禎 - イリュージョナル・フォレスト

凄かった!2006年の「サクソフォーン旋風」から、何度も来日してはそのたびに驚きの演奏を繰り広げるララン氏、さすがにもうこれ以上はないだろう、と思いつつ毎回聴くのだが、またしても度肝を抜かれてしまった。もともとはクラリネット作品だということだが、どんな音が出てこようがお構いなし、技術的にもなんのその、中間部では長大かつエキサイティングな即興まで披露して、聴き手を興奮の渦に巻き込んだ!
演奏後に会ってちょっと話したが、日本語も凄く上手くなっていて驚き。来週(ということは、もう今週)からソウルに行くとのこと。

♪クローバー・サクソフォーン・カルテット
R.R.ベネット - サクソフォン・シンフォネット

「サクソフォーン四重奏名曲館」という企画で、クローバーSQのほか、フィグールSQ、アテナSQ、ヴィーヴSQが一堂に会した。一番最初に演奏された「サクソフォン・シンフォネット」は、これはAATBでは"アンコン"ではもっとも演奏されている曲のひとつだろうが、雲のような軽やかさであっという間に駆け抜けていった。こういう曲をクローバーのような団体が演奏することはほとんど無いだろうから、貴重な機会だったかも。

♪フィグール・サクソフォーン・カルテット
三浦真理 - ティータイムの画集

名前は良く知っていたが、きちんと聴くのは初めて。2005年結成とのことだが、世代的にはどのくらいの方々なのだろう。そういえば、クローバーSQだって結成は2005年だぞ。安定した技術に加え、特にアンサンブルの"阿吽"の呼吸はさすがの活動の長さを感じさせる。「ティータイムの画集」という曲の可愛らしさと爽やかさを見事に表現していたと思う。演奏前のトークもさすが(^^)

♪サクソフォーン・カルテット・アテナ
M.&F.ジャンジャン - 四重奏曲

塩安真衣子、冨岡佑子、江川良子、平賀美樹(敬称略)というメンバーでごく最近結成された四重奏団。こちらも聴くのは初めてだ。第1楽章からしなやかな表現にホレボレ…と思っていたら、最後はアグレッシヴに終わってみたりと、いろいろな表現の要素が詰め込まれているように感じた。綿密なリハーサルのうえでの試行錯誤の結果だろうか?お手のもの!という感じだったので、今度はぜひもっとヘヴィな曲の演奏を聴いてみたい。

♪ヴィーヴ!サクソフォーン・カルテット
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト

何回もの定期演奏会、そしてCDリリースも行い、いよいよ中堅どころに入ってきたヴぃーヴ!SQだが、これまで意識して聴きに行くことはない。ただし、サクソフォーン・フェスティバルでは毎年のように耳にしているような気がするな。たぶん何度も演奏している曲なのではないだろうか。細かい部分は勝手に合ってしまう感じ。見せ場と構成をキチンと構築してしまうあたりは、手慣れたものだ。

♪クローバー・サクソフォーン・カルテット
A.デザンクロ - 四重奏曲

最近、デザンクロ「四重奏曲」の第1楽章を聴くたびに涙してしまう。なんでこんな旋律を着想できるの!?とか、なんでこんな和声進行を、なんでこんなユニゾンを…と、とにかく聴いていて、4声の音楽の奇跡を目の当たりにするような気がしてならない。クローバーのデザンクロを聴くのは3回目(たぶん)。四重奏結成以来何度となく演奏してきたのだと思うが、最初から最後まで一切の迷いがない素晴らしい演奏だった。

2/2に続く…。

2010/12/27

週末〜今日

(携帯から更新)

昨日はTsukubaSQの練習と、そのあと四重奏メンバーで飲み会。なんかいろいろと可笑しく、楽しかった。

今日から仕事は休みに入った。今はラージアンサンブルの練習のためつくばに向かっているところ。ついでに、個人練習もしっかりしてこようと考えている。

2010/12/25

埼玉大学吹奏楽部第46回定期演奏会

サクソフォーン・フェスティバル2010のレポートは、まだ書いている最中…。

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【埼玉大学吹奏楽部第46回定期演奏会】
出演:埼玉大学吹奏楽部、小峰章裕、土澤雄太(以上cond.)
日時:2010年12月25日(土曜) 14:00開演
会場:埼玉会館
プログラム:
P.スパーク - ハンティンドン・セレブレーション
田中賢 - 光は大宇(そら)に満ちて
A.リード - アルメニアンダンス・パート1
生澤広次 - ユーフォニアム狂詩曲作品19(独奏:鎌田裕子)
樽屋雅徳 - マードックからの最後の手紙
P.I.チャイコフスキー - 大序曲「1812年」
~アンコール~
L.アンダーソン - そりすべり
M.ジャクソン&L.リッチー - We are the World
A.リード - 第1組曲より"ギャロップ"

サックス関係の縁があって伺った。朝日新聞社主催の吹奏楽コンクールでいうところの"西関東ブロック"では、文教大学に次ぐ規模のバンドだ。買い物をしていたらなんと一曲目にギリギリ間に合わず(>_<)2階席に構えて、二曲目から聴いた。

田中賢作品は、最初なんとなく「...im Licht」のような音を想像していたのだが、もっと規模は小さくて聴きやすい作品だった。ソプラノサックスのソロがあるところなんか、少し似ているなあと思いつつ聴き入る。埼玉大学吹奏楽部を聴くのは初めてだったが、交響的な吹奏楽のサウンドで、とても安定した技術を持っているようだ。「アルメニアンダンス」は常任指揮者の小峰氏のタクトで。実にオーソドックスな解釈と、全体構成から聴衆を興奮のテンションへと誘う堅牢な全体構成に感嘆。もちろん、各見せ場でも聴き応えがあった。

協奏曲では、まず独奏の鎌田裕子氏の経歴がすごくてびっくり。なんと、3回連続で日本管打楽器コンクールに3位→2位→1位と入賞しているとのこと。ちょっと考えられない。昨年管打楽器この協奏曲は委嘱初演。独奏パートはえらく低音を多用した曲で、自分のユーフォニアムの趣味(中~高音域のバカテク系)からは少し外れていたが、独奏・バンドともどもスコアを音にしようとする気概が伝わってきた。細かい音でカッチリ音形をはめていくようなフレーズがたくさん現れたが、やはりこういう楽想?には管楽アンサンブルのバックは良く合うと感じる。

樽屋氏はいまや日本の吹奏楽界を代表する作曲家の一人。描写音楽を得意とするが、今回はタイタニック沈没事故へのオマージュ作品が取り上げられた。ケルトふうの音楽を一貫した主題に、愉悦~崩壊~哀悼が奏でられる。同じ学生の指揮だったが、田中賢作品よりもかなり練り上げられた演奏を楽しんだ。中間部のソロも素敵な感じ。



最後はチャイコフスキー「1812」。まあこの写真を見てくださいな(クリックして拡大)…何かの合同バンドのようだ。トランペット、トロンボーン、ホルン、ユーフォニアム、テューバが、全て2列編成(2管じゃないよ2列だよ)。さらにバスドラムはメインの一台に加えて、両側の花道に4台ずつの計5台で、見た目からして圧倒されてしまった。ダイナミックな指揮のもと、全120名の部員がステージに密集して、壮大なテクスチュアを描き出す。大きいホールだったが、それでもちょっと会場が小さいなと思ってしまうくらいの迫力。

冒頭の荘厳なコラールはサクソフォンアンサンブルに割り当てられていたが、このアイディアって吹奏楽のどの編曲でも同じなのかなー。なんかクラリネットアンサンブルとかでも良さそうな雰囲気だけど。

アンコールに、「そりすべり」と、「We are the World(ユーフォニアム独奏)」と、なんか聴いたことのあるギャロップっぽい曲(何の曲か教えてください…)。サンタさんが登場した「そりすべり」が、特に楽しさに溢れ、会場いっぱいに音がキラキラしながら拡がっていくかのようだった。

2010/12/24

ボーンカンプ氏のビデオ・コンサート

フェス、年末に良いものを聴けて良かった!レポートは後日。

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オランダのradio4で、アルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏の公開音楽コンサート Serreconcertを行った様子がYouTubeにアップロードされていた。radio4の公式アカウントのようで、動画の演奏時間、実に1時間5分!(笑)ぜひクリックしてリンク先に飛び、YouTube上で大画面で楽しむことをオススメ。



C.Delvincourt - Croquembouche
C.Debussy - Petit Suite
M.Ravel - Pavane pour une infante défunte
F.Martin - Petite Complainte
W.Lutoslawski - Dances Préludes

解説はオランダ語か?英語か?と、何を言っているのかよく分からないのが残念だが、全編を通してとにかく素晴らしい演奏。ダルヴァンクール「クロカンブッシュ」、ドビュッシーはアルト・サクソフォンとピアノでの「小組曲」など、ちょっとマニアックなレパートリーが続く。そしてテナーサクソフォンで奏でられる「亡き王女のためのパヴァーヌ」は鳥肌モノ。フランク・マルタンの「プチ・コンプライアント」だなんて、実に面白い(もともとはオーボエのための作品)。最後はルトスワフスキ自身がクラリネットから改作した「舞踏前奏曲」を、見事に奏でる。

そしてアンコールのサン=サーンス「白鳥」…これは大爆笑なので、ぜひ最後まで観ていただきたい(このアンコール動画は、いつか別の場所で紹介したような覚えがある)。最も人の声に近づいたサクソフォンかも!?

屋外の、それほど響かない場所での演奏であるはずだが、うまい具合にポストプロセッションが掛かっていて、音響的にもかなり良い状態で聴くことができる。

2010/12/21

明日からフェスティバル

明日からの2日間、パルテノン多摩において恒例サクソフォーン・フェスティバルが催される。私は(当然だが)明日は平日であるので伺うことができず、23日の午前も用事があるので、午後から伺う予定。

詳細はサクソフォーン協会のページに譲り(→こちら)、見どころをいくつか挙げておく。

22日
・ディスカバリーコンサート
シュミット「伝説」のヴィオラ版を聴けるようだ。ご存じの方も多いと思うが、この曲の独奏譜にはヴァイオリンパート、ヴィオラパートが併記されており、音域や表現法の拡大が行われている。donaxさんがヴァイオリン版についてたいへん詳しい分析を行なっているので、行かれる前に読んでおくと面白く聴けると思う。

・ライヴエレクトロニクス レクチャーコンサート
大石氏を中心としたメンバーによる、エレクトロニクスのコンサート。「レクチャー」と言うからには講演形式なのだろうが、聴くことができないのが実に残念である。特にサクソフォンの近代作品の大傑作「私ではなく風が…」の実演なんて、めったに聴けませんぞ!

・スペシャルコンサート
なんと、出張版の「Happy Sax Concert」だ!もし今年のHappy Saxを聴きに行かれなかった…なんて方がいらっしゃったら、ぜひこちらを!

23日
・A会員によるプレミアムコンサート
たぶんいろんな方が出るのだと思うが、プログラムがわからず…。当日までのお楽しみといったところか?

・サクソフォーンカルテット名曲館
名曲を聴けるのも良いけれど、若い世代のカルテットをまとめて聴けるというところにも魅力を感じる。特にサクソフォーン・カルテット・アテナはまだ聴いたことがないのだ。

・フェスティバルコンサート「協奏曲の夕べ」
タイトルが「協奏曲の夕べ」とは、また大きく出たなあ(分かる人には分かる笑)。全てのプログラムが魅力的だが、オーケストラともども、どんな演奏が繰り広げられるのか居間から楽しみ。

2010/12/20

Niels Bijl氏関連のいろいろ

伊藤あさぎさんが、ディナン国際の入賞者についてブログで書いてらっしゃいます。面白い~

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アウレリア・サクソフォン四重奏団 Aurelia Saxophone Quartetのアルトサクソフォン奏者、Niels Bijl氏が、新しいCDをリリースしたそうだ。なんと、全編テナーサクソフォンによるCDで、「Mozaik(Aliud CD ACD BH 049-2)」と名付けられている。収録曲はおそらく全てがアレンジもので、下記の通り。

F.Schubert - Arpeggione Sonata
A.Scriabin - Five Preludes, Op. 16
G.Faure - Nocturne, Op. 43
K.Kirkland - Dienda
F.Buis - The Devil and the Deep Blue Sea


また、CDレコーディング前の最後のリハーサルを映像素材とした、プロモーションビデオがYouTubeにあったので、貼りつけておく。


さらにさらに、このCDに収録されている作品のうち、シューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」とフォーレ「夜想曲」の、テナーサクソフォン用楽譜が、Bijl氏のウェブページからダウンロード可能だ。テナーサクソフォン奏者にとっては朗報ではないだろうか。Niels Bijl氏の公式ページから、「Sheet Music」のメニューをクリックすると、楽譜がリストされているページに飛ぶことができる。ピアノ譜はIMSLPなどから入手可能だろう。

2010/12/19

Happy Sax Concerto 2010!!

そう、コンサート名にはビックリマークが2つ付くのです(笑)。

金曜日、小串俊寿氏のHAPPY SAX CONCERTに伺った。チケットをおなじみmckenさんにお世話になり(ありがとうございました!)、有楽町から徒歩にて銀座ブロッサム中央会館へ。私としたことがなんとHAPPY SAX CONCERTは初めて!毎年毎年演奏会の情報は入ってきていたが、なんだか上手く予定が合わなかったりで、ついに2010年になってしまった。初めてのコンサート、初めての会場とはなかなか久しぶりで、ワクワク。

【Toshihisa Ogushi Happy Sax Concerto 2010!!】
出演:小串俊寿、池上政人、田中靖人(以上sax)、白石光隆(pf)、横山達治(perc)
日時:2010年12月17日 19:00開演
会場:東京・銀座ブロッサム中央会館ホール
プログラム:
星出尚志 - ブラボー・サックス
天野正道 - コンチェルティーノ
F.ショパン - -夜想曲第8番
L.アンダーソン - そりすべり
樽屋雅徳 - メルシー・パリシー
真島俊夫 - サンバ・エクスプレス
星出尚志 - チェイサー
星出尚志 - モンマルトルの石畳
C.コリア/天野正道 - スペイン
鈴木英史 - サンバ・フィエスタ2010


300人くらいのライブハウスのような会場を想像していたのだが、二階席まであるような1000人弱規模の巨大コンサートホール。そこに、老若男女、たくさんのお客さんが…どのように定着していった客層なのだろう。サックス担いだ音大生、という感じの人たちは少なくて、あまりサックスの演奏会という感じではないな。

小串さん、ピアノの白石光隆さん、譜めくりスト(Special Page Turnerと紹介されていた)の星出尚志さんが登場。MCも交えながら和やかな雰囲気だが、いざ演奏が始まると途端にスーパーセッションが展開される。小串さんの演奏スタイルは、デファイエの演奏姿(DVDで観たことがある)のようにどっしりと直立不動で奏でるもので、飛び出す音とのギャップがすごい。超速フィンガリングもフラジオも何のその。でもきっとお客さんの半分くらいはサックスの演奏なんかやったことのない人たちで、決して演奏の裏にあるサックスの楽器らしさは表向きに出ずに、曲の心地よい楽しさと、音色だけが耳に残る。

天野正道「コンチェルティーノ」も、楽しく聴けた。最初のセクションの主題が、なんかイベールの「祝典序曲」のフーガの主題っぽいなあと思っていたら、耳が追いつかないほどに次々に技巧が飛び出して、ラテン風な部分までも交えながら、最後には輝かしいままにフィニッシュ。小串さんて、本当に上手い!すごい!

白石光隆さんのピアノソロも聴けた。ショパンの「夜想曲第8番」を聴いて、その音色のコントロールに感服。まるでハープを聴いているようで、ピアノはそういえば弦の楽器なんだと目から鱗が落ちるようだった。その後に「そりすべり」を何気なく聴かせてしまうあたりも、また素敵。

さらにゲストも登場。サックス池上政人さんと田中靖人さんそれぞれと、小串さんのデュエットが聴けたり(曲もテクニカルで、その辺のデュエット曲を鼻の先で吹き飛ばすような…)、さらに横山達治さんも加わってのサックス三本+ピアノ+パーカッションの豪華編成も。チック・コリアの「スペイン」でほとんどアドリブ対決のような楽しさだった。途中でも拍手をしたい!というような、こんなクラシックのコンサートは初めてだ!

暮れに素敵なコンサートが聴けて良かった!コンサート後は、山形蕎麦の「山形田」で一杯。久々に味わう薫り高い蕎麦や、ツマミのイナゴなどを楽しみながら余韻に浸った。

2010/12/18

Calefax、最高!

やはり、カレファックス五重奏団は最高だ!と思えるムービー。ファゴットのAlban Weslyのプレゼンテーションに続いて5人が登場し様々な演奏を繰り広げる。内容は説明せずに、まずは見てもらうのが◎だろう。五枚…いや、七枚のリードから、こんな音楽が飛びだすなんて、まるで魔法みたいだ!



ちなみに、贔屓目にせずとも、やはり圧倒的な存在感を示しているのはサクソフォンではないかな?サクソフォンという楽器も凄いし、もちろん演奏するラーフ・ヘッケマ Raaf Hekkemaのウデによる部分もあるのだろう。カレファックスは何度か来日しているが、いまだに聴きに行くことができていない。次にいつか来日した折には、ぜひコンサートに伺いたい。

2010/12/17

The Garden of Loveの訳

ウィリアム・ブレイク「無垢と経験のうた」より William Blake - Songs of Innocence and of Experience
「愛の園 The Garden of Love」

I went to the Garden of Love,
And saw what I never had seen:
A Chapel was built in the midst,
Where I used to play on the green.

