2008/05/08

クロード・ドゥラングルの生徒たち(その3)

[1995]
新作課題曲:
Alain Savouret - À flanc de bozat
1er prix:
Nicolas Woillard, Sylvain Malézieux
2eme prix:
Fabrizio Mancuso

アラン・サヴレーの「ボザ山中腹」。先日のアリオン・アフタヌーンコンサートで、平野公崇さんによって演奏されたばかりだ。ピアノの内部奏法、サクソフォンもBiphonieほか様々な特殊奏法を駆使する曲とのこと。平野さん自身による解説を、ウェブから参照することもできる(→こちら)。この記事によると、作曲者のサヴレーは当時の即興科教授だそうだ。

その平野公崇さんが入学したのが、この頃か。多事奏音のこちらの記事にその頃の平野さんのまわりの様子が描写されている。「私が入学した時、二人(マレズュー&マンクーゾ)はまだ3年生として在籍していた。卒業した他の二人(ヴィルトゥ&トレソス)もちょくちょく学校に来ては、ラージアンサンブルなどを手伝ってくれていた」という描写があることからも、間違いない。

というわけで、Malézieuxはハバネラ・サクソフォン四重奏団のアルトサクソフォン奏者。現在はエヴルー音楽院のサクソフォン科講師。Nicolas Woillardは、Quatuor Emphasisのバリトンサックス奏者。Fabrizio Mancusoについては、次年度で。

[1996]
新作課題曲:
Michael Jarrel - Résurgences
1er prix:
Vincent David, Fabrizio Mancuso, Damien Royannais, José Vizhino

課題曲を作曲したMichael Jarrel (Mickaël Jarrell)は、スイス生まれの作曲家。IRCAMで学ぶなど、流派はフランスではないかと思われる。「Résurgences」は、ソプラノ/アルト(持ち替え)サクソフォンとフルート、クラ、トロンボーン、ホルン、打楽器、ピアノ、チェロ、コントラバスのための作品。

この年の卒業生は4人。まずは前年度に2eme prixだったFabrizio Mancusoが、この年に1er prixを獲得しているのが目を引く。ちなみに、彼はクラス初の外国人だったそうだ(イタリア出身でセルジュ・ビションとクロード・ドゥラングルのマスタークラスを受講し、留学を勧められ、リヨン音楽院→パリ音楽院と進んだ)。現在はハバネラ・サクソフォン四重奏団のテナー奏者。

Vincent Davidもこの年の卒業生。Fabrizio Mancusoと並んでアドルフサックス国際コンクール(ディナン)のトップ入賞者だが、1er prixを得ての卒業は、同年度だったのですね。ヴァンサン・ダヴィッド氏、現在のフランス・サクソフォン界のなかでは最強のヴィルトゥオーゾであるようだ。その実力のほどを知るには、このベリオやブーレーズの作品が入ったCDを参照していただければ良いだろう。今度の来日時には、ぜひ聴きに行きたいな。Quatuor Arcanesソプラノ奏者。Versailles音楽院サクソフォン科講師。

Damien Royannaisは、「The Russian Saxophone(BIS-765)」でドゥラングル教授と共演していたことを思い出す。ソフィア・グヴァイドゥーリナの、「バリトン・サクソフォンのためのデュオ・ソナタ」という作品だ。ドゥラングルほどの名手が共演の相手に選ぶ人物とは、いったいどんな方なのだろうと思っていたが、まさか教え子だったとはね。現在は、Limoges音楽院サクソフォン科講師。José Vizhinoに関しては、どなたか情報お持ちでしたら教えてください。

[1997]
新作課題曲:
なし
1er prix:
Sascha Armbruster, Masataka Hirano, Guillaume Pernes

平野公崇さんだ!ドゥラングル教授のクラス初の日本人にして、国際コンクールで初めて優勝した日本人サクソフォニスト。バッハから即興までも駆け巡る活躍は、周知の通り。東京藝術大学、洗足学園音楽大学、エリザベト音楽院講師。卒業試験の様子はこちらから。

サッシャー・アームブリュスター Sascha ArmbrusterはArte Quartettのアルト奏者として、ギヨーム・ペルヌ Guillaume Pernesは、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のバリトン奏者として、それぞれ活躍中。詳しくは、やはり平野さんのエッセイにお任せしてしまいましょう。こちら(サッシャー)こちら(ギヨーム)です。

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