2008/11/30

デザンクロ「四重奏曲」の名盤(その2)

Hardi Saxophone Quartet - Amaging Grace (Meister Music MM-1173)

私のまわりでは、あまりこのアルバムに対する評価は高くないようだが、技術レベルは相当なもの。個人的にデザンクロをテナーで吹いた身としては、二宮さんの美しいテナーに惚れる。ソプラノの大和田さんの自由奔放な発音・ヴィブラートは、諸刃の剣ではあるが、瞬間瞬間で「おおっ」と思わせる部分もあり、まあ悪くはない。そして、さすがマイスター・ミュージック:録音が良い。amazonへのリンク


Diastema Saxophone Quartet - French Saxophone Quartets (Naxos 8.554307)
デファイエ四重奏団とハバネラ四重奏団の間のミッシング・リングである。その言葉を裏付けるように演奏のバランス感覚が見事。中間地帯を自在に泳ぐその様子は、なんだか日本の四重奏団と共通する部分がある。これで録音さえ良ければ…(いくらなんでも大味すぎるだろう)。パリ管のソリストとしてでなく、ぜひ四重奏団としてぜひ来日してほしいところであるが、難しいかなあ…。

2008/11/28

デザンクロ「四重奏曲」の名盤(その1)

アルフレッド・デザンクロ Alfred Desenclosが作曲した「サクソフォン四重奏曲 Quatuor pour saxophones」。いくら語っても語りつくせず、いくら取り組んでも深遠な、途方もない作品である。私も今までに3度取り組み、その一回一回が自分のサクソフォン人生の中で大きな部分を占めているが、おそらくそう思う方は私だけではないだろう。それだけの作品だということだ。

世の中はアンコンシーズンということで、何回かに渡って、そのデザンクロ「四重奏曲」の名録音(音源、とは決して言わないぞっ)について、手元で参照できるものについて改めて聴きなおし、思うところを書いていく。基本的にプロの録音しか持ってないので、アンコンのライヴ録音は除外。追記:ひとつの記事につき、二枚紹介していく予定。

ちなみに連載の最後は、もちろんあの最高の録音を紹介して終わりにしたいと思ってます。

----------

New Art Saxophone Quartet - Primavera (Ars Musici AMP 5090-2)

ドイツの団体であるNew Art Saxophone Quartetは、サクソフォンの発展が遅かったドイツにおいて注目すべきグループである。ラッシャー派からは離れて、比較的インターナショナライズされた音色・解釈・テクニックを目指していることがわかる。メンバーのほとんどが、フレンチ・スタイルのサクソフォン奏者にマスタークラス等で師事した経験があることと、関係がなくはないだろう。

技術的な完成度が高く、すっきりと良くまとまった演奏。おそらくデザンクロ自身が意識した、1970年代フランスのサクソフォンの響き、というものからは離れた演奏だろうが、これはこれでありなのかな。こんなにあっさりとした第1楽章は不思議な感じがする。しかし例えば第3楽章のロンドの主題は、大変にリズミックで、こうでなくては!と思わせるもの。この作品における"要素の対比"の重要性を認識させられる。

あと、全体を見通したときの構成感が良いですね。テンポ設定、ダイナミクス等に、それが現れていると思う。ともすれば一部分に注力しすぎな我々アマチュアにとっては、とても良いお手本となりえるだろう。amazonへのリンク


Harmo Saxophone Quartet - The Days of Quartet Part II (Meister Music ON-3008)

私より何年か上の世代の方々にとっては、お馴染みの盤ではないだろうか。国内サクソフォン界の1990年代を支えたアルモ四重奏団のセカンドアルバムである。例えば第1楽章など、かなりソプラノの中村均一氏の発音、美しい音色などが耳につくが、よく耳を澄まして聴いてみるとそれを裏で支えるアルト・テナー・バリトンの三人の、豊かな音楽性も際立ってくる。

何気ない一つ一つのフレーズが、きちんと調和の取れた音楽として聴こえてくるようだ。あまりにすごくて普通に聴こえてしまうくらい。第3楽章も、隅々まで抑制をきかせて安定性を前面に押し出してはいるけれど、実は裏ではもの凄いことやってんじゃないのか、これは。この音色・歌い方は、真似できません。amazonへのリンク

テスト

携帯電話からの投稿テスト。

----------

(PCから追記)
おおお、ちゃんと投稿された!ラベルは未設定になるんだな。しかし、アカウント名に特定の文字列を挟んだメールアドレスに送るだけとは、セキュリティ的にどうなんだろうか。

2008/11/27

Rascher SQ plays Denhoff on YouTube

ラッシャー・サクソフォン四重奏団の演奏動画がアップされていた。ミハエル・デンホフ Michael Denhoffの「Gegen-Sätze」という作品の演奏の様子で、1989年に撮影された長編映像の一部。アップロードしたのは作曲者自身のようだ。実はこの映像、The Legendary Saxophonists CollectionのDVD39にて全編を観ることができるため、私にとってはお馴染みのものだった。一作品とは言え、作曲者公認のもとでその映像がアップロードされたのは、大変喜ばしいことだ。

ラッシャーSQは、もともとシガード・ラッシャー自身も参加していたが、引退に伴ってアルトサクソフォンの席をジョン=エドワルド・ケリーに譲った。ということで、この映像のメンバーは、以下の通り。2008年現在では、このメンバーからさらに変わってしまっているが、テナーのワインベルガーは未だ現役で吹いている。

ソプラノ:カリーナ・ラッシャー Carina Rascher(シガード・ラッシャーの娘)
アルト:ジョン=エドワルド・ケリー John Edward Kelly
テナー:ブルース・ワインベルガー Bruce Weinberger
バリトン:リンダ・バングス Linda Bangs

演奏前にドイツ語のインタビューが入るが、こんな感じのことを言っている。legendary saxには、インタビューを英訳したテキストが付属してくるので、それを翻訳してみた。

----------

J.E.Kelly: ミハエル・デンホフは、大変才能に恵まれた作曲家の一人で、ドイツ在住です。彼のこの作品については、話さねばならないエピソードがあります。彼は、もともと私たちのためにこの作品を書いたというわけではないのです。彼はサクソフォン四重奏に対して概念のようなものを持っており、この概念を作品という形で書き下ろしました。作品が完成した後、そのことを友人のギュンター・バイアラス(彼はテナーのブルース・ワインベルガーを良く知っていた)に伝えると、「ミハエル、この作品は、ぜひラッシャー四重奏団に献呈すると良いだろう」と、ギュンターが答えたそうです。そこで彼は私たちにこの曲の楽譜を送り、私たちは直ちにリハーサルをして演奏会で取り上げました。演奏しながら、デンホフは大変才能のある作曲家であると感じます。献呈された1984年以降、何度も演奏しました。

Interviewer: この作品のテーマは「コントラスト」ということですが、なぜそう言われるのですか?

J.E.Kelly: まず、最初の部分と最後の部分はとても静かですが、中間部では複雑な音形が出てきますが、これが「コントラスト」の一つと言えるでしょう。さらに、中間部では、2本または3本のサクソフォンがリズムを刻む中、1本のサクソフォンが独奏的に長音を伸ばすような部分が出てきますが、これも動きの対比が面白い部分です。

・前半


・後半


例えば、アンブシュアや楽器、マウスピース、音色、演奏のスタイル、アルティシモ音域やらなんやら、"ラッシャー派の四重奏"に関して、映像から得られる情報は多い。貴重なムービーである。

2008/11/25

「イマージュの錯綜」の楽譜

大村久美子「イマージュの錯綜 La complication d'images」は、テナーサクソフォンとライヴエレクトロニクス(MAX/MSP)のための作品。この曲を知ってからもう5年ほどになるが、初めて聴いたときから大好きな作品。齋藤貴志さんのアルバム「絶望の天使 The Angel of Despair(ALM Records)」に収録されており、今までに何度聴いたことか。「Mixtion」がフランス発の最高のsax+electro作品だとしたら、「イマージュの錯綜」は日本発最高のsax+electro作品ではないだろうか。

その楽譜を大村久美子さんに送っていただいたのだ。見ず知らずのアマチュアにここまでしていただいて、大村さんには感謝申し上げる次第。早速読んでみたが(まだ音は出していない)、サクソフォンとライヴエレクトロニクスのための楽譜は「Mixtion」などでも見慣れており、それほど読みづらいということはない。吹けるかどうかとは別問題だが(苦笑:かなり難しい)。

以下、自分用の覚え書きとして、演奏ガイドを載せておく:

持ってて良かった、ジャン=マリー・ロンデックス著「Hello! Mr.Sax」!微分音re+quarterの運指は、「Oct+C2」。微分音re-quarterの運指は、「Oct+2+C1」。この運指、フェルドでもオクターブ下の音域で使用した。そういえばこの本、wind-fさんに借りっぱなしになっている(私信:すみません…汗)。自分用のものも購入済みなので、返さなくては。

持ってて良かった、ダニエル・ケンジー著「Les sons multiples aux saxophones」!以前、微分音のチャートと勘違いして買った重音のチャートである。いやー、やっぱ重音チャートが手元にないと、なにか新しい楽譜をさらおうとしたときに困りますな。楽譜のほうに重音の番号が書いてあったので、あっさりと見つけることができた。

mlt.12「12345+7(=C)+Ta+Bb」
mlt.72「(Oct+)123456+B」
mlt.97「123456+7(=C)+C3」

…あれ?mlt.12って、実音でEb, A, GではなくてEb+1/4, A, Gの重音ではないのかな。おかしいな、楽譜と重音本とどっちが正しいのだろうか。そして「Hello! Mr.Sax」のチャートでは、この運指だとEb, A+1/4, Gが出ることになっている。うーん、とりあえず「12345+7(=C)+Ta+Bb」を押さえておけばいいか。