愛の園へと出かけてみると
見たこともないものが建っていた
子供の頃に遊んでいた芝生の真ん中に
教会が建てられていたのだ

And the gates of this Chapel were shut,
And "Thou shalt not" writ over the door;
So I turn'd to the Garden of Love,
That so many sweet flowers bore,

教会の門は固く閉ざされ
扉には「入るべからず」と書いてあった
私は仕方なく愛の園へと引き返し
美しい花たちを眺めようと考えた

And I saw it was filled with graves,
And tomb-stones where flowers should be:
And Priests in black gowns were walking their rounds,
And binding with briars my joys and desires.

…かつて花が咲き乱れていた場所は墓地になっていた
花は根こそぎ掘り返されて墓石が建てられ
黒いガウンを纏った僧侶が墓地を見張っている
私はまるで茨で縛られたような悲しみを感じたのだ

JacobTV - The Garden of Love
Oboe: Irma Kort
Video: Amber Boardman


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ずっと前にブログで紹介した長尾高弘氏や壺齋散人氏の訳がなんだか気に入らなかったので、自分で訳してみた結果、こんな感じになった。やや現代的に、20代か30代の若い人が詩を作ったらどうなるだろうと試行錯誤すること一時間。最後のパラグラフについては韻を踏むことができなかったが、まあそこまでこだわると言い回しを犠牲にしてしまうことになるので許してくだされ。それなりにまとまった形にできたと自負しているのだが、いかがだろうか。

2010/12/16

山本哲也「チャラサックス」

JacobTV Showの会場で、サクソフォンの由井平太さんのご紹介により、作曲家の山本哲也さんにご挨拶することができた。山本さんは、第27回現音作曲新人賞において、コントラバスとハープのための「誤謬」という作品で最高位を得るなど、ご活躍中である。最近は、声楽で有名な松平敬氏から委嘱を受けるなどしているようだ。

その山本さんが2009年に書いたサクソフォンのための室内楽作品を聴かせてもらった。「チャラサックス」と名付けられたSATBの四重奏のための作品である。

全体を通してお洒落な小品、といった趣。シンコペーションのリズムを多用したややポップス風の部分が置かれ、続いてテナーサクソフォンの牧歌的メロディ(なんだかグラズノフ「四重奏曲」第1楽章の主題に似ている)に導かれて始まる小ワルツ、そして再びポップス風のセクションに戻ってゆくABA構成。最後には、ポップス風主題と牧歌風主題が連結して幕となる。冒頭部分を聴くと、なんだかずいぶんハードな現代音楽か!?と思わせるパルスが聴こえる。これは冒頭部分とポップス風セクションの真ん中に出現するが、なんだかまるで別の曲のように聴こえるのが面白い。最後、転調?したあとの音程感覚を捉えるのが少し難しそう。

演奏上の特殊なテクニックは必要とされず、曲のグルーヴや性格をどのように表現するかは演奏者の手に委ねられているのかなと感じた。私が普段吹いているTsukuba Saxophone Quartetは楽譜に引きずられっぱなしになるような曲しか演奏しないもので、例えばこのような作品を吹くとどんな演奏になるのかな。ちょっと音を出してみようかなあ。

山本さんに許可をいただいて録音を聴けるようにアップロードした。演奏は、由井さんを中心とする昭和音楽大学の四重奏だそうだ。もし演奏したい!と興味がある方は、山本さんに直接お問い合わせいただきたい(ご本人のブログ→http://feblog2009.blog113.fc2.com/)。

山本哲也「チャラサックス」(クリックしてダウンロード)

2010/12/15

とある方の演奏録音を聴いて…

今日、NHK-FMでラヴェルの「ピアノ協奏曲」を聴いた。ソリストはピエル=ロラン・エマール、シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団のライヴ。さすがに第3楽章はアンサンブルが苦しかったが、全体的には大変見事な演奏。アンコールにまさかジェルジ・リゲティの「ムジカ・リチェルカータ」を聴けるとは思わなかった。

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現在サクソフォンを専攻する音大生だが、すでに各方面で活躍されているとある方の、昔の映像を観る機会があった。ご本人から観せてもらったというわけではなくて、また別の方から提供していただいたものだ。サクソフォンを始めて2年ほどのころに演奏したというモーリス「プロヴァンスの風景」抜粋と、モンティ「チャルダーシュ」、そしてさらに後のクレストン「協奏曲」の第2楽章、そして一番最近のオーケストラとの共演でグラズノフ「協奏曲」という3つの時代にわたるラインナップである。

こういった、あるひとりの奏者の年齢ごとのしっかりした記録というものは、例えばデビュー後には連続的に追うこともできるだろうが、デビュー前の段階的記録はめったなことでは入手しようと思ってもかなわないものであり、とても興味深く観ることができた。その演奏者ご本人というのは、まだプロフェッショナルとして活動を開始しているわけではないが、それでも面白いものは面白い。

現在の姿とは見間違うほどのあどけなさを残したサクソフォン奏者が奏でるモンティというのも粋であるが、それよりもさらに私の耳が惹かれたのは「プロヴァンスの風景」であった。美しい音色…に、誰のものでもない、おそらくこの方自身の音楽。誰のスタイルを真似た、というわけではなく、自分で作ってきた音楽なのだと思う。その傾向はクレストン、そしてグラズノフでも顕著であり、どの時代の演奏を聴いても、オリジナルのスタイルを追求しているように感じることができた。

伺ってみると、例えばピアノや声楽といった方面の勉強も同時並行的に行なっており、そんな音楽的バックグラウンドの大きさとサクソフォンに固まらない視野の大きさが、独自スタイルの追求を可能にしているのかな、などとも思った。サクソフォンだけ知っていても、誰かのサクソフォンを真似ることしかできないからなあ。

今後その方がどういった方向に進んでいくかは、私も知る由もないが、もしサクソフォンの演奏家としての道を歩むとしたときに、例えば20年経ってさらにいくつかの演奏の記録を並べ、一気通貫にその変遷を俯瞰する、というのもまた楽しいことであろう。

2010/12/14

Red Line Saxophone Quartet "Back Burner"

ダグラス・オコナー Doug O'Connorといえば、第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォンコンクールで2位に輝いたことでも有名な奏者である。オコナー氏に関連するキーワードは、例えばイーストマン音楽院であったり、クリスチャン・ロバ「Worksong」の委嘱者であったり、Chien Kwan Linの弟子であったり、Red Line Saxophone Quartetのソプラノ奏者であったり…というところなのだが、そのRed Line SQのCDを入手した。この四重奏団は近年のアメリカの室内楽コンクールで入賞しまくっており、アメリカの次世代を代表する四重奏団となることが期待されている。

「Back Burner(private)」と名付けられたCDは、彼らの実質的デビュー盤。なにが面白いって、あのディヴィッド・マスランカ「レシテーション・ブック」が収録されているのだ!商用録音として同作品をとりあげた団体は、雲井雅人サックス四重奏団に続いて2番目となる。マスランカ氏自身もRed Line SQに対して"...extraordinary. I think that your quartet is now among the very best."との賛辞を寄せており、これは気になる!ということで購入してみた。収録曲目は、以下。ティケリ、マスランカにゴトコフスキーですかい。なんとまあ重いプログラムだ。

Frank Ticheli - Back Burner
William Byrd - Motet: Ave verum corpus
David Maslanka - Recitation Book
Ida Gotkovsky - Quatuor
Jean Matitia - Trap Rag

フランク・ティケリについては、作曲家の名前は有名だが、こんな四重奏曲を書いていたとは知らなかった。しかも作曲されたのは1988年(ずいぶん昔だ…)ということだ。複雑にフレーズが絡み合った高難易度の曲で、下手に触るとヤケドしそうなほどの近寄り難い作品だが、Red Line SQの面々はこの作品を見事に演奏している。さらに、曲に内在するグルーヴをも見事に引き出しており、一曲目からノックアウトされてしまった。ウィリアム・バードのような作品も、手加減なし。音楽の密度はますます高まっていく。

さて、「レシテーション・ブック」だが、あまりに上手すぎてびっくりした。自分たちでも吹いたことがあるせいか、余計にその異常さがわかるのだが、例えば第5楽章のファンファーレとか、その後に続く変奏曲とか、ちょっと人間の域を超えているのではないか、というような楽器のコントロールやアンサンブルを聴くことができる。いやあ、マイッタ。ゴトコフスキーも同じで、どこまでもクール、そしてハイレベル。ただし、個人的な意見としては、マスランカもゴトコフスキーも、自らを演奏の中に没入させたときの感動というものもあると考えるのですよ。ちょーっとだけ、上から目線のようなものを感じてしまって(^^;

ジャン・マティシア「トラップ・ラグ」は、録音としても貴重だ。マティシアのファン(そんな人いるのかな?)は要チェックでしょう。この曲でRed Line SQがタップダンスと共演する様子をYouTubeで観ることができるので、こちらもぜひ。

CDの入手先だが、彼らの公式ページからどうぞ。支払いはPayPalで行うことができる。

2010/12/13

ロバのエチュード

クリスチャン・ロバ Christian Laubaの「エチュード」だが、いつの間にか20番まで完成していたようだ。献呈先が豪華であることで有名なこのエチュード集だが、例えば「Kabuki」はClaude Delangle教授に、「Clouds」はNicolas Prost氏に、「Twins」はÉric DevallonとDamien Royannaisに、それぞれ捧げられている。なんと(笑)すごいなあ。

1~12番、15番以外は聴いたことがなく、しかも気になる作品ばかり。また、ヴェルサヴォーの作品集のように、まとめてリリースされないだろうか。録音だけでなく、もちろん実演でも聴いてみたい!12番以降が日本で演奏されるのは、いつになるのだろうか。

1. Balafon [A.Sax]
2. Savane [A.Sax]
3. Sanza [A.Sax]
4. Jungle [A.Sax]
5. Tadj [S.Sax]
6. Gyn [T.Sax]
7. Vir [T.Sax]
8. Ars [2 S.Sax]
9. Bat [B.Sax]
10. Hard too Hard [T.Sax]
11. Stan [B.Sax & Tape]
12. XYL (Balafon2)
13. Cadenza (for Glazounov's Cocerto) [A.Sax]
14. Massaï [A.Sax & T.Sax]
15. Worksong [A.Sax]
16. Kabuki [S.Sax]
17. Clouds [A.Sax & Tape]
18. Arak [S.Sax]
19. Partita
20. Twins [2 B.Sax]

2010/12/12

白石さん

あの「生協の白石さん」が、サックスを始めたらしい。なんだか嬉しいですねえ(?)。

2010/12/11

ビジネスクラスSEの演奏会

ちょっと前に伺った演奏会の感想を。

【Business Class Saxophone Ensemble 2010 Concert】
出演:Business Class Saxophone Ensemble
日時:2010年12月5日(日曜)15:00開演
会場:台東区生涯学習センター・ミレニアムホール
プログラム:
B.ウィーラン/柏原卓之 - リバーダンス
吉俣良作/島藤 寛 - NHK大河ドラマ「篤姫」よりメインテーマ
秋透編「三つの富山県民謡」より
三浦真理「ティータイムの画集」より
J.リヴィエ - グラーヴェとプレスト
M.ルグラン/大島忠則 - キャラバンの到着
M.ファリャ - バレエ音楽「恋は魔術師」より
S.プロコフィエフ/宇田川不二夫 - バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より
P.I.チャイコフスキー/宇田川不二夫 - バレエ音楽「くるみ割り人形」より

いまいちちょうど良いアクセス方法がわからず、鶯谷駅から徒歩で向かったのだが、テナーサックスを担ぎながらもじゅうぶん歩いて行ける距離で良かった。古いお店がたくさんあって、道が入り組んでいて、歩くのは楽しい。ビジネスクラス・サキソフォン・アンサンブル(以下BCSE)のメンバーにはお知り合いも多く、さらに今回はおなじみゆうぽんさんも賛助出演とのことで、客席にも見知った顔がたくさん。

ミレニアム・ホールは初めてだったが、高天井の木のホールで、響きの美しさに惚れぼれしながら一曲一曲を楽しむことができた。ちなみに普段のBCSEのコンセプチュアルな選曲とは相反して、一見すると無作為にも見えるが、実はこれまでの演奏会で取り上げた曲からピックアップした結果なのだそうだ。演奏会は今回が9回目であり「10回目につなげていきたい」との思いがあった、ということをMCで聞いたような。

演奏が素晴らしいことは言うまでもないが、団体名の由来ともなっている活動理念(?)をそのまま感じた。アマチュアだから、アマチュアらしく、といったことは一切考えず、選曲も演奏も何もかも目指している部分はずっと上のほうなのだ。それが目指すだけでなく、きちんと具現化されているところも凄くて、大いに共感し見習っていきたいと考える。まずは私たちもこういった境地に辿りつきたいなあ。

次の予定があったため、チャイコフスキーを聴けずに失礼しなければならなかったのがちょっと残念。

2010/12/10

グラズノフ「協奏曲」New Edition予約再開

アレクサンドル・グラズノフ「サクソフォン協奏曲」のカリーナ・ラッシャー Carina Rascher監修版の楽譜(Baerenreiter BA 8732a)だが、ようやく出版の目途がついたようだ。Amazonでも予約が再度開始されている(→Konzert fuer Altsaxophon und Streichorchester)ほか、本家Baerenreiter、Eble Music等でも取り扱いを開始している。この新版については、これまでもたびたびブログ上で話題に取り上げてきた。

グラズノフのカリーナ・ラッシャー監修版がリリース?
グラズノフ「協奏曲」カリーナ・ラッシャー監修版
グラズノフのカリーナ・ラッシャー監修版出版予定

「なんだそりゃ」とお思いの方に簡単に説明しておく。サクソフォン協奏曲の傑作のひとつ、グラズノフが最晩年に書いた「サクソフォン協奏曲」は、サクソフォン界で最も有名な作品であるにもかかわらず謎に包まれた部分が多い。自筆譜からの楽譜の変更、A.Petiotとは誰か、作品番号が誤って付けられたのはなぜか、成立におけるLeduc社の役割は何だったか、ラッシャーの役割は何だったか…。これら一連の疑問については、日本サクソフォーン協会の機関誌「サクソフォニスト Vol.22」に寄せた私の記事を読んでいただければと思うが、それらに決着を与えるきっかけとなるであると期待されているのが、この楽譜なのである。

シガード・ラッシャー(この曲の献呈先)の娘、カリーナ・ラッシャー Carina Rascherが監修したということで、自筆譜に忠実な楽譜が収録されるほか、貴重な情報が満載とのこと。さらに充実した内容を目指したため発売が遅延したが、ご覧の説明通り、まさに全サクソフォン奏者必携の内容となりそうだ。来年あたりは、このバージョンでの演奏がブームになりそうだなー…というか、このバージョンの日本初演をするのは誰になるだろうか!?

This score contains the original version of the work without the alterations which were made in the proofs to the orchestral score as well as the full version of the composer's cadenza which was later shortened. The autograph manuscript also contains some performance markings by Raschèr. The correspondence between Raschèr and Glazunov documents the composer's thoughts on the work and his recommendations about the size of the accompanying string orchestra. Evidence from this correspondence has been integrated into this edition. This first scholarly-critical edition of a work by Glazunov contains an informative introduction with commentaries about the history of its composition, facsimiles and a critical commentary. The solo part includes both the complete and the shortened version of the cadenza as well as a cadenza by Raschèr which the composer authorised.

・自筆スコアに忠実な楽譜
・自筆譜の複製と、ラッシャーがつけた演奏上の注釈
・作品成立に当たりラッシャーとグラズノフの間で交わされた書簡集
・弦楽オーケストラのオススメ編成
・カデンツのフルバージョン、ショートバージョン、作曲家も演奏許可したラッシャーのバージョン

2010/12/09

ルデューSQ@Calliope

ジャン・ルデュー四重奏団のCDを久々に聴いた。その昔、イィンドジフ・フェルド Jindrich Feldの「四重奏曲」を吹くときに参考にした演奏で、おなじみmckenさんからお借りしてMDに録音してあったものである(Calliope CAL 9238)。

P.M.デュボワ「四重奏と管弦楽のための協奏曲」
R.カルメル「合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)」
J.リヴィエ「グラーヴェとプレスト」
J.フェルド「四重奏曲」

ジャン・ルデュー Jean Ledieuは私が世界一好きなバリトン・サクソフォン奏者。デファイエ四重奏団のバリトン奏者としての活動を1988に終えたあと、自身の名を冠し、自らの子の世代とともにルデュー四重奏団を結成し、さらに10年以上に渡って活動を継続した。ちなみに、ソプラノサクソフォンはあのファブリス・モレティ氏である。確認できる最新の商用リリース録音は、2003年に録音されたリュエフ他が収録されているCD。時にルデュー氏、73才。ところで現在は活動しているのだろうか?

