2009/12/31

Piet Swerts "Klonos"の四重奏版

ピート・スウェルツ Piet Swerts氏の「クロノス」は、アルトサクソフォンとピアノのための作品。非常に至難かつな作品であり、しばしば国際コンクールの課題曲としても使用されるほどだが、一方でとても楽しくカッコ良いため、人気も高い作品であると思う。

私の好きなサクソフォン奏者、David Brutti氏の演奏。音程感覚がやや不思議な感じではあるが、そんなことを感じさせないほど、テクニック的に突き抜けている。隅々までよく歌われた演奏で(さすがイタリア人!)、素晴らしい。


その「クロノス」であるが、2008年に作曲者自身の手によって、サクソフォン四重奏のバージョンが作成されたらしい。全く知らなかったのだが…。スウェルツ氏の公式サイトで、Catalogue→Saxophoneと辿っていくと情報を確認できる。Zzyzx Quartetという不思議な名前の四重奏団がレコーディングを作成中であり、すでに彼らのウェブサイトで試聴可能となっている。

聴いてみると、「これはアリ!」という具合で、もともとのピアノとサックスのデュオバージョン自体もコンパクトにまとまった作品であったし、もしかしたら今後、サックス吹きの間でも流行るかもしれないなあ。Zzyzx Quartetが来年の7月に発表するCDの、収録曲目となることが決まっているそうだ。

第4回世界サクソフォーン・コングレスのプログラム冊子

1974年にボルドーで開かれた第4回世界サクソフォーン・コングレスは、初めてフランスで行われたコングレスだった。今でこそ、アメリカ、日本を始めとして、どの国もレベルの高いサクソフォーン奏者を擁しているが、当時、最高のサクソフォン国家と言えば、フランスであった(事実、1978年に行われた世界初の国際コンクールにおいては、フランスのパリ国立高等音楽院で学んだ5人が、入賞を独占している)。そんなわけで、かなり気合の入ったコングレスになっていたと伝え聞くが、そのコングレスのプログラム冊子を見つけたので、ご紹介したい。

Guy Bordierというバソン奏者&サクソフォン奏者の個人的なウェブサイトに、プログラム冊子のスキャンデータがアップロードされている。下記リンク先のページの右のほう、「Auditeur au 4 eme Congres Mondial de Saxophone a Bordeaux en 1974」と書いてあるリンクをクリックすると、スキャンされたPDFデータが開く。

http://christian.lemenager.free.fr/saxophone.htm

ノースウェスタン大学四重奏団のソプラノサックスに当時まだ学生だったロバート・ブラック氏がいるとか、リヨン音楽院四重奏団のバリトンサックスを吹いているのが、こちらもまだ学生だったクロード・ドゥラングル教授(!)だとか、現在のサックス界を見渡したときに、世界のトップクラスに立っているプレイヤーが、学生として四重奏団に参加している様子がわかる。

うおお!クロージング・コンサートでボルドー管弦楽団を降っているのは、なんとポル・ミュール(マルセル・ミュールのご子息)だ。1978年のギャップ国際コンクールを想起させるな。ここでも、デファイエ四重奏団はカルメルを吹いているのだな。

レパートリー的にも非常に面白い。やはり、当時最先端の音楽が初演されまくっており、フレデリック・ヘムケ氏が「ドリームネット」を吹き、デファイエ四重奏団がエディット・ルジェの「四重奏曲」を吹き、あ、そういえばデファイエ氏とルデュー氏がベルノーの「デュオ・ソナタ」を3楽章バージョンで初演したのもこのときだ、とか、ロベールの「カデンツァ」って、この時が初演なの?とか、挙げていけばキリがない。

…という風に、非常に面白い資料であるので、ぜひじっくりご覧頂きたい。

余談:この資料は、単なるスキャン画像をまとめたPDFファイルであるはずなのに、なぜかGoogleの文字検索により見つけることができた。知らなかったのだが、もう一年以上も前から、Googleは画像から文字を認識して(OCR)インデックスする、ということをやっているそうだ。

2009/12/30

Sheet Music Plus

Sheet Music Plusを利用する機会が増えている。言わずと知れた楽譜の通販サイトで、確かに以前から利用していたこともあったのだが、ここ1年ちょっとの円高で、もうほとんど国内の楽譜販売業者から買うことはなくなり、楽譜の購入は(よほどの急ぎでない限り)すべて海外から行うことにしている。

一番最初にSheet Music Plusを利用したのは、イィンドジフ・フェルドの「サクソフォン四重奏曲」を買った時であった。国内で楽譜を探すと、どうしても13000円とか11000円とか、ずいぶんと高くてうろたえた記憶があるが、Sheet Music Plusで、たまたま"室内楽作品の楽譜全品20%オフ"なるキャンペーンをやっていて、送料込みで8000円+α程度で買えたのだった。その当時は、かなりの円安だったにも関わらず、だ。

その後の円高で、さらに利用しやすくなってしまった。スタンダードな作品について品揃えが豊富、買う量によっては送料が安い(5ドルくらい)、通常1週間とちょっとで届く、等々、あまり他のストアを使う意味がないのだ。最近も、国内で買うと5000~6000円する楽譜をSheet Music Plusで購入したところ、4000円ちょっとで買うことができ、満足。

最大の弱さは、コアな(マニアックな)ラインナップの欠如だろう。全ジャンルの楽譜を扱っているため、その部分は割り切っているのかもしれないが、個人的にはまだまだ不満足だ(笑)。まあ、カスタマーとしては棲み分けを行えばいいのだから、気長に待とうと思う。

2009/12/28

空間音楽を聴く

目下、世界最高難易度のサクソフォン作品の一つではないかとも言われる、ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez「二重の影の対話 Dialogue de l'ombre double」。もともとグラモフォンから出版されていたブーレーズのエレクトロニクス作品集のCDに、原版であるクラリネット・ヴァージョンが収録されており、さらに一年ほど前にヴァンサン・ダヴィッド氏の演奏によってサクソフォン版のCD化がなされた。この驚異的な本作品を、CDで気軽に楽しめるようになったのは幸いであるし、ダヴィッド氏の演奏も素晴らしいのだが、本作品をきちんと楽しもうと思うと、やっぱり不足だなあと思う。

佐藤淳一氏の演奏、そして大石将紀氏の演奏により、これまで実演で2回ほど聴いたことがあるのだが、ライヴで聴く「二重の影の対話」は、すごい。6chものスピーカーを使用して、のっけから頭上を音が様々な方向に飛び交い、三半規管がグルグルしてくるような感覚すらおぼえる。電子音楽の世界ではSpatializationという名前が付いている効果で、音楽に空間芸術のエッセンスを加えた表現方法。CDで聴くことのできる、せいぜい2.1chとは大違いで、とてもエキサイティングなのだ。

CDで聴くと、どちらかというとその無数の音符のバラマキっぷりに耳が引き付けられ、「これは難しい作品だなあ」という印象が一番最初に浮かぶのだが、ライヴで聴くと印象は全く違う。一つ一つ発せられる音に、耳が追いついていかず、ちょっとしたトリップ状態に陥るのだ。音についていこうとして、突き放されるという感じ。

基本的に、音楽ってライヴで聴くほうが素晴らしいい印象を受けるものだが、空間音楽に関しては、殊、印象が別格かもしれない。あまり現代音楽という感じがせず、これはまさに体感する音楽!耳だけしか使っていないはずなのだけれど、なんというか五感を使う音楽のようにも思える。

「二重の影の対話」の演奏が毎月どこかであるわけではないけれど、もし機会があれば、ぜひ一度、ライヴで聴いてみることをおすすめしたい。

International Competition of Paris Ville d'Avray

このブログのコメント欄に、パリのVille d'Avrayで開かれるコンクールの要項が貼りつけられていた。書き込みを行ったのは、Jean-Louis Petit氏かな?

以下の情報は、募集要項から手写しでコピーしたものであるので、間違いを含んでいる可能性もある。正しい情報は、公式サイトを参照いただきたい。公式版の要項のPDFファイルは、こちらのリンクからどうぞ。

審査員:
Nicolas Prost
Christian Wirth
Claude Delangle
Jean-Louis Petit

予選課題曲:
Nicolas Bacri - Sonatina lapidaria
Pascal Zavaro - Rush
予選選択曲(1曲):
Pierre-Philippe Bauzin - Poème
Heitor Villa-Lobos - Fantasia
Franck Martin - Ballade pour saxo ténor
Darius Milhaud - Scaramouche

本選課題曲:
Florent Schmitt - Légende
Philippe Hersant - Chant hassidique
Jean-Louis Petit - L'un multiple

国籍制限がないのは普通だが、年齢制限がない、というのがおもしろいな。たぶん、日本からも何人か参加するんじゃないだろうか。それにしても、プログラムがマニアックすぎて、自分もほとんど知らない曲ばかりだ。

2009/12/27

中国の四重奏作品集

Prism Saxophone QuarteがInnovaレーベルから新しいアルバムを出したのだが、その内容が面白い。なんと、中国の四重奏作品集なのだそうだ。PrismSQというと、一番最初に出した(?)フィル・ウッズ他の作品が入ったアルバムは、どうもぱっとした印象がなかったのだが、その後コンセプチュアルなアルバムを立て続けに出している。昨年くらいに出したオルブライトの作品集や、JacobTVの作品集などは、内容も素晴らしいと思う。

Antiphony with Music From China(Innova764)
Wang Gouwei: Songs
Zhou Long: Antiphony
Lei Liang: Yuan
Chen Yi: Septet
Tan Dun: Shuang Que
Ming-Shiu Yen: Chinatown

(日本以外の)アジアのサクソフォン作品というと、2004年にダニエル・ケンジー Daniel Kientzy氏がKEAMSに吹き込んだ「KOREA-SAX」くらいしか思いつかないが、今後すこしずつ増えていくことだろう。まだ聴いていないのでなんとも感想を申し上げられないのが残念。

「KOREA-SAX」を聴き返してみると、外国から作曲スタイルを輸入した作品が多い。この「Antiphony」はどうなのだろうか。徐々にオリジナリティを獲得していくという、そういったプロセスを聴き続けていくのも、一つの楽しみだ。

2009/12/26

当たり前

いろいろな演奏団体が増えて、演奏会も増えるばかりで、なかなかすべてをカバーしきれなくなってきた。音楽だ学を出たサクソフォン奏者は数多く、留学して帰ってくるということも当たり前となってしまっている。

どんなジャンルの事柄でもそうだけれど、スーパースターが一人いるだけという時代は、とっくの昔に終わってしまったのかもしれない。良いことなのか、悪いことなのか、判断は難しいが…。

Boutry's new Concerto on YouTube

現在、ロジェ・ブートリー Roger Boutry氏はオーケストラアンサンブル金沢のレジデンス・イン・コンポーザーを務めている。その中で新作の「サクソフォン協奏曲」がブートリー氏に対して委嘱され、今年の9月にオーケストラ版、室内楽版(ピアノとのデュオ)、吹奏楽版が、それぞれ国内において世界初演されたことは、記憶に新しい。

そのなかで、吹奏楽版は林田祐和氏の独奏、ブートリー氏の指揮と、ホワイト・タイ・ウィンド・アンサンブル(洗足学園音楽大学の吹奏楽団)という組み合わせで演奏されたが、その演奏がYouTubeにアップロードされていた。

3楽章形式。独奏はソプラノ、アルト持ち替えで、バックの吹奏楽団の編成は、木管楽器を中心とした編成(バックバンドのアルトは、小川さんかな?)。林田氏の独奏は、音域によるコントロールのばらつきといったサクソフォンの弱点からは完璧に逸脱した、清潔感あふれる素晴らしい演奏だ。ブートリー氏は、けっこうなお年のはずだが、指揮を振る姿はオーラあるなあ。

・第1楽章


・第2楽章


・第3楽章

2009/12/25

増殖する温度~視覚芸術

ダッパーさんのCD当たった~♪これは素敵なクリスマスプレゼントですな。いや、届く時期を考えると、お年玉?

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12/23、代官山駅近くのアップステアーズ・ギャラリーに伺った。学生時代の吹奏楽団の後輩(ある意味では飲み騒ぎ仲間かも)が、その友人と一緒にグループ展を開くことを知り、比較的今の私の住まいから近いこともあって、伺うことにした次第。彼女は芸術専攻で、現在修士過程の2年生。今秋にはつくば市で個展を開催し、さらに現在は修了制作を控えているなど、忙しい毎日を送っているとのこと。

【増殖する温度】
出展:安部ゆかり、藤嶋卓、篠塚江里
日時:2009/12/13~2009/12/28 11:00~18:30(最終日は16:00まで)
会場:Upstairs Gallery(東急東横線代官山駅近く)
問い合わせ:03-3780-1165(会期中のみ)

それほど広くないギャラリー、さらに遠隔地ということで作品数もそれほど多くなかったが、大変見ごたえがあって、その後輩といろいろしゃべりながら、1時間半ほども長居してしまった。以前観て印象に残っていたのは、紙と鉛筆のみで作られた超巨大な細密画という趣の作品「L・R」というタイトルのものだったが、今回のメインは、その緻密さは残しつつ、全体にヴィヴィッドな色合いを載せた作品。バックグラウンドに人の顔がおぼろげに映り、その中心点から手前に向かって、華やかな線が踊り狂う。細かい仕掛けもたくさん施されていて、ずっと観ていても、次々に新しい発見があった。

私は絵画とか写真とかの視覚芸術に関しては、音楽以上にドシロウトで、感じたことを言葉にするのが難しいなあと感じてしまうので、なんとなーく、観ながら考えたことを個条書きにすると…

・ぱっと観て、「これはこういうものかな」というふうにイメージが固定されると、そこから離れることなく、コアとなるイメージの周りにごてごてとパーツをくっつけて、思考を膨らませていこうとする、という見方をしていることがわかった。

・音楽は時間軸上にマッピングされる芸術だけれど、視覚芸術は空間上にマッピングされており、全体像を把握するのが容易だ。これはすなわち、着目した部分について細部を観察しやすいということに繋がっているのかなと思った。

・作品そのものが発する即興的な面白さというのは、やっぱり音楽のほうが勝っていたりするのかしらん。絵画はその場に固定されていて変わりようがないからな。

うーん、きちんと勉強しないとだめですね(^^;本グループ展は、12/28日まで。お近くの方はぜひどうぞ。あ。いまふと思ったけど、絵画の印象を基にして、フリーの即興とかやったら面白いかもな。

2009/12/23

ハマ★クリ大舞踏会

先週土曜日の「ハマ★クリ大舞踏会」をちょっと振り返ってみたい。

ハマクリというのはヨコハマクリエイティブセンターの略。旧第一銀行の横浜支店の一部を移設・改築した美しい建物で、みなとみらい線馬車道駅に直結している。そのハマクリで、Ms Projectsというイベント企画団体が、サルサを中心としたダンスパーティを企画・運営し、そのダンスフロアでの演奏団体としてOrquesta de la Candaが呼ばれ…ということだったらしい。私は特にOrquesta de la Candaのメンバーではないのだが、今回いろいろご縁あって、エキストラのバリトンサックスで参加させていただいた、というわけ。

14時頃に会場入りし、PAセッティングやリハをこなし、18:50からの演奏に向けて備える。コロ(コーラス)を練習してみたり、おやつを買いに行ったり。そのうち暇を持て余してしまい、あまりにやることがないので、mckenさんからの情報をもとに、mckenさんとともにサクソフォンアンサンブル・なめら~かの忘年会に突撃。乾杯&ビールを一杯だけ頂いてとんぼ返り。リハのあとのビールって、美味しいなあ(爆)。

1stステージは少し遅れて19:00頃から始まった。フロアはダンスをする人で埋め尽くされて、吹いているこちらもテンションが上がりっぱなし。

♪1st stage
Engano
Que nos paso
Herida
A Puro Dolor
Rumba Y Salsa

2ndステージまで、1時間ほど時間が空く。参加者がダンスをするだけではなくて、パフォーマンスもあったりして、観ても楽しめるイベントだった。…が、やっぱり踊れた方が楽しそうだ。地道に覚えていこうっと。写真は、一番広いフロアの様子。いかにも「舞踏会」って感じの、石造りの豪勢な空間だ。外からも、中で踊っている様子が見え、なかなか面白い。

2ndステージも、テンション上がりっぱなし。自分の出来はともかく(?)とても楽しく吹けた。それにしても、福本氏のソロ(写真)は素晴らしかったなあ。この時ばかりはフロアのお客さんもダンスをやめて聴き入っていたし、後ろで聴いているこちらも思わずホロリ。打って変わって、Oyelo que te convieneやQuimbaraなどでは、超ハイテンションで、楽しかった。

♪2nd stage
Amigo
Oyelo que te conviene
Como fue(福本氏 solo)
Feliz Navidad(福本氏 solo)
The Christmas Song

♪Encore
Quimbara

当日の演奏の一部は、YouTubeにもアップロードされている。Orquesta de la Candaで検索してみてください(例えば、Enganoはこちら→http://www.youtube.com/watch?v=FsR2IMe6h2Q

2009/12/22

ダニエル・デファイエの生徒たち(その17)

昨日は、4/17に中目黒で開催を予定している某企画について、新宿で決起飲み?を行った。仕事が長引いてしまい、着いたときには21:30!しかし、西尾貴浩さんが話してくださる爆笑ネタを肴に、終電まで飲んでしまった。

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[1984]
新作課題曲:
Alain Bernaud - Rhapsodie
1er prix:
Jacques Baguet
Gérard Candel
Toshihisa Ogushi
Jean Marc Larché

卒業生のなかで注目すべきは、「ハッピーサックス」の小串俊寿氏。東京藝術大学を経て、パリ国立高等音楽院に留学。帰国後の活躍っぷりは、周知の通り。教育活動にも熱心で、様々な音楽大学で教えているので、おそらくお弟子さんも多いことと思う。私としたことが、「ハッピーサックス」まだ聴いた事ないんだよなあ…(>_<)来年こそは行かなきゃ。

以前レビューした「Ogushi's Ballade」。これ、良いです。収録されているのは、平たく言えばポップスなのだけれど、高潔さと親しみやすさ、その中間地帯を、幸せを振りまきながら歩みを進めていく、そんな素敵な演奏(どんな演奏だ)。まあ、聴いてみてください。短い曲だけれど「女心は秋の空」という作品が、個人的にはいちばん好きかな。「翼をください」もいいなあ。

課題曲は、アラン・ベルノーの作品。日本でベルノーと言えば「四重奏曲」がほとんどで、ソロの曲を書いているというのは、あまり知られていないと思う。どんな音なのだろうか。サクソフォンのための作品としては、バリトンサックスのために「ユモレスク」というソロ曲を、ソプラノサックスとバリトンサックスのために、有名な「二重奏のためのソナタ」を書いている。珍しいところだと、ソプラノサックスとチェロのための二重奏なんてのもあるそうだ。

