2008/06/02

今季のパリ音楽院サクソフォン科卒業試験

李早恵さんとミーハ・ロギーナ氏からメールを頂戴し、5/31に開かれた今季のパリ音楽院サクソフォン科卒業試験の結果について教えていただき、さらにプログラムまで送っていただいた。ありがとうございます!

基本情報については、連載の記事に追加したのでぜひご覧頂きたい。

http://kurisaxo.blogspot.com/2008/05/7.html

プログラムの内容がなかなか面白かったので、詳細を書いておこう。サクソフォン科卒業試験(Classe de saxophone - Recital du prix)の日時は2008年5月31日の12:00 - 18:00。試験を受けたのは、Pascal Bonnet, Julien Chatelier, Clément Himbertの3人。まず、最初の一時間で3人が課題曲であるMartin Matalonの「Trame Ia」を20分ずつ演奏する。

12:00~ Pascal Bonnet
12:20~ Julien Chatelier
12:40~ Clément Himbert

そして休憩を挟み、15:00から一時間ごとにリサイタルプログラムを演奏。必ずFrédéric Durieuxの作曲したバリトン・サクソフォン独奏のための「Übersicht」を組み込むことにして、そのほかは自由曲ということになるのだろう。このオリジナル・プログラムの構成が、なかなか面白い。

15:00~ Pascal Bonnet:
Luciano Berio - Sequenza IXb
Elvio Cippolone - Concerto (s.sax. & live electronics)
Frédéric Durieux - Übersicht
César Franck - Sonate Mov.1, 2

Elvio Cippoloneの作品が気になってしょうがないのだが(笑)それ以外は意外とスタンダードな感じ。しかしこれだけの作品が並ぶと、ベリオすらも古典に見えてきてしまう。

16:00~ Julien Chatellier:
Frédéric Durieux - Übersicht
Paul Hindemith - Sonate pour alto
Pierre Boulez - Dialogue de l'ombre double

ヒンデミットのヴィオラ・ソナタがおよそ16分、ブーレーズが18分とすると、「Übersicht」の演奏時間が逆算できる。15分~20分くらいということかな。というか、ええ!ブーレーズ「二重の影の対話」を卒業試験で演奏って…この作品を演奏できるのって、世界を見渡してもせいぜいダヴィッド氏、ララン氏、ロギーナ氏くらいだと思っていたのだが、すでにあちらではスタンダードなレパートリーになりつつあるのだなあ。フランスのサクソフォン界恐るべし。

17:00~ Clément Himbert:
Ryo Dainobu - Trois miniatures Mov.1, 2 (sax & viola & pf.)
Frédéric Durieux - Übersicht
Ryo Dainobu - Trois miniatures Mov.3 (sax & viola & pf.)
Benjamin Britten - Phantasy op.2 (sax & quatuor á cordes)

まず、おそらく日本人であろうRyo Dainobuさんが気になりますね。どんな作品なのだろうか。そして驚いたのは、ベンジャミン・ブリテンの「ファンタジー」!原曲はオーボエと弦楽四重奏のための作品で、私自身もフランソワ・ルルーのCDで何度も聴いたことがあるが、まさかここでこの曲のタイトルを目にすることができるとは。この曲をサクソフォンでやってしまうのか…(やや日本旋法的なテーマも含まれた、素朴で素敵な曲です)。

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