そんなルデュー四重奏団だが、吹き込まれたいずれのCDも素晴らしいと感じる。珠玉の出来を誇るサンジュレ他が収録されたファーストアルバム(Opus)、上にチラと書いた最新アルバム、そしてこのオーケストラとの共演アルバムである。少し珍しいところだと、ガスパリアンの室内楽作品集なんてのもあったかな。持っていないけど。

サックス四重奏+オーケストラという編成では著名なデュボワ、カルメルに、こちらは純粋な四重奏曲であるリヴィエ、フェルド。ワインのごとき芳醇な音色(ちょっとサックスの音場が近いのが気になる)、キラキラの才気に満ち溢れたエスプリ、もちろんベースとなる技術もしっかりしている。

デュボワ、カルメルは、キャトル・ロゾーの25周年記念盤にも収録されており、聴き比べてみるのも一興(キャトル・トゾーはライヴ録音)。デュボワは、個人的には四重奏版よりも面白い要素が満載だと感じる…第2楽章の魅せ方など、およそ後からオーケストラパートをつけたとは思えない。さらにその曲としての面白さに、演奏の魅力が加わるのだ。フェルドは珍しい作品であり、CD録音されることは稀。私もこの録音以外にはフルモー四重奏団の録音くらいしか持っておらず、個人的な考えではもっと多くのカルテットに取り上げて欲しいと考えている。曲が要求する精緻一辺倒というわけにはいかないが、この温かみもルデュー四重奏団の魅力かな。

2010/12/08

最近の、そしてこれからのTsukuba Saxophone Quartet

Tsukuba Saxophone Quartetは、2011年5月22日の演奏会に向け、選曲をほぼ完了して練習を進めている。その他、協会のコンクールにも出場したいし(これは録音審査を通らないと)、第2回のサクソフォン交流会にも出るし、温めてきた活動のアイデアが来年からいろいろと実現してゆくことになる。

私なんかは、昔から一貫して「丁寧な演奏」「知られていないレパートリーの紹介」を目指しているのだが、たぶんメンバーがそれぞれ考えているTsukuba Saxophone Quartetの未来は違っていて、それぞれの役割も違っており、だがしかしそんな状態が良いのかなあなんて考えている。

ちなみに次の演奏会、だいぶ面白いプログラムになりそう。"New Standards for Saxophone Quartet"と言ってしまっても良いくらいの、知られていない曲かつ素敵な曲ばかり。期待してお待ちください。

2010/12/06

JacobTV Show@原宿VACANT

【JacobTV Show】
出演:大石将紀、西本淳、江川良子、冨岡祐子(以上sax)、有馬純寿(sound ope)
日時:2010年12月1日(水)19:00開演
会場:VACANT
プログラム(全てJacobTV作品):
Pitch Black
Postnuclear Winterscenario No.10
White Flag No.4
Grab It!
KAKU
Syracuse Blues
BUKU
The Garden of Love
The Body of Your Dreams
Broken Dreams(アンコール)

だいぶ時間も経ってしまったが、12/1に原宿VACANTで行われたJacobTV Showについて感想というかレポートというか…を書いていく。まず最初にひとつ、本当にエキサイティングな経験であった、ということを言っておきたい。ニューヨークをはじめとして世界中でJacobTVのポートレートコンサートが開かれているが、当然ながら日本国内では初めての試み。私はJacobTV作品の大ファンであるので、それはもう期待・期待・期待という感じで伺ったのだが、その期待を超える素晴らしい一夜であった。

「この演奏会を聴けて良かった!」とは、なかなか心から思えるものではないが、演奏会が終わって渋谷駅に向かって歩いているときの満足感・充足感といったらなかった。この催しに携わった全ての関係者に、まずは心より御礼申し上げたい。

さて、それでは当日の様子を。竹下通りを抜けた先にあるVACANTだが、この日は大盛況。あまりに人が来すぎて受付手続が追いつかず、なんと40分遅れてのスタートとなった(さすがにその段取りの悪さはどうかと思ったのだが、続く演奏でそんな不満も打ち消されてしまった)。会場内はこの写真に示すように長い椅子に観客が向い合って座り、前と後で演奏が行われる、といったふう。必ず右か左かを向いて演奏を楽しむことになる。

最初は「Pitch Black」。おそらく、日本で初めて演奏されたJacobTVのBOOMBOX作品である。大石将紀さんもその日本初演に携わっていたそうだ。ブルージーなサクソフォンの音運びをこれでもかと表現する4本のサクソフォン。そして音響とのバランスの良さ(有馬氏の手腕による部分が大きいのだろう)。さらに四重奏での演奏が続くが、「Postnuclear Winterscenario」のようなゆっくりとした曲でも、音楽の流れはますます濃密となり、聴き手を惹きつけていた。

前半最後は「Grab It!」を大石氏のソロで。これがめちゃくちゃかっこよかった!実演で聴いた「Grab It!」のなかでは、これまでで最高の演奏だったかもしれない。サウンドトラックとの完璧なリズムの一致、ハードな音色の変化など、演奏後には客席も大盛り上がりだった。

後半は、日本語の某大物政治家のスピーチを利用した「KAKU」から。主張もかなり激しい内容なのだが、それをコラージュしてしまえばあっという間にJacobTVの音楽へと早変わり。西本淳さんはなんとバスドラムをたたきまくる。さすがに客席も沸いたなあ(笑)これは、ビデオと一緒に観れば、さらに楽しいぞ。「Syracuse Blues」も楽譜からはどんな曲であるか想像がつかなかったのだが、演奏の完成度と相まってちょっと感動的なほどのメッセージ性を備えた演奏に仕上がっていた。

アルトサックスとゲットブラスターの「BUKU」は、まるでサウンドプロセッシングされているかのような音響バランスの取り方。これはサクソフォンもかなり技巧的に難しいが、こちらも完璧…(ブーレーズ作品を吹いてしまうような大石氏のことだから、向かうところ敵なしなのだろう笑)。聴いている間、鳥肌が立ちっぱなしであった。最後は、健康ベルトのCMを題材にした「Body of Your Dreams」。うーん、日本のテレビショッピングをJacobTVにミックスして欲しい(笑)。

「Body of Your Dreams」に続くアンコールに「Broken Dreams」、という選曲もエスプリが効いていて素晴らしかった(^^;ということで、とても充実した演奏会だった。今後もますますJacobTVの作品が日本国内で認知されていくと良いな。

2010/12/05

JacobTV氏レクチャー(質疑応答)

うーむ、ブログに書きたいことが溜まっているぞ。JacobTV Showのレポートもまだだし、今日はBCSEの演奏会に伺って、さらにその後練習だったし…。

というわけで、ひとつひとつ書いていくしかない。今日はJacobTVレクチャーの質疑応答の部分。最初の質問と最後の質問は、私が投げかけたものであるが、特に最初の質問は私が長年の間疑問に思っていたことだ。訊くことができて良かった!

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[Q] あなたが音楽に織り込んでいる音素材は、かなり極端な主張を含んでいるものが多いが、これらの内容はあなた自身の主張でもあるのか?
[A] 今日の午後の池谷薫監督のレクチャーを聞いていたら私の考えがもう少しわかりやすかったかもしれないが、池谷監督は自身が制作するドキュメンタリーの中で何かを主張することを好まない、と話していた。私も同じような考え方である。私は作品の中で何かを説いたり、何かを主張したりということは好まず意識的に避けている。
私は我々を取り巻くこの世界のことをとても面白いと考えており、またインスピレーションを受けている。だが、一方で私はこの世界のことを全て知っているわけではないし、誰も本当のことを知っている人はいないと考えている。
私はそういった世界で話されるスピーチのうち極端なものを取り上げて作品にしている。ベルルスコーニ首相やBroken Dreamsの素材となった宣教師など、極端な意見をしゃべる人たちは感情の高まりを表に出してスピーチを行っており、それこそが私の興味の対象である(だから、プーチン大統領は素材としては面白いと思わない)。

[Q] 今までインスピレーションを受けたアーティストはいるか?
[A] はい、プラスの意味でもマイナスの意味でも。現在、多くのアーティストが腐敗し、世の中は衰え、苦しみあっている、痛みあっている。Paradisoでは、命を保って生きて行くことの素晴らしさを訴えたいと思ってたが、むしろ生きていくことは苦しみと表裏一体である、ということがわかった。ある意味では現実逃避的な作品である、とも言えるだろう。
これで答えになっているだろうか?

[Q] あなたの作品に付随する映像について、専門のスタッフがいるのか?
[A] 知り合いに映像作家・ドキュメンタリー作家が多いので、恵まれた立場にいると思う。私の作品がドキュメンタリーとしてまとめられたこともあるし、時には私の周りを撮影チームがずっと付いて回る、といったこともある。
ということで、ビデオのための素材(マテリアル)はたくさんあるが、さらに私はいつもカメラを持ち歩いている(あとで使うことがあるかもしれない)。リヒャルト・ワグナーのように全て自分でできてしまえば良いが、そうはいかないため、映像に関しては専門家の力添えを受けている。

[Q] Boombox Musicについて、小さい空間 or 大きい空間など、どのような場所で演奏されることを好むか?
[A] Boomboxはスケールが小さいものに限定されると考えている(高々2、3の楽器とラジカセの組み合わせであるから)。
先週日本の女性のサックス奏者が、演奏した映像を見せてくれた:浜辺でboombox Musicを演奏していて、近くでアクション・ペインティングを行っている。周りの人は通りすぎていったり、たまに足を止めて聴いたり、という状況だが、これをとても素晴らしいと感じた。逆に、チャロとBoomboxの組み合わせで教会などで演奏すると、反響で音が分からなくなってしまうため、あまり合わないと思う。
だが、Boomboxの良いところは、持ち運び可能でボタンを押せば演奏できるというところだ(日本のカラオケに似ている)。つまりストリートでも聴いて・体験してもらえることができるということで、私は作曲のアカデミックな勉強もしたけれど、音楽はストリートへと飛び出すべきものである、と考えている。

2010/12/04

JacobTV氏レクチャー(後半)

JacobTVのレクチャー、後半の内容をまとめた。この次は質疑応答。

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* White Flag
- ドキュメンタリーをミックスした例

♪White Flag(ホイットニー美術館で行われた3日間のライヴより)

- ドキュメンタリー内での告白(シリアスな内容)
 「動くものは…男も、女も、犬も、子供も、猫も…何であろうと、撃ち殺せ」と言われた。私たち兵士は、とにかくその命令のとおりに行動したんだ。
 ある町での戦闘の合間のことだ。遠くから、ブルカ(イスラム圏の女性の黒い衣装)を纏い、腕にバッグを持った女性がこちらに向かってくるのが見えた。戦闘用車両に乗っていた兵士は、彼女に向かって「止まれ!さもなくば撃つぞ!」と警告したが、いくら警告しても彼女は近づくことをやめないのだ。
 彼女が150ヤード(137メートル)くらいまで近づいた時、私は確信した。「彼女はこの車両に近づいて、自爆するつもりだ。」すぐさま銃を構えて放った2発の銃弾のうち、一発が彼女に当たった。ほんの僅かの間の出来事だった。続いて仲間の兵士が40ミリ口径のマシンガンを放った。
 何発もの弾丸を受けた彼女は地面へと倒れこみ、バッグの中から…白旗を…そう、爆弾でもなく、銃でもなく、白旗(White Flag)を取り出したのだ。
 私は銃を捨て、ただひたすらに泣くしかなかった。

* Body of Your Dreams
- Funnyなものを素材として使うこともある
o 腹筋を鍛える装置(10分間に3000回の振動)のCMをミックス
o ピアニストのアンディ・ラッセルは、ボディビルダーでもある

♪The Body of Your Dreams

- CMの内容「興奮した口調で、理想の体を汗をかかずに苦労せずに手に入れられる!」
- このCMの口調を大げさに私の作品に応用してみた

* Heartbreakers
- JacobTVバンド
- スクリーンを使って、視覚的にも訴える
- アメリカのトーク番組に出演していた、ドラッグ中毒の売春婦たちの声をミックス

♪Heartbreakers

* Cities change the Song of Birds
- サンプリングしているのは、社会のギリギリの端のところで生きている人たち…ドラッグ中毒者、ホームレスの声
- タイトルの意味:都会に生きる鳥たちは、お互いの声でなく、車のクラクションの声を真似る

♪Cities change the Song of Birds

* ライヴ演奏
- 特別ゲスト:大石将紀氏
o NHKでThe Garden of Loveが放映された
- The Garden of Love
o ウィリアム・ブレイクの詩に基づく作品
o メタファーは「死、愛、宗教」

♪The Garden of Love(大石将紀氏によるライヴ・パフォーマンス)

- アンブラ・ボートン氏の新作ビデオ
- 水曜日に、VACANTで大石将紀氏のJacobTV SHOWが開催

* Paradiso
- 大きなオラトリオ作品
- 奇しくも、初演は同時多発テロ9/11の次の日となった
o 苦しむことのない作品を書こうと考えて生み出したが、その考えとは程遠い状況の中で初演された
- 13世紀イタリアのダンテ「新曲」
o 地獄から、煉獄を経て、最終的に愛しのベアトリーチェとともに天国へ向かう物語
- Aurora
o Auroraでは、2つの太陽が海の上で日の出を迎えている
o 煉獄の山を登っているダンテは、ベアトリーチェが自分を呼ぶ声をどこからか聞く

♪ParadisoよりAurora

- Nirvana
o 3つの円がひとつの中心に接し、その円の中に世界の全ての苦しみが映しだされている→視覚化

♪ParasidoよりNirvana

- 天国を描写
o Heaven on Earth
o Heaven of Religion
o Garden of Eden
o Heaven of Love

- 一年ほどかけて完成させたが、終わったところで満足できなかった
- 結局は私が表現しようとした世界(苦しみのない世界)は存在しないのではないか、と感じた

* The NEWS
- 新しいオペラ作品
o 絶対に完成しない:何年もかけて進めていくプロジェクト
o シカゴで公開放送のスタジオを通りかかり、インスピレーションを受けた
o 音素材のターゲット…政治家や評論家すべて…が歌手だったら素敵だろうと考えた
- アメリカの政治家、サラ・ペイリンが政治について語っているテレビ番組をリミックス
- 映像はJacobTVの奥様、クリスティンによるもの

♪The NEWSよりサラ・ペイリンのアリア
♪The NEWSよりウォール・ストリートの暴落を伝えるキャスターたち
♪The NEWSよりイタリア首相ベルルスコーニのアリア

- ベルルスコーニの主張「自由は存在しなくなった」
o ある意味では現代を象徴している
o 道徳となになのか、経済は後退、神は死んだ
- JacobTVが目指すもの
o 全てが流動的な時代のなかで、自分たちは正しいと思っている人たち(ニュースキャスターやベルルスコーニ首相)の声をミックスすることに価値があると考える
- このオペラのオープニング:Broken Dreamsを最後に…
o アメリカの宗教家→福音派、やや原理主義的傾向
o 宗教家たちが、テレビを通じて主張を繰り広げている
o 宗教家たちが主張する内容:何もかもが壊れた時代に生きている、家族も壊れていく、経済も壊れている、全てが壊れている

♪Broken Dreams

…「質疑応答」に続く。

2010/12/03

こんな催し…@埼玉県立近代美術館

ミュージアム・コンサートというと、大きな絵画の前で弦楽四重奏が優雅にモーツァルトなんかを弾いているようなものを想像してしまうのだが(なんと貧弱なイマジネーション…)、そんなミュージアム・コンサートにサクソフォンが登場する演奏会のご案内を頂いた。

恩地元子さん(http://mce.geidai.ac.jp/faculties/lecturers)は音楽評論家だが、その他の活動として、ミュージアム・コンサートのコーディネイトにも携わっているそうだ。ご自身の研究分野とサクソフォンは何の繋がりもないそうなのだが、北浦和公園のサックスのオブジェが埼玉県立近代美術館の所有物ということで、このミュージアム・コンサートではサクソフォンを取り上げる機会が多いとのこと。

私はこういったプロデュースのような世界には疎いが、プロフェッショナルな演奏家の皆様の演奏機会がどのように回っているか、ということについては興味をもっている。邪推ながら、もしかしたらアマチュアの演奏機会にもヒントになる部分があるのではないか…と考えつつ。

【ノスタルジーのアメリカ、モダン・エイジのアメリカ】
出演:クローバー・サクソフォン・クヮルテット
日時:12月4日(土) 13:00~14:00
会場:埼玉県立近代美術館 センターホール(地階)
料金:入場無料
プログラム:
A.フラッケンポール「ラグタイム組曲」
R.ロジャース「マイ・フェイヴァリット・シングス」
詳細:http://www.momas.jp/
主催:埼玉県立近代美術館

何気にクローバーSQ、しかも演奏曲目がちょっと素敵な感じ。クローバーSQが「ラグタイム組曲」だなんて、ちょっとイメージがわかないが…聴いてみたい!(が、この日私は実家に帰っているため、聴けない)入場無料とのことだし、お近くの方はぜひ伺ってみてはいかがだろうか?

ちなみに、別の機会に恩地元子さんがコーディネイターとして携わったミュージアムコンサートのレポートを、下記リンクから読むことができる。
http://www.fujitv.co.jp/event/art-net/clsc_02mumu/011.html

Edward Gregsonの協奏曲のCD

Yさん(というかPさん)より、来年の管打楽器コンクールの課題曲を教えていただいた。発表されていることを知らなかったのだが、本選がエドワード・グレグソン Edward Gregsonの「サクソフォン協奏曲 Saxophone Concerto」だって?2006年の初演ライヴを中継で聴いており、その後も実演やCDで何度か聴く機会があったが、およそコンクール向けとは思えないコンサート・ワークスという趣の作品。

こういった作品が課題曲になるとは、ちょっと意外だった。しかも第2楽章はソプラノサックス持ち替えだし、なかなか面白い選曲だよなあ。2次予選の課題曲にソプラノサックスの作品がいくつか入っている、とはいえ…?