Jacques Baguetは、ドゥラングル教授率いる伝説のいぶし銀カルテット(?)Quatuor Adolphe Saxのバリトンサクソフォン奏者としての名前を知っていた。クラシックに留まらずジャズも手がけ、さらに1993年からはシタール(インドの伝統楽器)を学び、現在も各所で活躍しているそうだ。Macon音楽院教授。

Jean Marc Larchéは、どうやらジャズの方面で活躍しているらしい。ECMレーベルに、参加アルバムを発見した。Gérard Candelについては、際立った情報を見つけられず。

2009/12/20

四重奏練習

つくば市で、四重奏練習。卒業してからはつくばに行く機会もほとんど無くなってしまったが、これからしばらくは練習で伺うことが多くなりそうだ。

John Whelan/Benoit Menutの「Trip to Skye」と、Gyorgy Ligetiの「Musica ricercata」を音出し&合わせ練習。「Trip to Skye」のほうは、本当に美しいメロディで、おまけにアレンジも素晴らしくて(原曲が持つ遅さ・もどかしさの面影がほとんどない笑)、あとは奏者の力量次第といったところ。「Musica ricercata」は、譜面を見た感じの3倍くらい難しく、かなり苦労しそうだ。そういえば、Fabio Oehrliという人のアレンジなのだが、ギョーム・ブルゴーニュ編の音とは、かなり違う感じがする。

四重奏練習のあとは、場所を移して2時間ほど個人練習。特にリゲティはけっこう無茶な譜面もあったりして(↑)大変だ。

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下の写真は、美しく飾り付けられた、つくばセンタービル"石の広場"の様子。そう、ライトアップじゃなくて、これぜんぶキャンドル!びっくりした。

昨日の横浜

昨日は、ヨコハマクリエイティブセンター(旧第一銀行横浜支店の一部を移設改装した建物)で、オルケスタ・デ・ラ・カンダのエキストラとして吹いてきた。楽しかった~。

詳しいレポートはまた後日。ちなみに、建物の外観はこんな感じだった。美しいですね。

2009/12/19

今日の演奏のご案内

先週に引き続いて、オルケスタ・デ・ラ・カンダというバンドのエキストラで出演。このイベントは、ほぼ完全にダンス系イベントのため、あまり音楽関係のお知り合いにプッシュできないのが心苦しいところだ(笑)。このブログを見ている方で、サルサをガンガン踊れちゃうぜ!という稀有な方は、お越し下さいませ~。

今日はmckenさんもいらっしゃるので、大変楽しみ。ついで、なんと今日もオルケスタ・デ・ラ・ルスの福本氏、ゲスト出演予定。なんと豪華な。

【ハマ★クリ大舞踏会】
日にち:12月19日(土曜)
会場:YCC全館 http://www.yaf.or.jp/ycc/(みなとみらい線・馬車道駅)
タイムスケジュール:
☆昼の部 14:00-16:20
◆Lesson 
 14:00-15:00  YASUJI&AKI Son 入門
 15:00-16:00  HIROSHI サルサ初心・初級
◆Work Shop
 15:10-16:20  HIROKO ON1 中級
☆夜の部 17:00-22:00 *ドレスコード有り
★SALSA Lesson(無料)
 17:30:18:00  YUKO(Los Salseros)
★Performance
 Los Salseros(Yuko&Manuel produce)
 Muchakucha(Hiroko produce)
 Golden Eggs(Tetsu produce)
 YASUJI&AKI
★Latin Live
 Orquesta de la Canda
★DJs
 Kura2・RON and more
Charge:
 Work Shop  2,000円
 WS+Party  4,500円
 Lesson  各1,000円
 only Party(1Drink)3,000円

2009/12/18

ダニエル・デファイエの生徒たち(その16)

[1983]
新作課題曲:
Pierre Ancelin - Saxophonie
1er prix:
Fabrice Moretti
Claude Héraud
Hervé Saillard
Bernard Guillaume

ファブリス・モレティ氏だ!フランスのナンシーに生まれ、ナンシー音楽院で、デファイエQのバリトン奏者としても著名な、名手ジャン・ルデュー氏に学んだ。16歳でパリ国立高等音楽院に入学、卒業時には、一等主席の他、審査員特別賞を受賞している。この審査員特別賞というやつは、なんでもパリ音楽院サクソフォン科の歴史上、ロンデックス氏とモレティ氏しか受賞していないということだから、驚き。コンクールの入賞歴としては、何といっても第1回アドルフ・サックス国際コンクール@ディナンでの第3位入賞が有名(第1位:ヴァンサン・ダヴィッド、第2位:ファブリツィオ・マンクーゾ)であり、その他にも数々のコンクールで入賞しまくっている。現在は、パリ市立ベルリオーズ音楽院教授。今はもうおそらく解散してしまった、ジャン・ルデュー四重奏団のソプラノサクソフォン奏者だった。

モレティ氏の演奏は、驚異的だ。テクニックがものすごいとか、高潔な美しい音色をしているとか、今はもうメインストリートから外れてしまった往年のフレンチストイルを受け継いでいるとか、素晴らしい点を挙げていったらキリがない。数年前に初めて生演奏を聴く機会に恵まれたが、そのときは本当に感動したものだ。聴きにはいけなかったのだが、今年も来日してD-SAXとイベールの「コンチェルティーノ」を演奏したそうだ。

モレティ氏のアルバム「SONATA!(Momonga Records)」。フランスのプレイヤーでフランスの作品、かつ手に入りやすい音盤、ということだったら、真っ先におすすめするCD。「プロヴァンスの風景」や「PCF」といったスタンダードな作品から、サンカンやリュエフ、服部吉之先生とのデュオで演奏されたベルノーなど、ちょっとマニアックな曲が入っているのも、良い。以前レビューした記事もご覧頂きたい。

…ということで、モレティ氏に関する記述が多くなってしまったが、この年の課題曲はPierre Ancelinの作品。1934年の生まれで、サクソフォンに関する作品はこの「Saxophonie」一曲しか書いていないそうだ。

Claude Héraud氏は、五重奏団 Atout Saxのメンバーとしての記述を見つけた。Clermond-Ferrand音楽院教授。この五重奏団、CDも出しているはずだが、今は活動していないのかな。Hervé Saillardとともに、Quatuor Ars Gallicaのメンバーでもあるそうだ。Bernard Guillaumeについては、際立った情報を見つけられなかった。

2009/12/17

Paul Brodie plays...

島根県のF様より送っていただいたCD-R。ポール・ブロディ Paul Brodie氏の小品集。ジャン=マリー・ロンデックスとポール・ブロディの二重奏の話になって、そんなことから送っていただけることになったものだ。ブロディ氏というと、カナダ出身のサクソフォン奏者で、Ambassador of the Saxophoneの異名を取る、大変著名なプレイヤーのひとり。レコーディング、演奏機会ともに、非常に多く世に出たとのことなのだが、世界中で聴かれているとは言い難い。実際、私もブロディ氏の演奏をきちんと聴くのは初めてだ。

出版はGolden Crest。ピアノは、George Broughという方が弾いている。

J.S.Bach - Bourree
E.Bozza - Aria
J.Ibert - Bajo la Mesa
P.Lantier - Sicilienne
A.Tcherepnine - Sonatine sportive
D.Milhaud - Brazilleira
E.Granados - Goyscas
R.Rungis & F.Maurice - Scherzo
C.Debussy - Syrinx
P.Maurice - Tableaux de Provence

ミュールのような、ふくよかな音色と深いヴィブラート。そして、息の長いフレーズ。いくつか演奏されているアレンジものを聴くと、往年のフレンチ・スタイルを彷彿とさせるような感覚を覚える。弱音でのヴィブラートから始まる、ボザの「アリア」なんか、ぞくぞくしてしまう。やや残響が不自然なのだが、これは人工的に擬似残響を入れているのかな?

ただ、一方で(Fさんも指摘していたが)テクニック的にかなり難があるのも事実(^^;速いパッセージになると、リズム処理が崩れるし、せっかくの美しい響きも一緒に引っ込んでいってしまう。ミヨーの「ブラジレイラ(=スカラムーシュの第3楽章)」や「プロヴァンスの風景」では、開き直って楽譜まで変えてしまっている!それはどうかとも思ったが(笑)こちらも、ある意味聴きものなのかな。

2009/12/16

IBC SE plays Gotkovsky! on YouTube

サクソフォーン・フェスティバルのレセプション時の会話。「IBCさんの演奏動画、YouTubeにアップしてくださいよー」「あ、実はあるよー」…ということで、探してみたところ、あっさり見つかった。

イダ・ゴトコフスキーの「四重奏曲」、最終楽章。驚異的なダイナミック・レンジ。やっぱり、プロの領域に踏み込んでいる気がする。数年前のサクソフォーン協会のコンクールでIBCサクソフォンアンサンブルさんがみせた、あの素晴らしい演奏を思い出す。



関連動画として、ティエリー・エスケシュの、「タンゴ・ヴィルトゥオジテ」もあった。こちらも相当難しい曲のはずだが、もう余裕綽々な感じ。すごいなあ。

2009/12/15

サルサ・パラダイス4

築地のキューバンカフェという、なかなか馴染みのない場所での本番。今回はオルケスタ・デ・ラ・カンダ Orquesta de la Candaのエキストラとして、バリトンサックスで出演してきた。そう、このバンドでバリトンサックスを吹いている方こそ、おなじみmckenさんなのである。さらに、その他にもいろいろとご縁があって、今回参加させていただくことになったというわけ。

ホーンセクションのみならず、リズムセクション、ヴォーカルまで、なかなかアマチュア離れした技術を持つ方ばかりが参加しているバンドで、練習段階からヒイヒイ言いながらなんとか付いていった、という感じ。おまけに、オルケスタ・デ・ラ・ルスの福本佳仁氏や、サックスのクビート氏まで参加して、緊張しっぱなしだった。とは言っても、やっぱり演奏が始まってしまえば楽しさのほうが勝ってしまうのだけど(^^;

お店のスペースの半分をダンスフロアにしてしまうという会場のセッティングで、ひとたび曲が始まれば、全面ダンステリア化していた。写真撮ってくれば良かったな。それにしても、あれだけダンスできれば楽しそうだなあ。かくいう私も、機会があるごとに少しずつ教えてもらっているところだが…。

お知り合いの方が何人も来てくれた。ありがとう!

以下がセットリスト。アンコールの、トランペットのソロ回しは、リアルに鳥肌がたってしまった。いやあ、すごかった。

♪1st stage
Engano
Que nos paso
Herida
A Puro Dolor
Rumba Y Salsa

♪2nd stage
Amigo(クビート氏 solo)
Oyelo que te conviene
Moanin'(福本氏 solo)
Feliz Navidad(福本氏 solo)
The Christmas Song

♪Encore
Quimbara

2009/12/14

某仕分けについて

ちょっと迷ったのだけれど、いちおうリンクだけ載せておきます。12/15までだそうです。

この問題についてどのくらいの動きがあるのかなーと、オーケストラのウェブページを巡って調べてみて驚いたのが、在京オケに関しては、ウェブ上でほとんど動きが見られない、ということ。在京オケに関して言えば、助成金が及んでいる事業って、少ないのかなあ。今回は時間がほとんどないので調べられないのだけれど、19億円という数字がどのように分かれていくのかは、非常に興味あるところだ。

事業仕分け問題に関する、神奈川フィルのページ:
http://www.kanaphil.com/info/index.html#47

サクソフォーン・フェスティバル2009・一日目

♪オープニングコンサート/フェスティバルオーケストラ
E.グリーグ - 組曲「ホルベアの時代から」よりプレリュード
伊藤康英 - 地球は踊る

♪B会員・サクソフォーン愛好家たちの祭典/各団体
R.G.オルモス - コンチェルティーノ(Duo Green Green)
W.A.モーツァルト - アイネ・クライネ・ナハトムジーク(VIFサクソフォーン・アンサンブル)
A.リード - 「オセロ」からの3章(サクソフォンアンサンブル・なめら~か)
NAOTO/啼鵬 - for you...&葉加瀬太郎/啼鵬 - 情熱大陸(EnsembleΦ)
N.リムスキー=コルサコフ - 交響組曲「シェラザード」より(サックス倶楽部アクシェ)
G.ホルスト - セント・ポール組曲(KMA-OBオーケストラ)

♪出演愛好家とフェスティバルオーケストラによる合同演奏/フェスティバルオーケストラ&各団体
伊藤康英 - サクソフォーンのためのファンファーレ
M.ラヴェル - 亡き王女のためのパヴァーヌ
C.タイケ - 旧友

毎年恒例のアマチュアサクソフォン愛好家向けステージでした。お昼時であり、しかもフェスティバルが始まって間もない時間帯ということで、関係者はみんな出払ってしまっていて、お客さんがかなり少ない状況になっているのが残念。来年は30回記念ということだし、我々としてもぜひ盛り上げていきたいところだ(と、気持ちだけでも前向きに!)。

私は、EnsembleΦという団体に参加させていただいた。毎年恒例の臨時編成アンサンブルで、クラシックが続く中にすこしばかりのアクセントを、ということで、ややポップス寄りの選曲をしている。今回の目玉は、高橋宏樹さんを鍵盤ハーモニカに迎えての演奏でしょう!吹きながら、聞き惚れてしまった。

♪第6回アンサンブルコンクール最高位受賞団体/IBCサクソフォンアンサンブル
C.ドビュッシー/V.ダヴィッド - 弦楽四重奏曲より第1,4楽章

おなじみIBCさん。ヴァンサン・ダヴィッド編のドビュッシー「弦楽四重奏曲」をやってしまうとは…やっぱりハンパないっす。年々、アマチュア離れして、なんかもうプロの領域に踏み込んでいるのではないかと思わせるような演奏だった。あ、YouTubeに動画上がってるじゃん…( ̄ー ̄)ニヤリ。

♪第12回ジュニアサクソフォーンコンクール最高位受賞者/上野耕平
L.E.ラーション - サクソフォン協奏曲より第1,2楽章

なんと、自分のリハで聴けなかった!これは残念。どなたか感想聞かせてください。
…しかし、高校2年生が、ラーションを吹いてしまう、そういう時代なのだな(ちなみに、2位の方も高校2年生で、クレストンの「協奏曲」だと!)。あと20年くらいしたら、中学生がデニゾフ吹いているかも、というのも、あながち冗談ではなくなるのかもしれない。恐ろしいことだ。

♪スペシャルコンサート第1部/Quintet CIRC
塩安真衣子 - きらきら星 for Quintet CIRC
塩安真衣子 - CIRC!
塩安真衣子 - ふるさと変奏曲
渡部哲哉 - 2つのアメリカ民謡
M.ムソルグスキー/塩安真衣子 - 組曲「展覧会の絵」より

シルクの演奏は楽しい。技術的に完璧以上のものを持つ5人が、(良い意味で)プロフェッショナルらしからぬ推進力とノリで、ぐいぐいと突き進んでいくのだ。キラキラ星からCIRC!へのクールな繋ぎなんか、これはちょっと鳥肌がたってしまったくらい。塩安真衣子さんは、たぶんアレンジを専門に学んだことはないと思うのだが、ほとんどプロの世界の仕事に到達していると思う。ちなみに、ムソルグスキーは、これは羽石道代さんを迎えて、意外や意外、かなり正統的なアレンジだった。
あ、塩安さんのMCが、なんだか意外な感じで可愛らしかったです(笑)…というのは、私も含めた周辺の人たちの評。

♪スペシャルコンサート第2部/石渡悠史
G.ビゼー - アルルの女 ほか
ハーバート - インディアン・サマー
H.カーマイケル - スターダスト
R.カーペンター - 青春の輝き

いちばん楽しみにしていたコンサート。最初の3曲がクラシックで、まず2曲をピアノと、そして「アルルの女」を滝上典彦、宗貞啓二、福住拓朗、坂東邦宣というメンバーとともに。最初の伸ばしのヴィブラートから、ぐっときた。聴いたことのないような倍音構造の音色に、じっくりとかかる深めのヴィブラート。素晴らしい、本当に素晴らしすぎる。ところで、上田卓さんが石渡氏にインタビューを行いながら進行したのだが、そのなかで話されるエピソードがいちいち面白くて、つい聞き入ってしまった。芸大受験のときはクラリネットでウェーバーを吹いたとか、阪口氏の代役としてコロムビアのスタジオにしょっちゅう出入していたとか、阪口氏の手紙の話とか…。一度、インタビューを敢行したい…いや、これはぜったい実現させたいぞ!
しかし、さらにパワーアップしての石渡氏の真骨頂は後半だった。テナーにPE'Sの門田晃介を迎えて(けっこうびっくりした。石渡氏のお弟子さんなのだろう)、インディアンサマー。ホールをいっぱいに満たす強烈な音色の存在感と、フラジオ音域を交えての見事なアドリブ。そして、最後は「青春の輝き」でしょ、感動を超えて、本当に泣いてしまった。もっともっと聴きたかった!

