2009/09/22

デザンクロの(若き日の)経歴・作品リスト

我々サクソフォン吹きにとってAlfred Desenclosという名前は重要な位置を占めているが、詳しい経歴については良く知られていない。そこで、おそらく世界唯一のデザンクロ作品集であるCD「Desenclos - Requiem(Hortus 009)」のライナーノートから、彼の若いころの経歴について詳しく述べられている部分について、翻訳した。

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(…省略)1921年、Pas-de-Calais県のPortelに10人兄弟のうちの7番目として生まれた。彼は、家族の生活を支えるために20歳まで工業デザイナーとして働かなければならなかった。
経済的な理由から一般の勉強を続けられなくなったが、彼は1929年にルーベー音楽院のピアノ科に入学した。このときまでにデザンクロは、ピアノをアマチュアで弾いていた程度だった。
音楽院では粘り強い生徒として知られ、工業デザイナーとして働く傍ら、猛勉強の末に、ピアノ、オルガン、和声、音楽史などでいくつかの賞を獲得する。たった三年間のうちに習得した知識・技術でもって、彼は1932年に名門パリ音楽院に入学する。
デザンクロはパリ音楽院においても才能を発揮し、和声、フーガ、作曲、伴奏で賞を獲得した。そして1942年には作曲界の最も栄誉ある賞の一つ、ローマ大賞を受賞している。
この頃は戦争中とはいえ、パリにおける音楽家たちの活動はとどまるところを知らなかった。
デザンクロはパリ音楽院での勉強を続けるうち、自らの個性をネオ・ロマンティックの分野に見出していった(この時期、音楽誌の煽りによって、音楽の分野間の派閥争いは激化していた)。

しかしデザンクロは、争いや過剰な成功を好まなかった。自身が持つ才能とアイロニーでもって、自由闊達に筆を進めていくのである。学業においての努力を弛ませぬまま(この頃は既に、経済的な理由で学業を放棄することはなかった)、ローマ大賞受賞など様々なキャリアを積み重ねていくのであった。(…後略)

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以上。さて、デザンクロに関してもうひとつ資料を掲載したい。彼の作品リストである。寡作家であるため、すべてを挙げてもこんな程度なのだ。

L'Offrande Lyrique : 4 mélodies (soprano, orch)
Incantation, Thrène et Danse (tp, orch)
Concerto pour violon (vn, orch)
Symphonie (orch)
Messe de Requiem (soli, choir, orch)
Vitrail : suite d'orchestre en 3mvt (orch)
Fantaisie (hrp)
Trois pièces (pf)
Suite brève pour de jeunes pianistes (pf)
L'Offrande Lyrique (soprano, pf)
D'un troubadour (cl, pf)
Aria et Rondo (cb, pf)
Cantilène et Divertissement (hrn, pf)
Préambule, Complainte et Finale (hrn, pf)
Bucoliques (fl, pf)
Psylle (fl, pf)
Pélude, Cadence et Finale (asax, pf)
Plain-Chant et Allegretto (tbn, pf)
Incantation, Thrène et Danse (tp, pf)
Trois pièces dans le goût classique (tuba, pf)
Trois pièces (vn, pf)
Prélude, Cantilène et Finale (vc, pf)
Trois vœux à un nouveau-nè (vn, va, vc)
Quatuor de saxophones (saxq)
Quinttette pour cordes et piano (strq, pf)

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