Chandosから、グレグソン作品集として出版されているのはご存知のとおり。Amazonからも買える→Gregson: Concertos。おなじみの須川展也氏による録音で、初演の時よりもさらにパワーアップした隙のない演奏。当たり前だが、この曲の模範的な演奏だと言えるだろう。クラーク・ランデルが指揮するBBCフィルのクオリティも高い。

個人的には「サクソフォン協奏曲」よりも併録されている「トランペット協奏曲」のほうが好きだ。しかも、演奏はあのオーレ・エドヴァルド・アントンセン!技巧派という括りでは済まされない、とても歌のある演奏をされる方で、好きなトランペット奏者のひとりだ。こんなところでフィーチャーされているとは知らなかった。

2010/12/02

第2回サクソフォン交流会~参加団体募集~

昨年大成功のうちに終えることができたサクソフォン交流会だが、第2回の開催が決定したことは、既にブログでも公表したとおり。

ということで、参加団体の募集を開始する。詳細については下記公式ページから辿っていただきたい。

http://enjoysax.michikusa.jp/

※募集は終了しました。

2010/12/01

JacobTV Show、最高だった!

原宿VACANTで行われたJacobTV Show、本当に最高だった!

作品・演奏・音響・映像・会場全てがパーフェクトな一夜限りの貴重なライヴ。この場にいられたことを嬉しく思う。夜も遅いので、詳しいレポートはまた今度。

JacobTV氏レクチャー(前半)

先日行われたJacobTV氏のレクチャー内容をざっくりとまとめた。前半・後半・質疑応答の3セクションにわけてご紹介する。ところどころ文章がおかしいところがあるが、あくまで自分のメモ用なので…。

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JacobTV公開レクチャー@東京ワンダーサイト青山
2010/11/28 18:15~

* ペンネームの由来
- ニューヨークの音楽家たちが、フルネームである"Jacob Ter Veldhuis"を言うことができなかった
- そこで頭文字を取って、ペンネームのJacobTVとした
- 作曲家だがメディア・ミックス作品を多く手がけているため、レコード会社もこのペンネームを気に入っている

* オランダ
- ロンドン、パリ、ベルリンに近い
- ロンドンや東京のような一極集中型ではない
- アムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、ユトレヒトなどの、中規模都市が連なっている
- 作曲家にとって良い点
o 町と町の距離が近い(せいぜい50km)
o 町ごとにオーケストラ、現代音楽アンサンブルが存在
o jacobTV自身は、ユトレヒトに近い、オランダの中心部に住んでいる

* JacobTVの仕事場
- (パソコン、キーボード、電子ピアノ、数多くのディスプレイ、スピーカーが置かれている近代的な部屋の様子)
- キャリアの初期においては紙と鉛筆で作曲していた
- 作曲家に限らず、今では様々な道具を駆使するのがアーティストのスタイル

* 音楽家として
- 40年前に音楽の仕事を始めた
- 現在59歳
- 今手がけている音楽の種類:
o オーケストラ、室内楽:アムステルダムの出版社から出版されている
o BOOMBOX:BOOMBOX作品については、JacobTV氏のウェブサイトから購入可能

* キャリア初期

♪バンドの即興演奏

- 即興演奏のバンド
o 刑務所で演奏していた:音響が良いし、受刑者も喜んでくれる
o 即興を楽譜として残していったほうが良いと考え、徐々に作曲へと傾倒していった

* 転機となる作品
- ピアノのためのトッカータ(1988年)
- きっかけ
o 南イタリアで、1986年の夏の晩に不思議な音を聞いた
o 鳥(フクロウ)の声。ひとつの音だけがずっと聞こえている(メロディではない)
o ひとつの音だったのでとても退屈だったが、突然面白いことが起きた:鳥一羽一羽が、別の音程・メロディで鳴き始めた→その中にメロディが聴こえてきた
o 当時37歳、自分の音楽的スタイルを模索していた時期であった
o 周りの同僚・先生は難解な作品を作っていた。
- ピアノのためのトッカータ
o 2つの腕だけでなく、鼻までも使わなければいけない作品
o 現代音楽の複雑さに対するパロディでもある
o この作品を弾くピアニストの姿は、フクロウが獲物を捉える姿に重ねている

♪ピアノのためのトッカータ

o あまり強く弾き過ぎると、鼻血が出るのでご注意!
o 現代音楽界で好意的に受け入れられた
o ドイツの現代音楽フェスティバルでは「現代音楽における鼻の使用」について講演をした

* スタイルの確立へ
- 弦楽四重奏曲第3番
o 音の使い方:最低限の単音のみを使っていく
o 副題は、ボブ・ディランの言葉を引用した物
o 冒頭部:チェロ、ヴィオラのグリッサンド

♪弦楽四重奏曲第3番(ハンス・フォン・マーレンの振り付けとともに)

- この作品によって自分のスタイルを確立した、と感じた

* 作品のスタイル
- オランダの音楽学者が、JacobTVの作品を分類した
o Heaven Style: Slow, Ambient, Sprituality, Classical, High Art, East
o Earth Style: Fast, Groove, Reality, Pop, Low Culture, West
- 私にとっては、両方のスタイルに自分を見出していくことが必要
- Low Cultureの音楽の例
o 終身刑の受刑者の声をミックスした作品

♪Grab It!(Electric Kompanyの演奏)

- High Artの音楽の例
o チェロの協奏曲
o 昨年東京シティフィルが日本で演奏した

♪Rainbow Concerto

* 90年代なかば
- 「人の声が音楽的な性質を持っている」という発見
- 視覚芸術分野ではマルセル・デュシャンが既に行っている
- 音楽分野ではサンプラーの発明により可能となった
- 最初のBOOMBOX作品:TATATATATA
o フランスの年老いた退役兵が歌う2,3秒の軍歌
o タイム・ストレッチ、ピッチベンド操作
o チェロとのデュエット
o JacobTVが初演の場で行ったことは、ゲットブラスター(屋外用大音量ラジカセ)の再生ボタンを押す、それだけ

♪TATATATATA

* BOOMBOX Musicの確立へ
- TATATATATAによって、新たな可能性が広がるのを感じた
- 池谷薫監督「ドキュメンタリーの中に登場する人物は、役者となっていく」
o それと重ねて…私にとっては、周りを取り巻く環境すべてが音の素材となっていく

…「後半」に続く。

2010/11/28

面白かった!JacobTV氏レクチャー

東京ワンダーサイト青山で開催された、JacobTV氏のレクチャーに伺ってきた。いやあ、凄く面白かった!いくら解説を読んでも、いくら音楽を聴いても、作曲家の言葉に勝るものはない。トークやQ&Aはもちろん、様々なデモ音源、映像、さらには大石将紀氏のライヴ演奏まで付いて、1時間半に渡って至れり尽くせりの内容であった。

内容についてはなんとか上手くまとめて12/1以降にブログ上に書こうかと思う。Q&Aでは、いちばん訊きたかったことも訊くことができて良かった。

…が、その前に、まずはこちらでしょう:今週水曜日のJacobTV氏のポートレート・コンサート!大石将紀氏を中心に新進気鋭のサクソフォン奏者たちが、JacobTV氏の作品を吹きまくる!フライヤーだって、およそクラシック・サクソフォンの催しとは思えないポップなもの。これは聴き逃せませんぞ。ちなみに私は、新曲以外のプログラム冊子に載せる曲目解説を担当した。かなり気合い入れて書いたので、ぜひ。

【JacobTV Show】
日時:2010/12/1(水)19:00開演
会場:VACANT http://www.n0idea.com/
料金:前売2500円、当日3000円
プログラム:
Pitch Black, Postnuclear Winterscenario No.10, The Body of Your Dreams, Kaku!, Syracuse Blues, Buku, The Garden of Love, Grab It!(すべてJacobTV作品)
詳細・問い合わせ:
http://www.m-oishi.com/

フライヤー(クリックして拡大)

2010/11/26

JacobTV appears @ トーキョーワンダーサイト

詳細はこちら:http://www.tokyo-ws.org/aoyama/index.html

今回のJacobTV氏来日の折、レクチャーが2回行われるのだが、その一つ目が東京ワンダーサイトにおけるOpen Studioでの講演。

ヤコブTVアーティスト・トークでは、彼のオーケストラ作品、室内楽作品、ダンスとの作品、そしてBoombox作品(テープとの作品)についてお話頂きます。また、12月1日に行われるコンサートにも登場する大石将紀氏(サックス奏者)がモデレーターとして参加します!(トーキョーワンダーサイトの公式ウェブページより)

とのこと。たしかに私たちはJacobTV氏の音楽を聴いたことがあるし、演奏したこともあるし、そのバックグラウンドについても解説を読んで理解しているが、しかしそれでも作曲家本人の口から語られる言葉以上の、貴重な情報源はあるまい。とても楽しみな催しだ。…しかも、これが入場無料、というのが凄い。

【OPEN STUDIO 2010/11月】
日時:2010年11月28日 11:00-18:00
会場:トーキョーワンダーサイト青山クリエーター・イン・レジデンス
料金:無料(日英逐次通訳付き)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団

JacobTV氏のレクチャーは、18:15から20:00で予定されている。この日は昭和音楽大学サックスオケの演奏会もあるのだが…すみません、私はこっちに行きます(^^; 週末は長野県の実家に戻るので、当日は実家から直接会場に向かう予定。

次はFacebook?

ウェブページ、ブログ、mixi、Twitterと来て、次はFacebookあたりか?と言われているけれど、実際に私の周りに利用者も増えてきた。私もけっこう前からアカウントを持っていて、発言内容をTwitter「kuri_saxo」アカウントとリンクさせている。

「海外の利用者と交流できるのがいいなあ」と思って使い始めたのだが、最近では機能も充実してきて、使用者次第でいろいろなことができそうだ。mixi、Twitterとともに、うまく使い分けていければ良いなと考えている。アカウント名は私の実名のローマ字なので、ご存じの方は検索してみてください。

2010/11/25

Global Music Facilitiesから楽譜購入

今度の四重奏ネタとして、アメリカのとある作品に取り組もうと考え、その楽譜の探索を始めたのがひと月ほど前。有名な作品だ…というイメージがあったため、いつものSheet Music Plusアカデミアミュージックを探索するも、在庫を見つけることが出来ない。Sheet Music Plusにはリストすらされていないし、アカデミアミュージックはいつもの「ウェブページ上では在庫があるけれど、電話してみると在庫なし」という状況。

さらに探索を進めていったところ、ドイツのMusik-Direktで取り扱っていることを確認し、購入を試みたのだが、なんと日本への発送に対応していない!とのこと。海外のショップやオークションではよくあることなのだが、ここに来て手詰まりしてしまった。

作曲家にコンタクトをとろうか、それとも出版社にコンタクトをとろうか考えた挙句、出版元のBergez Music Publishingにコンタクト。いまでこそリンク先はいくつかの情報が掲載されているが、私が最初に見に行ったときには不親切にメールアドレスが書かれているだけであった。2回に渡ってメールを送りつけたところ、やっとのことで「我々から直接は買えません、Global Music Facilitiesに連絡をとってください」と回答を得ることができた。

そこからはトントン拍子。Global Music Facilities(エストニア)のBert Langeler氏に問い合わせしたところ、すぐに返信があって、目的の楽譜を購入できるとのこと!「ありがたい、買います!」とメールを送ったところ、通常の発送方法ではなく、なんとPDFでの楽譜送付を提案してくれた。送料も節約できるし、早いし、そもそも自分の楽譜管理方法がPDF化→Gmail飛ばし、であるので、これ以上の条件はないと考え、その提案のままリクエストした。その後、3日ほど待って楽譜がメールの添付ファイルとして送られてきた。支払いは、さくっとPayPalで。かかった料金は、純粋な楽譜代、たったの2800円。もしアカデミアミュージックなどを通して買っていたら、送料込みで6000円近くかかったのではないだろうか。

10年前までは考えられなかった楽譜購入のスタイルだが、このように実際に接してみると便利さに驚くほかない。20年先には、四重奏みんなで通信機能付きのタブレットを持ち寄って、欲しい楽譜はその場で検索 or エージェントにコンタクト、PDFファイル購入、初合わせ、なんてことが、日常的な風景になっているかもしれない。実際、狭い世界ではすでに行われていることで、あとはどれだけ拡がっていくか、というところだろう。

2010/11/24

The SAX Vol.44

アルソ出版のサクソフォン専門誌「The SAX」…最近は、比較的ジャズ、フュージョン寄りの記事が多かったのだが、11/25発売のVol.44において、なんとクラシック・サクソフォンに関する特集が組まれている。その名も、「Classic Saxophoneの源流を探る vol.1」。内容は、「私が考えるClassic Sax」「Classic Sax Player偉人伝」「音色を楽しむ名盤&定番アルバム」「"Saxophone Festival"徹底紹介」の4編。

なんと今回、編集部のO様より話を頂戴して「音色を楽しむ名盤&定番アルバム」のセクションを担当させていただいた(3ページくらい)。素晴らしい仕事をいただき、O様はじめ、編集部の皆様に感謝申し上げる次第。「手に入りやすいクラシック・サクソフォンのアルバムを18枚レビューしてほしい」ということだったので、私なりの基準で18枚ピックアップしてみた。どんなアルバムが選ばれているかは…ぜひ雑誌を読んでいただいてのお楽しみということで。改めて眺めると、ちょっと偏った感じを受けるが。

その他のセクションにも注目。特に、「Classic Sax Player偉人伝」は凄い。ミュール、デファイエ、ロンデックスといった歴史的奏者たちについて、そのお弟子さんが師の音楽感、思い出などを語る、というもの。

ミュール→ヘムケ
デファイエ→斎藤広樹
ロンデックス→佐々木雄二
ヘムケ→雲井雅人
ルソー→石渡悠史
阪口新→冨岡和男
大室勇一→須川展也
石渡悠史→北山敦康

という具合。すごい布陣だ。ちなみに、ミュールについては「そうか、来日中のヘムケ氏という手があったか!」と感心してしまった。大室勇一氏についての情報は、存命中のバンドジャーナルなどではともかく、近年ではとても珍しいものではないだろうか。また、今年のサクソフォンフェスティバルについても、貝沼氏が語る企画もなかなか。今から楽しみになってきた。

その他にも魅力的な記事がたくさん。表紙はヘムケ氏だが、そのヘムケ氏の経歴や音楽感を知ることができるロングインタビュー(インタビュアーは雲井雅人氏)など、最近のThe SAXの傾向からすると驚くほどクラシック・サクソフォンに対してページ数が割かれている。

ということで、ぜひ手にとってみてください(^∀^)Amazonでの購入リンクは、こちら→The SAX Vol.44

2010/11/23

アマリリス合奏団第23回オータムコンサート

おなじみmckenさんが参加されている、アマリリス合奏団の演奏会を聴いてきた。会場は府中の森芸術劇場のウィーンホール。国立音楽大学の演奏会に伺って以来だ。

【アマリリス合奏団第23回オータムコンサート】
日時:2010年11月23日(火・祝) 19:00開演
会場:府中の森芸術劇場・ウィーンホール
プログラム:
大野克夫/織茂学 - Konan
伊藤康英 - 木星のファンタジー
織茂学 - フルート三重奏のための「レスペデーザ組曲」
秋透 - 3つの富山県民謡
J.イベール - フルート協奏曲
広瀬勇人 - 春の小径
J.S.バッハ - イタリア協奏曲
織茂学 - サキソカーニバル!

管楽器編成に先立って最初に演奏されたKonanは、同名のテレビアニメの主題歌を壮大なクラシック風にアレンジしてしまったピアノソロ作品で、ちょっとびっくり。

続いて管楽器の演奏。アマリリス合奏団の中にはサクソフォン四重奏が二つと、フルートアンサンブルが一つ存在する。サクソフォン四重奏の二団体は、片方のチームが「木星のファンタジー」「イタリアン協奏曲」を、もう片方のチームが「3つの富山県民謡」「春の小径」を、それぞれ演奏し、最後に合同でサクソフォン八重奏「サキソカーニバル(新作)」を演奏していた。どちらも固有の音や技術や音楽性があるのは当然だが、それぞれの団体に共通しているのは安定した音楽の流れ。同じメンバーで長く続けていることの証なのかもしれない。

「木星のファンタジー」は、私も何度も演奏したことがあるが、単純な楽譜だけに演奏者によってこうも解釈が違うのかと、これまでにも実感すること数多。アルトがメロディを歌い出す場所、インタラプト直後の転調部分、最後のレント…。いろいろと感じとる部分が多かった。「富山県民謡」は、カッコイイ!確か雲井雅人サックス四重奏団の初演も聴いていたのだが、民謡のメロディにかなり技巧的なアレンジが施されていて、演奏会にはぴったり。今日の演奏もダイナミックで楽しいものだった。

休憩を挟んで後半は、イベールの「フルート協奏曲」がソロで演奏され、続いて「春の小径」という聞き慣れない小品。かわいらしくて聴きやすいイメージで、ちょっと音を出してみたいかも。さらにサックス⇔バッハでは定番の「イタリアン協奏曲」では、第一楽章の演奏に特に感銘を受けた。

そして最後に演奏された八重奏が、やはり本日の白眉。親交が深い織茂学氏の手によるもので、題名の通りに楽しく、演奏効果も高い作品だった。冒頭少ししてから奏でられるバス・オスティナートが、どう聴いてもチック・コリアの「Return to Forever」にしか思えない…のには笑った。速い部分や、ロマンチックな部分、各楽器に見せ場も用意されており、演奏者からの共感度も高かったようだ。

プログラム冊子にはこんな事が書かれていた。
私たちのコンサートも20回を超え、結成した頃は20代だったメンバーもほぼ全員不惑の年を過ぎました。思い返すと…その巨躯を練習したときの出来事、本番で演奏したときの気持ち、若かった頃の思いなどが曲と共に蘇ります。
発足当時からすればかなりメンバーも変わっているそうだが、23回を迎えてなお続けることで、演奏者の中で醸成されるもの、また、聴き手に感じさせる何か、というのも確かにあるようだ。自分がそうなったときには、どんな演奏をしているのだろうか。

2010/11/22

JacobTV: 来日!