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終了後は、レセプション。アマチュアの方、プロの方関係なく、いろんな方々と話せて良かった。しかし、ジャンケンが弱いのはどうにかならんものか…(苦笑)。レセプション後は二次会までくっついていって、終電30分前に駅前の居酒屋を飛び出した。帰りの電車、気がついたら逆走していた(汗)

今年は、二日目は自分の本番で行くことができなかった。来年は、両日とも行けるといいなー。

昨日の築地

サルサパラダイス4という催しで、オルケスタ・デ・ラ・カンダのエキストラとして参加でした。こちらはこちらで、面白かったなあ。こちらもまた、レポート書きます。

2009/12/13

昨日のフェス

昨日のフェスティバル、楽しかったなあ。詳しいレポートは、またこんど書きます。

今日は残念ながら伺えない。頭を切り替えて、ラテンな本番です。

2009/12/11

Quatuor de saxophones contemporain plays Aubert Lemeland

島根県のF様より、LP復刻のCD-Rを、また何枚か送っていただいた。今日ご紹介するのは、Quatuor de saxophones contemporain(以下、Contemporain SQ)のアルバムで、Aubert Lemelandという作曲家の作品集。Contemporain SQは、連載「ダニエル・デファイエの生徒たち」で何度か話題にしているのだが、ジャック・シャルル Jacques Charles氏が率いた四重奏団で、同世代の作曲家たちに積極的に作品を委嘱し、多くの初演を手がけた団体である。もちろん、現在は存在せず、その活動実態はいまいち掴めなかったのだが…。ちなみに、このアルバムに参加しているメンバーは、SATBの順にJacques Charles, Pierric Leman, Ghislain Mathio, Max Jezouinである。

そして、このLPで取り上げられているオーベール・ルムランは1932年生まれの作曲家。今回CD-Rを送っていただくまで、名前を存じなかったのだが、サクソフォンの作品を大量に書いているようだ。演奏されているのは、以下の4曲。

Concertino, Op.103
Variations, Op.57b
Noctuor, Op.93
Epilogue nocturne, Op.22

おそるおそる聴いてみると、意外なほどの聴きやすさに驚く。メロディは、トンがった現代音楽にありがちなわけのわからなさは全くなくて、はっきり言って「美しい」。作品のせいなのか演奏のせいなのか判らないのだが、リズムがずいぶんと身を潜めており、微温的というかなんというか、実に不思議な密度を湛えた演奏だ。

ジャケットの縮小コピーを付けてもらったので、ジャック・シャルル氏による作品解説を、ざっと翻訳してみた。相当意訳な部分もありますが、ご勘弁ください(^^;

今回、アーベール・ルムラン Aubert Lemelandがサクソフォン四重奏のために書いたすべての作品が、初めてレコーディングされた。これらの作品は、ルムランがギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団のために「Epilogue Nocturne」を作曲した1971年から、Concertino, Op.103を作曲した1980年までの間に、作曲されている。Concertino(Contemporain SQに献呈)は、Noctuor(1978年)とともに、シカゴのサクソフォンコングレスで初演された。Variationsは、1977年に作曲され、クラリネット版も制作されている。
ルムランは、サクソフォンに対する嗜好が強いようであり、それはこれまでの作品に現れている。「サクソフォンと弦楽のための四重奏曲」「オーボエ、サクソフォン、クラリネットのためのテルツェット」「ソプラノサックスとピアノのための"Epitaph to John Coltrane"」「ソプラノサックスとピアノのための"ウォーキング"」「Paul Pareille Ensembleのための"Reed Quartet"」などである。
1971年に作曲された「Epilogue Nocturne」は、いくつかのメロディを含むゆっくりな楽章で構成されている。楽章に含まれるメロディは、瞑想的な雰囲気を持つ旋律線が、ポリフォニーの中に組み込まれ、密度の大小を繰り返すようなものである。これにより、作品に対して、永遠につづくかのような感覚を与えることに成功している。「Noctuor(NocturneとQuatuorを掛け合せた造語である)」は、連続して演奏される3つの楽章のなかで、作曲者は、サクソフォンの表現力の豊かさと比類なき柔軟性を現わしている。楽曲の最終部には、コラール風のコーダが挿入されている。「Concertino」は、2つの対照的な楽章(ゆっくりな楽章と速い楽章)から成り、一週間もかからずに書かれたという。この9分の短い作品は、後に管弦楽曲「Ultramarine Noocturne」に転用された。ほとんどのメロディラインが、この四重奏曲から採られている。同作品は、トゥールーズ・キャピトル管弦楽団によって、1982年2月に初演されている。最終部のプレストに入る直前、2つのリズムが出現するが、そのうちひとつは高潔な音でもって演奏されているのが判るだろう。「Variations」は、テーマと8つの変奏からなる作品である。変奏は、ダイナミックなもののあとに続いて緩やかなものが演奏され、それはさながら生命のバイオリズムのようでもある。

2009/12/10

演奏のご案内

クラシックだけではなくて、ご縁があっていろいろと取り組んでいる。今週末の演奏会の予定をご案内したい。

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B会員向けの愛好家演奏ステージということで、毎年出演しているEnsembleΦ(8重奏)での演奏。啼鵬氏の新編曲「for you...」と、高橋宏樹さんを鍵盤ハーモニカに迎えて「情熱大陸」を演奏する。

【サクソフォーン・フェスティバル2009】
日時:2009年12月12日(土曜) 14:00過ぎくらい?
会場:パルテノン多摩
主催:日本サクソフォーン協会
http://homepage2.nifty.com/jsajsa/

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オルケスタ・デ・ラ・カンダというサルサバンドに、バリトンサックスでエキストラとして出演する。mckenさん、にこらすうさんにお世話になっている。クラシック畑の人間としては、どちらもなかなか様子が想像できないのだが、面白そう。豪華ゲストの予定あり!なんと、デ・ラ・ルスの元トランペッターの福本氏、そしてサックスのクビート氏がいらっしゃるのか。え!?すごい!

【サルサパラダイス!4】
日にち:2009年12月13日(日曜)
会場:築地キューバンカフェ(築地市場駅3分)http://www.geocities.jp/cubancafe2005/
時間:18:00open、19:15ライブ(1st)、20:00パフォ、20:45ライブ(2nd)
Charge:当日3000円/前売・予約2500円(ドリンク込)
演奏:Orquesta de la Canda(http://www.delacanda.com/)
DJ:Kura2
MC:YUKARIN
18:00 open/DJ time
18:30 無料ダンスレッスン
19:15 Orquesta De La Canda 1stステージ
20:00 ダンスパフォーマンス
20:45 Orquesta De La Canda 2ndステージ
21:20 DJタイム(タンゴ数曲あり)
~22:30 DJ time

四重奏の楽譜とか

忘年会のシーズンだと、ブログがなかなか書けないですね(笑)

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Benoit Menut氏から、とある四重奏曲の楽譜を送っていただいた。売り物ではなく、どんな感じの楽譜かなと思っていたのだが、予想通り手書きのスコアだったため、時間を見つけてはパート譜を作成している。しかし、これは非常に楽しそうな楽譜で、音を出してみるのが楽しみだ。

あとは、リゲティのおなじみの四重奏曲。こっちは、なんだかトリッキーというか、音は聴いたことがあったけれど、実際に楽譜を見てみると、不思議な感じだ。拍子とか、記法とか、こうなっていたんだーと思う部分が多数。

2009/12/07

ビジネスクラスSEの演奏会

日曜日は、朝早くに実家から東京へ戻り、上中里へ。週末のサクソフォーン・フェスティバルのための練習を、午後いっぱい行った。いつも参加させていただいているEnsembleΦで、今年はNAOTO氏作曲/啼鵬さん編曲の「for you...」を、サクソフォン・オクテットにて。そして、オクテット版の「情熱大陸」に、ピアニカ、ピアノ、ドラムスを迎えて。ピアニカは、なんと高橋宏樹さんです。カッコいい!!楽しいサウンドになりそうだ。

練習後は、早々に失礼して、都営新宿線の瑞江駅へ。ビジネスクラスサクソフォンアンサンブルさんの演奏会を聴きに伺った。

【Business Class Saxophone Ensemble Concert】
日時:2009年12月6日 18:30開演
会場:東部フレンドホール
プログラム:
R.Clerisse - Introduction et Scherzo
E.Bozza - Andante et Scherzetto
F. et M. Jeanjean - Quatuor de saxophones
A.E.Chabrier - Espana rapsodie
斉藤高順 - サクソフォンのための四重奏曲
櫛田[月失]之扶 - サクソフォン四重奏曲「彩」
村松崇継/浅利真 - 彼方の光
内藤淳一 - 動物の謝肉祭

時間的に、最後の曲だけ聴ければ良いかなあと思っていたのだが、なんとか「動物の謝肉祭」の途中で駆け込んで、楽章間にドアをくぐることができた。うわっ、ものすごい数のお客さん、しかも、サックスを吹いている感じではない感じの方が多数。8回近く続けてきたということだが、固定客がついているのだろうか…いや、それにしても。

演奏がすばらしかった。8重奏だったのだが、驚くほどのダイナミクスの幅に、積極的な表現。表現のベクトルの一致具合は、これは指揮者無しのアマチュアのアンサンブルではちょっと聴いたことがないほどかも。テンポの取り方とか、かなり何度も何度もリハーサルしたと思われるほどに、気持ちよく揃っていて、この手のアンサンブルによくある危なげなさを感じるどころか、とても惹き込まれて聴いた。

最後に演奏していた内藤氏の作品は、委嘱作品で、プーランクのそれとは裏腹(?)に「鯉のぼり」「いぬのおまわりさん」「子ぎつね」「赤とんぼ」「黒ネコのタンゴ」という、純和風愛唱歌集を元に再構成した組曲。それぞれの楽章にテーマが与えられており、それに伴って各楽章のスタイルも変化に富んでいて、大変楽しかった。子ぎつねがインフルエンザをひいていたとは…。

アンコールに、内藤淳一氏の「ブライアンの休日」と村松崇継の「あなたがいるから」。最後の最後はしっとりとした素敵なサウンド、そしてメロディで締めて、客席からは大きな拍手が響き渡った。今度はぜんぶ聴いてみたいなあ。特に、小編成の演奏に興味がわいてきた。

2009/12/05

Ducros plays "Hard" on YouTube

クリスチャン・ロバ Christian Lauba作品のインタラプタの筆頭格として著名な、Richard Ducros氏が、テナーサクソフォンのための無伴奏作品「Hard」を演奏している動画を見つけた。CDを聴くと、けっこう落ち着いた解釈をしているようにも聴こえるのだが、ここでのデュクロス氏の演奏は、なかなか自由奔放というか、激しい(^^;

国内では、平野公崇さんが取り上げて以来、そんなに流行った印象がないなあ。一度くらいは実演で聴いてみたいものだが。

2009/12/04

ダニエル・デファイエの生徒たち(その15)

一日だけお休みをとって、長野県の実家に帰ってきています(ホームシックとかじゃないよ)。やっぱり落ち着くなあ。

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[1982]
新作課題曲:
Pierre Max Dubois - Respirations
1er prix:
Hiroki Saito
Marc Sieffert
Philippe Duchesne
Michel Buatois
Miguel Villafruella
Koichi Araki
Philippe Portejoie

これはこれは、よく知られた名前ばかりであることよ。まず、課題曲の作曲家であるデュボワは、おなじみですね。「Respirations」は、現在はBillaudotから出版されているそうだが、どんな曲なのだろうか…聴いてみたい。

日本人の卒業生が二人いる。斎藤広樹氏、荒木浩一氏、両者とも九州で活躍するサクソフォン奏者。1974年、デファイエ氏二度目の来日となったおりに、お二人は福岡市でレッスンを受け、それが契機となってパリへ留学したそうだ。斎藤広樹氏とデファイエ氏のかかわりについては、ThunderさんのWebページにアップロードされているエッセイ「Memory of Deffayet」、荒木浩一氏については、こちらの記事を参照いただきたい。いずれも非常に有名な資料だが、改めて読んで、その価値の大きさを再確認したところ。

ミゲル・ヴィジャフルエラ氏は、キューバ生まれのサクソフォン奏者で、デファイエ氏に師事して以降、現在では中南米を代表するサクソフォン奏者として活躍している。氏の公式ページを観ていただければ、そのアクティブさがわかると思う。YouTubeにも大量に動画がアップロードされており、素敵な演奏を楽しむことができる。ホラ・スタッカートトマジのバラード南アメリカ組曲コンチェルティーノ・ダ・カメラロナルド・ミランダのファンタジアに、電子音楽との共演、果てには湯山昭のディヴェルティメント(しかもマリンバ演奏者は日本人だ)まで!YouTubeで「Miguel Villafruella」と検索をかければ、ほかにもいろいろと動画が出てくるので、ぜひ探してみていただきたい。

フィリップ・ポルテジョワ氏は、私なんかはルデュー四重奏団のアルトサクソフォン奏者としておなじみだ。素晴らしい音でルデュー四重奏団のサウンドに色気を与えている様子が聴ける。まさにデファイエ氏の弟子!というところだろうか。ソロアルバム「Musique Française du XXe Siecle Saxophone & Piano」に興味があるのだが、いまだ聴く機会は巡ってこない。

2009/12/03

NSF Vol.30

ノナカサクソフォンフレンズの最新号がアップロードされていた。

http://www.nonaka-boeki.com/nsf/magazine.html

今回は非常に面白いぞ!冨岡和男氏(!)インタビュー、伊藤あさぎさんのギャップ夏期講習セミナーレポート(ボーンカンプの特別講演の内容がすごい)、坂田明氏(!)インタビュー…他。

あと数号で廃刊になってしまうのだよなあ。つくづく残念である。

2009/12/02

福井健太さんのリサイタル「サックスの時間」

【福井健太Recital「サックスの時間」】
出演:福井健太(sax)、小柳美奈子(pf)
日時:2009年12月2日 19:00開演
会場:東京オペラシティ リサイタルホール
料金:一般4000円 学生3000円
プログラム:
Jean Baptiste Singelee - Caprice Op.80
Jean Baptiste Singelee - Fantaisie Op.50
Jean Baptiste Singelee - 7éme Solo de concert Op.93
Paul Creston - Sonata
Robert Planel - Suite romantique
Jacques Ibert - Concertino da camera
Wilhelm Franz Ferling - Etude No.1 (encore)
Jean Michel Damase - Vacanse (encore)

折しも、東京での初リサイタルとなったようだ。

サンジュレの三曲は、ソプラノ→テナー→バリトンという順番で、アルト以外の三本を持ちかえての演奏。クリスティアン・ペータース氏や、ドゥラングル教授のCDで聴いたことこそあれど、今まで実演として聴いたことはほとんどない。けっこう良い曲なのだが。古典的なスタイルに即した、端正な解釈を打ち出してくると思いきや…かなり「うた」を全面に押し出したアプローチで、良い意味での自由奔放なサンジュレを楽しんだ。録音媒体でない、ライブならではの演奏であったと感じた。ソプラノのキラキラした音、テナーのふくよかな音、バリトンの太く芯のある音、どれも魅力的だ。

クレストンは、こちらも実演で聴くのは初めてかも。今どき、クレストンがリサイタルで取り上げられることも少ないと思うが、敢えて取り上げるのは、自信の表れか、それともクラシックサックスをほとんど聴いたことのない方に向けた選曲だろうか。(聴いていた位置のせいかもしれないが)意外とコンパクトにまとまった音楽で、小回りを利かせながら、クレストンらしいリズムを完璧にハメたときに表出するグルーヴ感を味わった。

休憩をはさんだ後のロベール・プラネル「ロマンティック組曲」は、本日の白眉であったと思う。実は、6曲全部演奏すると20分弱に及ぶという大曲(?)なのだが、それぞれの楽曲のスタイルを、見事に描き分け、まったく聴き手を飽きさせない。「哀しい歌」と「ロバ使いの歌」など、同じサクソフォン奏者が演奏しているとは思えないほどであった。

イベール。これは、今回のリサイタルの軸として取り上げたのだそうだ。プロフェッショナルのサクソフォン奏者が一度は通る道だが、やはり愛着が感じられたなあ。小柳美奈子さんのピアノも、素晴らしかった。冒頭のドミナントな響きからしてビビビときて、そのまま最後までいってしまった。改めて、こうして聴いてみると、非常に細かい音符並びの曲であり、エスプリを振りまきながら疾走する様相に、聴き入ってしまう。

こんどは、がっつりした曲をずらりと並べて聴いてみたいなー。福井さんの演奏というと、前田ホールで聴いた「デスノート・コンチェルティーノ」が忘れられないのだ。

2009/12/01

【演奏会のご案内】福井健太Recital

福井健太さんのリサイタルのお知らせ。今年の11月に某アンサンブルでお世話になったのだが、このたびリサイタルを開催するということで、ひと月ほど前にご案内いただいたのだ。ご本人の口から伺った話だと、「ソプラノからバリトンまで、すべての楽器について書かれたオリジナル作品を演奏する」とのことだが、アルトサックス以外は、何の作品を取り上げるのだろうか。

福井さんは、クラシックの演奏のほか、スタジオワークでも活躍されているプレイヤーだ。最近では、ドキュメンタリー映画「アルビン号の深海探検」のBGMをプロデュースしたそうな。これまでの参加作品も、ポップス、吹奏楽、映画音楽、ゲーム音楽等、実に幅広い。そんな福井さんが、本職とも言えるクラシックに改めて取り組まれるということで、非常に楽しみである。しかも、王道中の王道、イベールかー。

【福井健太Recital「サックスの時間」】
出演:福井健太(sax)、小柳美奈子(pf)
日時:2009年12月2日 19:00開演
会場:東京オペラシティ リサイタルホール
料金:一般4000円 学生3000円
プログラム:
Paul Creston - Sonata
Jean Baptiste Singelée - Fantaisie
Jacques Ibert - Concertino da camera
問い合わせ:
http://web.mac.com/kentax1/

2009/11/30

ダニエル・デファイエの生徒たち(その14)

[1981]
新作課題曲:
Serge Lancen - Prélude et Scherzo
1er prix:
Frédéric Froin
Frédéric Juranville
Patrice Roquel
Pierre Grzeskowiak
Jean Claude Bersegol

おお、知っている名前がないなあ。

まず、新作課題曲の作曲家であるセルジュ・ランセンだが、1922年生まれということだから、デファイエ氏と同世代。この作曲家の名前を、私は今まで聴いたことがなかったのだが、これまでにサクソフォンのための作品を34(!)も手掛けているのだという。しかも、特定のプレーヤーに献呈するでもなく、1960年代から1990年代にわたってまんべんなくサクソフォンの曲を書いているようだ。きっとサックスが好きなんだろうなあ~。

Frédéric Juranvilleは、現在Orléans音楽院教授。初学者のためのメソードとして著した「Le saxophone」がVan de valdeより出版されている。

Pierre Grzeskowiakは、Douai音楽院&Arras音楽院教授。ぱっと探してみたら、なんとYouTubeに演奏動画があった!(こちら→http://www.youtube.com/watch?v=k-TwU6C943M)Guy Luypaertsという作曲家の、Un Bon Petit Diableという作品の演奏だそうだ。

Jean Claude Bersegolは、、Monosque音楽院教授も務めているようだが…MySpaceにJean Claude Bersegol Trioというグループのページがあって(→こちら)、ここでサクソフォンを吹いているのが本人だと思う。しかし、この編成は一体?ジャズ?ということになるのだろうか、なかなか不思議かつ魅力的な音響で、つい聴き入ってしまった。

他の2人については、めぼしい情報を見つけられなかった。

2009/11/29

【演奏会のご案内】有村さん&松浦さんリサイタル

演奏会のご案内を頂戴した。この日は私は伺えず、残念…。ピアノとサックス、ヴァイオリンで演奏されると思われる、サン=サーンスが面白そうだ…。そういえば、今年有村さんと松浦さんは結婚されたと伺った。結婚第一弾のリサイタルになるということなのだろう。ご盛会をお祈りしたい。

【有村純親&松浦真沙デュオリサイタルVol.4】
出演:有村純親(sax.)、松浦真沙(pf.)、保科由貴(vn.)、山田雄太(gt.)
日時:2009年12月4日(金)19:00開演
会場:サントリーホール(ブルーローズ)
入場料:全自由席3000円
プログラム:
R.シューマン「3つのロマンス」
C.サン=サーンス「死の舞踏」
P.ヒンデミット「ソナタ 作品11-4」
松浦真沙「ミラ~ギター、サクソフォーン、ピアノのために~(世界初演)」
B.バルトーク「ルーマニア民族舞曲」
P.スウェルツ「クロノス」
A.ピアソラ「天使の死」「ブエノスアイレスの四季より「夏」」

土日の練習

土曜日は四重奏練習。4月の本番に向けての練習なのだが、まだまだ楽譜がそろっておらず、申し訳なかったが、この響きを楽しむのも久々だ。いくつか良い曲の候補を見つけ、すでに楽譜を注文済みなので、届いて、合わせるのが楽しみだ。

そのあとは「どん平」に行って、ビールを飲みつつ、美味しい料理を食べつつ、にこらすうさんと楽器を吹きまくり。こんな場所があるとはねえ(店主の趣味らしいが)。楽器仲間のみなさん、こんど行きましょう(^∀^)ノ

