2009/07/07

ギャルド1961年来日公演のCD

木下さんにご案内いただいた、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のCD/DVD。フランソワ・ジュリアン・ブラン&須摩洋朔指揮、1961年の初来日公演の録音と、ロジェ・ブートリー指揮1984年の来日公演の映像。いずれも、とんでもなく貴重な録音・映像であり、こういったものがまさかNHKによって放送され(昨年のNHK-FM「今日は一日吹奏楽三昧」での特集)、さらにNHKエンタープライズから商用リリースされるなど、誰も夢にも思わなかったことだろう。いや、ホントに…。

あまりたくさん感想を並べるのも野暮だなあと思いつつ、書いてしまうのだが、やはり1961年の録音については述べておかねばなるまい。正真正銘の史上最高の吹奏楽であり、吹奏楽という枠を超えた一流のクラシック音楽である。

H.ベルリオーズ - 序曲「ローマの謝肉祭」
F.リスト - ハンガリー狂詩曲第2番
須摩洋朔 - 大空
M.ムソルグスキー - 禿山の一夜
O.レスピーギ - 交響詩「ローマの松」
G.ビゼー - 「アルルの女」第2組曲より
M.ラヴェル - ボレロ
G.ロッシーニ - ウィリアム・テル序曲
~リハーサル~
C.ドビュッシー - 牧神の午後への前奏曲
J.S.バッハ - トッカータとフーガ

1950年代に黄金時代を迎えた、管楽器王国フランスの最高の形。その輝かしい音色とテクニックは、1970年代以降の吹奏楽の進化の歴史の中では失われてしまったものだ。そんなサウンドが、CDというメディアを通して21世紀に響くのである。そして、皮肉なことに、同じギャルドの1984年の演奏と比較することで、より一層1961年のライヴ録音の素晴らしさが際立つというか…。

プログラム的にも、実に興味深いというか、超弩級。ベルリオーズに始まり、リスト、指揮者を須摩氏に交代して、自作の行進曲とはげ山の一夜を吹き、「ローマの松」がメインと思いきや、さらにビゼー、「ボレロ」が続く。世の中広し、これまでの吹奏楽の歴史もそこそこあるとはいえ、このプログラムを実現可能なのは当時のギャルドだけではないだろうか。

こういった演奏を、吹奏楽に携わっている今の中学生や高校生、そしてその指導者たちに、ぜひ聴いてもらいたいところだ。今の時代の吹奏楽に浸かっている方々は、どういった受け止め方をするのだろうか。興味あるところだ。

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NHKクラシカル ギャルド・レピュブリケーヌ 1984年日本公演(DVD×1枚) 1961年日本公演(CD×2枚)

木下直人さんを始めとする解説冊子の豪華執筆陣にもご注目あれ(できれば、どの原稿もカット修正なしで閲覧したかったところだが…)。特に、当時の放送経緯を詳細に記したNHKメディアテクノロジーの辻本氏による解説は、大変に資料価値が高く、注目すべきものだと感じた。

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