明日はおなじみmckenさんの、アマリリス合奏団の演奏会を聴きに行くのだ。わーい。詳細はこちらから。

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で、これから今週から来週辺りにかけて猛プッシュすべき話題と言えば…。そう、

JacobTV、来日!!

ああ、もう嬉しすぎる。

実は初来日ではなくて、昨年2009年に「チェロ協奏曲」の日本初演のために来ていたようなのだが、その時はサクソフォン関連の催しは行われなかったはずだ。しかし今回は、大石将紀が主催するJacobTVのサクソフォン作品演奏会(新作&日本初演多数!)、そして東京ワンダーサイトと昭和音楽大学におけるレクチャーが予定されている。

私は今回、JacobTVのサクソフォン作品演奏会用に、プログラムノートの執筆を担当している。JacobTVの作品はナレーションが英語であるため、日本人に対して作品の面白さを伝えるためにはどのようにすれば良いか、執筆にあたっては試行錯誤の連続だ。しかし、その執筆もそろそろ終わりに近づき、今晩中にはなんとか上梓することができそうだ。

ここまで読んで「JacobTVって何?」というあなた!まずはこの辺とか、この辺(手前味噌ながら…)を観ていただきたい。しばらくこのブログはJacobTVモードになる予定。

2010/11/21

またまた國末さんの演奏会

曲目解説書きラストスパート中。実家にちょくちょく帰っているため、事務をこなす時間をあまり取れないでいる。

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またまた直前に國末さんの演奏会情報を教えていただいたので、掲載しておく。月曜日ということで、ちょっと私は伺えないのだが、お時間ある方はぜひ。

【國末貞仁CD発売記念サロンコンサート】
日時:2010年11月22日(月) 19:15開演(18:45開場)
会場:ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京アーティストサロン
料金:2,000円(全席自由)
問い合わせ:ドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京 03-5909-1771

國末さんからのメッセージはこちら:

9月15日にカフアレコードより発売された僕のソロデビューアルバム「The Last Country」(CACG-0157)の発売記念コンサートをドルチェ楽器管楽器アヴェニュー東京アーティストサロンで開催致します!

開演は少し遅めの19:15。

プログラム1曲目は、明日11月22日は「いい夫婦の日」にかけて、エルガーの「愛の挨拶」でご挨拶。

そして、2曲目はCDの1曲目に収録したカナダの作曲家・ベダールの「ファンタジー」
とても爽やかな曲想と昼ドラの音楽を想わせるような中間部のメランコリックなメロディーが印象的な僕の大好きな曲をソプラノサクソフォーンで演奏致します。

続けて、石毛里佳さん作曲の「down down down」。
この曲は僕の委嘱作品で、都内で演奏するのは今回が初めてです!!
石毛さんらしいカッコいい曲です!

そして1部の最後に僕のこれまでの演奏家人生の中で最多演奏回数を誇るミヨーの「スカラムーシュ」。ほんとにバランスのよい楽しい曲で、大好きな曲です。

休憩のあとは、共演の素晴らしいピアニスト・まりっぺこと中村真理さんのピアノソロでショパンの「幻想即興曲」をお聴きいただきます。
まりっぺファンにはたまりませんね。

それから、同じくショパンの「ノクターン作品9の2」をサックスとピアノで演奏させていただきます。
どうしてもノクターンのあの美しいメロディーをサックスで吹きたくて(笑)

そして、その後は、クレストンというアメリカの作曲家の書いた「ソナタ作品19」を演奏します。
僕が芸大受験時代の2年間ずーっとずーっと練習していた曲です。
この曲を演奏するとその頃の気持ちを思い出すんです。
音楽ってそういうところが不思議だし素敵だな、って思います。

そして、最後に今回のアルバムのタイトル曲「The Last Country」。
この曲は高橋宏樹くんが僕のために書いてくれた曲です。
メロディーメーカーの高橋くんらしい哀愁漂う美しい旋律と思った以上に難しい後半の速いパッセージが聴き所です。

といった内容でお送りする約1時間半のコンサートです!

ぜひぜひ聴きにいらして下さい!

浦和で練習

来年の5/22を当面の目標とした四重奏の練習。過去曲と新曲を取り混ぜて、なんとなくプログラムも固まってきたが、できるかどうかとか、だいぶ見通しが立たない部分があるような、ないような。とりあえず楽譜については、あっちこっちに手を伸ばして無事に入手できそうである。

遊びで「彼方の光」「木星のファンタジー」を簡単に、またクリスマスシーズンが近いということでサキソフォックスの「クリスマス・キャロル・メドレー」「サンタクロース・メドレー」を合わせてみた。サキソフォックスの2曲は、それぞれ石川亮太氏
、高橋宏樹氏によるアレンジで、とても面白いし吹きごたえもあると感じた。ただ、使えるシーズンが限られているんだよなあ…。

その後は実家へ移動し、今は録画された「カリオストロの城」を見ながら某プログラムノートを執筆。こちらはもう少しで完成し、上梓できそう。

2010/11/18

【演奏会情報】YaS-375 3rd Concert

國末さんから演奏会の案内を頂戴した。…のだが、なんと明日は自分が幹事をやっている会社の飲み会のため、伺うことができない(>_<)

サクソフォン2本+ピアノという編成の団体の中では、オリジナル曲も交えながら親しみやすい演奏を繰り広げる、稀有な存在だと思う。初めての人が聴いても楽しいし、マニアックな人が聴いても楽しいのだ。そういえば、Ferrer Ferranの「PARSAX」を聴いたのはYaS-375の1st(サロン)コンサートが初めてだったのだ。

【YaS-375 3rd Concert】
日時:2010年11月19日 19:00開演
会場:東京オペラシティ・リサイタルホール
料金:一般4000円、学生3000円
プログラム:
S.ジョプリン - エリートシンコペーション
W.A.モーツァルト - ディヴェルティメント変ロ長調
P.ヒンデミット - コンチェルトシュトゥック
長生淳 - パガニーニ・ロスト
C.チャップリン - スマイル、ライムライト
H.マンシーニ - ひまわり
N.ロータ - 道
加藤昌則 - オリエンタル
V.モンティ - チャルダーシュ

というわけで、マニアックな聴きどころをひとつ解説。加藤昌則氏の「オリエンタル」は、サクソフォン2本+ピアノという編成の作品の中で「PARSAX」を上回るほどにかっこいい曲だと思う。元々はヴァイオリンとアルトサックスのために書かれたということだが、ヴァイオリンパートはソプラノサックスに置き換えられとんでもないことになっているし、アルトサックスだって須川氏のために書かれたということで、技巧的な部分が満載だ。明日の演奏が日本初演となる。これはライヴで聴きたかった!

2010/11/17

秋の夜長にBISの名盤を…

たまにはこんなスタンダード盤を聴きたくなることもある。普段からちょっと外れた場所(?)の音楽を聴いているせいか、こういったクラシック・サクソフォンの基本作品集に立ち戻ると、耳がリセットされるような感覚がする。ご存知、クロード・ドゥラングル教授が、ロシアの作品に取り組んだBISの名盤「The Russian Saxophone(BIS CD-765)」である。→Amazonへのリンク

ロシアのサックス…というと、最近ではマルガリータ・シャポシュニコワ Margarita Shaposhnikova教授門下のセルゲイ・コレゾフ Sergey Kolesov氏やニキータ・ツィミン Nikita Zimin氏の活躍がめざましく、演奏の面からサックス界を席巻している感じがするが、作品だって面白いものが多い。というか、ほんの10年前までは作品ばかり出まわって、肝心の演奏者に関してはミハイロフやらオセイチュクといった名前くらいしか聞かなかったというのに…。と、話が逸れたが、ドゥラングル教授のこのアルバムは、タイトル通りにロシアのサクソフォン作品を集めたディスクである。

ロシアのサクソフォン作品、と言われて何を想像するだろうか。一般的にはグラズノフ「協奏曲」「四重奏曲」と、デニゾフ「ソナタ」…くらいまでだろう。このディスクに収録されているのは、デニゾフよりも現代寄りの作品たちだ。

Edison Denisov - Sonata
Alexander Raskatov - Pas de deux
Sofia Gubaidulina - Duo Sonata
Vadim Karasikov - Casus in terminus
Edison Denisov - Sonata for Alto Saxophone and Cello
Alexander Vustin - Musique pour l'ange

デニゾフとグバイドゥーリナはともかく、その他は見たこともない作曲者の名前ばかりだろう。たしかに、少し聴いたことのない印象の響きが多いが、いずれも美しい曲たちばかりである。例えば、和声の美しさやメロディの美しさではなくて、瞬間的な煌きのような美しさがある。色とりどりの音楽、というよりも、暗闇に浮かぶ光の音楽とでも言えばいいのだろうか。

デニゾフの「ソナタ」は、最近は録音も増え、いまさら…と思って久々に聴き始めたのだが、いやあ恐れいった。とんでもなく上手い。ドゥラングル教授はデニゾフのアドヴァイスも直接受けたというが、そういったレベルで済まされるお話ではない。楽器のコントロールといった点で、跳躍やアーティキュレーション、特殊奏法まで含めて、ここまでのレベルを達成できる奏者が、2010年となった今でも果たして何人いるだろうか…と思ってしまった。名演である。

終始難解な響きが空間を満たす「Pas de deux(2人の歩み)」は、パリ国立高等音楽院の試験曲として書かれた。サクソフォン、ヴィヴラフォン、チェロのために書かれた「Musique pour l'ange(天使のための音楽)」は、調性感も伴っており、特に聴きやすい。この2曲は、いずれも隅々まで美しい響きに満ち溢れている。ヒーリングミュージックと言えば聴こえは悪いが、音楽というよりも環境音に近い部分にある作品なのかもしれない。秋の夜長に、少し明かりを落として、この響きだけに溺れていたい。

2010/11/16

Dinant 2010: 本選動画

アドルフ・サックス国際コンクールの本選の動画のほとんどがアップロード完了したそうだ。ほんの5分ほど前、Adolphesax.comのダニエルさんにメールで教えてもらった(ありがとうございます)。下記リンクより参照できる。

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_hwdvideoshare&task=viewcategory&cat_id=30&Itemid=727

今日はもう遅いので、明日仕事から帰ってきてからじっくり観てみよう~。

JASRACからの請求

2年前の演奏会で演奏したJacobTVの「Grab It!」と伊藤康英先生の「木星のファンタジー」について、JASRACより演奏料を請求された。

オランダの著作権団体がJacobTV作品の演奏について調査し、JASRACを通じて演奏料を徴収しようとしたことが、事の発端。当該演奏会は入場無料の演奏会であったため、演奏料の支払いについては気にも留めていなかったのだが、入場無料だったとしても、出演者の誰かに対してギャラが支払われた"演奏会(曲ではない)"は徴収の対象となってしまうだとか。その演奏会には、グラズノフ「協奏曲」の独奏者として、またラージの「セント・ポール組曲」と「木星のファンタジー」の演奏者として、松雪先生をお呼びしたため、その部分が引っかかってしまった。

このことについては初めて知った。当時、演奏会に際していろいろと調べたりして漏れがないように押さえていたはずだったのだが、こんなところにミスがあったとは。まったく、無知とは罪なことである。…ということで、だいぶ凹んでしまったのだが、一度失敗したことは繰り返さないようにしないと(まあ、さすがにこんな簡単なことはもう忘れませんヨ…)。

ちなみに徴収された金額だが、2曲合わせて1000円弱、といったところ(請求書が到着していないので、まだ正確には判らない)。比較的お安く済んだのは幸い。

ちょっと疑問を感じる部分もいくつか。例えば、なぜギャラが発生した演奏曲目ではない「Grab It!」になぜ演奏料がかかるのか?とか、なぜ入場者数ベースではなくキャパベースの徴収料金なのか?とか。だが、平日にしか対応できないというし、演奏料もそれほどかからなさそうだということで、疑問を言うだけ言って交渉せずに支払うことにした。中途半端な交渉だと、時間のほうがもったいなく感じてしまう。

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2011/1/3追記:顛末はこちら

2010/11/15

第2回サクソフォン交流会開催予定

今年4月に成功のうちに終えたサクソフォン交流会だが、来年4月に第2回を開催する。今年はどんな催しとなるだろうか。今からとても楽しみだ。

【第2回サクソフォン交流会】
日時:2011年4月30日(土曜)
会場:小松川さくらホール・多目的ホール(都営新宿線「東大島駅」徒歩10分)
料金:入場無料
プログラム:
参加団体によるアンサンブルステージ 他
詳細:
http://enjoysax.michikusa.jp/

2010/11/14

Dinant 2010:総括

運営者でもなく、参加者でもなく、オンライン上からのただのいち観戦者に"総括"も何もあったもんじゃないが(^^;

第5回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)2010は、ベルギー出身のサクソフォン奏者、シモン・ディリク Simon Diricq氏の優勝で幕を閉じた。すべての日程が終了した今、参加者の皆様の健闘に心から敬意を表し、また運営陣営に対しても感謝を申し上げたい。

インターネット関連を全て担当しているAdolphesax.comチームのおかげで、日本にいながらにして参加者の演奏に触れることができたことは、当たり前のようでいて、実はとても稀有なことだ。10年前には考えられなかったことが、技術の進歩によってどんどんと身近な場所に浸透してきている。携帯電話の画面で、ベルギーの国際コンクールをライヴ中継で観られるなんて…!ただ、いくら身近な場所で楽しむことができるようになっても、コンクールの権威は常に高い位置を維持したままであるのだなあと感じ入った。メディアが発達し、高クオリティのソースまでもが叩き売される世の中だが、あるところにはあるものだ。

フランスのサクソフォンの強さには、素直に恐れいった。ファイナリストの国籍は様々だが、ほとんどがフレンチ・スクールに属する奏者であるという状況は、(ちょっと予想していたけれど)蓋を開けてみれば圧倒的であった。また、ロシアのシャポシュニコワ教授の門下生が第2位入賞というのも、ロシアのサクソフォンに対する認知がさらに進むという点で、興味深い出来事だ。日本からも、ぜひ次は入賞者が出て欲しいところ。ファイナリストに日本人がいないのは初めてだった。

それにしても、国際コンクールは面白い!!まさに、スターが産まれる場所だ!!