今日、日曜日はラテン・サルサバンドのエキストラのためのリハーサル。mckenさん、にこらすうさん、お世話になります。バリトンサックスの本番というのも、5年ぶりくらいになるのかな。またブログで予定を告知するるもり。

2009/11/27

ダニエル・デファイエの生徒たち(その13)

[1980]
新作課題曲:
Ida Gotkovsky - Variations pathétiques
1er prix:
Thibault Lam-Quang
Marie-Claude Binette

おお!イダ・ゴトコフスキーの「悲愴的変奏曲」ではないか!デファイエ氏が教授を務めている期間の中では、ピエール・サンカンの「ラメントとロンド」が一番有名な作品だと思ったが、少なくとも日本では「悲愴的変奏曲」のほうが有名じゃないかな?非常に長大な作品であるため、さすがに全部取り上げられることは少ないと思うが…。

Thibault Lam-Quangは、最初サクソフォンを勉強し、パリ音楽院のデファイエクラスを卒業後、エコール・ノルマル音楽院に進み、ピアノを勉強した。さらに、続いて声楽を勉強し、最終的にLille音楽院で合唱指揮を学んだ。現在は、Mantes en Yvelines音楽院で合唱の指導を行っているそうだ。またえらく移り気な(笑)。それともやはり、サクソフォンで一等賞を獲ったといえども、食べていくのは難しかったということなのだろうか。

Marie-Claude Binetteについては、見つけられなかった。

2009/11/26

ダニエル・デファイエの生徒たち(その12)

[1979]
新作課題曲:
Roger Boutry - Cadence et Mouvement
1er prix:
Bruno Verdier
Roger Michel Frederic
Jean Pierre Baraglioli
Christian Joyeux

ブートリーは、1964年にもパリ音楽院の卒業試験のために課題曲を作曲しているが、そちらが有名な「ディヴェルティメント」。このこの「カダンスとムーヴメント」という曲は、聴いたことがないな。

卒業生の中で有名なのはJean Pierre Baraglioliかな?ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の首席アルトサクソフォン奏者で、NHKなどでギャルドの来日演奏会の模様が放送されると、お姿を拝見することができる。その他の演奏活動としては、4uatreという超アヤシイ四重奏団を結成しているのだが、このCDが面白いのですよ…。公式ページ(→http://4uatre.free.fr/)が存在するので、ぜひ覗いていただきたい。試聴もたっぷりできる。また、最近では日本の宗貞啓二氏、カナダのウィリアム・ストリート氏、アメリカのリチャード・ディーラム氏とともに、インターナショナル・サクソフォン四重奏団を結成している。その他にも、ギャルドの五重奏団でも吹いているし、シルヴァン・カサップ氏とも何か面白い室内楽をやっているし、ピアノとのデュオでCDも出しているし…室内楽が大好きなんだろうなあ。教育者としては、Montreuil sous Bois音楽院教授を務めている。

Roger Michel Fredericは、Toulon Provence Mediterranee音楽院教授。Christian Joyeuxhは、Metz音楽院教授。そのほかには際立った情報が見つけられなかった。うーむ。

2009/11/25

ダニエル・デファイエの生徒たち(その11)

[1978]
新作課題曲:
Marcel Bitsch - Aubade
1er prix:
Francis Caumont
Jean Paul Fouchécourt
Roger Muraro
Jean Pierre Solves
Jean Luc Lucidi

マルセル・ビッチと言えば、パリ音楽院で対位法の教授を務めていたことで有名だ。サクソフォンとピアノのための「村の踊り」という、非常に親しみやすい小品を書いており、「村の踊り」がこんなに有名ならば、他にもサクソフォンの作品をたくさん書いているだろう…と思って調べてみた。しかし、「村の踊り」のほかは、本年課題曲「Aubade」、そしてあと一曲小さなエチュード(しかもフルート or サクソフォンという指定)を書いているだけということが判った。意外だなー。

卒業生の中でもっとも有名なのは、ジャン=ポール・フーシェクール。もっともサクソフォンで有名と言うわけではなく、今や世界的なテノール歌手として大活躍しているのだ。1982年、キャシー・バーバリアンのワークショップを受けた時に歌手となることを決意した後、あれよあれよという間にスター歌手としての地位を確立し、主要なオペラハウスに出演、また数多くのレコーディング等に参加している。数年前には、サイトウキネン・フェスティバルにも招聘されたとか。

サクソフォン奏者としてのLPもレコーディングされたらしく、ブートリー、クレストンなどをパテ・マルコニレーベルに吹きこんでいるらしいのだが、いつだったかeBayで落札に失敗して以来、一度も見かけない。聴いてみたいなあ。

1986年ころまでは、サクソフォンも吹いていたようである。そりゃそうだろう、なにせ、1978のギャップ国際コンクールでドゥラングル、フルモーに続く第3位を受賞しているほどの名手だったということだから…。ドゥラングルがソプラノ、フーシェクールがアルト、Bruno Totaroがテナー、Jacques Baguetがバリトンというメンバーで、Quatuor Adolphe Saxを結成し、レコーディングやコンサートを行っている。例えば、野平一郎の「サクソフォン四重奏曲」はこの四重奏団に献呈されており、1985年の第8回世界サクソフォンコングレスにおいて初演された作品である。

現在はもちろん解散しているカルテットなのだが、録音が残っている。「Musique franĉaise pour saxophones(Vandoren V001)」で、ピエルネとシュミットの演奏が聴けます。1986年の録音だということだが、めちゃくちゃ上手いぞ、これは…。購入はアクタスオンラインショップからどうぞ。

Francis Caumontは、Quatuor de saxophones de Parisのアルト奏者。他のメンバーとはちょっと卒業時期が離れているが、どういった経緯だろうか。Roger Muraroは、1977年にパリ音楽院のピアノ科を卒業した同名のピアニストが有名だが、いや、まさか同一人物じゃないよね…と、思いきや、同一人物だそうで(笑)。メシアン弾きとして、世界的に名の知れたピアニスト。Jean Pierre Solvesは、どうやらジャズに転向したらしい。いくつかのレコーディングに関する記述が引っかかった。Jean Luc Lucidiは、マルセイユ音楽院サクソフォン科教授。ジョエル・ヴェルサヴォーも同音楽院の教授である。

なかなか特徴的な年度だ(笑)。才能と努力って凄いものだな、と思う。

2009/11/24

榮村門下発表会@スペースDo

自分が出演したわけではなく、お知り合いのもっちさんが出演されるということで聴いてきた。そもそも、DACの訪問自体初めてだったため、出演時間が迫っているにもかかわらず軽く迷い、わりかしギリギリに会場に到着。

ウッズのソナタの第1楽章。かっこよかったなあ。怒涛アドリブパート(池上さんのCDを参考に構築したとのこと)が、とてももっちさんらしくて「すごーっ」と心の中で思いながら聴いていた。始まる前と終わった後のお茶目さも、楽しかったなあ。今度真似してみようかな…あ、テナーだと大きすぎるか(^^;

ちなみに、続けて演奏されたヴァイオリンの演奏もいくつか聴いてきたのだが、なんといえば良いのか、本質的に管楽器プレイヤーとはいろいろな意味で「違う」気がした(笑)。管楽器奏者は「生まれながらにして管楽器奏者だ」と表現すればいいのかなー。面白いものですな。

2009/11/23

アマリリス合奏団第22回オータムコンサート

アマリリス合奏団は、お馴染みmckenさんの参加する、木管アンサンブル団体。この日は各所でいろいろと催しがあったようなのだが(サックスのX-DAYだとか言われていたようだ…ミ・ベモル、ロッソ、昭和音大、裏サックスなど)、私はSaxophonyの合わせが終わったのち、これを聴きに行きました。

【アマリリス合奏団第22回オータムコンサート】
出演:アマリリス合奏団
日時:2009年11月22日 19:00開演
会場:府中の森芸術劇場ウィーンホール
プログラム:
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏(sax4)
F.Y.ハイドン - Musical Clockのための作品(rec4)
P.ハーヴェイ - ロバート・バーンズ組曲(sax4)
嶋川聡 - クリスマスメドレー(sax4)
村松崇継 - 彼方の光(sax4)
織茂学 - ロンディーヌ(fl3)
L.フロレンツォ - 南アメリカ組曲(sax4)
J.ゲーゼ - タンゴ幻想曲(fl, pf)
サキソフォックスのお気に入りから - ルパン三世、長崎は今日も雨だった(sax4)
R.ヴォーン=ウィリアムズ - グリーンスリーヴス幻想曲
F.J.ゴセック - タンブラン

府中の森芸術劇場は、昨年に国立音楽大学サックス科の演奏会を聴きに伺って以来。このホールの、駅からの微妙な遠さと、商店街を抜けていく立地は、何だか地元(長野)のホールを彷彿とさせる。距離が2、3倍違ったりとか、平地と坂の違いとかはあるけど…長野の文化ホールは、基本的に車orバスでのアクセスを想定してますからね。

さて、第一部は、リコーダーで演奏されたハイドンの組曲、ポール・ハーヴェイの作品、そしてクリスマス曲集と、今まで聴いたことのなかった作品が、耳に新鮮に響いた。リコーダーの合奏というものも久々に聴いたのだが、本当に小型オルガンみたいな音がするのですね。びっくりした。ハーヴェイの「ロバート・バーンズ組曲」は、メロディアスな作品で、これは楽章単体でも取り上げやすいかもと思った。曲の可愛らしさに加え、演奏も素敵だった…。クリスマスメドレーは、自分たちでも演奏してみたい!

第二部は、最近流行りの「彼方の光」、演奏メンバーとして舞台に乗っていらっしゃったピアニストが書いたオリジナル作品、「南アメリカ組曲」、フルートとピアノのデュオ、サキソフォックスの2曲、大合奏でのグリーンスリーヴスとポルカ。どれも楽しく聴いたのだけれど、ノリノリの「南アメリカ組曲」と、大喝采となった「ルパン三世のテーマ」「長崎は今日も雨だった」が良かったなあ。ソプラノとアルトの1stを吹いていた方は、何者なんだろう(笑)。

レパートリー、演奏の両面から、室内楽の醍醐味を味わうことができた。会場がちょっと大きい感じもしたが、ウィーンホールという空間が作り出す上質な響きに酔いしれた。

2009/11/22

デファイエ初来日の録音

デファイエ氏絡みで…。

木下直人さんを通じてお知り合いとなった栃木県のO様より、デファイエ氏が初来日したときの録音、というものを送っていただいた。初来日…すなわち、1964年の録音である。この時は、リサイタル等は行わず、いくつかの音楽大学でマスタークラスやクリニックを行ったようだ。このあたりの描写は、Thunderさんのページに詳しい。

この初来日の際、東洋大学を訪れてサクソフォンに関するクリニックを開いたというのだが、その録音が残っているというのだ。この話を聴いたときは大変驚き、「聴いてみたい!」と強く思ったのだが、O様のご厚意によりダビングしたものを送っていただいた。O様には感謝申し上げたい。ちなみにLR両チャンネルへの拡張は、木下直人さんによってなされたとのこと。

東洋大学に訪問したのは、デファイエ氏、クラリネットの稲垣征夫氏、そしてデファイエと言えばこの方、おなじみビュッフェ・クランポンの保良徹氏である。東洋大学吹奏楽団による歓迎演奏…プランケットの「サンプル・エ・ミューズ連隊」と、フレッチャーの「スピリット・オブ・ページェントリー」の後、デファイエ氏の紹介、サクソフォンという楽器に関する短いレクチャー、サクソフォンのオリジナル曲からのフレーズ抜粋(無伴奏)、質問コーナー、といった具合。演奏されている曲のリストは、以下。

G.ビゼー - 「アルルの女」第一組曲より
C.ドビュッシー - ラプソディの冒頭
P.ボノー - 「組曲」より第1楽章"即興曲"
J.イベール - コンチェルティーノ・ダ・カメラから第2楽章(緩徐部分)

およそ50年ほども前の録音ということで、録音状態は必ずしも良いとは言えないのだが、それにしても貴重な記録である。抜粋されたフレーズの、どこまでも瑞々しく溌剌としていること!録音セッションとは違う、臨場感だとか覇気だとか、そういったものを強く感じ取ることができた。

2009/11/21

ダニエル・デファイエの生徒たち(その10)

[1977]
新作課題曲:
Georges Delerue - Prisme
1er prix:
Jean-Yves Fourmeau
Rita Knuesel
武藤賢一郎
Claude Delangle
Francis Vallone

ます、新作の課題曲であるジョルジュ・デラルー(と読むのか?)の「プリズム」だが、録音を紹介しておく。アンドレ・ブーン André Beunという、マルセル・ミュールの弟子で、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の首席も務めたサクソフォン奏者が、LPを吹きこんでいるのだ。以前木下直人さんにトランスファーしてもらったのだ。いちおうCDも出ており(→こちら)、手っ取り早く入手したい向きにはオススメ…のはずなのだが、今は売ってるのだろうか?かつては、タワレコではよく見かけたのだが。

さて、卒業生の顔ぶれだが、実際当時からデファイエをして「パリ音楽院始まって以来の最高のクラスだ」と言わしめたほどのプレイヤーが集結していたということなのだが、今の時代にこうやって見てみると、余計にすごさがわかるというところか。

フルモー氏(セルジー・ポントワーズ音楽院教授)、ドゥラングル氏(パリ国立高等音楽院教授)、武藤氏(昭和音楽大学教授)は言わずもがな。リタ・クヌーセルは、アメリカ出身の女性奏者で、この方も凄いプレーヤーだったそうだ。実際、この年の卒業生5人中4人が、1978年に行われたギャップ国際サクソフォンコンクール(サクソフォン界としては初めての、国際コンクール)で入賞している。このコンクールについては、以前にも記事にした。基礎データはこちら、雑感はこちら。順位だけ、この記事にも再掲しておく。

1位:該当なし
2位:ドゥラングル、フルモー
3位:ポール・フーシェクール(1978年のデファイエクラスの卒業生)
4位:リタ・クヌーセル
5位:武藤賢一郎

2009/11/20

ダニエル・デファイエの生徒たち(その9)

[1976]
新作課題曲:
Jean Michel Defaye - Ampélopsis
1er prix:
Ghislain Mathiot
Daniel Kientzy
Patrice Saouter
Max Jézouin

この年度でもっとも注目すべきは、なんといってもダニエル・ケンジー氏だ。同時代の作曲家たちの作品を積極的に取り上げ、これまでに献呈された作品は300以上、リリースしたディスクは70~80枚にも及ぶという、ある意味史上最強のサクソフォニスト。教育活動は一切行わず、世界を駆け巡って次から次へと新作の初演を手掛けているというから、驚きだ。

ケンジー氏について、このブログでもたびたび取り上げているので、このページあたりをご覧いただくと良いかなと思う。

もともとはリモージュ音楽院の出身で、そこからパリ音楽院のデファイエ・クラスに入学したとのこと。1983年に、SACEM賞を受賞。どうやら、ちょうどその頃から精力的に新作の初演を行っているようだ。あのデファイエ氏のクラスを卒業して、コテコテの現代音楽分野に身を投じるというのも面白いが(デファイエ自身、それほど現代音楽や特殊奏法を好んで取り上げることはしなかっと聴くし)、ケンジー氏が、そういった方面に突き動かされた理由は、何だったのだろうか。気になるところだ。

ケンジー氏に関して取り上げなければならない、有名な著作が二点ある。重音のバイブルとも言うべきリファレンスである「Le sons multiples aux saxophones(Salabert)」と、100の特殊奏法を網羅したCD付きの論文「Saxologie」。いずれも、サクソフォンの現代奏法に関わる作曲家・演奏家必携の書籍であり、お世話になっている方も多いはず。私も、両方持ってます。

さて、この年の新作委嘱曲はジャン=ミシェル・デュファイの「アンペロプシス(野ブドウ)」。デュファイと言えば、クラリネットにかかわったことがある方ならば、「オーディションのための6つの小品」という作品タイトルは、どこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。そう、サクソフォンの作品も手掛けているのだ。他の作品として、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のサックス五重奏団のために「ディアローグ」を書くなどしている。

Ghislain Mathiotは、1975年卒業のジャック・シャルル率いるQuatuor de saxophones contemporainにテナー奏者として参加していた。Max Jézouinも、同アンサンブルのバリトン奏者。Mathiot氏は、現在はAdsnieres音楽院の教授。Jézouin氏は、Angoulème音楽院教授。Patrice Saouterは、Lorient音楽院教授。うーん、ケンジー氏以外は、あまり際立った情報が見つけられないな。

さて次回、1977年は、デファイエ・クラス伝説の年(?)。著名なプレイヤーが名を連ねます。お楽しみに。

2009/11/19

ダニエル・デファイエの生徒たち(その8)

[1975]
新作課題曲:
Jean-Pierre Beugniot - Sonata
1er prix:
Pierric Leman
Jacques Charles
Christiane Hecht
André Lemasson

Beugniotは、作品を聴いたことがあった。以前、木下直人さんから送っていただいたジャック・デスロジェ Jacques DeslogesのLPに、四重奏曲が収録されているのだ。「アナモルフォーゼ」という、オーボエ、ホルン、バリトンサックスのための作品も作っているそうだが、うーん、響きが想像つかない(笑)。

この年の卒業生で最も重要な人物は、おそらくジャック・シャルルだろう。サクソフォン科を卒業した1975年にQuatuor de saxophones contemporainを結成し、同時代の作曲家の作品を数多く取り上げた。アルトにピエリック・ルマンが参加していたというから、驚きである。1976年より、Rochelle音楽院教授。現在は、パリ区立15区(ショパン)音楽院教授。ちょっと忘れてしまったのだが、たしかAs.Sa.Fra(かつてのフランスのサクソフォーン協会)の会長だったかな…。

ピエリック・ルマンは、フルモーカルテットのアルト奏者としてもおなじみ。ルーベ音楽院出身で、パリ音楽院に入学したのが1971年。1975年にサクソフォン科を卒業した後も室内学科で勉強を続け、1977年に卒業した。カンブレ Cambrai音楽院(現在ジュリアン・プティ氏が教授を務めている)教授を経て、Issy-les-Moulineaux音楽院教授。

クリスティアヌ・ヘシェは、名前から想像するに女性奏者かな?Lille音楽院教授。André Lemassonについては、見つけられず…。

2009/11/18

ダニエル・デファイエの生徒たち(その7)

[1974]
新作課題曲:
Alain Margoni - Cadence et Danse
1er prix:
Yves Guicherd
Joël Batteau

ジョエル・バトー氏だ!おなじみ、フルモー・サクソフォン四重奏団のバリトン奏者。左の写真に代表される、髭を蓄えた姿は、一度見たら忘れられない。ルーベ音楽院のRené Desmon門下を卒業したのち、パリ音楽院に入学。現在は、母校であるルーベ音楽院の教授。ちなみに、フルモー四重奏団の結成は、バトー氏が言いだしっぺだったようだ(→波多江氏のインタビューを参照、非常に読み応えがある)。実はフルモー四重奏団の四人、ルーベ音楽院で同門なのだということだから、驚き。そういえば、フルモー四重奏団はライヴで聴いたことないなあ。まだ高校生のころ、長野に来たことがあったのだけど、大学受験を控えており、我慢したのだ。