2008/11/24

今年のフェスティバル予定

フェスティバル一日目は、去年に引き続いてEnsemble Φに参加予定。啼鵬さんの新アレンジを二曲!Tsukuba Saxophone Quartetとしての参加はありませんが、参加の皆様、よろしくお願いします。レセプションも楽しみ。二日目ももちろん観に行く予定。今年もいろいろと楽しそうな企画が目白押しで、私みたいな変なもの好きにとっては歓迎すべき傾向だ(苦笑)。

そういえば、とある企画の案が出ていて、もし実現すれば主体的に関わることになりそうだったのだが、著作権やら準備期間やらの関係で流れてしまった…残念。また来年てとこかな。

Mixtionに見られる邦楽的要素

テナーサクソフォンとライヴエレクトロニクス(MAX/MSP)のための「Mixtion」については、今までも何度かこのブログで触れてきた。2003年のパリ国立高等音楽院の卒業試験のために書かれたもので、「サクソフォンとコンピュータ」というジャンル中では疑うことなき名曲である。

曲のコンセプトとしては、「異質なものが組み合わさったるつぼの中で、そこから錬金術のように生み出される音を楽しむ」といったところだが(だからタイトルがMixtion="混合")、そんなわけで本当にいろいろな音とサクソフォンが複雑に絡み合って、何も考えず聴いているだけで面白い。ちなみにエレクトロニクスパートは、電子音は控えめに使われており、どちらかというとミュージック・コンクレートをたくさん聴くことができる。

で、「Mixtion」を何度も聴いているうちに、ちょっと邦楽的な要素をいくつか発見したのでご紹介。手元に楽譜があるため、譜例を載せつつ追ってみる。

譜例として載せたのはPerformance Instructionの一部。各セクションごとに数字が割り振られており、数字の最中はシーケンシャルかつ等間隔に演奏時間が進んでいくけれど、数字から数字を跨ぐにはMidiパルス(ペダルを使ったりする)が必要。そう、そもそも曲の進め方からして伝統的な邦楽に見られるone by oneの方式なのだ!

前半から中盤にかけて、エレクトロニクスパートにウッドブロックが多く聴かれる。まあ音はウッドブロックなのだが、叩き方が特殊。譜例は横軸が時間に対応して書かれているが、リズムを刻むのではなくて、かなり即興的なクラスタっぽい叩き方をしている。まるで拍子木?

サクソフォンパートに何度か出てくるこの表示。上のマス表示は音色の指定(ジャズっぽいサブトーン)、ppとmfの間を行き来する音量のヴィブラートをかけながら、ヴィブラートの波をaccel.という感じだろうか。これ、実際にテナーサクソフォンで吹いてみると、なんというか尺八のような面白い効果が出るのである。サクソフォンパートの中では、一番邦楽っぽい部分だろうか。

微分音のトリルは珍しくないが、この譜例に限ってはかなり面白い音がする。オクターヴキー+開放でC3キーを使用してトリルするのだが、まるで笛でトリルするような不安定な効果を出すことができる。

明らかに梵鐘の音。後ろで等間隔に鳴っているのは、鈴かな。まあ、邦楽的というよりもアジア的といったところだろうか。

2008/11/23

マイルストーン

1908年:クロード・ドビュッシー「ラプソディ」
何よりもまず、巨匠の筆によるものとして重要である。機能和声の壁をぶち破り、近代音楽への扉を開いたその先に位置する最も初期のサクソフォン作品。東洋的なモードに彩られた美しさ。

1970年:エディソン・デニゾフ「ソナタ」
現代音楽への最初のアプローチ。驚くほど多面的な要素が含まれている。方法論的作曲(第一楽章)、管楽器の奏法の拡張(第二楽章)、ジャズからの影響(第三楽章)。

…クラシック・サクソフォンのためのマイルストーン的作品。ドビュッシーとデニゾフくらいは、あっさりと出てくるだろうが、他に何が挙がるだろうか。

1934年:アレクサンドル・グラズノフ「コンチェルト」
マイルストーン、というと、その地点までの軌跡を総括し、さらに次に向かっていく、というような意味合いも含まれているが、その点ではちょっと性格が違うかな。新参者の楽器上における、ロマン派の復興。

1935年:ジャック・イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
この時代におけるサクソフォンの機能をほぼすべて使い切っている。デニゾフとロンデックスが奏法の拡張を行うまでは、レパートリーの頂点に君臨していた作品とも言えるだろう。2人の巨匠、マルセル・ミュールとシガード・ラッシャーが大きく関わっていたという点でも、外せない。

1978年:マリウス・コンスタン「コンチェルタンテ」
ギャップ国際サクソフォン・コンクールの課題曲。現在のフランス・サクソフォン界の方向性を決定付けたと言える。

1992年:クリスチャン・ロバ「エチュード」
1990年代の作品というと、無伴奏サクソフォンのために書かれたこのエチュードが筆頭に挙がるのではないか。誰もが知っているという点でもポイント高し。このような作品が、言ってしまえばフランスの片田舎に過ぎないボルドーから世界に発信されたことは、驚嘆に値する。

----------

うーん、どうも中途半端だなあ。ただし、ドビュッシー、イベール、デニゾフ以外にぱっとする作品があるかというとそうではなくて、やはり偉大な独奏者がサクソフォン界の頂点に君臨している間は、レパートリーの改革って進まないんだなあと再認識することができた。良くもあり、悪くもあります。

そういえば全く関係ないのだが、一番最初にサクソフォンとテープを組み合わせた作品て何なのだろうか。ぱっと目録をひいてみると、1969年にはすでにサクソフォンとテープのための作品がいくつか作曲されていたそうだ。聞いたこともない作曲家、作品名であるが…。

----------

Miles (Davis) Toneはジャズ界における Mile Stoneなんだ!というダジャレを思いついた。

2008/11/22

Nikita Zimin on YouTube

ニキータ・ジミン Nikita Ziminという名前は、日本国内ではあまり知られていないだろうなあ。2008年の初頭に行われたジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール(以下、JMLコンクール)で、一次予選を突破したうちの一人である(→集計ページ)。JMLコンクールには、ロシアからは他に、2006年にディナンのアドルフ・サックス国際コンクールで一位を獲ったセルゲイ・コレゾフも参加していたが、彼は残念ながら一次予選で敗退。ジミンが二次予選にただ一人残ったロシア人となった。

なんだかハンディ・カメラで撮ったようなブレブレの映像だが、演奏のレベルは実に高く、加えてとってもダイナミックな演奏!しかも、暗譜か!デニゾフの最終楽章では、畳み掛けられるフレーズの嵐にとても興奮した。他にクリスチャン・ロバの「ジャングル」などもアップされているが、そちらも凄い。楽器はセルマーっぽいな。フランスのサクソフォン界出身の奏者が演奏するようなエレガントな演奏とはかなり違うベクトルをもつものだが、これはこれで良いな。

ニキータ・ジミンもセルゲイ・コレゾフも、グネーシン音楽学校のマルガリータ・シャポシュニコワ教授クラスの出身であるはずだが、これだけ高水準のサクソフォン教育がなされているとは、ロシアのサクソフォン界はいったいどんな教育システムなのだろうか。

デニゾフ - 「ソナタ」第1楽章


デニゾフ - 「ソナタ」第2,3楽章


うーん、この演奏の方向性の理由を解き明かすには、やはりMargarita Shaposhnikovaの経歴や録音を調べる必要がありそうだ。

----------

一晩明けたら、新しい動画がアップされていた。Christian Laubaの「Jungle」だが、なぜかステージ上にセルゲイ・コレゾフさんが…。リハーサルかな。

2008/11/21

「書籍・論文」ラベル

このブログは、記事ごとにラベルを設定できる。今までは、CD、コンサート、プロジェクト、メディア、作品、情報、楽譜、演奏、音楽雑感というジャンルにわけて書いていた。このうち、「メディア」というラベルではCD以外のあらゆるメディア(動画、LP、書籍)を扱って書いていたのだが、最近の手元での書籍や論文の資料増加に伴い、新たに「書籍・論文」というラベルを追加した。

なんというか、同じ価格でCD一枚買うのであれば、サクソフォンについて書かれたアメリカの論文誌を1冊買ったほうが、ずっと面白いのだ。本当は日本語だったら読みやすいのだがなあ、なかなか国内には、そういう文化はないようで(苦笑)。

最近買ったのは、Saxophone Symposiumの論文誌と、Larry Tealの評伝(著者は奥さんと息子さん、A5変形版で250ページ)。そのうちまた、ブログ上でもレビューします。少しは英語の勉強にもなるし、記事が面白いので息抜きに読むのはうってつけ。

2008/11/20

川崎でのコングレスの描写

Thomas Liley著「The Brief History of the World Saxophone Congress」の中から、日本でサクソフォン・コングレスが開かれたときの様子を描写した部分を要約してみた。日本サクソフォーン協会のページにある松沢増保著「J.S.A.20年の歩み - コングレスの記録」と重なる部分が多いが、私自身は初めて知ったこともたくさんあった。

うーん、今となってはかなわぬ願いだが、ぜひ会場で聴きたかったなあ。

----------

第9回世界サクソフォンコングレス(1988.8.10 - 1988.8.14)