日本語ページ:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_jap.html
English Page:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_eng.html

次は、2011年に開かれる第3回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールだろうか。すでに課題曲も発表されている。こちらも、余裕があったらぜひ追ってみようと考えている。

Dinant 2010: Final Round Results

1st: DIRICQ, Simon (Belgium)
2nd: ZIMIN, Nikita (Russia)
3rd: SOUILLART, Alexandre (France)
4th: RAUTIOLA, Joonatan (Finland)
5th: ROGINA, Miha (Slovenia)
6th: NOVIKOV, Evgeny (Russia)

2010/11/12

Ferrer Ferran "PARSAX"の作曲者公認録音

昨日、Twitterを眺めていたときにふとフェレール・フェラン Ferrer Ferranの「Sonatina - Parsax」のことを思い出して、久々にこの曲について調べてみた。この曲は、2本のアルトサクソフォンとピアノのための作品である。3つの楽章から成り、クラシックの書法で書かれていながら、バラードやポップス(ジャズ)のような親しみやすい外観を持ち、「サックスのデュエットで何か良い曲ない?」と訊かれたときには必ずこの曲をオススメすることにしている。

Tsukuba Saxophone Quartetのソプラノ吹きのNとともに、かつて2回ほど演奏に取り組んだ。私は2ndだったが、フィンガリング的に微妙に難しく練習に苦労した覚えがある。1stは、フィンガリングに加えてフラジオもきちんと吹かねばならず、もっと大変だったようだが。1997年にスペインで開かれた世界サクソフォン・コングレスに際してサックス吹きのラミレス兄弟のために作曲された。日本初演は服部吉之先生とファブリス・モレティ氏(1stと2ndはジャンケンで決めたらしい)が行っている。国内でも少しずつ演奏される機会が増えてきており、嬉しい限り。

作曲者ご本人の作品解説ページを訪れたところ、全編の参考音源がアップロードされていた。
http://ferrerferran.es/Obras/Sonatina.Parsax.htm

ステーブルなテンポで鳴らしきり、サックス二本が重なる部分の和音も倍音レベルまでしっかりとコントロールされており、とても完成度が高い演奏だと思った。ちょっと解りづらいが、上記リンク先ページの三つ並んだ音符アイコンをそれぞれクリックすると、第1楽章、第2楽章、第3楽章を聴くことができる。

作品の良さを、音源と共に伝えられるのは嬉しいなあ。音の世界ならば、百読は一聴にしかず、とでも言えようか。

2010/11/11

Dinant 2010:ファイナリストのみなさんの経歴

NOVIKOV, Evgeny(ロシア)
ノヴォシビルスク特別音楽学校にてサクソフォンを始め、その後奨学金を得てフランスに留学。サン=モール音楽院でニコラ・プロスト氏に師事し、現在はヴェルサイユ音楽院でヴァンサン・ダヴィッド氏に師事。経歴からも判るとおりシャポシュニコワ流の演奏、というわけではない。ちなみに、この名前を調べようとすると、同名のラリードライバーの名前が多数引っかかる。

RAUTIOLA, Joonatan(フィンランド)
なんと、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーでは、あのペッカ・サヴィヨキ Pekka Savijoki氏のお弟子さんだったそうな!その後、モーリス・ラヴェル音楽院(クリスチャン・ヴィルトゥ氏に師事)、サン=モール音楽院(ニコラ・プロスト氏に師事)、パリ国立高等音楽院(クロード・ドゥラングル氏に師事)等で学んだ。前回大会のセミファイナリストでもある。ファーストネームは、ヨナタン、と読むそうな。

ROGINA, Miha(スロヴェニア)
もはや説明の必要もないでしょう。リュブリャナ音楽院でMatjaž Drevenšek氏に師事し、フランスへ留学。セルジー・ポントワーズ音楽院(ジャン=イヴ・フルモー氏に師事)、ヴェルサイユ音楽院(ヴァンサン・ダヴィッド氏に師事)、パリ国立高等音楽院(クロード・ドゥラングル氏に師事)等で学んだ。ピアノの李早恵さんとの室内楽団であるDuo Kalypsoにて、数々の国際コンクールで入賞しまくっている。前回、前々回大会ではセミファイナリスト。第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールでは3位を受賞。2007年来日時に初めて演奏を聴いたが、まさに圧巻であった(日本のサックスが、10年間置いてけぼりにされていると感じた)。

SOUILLART, Alexandre(フランス)
モーリス・ラヴェル音楽院(クリスチャン・ヴィルトゥ氏に師事)、モンペリエ音楽院(フィリップ・ブラキャール氏に師事)を経て、パリ国立高等音楽院第3課程でクロード・ドゥラングル氏に師事している。ADAMI(芸術家演奏家権利管理非営利団)クラシック大賞受賞。既に教員免許も取得し、いくつかの音楽院で教鞭をとっている。Osmose四重奏団メンバー。日本のサクソフォン奏者、安井寛絵さんと親交が深く、2009年に初来日した。

ZIMIN, Nikita(ロシア)
モスクワ第2地方音楽院(プロコフィエフ音楽院)卒業後、現在はグネーシン音楽学校でマルガリータ・シャポシュニコワ教授に師事。第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールでセミファイナリスト。第4回のアドルフ・サックス国際コンクール優勝者であるセルゲイ・コレゾフ氏と並ぶ、ロシアの若き俊英。YouTubeのここのアカウントに彼の演奏がたくさんアップロードされているが、豪快かつエモーショナルな演奏をする方である。

DIRICQ, Simon(ベルギー)
ベルギー王立モンス音楽院に学んだのち、フランスへ留学。ヴェルサイユ音楽院でヴァンサン・ダヴィッド氏に師事したのち、パリ国立高等音楽院でクロード・ドゥラングル氏に師事。現在は卒業している。いくつもの国際コンクールでの入賞歴がある。前回大会では、セミファイナリストだった。Ensemble Squillanteメンバー。

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経歴をきちんと調べると、見えなかったものが見えてくるが…。とりあえず結論としては、

フレンチスクール、強し!

といったところ。もう、圧倒的すぎて開いた口がふさがらない…。国籍が違えど、ほぼ全員がフランスで学んだ奏者である、という状況は、1978年のギャップ国際コンクールでの状況を想起させる。ちなみに今回は、前回まで幅を利かせていたスペインの奏者の参加が少なが、もしスペイン勢の参加比率が高ければ、ファイナルの状況が多少なりとも変わってきたのではないかとも思う。

Dinant 2010: Finalists

Here is the list of finalists of International Competition for Saxophone Adolphe Sax 2010 (Dinant).

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70

NOVIKOV, Evgeny (Russia)
RAUTIOLA, Joonatan (Finland)
ROGINA, Miha (Slovenia)
SOUILLART, Alexandre (France)
ZIMIN, Nikita (Russia)
DIRICQ, Simon (Belgium)

本選への進出者は、現地時間の20:30に発表された。前評判のとおりのビッグネームな奏者が通過したが、エフゲニー・ノヴィコフ Evgeny Novikovという名前は初めて聴いた。ロシア勢、強いですね。ちなみに、検索すると同名のラリー奏者の名前が出てきてしまい、マトモに調べることができない(追記:プログラム冊子を調べてみたところ、ロシア出身とはいっても学んだのはフランスがメインだそうな)。

本選は11/12より始まる。すでにご存じの方も多いかもしれないが、本選の演奏はライヴ中継されない。演奏者は、お互いの演奏を聴くことがルールで禁止されているからである。

(追記)
集計ページのアップデートも行った。さすがにファイナルともなれば集計・分析の必要も無いだろうと判断し、この程度の情報に留めておいた。
日本語ページ:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_jap.html
English Page:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_eng.html

2010/11/10

Dinant 2010:二次予選…

二次予選進行中。昨日は中島諒さんと、ドイツの女性奏者の演奏を聴くことができた。本日は頭から聴けたが、ミーハ・ロギーナ氏、アレクサンドル・スーヤ氏、ニキータ・ツィミン氏と、ビッグネームが連続するブロック。現在はニコラさんという、この方も非常に素晴らしい音楽性とテクニックをもったプレイヤーの演奏を聴いている。誰しも一歩も引かず(当たり前か)、それぞれが素晴らしい演奏を披露しているさまを聴くことができた。

それにしても、例えばロシア奏者の演奏は個人的にvery impressedである。前回のセルゲイ・コレゾフ氏もそうだったが、ハマった瞬間に一気に聴衆を惹きつける魅力的な演奏が飛び出す。時に愚直なまでのストレートな音楽表現は、その演奏者の精神性を覗く気がするのだ。私は、例えばジャズ、プログレッシヴ・ロック、タンゴ、フュージョン(特に国産)、ラテンといった音楽分野にも興味を持っているが、そういったものを聴くときに刺激される部分と同じところが反応するような、そんな気がする。

二次予選は、課題曲の「Kotekan」でかなり差が付いていると感じた。前回のアドルフ・サックス国際コンクールの本選で課題曲として委嘱された作品だが、奏者にとんでもない負担を強いる難曲だ。そしてピアニストも大変そう…。そこに引き続いて現れる選択曲で、転んでしまうこともしばしば…。いやはや、登攀することは容易ではないらしい。聴いているぶんには良いのだが。

ちなみに、「Kotekan」作曲者のPiet Swerts氏は、ピット・スウェルツと発音するのが良いらしい…と、審査員の原さんのブログに書いてあった。というわけで、みなさまもこれからそうやって発音しましょう(^∀^)ノ
http://blog.goo.ne.jp/hara-sax/e/385e14ec756fc7dd045223e90fc8cf76
原さんのブログ記事に書いてある「クロノス」四重奏版については、以前ブログの記事で取り上げた。ここから試聴可能。

2010/11/09

Dinant 2010:一次予選の動画

二次予選も始まったところで(いま中島諒さんの演奏をライヴで聴いているところ)過去の話に戻ってしまうが、一次予選の動画が、少しずつアップロードされている。まだ全ての動画はアップロードされていないが、今後少しずつというところだろう。

公式アカウントはこちら。
http://www.youtube.com/user/AdolphesaxTV

こちらは何のアカウントだろう?コンクールのウェブコンテンツに携わるAdolphesax.comの、Daniel Duranさんのアカウントだろうか?(おとといメールしたとき、ニックネームでDanyと名乗っていた)
http://www.youtube.com/user/dany1es

もちろん、二次予選も、非常に見ごたえがあって楽しい。やはり醍醐味はライヴで興奮を共有すること!秋の夜長はぜひディナンの中継を楽しみましょう。

2010/11/08

Dinant 2010:集計ページに二次予選情報追加

二次予選出場者のリストに加え、選択曲の割合、自由曲の状況についてもグラフを追加した。また、他の部分で多少の修正・情報追加を行った。

日本語:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_jap.html
英語:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_eng.html

それから、これはKei.Kさんのブログから引っ張ってきたものだが、一次予選の結果発表式の様子がYouTubeにアップロードされている。なかなか臨場感があって面白い。

Dinant 2010:Semi-Finalists

The information from Adolphesax.com http://adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=article&id=781&Itemid=761

Dinant 2010 Semi Finalists:

KUSHNAROV, Volodymyr (Ukraine)
LEE, Wonki (South Korea)
Mijovic, Blaz (Slovenia)
NAKAJIMA, Ryo (Japan) 中島諒
NIEDERSTRASSER, Kirstin (Germany)
Novikov, Evgeny (Russia)
PAGE, Stephen (USA)
Pellens, Pieter (Belgium)
Rautiola, Joonatan (Finland)
Rogin, Miha (Slovenia)
SOUILLART, Alexandre (France)
Zimin, Nikita (Russia)
Arsenijevic, Nicolas (France)
CVERLE, Peter (Belgium)
DIRICQ, Simon (Belgium)
Fusik, James (USA)
HONDO, Makoto (Japan) 本堂誠
HYDE, Joshua Malcolm (Australia)

日本人からの参加者で、2次進出者は2名。その他、ミーハ・ロギーナ氏、アレクサンドル・スーヤ氏、ニキータ・ツィミン氏あたりの名前が見える。

(追記)
集計ページのアップデートも行った。とりあえず速報扱いということで、細かい集計・分析・追記は後ほど。実は、いろいろと書きたい情報があるのだが追いつけていない。
日本語:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_jap.html
英語:
http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_eng.html

2010/11/07

Tsukuba Saxophone Quartetの演奏予定

Tsukuba Saxophone Quartet、いろいろと滞っていたり動いていたりなのだが「まずは演奏会を」ということで動き始めた。

2011年5月22日の午後に、東京都大田区の大田区民プラザにて演奏会を開催する。ほぼ確定。

プログラミングについてはまだ構想の段階だが、J.S.バッハ/伊藤康英「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より"シャコンヌ"」と、「Trip to Skye」「An Awen」は必ずプログラムに入れたいと考えている。その他、何とかして楽譜を入手しようとしている珍しい作品が2つと、楽譜は比較的手に入りやすそうな作品が1つ。四重奏ばかり、5曲ないしは4曲くらいだろうか。やりたい曲ばっかり集めたら、ジャンルがまちまちになりそうでちょっと心配。聴いて面白い曲であることに間違いはないはずだが。

実は、四重奏オンリーのプログラムってこれまでの演奏会でやったことがなくて、大体がいろんな編成を交えてのプログラムがほとんどだった(そういえば毎回ソロはやっていた)。ずっと四重奏ばかりだとお客様も飽きちゃうかなあと心配しつつ、しかしそういったなかでもTsukuba SQらしい演奏をしていきたいなあと思っている。

昨日の夜は練馬区にて練習のキックオフだった。響き過ぎの部屋で辛かったが、なかなか好感触。上手に練習を進めていきたい。

自主公演の演奏会以外にも、協会のコンクールに出てみたかったり(まずは録音審査が…汗)、第2回のサクソフォン交流会に出てみたかったり、その他なんやかんやで演奏したかったり、いろいろ。

Dinant 2010:Adolphesax.comチームによる写真

ディナンのネタばかりで恐縮ですが(苦笑)。Adolphesax.comチームは、ライヴストリーミングのみならず、この国際コンクールの写真を撮影し、公開している。もちろん、参加者のみならず審査員団の写真もたくさん…原博巳さんもいろんなところに写っている。すべての写真はFacebookで日付順に公開され、11/5の写真が最新。Exif情報が判らないのだが、被写界深度の浅い写真もあり、一眼かミラーレス一眼だろう。いずれも高クオリティ(演奏者の毛穴まで見える…とは言い過ぎか)。

http://www.facebook.com/photos.php?id=68736092987

上記ページはFacebookに登録していなくても見られるはずだが、ぜひこれを機に登録してみては?Twitterの次にはFacebookのブームが来そうな気がするなあ。

Dinant 2010:ライヴストリーミングリンク先変更

Adolphesax.comのチームによって運営されているディナンの国際コンクールのライヴストリーミングだが、リンク先を変更した。これまで、Ustreamのページへ直接リンクを張っていたのだが、ぜひ一度Adolphesax.comも訪れてほしい、とのこと(笑)。ということで、下記ページから飛んでください。

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70

何度かコンクール中継を観ている方ならば、もう大丈夫でしょう。上記リンクをクリックして、一番目立つ絵をクリックすれば、ストリームページへアクセスすることができる。さて、本日は一次予選最終日。今もライヴストリーミングを観ているが、150名近くの参加者のうち果たして誰が二次予選へと進出するのだろうか。前評判通りのビッグネームの進出、はたまた未知の大スターの誕生など…本当にドキドキする瞬間だ。楽しみだなあ。

2010/11/04

Dinant 2010: 5th International Competition Adolphe Sax Unofficial Info & Summary

I uploaded the unofficial information and summary of 5th International Competition Adolphe Sax (Dinant) 2010. Please click the link below. The page includes the information: the ratio of selected pieces and participants' nation in 1st round.

http://www.geocities.jp/kuri_saxo/notes/dinant2010/dinant2010_eng.html

I will update the contents of this page when each time 1st, 2nd and final round finishes.

2010/11/03

Dinant 2010:いつもの集計ページ

サクソフォンのための大きな国際コンクールのたびに書いている集計ページだが、今回も準備してみた。下記ページからたどっていただきたい。英語版を準備するようになったのは2008年のJML国際コンクールからで、Doug O'Connor氏からのリクエストがきっかけ。今回は、最初から作ってみたのだが…果たして国外からのアクセスはあるのだろうか("取り急ぎ"公開を目指したため、文章はまだまだサボリ気味ですが)。

http://www.geocities.jp/kuri_saxo/

曲目や国籍の集計は、かなり手間で、二つ合わせて1時間以上かかってしまった。プログラム冊子をゴールデンの情報源にしているとカウントミスなども頻発してしまって…。まあ、その一番大変な作業は無事終わって集計ページに反映できたので、良しとしよう。

いつもはHTMLのタグ打ちで作るが、手間と時間の問題を考え、Microsoft Wordで作成。ウェブページ変換の処理(特に画像…)は文句を言いたいところもあるが、お手軽さを考えればまあ良し。というか、HTMLとCSSとFTP使ってページをメンテすること自体、もはや時代遅れなのかもしれないなあ。何か別の管理方法を考えたほうが良いのだろうか。

2010/11/02

Dinant 2010、中継観てます

配信のホスト先が、Ustreamになった(URLは変わらず)。最初からそうすれば良かったのに…。

http://adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70

11/1の午後の部を少しと、11/2の午後の部を少し、それぞれ観ているが、いやあ、面白いですね!まさに人それぞれ、とても上手な演奏からだいぶ危険な演奏まで、いかにもコンクールらしい趣。

ゴトコフスキーとバッハと選択曲で差がつくのかな?と思っていたのだが、素人目から聴いてもその差は歴然。バッハまで聴いた時点で、「あ、上手いなー」と思えるプレイヤーと、そうでないプレイヤーが何となく判ってしまう(コンクールの恐ろしいところだ)。もちろん、会場では音色や細かなニュアンスまで聴きとることができるはず。そう考えると、いくら参加者が多いとはいえ、18人を選び出すのは審査員にとっては意外と難しくない作業なのかもしれない…。

プログラム冊子と、タイムテーブルは、下記リンクからたどることができる。視聴時の参考にされたし。

プログラム冊子(90Mbytes近くあるので注意): http://www.adolphesax.com/doc/Adolphesax.com_EUROP-A%20SAX%20Complet.pdf
タイムテーブル: http://www.adolphesax.com/doc/Adolphesax.com_Tableaurecapitulatifelimsite.pdf

2010/11/01

Dinant 2010開幕

ということで、11/1からアドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)開幕。最初の演奏は、プログラムによれば現地時間の14:00(日本時間の22:00)ころからのはず。ライヴ中継も観られることだろう。

審査員もようやく発表された(いつもはもっと発表が早かったのだが…?)。日本からは原博巳さんが選ばれている。審査員についてはまた今度書く予定。

http://adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=category&id=91&Itemid=720

2010/10/31

エスポワール第9回演奏会

直前までどちらに行くか決められず…だったのだが、散々迷った挙句にこちらへ伺った。

【エスポワール・サクソフォン・オーケストラ第7回定期演奏会】
出演:エスポワールSO、福井健太(cond.)
日時:2010年10月31日 13:30開演
場所:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
~第1部~
G.F.ヘンデル - "水上の音楽"より"Alla hornpipe"
R.モリネッリ - "ニューヨークからの4つの絵"より第1,2,4楽章
~第2部~
A.ドヴォルザーク - 弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"より第1,4楽章
E.モリコーネ/中尾敦 - ニュー・シネマ・パラダイス
吉松隆 - アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット
石毛里佳 - セレブレーション
~第3部~
B.バルトーク/深山覚 - "弦楽のためのディヴェルティメント"より第3楽章
R.ワグナー - "ニュルンベルクのマイスタージンガー"前奏曲
~アンコール~
E.エルガー - 威風堂々第1番

まず、ラージアンサンブルはさすがに驚異的な上手さを誇る。もちろん指揮者(プロのサクソフォン奏者)を迎えているということにも理由があると思うが、それだけではない、ラージアンサンブルにおけるサウンドと技術の"地"が、9年間(?)続けるうちに醸成されてきたということなのだろう。バランスや要所要所における見せ場など、もしかしたら音楽大学のアンサンブルと肩を並べている部分すらあるのではないか。バルトークやワグナーをすらすらと吹けてしまうなんて、よく考えたらとんでもないことだ。

そのぶん、小編成のステージはいろいろな演奏があって面白い。小編成のステージは、"ずっと固定メンバーで続けているグループ"というのは存在しなくて、基本的にはその年限り、というもの。プログラムが多彩なのも楽しい。石毛里佳さんの「セレブレーション」なんて初めて聴いたけれど、良い曲ですね!

