2006/10/15

ピアソラのライヴDVD

モントリオール国際ジャズフェスティバル1984のピアソラ出演のDVDを借りて観た。うーん、いいですね、これ。

なかなかタンゴの演奏を映像で楽しむ機会、というのもないものだと思う。しかもそれがピアソラの自演で、モントルー・ジャズのライヴ映像とは…これ以上贅沢なシチュエーションは望めないかもしれない。

演奏はピアソラ五重奏団。バンドネオンのアストル・ピアソラを核とし、パブロ・シーグレル、フィルナンド・スレアス・パスを従えた最強のメンバ、とのこと。タンゴの演奏者については実は全く詳しくないのだが、演奏を聴けばどれだけ物凄い奏者たちなのか、ということが自分のようなタンゴ・シロートにさえよく分かる。

曲目も、「天使の死」「天使の復活」「AAの悲劇」「アディオス・ノニーノ」「チン=チン」「ブエノスアイレスの秋」と、有名どころをきっちり押さえてあるのが嬉しい。

一曲目の「ルンファンド」から一気に引き込まれる演奏。屋外の、しかも眼の前に何百人もの観客がいる前での演奏…独特の雰囲気が創り出され、会場全体が空気を共有しているであろうことが読み取れる。うーん、リアルタイムで観たかった!←無理。

「AAの悲劇」の序奏として繰り広げられる、ピアソラの長大な即興バンドネオン・ソロ…ピアソラは作曲家としてだけでなく、卓越したバンドネオン奏者としても知られていたが、その才能を裏付けるすばらしいモノローグだ。独奏による激烈なフレーズを通り越した後の、慰めのフレーズ…続くピアノとの丁々発止、ピアソラはテンションを保ち続けたまま曲は一気にテーマへとなだれ込んでゆく。これでもかと、しつこいほどに長く続く曲は、なんと15分近くに及ぶ。そして最後の圧倒的なプレスト!…あいた口が塞がらない演奏っていうのは、こういうことなんだろうな。

「AAの悲劇」と、続く人気作「アディオス・ノニーノ」、ここまででもかなりキレているが、最後の「チン=チン」はもう、壮絶としか言いようがない。ピアソラの曲の中でも特に好きな曲だけれど、セッション・レコーディングにはないグルーヴ感が全体を支配した超特急の名演…タンゴの神様に加え、クラシックとジャズとコンテンポラリーの神様が降臨(笑)。シーグレルのソロ、ピアソラのソロ…ジャンルの壁を完全に突き抜けて、しかしこれこそピアソラのタンゴ、というすばらしい演奏、ブラボー!!

DVDは残念なことにもう廃盤なのだろうか。しかしライヴCDがVictorから安く(1800円ほど)出ているので、聴いたことがない向きにはぜひオススメいたします。

しかしピアソラ、バンドネオンを弾いているときの壮絶な顔と、聴衆の拍手に応えてニコニコしているときの顔が、あまりに違いすぎて面白いな。

…あれれ、気付けば最近サックスの話題がゴブサタのようだ。ネタはたくさんあるので、次はサックスのこと書きます(笑)。

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