世界サクソフォン・コングレス史上、最も"文化的に"離れた場所で開かれたのが、日本の川崎市と横浜市で開かれた第9回のコングレスだろう。神奈川県の文化交流政策にも後押しされて、日本サクソフォーン協会の主催により、開催された。ちなみに、当時の会長は阪口新氏である。残念なことに、実行委員長であった大室勇一氏は、開催を待たずして三ヶ月の闘病生活の後に急逝した(7月3日)。

コングレスは、初日朝のオープニングコンサートから始まった。68名のメンバーによるサクソフォン・オーケストラで、伊藤康英氏と櫛田氏のオリジナル作品が演奏され、その後は麻生市民会館ののコンサートホールで、各国の演奏会によるパフォーマンスが行われた。参加国は、日本、ベルギー、スウェーデン、カナダ、イタリア、オーストラリア、アメリカである。イブニング・コンサートではハーヴェイ・ピッテルによってダールの「協奏曲」他が演奏され、さらにキャトル・ロゾー、ニューヨークSQが四重奏を披露した。

木曜日は、前日の参加国に加えてイギリスの奏者も加わった。バビット、ロベール、ルジエーロ、ギリングハムらの新作が演奏されるなどした。イブニング・コンサートでの出演者は、武藤賢一郎氏(デニゾフ、バツォーニ)と、ミシェル・ヌオー氏(ロベール)。さらに東京サクソフォン・アンサンブルがバルトークの作品他を、フルモー四重奏団がベルノーを演奏した。

金曜日は、午前中は演奏会が連続して行われていたが、午後は観光のために一時演奏は休止した。麻生市民会館を出発したバスは観光地を経て、神奈川県立音楽堂へ。「協奏曲の夕べ」と題された演奏会では、5組の独奏を迎えて次のようなプログラムが演奏された。オーケストラは、大野和士指揮東京都交響楽団。サンドロフの協奏曲は、大室勇一氏の追悼として書かれたものである。大室勇一氏は、ヘムケ氏の生徒だったのだ。

J.M.ロンデックス:グラズノフ「協奏曲」
デファイエSQ:カルメル「コンチェルト・グロッソ」
F.ヘムケ:サンドロフ「ウィンド・シンセサイザーのための協奏曲」
E.ルソー:ハイデン「ファンタジア・コンチェルタンテ」
須川展也:伊藤康英「協奏曲」

土曜の午前には、作曲家フォーラムが開かれ、午後からは再び演奏会が始まった。ウッズ、サンジュレ、カーリンズの作品などが演奏され、クリスチャン・ロバの新作も披露された。夕方には実行委員会によるミーティングが開かれた。イブニング・コンサートでは、ジョン・サンペン、オランダSQ、クロード・ドゥラングルなどが演奏を披露した。

そして、日曜が最終日。フェルド、ヴィラ=ロボス、ヒンデミットらの作品が演奏され、初演も多数(ベダールやロバなど)。トリとして、シャブリエの作品とヨハン・シュトラウス二世の作品がサクソフォン・オーケストラによって演奏され、「さよならパーティ」によって全日程が終了した。

2008/11/19

管打楽器コンクール2008・サックス部門本選結果

2008年の管打サックス部門の結果が、公式ページにアップされていた。私は20:50ころにアクセスして結果を知ったのだが、会場では20:00少し過ぎに発表されていたみたい。

http://www.jmecps.or.jp/kanda/08w-compe_result1.htm

以下、結果です(敬称略)。本選課題曲は、アンリ・トマジの「サクソフォン協奏曲」。ピアノとのデュオ演奏で、暗譜という指定があるそうだ。

第1位:田中拓也(東京藝術大学在学中)
第2位:伊藤あさぎ(東京藝術大学大学院在学中)
第3位:安井寛絵(ブール・ラ・レンヌ音楽院最高課程在学中)
第4位:細川紘希(東京藝術大学在学中)
第5位:加藤里志(洗足学園音楽大学卒業)

うおー、あさぎさん二位入賞だ、すげーー!!(おめでとうございます!)

----------

また、二次予選でのそれぞれの選択曲は、田中拓也さんが「Christian Lauba / Études」、伊藤あさぎさんと安井寛絵さんが「棚田文則 / Mysterious Morning III」、細川紘希さんと加藤里志さんが「野平一郎 / Arabesque III」だったとのこと。

2008/11/18

ラッシャーへの献呈作品リスト(年代順・改訂版)

最近入手したThomas Liley著「Sigurd Raschèr: His Life and Legacy」を元に、以前作成したリストを見直して、作品の追加、スペルチェックなどを行った。

[1932]
Borck, Edmond van - Concerto, op.6
Brehme, Hans - Sonata
Dressel, Erwin - Concerto, op.27
Dressel, Erwin - Sonate
Jacobi, Wolfgang - Sonata
Kaun, Hugo - Suite "Aus den Bergen"
Knorr, Ernst Lothar von - Introduction fur drei Saxophone (AAT)
Knorr, Ernst Lothar von - Sonate
Tarp, Svend Erik - Concertino
[1933]
Hindemith, Paul - Konzertstuck (AA)
[1934]
Borck, Edmond von - Introduktion und Capriccio, op.11
Glaser, Werner Wolf - 4 Kleine Stucke, op.8a (SAAT)
Glaser, Werner Wolf - 3 Sonaten im alten Stil (A.Sax Solo)
Glazounov, Alexander - Concerto en Mi-bemol
Larsson, Lars Erik - Konsert, op.14
[1935]
Bentzon, Jørgen - Racconto (Chamber)
Glaser, Werner Wolf - Concertino
Glaser, Werner Wolf - Suit No.3, op.16
Ibert, Jacques - Concertino da camera
Osterc, Slavko - Sonate
[1936]
Coates, Eric - Saxo-Rhapsody
[1937]
Eisenmann, Will - Concerto, op.38
[1938]
Bentzon, Jørgen - Introduction, Variations et rondo
Dressel, Erwin - Bagatellen
Koch, Erland von - Danse No.2 (S/A Solo)
Martin, Frank - Ballade
Palester, Roman - Concertino

[1940]
Ullman, Viktor - Slovanik Rhapsody, op23
[1941]
Brant, Henry - Concerto
[1947]
Walender, Waldemar - Arietta
[1948]
Badings, Henk - La Malinconia (or 1949?)
[1949]
Dahl, Ingolf - Concerto
Whitney, Maurice - Rumba

[1950]
Glaser, Werner Wolf - Allegro, Cadenza, e Adagio
Glaser, Werner Wolf - Kvartett (Chamber)
Whitney, Maurice - Introduction and Samba
[1951]
Eisenmann, Will - Duo Concertante, op.33
[1953]
Dahl, Ingolf - Concerto (Revised)
[1954]
Benson, Warren - Cantilena
Russell, Armando - Particles
Wirth, Carl Anton - Idlewood Concerto
[1955]
Benson, Warren - Concertino
[1956]
Korn, Peter Jona - Concerto, op.31
Lamb, John David - Night Music (A.Sax Solo)
[1957]
Brehme, Hans - Sonata (revised?)
Gates, Everett - Foursome Quartet (SATB)
[1958]
Koch, Erland von - Concerto
Moeschinger, Albert - Concerto lyrique, op.83
Turkin, Marshall - Sonata
Wirth, Carl Anton - Jephtah
[1959]
Erickson, Frank - Concerto

[1960]
Benson, Warren - Invocation et dance (SA)
Hartley, Walter - Chamber Music (Chamber)
Husa, Karel - Elégie et rondeau
Latham, William Peters - Concerto grosso (SA + orch)
[1961]
Cowell, Henry - Air and Scherzo
Eisenmann, Will - Movements, op.68
Jacobi, Wolfgang - Serenade and Allegro
Lamb, John David - Three antique dances (Asax Solo)
Lamb, John David - Three Flouriches (AA)
Schmutz, Albert Daniel - Sonata
[1962]
Eisenmann, Will - Concertino, op.69
Koch, Erland von - Concerto piccolo
Lamb, John David - Six Barefoot Dances (AA or TT)
Leonard, Clair - Recitativo and Abracadabra
Worley, John Carl - Claremont Concerto
[1963]
Gates, Everett - Incantation and Ritual
Lamb, John David - Three Pieces (Bsax + pf)
笹森建英 - Variations sur "Taki's kojo no tsuki"
Welander, Waldemar - Concertino
[1964]
Cowell, Henry - Hymn and Fuguing Tune No.18 (S.Sax + CB.Sax)
Glaser, Werner Wolf - Quintet (SAATB)
Jacobi, Wolfgang - Barcarolle (AA + pf)
Koch, Frederick - Concertino
Lamb, John David - Romp (B.Sax + pf)
[1965]
Dressel, Erwin - Concerto (SA + orch)
Dressel, Erwin - Partita
Russell, Armand King - Particles
Wirth, Carl Anton - Beyond These Hills
[1967]
Husa, Karel - Conerto
[1968]
Haba, Alois - Partita, op.99 (A.Sax Solo)
Macha, Otmar - The Weeping of the Saxophone
[1969]
Macha, Otmar - Plac saxfonu