モリネッリは、団員が楽章ひとつずつ独奏を務めた。ソロもバックもさすがの演奏で、客席が大いに湧いていたのも印象深い。ラージアンサンブル版は第1楽章や第2楽章でキーノイズが割り当てられている箇所があるのですね…これは新たな発見だ。バルトークは、第3楽章のみだったが、東京大学ブラスアカデミーの指揮者も務める深山氏の編曲。途中出現する各ソロが素晴らしかった(特にM氏が吹いたソプラノ・ソロは、テクニック、そして最終部の音色の変化に舌を巻いた)。ワグナーの、ストレスとは無縁のふくよかな響きは、余裕から来るものかな。

お客さんは7割くらいの入りで大盛況。さすがにこれだけ長い期間続けていれば固定客も多いようで、福井氏MCで「初めていらっしゃった方は?」の問いかけに、それほど手が挙がらなかった。素敵なホール、素敵な演奏で、回を重ねるごとに着実に地位を確立しつつあるようだ。

ついでに補足:ソリストの皆様の衣装がステキだった、某なかま○さんの曲紹介が素晴らしいと思った、アトムハーツの第1楽章はTarkusっぽくガリガリ吹いて欲しかったー、等々。

2010/10/30

どちらに行きますか?

エスポワール・サクソフォンーケストラと、サクソフォーノ・ロッソ。それぞれ、東京を代表するサクソフォンアンサンブル団体のひとつだと思っているが、その団体の演奏会が同じ日・同じ時間帯にあるとは…困った。実は、まだどちらに行くか決めていない。それぞれに魅力的で、それぞれにお知り合いがたくさん参加されていて…。明日の午前中に、コインでも投げて決めようかしらん。

【Espoir Saxophone Orchestra 9th Regular Concert】
出演:福井健太(cond.)
日時:2010/10/31(日)13:30開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
R.ワグナー - マイスタージンガー前奏曲
R.モリネッリ - "ニューヨークからの4つの絵"
B.バルトーク - 弦楽のためのディベルティメント
G.F.ヘンデル - "水上の音楽"より"Alla Hornpipe"

モリネッリの「Four Pictures from New York」は、サクソフォン奏者オーティス・マーフィ氏がレパートリーにしていることでも有名な、サクソフォン・ソロのための作品。作曲者自身が編んだサクソフォンオーケストラ版は、今回が日本初演となる。ひとつの楽章ずつ団員の方がソロを取るそうだ(3楽章は演奏されない、とも聞いた)。小編成ステージは、A.ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番"アメリカ"」、吉松隆「Atom Hearts Club Quartet」、E.モリコーネ「ニュー・シネマ・パラダイス」、石毛里佳「Celebration」。










【Saxofono Rosso 第8回演奏会 ~遠藤朱実先生を囲んで~】
出演:田中靖人(sax.)、西尾貴浩(cond.)
日時:2010/10/31(日)13:30開演
会場:府中の森芸術劇場・ウィーンホール
プログラム:
P.イトゥラルデ - ギリシャ組曲
E.ボザ - アンダンテとスケルツォ
H.トマジ/柏原卓之 - バラード(田中靖人, sax)
C.サン=サーンス/野村亮太 - 組曲「動物の謝肉祭」

やはり注目は田中靖人氏がソロをとるアンリ・トマジ「バラード」だろう。今や八面六臂の活躍である柏原卓之氏の手によるアレンジだが、委嘱初演となった東京芸術大学の演奏会(ソロは角口圭都さん)以来、何度目の演奏となるのだろうか。ラージアンサンブルでは、毎回素敵なレパートリーを演奏するロッソだが、今回は野村亮太さん(ラランさんのお弟子さんとしても有名)の手による「動物の謝肉祭」!これも聴いてみたい。

2010/10/29

Dinant 2010の一次予選スケジュール

開催が迫ってきた第5回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)だが、ようやく公式スケジュールが発表された。下記リンク先中段の、Horarios/Scheduleをクリックすると、PDF形式でスケジュールを参照することができる。

http://www.adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70

第1次予選は、11/1から11/7にかけて行われ、ここで2次予選への進出者18人が選ばれる。課題曲は、下記の3曲。
必須曲:
I.ゴトコフスキー「悲愴的変奏曲第6楽章」
J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番より最終楽章」
選択曲(1曲選択):
Pierre Liemans - A la Bonne heure
Nina Senk - Impetus
Jean Absil - Sonata
Jeno Takacs - Two Fantastics
Claude Pascal - Sonatina
Michel Lysight - Chronographie IX
Robert Muczynski - Sonata
Piet Swerts - Klonos
Frederic Devreese - 3 Pieces
William P. Latham - Sisyphus 1971

既に何人ものサクソフォン奏者が現地入りしている。時差や気候、慣れない環境での戦いは難しい部分もあると思うが、全員の健闘を祈りたい。…といっても、勝ち負けがついてしまうのがコンクールだが。

それにしても、審査員はわからないまま。いつもはかなり早い段階で発表されていたはずだが、今回はギリギリまで隠しておく方針なのだろうか。

2010/10/28

コテカン with ピアノ

超々難易度の作品として有名なピート・スウェルツ Piet Swertsの「コテカン Kotekan」。2006年の第4回アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)における本選の課題曲委嘱作品であり、2010年第5回アドルフ・サックス国際コンクールの2次予選の課題曲でもある。初めて2006年本選の動画を通してこの曲を聴いたときは、「??」という感じだったが、聴くにつれ面白い曲であると感じてきた。「クロノス」よりも「ウズメ」よりも高難易度、かつ演奏効果も高い作品だ。

その「コテカン」であるが、スウェルツ氏のMySpaceページに、サックス+ピアノという編成での録音が置いてあることを知った。スウェルツ氏のMySpaceページは、こちら

ちょっと解りづらいが、リンク先ページのMySpace音楽プレイヤーのなかに「KOTEKAN」というトラック名があるはず。トラック名左の再生ボタンを押すと、聴くことができる。演奏は2006年の覇者であるセルゲイ・コレゾフ Sergey Kolesov氏。ライヴ録音ということで、さすがにややミスや粗さも散見されるが、それにしても15分近くの長時間に渡ってこのような強烈な演奏ができるとは、恐れ入るばかりだ。ロシアのサックスって、すごいなあ。

開催が近づいているアドルフ・サックス国際コンクールは、オンライン中継&録画が予定されている。2次予選では、この曲のどんな素晴らしい演奏が出てくるのだろうか。楽しみに待ちたい。

2010/10/27

しらこばと音楽団@岸町公民館

日曜日はしらこばと音楽団に参加。岸町地区文化祭に合わせて「おんがくの広場」を開催し、いつものサックス四重奏+ピアノに加え、ピアノとカホン、ドラムサークルなど、"体験できる"音楽も含めて盛りだくさんでお送りした。今回のメンバーは、ニジマスさんのご主人、ニジマスさん、mckenさん、kuri、やまーさん。Cross-Road39の時と、同じ布陣。

相変わらず楽しくて「トトロ」から「長崎は今日も雨だった」まで、おもいっきり楽しんで吹いてしまった。お客さんもたくさんいらっしゃって、嬉しかったな。また、ニジマスさんのご主人と、デュエットを3曲ほど。ジャズのバックグラウンドを持つ方なので、さすがの素晴らしいフェイク(もちろん、extended!)を間近で聴けて興奮した。他の催し…ドラムサークルも楽しかったし、だがっぴあのカッコよさ&上手さには呆然。いやはや、驚いてしまった。

以下、自分が参加した編成のセットリスト(mckenさんのところから拝借)と、写真。

セットリスト(四重奏+パーカッション)
・セプテンバー
・勇気100%
・となりのトトロメドレー
・テキーラ
・L-O-V-E
・赤い靴~青い目をしたお人形~七つの子
・長崎は今日も雨だった
・崖の上のポニョ
セットリスト(デュオ+パーカッション)
・A列車で行こう
・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
・枯葉

2010/10/26

波多江史朗・松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会

先週末土曜日のイベント。私はお二人の門下生ではないのだが、主催のOさんに頼んでラージだけ乗せていただいた。なんとなくお知り合いも何人かいらっしゃって、さらに新しくお会いする方も何人かおり、個人的には「演奏よりもどちらかというと交流メイン」のつもりで参加した。

【波多江史朗・松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会】
日時:2010年10月23日(土)13:00開演
会場:板橋区立グリーンホール
料金:入場無料

Quartet Lotus: J.B.Singelée - Premier Quatuor Mov.1
ロメオとジュリエット: S.Watanabe - Dancing Fairy
はにかむず: J.B.Singelée - Duo Concertante
Quartet Unknown: E.Bozza - Andante et Scherzo
ぷりんせす くぁるてっと: F&M.Jeanjean - Quatuor
Plaisant Saxophone Quartet: A.Desenclos - Quatuor
Quatuor O: Woman in Scorpio, Bark at the Sun!
Quatuor P: T.Muramatsu - Far Away
バリっ子倶楽部: J.M.Leclair - Sonata No.1
Rouge et Noir: J.M.Leclair - Sonata No.2
チームまなかな: J.B.Singelée - Duo Concertante
Quatuor allo: J.B.Singelée - Premier Quatuor Mov.1,4
アバンチュール: J.S.Bach - Italian Concerto
講師演奏(波多江史朗、松井宏幸、泉谷絵里): F.Poulenc - Trio
ラージアンサンブル: B.Bartok - Rumanian Folksongs, M.Deighan Aux Champs-Elysées

最初はこんな長時間聴けるかなあと心配だったが、どれも凄くステキな演奏ばかりで聴き入ってしまった。演奏の感想は割愛する。デザンクロの四重奏曲は、やはり類稀なる傑作なのだなと思った。特に第1楽章…和声進行に耳を傾けていたら、聴きながら涙が出そうになった。デュエットについては、無伴奏ならルクレール or ヒンデミット、ピアノ付きならサンジュレになってしまうレパートリー認知の低さは何とかせねばなるまいと感じた。デュエットのレパートリーって、他にも素晴らしい作品ばかりで、スタンダードにとどまる必要は無いはずなのだが…。やはり、地道に情報発信していくしかない。

講師演奏は、プーランクのトリオをソプラノ(波多江氏)、テナー(松井氏)、ピアノの編成にて。リハーサルも含めて聴くことができた(贅沢…)。美しい音色と輝かしいテクニック、ということは言うまでもなく、極上の演奏を楽しんだ。この世界で一番幸福なユニゾンの音楽は、波多江さんや松井さんの音楽性にとても合っているような気がする。

ラージアンサンブルは、松井さんの指揮で「ルーマニア民族舞曲」と「オー・シャンゼリゼ」。「オー・シャンゼリゼ」の前に、松井さんの結婚を祝してサプライズでメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を(突然)演奏。面白かった。「オー・シャンゼリゼ」では、最初のテーマを波多江さんが演奏していたのだが、これがまた素晴らしくて。このフレーズを聴けただけでも、今回参加した価値があったかもしれない。…いやー、これは一朝一夕には真似できない、波多江さんのフレーズだ。自分だけの演奏をできる奏者って、日本ではもの凄く稀なのではないかと。

本番が終了し、池袋にて飲み会!お知り合いの皆様はもちろん、初めてお話する方もいて、とても楽しかった。いつもの通りだいぶ酔っ払ってしまったが…(笑)。また機会があれば、ぜひ参加してみたい。

デュトワ指揮モントリオール交響楽団のボレロ on YouTube

シャルル・デュトワのモントリオール交響楽団のコンビと言えば、私にとっては「ダフニスとクロエ」のディスクだ。その他にも、フランス音楽を取り上げたCDをいくつか聴いたが、そのコンビが演奏するラヴェル「ボレロ」の動画がYouTubeにアップロードされていた。1996年の来日公演@サントリーホールの模様だそうだ。…ということは、フルートは、ティモシー・ハッチンズかな?

サクソフォンの登場は、前半の5分~6分くらい。カナダということならば、ダニエル・ゴーティエ(その後ドイツに移住しているが)あたりが出てくるかな?と思ったのだが、テナー奏者もソプラノ奏者も知らない顔。ご存知でしたらぜひ教えてください。サクソフォンに限って言えば、あまりフランスっぽさは感じられない。

前半


後半

ミ・ベモル on YouTube

プロフェッショナルのサクソフォンアンサンブル団体として有名な、ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルの動画が、YouTubeにアップロードされていた。主に関西で活動している同団体だが、こうやって演奏を楽しむことができるのはありがたい。とは言ったものの、いつか一度くらいはライヴで聴いてみたいものだ(昨年の関東公演も伺えなかった)。

N.リムスキー=コルサコフ - "シェエラザード"より

動画冒頭で、既に飛び上がってしまう。この大人数でこの緻密なアンサンブル!ライヴで聴いた人は口々に「凄い!」というのだが、その一端を垣間見ることができる。いったいどんな練習をしているのやら、練習会場に忍び込んでみたいくらいだ(笑)

G.ホルスト - 組曲"惑星"より

これも凄いなあ。ミ・ベモルの楽譜は多くが出版されているが、おそらく同じように吹くことができる団体はまず他に存在しないだろう。それにしても、あの有名な三拍子のメロディ、サックスによく合いますね。

M.ラヴェル - ボレロ

正直ソロにはそれほど期待していなかったのだが(だって、ジャック・テリーやダニエル・デファイエ以上に吹ける奏者がいるとも思えないし…)特に動画の冒頭に出てくるテナーサックスソロには驚いた。もの凄く良いソロだと思う。アレンジも、想像以上に秀逸。

2010/10/24

この土日

いずれの本番も、楽しく終えることができた!土曜の波多江さんの門下発表会では、ステキな演奏がたくさん聴けたし、初めてお会いしてお話できた方がたくさん。日曜のしらこばと音楽団はお客さんがたくさん来てくれて、これもまた嬉しかった。

いやあ、充実充実。詳しくは後日。

2010/10/22

土日の演奏予定

土曜日は、波多江さんの門下発表会に、ラージと飲み会だけ参加。初めてお会いする方が多く、楽しみ。

【波多江史朗、松井宏幸門下生合同アンサンブル発表会】
日時:2010年10月23日(土)13:00開演
会場:板橋区立グリーンホール
料金:入場無料

日曜日は、おなじみ"しらこばと音楽団"で岸町公民館ジャック(笑)。

【しらこばと音楽団 presents おんがくの広場】
日時:2010年10月24日(日)9:00~15:00
会場:岸町公民館第3講座室
料金:もちろん無料

2010/10/21

国立音楽大学専攻生によるサクソフォーンアンサンブル2010(その2)

前回の記事の続き。

第2部までで、学生の小編成のアンサンブルステージが終了。ロビーに出てみると、お知り合いばかり。いろんな方にご挨拶することができた。

第3部、ゲストステージ。フレデリック・ヘムケ博士とオルガンの藤田恭子さんの共演。ステージへと登場したヘムケ氏、一曲目の「Simple Gifts」をさりげなく吹ききった。様々な録音で聴いたあの音、そしてあのヴィブラートだ。セルマー・サクソフォンを鳴らしきったときに聴こえてくる音が、会場を満たした。だが、それほど力んで吹いているようにも見えないのだよな…不思議。2曲目は、Frank Ferkoの「Nebulae」。立ちはだかるオルガンの強奏をさらに上回る響きで耳に届くサクソフォン。技巧的にもかなり難しいはずだが、強烈なオーラを発しながら会場をその音世界に巻き込んでいった。いくら小さな音でも、そしてサイドキーであったとしても、響きのレベルは常に一定である。

良く考えてみたら、私はミュールの直弟子の演奏を生で聴くのは初めてだった!サクソフォンの歴史の重要な一端に触れることができたわけで、この貴重な機会をサクソフォンに志を同じくする皆さんと共有できたことに感謝したい。アンコールは「赤とんぼ」。ただひたすらに美しかった。

演奏が終わって、雲井さんがヘムケ氏に簡単にインタビュー。後ろではサクソフォン・オーケストラへの舞台転換。聴くことができたという感動で、ポヤっとしていたかもしれない。

トリを飾るのは、下地啓二指揮の国立音楽大学のサクソフォン・オーケストラ。柏原卓之氏が構成した「サクソフォン・オーケストラのための"アイリッシュフェアリー組曲"」である。著名なバンドである、ケルティック・ウーマンの楽曲をサクソフォン・オーケストラにために再構成した作品だということだが、とても面白い楽曲で、さらに随所に工夫も見られ、充実した聴後感を得ることができた…というか、最終楽章の最後の音が鳴り響いた瞬間に「良いじゃん!!!」と心のなかで叫んでしまったのだった。ケルト音楽のメロディは問答無用で人の心に響くが、やはりそれも高レベルなアレンジと丁寧な練習・熱演があれば、さらに素晴らしい音楽へと昇華されていくのだなあと感じた瞬間だった。客席の湧きっぷりも凄かったですよ。

