2006/10/25

マルタン「バラード」

フランク・マルタンの「バラード」。サックスの世界では有名曲らしいが、ずいぶん最近まで知らなかった。とにかく地味で、印象に残らない…。

須川展也氏のアルバム「Exhibition of Saxophone(EMI)」にはデニゾフやリュエフと並んで、この「バラード」が収録されていた。トルヴェールや須川さんのアルバムについてくる緒方英子氏の解説は、とてもウイットに富んだ文体で、毎回興味をもって読んでいたため、この曲についても・ラッシャーに献呈されたこと・フラジオが駆使されていること、というのを解説を読んですぐ知った。

それから、改めて何回か聴く機会があったが、結局印象には残っていなかったのだ。15分近くと長い上に、大半がレチタティーヴォ、という感じ。メロディもつかみ所がなく、どうもニガテ「だった」。

しかし最近買った、NAXOSのCDに入っていた「バラード」をたまたま聴いたところ、ぶっとんだ。渋い!そして最後がかっこよすぎる!

自分の聴き方が変わってきたせいもあるだろうなあ(年か?)。以前は感化されない部分に感動したり、びっくりしたり…もちろん逆もあるけど。

「バラード」、ひたすらに地を這い続ける…ずっと、ずっと。テンポが速くなって、クールに決める場所もあるけれど、背後にあるのはどんよりとした暗い風景。呪術的、とはちょっと違う、現代の都会を想像させるような、「不安」か。マルタンが未来を予見しながら作ったような、とは推し量りすぎか。

そして最後のフラジオの連発!記譜で、so si do mi so~。これぞダンディズムだなあ。すごいや。最後のsoは、奏者にとっては相当ギャンブルらしい…。

こういう集中力のカタマリみたいな曲は、ライヴでも聴いてみたい。機会がないかな…。

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