[1970]
Beckerath, Alfred von - 6 Kleine Bilder
Gerhard, Fritz Chr. - Fantaisie "Ben venga amre" (SATB)
Gerhard, Roberto - Quartet-Fantaisie (SATB)
Glaser, Werner Wolf - Canto (S.Sax + orch)
Glaser, Werner Wolf - Little Quartet (Chamber)
Hartley, Walter - The Saxophone Album (S/A/T/B + pf)
Koch, Erland von - Miniatyrer (SATB)
Lamb, John David - Concerto "Cloud Cuckoo Land"
Lukás, Zdenek - Rondo, op.70
Wirth, Carl Anton - Dark Flows the River
Worley, John Carl - Oneonta Quartet (AATB)
[1972]
Hartley, Walter - Suite (SATB)
Patachich, Ivan - Quartetino (SATB)
[1974]
Hlobil, Emil - Quartetto, op.93 (SATB)
Worley, John Carl - Ski Trail Through the Birches (S.Sax + pf)
Worley, John Carl - Sonata
[1975]
Hartley, Walter - Octet for Saxophones (SAAATTBBs)
Hartley, Walter - The Saxophone Album (S/A/T/B)
Koch, Erland von - Dialogue (SA)
Koch, Erland von - Monolog Nr.4 (A.Sax Solo)
[1976]
Borel, René - Fugato in F (SATB)
Koch, Erland von - Saxophonia: Concerto (SATB + w.orch)
[1977]
Starer, Robert - Light and Shadow (AATB)
[1978]
Adler, Samuel - Line Drawing after Mark Tobey (SATB)
Koch, Erland von - Bagatella virtuosa
Koch, Erland von - Cantilena (S or T.Sax Solo)
Koch, Erland von - Cantilena e vivo (SATB)
Wirth, Carl Anton - David-Triptych

[1981]
Glaser, Werner Wolf - 3 Pieces (SSAAAATTBBBBs)
Koch, Erland von - Moderato e Allegro (SSAAAATTBBBs)
[1982]
Caravan, Ronald - Jubilate! (8sax)
[1985]
Hartley, Walter - Aubade (SAATBBs)
Hartley, Walter - Solemn Postlude (SATB)
[1987]
Koch, Erland von - Birthday Music for Sigurd Rascher (AA)
Tull, Fisher - Dialogue (AT)

[1990]
Goodman, Alfred - Suite (S)

[作曲時期不明]
Eisenmann, Will - Nevermore-Ballade, op.28
Gerhard, Roberto - Quartet
Grisoni, Renato - Albumblat, op.60
Grisoni, Renato - Für Sigurd op.60 (SATB)
Grisoni, Renato - Sonatina, op.64
Grisoni, Renato - Suite italienne, op.26
Knorr, Ernst Lothar von - Chamber Concerto (Sax + pf + orch)
Lamb, John David - Finney's Folly
Lamb, John David - Frolic

参考文献:
Harry R. GEE, Saxophone Soloists and Their Music 1844-1985, Indiana University Press, 1986
Thomas LILEY, Sigurd Raschèr: His Life and Legacy, The Saxophone Symposium Vol.26, North American Saxophone Alliance, 2001
Jean Marie LONDEIX/Bruce RONKIN, A Comprehensive Guide to the Saxophone Repertoire 1844-2003, Roncorp Inc., 2003

カッコいいっ!!

フィンランドのクラシック・サクソフォン奏者、オリ=ペッカ・トゥオミサロ Olli-Pekka Tuomisaloの最新CD「Far Beyond the Sun」がカッコよすぎる予感!北欧のロックを、サックスとピアノでやってしまったというCDらしい。まだディスクは入手していないが、YouTubeでデモを観ることができた。



うおお、めちゃくちゃカッコいい!あ、途中でソプラノやアルトに持ち替えるんだ。anzuセンセイはぜひ演奏してください。アルバムは、他にレッド・ツェッペリンやストーンの曲も入ってるんだー。これは買うしかないな。

ああ、また夜遅くにこんなテンションが上がる曲を聴いてしまった…。

2008/11/17

武藤賢一郎氏のLP

パソコンの調子がかなりやばいので、バックアップ作業を行いつつブログを書いている。まずいなあ、今年度いっぱいはこのPCで頑張ろうと思ったのに。ハードディスクを換装して何とかなれば良いが。

----------

武藤賢一郎氏がフランスのスタンダード曲集を吹き込んだLP(Fontec)。たしか、CDにもなっていたはずだが、そちらのフォーマットでは聴いたことがない。特に私自身の興味を引くこともなく、進んで探そうとも思わなかったのだが、夏にトランスファーの依頼を受けていたLPのリスト中にあり、そんなわけでたまたま聴くこととなったのだ。サクソフォンが武藤賢一郎氏、ピアノが藤井一興氏。両者とも日本人ながらフランスでの音楽教育を受けた経歴を持つ。

P.モーリス - プロヴァンスの風景
A.デザンクロ - プレリュード、カデンツとフィナーレ
D.ミヨー - スカラムーシュ
P.サンカン - ラメントとロンド
E.デニゾフ - ソナタ

録音は1982年。武藤氏がパリ国立高等音楽院のデファイエ・クラスを卒業したのが1977年、ギャップ国際コンクールに入賞したのが1978年、ということだから、まさに脂が乗りきった時期のレコーディングということになる。なんというか、最初から聴いていくとオサレ~なフレンチスタイルとはやや違く、ちょっと生真面目だなあと思ってしまうのである。ヴィブラートやアタックが単調で、「プロヴァンスの風景」「スカラムーシュ」なんかは、なんだか聴きながらこちらが緊張してしまう(^^;等速ヴィブラートとは言っても、なんだかデファイエやミュールの色気みたいなものが感じられないのだ。

ううむ、一曲目を聴いたところで疲れてしまうが、この生真面目さが続くデザンクロや、後半のサンカン、デニゾフで活きてくる。特に、サンカン、デニゾフは圧巻である。だってそもそも、曲の性格からして聴衆にも緊張を強いる曲なのだから、この曲にこの武藤氏の演奏がハマらないわけがない!聴き手を緊張の糸で縛りつけ、徐々に盛り上げていくサンカンの"ラメント"、そしてロンドのスーパー跳躍フレーズを含む譜面で聴けるハイ・テクニックなど、武藤氏の面目躍如といったところか。

デニゾフでは、武藤氏と藤井氏の強烈なインタープレイを聴くことができる。藤井一興氏のピアノはアルバム全編に渡ってもの凄い仕事をしているが、特にデニゾフでのサックスとの絡み方は尋常ではない。音色の変化、タッチの美しさ…第二楽章などは、漆黒の闇に煌く星のようだ、かと思えば、第三楽章では精密な歯車のような厳格さ(第三楽章よりも、第一楽章のほうがよほどロックに聴こえる)。武藤氏のサックスは、とにかくパワフル。聴き始めたらいつのまにか何もかもを巻き込んで終わってしまいました、という感じだ。すごい。

ううん、実演に接したことがないのだ。このデニゾフを聴いて、ぜひ生で聴きたくなった。武藤氏、リサイタル開いてくれないかなあ。

こんな音楽がある幸せ

とあるサクソフォンCDを探していたら、Return to Foreverのセカンドアルバム「Light as a Feather」を見つけて、そのまま最後まで聴いてしまった!聴き始めたらもう探す気が起こらなくなって、座椅子にもたれかかったまま、このグルーヴに酔いしれていた。

You're Everything, Light as a Feather, Captain Marvel, 500 Miles High, Children's Song, Spainという6曲。そうそう、チック・コリアの名曲「スペイン」は、ここから始まったんだよな。

30年以上前の、フュージョン黎明期の傑作。新しい音楽ジャンルは、ごくごく限られた才能によって切り開かれる。当時のリターン・トゥ・フォーエヴァーの面々:チック・コリア、ジョー・ファレル、スタンリー・クラーク、アイアート・モレイラ、フローラ・プリムら、世界の第一線で活躍していたジャズ・ミュージシャンの天才的な閃きが刻まれたアルバムだ。ファーストアルバム「Return to Forever」と併せて、こんな音楽が存在すること自体が奇跡と言ってもいいのではないか。なぜこんなに壮絶なアドリブができるんだろう、とか、なぜこんなに美しいメロディやコード進行が書けるんだろう、とか、なぜこんなテンポ設定ができるんだろう、とか…

そんなレコードやCDって、世界を探したらいくつあるんだろうか。これから先、いくつ聴くことができるのだろうか。そのためには、ジャンル問わずにいろいろな音楽を吸収していかなければ。

ふう、うっかりテンションが上がってしまったが、もうこんな時間だ…明日は早くに起きなければいけないのに!

