2009/09/03

Saxophone Extrême

今日はドラえもんの誕生日~♪あと103年待たなきゃいけないのか。長いなあ。

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「Saxophone Extrême(極端なサクソフォン)」と題されたチューバックス TubaxのCD。フランスのサクソフォン奏者で、XASAXのメンバーとしても有名なセルジュ・ベルトッキ Serge Bertocchi氏の演奏である。ベルトッキ氏とも親交が深い上田卓さんより送ってもらったもの。一時期に比べると、"チューバックス"という楽器の名前も非常に有名になったと思う。情報出たての頃はまだ試作段階だったものが、ドイツの管楽器メーカーであるエッペルスハイム社からの商用楽器の発売によって、一気に認知されたようだ。

Marie-Hélène Fournier - Corps noir convexe
Aurel Stroë - Clinamen
Serge Pertocchi - Vitrail
Johan Sebastian Bach - Suite No.2
Giacinto Scelsi - Maknongan
Kasper T. Toeplitz - Froz#3
Marc Monnet - Le Cirque
Serge Bertocchi - A J-C
Paul Bonneau - Caprice en forme de valse
Frédéric Couderc - Low Blues
Frédéric Couderc - Tube et axes

はっきり言うが、これは良い!低音マニアにはたまらない一品だ。まず、一曲目に置かれた「Corps noir convexe(凸状球体)」で度肝を抜かれる。チューバックス独奏のために書かれた作品なのだが、前半に聴かれるロックのようなグルーヴと、後半に聴かれる超高音による神秘世界、という対比が非常に面白い。全体を通しても、この一曲目「Corps noir convexe」の印象が突出しているように思えた。

聴きものはいくつかあって、例を挙げればバッハの無伴奏チェロ組曲第二番。超低音でゆったりと演奏されるバッハは、汗が飛び散るような暑苦しい演奏で、この曲が持つ新たな側面を引き出すことに成功していると感じた。驚いたことに、この曲でベルトッキ氏は長大なフレーズを吹ききるために、循環呼吸を使用している。通常のサックスと違って、息の量は少なくても大丈夫なのだろうか。フレーズこそ途切れないものの、吸っている場所はバレバレだが(笑)。

ボノーの「ワルツ形式によるカプリス」なんてどうだろう。通常音域の2オクターヴ下ということになるが、さすがにちょっと無理があるかな。しかし、このくらいのヴィルトゥオジックな曲にも、チューバックスが十分耐えうることを示したという点で、特筆すべきだろう。

その他のオリジナル曲の中には、「?」と思う曲もあれば「おお!」と感じる曲もあって、レパートリーという観点から見れば、まだまだ発展途上だという印象。ライヴエレクトロニクスとのデュオが既に書かれている、というのには驚かされたが…テプリッツの「フロズ#3」が、それ。そのためかどうなのか、このCDはエンハンストCD仕様になっていて、PCからアクセスできるPDFファイルにはチューバックスのための120作品ものリストが掲載されているのだ。

そういえば、チューバックスの演奏は、きちんと聴いたのは初めてなのだった。中高音域は、まるでバスクラリネットのような整った音がする。やはり普通のサクソフォン・ファミリーとは、構造的にも大きく違えば、出てくる音も違う、ということなのだろう。コントラバスサックスとは、似ても似つかない。サックスの形をしているが、サックスとは全く違う楽器なのだなあ、ということを再認識した。

2 件のコメント:

mcken さんのコメント...

遅ればせながら、私もたまたま数日前に ムッシュ・ベルトッキより送っていただき聴いてます。おっしゃるとおり、低音ファンにはたまらん内容ですね。日本語解説がありがたいです。個人的にはマクノンガンが♪
エンハンストなんですか? 今気づきましたが、なぜか内容が見られない (;_;)

kuri さんのコメント...

> mckenさん

たまらんですよねー。日本語訳はゆかり・ベルトッキさんでしょうか。フランス語は読むのが難しいので、大変ありがたいです。

エンハンストCDの内容は、ジャケットには書いてあるのですが、私もまだ内容は確認できていません。どうなっているんでしょうか…。