新作の課題曲は、アラン・マルゴーニの作品。この作品を聴いたことはないが、「四重奏曲第一番」というサクソフォン作品が、フルモー四重奏団の演奏で聴けるCDがある。フェルド、マルゴーニ、ティスネ、ミゴというマニアックな曲目が収録された、非常に希少な自主製作盤で、この音源の入手にはmae-saxさんにお世話になった。「Cadence et Danse」はデファイエに献呈されており、現在はBillaudotから出版されている。

Yves Guicherdは、現在は作曲家として成功しているようだ。検索すると、いくつかの作品が引っかかった。

2009/11/16

ダニエル・デファイエの生徒たち(その6)

[1973]
新作課題曲:
Pierre Sancan - Lamento et Rondo
1er prix:
Daniel Cochet
Jean Pierre Caens

新作の課題曲は、ピエール・サンカンの「ラメントとロンド」。そう、この曲って、パリ音楽院の卒業試験曲だったのですよね。デファイエ氏が教授職に就いていた期間に、卒業試験に際して委嘱された作品中では、現在においてレパートリーとしてもっとも高い地位を獲得している作品ではないだろうか。録音も多く、モレティ氏、武藤賢一郎氏、ドゥラングル氏、フルモー氏という、パリ音楽院卒のスタープレイヤー達が、自分のアルバムに吹きこんでいる。ちなみにだが、オーケストラ版もあるそうで(聴いたことない…)。

私にとっては、サンカン=「ラメントとロンド」という風に結びつくのだが、ピアニストとしての活躍も有名。いつだったか、ラヴェルの「ピアノ協奏曲」の録音をいろいろと探していたときに、サンカンが独奏を務めた録音というものもあり、その存在を知った時は驚いたものだ(→ここから聴けます。上手い!)。作曲家としては、フルートのための作品が有名だが、たとえばピアノのためにこんなに可愛らしい小品(→ここから聴ける)も書いている。

Daniel Cochetは、1972年卒業のChristian Charnayと同じく、セルジュ・ビション氏率いるQuatuor de saxophones Rhône-Alpesのメンバー(アルト奏者)としての名前があった。

Jean Pierre Caensは、なんとモロッコ生まれのプレイヤー。1948年生まれということだから、やはり外国人は少し年齢が上になる傾向があるな。ディジョン音楽院でジャン=マリー・ロンデックスに師事したのち、パリ音楽院のデファイエクラスに入学した。在学中に、1970年のジュネーヴ国際音楽コンクールで、入選を果たしている。比較的早い時期からBesançon音楽院教授をつとめ、さらに1995年からはAix-en-Provence音楽院の教授職にもついている。現代作品に造詣が深く、N. Zourabichvili de Pelkenというという作曲家から、「Pointillés」というサクソフォンとテープ音楽のための作品を、1974年というサクソフォン界としては比較的早い時期に献呈されている。

2009/11/15

Impression d'Automne on WebRadio

ジェローム・ラランさんからご案内いただいた!Cafuaレーベルから発売されているラランさんのアルバム「Impressions d'Automne」の抜粋が、今ラジオ・フランスのウェブラジオで聴けるそうだ。

http://sites.radiofrance.fr/francemusique/_c/php/emission/popupMP3.php?e=80000063&d=395001520

最初はコマーシャル的なものが続き、本編は7分過ぎたあたりから。内容は、以下の通り。

出演:
ジェローム・ララン(sax)
原博巳(プーランクのみ, tsax)
棚田文則(pf.)
Constance Luzzati(hrp.)

プログラム:
F.プーランク - トリオ
J.S.バッハ - パルティータ第1番(Constance Luzzarti)
M.ラヴェル - ソナチネ
D.ミヨー - スカラムーシュ

「SPP」がないのがちょっと残念だが、プーランク、ラヴェル、ミヨーをまるまる聴ける。…なんとお得なラジオ。山中の涼しげな小川のような、絶えずよどみなく流れ続ける音楽に、現代フランス・サクソフォン界の最良の形を垣間見ることができる。「秋の印象」というタイトルとは裏腹に、暑い夏にさわやかな風と水しぶきを浴びているような、そんな気分にさせてくれる。

このCDについては以前レビューした。フィリップ・ルルーとか、デザンクロとか、他の作品の演奏も素晴らしい。

ダニエル・デファイエの生徒たち(その5)

[1972]
新作課題曲:
Roger Calmel - Concertino
1er prix:
Jean Bouchard
Alain Huteau
Christian Charnay

ロジェ・カルメルの作品!サクソフォンの世界でカルメルというと、「サクソフォン四重奏と弦楽オーケストラ、打楽器のためのコンチェルト・グロッソ」という作品が群を抜いて有名である。その名の通り、四重奏とオーケストラのための作品なのだが、この特殊な編成のために書かれた作品の中では、もっとも演奏機会が多い作品だと思う。録音も多く、手元をざっと見るだけで、デファイエ四重奏団(最後の演奏となったライヴ録音)&東京都交響楽団、ルデュー四重奏団&ヤナーチェクフィル、キャトル・ロゾー&東京シティフィル、ディアフェーズQ&フォーラム・シンフォニエッタと、4つもの録音が見つかった。実際、かっこいいしなあ。

話が逸れたが、カルメルがサクソフォンのために独奏曲を書いていることは知らなかった。調べてみると、「コンテルト・グロッソ」「コンチェルティーノ」を筆頭に18もの作品がリストとして挙げられており、サクソフォンの世界とは縁が深かったようだ。「コンチェルティーノ」はおそらくこのときはアルトサクソフォン+ピアノ編成だったと思われるが、現在の標準編成は、アルトサクソフォン+吹奏楽なのだとか。

Jean Bouchardは、QuasarのJean Marc Bouchardとは別人で、おそらくカナダ生まれのサクソフォン奏者。ちなみに初期のデファイエ・クラスは、カナダからの留学生が目立つが、彼らはケベック音楽院においてPierre Bourqueという人物の下で学んだプレイヤーである。その留学生たちは、カナダ帰国後に師匠であるPierre BourqueとともにQuatuor de saxophones Pierre Bourqueを結成した。Bouchardもそのひとり。

Alain Huteauは、なんと現在では打楽器奏者として活躍しているのだそうだ。パリ音楽院で、サクソフォン、パーカッション、楽曲分析、和声、対位法で一等賞を獲得したのち、打楽器演奏、作曲、教育の各分野で活躍しているとのこと。奏者としては、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、フランス国立放送管、オペラ座管、Ensemble 2e2m(ドゥゼ・ドゥエム)などに参加したというから、相当のキャリアの持ち主だ!現在は、フルモー氏がサクソフォンの教鞭を執ることで有名なセルジー・ポントワーズ音楽院の打楽器科教授とのこと。へえ~。

Christian Charnayは、検索したらThunderさんのページが引っかかった。セルジュ・ビション氏率いるQuatuor de saxophones Rhône-Alpesに、バリトンサクソフォン奏者として参加していたそうだ。

2009/11/14

ダニエル・デファイエの生徒たち(その4)

[1971]
新作課題曲:
Désiré Dondeyne - Symphonie concertante
1er prix:
Michel Reydellet
Paul Denais
Jean-Luc Vignaud

おお、デジレ・ドンディーヌ Désiré Dondeyneの作品だ!往年のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団とともに、「フランスの管楽アンサンブルの響きを持つ」と称されるパリ警視庁音楽隊の、指揮者。ドンディーヌはもともとクラリネット吹きだったが、キャリア初期から作曲家として有名であり、非常に多くの作品を手掛けている。サクソフォンの作品も、非常に多く書いており、そのリストはフランスのWikipedia等から参照できる。

1949年生まれのMichel Reydelletは、Bourg-en-Bresseに生まれた。1967年から1971年にかけてパリ音楽院のデファイエクラスに在籍したのち、1972年にクリスティアン・ラルデの室内楽クラスに入りなおして、さらに研鑽を積んだ。Quatuor de saxophones de Parisの初期メンバーのひとり(現在は脱退)。グルノーブル Grenoble音楽院教授現職。

Paul Denaisというと、どうもオルガン奏者の記述が引っかかるのだが、まさか同一人物じゃないよなあ。生年については、ほぼ同じころなのだが、まさかね…。Jean-Luc Vignaudは、セルマーの公式ページに名前がリストされていた。が、肝心の情報はまったく記載なし…。Jean-Luc Vignaud Bigbandという記述が引っかかったので、ジャズに転向した可能性が高い。

2009/11/13

ダニエル・デファイエの生徒たち(その3)

[1970]
新作課題曲:
Jean-Paul Rieunier - Linéral
1er prix:
Daniel Liger
Jean-Pierre Vermeeren
Claude Brisson
Alain Jousset

Jean-Paul Rieunierなんていう作曲家の名前は初めて聴くなあ。1933年、フランスのボルドー生まれの作曲家で、アルトサクソフォンとピアノのための「Linéral」のほかに、「Volume 2」というバリトンサクソフォンと吹奏楽のための作品を作っているのだということだ。それぞれ、ダニエル・デファイエ、ジャン・ルデュー各氏に献呈されており、Leduc社刊。

この年の卒業生のリストを見ていると、アラン・ジュッセという名前が目にとまった。どこかで見たことあるなあと調べてみたところ、そうだ、小森伸二さんの先生だったのですね。パリ区立モーリス・ラヴェル音楽院にて講師を務めているということだから、そういったところから師弟関係になっているのだろう。アラン・ジュッセは、Quatuor de saxophone de Parisという四重奏団をDaniel Ligerとともに結成し、活動していた。CDもリリースされているようだが、私は所持していないため、ここはmckenさんのページにおまかせしてしまおう。

そのDaniel Ligerは、1950年生まれのサクソフォン奏者で、Tours音楽院にてAlfred Lockwoodに師事し、1966年に卒業、引き続いてパリ音楽院にてデファイエに師事した。1977年より、母校であるTours音楽院の教授職についている。ParisSQのメンバーとしての活動が、一番有名であるようだ。

Jean Pierre Vermeerenは、1948年、フランスのルーベに生まれたサクソフォン奏者。1960年から1967年までルーベ音楽院にてRené Desmonsに学び、その後パリ音楽院に進学した。1970年のジュネーヴ音楽コンクールで、銅メダルを獲得しているとのこと。ちなみにこのときの最高位は、Philip Glass Ensembleのメンバーとしても有名な、アメリカのジャック・クリプル Jack Kripl(!)。

Claude Brissonは、カナダのケベック生まれのサクソフォン奏者。Rémi Menardと比較的近い経歴を持っているようだ。1970年のジュネーヴ音楽コンクールで、銀メダルを獲得しているとのこと。ソプラノサクソフォンのための「ファンテジー」が有名なドゥニ・ベダールが、彼に「ソナタ」という作品を捧げている。

2009/11/12

ダニエル・デファイエの生徒たち(その2)

[1969]
新作課題曲:
Jean Lemaire - Musiques légères
1er prix:
Joseph Larocque
Jean-Louis Bousquet
Christian Thymel
Rémi Menard
Claude Louvel

Jean Lemaireという作曲家は初耳だが、この「Musiques légère」という作品のほかに、「サクソフォン四重奏曲」という、四重奏とオーケストラのための作品を作っているようだ。しかも、献呈先がデファイエ四重奏団…き、気になる…。

さて、おそらくこの年の卒業生でもっとも有名なのは、カナダ出身のRémi Menard。1944年生まれ、Pierre Bourqueに師事して1965年にケベックの音楽院を卒業、ケベック州の助成を得てフランスに渡り、パリ音楽院に学んだ。帰国後、Pierre Bourque四重奏団を結成し、RCAレーベルへ吹きこみを行っている。SNEをはじめとしたレーベルから独奏のCDもいくつかリリースされており、演奏活動を通じてカナダの現代作品の啓蒙に努めた。カナダ・サクソフォン界の中堅~大御所といった位置にいるのだろう。

Jean-Louis Bousquetは、Clermont-Ferrand Montpellier音楽院とFontainebleau音楽院の教授職にある。どうやら現職のようだ。Christian Thymelは、ボルドー音楽院出身のサクソフォン奏者とのこと。Ensemble Aquitaineという室内楽団での活動実績を見つけることができた。Claude Louvelは、情報が見つからず…。

ちなみに、この年の卒業生について調べるうちに、第4回サクソフォン・コングレス@ボルドーの、プログラム冊子を見つけてしまった(笑)。めちゃくちゃ面白い資料なので、そのうちご紹介する予定。

2009/11/11

ダニエル・デファイエの生徒たち(その1)

以前、皆様ご存じのThunderさんのブログ「Thunder's 音楽的日常」上での連載「マルセル・ミュールの生徒たち」に触発され、「クロード・ドゥラングルの生徒たち」という記事diary.kuri_saxo内に連載した。残された課題として、ダニエル・デファイエ氏がパリ国立高等音楽院の教授だった時代の卒業生の状況を調べる必要が出て、ずっと手つかずだったのだが、本日よりデファイエ氏の生徒たちについての調査を開始したい。

今回は、長くなりそうなのでひとつの年度ごとやっていこうと考えている。年内に終わるといいなあ、いや、無理かなあ。

基礎データとなる卒業生の名前一覧と課題曲については、参考資料となるニコラ・プロスト著「Saxophone à la française」より引用。あ、そういえば2009年シーズンの卒業生のデータ、まだ調査していないなあ。どなたか教えてください…(^^;

[1968]
新作課題曲:
Pierre Max Dubois - 2ème Sonatine
1er prix:
Régis Manceau

課題曲はデュボワの「ソナチネ第2番」。デュボワの「コンチェルトシュトゥック」が1955年に課題曲として採用された実績があり、これが二度目の採用となる。Allegro - Andante - Prestoの三つの楽章からなる、およそ9分の作品で、Alphonse Leducから出版されているとのこと。

卒業生は、Régis Manceauただ一人。詳細な経歴は、Thunderさんの解説にお譲りしようと思う。

2009/11/10

楽曲にマッチする音

タイトルほど大げさな記事ではない(笑)。

ラッシャーに捧げられた作品、たとえばダールやイベールやグラズノフやマルタンといったほとんどの作品は、もちろんラッシャーの音色を想定して書かれているのだと思う。しかし、どちらかというと、伝統的なフレンチ・サクソフォンのキラキラした音色で演奏されるほうが、曲想にマッチしていると感じるのだ。

ダールの冒頭を想像した時に、あのヒロイックなフレーズは、細身な音色よりも、もっと重みのある音色のほうが「これだ!」と思えるのだ。作曲者に聴かせたら、どっちがいいと言うのかなあ。現代風と言われる、軽量化された音色についても同じことが言えると思う。

曲が生まれた時点で作曲家の頭の中に流れていた音色が最適だということもあるし、その後新たに創り出された音色が実はその曲に最適だということもある。作品が生き物だということを再認識する思いだ。

2009/11/09

フランクの「ソナタ」を…

言わずと知れたヴァイオリンの名曲で、もしかしてこの曲を好きな方の中には、「サックスでやるなんて…」と目くじら立てる向きもあるかもしれない。だが、サクソフォン界では周知の通り、この曲を取り上げているプレイヤーは多い。個人的な考えだが、この曲が持つ旋律を管楽器で演奏するのは、大いに"アリ"だと思う。弦楽器、特にヴァイオリンだと、力強さという点でかなり奏者を選ぶのだと思うが、管楽器が持つダイナミクスの幅は、ある意味では弦楽器の表現力を上回る部分もあるかと感じるのだ。

で、超個人的嗜好なのだが、バリトンサックスで演奏されたフランクの「ソナタ」がけっこう好きなのです。変かな?笑。ヴァイオリンで演奏されたものはもちろん、チェロやアルトサックスの演奏ももちろん好きなのだが、かなり独自の世界を確立しているバリトンサックス版は、ずいぶんと印象が強い。

たぶん、国内ではこれが一番有名だろう。栃尾克樹氏の「Caprice en forme de valse(Meister Music MM-2043)」。栃尾氏のバリトンサックスアルバム第3弾ということでおなじみ。それにしても栃尾氏のアルバム、次々に出てくるということは、それだけ売れているんだろうなあ(私も全部持ってます)。

あまりバリトンサックスらしくない。そのらしくないところが好きか嫌いかで好みが分かれるとおもうのだが、どうなのだろうか。低音特有の、ビリビリと震える成分をごっそり取り去ったようなとても柔らかい発声だが、なんだかフルートでも聴いているような不思議な音だ。これはバリトンサックスというよりも、栃尾さんが持つ音、そのものなのだと思う。

「バリトンサックスらしさ」を求めるならば、こちらに尽きるな。高校生のころから聴いている、私にとっての「独奏バリトンサックス」の標準。アメリカのサクソフォン奏者、トッド・オクスフォード Todd Oxford氏の「Finesse(Equilibrium EQ22)」。フランクに加え、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」、ボザ「アンプロヴィザシオンとカプリス」、ボノー「ワルツ形式のカプリス」という、なんだかどこかで見たことがあるラインナップなのだが、こちらのCDは1999年発売ということで、栃尾さんの一連のアルバムと比較すると、かなり先行しているのだ。驚き。

暑苦しく、濃密・濃厚な音世界。フランクでは、ここまで歌い上げるか!というほどの強烈なフレージングに驚き、続くバッハ、ボザ、ボノーも、無伴奏の世界を非常によく表現している。アルバム制作にあたり、弦楽器のプレイヤーにアドバイスを受けたそうで、その経緯が生きているのではないだろうか。こちらのリンク先から試聴できるので、聴いたことのない向きは、ぜひ(栃尾さんの演奏しかしらないと、驚くかも)。アマゾンへのリンクは、こちら→Todd Oxford : Finesse

2009/11/08

Robert Black氏の経歴

シカゴ・プロ・ムジカに参加しているロバート・ブラック氏の経歴が気になったので調べてみた。おなじみ、Harry R. Gee著「Saxophone Soloists and Their Music 1844-1985」の、ブラック氏の項目を訳してみた。

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1951年10月21日、オクラホマ州センチネルの生まれ。1969年まで、Interlochen Arts Academyにて、ジャック・クリプル Jack Kripl氏にサクソフォンを学んだ。その後ノースウェスタン大学に入学し、フレデリック・ヘムケ氏のもとでさらに研鑽を積んだ。シカゴでいくつかの音楽賞を受賞したのち、1971年、M.H.Berlin Foundationの助成を得てフランスへ留学し、ジャン=マリー・ロンデックスのもとで学んだ。フランス在住時には、ボルドー管弦楽団との共演の模様がしばしばフランス国立放送で放送されるなど活躍し、最終的にボルドー音楽院で一等賞を獲得して卒業した。ブラック氏は、イギリスでも活躍している。1972ん年に、Wigmoreホールにて演奏を行い、1976年の世界サクソフォンコングレスでも演奏を行っている。
ブラック氏はこれまでに、シカゴ市民交響楽団、セントルイス交響楽団をはじめとする、数々のオーケストラと共演している。また、シカゴサクソフォン四重奏団のソプラノサクソフォン奏者としても活躍している。教育者としては、1977年よりルーズヴェルト大学の教授職に就任し、後進の指導にあたっている。

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以上。この書籍に掲載されている情報は、1985年時点のものなので、この後さらに経歴を積んでいったと思われるが、この若いころの経歴を見るだけも、おおまかな流派は読み取ることができる。というか、シカゴSQのソプラノサックスプレイヤーだったのですね(今はメンバーが変わっている気がするが)…知らなかった。

また、1932年生まれの作曲家、ウィリアム・カーリンズ William Karlinsが「協奏曲」と「四重奏曲第二番」をブラック氏に捧げているようだ。親交が深かったのだろう。

Kenneth Tse plays Scaramouche on YouTube

ケネス・チェ氏が、コスタリカ大学サクソフォン・アンサンブルと共演した映像がYouTubeにアップロードされていた。サウンドが分離しないのは、サックス⇔サックスという編成上仕方がなく、おまけに伴奏がかなりの爆音で全体的にやや聴きづらいのだが、それにしてもチェ氏の独奏の、実に見事なこと!!