2008/11/16

【ご案内】クローバーSQのCD発売記念コンサート

クローバー・サクソフォンクヮルテットの、バリトンの坂口さんからご案内いただいた。そうか、もう去年のデビューリサイタルから、1年以上経つのだな。未だメンバー全員が20代ながら、国内でも傑出した四重奏団であり、今後の活躍が期待されるグループの一つである。今回は、キングレコードに吹き込んだデビュー・アルバムのリリース記念演奏会(全国ツアー)なのだという。

【クローバー・サクソフォンカルテット CDデビューコンサート東京公演】
出演:林田祐和、田村真寛、貝沼拓実、坂口大介(以上sax.)
日時:2008年12月4日(木)19:00開演
会場:紀尾井ホール
料金:一般4000円 学生3000円
プログラム:
M.ラヴェル - クープランの墓より
L.ロベール - テトラフォーン
G.ピエルネ - 民謡風ロンドの主題による序奏と変奏
C.ドビュッシー - 弦楽四重奏曲 他
問い合わせ:
03-3475-6870(インターミューズ・トーキョウ)

東京以外での3都市公演は、以下のようになるということだ。そういえば、デビューリサイタルもいくつかの場所で演奏していたっけな。

【名古屋公演】
日時:2008年12月9日(火)19:00開演@アスナルホール
料金:一般2500円 学生1500円(当日各500円増)
チケット取り扱い:
052-331-3383(バルドン楽器)、052-722-1682(植村楽器)

【大阪公演】
日時:2008年12月11日(木)19:00開演@ザ・フェニックスホール
料金:一般3000円 学生2000円
チケット取り扱い:
06-6363-7999(ザ・フェニックスホールチケットセンター)、06-6377-1117(ドルチェ楽器)

【北九州公演】
日時:2008年12月14日(日)18:30開演@門司赤煉瓦プレイス 赤煉瓦ホール
料金:前売 一般2500円 学生1500円(当日各500円増)
チケット取り扱い:
093-533-1151(テイク・ウィング)、092-713-5303(クレモナ楽器)

2007年12月のフェスティバルでは、ルーシー・ロベールの難曲「テトラフォーン」をいとも簡単そうに、しかしダイナミックに演奏していた姿が印象的だったが、さらに一年を経る中でレコーディングやいくつかの演奏機会をこなし、今度はどのようなサウンドを聴かせてくれるのだろうか。

2008/11/15

機種変更

まるまる3年間使った携帯から乗り換え、ついに機種変更。私は携帯をもち始めたときからのauユーザーなのだが、店頭で1時間ほど迷いながら、できるだけシンプルなものをと選んでいくうちに、ソニー製のreというモデルに行き着いた。うーん、このデザイン、サイズなら及第点か。ということで、決定。

で、いろいろ使ってみているところ。機種変更して良くなった点、悪くなった点、いろいろである。擬似マルチタスク機能は、けっこう便利かもしれない。全体的なレスポンスの悪さは、予想していたことであるが、まあKCP+が載った端末よりはマシなのだろう(追記:と思ったら、reにもKCP+載ってるじゃん!)。

携帯の世界は「シンプル」というものとは逆方向に向かっているようだが、高機能であることにそれほどニーズがあるとも思えない。でも、どんどん高機能にならないと、技術は発展しないし、何も売れなくなってしまうから、これで良いのですかね。

ふと過去の日記を辿ってみたら、以前機種変更したときのことが書いてあった。このときは、迷わず即決だったのだけどな。
http://kurisaxo.blogspot.com/2005/12/blog-post_5317.html

2008/11/14

ミヨー「スカラムーシュ」を聴く

ダリウス・ミヨー Darius Milhaudの「スカラムーシュ Scaramouche」。言わずと知れたアルトサックスとピアノ or オーケストラのためのスタンダード・レパートリーの一つ。ミヨーが内包していた南米気質を、これでもかと明快に開放した作品で(第三楽章の名前はブラジレイラ!)、演奏者にとっても聴衆にとっても、人気が高い。録音も数多く、私もこの曲が入ったCDなら、探せば10枚くらいは出てくるかなあと思う。

なんで「スカラムーシュ」かというと、今日なんとなくジェローム・ララン氏のCDを聴いていたところ、この曲での流麗な演奏が耳に残り、続いて何枚か探して聴き始めてしまったからである。

そのララン氏のCDだ。「Impressions d'automne(Cafua)」と名付けられたディスクで、今年の夏に発売されたもの。買ったばかりの頃は、自筆譜から再構成したというドビュッシーや、原博巳氏との共演になるプーランクのトリオ、そしてフィリップ・ルルーの「SPP」なんかを好んで聴いていたものだが、ミヨーが、これまた素敵なのです。冷たい水しぶきを吹き上げるような棚田文則氏のピアノの音の中を、自在に泳ぎまわるサックス。涼しくさわやかな演奏だと感じたのは、録音時期が冬季(1月)であることと、無関係ではないだろう。

とにもかくにも、万人にオススメできる内容である。Cafuaから直接購入できるほか、amazonなどでも購入可能(→こちら)。

以前から、私の中ではこの演奏がスタンダードである。須川展也氏のセカンド・アルバム「Fuzzy Bird(Apollon, Bandai, etc.)」に収録された演奏。アルバム最初に収録された吉松隆「ファジイバード・ソナタ」から、須川氏の歌いまわしは冴えまくっており、若き日の須川氏の覇気に満ち溢れた演奏を堪能することができる。それがおそらく最良の方向に発揮されたのが「スカラムーシュ」で、小柳美奈子さんとともに繰り広げるノリノリの演奏は、クラシックという枠を跳び越して、まるでポピュラー音楽のように聴こえてくるほどだ。amazonで購入可能(→こちら)。

LPではあるが、この録音も外せまい。ロンデックスのこのCrest盤は、つい最近もロベール「カデンツァ」つながりでブログで取り上げたが、ここに収録されているスカラムーシュがなかなか良いのですよ。ロベールの強靭な集中力のあとに続いて、楽しげに流れ始めるのがこの演奏。地中海のギラギラした太陽のような演奏(なんじゃそりゃ)。目の前で、特大のキャバスの上に、もの凄い勢いで油絵が描かれていくような様子でも観ているような気持ちになる。まあ、そんなでかいキャンバスに油絵を描くなんて、そんな話は聞いたこともないが、それだけパワーのある演奏だということです。このトランスファーされた音源については以前紹介した。興味ある方はメールをください(→kuri_saxo@yahoo.co.jp)。

ここまで紹介したのは、ピアノとサクソフォンのバージョンだが、オーケストラとサクソフォンのバージョンも存在する。その中で私が良く聴くのは、ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏が独奏を務めたこの演奏。快活な二つの楽章に挟まれた「第2楽章:モデレ」は、どうもベタベタになりがちな演奏が多い中で、すっきりと聴かせるあたりに好感が持てる。それにしても、この一筋縄でいかないオーケストレーションの中で、この速度でやるのは、あえてスリリングさを押し出したというのか(笑)。いやはや、第3楽章のオーケストラ、すごいなあ。

スカラムーシュ以外にも、面白い作品が併録されている。「パーカッションと小オーケストラのための協奏曲」、「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲:エクスの謝肉祭」等。しかも、独奏を務めるのがル=サージュやメイエだというのだから…。このCDもamazonから購入可能(→こちら)。

というわけで、ぱっと聴きたくなったのはこのくらいか。そういえば、ロンデックス演奏の木五+サックス版なんてのもあるんだった。どこにしまったけなあ。CDが増殖しすぎて、わけがわからないことになっている。

2008/11/12

The Saxophone Symposium Vol.26

そういえば、今日は天皇、皇后両陛下とスペイン国王夫妻が、ご来学された。なんと常磐線(特別車両)でお越しになって、つくばエクスプレス(のボックス席つきの車両)でお帰りになったようだ。大学のお見送り場所からは、しっかりとお姿も拝見しました。ものすごい厳戒態勢で、ちょっと怖かったけど。

----------

North American Saxophone Alliance(以下NASA)から取り寄せた論文誌(一冊15ドル)のうち、2001年に発行されたもの。全部で6冊ほど購入してぱらぱらめっくて読んでいるのだが、今のところはこれが一番おもしろいぞ。

内容は、こんなところ:

特集:Tribute to Sigurd Manfred Raschèr
・Thomas Liley - Sigurd Raschèr: His Life and Legacy
・回想:Sigurd Raschèr(Ronald Caravan, Paul Cohen, Lawrence Gwozdz, Frederick L. Hemke, Eugene Rousseau, Donald J. Sinta各氏)

Saxophone History
・James R. Noyes - Lefebre's Last Band: From Gilmore to Sousa
・Stacy Maugans - The History of the Saxophone in St. Petersburg, Russia

Saxophone Performance
・Paul D. Greene - Kadri Gopalnath: Saxophone Chakravathy ("Emperor of the Saxophone") in the Concert Tradition of Indian Classical Music

Literature and Repertoire
・Andy Wen - The Music of Ryo Noda, PartIII: Pulse 72+- and Conclusions

Reviews
・いろいろ

シガード・ラッシャーがなくなった年に発行された論文誌で、ラッシャーに関する特集が組まれている。まず圧巻なのはバイオグラフィ。私が今年協会に寄稿した内容が鼻先で吹き飛ぶほどのもので、60近い参考文献をもとにした、ラッシャーの経歴の決定版と言えるような内容のものだ。著者のThomas Lileyは、NASAのライブラリアンチーフのような職を請け負っているとのことで、膨大な知識に裏付けられた渾身の書き下ろしバイオグラフィは、ラッシャーの辿ってきた道を知る上での貴重な資料となっている。

そして、豪華なメンバーがラッシャーについての回想記を寄せている。ラシェリアンの一人、Lawrence Gwozdzのリアルな描写が面白い。そして、師事経験がないヘムケ、ルソー、シンタ各氏が、ラッシャーの逝去に際してどういう言葉を寄せているのか、というのは、私でなくても気になるのでは…?(そんなことないか)

で、続く2つの記事は、サクソフォンの歴史に関わるもの。一つは、ギルモア・バンドとスーザ・バンドという、アメリカ器楽界の黎明期を担った吹奏楽団を、当時のサクソフォン界随一の名手、ルフェーブルを軸にして、それらの動向を追う。もう一つは、ロシアのサクソフォン界の歴史。ラッシャーの記事も面白いが、この論文もものすごく面白い!日本にはこれまで知られていない情報が、たっぷりと詰め込まれているようだ。現在精読中。これ、日本語に訳して、協会報に載せてほしいなあ。