国立音楽大学のサックス科演奏会、良いなあ。来年も是非伺いたい。

2010/10/20

書き書き…

別所で物書きが忙しいので、まともな更新ができないかも。

国立サックスの感想その2を早く書かなければいけないのだが…。あと、週末の宣伝とか。書いている物の詳細については、またブログ上でもお知らせしたい。物書きといえば、来年のサクソフォーン協会寄稿用の記事、どんなテーマにしようかなあ。ボヤボヤしていると、気がつけば3月、というのはよくある話でして。

2010/10/19

国立音楽大学専攻生によるサクソフォーンアンサンブル2010(その1)

というわけで、昨日聴いてきた演奏会の感想を。

【国立音楽大学専攻生によるSaxophone Ensemble 2010】
出演:国立音楽大学サクソフォン専攻生、下地啓二(cond.)、フレデリック・ヘムケ(guest sax.)
日時:2010年10月18日(月)18:30開演
会場:府中の森芸術劇場ウィーンホール
料金:全席自由 800円
プログラム:
J.S.Bach/新川奈津子 - Piano Concerto Mov1
兼松衆 - October Song for 8 Saxophones
D.Maslanka - Recitation Book Mov1,5
J.S.Bach - Partita No.6
狭間美帆 - Beyond the Wind
G.Ligeti - 6 Bagatellen
Traditional - Simple Gift(フレデリック・ヘムケ sax.)
F.Ferko - Nebulae(フレデリック・ヘムケ sax.)
柏原卓之 - Irish Fairy Suite

国立音楽大学の演奏会は2年前にも伺った。このときも、充実したプログラミングと演奏の質に驚いたものだったが、今回はその印象をさらに上回るものだったと思う。例えば、2008年に聴いたときは、やはり演奏の多くはいかにも音楽大学らしいものであり、次の壁をクリアしようとする団体はひとつ(ベネット)くらいしか無かったと記憶する。だが、今回は殆どの団体が「普段の勉強よりももう一段上のステップ」の素晴らしい演奏を披露していたと感じた。聴き手の心に響く音楽は、何かを超えようとしている部分から生まれるものだと思う。

バッハの「ピアノ協奏曲」は、国立音楽大学大学院在籍中の新川奈津子(しんかわなつこ)さんによる、サクソフォン12重奏へのアレンジ。ピアノは入らない。とても丁寧な音作りで、コンサートの幕開けに相応しい響きがホール中に響いた。ポリフォニックな単一楽器の独奏譜を複数の単音楽器に落としこむのって、なかなか面白い効果を生み出すアイデアだと思うのですよ。

兼松衆氏の「October Song」は、解説の通りにジャズにヒントを得て、現代風の音響で再構成を施した3楽章からなる作品。これはカッコイイですね!こういった演奏会で聴くことができる"委嘱作品"の"世界初演"はある意味バクチみたいなもので、ヒドイ作品をいくつも聴いたことがあるが、これは疑いようのなき佳曲!調べてみると、きちんとしたジャズのバックグラウンドをお持ちのようで、たしかにそうでなければあのソプラノサックスのフレージングは描けないよなあ。演奏者の共感度が高いのも、聴き手に良く伝わってきた。

「レシテーション・ブック」。第1楽章と第5楽章。さすが、めちゃくちゃに上手い。自分も吹いたことがあるが、天と地ほどの差がありすぎて、ちょっと比較にならないくらいだ。もっと音楽に没入することで聴こえてくるこの曲の精神性というものもあるかもしれないが…?あ、あと、前ブロックで聴いていたせいかしら、バリトンの音量が妙に小さかったような。

バッハ「パルティータ」これは、4本のバランスの良いアンサンブルという点では、本日の白眉だったと思う。丁寧な練習の跡と、各個人が持つ響きの融和に耳を奪われた。小川が流れるように、技術的には殆ど淀みがない。"好きだからやりました"では到達できない領域で、アマチュアではこうは演奏できないだろうなあ。このメンバーでの他の曲も聴いてみたくなった。

世界にその活動の幅を広げつつある挟間美帆さんの「Beyond the Wind」は、5本のサクソフォンとパーカッション(カホン、サスペンションシンバル、ベル、ウィンドチャイム)のための作品。これも委嘱作品とのことだが、美しい部分と楽しげな部分が交錯した佳曲だった。各楽器にきちんと見せ場が用意されていて、兼松氏の作品と同様、演奏者の共感度が高い。

リゲティは、ソプラノサクソフォンの音楽性が輪郭を形作り、それに十分に応える他パート、といった構図が面白かった。聴こえてくる以上のハイ・テクニックを要求する作品だが、ちゃんとサックスではなく作品が聴こえてきた。3曲目の、ソプラノが旋律を奏で始める場所では、いったいホールのどこから聴こえてくるのか、というような上質な音に酔いしれ、6曲目ではよく練られた超スピードのスポーツカーのような演奏に飛び上がった。

あ。ちょっと長くなってしまったので、後半は次の記事にて。

2010/10/18

国立サックス科の定期2010に行ってきた

帰宅が遅くなってしまったので詳細は明日書くが、素晴らしい演奏会だった。

府中本町から府中の森芸術劇場まで歩くという、知っている人からすれば「バカぢゃないの!」と言われそうなルートを選択してしまったのだが、開演に間に合ったのは幸いだった。

お目当てのヘムケ氏ももちろん素晴らしかったが、学生の演奏の質が高いのも国立サックスらしいところ。音楽大学の演奏を聴くと、よくアマチュアの延長線に聴こえてしまったり、いかにも"音大です"といった感じの演奏だったりするのだが、本日の演奏の殆どは、"学生"という枠組みを越えてプロフェッショナルに向かおうとする気合いが感じられた。

明日詳細を書くために、インスピレーションをざっと書いておく。

バッハ:丁寧な音作り、美しい音色。演奏会の幕開けに相応しい。兼松:委嘱だが、なかなか秀逸な作品。演奏も楽しげで、ノッてしまった。マスランカ:さすが、超上手い。もっと音楽に没入した感じが聴きたかったかも。パルティータ:アンサンブルとしての完成度は本日の白眉。ずっと大人の演奏かと思いきや、魅せるところでは魅せる。狭間:パーカッションも加えての楽しげな演奏。客席の共感度も高い。リゲティ:超ハイテクニックが要求されるが、多くの箇所でテクニック的にクリアして、作品そのものを提示することに成功していた。第3曲のソプラノの冒頭が大変に美しかった。ヘムケ氏:オルガンとの共演。弱音のみずみずしさ、強音における圧倒的なパワー、サイドキーの美しさ、強烈なフラジオ。アメリカのサクソフォン界を牽引した存在の一端に触れることができ、感無量。ミュールのお弟子さんの演奏をライヴで聴くのは、これが最初で最後となるだろう…。ラージ:終わった瞬間に、「良いじゃん!!」と心のなかで叫んでしまった。アレンジが上がったのは●日前だったとのことだが、奏者の共感度はとても高かったような。最終楽章ではホール中を巻き込んで、大盛り上がりのテンション。楽しかった。

以上。…今日は、良いこと、楽しいことがたくさんあったなあ。

2010/10/17

アドルフ・サックス国際コンクール2010中継

開催が近づいてきたアドルフ・サックス国際コンクール2010だが、2006年に続き、今回もライヴ・ストリームでの中継があるようだ。利用する仕組みは前回と違うみたい。adolphesax.comの、http://adolphesax.com/index.php?option=com_content&view=section&layout=blog&id=14&Itemid=70に飛ぶ方法が最も一般的だが、他にも、下記のようにembedができたり、いろいろと便利な仕組みが用意されている。

アドルフ・サックス国際コンクール(ディナン)中継

URLからも明らかなように、中継の仕組み自体は、livestream.comにホスティングされているようだ。2006年は配信元サーバが弱すぎて放送が常に途切れ途切れだったが、今回は配信元サーバもきっと変わったことだろう。通信品質の改善がなされていることを期待したい。

"サクソフォン・アンサンブル なめら~か"第10回記念定期演奏会

おなじみ、Thunder's WebThunder's音楽的日常の、Thunderさんが代表を務めるサクソフォンアンサンブル団体"なめら~か"。もともとは音の輪という催しから派生して始まったアンサンブルなのだそうだが、その後メンバーの入れ替わりもありつつ定期的に演奏会を重ねて、今や10回!素晴らしいことだなあ。結成したころの様子は、Thunderさんの昔の日記(まだブログが登場する以前の日記だ…)から読むことができるが、なかなか面白い。

【サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第10回記念定期演奏会】
日時:2010/10/16(土)18:00開演
会場:横浜みなとみらいホール・小ホール
プログラム:
T.エスケシュ - タンゴ・ヴィルトゥオーソ
三浦真理 - ティータイムの画集
A.ピアソラ/啼鵬 - ミケランジェロ'70、ブエノスアイレスの冬、ブエノスアイレスの夏
A.リード - 5つのカメオ
G.ホルスト/啼鵬 - 吹奏楽のための第2組曲
P.A.グレインジャー - デリー地方のアイルランド民謡
N.リムスキー=コルサコフ - 交響組曲"シェエラザード"より第1,4楽章

この日は仕事だったため、さすがに最初からは聴けず(開演が18時…)。小ホールへ向かうエレベーターの中で、同じように遅れてきたと思われる御婦人方の「"なめら~か"って名前がなんだか良いわよねぇ」などというおしゃべりを横目(?)にホワイエへ。「ティータイム」の途中から聴いた。楽章の合間でも、ホールの係員さんが誘導してくれて入れるのですね。誘導されて入った最後方の座席からは、たくさんのお客さんとともに、舞台上の演奏者が見える。上質な室内楽の響き。後方の座席であっても、ちょうど良い響きで聴こえてくる。お客さんの数には毎回驚かされているが、長く続けていることによるものもあるのだろうな。

ピアソラは、ピアノに古関美香氏を迎えての編成。古関氏が「ラプソディ・イン・ブルー」を弾いたのは、たしか第8回だったかな?中高音域でのくっきりとしたタッチは非常に私好みで、特に「ブエノスアイレス」ではそれがプラスに働いていたような印象を受けた。もちろん、サクソフォンパートも熱演。せっかくだから、ブエノスアイレスに絞って全曲聴きたかった…というのは贅沢かな?啼鵬さんのアレンジも、改めて聴いてみてもやっぱり素敵だ。

休憩を挟んで、まずアルフレッド・リード氏の「5つのカメオ」。言わずと知れたなめら~かさんの委嘱作品で、第1回の演奏会に際して生み出されたもの。その後も何度か演奏の機会はあったようだが、記念演奏会ということで、改めて取り上げた、ということらしい。この曲の演奏に、とても感銘を受けた!第1楽章の冒頭からビビッと来て、楽章ごとのスタイルをきちっと描き分けながら進んでいく。各ソロも、本当に見事だった(私はテナーメインで吹いていることもあり、特にテナーのS氏のソロは鳥肌立ちました)。また聴いてみたい。

ラージは、ホルスト、グレインジャー、リムスキー=コルサコフ。バリトンには、mcken氏がゲスト出演の他、なんと斎藤了氏まで!おどろいた。ここでは、ホルスト、そしてリムスキー=コルサコフが楽しかった。リムスキー=コルサコフはどんな響きになるかと思ったが、楽器ごとの特徴を上手く生かしながら、さらにピアノまで巻き込んだThunderさん渾身のアレンジ。素晴らしかった。

別件の予定があったため、アンコールは聴けずに(>_<)退散。次回日程も決まっており、2011/10/22とのこと。楽しみに待ちたい。

2010/10/15

Sheet Music Plusの送料

Sheet Music Plusは、私も良く利用している楽譜通販サイト。品揃えと在庫が比較的豊富で、円高ということもあって最近はほとんどの楽譜をここから買っている。

ひと月程前に、海外向け発送のプランが追加された。そのお値段、なんと2.99ドル(!)。さすがに保険などは付かないと思うのだが、この安さは魅力的だ。なにせ、国内の通販サイト等から楽譜を買って送ってもらうのよりも安いのだ。入手時期さえ気にしなければ、国内から買う必要性を感じなくなってしまった。デフレな世の中だが、まさかこんな所にまで価格破壊の足音が聞こえてくるとは…。

2010/10/14

Simple Gifts

サクソフォン奏者のフレデリック・ヘムケ Frederick Hemke氏が、無事来日されたようだ。フルブライト財団のサポートを得ながらおよそ2週間国内に滞在し、マスタークラスや演奏などを行う。どうやら、今月18日の国立音楽大学のサクソフォン科定期演奏会でも演奏が聴けそうで、楽しみだ。10/25の石森管楽器でのマスタークラスも行ければ行きたいが、こちらはやや難しいかも。

さて、そのヘムケ氏のCDを紹介しておきたい。なんとサクソフォンとオルガンの共演盤で、はっきりとした情報が判らないのだが、おそらく2001年ころの録音だと思われる。出版は少し遅れて、2006年ころ。マイナーレーベルからの出版であり、入手はやや難しいのだが、Amazon.com等から購入できる。

「Simple Gifts(EnF Records 7005)」
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts I
Frank Ferko - Nebulae
Pamela Decker - Elegy and Dances
Traditional / Frederick Hemke - Three Russian Folk Songs
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts II
Alan Stout - Suite
Michael Johanson - Memento
Misha Zupko - The Seventh Seal
Timothy Broege - Musette-Chaconne-Forlorn-Time's Telling True
Richard Proulx - Fantasy on "Veni Creator Spiritus"
Kirk O'Riordan - Cathedral
Traditional / Frederick Hemke - Two Norwegian Folk Songs
Traditional / Frederick Hemke - Simple Gifts III

CDを再生してただただ驚くのは、その圧倒的な音色の存在感。「セルマーを鳴らしきっている音」と単純に書いてしまってもその印象は伝わるかもしれない。超高密度の輝かしい音色。どんな強音・弱音であろうと、いかなる場所にも隙間が見当たらない。ジャケットでヘムケ氏が携えている楽器にくっついているのはメタルの(おそらくジャズモデルの)マウスピースなのだが、このCDでも同じマウスピースを吹いているのかな?

ジャケット表紙の印象そのままの、気高く崇高な音楽である。"気高く崇高"とは言っても高飛車な感じではなくて、聴き手を抱擁するような優しさをも感じさせる。表題にもなっている「Simple Gifts」など、まるで歌手がさりげなく歌うような暖かさに満ちているし、かと思えば続く「Nebulae」ではオルガンの大音響と対等に渡り合うような存在感を示す。レコーディング時に、ヘムケ氏はおそらく65歳を超えていたはずだが…驚くばかりだ。

いくつかの作品は、実質的にこのCDのために書かれた新作といって良いものだが、それよりも、CDレコーディング時点までに既に作曲されていた作品が多いことにびっくりした。サクソフォンとオルガンというと、アンリ・ソーゲの作品くらいしか思い浮かばなかったのだが、意外といろいろあるもんなんですね。

さてさて、このCDを取り出して聴いたのも久々だったが、俄然来週の月曜日が楽しみになってきたぞ!

2010/10/13

A Transcription of Cesar Franck's Sonata

アメリカのサクソフォン奏者、トッド・オクスフォード Todd Oxford氏が、テキサス大学オースティン校博士課程を卒業する際に書いた論文をご紹介する。その名も、「A Transcription of César Franck's Sonata in A Major for the Baritone Saxophone」。最近よく演奏されるフランクの「ソナタ」(原曲はヴァイオリン)を、バリトンサクソフォン用に編曲した顛末を、論文形式でまとめたものである。

まずこのCDをご紹介しておこう。論文の発表とほぼ同時にレコーディングされた、オクスフォード氏のCD「Finesse(Equilibrium EQ-22)」。フランクの「ソナタ」をメインに、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」、ボザ「即興とカプリス」、ボノー「ワルツ形式のカプリス」という、真っ向勝負の4曲を、全てバリトンサックスの演奏で収録したアルバムだ。私が初めて買った全編バリトンサックスのアルバムでもある。Amazonへの購入リンクはこちら→Todd Oxford : Finesse

クラシックの分野で捉えてしまうなら栃尾克樹氏の「アルペジョーネ・ソナタ(Meister Music MM-1189)」と比肩するほどの素晴らしいアルバムだ。チェロ奏者などにアドヴァイスを受る等、時間をかけてレコーディングの準備が為されたということは知っていたが、まさか論文がベースにあるとは知らなかった。

論文の内容は、下記の通り。
Chapter 1 : Biography of César Franck
Chapter 2 : The Sonata in A Major for Violin and Piano
Chapter 3 : Preparation and Research
Chapter 4 : Preparing the Transcription

第1章がフランクの経歴、第2章が「ソナタ」の成立の調査。続く2つの章が、実際の編曲作業についての解説である。例えば、調性やアーティキュレーション、ブレスなどに関する考慮が、ひとつひとつ丁寧に解説されている。そして、本編にも増して面白いのは、付録だと思う。まず、テキサス大学のヴァイオリン科教授 Eugene Gratovichへのインタビュー、編曲を進めるにあたりたくさんのアドヴァイスを受けたという、チェロ科教授 Paul Olefskyへのインタビュー。さらにさらに、オクスフォード氏の編曲譜も、ピアノスコアとともに全て掲載されている。圧倒的なボリュームだ。

さらに素晴らしいことに、この論文はテキサス大学のデジタル・リポジトリから無料で入手可能なのだ。ぜひ入手して、多くの方に読んでいただきたい。