第1楽章や第3楽章でのテクニックも見事だが、聴きどころは緩徐楽章での上品な歌い方だろう。

2009/11/07

サンジュレの録音

サンジュレ「四重奏曲第一番」の録音というのはけっこう少なくて、私も2、3枚しか持っていない。実演ではプロ・アマチュア問わず何回も聴いたことがあるのに、録音が少ないのは、やっぱり尺が長い割に演奏効果が低いということもあるのかな。

サンジュレと言えば!とすぐに思い浮かぶのが、この録音。ジャン・ルデュー御大率いるサクソフォン四重奏団の、デビューアルバム「Singelee, Pierne, Pascal, Absil(Opus 91 2408-2)」。私にとってのサンジュレの演奏の録音媒体としてのスタンダード。1970年代の美的感覚でもって、同四重奏曲を演奏されており、ともすればつまらない演奏になりがちな本曲を聴く楽しさを気付かせてくれる(どうやら自分は、演奏しつくされた曲ほど、昔のスタイルの演奏を好む傾向にあるなあ)。併録されているピエルネ、パスカル、アブシルもなかなかイイです。

ああ、これにも入ってますね。New Art Saxophone Quartetの「PRIMAVERA(Ars Musici AMP 5090-2)」。こちらもデビューアルバムだなあ。ルデュー・カルテットの演奏と比較すると、こちらはぐっと現代風な演奏で、とても見通しが良く演奏されている。「長い」というこの曲の弱点部分については、なんと第4楽章をカットするという暴挙(笑)により、飽きさせない工夫が。だがしかし、カットしてしまうというのは少し考えづらいなあ。編集のミスだったりして…。

日本のカルテットもレコーディングしてます。アルディSQの「Amazing Grace(Meister Music MM-1173)」。ナイマン、サンジュレ、リヴィエ、デザンクロといった、サクソフォン四重奏曲のスタンダードを集めたCDで、がっちりとした構成と高い技術力は、いかにも日本の四重奏団らしい演奏特徴だと思う。個人的には、リヴィエが好きかな。サンジュレは、ちょっとここまで生真面目に聴かされるとZzz...笑。

2009/11/05

Chicago Pro MusicaのCD

以前、アバト氏参加のディスクをレビューしたときに話題にしたアルバム。シカゴ・プロ・ムジカの「The Medinah Sessions(Reference Recordings RR-2102)」という二枚組CD。シカゴ・プロ・ムジカは、1979年にシカゴ交響楽団のメンバによって結成された室内楽集団。レパートリーはバロックから現代音楽までと幅広く、その演奏能力の高さゆえ、1985年にリリースされたデビューアルバムによって、第28回グラミー賞クラシック部門最優秀新人賞の栄誉に浴したとのこと。メンバーには、クラリネット奏者のJohn Bruce Yehを筆頭に、以下のメンバが参加している。

Robert Black, saxophone
Easley Blackwood, piano
Willard Elliot, basson
Patrick Ferreri, banjo & guitar
Jay Friedman, trombone
Daniel Gingrich, horn
Richard Graff, flute & piccolo
Joseph Guastafeste, bass
Eric Hansen, trumpet
Michael Henoch, oboe
Albert Igolnikov, violin
Donald Koss, percussion
Walfrid Kujala, flute
Burl Lane, saxophone
Rex Martin, tuba
James Moffitt, clarinet
Don Moline, cello
Nancy Park, violin
Jonathan Pegis, cello
James Ross, percussion
Wilbur Simpson, basson
Herman Troppe, accordion
Charles Vernon, trombone
George Vosburgh, trumpet
John Bruce Yeh, clarinet

ジョージ・ヴォスバーグ、ジェイ・フリードマン、ロバート・ブラック(シカゴ響メンバではないが、同オーケストラには縁が深いとのこと)他、シカゴ交響楽団を代表する名ソリストの名前を見てとることができる。シカゴ響というと、アメリカ、いや世界最強とも言える金管楽器セクションを始めとした、数々の名プレイヤーを擁したオーケストラであり、シカゴ・プロ・ムジカはそんな音楽家たちが室内楽を吹いているという、非常に贅沢なアンサンブルなのだ。

W.ウォルトン - ファサード
R.シュトラウス - もう一人のティル・オイレンシュピーゲル
A.スクリャービン - ワルツ変イ長調
C.ニールセン - セレナータ・イン・ヴァノ
I.ストラヴィンスキー - 兵士の物語
N.リムスキー=コルサコフ - スペイン奇想曲
K.ワイル - 「三文オペラ」組曲
P.ボウルズ - 喜劇のための音楽
B.マルティヌー - 料理雑誌
E.ヴァレーズ - オクタンドル

もともと3つに分けて発売されていたアルバムを、二枚組のCDにまとめたアルバムなのだそうだ。すでにDONAXさんがこちらのページで絶賛しているが、驚異的なまでの楽器の鳴りと、リズム処理の正確性において、この録音の右に出るアンサンブルを探すのは、至難だろう。

特に、グラミー賞受賞対象となったウォルトン、シュトラウス、スクリャービン、ニールセンにおけるアンサンブルは、誤解を恐れず言えば神業とも言える領域に到達しているのでは、とすら思わせる。「ファサード」あたりを聴いてもらえばわかるのだが、冒頭からして音ひとつひとつの密度がとても高いのだ。だからといって野暮ったいわけではなく、小回りのきく溌剌としたアンサンブル。この一見矛盾したサウンドが、とてつもないグルーヴ感を生み出し、聴き手の耳をひきつける。

サクソフォン的興味としても、「ファサード」や「三文オペラ」で聴かれるロバート・ブラック氏の演奏は、実に見事。ちょっと真面目すぎるかな?と思われなくもないが、逆にフランス的な演奏が、このアンサンブルの中に入ってしまうと、それはそれで雰囲気が壊れてしまう気がする。まさに適材適所というところか。

管楽器や室内楽を勉強している向きには、かなりおすすめできるCD。私は海外から買ったのだが、amazonでも扱っていることを最近知った。しかも、送料とか考えればamazonのほうが安いじゃん…。こちらのリンク先から買えるのだが、まさか二枚組で2000円程度とは…すごい時代だ。

2009/11/04

ライヴ・エレクトロニクス過去形/未来形

Benoît Menut氏からメールが返ってきた!やったー!

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佐藤淳一さんからご案内いただいた演奏会。あいにくこの日は予定があるため伺えないのだが、非常に興味深い内容だ。予定がなければ、ほぼ確実に伺っていたかも(笑)。

【現音・秋の音楽展2009 - 電楽IV「ライヴ・エレクトロニクスの過去形・未来形」】
日時:2009/11/6(金)19:00開演
会場:アサヒ・アートスクウェア
料金:2000円
プログラム:
J.ケージ - 心象風景 No.1
P.ブーレーズ - 二重の影の対話
レクチャー「ライブ・エレクトロニクス再考」
K.ニコル - Dream away the time
水野みか子 - 整列効果
問い合わせ:
http://www.jscm.net/(日本現代音楽協会)

以下、プログラムの詳細。公式サイトよりコピペしてきたもの。…いま気づいたのだが、「心象風景第1番」やるんだ!!ますます聴きたかったなあ。この曲の独特なポルタメントって、てっきりラジオの音かと思っていのだが、レコードプレーヤーの音だったのですね。知らなかった。

●第1部/ライブ・エレクトロニクス過去形(歴史的作品の上演とシンポジウム)
[1]ジョン・ケージ/Imaginary Landscape No.1 (1939)
岩崎真(Player 1 レコードプレーヤー) 山田香(Player 2 レコードプレーヤー)
牧野美沙(Player 3 打楽器) 山本清香(Player 4 ストリング・ピアノ)
[2]ピエール・ブーレーズ/二重の影の対話(Sax ヴァージョン)(1985)
佐藤淳一(サクソフォーン) 森威功(コンピュータ)
[3]レクチャー/沼野雄司「ライブ・エレクトロニクス再考」
●第2部/ライブ・エレクトロニクス未来形(新作初演コンサート)
[4]キム・ニコル/無声映画「真夏の夜の夢」による箏とピアノのライブ・エレクトロニクスのための「Dream away the time」(2009/初演)
吉川あいみ(生田流箏) 山本清香(ピアノ) キム・ニコル(コンピュータ)
[5]水野みか子/バスーンとコンピュータのための「整列効果」(2009/初演)
桑原真知子(バスーン) 新美太基(映像プログラム) 水野みか子(コンピュータ)

2009/11/03

行けなかったよー(泣)

雲井雅人サックス四重奏団&マーフィ夫妻のジョイント演奏会にも、なめらーかさんの演奏会にも、ドリーム・ジャズ・オーケストラの演奏会にも行けなかったよー(泣)。

ま、いまさら悔やんでもしょうがないので、次の機会を楽しみにしておこうっと。

筑波大学吹奏楽団第62回定期演奏会

Espoir Saxophone Orchestraの本番ののち、府中からつくばへ2時間近い大移動。後輩たちの演奏会を聴いてきた。

【筑波大学吹奏楽団第62回定期演奏会】
出演:筑波大学吹奏楽団
日時:2009/11/01 18:30開演
会場:つくば市ノバホール
プログラム:
~第1部~
L.バーンスタイン - 序曲「キャンディード」
八木澤教司 - 空中都市「マチュピチュ」
J.ヴァン=デル=ロースト - カンタベリー・コラール
V.ネリベル - 二つの交響的断章
~第2部~
A.シルヴェストリ - バック・トゥ・ザ・フューチャー
E.モリコーネ - 海の上のピアニスト
J.ザヴィヌル - バードランド
D.ギリス - 台所用品による変奏曲
D.ホルジンガー - スクーティン・オン・ハードロック
~アンコール~
M.ルグラン - キャラバンの到着
伊藤康英 - 舞子スプリングマーチ

到着したのが、「マチュピチュ」の直前。そんなわけで最初の「キャンディード」は聴けなかったのだけど、第一部はどれも完成度が高く、楽しめた。特にネリベルはすごかったなあ。第二部は、バードランドではっちゃけてからの3曲が良かった!「バードランド」の強力なノリは昔と変わっていないし、「台所用品」は可愛らしい演出が楽しかったし、ホルジンガーはこの曲が好き!という雰囲気が伝わってきて…。

アンコールも、高い技術に大人な雰囲気で、楽しかった。そして、やっぱり「舞子」は名曲!

Espoir SO 8th

もう11/1のことになるが、ご来場ありがとうございました。

やっぱり一番苦労したのはベルノーだったのだけれど、いままで一緒に演奏したことのないメンバーがほとんどだったこともあり、大変勉強になり、そして楽しかった。大編成の演奏曲目については、個人的には試行錯誤の連続であり、まだまだ「こう演奏すれば良い!」というメソッドを獲得しきれていない部分があるなあ。しかし、周りの皆さんは上手かった…。そういった意味では、こちらも大変勉強になった!

【Espoir Saxophone Orchestra 8th Regular Concert】
出演:Espoir Saxophone Orchestra、福井健太(指揮)
日時:2009年11月1日(日)13:30開演
会場:府中グリーンプラザけやきホール(京王線府中駅下車徒歩1分)
プログラム:
J.シュトラウス/圓田勇一 - 喜歌劇「こうもり」序曲
P.デュカス/中尾敦 - 交響詩「魔法使いの弟子」
J.ノレ - アトゥ・サックス
久石譲/中尾敦 - ハウルの動く城
A.ベルノー - 「サクソフォン四重奏曲」より第1, 4楽章
たかのなおゆき - グリーンスリーヴス変奏曲
C.サン=サーンス/佐藤尚美 - 交響詩「死の舞踏」
G.ビゼー/ミ・ベモルSE - 「アルルの女」第二組曲
アンコール:J.シュトラウス - 雷鳴と雷光

2009/10/31

練習とか次のこととか

明日の本番のための練習と、次の計画に向けての種まき。

練習から帰宅後、久々にメールを書きまくっている。次のことを考えられるってのは、今回の演奏会については運営などに携わっておらず、余裕があるせいかなあ。

【演奏会情報】 Espoir Saxophone Orchestra

ぎりぎりの告知になってしまった…。小編成アンサンブルステージで、アラン・ベルノーの「四重奏曲」の第1, 4楽章を吹いているほか、さりげなく(?)大編成の曲にも参加しています。いまさらだけど、大編成のステージの編曲者の面々、すごいなあ。

【Espoir Saxophone Orchestra 8th Regular Concert】
出演:Espoir Saxophone Orchestra、福井健太(指揮)
日時:2009年11月1日(日)13:30開演
会場:府中グリーンプラザけやきホール(京王線府中駅下車徒歩1分)
料金:入場無料
プログラム:
J.シュトラウス/圓田勇一 - 喜歌劇「こうもり」序曲
P.デュカス/中尾敦 - 交響詩「魔法使いの弟子」
C.サン=サーンス/佐藤尚美 - 交響詩「死の舞踏」
G.ビゼー/ミ・ベモルSE - 「アルルの女」第二組曲
小編成アンサンブルステージ
問い合わせ:espoir.sax@gmail.com

2009/10/30

ロンデックスとブロディの二重奏曲集

VMware上でUbuntuの仮想マシンを動かして遊んでいたら、いつの間にか時間が経っていた。昔に比べると、仮想マシンも快適に使えるようになったなあ。

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そういえばこんなCDもあったなと思って引っ張り出してきた。以前もブログで紹介したが、改めて聴いてみた。ジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie Londeix氏とポール・ブロディ Paul Brodie氏の二重奏曲集。ロンデックスの名前はともかくとして、ポール・ブロディ氏の名前はあまり知られていないかもしれないが、1934年生まれ、カナダの黎明期~中期を代表するサクソフォン奏者の一人で、これまでに2500回に及ぶコンサートに出演し、「サクソフォン大使」の異名をとる。

この私が持っているCDは、LPの盤起こしをしたCD-Rなのだが、原盤出版元はなんとGolden Crest(1975年録音)で、おなじみの独特の残響を伴った音楽を楽しむことができる。ちなみにこのCD-R、なんとブロディ氏自身が復刻作業を行ったもので、以前eBayに出品されていたものを買った。たしか12ドルくらいだったかな。今は取り扱っていないようだが。

収録されているのは、テレマンのカノン風ソナタから4曲と、ルクレールのソナタから3曲。いずれもロンデックスが編曲したもので、Leducより出版されている。

テレマンは、曲によってアルト+テナー、ソプラノ+テナー、ソプラノ+アルトなどと持ち替えられており、なかなか楽しい。音色や美妙なニュアンスのコントロール、そして何より発音の美しさは、さすがにロンデックスに軍配が上がるが、ブロディもなかなか健闘していると思う。あと個人的には、ルクレールの緩叙楽章のゆったりとした雰囲気が好きだ。寄せては返す波に揺られているような心地になる。

どちらがどっち、ということをあまりあまり感じさせない(感じるけど)アンサンブルの妙に、この録音の価値があると思う。仲良いんだろうなあ。そうでもしなければ、フランス人とカナダ人がアメリカで録音セッションするなんていうインターナショナルな企画、実現しないだろう。

2009/10/29

Abato plays Façade

これも、島根県のF様に送っていただいた。ウィリアム・ウォルトン William Waltonの「Façade」は、イギリスの女流詩人エディット・シットウェル Edith Sitwellの詩に、ウォルトンが音楽をつけた作品。私にとっては「Façade」というと、どうしてもあの驚異的なシカゴ・プロ・ムジカの演奏(DONAXさんによるレビューはこちら)を思い出してしまうのだが、ここで演奏されているのは歌い手にHermione GingoldとRussell Oberlinを迎え、もとの詩をつけたバージョンである。演奏メンバーは、以下。

Thomas Dunn, conducter
Hermione Gingold, voix
Russell Oberlin, voix
John Solum, fl
Theodore Weis, trp
Charles Russo, cl&bscl
Vincent Abato, sax
Charles McCracken, vc
Harold Farberman, perc

シカゴ・プロ・ムジカ盤の演奏に慣れていると、どうも他の演奏を聴けなくなってしまうのが苦しいところだが(あの演奏の前においてはやむを得ないか笑)、雰囲気という点ではいかにも"エンターテイメント!"という趣に仕上がっており、ひとつの完成されたアルバムとして大変価値あるものだと思う。

男声パートであるRussell Oberlinの「アメリカン・エンターテイメントの一番美味しいところを持ってきました!」的な語り口は、これはもうある意味音楽や娯楽の「公理」みたいなもので、そのことについて文章として起こすのが憚られるほどの普遍的な楽しさを持っている。アバトのサクソフォンが、また良い味を出しているのだ。語りの2人と、インタープレイ的にアンサンブルを繰り広げるTango-Pasodobleなど、じっくり聴いてみると、その豊かな音楽にぞくぞくする。

完璧さを追求したシカゴ・プロ・ムジカ盤、楽しさを追求した本盤、という住み分けで聴くと、それぞれの良さが際立ってくるかもしれない。どちらが良いかは、お好みで。

2009/10/28

Abato plays Ibert, Glazounov

ヴィンセント・アバトが、イベールとグラズノフを吹いたというLPをトランスファーしていただいたもの。島根県のF様に送っていただいた。Nonesuch Rocordsというところから出版されたものであり、この録音が素晴らしいという話はたくさん聞くけれど、サクソフォン界では最高の名曲と言われるイベールにグラズノフということで、ミュール、ヌオー、デファイエ、ドゥラングルらが吹きこんだ録音と比べた時に正直どこまでの演奏であるのか予想がつかず、期待半分・不安半分で聴き始めた。が、これが期待を裏切る(?)ほどの素晴らしさで、これは紹介せねばと思った次第。