Saxophone Performanceの領域では、インドのクラシック・サクソフォンに関する記述が!インドのサックスだなんて、ずいぶんと予想の斜め上を行く分野だ。ディスコグラフィも載っている…き、気になる。続いて分析の領域で取り上げられているのは、野田燎の「パルス72±」か。実は、他の論文誌には「即興曲I」の分析などもあり、野田燎氏の作品の分析が、シリーズ化されているのである。

と、こんな、"まにあくー"な内容。うーん、最近は日本のサクソフォーン協会の機関紙「サクソフォニスト」も面白くなってきていると思ったのだが、これを見る限りでは差は歴然という感じですな。まあそもそも国内では、サクソフォンに関するトピックを取り上げて論文を書くというような学術的アプローチは、一般的ではないからなあ(国内のサックス界における問題の一つとも、言われている)。

所蔵資料の整頓

大学に入学してから収集した、あるいは頂戴した資料は、たぶん音源がCD300~400枚分くらい(いくつかの映像資料も)。楽譜は積み上げると厚さ1メートルくらい。それに加えて、サクソフォン関連の書籍、日本語・英語論文なども含まれる。

これらの資料を、社会人になる前に一度整頓しておきたいのだ。

多くの音源は、バックアップを作成している。プレスCDに関しては、出版が1993~1994年以前のものについてイメージ・リッピングを行う予定。自分で焼いたor頂戴した大量のCD-Rは、バックアップとしてリッピング。木下さんなどからいただいた等速録音のCD-Rはこれはたぶん音質が変わるよなあ。うーん。まあそこは割り切るしかない。

楽譜は、とにかくスキャンしてデジタル化。いまのところ、半分くらいかなあ。修士論文の合間を利用して、地道に進めていこうと思っている。時々、心が折れそうにはなるけれど…。

書籍や論文誌は、まあしょうがないか。そのまま。

----------

追伸:Pさん、貴重な本をありがとうございます!早めにお返しします!

2008/11/10

NSF Vol.26

おー、すっかり忘れていたけれど、たしかにそんな季節だな。というわけで、ノナカ・サクソフォン・フレンズ会報の最新号がアップされていた。

http://www.nonaka-boeki.com/nsf/magazine.html

内容は、石渡悠史氏へのインタビュー、クローバーSQレコーディング記、技術部連載、各種イベントレポート、音絵さんインタビュー、Connサクソフォン試奏と、おおよそこんなところ。

見所は、何と言っても石渡悠史氏へのインタビューだろうなあ。私くらいの世代の人たちって、石渡氏が国内のサクソフォン界に果たした功績をほとんど知ることがない。しかしこのインタビューを読んでみると、現在の日本のサクソフォン界が、いかに彼らパイオニアたちに依っているものなのか、ということが良く分かる。

プロースト交響楽団第8回定期演奏会

後輩のフルート吹きに案内されて、聴きに行ってきた。後輩だったのは大学の吹奏楽団のころだが、東京に就職後も仕事の傍らフルートを続けているそうだ。

【プロースト管弦楽団第8回定期演奏会】
出演:金子建志(cond.)、川又明日香(vn.)、プロースト交響楽団
日時:2008年11月10日(日曜)14:00開演
会場:杉並公会堂 大ホール
プログラム:
W.A.モーツァルト - 歌劇「魔笛」序曲
M.ブルッフ - ヴァイオリン協奏曲
G.マーラー - 交響曲第一番

杉並公会堂は、荻窪駅から徒歩で行くことのできるホール。そういえば、夏に荻窪の近くで演奏会やったっけ。そのときは南口から行った覚えがあるが、今日は北口から会場に向かった。会場に近づけどもなかなかホールらしきものが見えず、あれ?と思いながら進むと突然人だかりに突っ込んだ。あ、こんなところにあるのか。会場入り口あたりで後輩に、それからフルートの先生に会う。3人でなんとか2階に駆け上がって席を確保。会場は、満席。どころか、立ち見もちょっといたくらいだ。

演奏は、モーツァルトのおなじみの序曲から始まった。私は今までにオーケストラを聴いたことがそれほどあるわけではないので、何とも感想を書きづらいのだが、とても上手いオーケストラだと思った。何となくわかる管楽器について言えば、とてもレベルが高く、まさに管楽合奏で奏でられるべき音色が、二階席までぽーんと通ってきた。

続くブルッフでは、青いドレスに身を包んだかわいらしいソリストが登場。プロフィールを見るに、まだ大学生とのことだが、高校時代から様々なコンクールに入賞しているという。どんな曲なのか、どんな演奏なのか始まるまでドキドキだったが、おおぉっ。すごい。曲は「コル・ニドライ」ばりの美しい旋律にあふれており、そしてヴァイオリンの川又さんがすごく良く弾くのだ。技術的な不安定さがないのはもちろんのこと(第3楽章の重音の連続…!)、なかなか情熱的に歌うし、音も良く飛んでくるしで、聴いていてひき込まれてしまった。

そして、やっぱマーラーですよ。管楽器パートは四管編成、弦楽器も、もしかしたらメンバーのほとんどが乗り番だったのではないかと思うほどの大、大編成。実はマーラーの交響曲自体、食わず嫌いで今まで避けてきたのだが、なんかすごいっすね。極彩色に彩られた、種々の楽器による一大スペクタクル!という感じで、それこそ難パッセージの嵐ならぬ超大嵐って感じ。ソナタ形式なのかなあと思って聴いていても、ほとんど主題の展開すら追えん(笑)。ああ、すごかった。アンコールはなし。終演後に、そのフルート吹きにちょっと挨拶して、帰路についた。

----------

で、プロースト聴いた後に、「そういえば、コンクールの予選って帰り道(中央線)の沿線じゃないかと」と思いつき、「せっかく東京にいるんだし、ついでだー」と、某コンクールの一次予選をちょっとだけ聴いてきた。

18時ころに会場に着いて、様子見のつもりで2、3人くらい聴いてすぐ退出しようと思ったのだが、これがまた面白くて、休憩アナウンスがあるまで、一時間弱ずっと聴いてしまった。リュエフの二楽章と三楽章(の一部)であるが、どのプレイヤーも個性的な演奏で、レベルも様々。さすがに8時間×4日を聴くのはどんな感じなのか想像がつかないが、2時間くらいだったら普通に聴いていられそう。

カーテン審査って、あんな感じなのですね。四列目の後ろに、高さ2メートルほどの白いカーテンが引かれていていて、一般に開放されているのは前側。審査員は、どうやらそのカーテンの後ろで審査していたようだ。後ろ側は、審査員以外は立ち入り禁止。受付でもらった金ピカのプログラムには348名の出場者の名前が書かれており、一人一人なぞってみると、あ、この方も出ているんだ、と思うこと多し。

2008/11/09

【ご案内】塙美里さんのリサイタル&ブログ

茨城県出身で、洗足学園音楽大学を卒業後、フランスのセルジー・ポントワーズ音楽院に留学されている塙美里さんからリサイタルのご案内とブログのご案内をいただいた。来年の3/22というと、まさに引越しの最中!?だが、もしまだつくば市にいるのであれば、ぜひぜひ伺いたい。

【塙美里サクソフォンリサイタル Misato Hanawa Saxophone Recital vol.1】
出演:塙美里、原博巳(sax)、服部真由子(pf.)
日時:2009年3月22日(日)16:30開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
料金:前売り1500円 当日2000円
プログラム:
C.フランク/塙美里 - ヴァイオリンソナタ
C.ドビュッシー - ラプソディ
J.B.サンジュレー - デュオ・コンチェルタント 
M.ブルッフ/塙美里 - コル・ニドライ 他
主催:財団法人水戸市芸術振興財団
問い合わせ:
029-227-8118(水戸芸術館コンサートホールATM)
misatosax@hotmail.co.jp(塙美里)
チケット:
水戸芸術館エントランスホール・チケットカウンター
水戸芸術館チケット予約センター(029-226-0351)
ヤマハミュージック関東(029-224-2861)

そして、ブログはこちら:
http://blog.goo.ne.jp/misatosax/

ブログ、お引越しされたようだ。新ブログはこちら:
http://misatosax.blog24.fc2.com/

フランスに留学されている方で、向こうでの様子をブログに綴られている方は何人か存じているが(安井寛絵さんとか、大西智氏さんとか)、やっぱり留学の様子というのは興味あるところだ。どなたも、充実した留学生活を送っていらっしゃるようで、うらやましいなあ。

架空の物語「Kabuki Festival」

意図するところを汲み取ってくださるかどうか。某Sさんに聞いた話を、ちょっと脚色しつつフィクションとして書いてみたものです。うーん、文章を面白く書くのって、難しい。

----------

架空の物語「Kabuki Festival」

今日は年に一度の大イベント、"Kabuki Festival"の開催日。近年アメリカでも"Kabuki"専攻科が多くの大学に設立され、それを生業とする者も、今では数多い。アメリカ最高峰の歌舞伎役者養成機関である、North America Culture University(NACU)の"Kabuki"専攻科教授は、アメリカにおける歌舞伎の草分け的存在であるMoris Newmanの一番弟子、John Brown。そもそもアメリカに歌舞伎の文化を輸入したのはMoris Newmanであり、彼は日本の片岡仁左衛門に師事しながら、アメリカにおける歌舞伎の第一人者となったのだ。John Brownは彼の後を継いでNACUの教授となり、アメリカにおいて歌舞伎界を牛耳る存在となっている。

一組目の演目が始まる。こちらはNACUの出し物ではないが、やはりJohn Brownの弟子たちが出演しているのだ。見事に"Yoshinoyama"を演じきった訳者たちに対し、会場を埋め尽くした愛好家から、大きな拍手が送られる。もちろんJohn Brownも、その様子を満足げに見守っていた。

いくつかの大学の演目を経て、いよいよ大トリ、NACUの出し物、歌舞伎の中でも傑作とされる"Kanadehon Chushingura"だ。主役を務めるのは、もちろんBrown教授。演目が終わると同時に、スタンディングオベーション、そしてブラボーの嵐。Brown教授の終演の挨拶、「今日のフェスティバルは、まさに国内の"Kabuki"文化における、記念碑的な催しになったと言えるでしょう。私は、この"Kabuki"文化を、誇りに思っています!」自身に満ちたそのスピーチに、惜しみない拍手と、歓声が送られたのであった。

その拍手の嵐の中で、フェスティバルを観にわざわざ訪米したある歌舞伎愛好家は、満員の聴衆のなかでただ一人首をひねっていた。「んんん?おいおい、こんな怪しいものを歌舞伎と呼んでよいのか?日本の歌舞伎とはまったく違うじゃないか。」「発音なんて、ぜんぜん訛っているし。大体台詞をまともに読めてないなんて。」「舞台や衣装も、ぜんぜん日本のものとは違う。なんだあの色使いは。」「あのBrownとかいう"Kabuki"専攻の教授、教育者としては立派だろうが、まさか本場で学んだことがないとは…そんな人物が、"Kabuki"界を牛耳っているなんて…」

----------

あ、どうでもいいけど、なんだか歌舞伎を観たくなってきた。

2008/11/07

教本がない

先日モアレに乗るために福島のほうに演奏に行ったとき、そんな話になった。サクソフォンの世界の教本て、特に最近書かれたものに関して、本当の初心者が使えるような教本がないのではないかと。まさか一番最初からラクールなど演奏できるわけないし、須川展也氏の「うまくなろう!サクソフォーン」も、もともとバンドジャーナル誌上にて連載されていたものであるせいか、やや分量的に不足しているような気もする。

その点、大室勇一氏がラリー・ティールの「サクソフォーンの演奏技法」に着眼し、日本語に訳したのは、まことに素晴らしい考えなのであったと思う。というか、やはり大室氏も、それまでに日本語のきちんとした教本がないことを危惧し、翻訳に取り掛かったのではないだろうか。サクソフォンの演奏を、ここまでアトミックな要素に立ち返って分析・指導している本も、他にはないと思う。

もちろん、その「サクソフォーンの演奏技法」も素晴らしい本であるが、ぼちぼち新しい本が出ても良いのではないかと思っているのだ。原著が出版されたのは、なんと1963年だ!それから現在までの間に、楽器やマウスピースの改良、レパートリーの拡大など、サクソフォンを取り巻く状況は(少しではあるが)変わっている。今一度、サクソフォン初学者のためのメソードを見直し、一冊の本としてまとめなおす時期が来ているのではないか。

っていうわけで、誰かやってくれませんかね(笑)。

2008/11/06

Lucie Robert 「Cadenza」

ルーシー・ロベール=ディエゼル Lucie Robert-Diesselは、フランス生まれの女流作曲家。1936年10月3日にレンヌに生まれ、12歳になるまでレンヌ音楽院に学んだ。その後、1951年1月にパリ国立高等音楽院に入学。ピアノ、ピアノ伴奏法、オルガン、室内楽、アナリーゼ、作曲を学び、そのすべての科目で一等賞を獲得して卒業した。1965年に、フランス作曲界の登竜門であるローマ大賞を受賞、その後3年間イタリアに留学した(ローマ大賞受賞者は、ローマのメディチ荘への留学・作品提出が義務付けられる)。

その後もさらに演奏と作曲両面の勉強を続けながら、いくつかの権威ある賞を受賞した。主なものに、バルセロナ国際ピアノコンクール(1963年)、マンハイム国際作曲コンクール(1975年)などがある。ピアニストとしてはラジオ・フランスへの出演のほか、フランス、アメリカ、カナダ、日本へのツアーを行うなどした。録音活動も積極的であり、イギリスのBBC、ベルギーのRadio Télévision Belgeなどに、放送用録音や商用録音を吹き込んだ。

ローマから帰国した後は、ピアノ伴奏科クラスのアシスタントに就任。さらに1972年には、和声学とアナリーゼの教授に就任し、後進の育成に力を注いだ。2001年に退職し、現在は作曲に専念している。

ロベールがサクソフォンに初めて興味を示したのは、ローマ留学時代だったと言われている。フランスのサクソフォン奏者、ジョルジュ・グールデ Georges Gourdetがローマ音楽院において学んでいた頃とロベールの留学時期が重なったのだ。グールデがロベールにサクソフォン作品のピアノ伴奏を依頼し、その中でロベールに作品を委嘱、こうして、ロベールの最初のサクソフォンのための作品である「ソナタ」が書かれたということだ。ロベールは、現在までにサクソフォンを含む作品を27曲手がけている。

ロベールはその後も、グールデの紹介によって様々なサクソフォン奏者と交流を広げていく。現在最も広く演奏されている作品の一つ、「カデンツァ」は、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の名手、ミシェル・ヌオー Michael Nouauxの委嘱により書かれ、1974年の第4回世界サクソフォンコングレス(フランス、ボルドー)において初演された。

走句の執拗な繰り返しが特徴的。タイトルの「カデンツァ」は、楽曲全体を支配する柔軟なテンポに沿って付けられたものである("Rubato"との指示があり、サクソフォンとピアノは独立したテンポで演奏される部分がほとんど)。旋法やシステムを使用せずに作曲され、楽曲中に出現する音は、メロディの要素と跳躍の相互作用(?)を表現しようとした結果、生まれたものである。

録音としては、ジャン=マリー・ロンデックス Jean Marie LondeixのCrest盤があれば十分(MD+Gから復刻されているが、そちらは復刻状態がいまいちなため、ほとんど聴いていない)。ダルヴァンクール、デザンクロ、ミヨー、マルコヴィッチという超ド級のプログラム中、最も重心の置かれている演奏だと思う。他にあまり聴いたことがないのだが、オススメの演奏あったら教えてほしいくらいだ。思いつくあたりでは、ドルチェ楽器で観たデファイエ最後の来日映像の「カデンツァ」が凄かった覚えがある。

参考資料:
Gardner, Karen Roll. "The Early Music of Lucie Robert." North American Saxophone Alliance The Saxophone Symposium Volume 27 (2002): 79-113.
Londeix, Jean Marie. "A Comprehensive Guide to the Saxophone Repertory." Roncorp, Inc. (2003): 318.
"Jean-Marie Londeix, Alto Saxophone & Anne-Marie Schielin, Piano" Golden Crest RE 7066(木下直人氏によるトランスファー。この場をお借りして感謝申し上げます。)

2008/11/05

Vue sur les jardins interdits on YouTube

アンリ・プッスール Henri Pousseurが作曲したサクソフォン四重奏曲、「Vue sur les jardins interdits」の演奏動画がYouTube上にあったので、貼り付けておく。この作品については、以前ブログ上に記事を書いた。邦題では、「禁じられた園への眺め」とか、「禁断の園への眼差し」とか言われているやつですね。雲井雅人サックス四重奏団や、トラクィオン・アヴァンがレパートリーにしていることでも、有名(なのか?)。

演奏は、Oasis Saxophone Quartet。カナダのDrake Universityでの演奏で、収録されたのはなんと今年の10/31!ずいぶんと最近ではないか。すごい時代になったものだ。



おお、かなり上手い。プレイヤーのうち何人かは、ジャズにも精通した奏者であるそうだが、ここから聴こえてくるのは見事なクラシックの響きそのものだ。ザムエル・シャイト作品の残照部分は、もうちょっと軽やかな響きで聴きたかったなあと思ったが。

2008/11/04

Interview with the Legendary Marcel Mule(その2)

「History of Saxophone Vibrato」という、パリ国立高等音楽院の現サクソフォン科教授である、クロード・ドゥラングル氏が、マルセル・ミュール氏にインタビューした記事。以下のページの、click hereというリンクから辿ることができる。

Interview with the Legendary Marcel Mule - on the History of Vibrato

このインタビューについては以前も取り上げたが、今回はオーケストラ内でのヴィブラートの使用と、ラッシャーとの関わりの部分について和訳してみようかと。

※ラッシャーの部分に関しては慎重に訳したつもりなのだが、間違いがあったら大変です。もしニュアンスの間違いがあれば、早めに指摘してくださると助かります。なんというか、簡単すぎてニュアンスを汲み取りにくいというか…インタビュー原文はフランス語なのだろうが、英語に直すときに、やや文脈がガタついているような気もする。

----------

ヴィブラートの獲得によって、サクソフォンが雄弁さを手に入れた話をしましょう。まるで声楽のような雄弁さを、です!