イベールは、まずオーケストラが良い!オーケストラの名前が明記されていないということは、録音のための寄せ集めのオーケストラなのだろうか。それにしては非常に統制がとれてすっきりした演奏であり、加えて爽快なスピード感も併せ持っているという、イベールのオーケストラとしては理想的な形なのではないだろうかと思った。アバトのサクソフォンは、さすがに急速楽章の技術的な難所では、やや苦労している点が見受けられるものの、これまた不思議と魅力ある演奏だ。

グラズノフは、こちらはサクソフォンの独奏が素晴らしい。今まで聴いた中でも、最高レベルに位置するものだと感じた。センスの良いヴィブラート、息の長いフレーズなど、これはもうアバトが持つ音楽的センスが最大限に生かされた独奏だろう。オーケストラは、ちょっと音程高めで明るい音だが、ためてほしい部分をスラスラと進んでしまって、そういう意味ではロシア音楽の様式として、やや不足な点があるのかなあと思う。それでも、レベルの高い演奏であることに間違いはない。

ジャケットも縮小コピーしていただいたので、演奏情報が読めるのだが、イベールはSylvan Shulmanという指揮者が、グラズノフはNorman Pickeringという指揮者が振っているようだ。録音年がわからなかったのだが、これはいつごろの演奏なのだろうか(ちなみにステレオ)。ヴィラ=ロボスの「ショーロスの形式による五重奏曲」とフルートとファゴットのための「ブラジル風バッハ第6番」が併録されている。LPの最後に進むにつれて、どんどんと編成が小さくなっていくというのも、なかなか面白い配置だ。

2009/10/27

Hans Richter - Filmstudie

Hans Richterの「Filmstudie」という1926年に制作されたサイレント映画がある。のちに、ダリウス・ミヨー「世界の創造」の序曲が付けられたということで、それだけでもちょっと驚きなのだが、しかもその付帯音楽となった録音(1932年)でサクソフォンを吹いているのが、かのマルセル・ミュールなのではないかという話がある。

フィルムは、Ubuwebというサイトから参照できるほか、YouTubeにもアップロードされている。目玉がフワフワと浮いたりしてちょっと不気味な内容だが、実験的な内容でなかなか面白い。

2009/10/26

La Escapada

なぜか、Molenaar EditionのことをMoleneer Editionと覚えていた…どこで間違えたんだろう。それはさておき、ジュリアン・プティ氏のアルバム第4弾。この記事で最後となる。

「La Escapada(Lyrinx LYR230)」という、サクソフォンとピアノで演奏されたアルバム。収録曲は、ファリャとかアルベニスとか、実にまっとうなクラシック音楽の小品たち。なのに、ジュリアン・プティという音楽家のすごさを知るには、このCD一枚だけでもこと足りてしまう。正攻法でいて、しかしそのベクトルがはるか雲の上に突き抜けてしまった、素晴らしい一枚。

普遍的なこと、普通であることを突き詰めていくのって、とても難しいと思う。北極星に向かって大砲を撃つようなもので、初速が足りなかったり、ほんの少し発射角がぶれてしまえば、最終的な狙いは目的地から外れたところになってしまうのだ。さまざまな条件が完璧である場合にのみ到達し得る境地…。

M.de Falla - La Vida Breve
M.de Falla - Suite populaire espagnole
H.Villa Lobos - Fantasia
I.Albeniz - Suite espagnole
F.Millet - La escapada

基本的にソプラノサクソフォンで演奏される。一曲目から、ファリャの「はかなき人生」のメロディがゆたかな弧を描く。上質で、耳当たりの良い澄んだワインのような音色が心地よい。技術的な難所であってもすらすらと進み、音色・音程はまったく破たんしないのは、見事というほかない。

ヴィラ=ロボスの「ファンタジア」を聴いている。隅々にまで神経が張り巡らされて、一音一音を、ここまで生き生きと演奏することが可能なのか!という驚き。音符ひとつを取り出したとしても、なんだか勝手に動き出しそうだ。高い技術は、みずみずしい音楽ただそのためだけに使われている、理想の形。

あー、自分のボキャブラリーが貧困なのが悔やまれるが、これは聴いてみてくださいとしか言えないなあ。vandorenscoresなどで買えるはずなので、お持ちでない方はぜひ。

2009/10/25

Trio Klezele "Poccha"

ジュリアン・プティ氏関連のアルバム第3弾。2記事ほど空いてしまったが、CDを実家に持って帰るのを忘れてしまっていたので、しょうがない。前々から決まっていた帰省だったのだが、やっぱり準備はしっかりしないとダメですね(笑)。

Trio Klezeleは、クレツマー音楽を演奏するために結成されたトリオ。サクソフォンのジュリアン・プティ氏が参加している。こちらのアルバムでも数曲演奏しているのだが、演奏する喜びと聴く喜びがそこかしこに溢れた素晴らしい音楽を紡ぎだし、しかも驚異的なまでの完璧な技術力(プティ氏はアドルフ・サックス国際コンクールで第2位を獲っているほど)をもってさらにその価値を高めているトリオである。

Yannick Lopes, accordéon
Julen Petit, saxophone
R$eacute;my Yulzari, contrebasse & composition

このアルバム「Poccha Freylekh from Vladivostok(Integral INT221.231)」は、2008年にこのTrio Klezeleがロシアのウラジオストクに演奏旅行した時のライヴ録音を収めたアルバムだ。ウラジオストクというとシベリア鉄道を思い出してしまうのだが…微妙に日本から近いことに不思議な感覚を覚え、まさかこんな極東?にまでTrio Klezeleが来たことがあるとは、知らなかった。せっかくだから、日本にも来てくれれば良かったのに~。収録曲は、以下。いくつかの曲は、アルバム「mosaïque」とも重複している。

たぶん前半:Khupah Tants, Glatter Bulgar, Rumanian Doina, Terk in Amerika, In Law's Dance, Fun Tashlikh, Heyser Bulgar, Oy Tate, Glik, Tumbalalaika, Avinu Malkenu, Glezele Wayn
たぶん後半:Onde de Choc, Le Souffle du Guerrier, Ot Azoy, Berdichever Khossid, Tish Nigun, Bb minor Bulgar, Zeydns Tants, Sirba, Kalinka, Hava Naguila, Freylekh from Warsaw

女性が「それでは、トリオ・クレツェールです!」と紹介する声から始まり、ライヴ盤としての雰囲気が一気に高まる。中速くらい曲を、ユーモアや各種テクニックを交えつつ最初の一曲目から観客の心をがっちりとつかんでいる様子がわかる。曲が進むにつれて、どんどんと拍手が大きくなっていき、前半の最後は、濃密なゆっくりした曲を2曲続けた後の、Glezele Wayn。それほど派手な曲でないはずなのだが、これがどうして、魅せるなあ。

後半は、最初のOnde de Chocから超絶技巧の嵐。聴きながら目を点になってしまった。掛け声を叫んだり、観客に手拍子をあおったり、はたまた歌ったり(歌わせたり)と、もうノリノリ!曲の最中に客席から拍手は出るは叫ぶわ大爆笑するわの、前半の3倍の盛り上がりだな、こりゃ(^^)CDからも雰囲気は十分すぎるほど伝わってくるが、これは会場で体感したらもっと楽しかっただとうな。

一部は、ムービーで観ることもできる(→こちら)。ぜひ一度観ていただきたい。この楽しさはなんかあまりサックスっぽくないが、強烈にオススメしたい。サクソフォンでも似たようなコンセプトに取り組んだものとしては、New Art Saxophone Quartetの「Songs and Dances(enja)」などがあったが、それと肩を並べるほどのものかもしれない。

2009/10/24

デファイエのマウスピースについて補足

I studied with Professeur Deffayet from 1979 to 1981. For Alto he did play a handmade Georges Charron metal with adjustable lay and tuning sleeve on his Buffet S1. He simply adjusted the tip opening with this mouthpiece to suit his reed strength needs. He told me that three mouthpieces were made and one of them worked. Jacques Terry who played tenor in his quartet also played a Charron mouthpiece.

わたしは1979年から1981年までデファイエ先生の下でサクソフォンを学びました。その時期、デファイエ先生はビュッフェのS1に、ジョルジュ・シャロン George Charron氏製作のマウスピースをつけて吹いていました。そのマウスピースは、ネジ一つでティップ・オープニングを変えることができ、リードの硬さによってそれを調整していました。デファイエ先生曰く「(アルト用は)3本作られたが、1本だけがうまくいった」と教えてくれました。ジャック・テリーもまた、シャロン氏のテナー用メタルマウスピースを使っていました。

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出典はSOTW。今まで知られていた事実(デファイエ氏自身によって語られた内容)に加え、なんとお弟子さんの証言で「3本作られた」という事実が明らかになった!そして、そのうち一本だけがうまくいった、とな。それは知らなかった。

ところで、この「お弟子さん」は誰だろう。1981年シーズン卒業ということは、ドゥラングルやフルモーにも近い世代だ。東京に戻ったら調べてみよう。

(追記)

SOTWに書き込みをしていたMichael Adamcik氏は、パリ音楽院の学生ではなかったとのこと。ヨーロッパで学び、最終的にノースウェスタン大学を修了したサクソフォン奏者だとのこと。雲井さん、情報ありがとうございました。

2009/10/23

実家に

有給休暇を取って、短い帰省。

高速バスから八ヶ岳のすそ野を望む。長野の山々の紅葉は、実に見事だ。

2009/10/22

Quatuor Carré Mêléのアルバム

ジュリアン・プティ氏関連のアルバム第2弾。プティ氏がソプラノサックスを吹いている、Quatuor Carré Mêléのアルバム「Saxophares et Sémaphones(CM01/1)」をご紹介。Quatuor Carré Mêléは、1998年にパリ国立高等音楽院のサクソフォン科の学生により結成されたアンサンブル。2000年にFNAPCの室内楽コンクールで入賞しているほか、2002年にはラジオ・フランス絡みで賞を受けているということ。メンバーは、以下の通り。バリトンのシャプラン氏だけが2002年卒業(ジェローム・ララン氏と同期、井上麻子さんの一個上)で、その他の3人が2001年卒業とのこと。2001年の卒業というとあれですね、鈴木純明氏の「凧」が課題曲だった年ですねえ。

Quatuor Carré Mêlé
Julien Petit, soprano saxophone
Olivier Besson, alto saxophone
Ronan Baudry, tenor saxophone
Nicolas Chapeland, baritone saxophone

この不思議なアルバムタイトルは、たぶんあれかな、saxophoneとsemaphore(信号とか合図の意)を掛けたのだと思う。その意図することころはイマイチ良くわからない(解説がフランス語なので)のだが、このアルバムを聴くのに言葉は必要ないなと感じた。プログラムは、以下。

J.Whelan - Trip to Skye
R.Becker - Le marchand de chaussures électriques
R.Gary - Saxophares et Sémaphones (text)
Y.Chauris - Graal en quête
Traditional - An awen
R.Becker - Chant d'amour pour Kermaria
B.Menut - Trop breizh
Traditional - Celte O'Carré
B.Menut - Pen enez
R.Becker - Gavotte d'hiver
D.Squiban - Porz qwenn suite
A.Hervé - Celtic Medley

全体的な響きは、民族音楽、ジャズ、ロック、クラシック音楽の融合、といった趣。しかしどれも非常に洗練された響きで、テクニックや音楽も申し分なく、完成度の高いアルバムだ。このアルバムを聴いて何が楽しいかというと、時折非常に耳を刺激する響きを持つ曲がある、ということ。単純にリズムのエッジが立っているとか、カッコイイから、ということではなく、妙に心の琴線に触れる曲があるなあと感じた。

例えば一曲目に置かれた「Trip to Skye(なぜかジャケットにはSkyと書かれているが、正確にはSkyeである)」。テナーとバリトンの導入部に続いて、アルトが何気ないメロディを奏で始めるのだけれど、そのメロディにすっと惹きこまれてしまう。何気なく部屋のステレオ(とは言わないのか?)でかけているCDに、「おっ」と反応してそのまま一曲聴きとおしてしまう、そんな不意を突かれたような幸せな感覚。そこから先も多種多様な楽曲が続くのだけれど、たぶんどの曲が誰にマッチするか、というのは、人それぞれなのだと思う。

私などは、一曲目とか、Chaurisの「Graal en quête」とか、それから伝承音楽の「Celte O'Carré」、さらに最後の二曲あたりにぐっと心をつかまれた(最後のケルティックメドレーは、賑やか!!)。…お。メロディやリズムに心をつかまれるなんて、素敵じゃないですか。あまりサクソフォンのアルバムらしくない、というところも、すっと曲に入っていける理由なのかもしれない。

2009/10/21

mosaïque

フランスのサクソフォン奏者、ジュリアン・プティ Julien Petit氏のアルバムを、昨シーズンまでカンブレ音楽院(プティ氏が教鞭を執っている)で学んでいたMさんに、まとめて持ち帰ってきていただいた。なかなか国内では流通しづらいCDも含まれており、非常にありがたい。Mさん、ありがとうございました。というわけで、ここから4記事ぶんはプティ氏のアルバム紹介縛りとなる(笑)。

「mosaïque(Loreley LY020)」は、ジュリアン・プティ氏が参加しているクレツマー音楽のトリオ、Trio Klezeleと、チェロのBéatrice Reibel(プティ氏の奥様だとのこと)、ピアノのJuliana Steinbachが参加したアルバム。どんなんかなーとプログラムをみてみると、一見なかなかにごった煮な感じの曲目。だが良く聴いて&考えてみれば、実は民族音楽的なものを基本テーマにして選曲しているのではないかなと思えてきた。

Maurice Ravel - Kaddish (vc, pf)
Klezmer Music - Opshepiel far di Mekhatonim (sax, ac, cb)
Klezmer Music - Freylechs from Warsaw (sax, ac, cb)
Klezmer Music - A Glezele Vayn (sax, ac, cb)
Ernest Bloch - 3 Chansons (vc, pf)
Klezmer Music - Der Gasn Nigun (sax, ac, cb)
Klezmer Music - Der Glater Bulgar (sax, ac, cb)
Rémy Yulzari - Onde de choc (sax, ac, cb)
Rémy Yulzari - Le souffle du guerrier (sax, ac, cb)
Serge Kaufman - Suite Yiddish (vc, pf)
George Perlman - Dance of the Rebbizen (vc, sax, pf)
Klezmer Music - Avinu malkenou (sax, ac, cb)
Klezmer Music - Khupah tanz (sax, ac, cb)
Klezmer Music - Little Galitsian dance (sax, ac, cb)
John Williams - Theme from Shindler's List (vc, pf)
Yves Chauris - Esquisses (vc, sax, ac, cb)

まず、ジュリアン・プティ氏のサクソフォン(このアルバムはすべてソプラノサクソフォンだが、ソプラノが得意なのかな?)について言えば、技術、コントロール、音楽性すべてが想像を絶するレベル。想像を絶するというか、そもそも楽器というインタフェースの存在を意識せずに、ここで奏でられているのはまさに「ジュリアン・プティ氏の音楽」そのものであるところに恐れ入る。

音程を外したり、リズムを揺らしてみたり、特殊奏法で音にアクセントを加えてみたり、そういった細工が、さらにサクソフォン音楽としての可能性を推し進めているという印象をも受けた。これは、楽しい。こういうアルバムを聴くと、まだまだサクソフォンも楽しいぞ!捨てたもんじゃないぞ!と思えてしまうのだ。

2009/10/20

アバトの演奏考

文に起こしてみると、ますます不思議になるもので…。アバトの演奏の、言葉では表しがたい魅力について、じっくり考えてみたくなった。

テクニック的には、ミュール、ラッシャー、デファイエ、ロンデックス、といったプレイヤーと比較してしまえば、なんてことはない。微妙にリズムが転んでいる部分もあるし、技術的に上のクレストンの演奏は、いくらでもあるだろう。音色が特別すばらしいかといわれると、確かに美しい音色であることは間違いないのだが、たとえばルソー、フルモーやマーフィといった、スーパーニュートラル&絶妙なレガート奏法を持つ奏者だということでもない。アナリーゼ的にも、別段変なことをやっているわけではなく、至極まっとうな演奏である。

演奏についてのひとつひとつの要素が、絶妙な比率でブレンドされたときに、人の心に共鳴するポイント、というものがあるのだろうか。なんでもない演奏が、妙に感動を呼び起こすことはあるけれど、そういうことなのだろうか。たぶん、狙ってできるものではなくて、突き詰めたり、楽しんだり、爆発したり、そういった過程で偶然に出てくるものなのかもしれない。

まったく関係ないけれど、アバトはクラリネット(オーケストラ・プレイヤーだったそうだ)と持ち替えってのも、ちょっと気になるポイントではあるな。演奏に対する考え方は、サクソフォンの専門家のそれとは違うのだろう。

2009/10/19

Vincent Abato plays Creston's Sonata

ヴィンセント・アバトという奏者の名前を知ったのは、この記事を読んだとき。ミュール、ラッシャー、デファイエ、ロンデックスという良く知られた名前に加えて、「…アバト。アバト??」と首をひねったものである。アメリカにこんなプレイヤーがいたことへの驚き、しかし音を聴くことが叶わず、ずっと聴きたいと思っていたプレイヤーの一人だった。

ジュリアード音楽院に学び、クラリネット、バスクラリネット、サクソフォンを専門とした演奏家。ロサンゼルス・フィル、ボストン・ポップス、ニューヨークフィル、メトロポリタン歌劇場オーケストラなどと共演したという経歴が見られ、セシル・リースンやラリー・ティール(アバトのほうが10歳ほど年下だが)らとともに、まさにアメリカのサクソフォン黎明期~中期を代表するサクソフォン奏者であったといえるだろう。クレストンの「サクソフォン協奏曲」を初演したのも、アルフレッド・リードが有名な「バラード」を捧げたのも、アバトである。

島根県のF様にダビングして送っていただいた録音は、そのアバトがポール・クレストンの「ソナタ」を吹いているというもの。驚いたことに、ピアノを弾いているのはポール・クレストン自身(!)である。コロンビアレーベルのディスクで、ML 4989という型番が付いている。さっそく聴いてみると、なるほど、誰の耳をも納得させる、そして誰の耳をも惹きつける演奏だ。ときどき見られる「ニュートラル」という表現とは違うような気がするし、なんだか不思議な魅力があるなあ。快速で飛ばす第3楽章は、とにかく楽しい。

2009/10/17

いろいろ

来年の6月のサクソフォニーの練習・打ち合わせとか、来年4月のアマチュアサクソフォン交流会の事務作業・声かけとか、いろいろなことが重なっている。だが、何かひとつの目標に向かって歩みを進めている感覚は、非常に楽しいものだ。

それにしても、サクソフォニーの合わせは面白いなあ(今日はあざみ野で練習でした)。お互いほぼ初めての方同士が顔を合わせる醍醐味もあるけれど、それだけでは表わしきれないなんとも不思議な魅力がある。

Pol Mule conducts...