私がイベールの「Concertino da camera 室内小協奏曲」を初めて演奏したとき(それは放送用の録音として演奏したのですが)、オーケストラを指揮していたルネ・バトン氏がこう言うのです。「これは奇妙だ。まるで女性のソプラノのように聴こえる。」彼はまさに、私のサクソフォンの音が、そのように聴こえたというのです。私はたいそう喜びました。なぜなら、それは私がまさに意図していたことだったからです。ヴィブラートによる音色のコントロールがそのように捉えられたことは幸運でした。

―それは、仲間内だけでない、一般的な音楽界に認められた出来事だと言えますね。

そうです。しかもそれは、大変な成功を収めたのです!ダリウス・ミヨーとは、私は何度も一緒に演奏しました。それから、やはりジャック・イベール。彼はある日、フィルム・スコアの冒頭にサクソフォンのラルゲットのソロを書いたのです。そのフレーズは、注意深く演奏されるべきでした。なぜなら、イベールはある音色の"カラー"と、"波"を欲していたからです。

私はそのフレーズを、何度も演奏しました。その間、イベールは最も適切なヴィブラートの幅・速度を探し続けているように感じました。そして、私たちはついにそのヴィブラートに到達したのです。それは素晴らしいことでした。彼は私に、「あなたの演奏に、本当に心を突き動かされました…」と言ってくれました…その時のことは、今でも思い出すことができます。イベールはこのようにして、サクソフォンとはいかなる楽器なのかということを知ったのです。バレエ音楽「Chavalier Errant 放浪の騎士」において、彼はサクソフォンに重要な役割を与えています。全編にわたってサクソフォンの表情豊かなフレーズが聞かれ、2つのとても雄弁なカデンツァが含まれています。このバレエの初演に私は参加していましたが、作曲者であるイベールのアナウンスのあと、私の同僚がこう付け加えてしまったほどです。「…そして、独奏部はマルセル・ミュールによって作曲されました!」

その夜、初演の時にヴァイオリン独奏を務めた Henri Marckel アンリ・マーケルが私を祝福してくれました。「放浪の騎士」のサクソフォンパートは、この楽器の恰好のデモンストレーションだったと言えましょう。初演の晩、私が遭遇した祝福こそが、疑うことなきその理由です。また、国立オーケストラのメンバーであったオーボエ吹きがやってきて、賞賛の言葉をいくつか話したのち、「それで、ぜひあなたにレッスンを受けたいのですが…。」と言ったのです。このサクソフォンという楽器が、かつてこれまで音楽界にインパクトを与えたことがあったでしょうか!評判は海を越えて伝わっていきました。私はその後、さまざまな国で演奏したのです。スイス、ドイツ(戦前)、イギリス、オランダ…。

ここで、ジャック・イベールとシガード・ラッシャーの関わりについて話しておかなければならないでしょう。だれかがA.SAX.FRAの記事に、私がラッシャーにねたまれていたと書いたようです。しかもそれは、ラッシャーが私のことをねたむのを誘導するような書き方でした。私は、それが間違いだと指摘することもできませんでした。実際、最近彼は私のことについて質問をしました。1970年のジュネーヴ国際コンクールで、私たちは審査員を務めていましたが、そのとき私たちはちょっとした誤解をしていたのです。しかし、ラッシャーが私をねたんだことはありませんし、私がラッシャーをねたんだこともありません!

ラッシャーは、イベールのことをフラジオ奏法で驚かせたのです。私とラッシャーとは、1932年にロシアン・ソサイエティの音楽会で初めて会いました。そのとき私たちはグラズノフの「四重奏曲」を演奏しました。演奏会のあと、彼が楽屋を訪ね、自己紹介をしてくれたのです。たしかラッシャーはそのとき、コペンハーゲンで教授を務めていたのだと思います。「私は、4オクターヴを操ることができます!」その後、私はラッシャーの演奏を聴く機会がありましたが、その時私は確信しました。イベールは、彼の演奏に驚いたのです。

イベールはラッシャーの高音奏法に驚きましたが、イベールはその後、考えを改めました。ある日、イベールが私の所を訪ねてきて、協奏曲を書いたのだと言いました。私は最初の楽章(訳注:第2楽章ではないか?)のラルゲットを聴いたことがありましたので、こう言いました。「あなたは、やや高い音域まで登りすぎているようだ。これは、私が演奏可能な音域では演奏することができない。」するとイベールはこう言います。「本当にこうしたいわけではないんだ。」私は、その後の演奏機会でラルゲットをオクターヴ下げて吹きました。またジュネーヴでは、イベールはオクターヴ下げる演奏を好んだのだ、と述べました。

----------

ふーむ。「もっとラッシャーの話を聞きたいなあ」と思ったところで、なんとドゥラングル教授、話題を変えてしまうのだ!この直後の質問は、「あなたはどのようにしてサクソフォンを学んだのですか?」というもの。ラッシャーについて、できればもうちょっと突っ込んだ質問もしてほしかったところである。

2008/11/03

The Saxophone Craze

North American Saxophone Alliance(通称NASA)は、日本でいうところのサクソフォーン協会のような機関。そのNASAが出版しているCD「The Saxophone Craze(NASA-101)」を買ってみた。内容としては、サブタイトルに"Early Twentieth-Century North American Concert Saxophonists"とあるとおり、20世紀初頭のアメリカにおけるサクソフォンソリスト、サクソフォンアンサンブルの録音を復刻したものである。

量としては、Andy Jackson氏のThe Legendary Saxophonists Collectionに遠く及ばないが、様々なプレイヤーの演奏が、CD一枚にダイジェスト的に収められているため、アメリカのサクソフォン黎明期を簡易的に俯瞰するには、格好のメディアであると思う。取り上げられている奏者も、H.Benne Henton、Six Brown Brothers、Clyde Doerr、Rudy Wiedoeft他と、しっかりと主要どころを押さえてあるのが嬉しい。解説もしっかりしている。

プレイヤー: 演奏曲
Jean Moeremans: Old Folks at Home
Jean Moeremans: Carnival of Venice
H. Benne Henton: Lanette. Waltz Caprice
H. Benne Henton: Laverne. Waltz Caprice
American Saxophone Band: The Bullfrog and the Coon - Medley
Six Brown Brothers: That Morning Saxophone Rag
Six Brown Brothers: Smiles and Chuckels
Six Brown Brothers: Darktown Strutters Ball
Rudy Wiedoeft: Saxophobia
Rudy Wiedoeft: Valse Erica
Rudy Wiedoeft: Souvenir
Rudy Wiedoeft: Sax-o-Phun
Duane Sawyer: Al Fresco. Intermezzo
Wheeler Wadsworth: Fancy Little Nancy
Wheeler Wadsworth: Old Man Jazz
Yerkes Saxophone Sextette: Saxophobia
Clyde Doerr: Valse Hilda
Clyde Doerr: Thaïs. Meditation
Clyde Doerr's Saxophone Orchestra: Miami
Bennie Krueger: I'm Just a Lonesome Little Raindrop
Merle Johnston Quartet: Baby - Oh where can you be?

何気に、The Legendary Saxophonists Collectionには取り上げられていない奏者が入っているあたりが、なんとも面白い。Duane Sawyerとか、Yerkes Saxophone Sextetteなんていう名前は始めて聞いたし、Rudy Wiedoeftとの共演も多かったアルトサクソフォンの名手、Bennie Kruegerの演奏にスポットを当てているのも、興味深い。

演奏されている曲は、ヴィルトゥオーゾスタイルの前奏+変奏曲といったようなもの、そして、ややポップスのようなAメロとBメロがあって…というようなもの。のっけから、MoeremansやWiedoeftの圧倒的な名人芸にぶちのめされるかと思えば、かなりヤバいレベルの演奏も収録されているなど(タンギングが追いついてない、という記述が解説にも…)、ネタ的には事欠かなかったりする。日本では知られていない奏者であるが、Clyde Doerrの"喉がけヴィブラート"を伴った演奏、なかなか素敵だなあ。

ところで、私にとってはこの類のCDはサクソフォンに関する調査資料でもあるが、しかしそれ以上に耳当たりの良いメロディ特集なのである。資料に関しては、Legendary...のほうで十分。ノイズ処理も程よく、部屋でBGMとしてかけておくのが、実はなかなか楽しかったりするのだ。

秋祭りで演奏

昨日は土浦市にあるH.C.社の秋祭りで演奏(天スタ)。ポップスなど。ついでにというか、何というか、妹をつくばに呼んで一緒に演奏した。妹は、アマチュアのオーボエ吹きなのです。多くのお客さんがいて、とても楽しかった。

打ち上げも、一次会・二次会と参加させてもらって、それほどペースを早めずにセーブしながら飲む(妹の手前、そんなに酔っ払うわけにはいかん…)。いろんな人と話せて楽しかったです。

----------

あと、全くの別件。北アメリカのサクソフォン・アライアンスのシンポジウムに投稿された論文集を、いくつか注文していたのだが、それが昨日届いた。さすが、面白い記事がたくさんある。2001年の論文集は、シガード・ラッシャー関連の記事の特集が組まれているのだが、その中に以前私も個人的に編纂したラッシャーへの献呈作品リスト(年代順)とほとんど同じものが掲載されていた。しかも、私が編集したリストにはない作品が多数書かれている!近いうちに、リストの改訂をしなければいけない。

2008/11/01

音感がない

絶対音感などはもともと持ち合わせていないのだけれど、それにしてもこの自分の音感のなさはどうだろうか。ここで言っている音感というのは、聴いたや思いついたメロディを、そのままサクソフォンでなぞることができる能力のこと。

で、何でかなあと考えたときに、そういえば自分の好きなメロディを気ままに吹くとか、そういったことを今までに全くやったことがないことに気付いた。思えば、中学、高校、大学と、とにかく目の前に置いてある楽譜を、画像処理ばりに辿っていくことしかやっていなかったな。もしかしたら、そういうことに原因があったりするのか…たぶん。

そんなわけで、たまにはそういった練習も必要なのかなと思った次第。いくつかの調に移調して吹くことができれば、なお良いのかも。