マルセル・ミュール Marcel Mule氏は生前、奥様のポレットさんとの間に2人の子供をもうけている。その2人ともが音楽家となり、長男のPolが指揮者、次男のJacquesがフルーティストとして活躍した。Pol Muleは、フランス各地のオーケストラと共演したり、マルセイユ音楽院の講師を務めたりと、活躍したようだ。Jacques Muleのほうも、ナンシー音楽院でフラウト・トラヴェルソの講師を務めるなどしている。

そのミュールのご子息の音は残っているのかなあなどと、実は今まで考えたこともなかったのだが、島根県のF様より、Pol Muleが指揮を振ったという盤をダビングしていただいた。なんとORTF Barclayの盤(リヴィエのダブル・コンチェルトを思い出す)で、ジャック・ランスロを独奏に迎えてジャン・フランセの傑作「クラリネット協奏曲」をやってしまったというLP。オーケストラは、ニース室内管弦楽団 Orchestre de Chambre de Niceである。

恥ずかしながらフランセの「クラリネット協奏曲」というのは初めて聴いたのだが、ああもう素晴らしいですね。エスプリを空間いっぱいに振りまきながら軽やかに進むクラリネット!ランスロの独奏の、なんと美しく身軽なことか!稀代の音楽家だったんだなあと、これは誰に対しても思わせてしまう演奏だ。オーケストラも、フランスの流麗な響きをたっぷりと湛えている。ときどき調子外れな音を出すのはこの時代のフランスの地方オケならではかな?笑。指揮者のポル・ミュール氏の働きがどうであるか、というのは、さすがに判断しかねるが…。

併録は、ジャン=ミシェル・ダマーズのピアノ作品、「二台ピアノのためのソナチネ」「小組曲」「タランテラ」「カリヨン」の4曲。ピアノ独奏はMichèle Elise Quérardという方だが、二台ピアノの作品ではダマーズ自身もピアノを弾いている。こちらもまた、素敵な作品だ!「小組曲」というのがイイですね。最初の楽章で、バッハの「ゴルトベルグ変奏曲」の第一変奏ような感じで始まるかと思えば、ミステリアスな第2楽章、技巧的なスケルツォの第3楽章、跳躍が印象的な第4楽章と、それぞれに異なった音楽のスタイルが与えられており、興味深く聴いた。

2009/10/16

Northshore Saxophone Trioの録音

杉原真人さんより、Northshore Saxophone Trioの録音を送っていただいた。

Christian Lauba - Ars (2sax)
たかの舞俐 - Jungibility (pf)
William Karlins - Introduction and Passacaglia (2sax, pf)
たかの舞俐 - LigAlien I & IV (2sax, pf)

の四曲で、2月にNorthshore Saxophone Trioが来日して行われる演奏会のプログラムに近いものだ。杉原さんには、感謝申し上げる次第。

ロバのアルスは有名だが、たかの舞俐という作曲家(ウェブページはこちら、mckenさんありがとうございます→http://www.maritakano.com/)の、「Jungibility」とか「LigAlien」という作品は初耳。そして、「Music for Tenor Saxophone」で有名なウィリアム・カーリンズの「Introduction and Passacaglia」という作品は、初めて耳にした。

1990年にポール・ブロディとウィリアム・ストリート(二人ともロンデックスにゆかりが深い…)に捧げられたというカーリンズの作品は、実に渋い!全体のがっちりした構成感はさすがだが、それ以上に聴きどころも多数用意されている。最後の3分くらいの音の厚みで、耳が飽和しそうになった。アルトサクソフォンとテナーサクソフォンのための作品のようであるが、お二人の演奏の、冒頭部の心持ち怪しいユニゾンの音色が非常に印象的である。

たかの舞俐氏の両作品は、大変面白く聴いた。スタイルとしては、ロックか民族音楽あたりの鋭角的なリズムの上に、走句やさまざまなモードを重ねて音響を構築していく、といった風である。響きとしてはかなり鋭いが、とてもかっこよく、一気に聴きとおしてしまった。ときどき日本のペンタトニックっぽいモードも現れたりして楽しい。Northshore Saxophone Trioの面々は、これらの楽曲をかなりアグレッシヴにこなしていく。表現のレンジは非常に幅広く、それをガッチリと支える技術力も最高だ。圧巻は「LigAlien IV」の最終部!これはぜひライヴで聴いてみたいなあ。この怒涛の雰囲気は、Perry Goldsteinあたりの作品にも通じる雰囲気がある…かな?

2009/10/15

Gap 1978、雑記

昨日の記事のデータについて、いくつか雑感を書く。

・審査員のアントニー・テスニとは、アントワーヌ・ティスネ Antoine Tisnéのことではないかな?と思った。そして、第一次予選に取り上げられたという「難曲」は、1978年に作曲されたティスネの「Espaces Irradiés」のことではないかなあと思ったのだが、阪口氏の言葉によると「無伴奏曲」だということだったので、そもそも編成が違うし、初演は1980年とのことだし。「Espaces Irradiés」はアルト・サクソフォンとピアノのための作品なのだ。もしかしたら、コンクールの審査で聴いたドゥラングル教授の演奏に感銘を受けたティスネが、のちに作品を捧げた、とかなのかなあ。

・一次予選の選択曲は、半数以上がクレストンとボノーだった、とのこと。このあたり、クレストンの有名なエピソードについては、Thunderさんのブログに詳しい。

・二次予選の日本人参加者の描写を、石渡氏のレポートより抜粋する。
…十一番目にやっと武藤氏がデニゾフのソナタとイベールのコンチェルティーノを、見た目には非常に落ち着いて演奏した。途中でチューニングをたっぷりしたりして一見悠々とはしていたが、本人の話では無我夢中だったとのこと。二人おいて下地氏が出場した。ロベールのカダンスを、難所を乗り越えて立派に演奏したのを聴いて「これはいけるぞ!」と心の中で叫んだのだが、次のイベールで事故を起こしてしまった。楽器のせいかどうか解らぬが、右手小指を使用する部分が何かにひっかかったのか、音が出にくくなってしまった。そこで本人はあわててしまったのか、最後まで吹きはしたが私の知る彼の演奏ではなかったように思われた。最後から二番目十九番にやっと宗貞氏が出場して、デニゾフとイベールを演奏した。彼のデニゾフは東京ではなかなか巧くゆかなかったのが、二年間でこれほど巧くなるものかと思われるほどの演奏であった。イベールは少し硬くなってしまったのか、彼本来の演奏よりちぢこまってしまったように思われた。


・本選進出者のうち、ドゥラングル氏、フルモー氏、クヌーセル氏、武藤氏は、パリ音楽院の同門・同期である。フーシェクール氏も、同門の一つ下。皆驚いていたことだろうな(笑)。それだけ、当時のデファイエクラスのレベルが高かったということだろう。

・本選の指揮者は、なんとマルセル・ミュールの息子であるポール・ミュール Pol Mule氏。これは知らなかった…。

・本選の描写を、阪口氏のレポートより抜粋する。
…なお、このオーケストラのメンバーにはチェロとクラリネットに二人の日本人がいた。
 最初はアメリカの女性(注:リタ・クヌーセル)、エレガントな美しい音であったが狭いステージにオーケストラと並び、何かやりにくそうでイベールは終わりまでしっくりしていなかったが、このコンクールのための課題曲のコンスタンのコンセルタント(原文のまま)はみごとに演奏した。二番目はフランス人(注:フルモー)でブートリーのディヴェルティメントと指定曲、ノー・ミスでガッチリした演奏であった。三番目は日本の武藤賢一郎君、イベールと指定曲でイベールのに楽章のテンポが気になり、指定曲はまあまあであった。四番目は十九歳の小柄なフランス人、ブートリーと指定曲を非常に情熱的な良い演奏をしたが少しオーバー気味。五番目は金髪のフランス人(注:ドゥラングル)、デュボアのコンチェルトを暗譜ですばらしい演奏をしたが、終りのほうでミス、オーケストラとしばしのあいだ合わず、ハラハラさせたが、私は彼が当然一位と考えた。


・本選の描写を、石渡氏のレポートより抜粋する。
…決勝ではさすが全員打ち合わせたようにタキシードの正装で演奏していた。唯一の女性、アメリカのリタ・クヌーセル嬢の黒いパンタロン姿はとりわけ目立っていた。
 五人の演奏曲目は、指定曲のほかはデュボアのコンチェルトが二人、イベールのコンチェルティーノが二人、ブートリーのディヴェルティメントが一人であった(注:あれ?阪口氏のレポートと矛盾があるぞ…)。わが武藤氏は三番目に指定曲とイベールを演奏し非常に好演であった。しかし一番目のリタ・クヌーセルは技術抜群、二番目のフォルモー氏は非常に表現力豊かで大きな音楽的才能を私たちに示してくれた、私と加藤氏の採点では巧くゆくと武藤氏が三位入賞だと二人で喜んでいた。何故なら、最終的に三位になったフーシェクール氏はまずまずの演奏で、また最高位と思われるドゥラングル氏はデュボアの曲を暗譜で演奏したが、三楽章の途中で大きなミスを重ね、オーケストラと合わなくなり危や止まるかとさえ思われた。このようなミスは他の楽器のコンクールでは大失点になるのではないかと思われた。しかし指定曲は非常に良い演奏であった。技術ともども豊かな音楽性を感じさせた。

2009/10/14

1978年ギャップ国際サクソフォンコンクール・データ

1978年のギャップ国際サクソフォンコンクールは、現パリ国立高等音楽院教授であるクロード・ドゥラングル Claude Delangle氏が最高位(一位なし二位)を受賞したサクソフォンのコンクールということで有名であるが、これまでまとまった資料を見ることがなかった。

しかし今回、島根県のF様より、当時のバンドジャーナルに掲載された石渡悠史氏と阪口新氏のレポートのコピーを送っていただき、その全容を知ることとなった。これはとどめておくのがもったいない!ということで、本ブログ上でご紹介したい。そうそう、記事を読んでいて知ったのだが、サクソフォンのみを取り上げた国際コンクールとしては、これが世界初のものだったそうだ。

まずは、基本的なデータを読み取れる限り掲載する。考察はまた今度。

主催:ギャップ市
後援:フランス文化庁
組織委員長:マルフェ(ギャップ音楽院院長)
顧問:セルジュ・ビション(リヨン音楽院教授、当時のフランスサクソフォーン協会理事)
期間:1978/7/15~1978/7/22
会場:フランス、ギャップ市
審査員(所属は当時のもの):
マルセル・ミュール(前パリ音楽院サクソフォン科教授、審査委員長)
マリウス・コンスタン(パリ音楽院作曲科教授)
アントニー・テスニ(アントワーヌ・ティスネのことか?パリ音楽院管弦楽法教授)
ギィ・ラクール(サクソフォン奏者、作曲家)
ポール・クレストン(作曲家、アメリカ)
フレデリック・ヘムケ(サクソフォン奏者、アメリカ)
イワン・ロト(サクソフォン奏者、スイス)
グライッチェル(ニュルンベルク音楽院学部長、ドイツ)
阪口新(東京芸術大学教授、日本)

【一次予選】
期間:1978/7/16~1978/7/18
参加者:69名(フランス30名弱、アメリカ20名弱、日本、カナダ各7名、スイス、ベルギー各3名、イタリア、セネガル、アルジェ、アイルランド各1名)
二次予選への進出者:20名
日本からの参加者:佐藤典夫、服部吉之、武藤賢一郎、宗貞啓二、下地啓二、佐々木雄二、野田燎、前沢文敬(敬称略・野田氏は棄権)
課題曲:委嘱新作と、選択曲のなかから1曲(計2曲)
指定曲:コンクールのために書かれた新作(「特殊な現代奏法がたくさん使われている非常な難曲」とのこと)
選択曲:クレストン「ソナタ」、ボノー「ワルツ形式のカプリス」、パスカル「ソナチネ」他計6曲
制限時間:約10分

【二次予選】
期間:1978/7/20
二次予選進出者:20名
うち日本からの参加者:武藤賢一郎、宗貞啓二、下地啓二(敬称略)
本選への進出者:5名
課題曲:選択曲A群とB群から1曲ずつ(計2曲)
選択曲A群:デニゾフ「ソナタ」、ロベール「カデンツァ」、バセット「ミュージック?」他計4曲
選択曲B群:イベール「コンチェルティーノ」、ブートリー「セレナーデ」他計4曲

【本選】
期間:1978/7/22
本選進出者:リタ・クヌーセル、ジャン=イヴ・フルモー、ジャン=パウル・フーシェクール、クロード・ドゥラングル、武藤賢一郎(全員がパリ音楽院の卒業生)
課題曲:指定曲と選択曲1曲ずつ(計2曲)
指定曲:マリウス・コンスタン「コンチェルタンテ」
選択曲:デュボワ「コンチェルト」、イベール「コンチェルティーノ」、ブートリー「ディヴェルティメント」他
共演:ポル・ミュール指揮プロヴァンス・コートダジュール・オーケストラ
結果:
第1位:該当者なし
第2位:クロード・ドゥラングル(フランス)、ジャン=イヴ・フルモー(フランス)
第3位:ジャン=パウル・フーシェクール(フランス)
第4位:リタ・クヌーセル(アメリカ)
第5位:武藤賢一郎(日本)

マルタンのバラード

といっても、アルトサクソフォンの「バラード」ではなく、テナーサクソフォンのための「バラード」の話。

スイスの作曲家、フランク・マルタン Frank Martinは、ジュネーヴ音楽院にゆかりの深い作曲家。バロック~古典のジャンルに傾倒したのち、指揮者エルネスト・アンセルメに影響を受け、近代の印象主義へと自らの音楽創作をシフトしていった。「近代の印象主義」といっても、たとえばドビュッシーの全体を通した浮遊感とか、ラヴェルの古典+オーケストレーションとか、そういう音楽ではなくて、どこか厳格な雰囲気を漂わせるなかに12音音楽をはじめとする新しい響きを織り込んだ、そんな作品が多いと思う。そんなにたくさんの作品を聴いたわけではないけれど…。

サクソフォンのための作品は、シガード・ラッシャー Sigurd Manfred Rascherに捧げられたアルトサクソフォンとオーケストラのための「バラード(1938)」と、テナーサクソフォンとオーケストラのためのバラードを作曲している。特に、アルトサックスの作品はメジャーですね。しょっちゅう国際コンクールの課題曲にもなるし…。

テナーサクソフォンのための「バラード」は、もともとはトロンボーンのために書かれた作品であるが、作曲者自身の意向により、テナーサクソフォンのためのヴァージョンも同時に出版されているというもの。アルトサックスの「バラード」と比べると、さすがに飛び道具的な派手さには欠けるものの、実に渋く厳格な"いぶし銀"的な作品であり、間違いなくテナーサックスにとって重要なレパートリーであると思う。高テンションのまま、たった8分で最後まで駆け抜けるというのもいいですね。コンパクトにまとまっていることも、この作品を佳作たらしめている理由だと思う。

大阪市音楽団の青木健氏のCDで、ピアノとの共演ながらなかなか気合いの入った演奏を聴くことができる。値段的にもお求め安く、他の収録曲も楽しく(スパークの「パントマイム」とか)て、テナー吹いている方には積極的にお勧めしたい。たしか、オーケストラと共演したLPもあったっけな(演奏者の名前失念)。CD化されているはず…。

2009/10/12

三連休

日曜日に、天久保オールスターズバンドに参加すべく、テナーサックスを担いで大学の学園祭にお邪魔してきた。もうあまりつくばに行くことはなくなってしまったのだけど、(上のリンク先からも一部観ることができるが)すごい演奏・パフォーマンスだったなあ。れっど氏をはじめとする企画・運営の面々に拍手だなあ。打ち上げは、いかにもつくばという感じで、激しかった(笑)。

月曜日は、練習→飲み会。久方ぶりの四重奏合わせだったので、感覚を戻しているうちにタイムアップ。クリアすべきポイントは、少しずつ少しずつ少なくなっている感じはするが…。やっぱ完成度って、ログスケールなのかなあと思ったり。20時過ぎには抜けて大学時代の同期と飲み。たまたま友人が仙台から東京に来ているということで、久々の、楽しい邂逅だった。そして、もうひとつの飲み会を忘れていたことに気づき、青ざめたのがついさっき…(-_-;

2009/10/11

「Tread on the Trail」旧版と新版の違い

久々につくばに遊びに行っているので、自動更新。

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Terry Rileyの「Tread on the Trail」は、1965年に作曲された(ソニー・ロリンズに捧げられている)が、2000年に改訂されている。1965年版の本来の楽譜は、

A. ================
B. ================
C. ================
D. ================
E. ================

となっており、それぞれのラインを平行に繰り返して演奏する、という手法で曲が進んでいく。この楽譜に関して、2000年版では2つの変更が加えられている。

まず、各ラインにドローン用の音が書き加えらている。このドローンは、同時に1つのラインを演奏しているときにのみ有効となっている。次に、Eラインの下にDラインのハモリパートが追加され、Dパートを演奏している最中にそのハモリパートを演奏することで、Dラインを増強することが可能となった。

旧版の演奏は、Delta Saxophone Quartetの「Minimal Tendencies」や、平野公崇氏の「ミレニアム」で聴くことができる。一方、新版の演奏は、Arte Quartettの「Assassin Reverie」などで耳にすることができる。

2009/10/10

【演奏会情報】Northshore Saxophone Trio

この記事がらみで、なんと杉原真人さんご本人より演奏会情報を教えていただいた。ノースショア・サクソフォン・トリオという、サクソフォン2本とピアノのトリオが、アメリカより来日するそうだ。

【Northshore Saxophone Trio Concert 2010 in Japan】
出演:杉原真人、Nathan Nabb(以上sax)、Winston Choi、たかの舞俐(以上pf)
日時:2010年2月18日 19:00~
会場:杉並公会堂小ホール
料金:2000円
プログラム:
Christian Lauba - Ars (2sax)
Christian Lauba - Steady Study on a Boogie (asax)
Barry Cockcroft - Beat Me (tsax)
Christian Lauba - Hard (tsax)
たかの舞俐 - Jungibility (pf)
Gyorgy Ligeti - Loop (2sax)
たかの舞俐 - LigAlien I (2sax, pf)
William Karlins - Introduction and Passacaglia (2sax, pf)
Francois Rossé - Ximix (2sax)
たかの舞俐 - LigAlien IV (2sax, pf)

なんと驚異的なプログラム!私も、ロバの作品しか聴いたことがない。リゲティの「Loop」って、あの「ヴィオラ・ソナタ」の?そして、ウィリアム・カーリンズとかフランソワ・ロセが、そういったサクソフォン2本(とピアノ)のための作品を書いているとは知らなかった。世の中にはいろんな曲があるんだなあ。カーリンズなんて、ヘムケ氏のLP「Music for Tenor Saxophone(Brewster Records)」で名前を聞いたことがあるくらいの認識だったし…。

サクソフォン2本の編成や、サクソフォン2本+ピアノ、というトリオ編成は、最近急激に様々な団体の存在を聞くようになった。レパートリーなんて大抵ヒンデミットだけだろうと思っていたら、意外にもそれぞれの団体が独自性あるレパートリーに取り組んでおり、そういった「プログラムを聴く楽しみ」という意味では、一番面白い編成かもしれない。

行けるかな?木曜日ということなら、上手く業務調整しないとなー。