2006/10/31

新しいコンポ

新しいコンポが届いた。これ(→http://www2.jp.onkyo.com/product/products.nsf/view/F95CF48EFA4F0207492571560028F3C9?OpenDocument)。ONKYOのX-N7X(D)という、フラグシップ・モデルの廉価版。今までが、シャープの「MDCDコンパクトデッキ」という感じのモノだったので、けっこうな進歩かも…。

いくつか持っているCDを聴きなおしてみた。中音域が豊かだなー、というイメージ。あと、弱音での再生なんかは、やっぱりきちんとした音響メーカーらしく、以前の製品とは比べ物にならない。しょせん自分の耳では、ある程度以上のクオリティは聴き分けがつかない、というのも自覚しているが…。

高い買い物だったので、長く使えるといいなあ。ネット上の口コミに流されて、1000円くらいのスピーカーケーブル買ってみようと画策中。

(まったく関係ないが、)そういえば今日からアドルフ・サックス国際コンクール!速報がインターネット上に公開されている場合は、随時このページでも二次情報を書いていきたいと思う。

国際コンクールの情報をいくつか

えー、早速アドルフ・サックス国際コンクールの速報(?)を。

まず公式ページ(→http://www.adolphesax.com/Dinant2006/)。Adolphesax.comのサーバで運営されているようだ。

今年は、Liveという試みも始まるようで…なんとコンクールの様子のネット中継!「You will have 12 full days of live broadcast.」とのことで、ずいぶん鼻息の荒い企画だ。期待してみよう。

それから、公式タイムテーブルがMicrosoft Excelブックの形式でアップされている(こちら→http://www.adolphesax.com/Dinant2006/docs/horarios.xls)。出演者、選択曲などが一目瞭然。前回2位だったジュリアン・プティ、3位だったアントニオ・フェリペ=ベランジェ両氏、しっかりと出場している。

一次予選開始は本日10/31、現地時間で13:30(日本時間21:30)。

アマチュアサックス吹きにはマイナーなコンクールだけれど、ここに書くことで遠く日本から少しでも盛り立てて、応援していければ…そんなささやかな?気持ちから、今年は本選終了までしつこく経過を追ってみようと思う。

コンクールのライヴ中継

アドルフ・サックス国際コンクールのLive観てます。

配信ビットレートは128kbps未満だが、現地の回線がずいぶんと細いのか、3分に1回落ちる。音質も画質もそんなによろしくない。まあ、こんなもんだろう。

とりあえず一番最初の2人だけ観てみたが(現在22時過ぎ)、第一印象は「課題曲、難しい!」ということ。200人以上いるような参加者の中から、20人前後に絞るんだからしょうがないか。

一次予選の課題曲であるカペレッティの「Ge(r)ms」は、その名の通り粒ぞろいの宝石のような6つ(?)の楽章からなる組曲。各楽章はそれぞれ様々な種類のテクニックを要求し、楽章ごとの演奏順番は自由のようだ。まさに宝石のように、それぞれの楽章が多彩な輝き(響き)を持っている、といった感じ。

その要求されるテクニックが、またものすごくて。アルティシモ音域で分散和音のスタッカートとか、重音(声を出しながら吹いて、ハモらせる)とか、音色の美しさがもろに露呈するバラードとか…。

素人目に見ても、「こっちの人よりこっちの人が上手い!」ってすぐ判る。改めて思うが、コンクールの世界、プロの世界って本当に厳しい。

2006/10/30

弦楽四重奏のこと少し

モルゴーア・クァルテット(弦楽四重奏団)の来年1月の定期演奏会、行ってみようかなあ。「Destruction」聴いて俄然興味が沸いていたし、場所も近い(東京文化会館)し、プログラム面白そうだし…。

1stヴァイオリンが、荒井さん、ということも興味がある。須川さんの協奏曲コンサートで、素晴らしいコンマスぶりを見たばっかりというのもポイント高し。

弦楽四重奏って、クラシックの世界では、意外なほどにマイナーな分野とのこと。クラシック・サックスの世界にばかり触れてきた自分としては、驚き。クラシックサックスというと、ピアノとのデュオ、オーケストラで協奏曲、そして何より四重奏!だからなあ。4人の吹き手が集まれば、サックスの世界では自然と四重奏を奏で始める。同じように、弦の世界でも4人の名手が集まれば、四重奏を始めるのが当然だと思うけどなあ。弦楽はあつまれば弦楽合奏ばかり。弦楽四重奏はなんでマイナーなのだろうか。

むしろ何で、サックスが四重奏ばかりをやりたがるのかと言えば、やっぱりサックスの内向的な特徴が、ポピュラリティの原因なのか。ちょっと皮肉っぽいながら面白い。音はとっても外向的なのに、みんな集まれば内向的。クラシックの世界にお仲間がいないのは今更ながら寂しいこと。

2006/10/28

のだめカンタービレ・ドラマ

「のだめカンタービレ」ドラマ版、二話まとめて観た。おもしろい!まんがのファンだけれど、ドラマ版もキャラ作りとかギャグとか物凄く良くできてるし、演奏シーンも良い。ドラマ版はドラマ版で、味があっていいなあ。満足々々。

とりあえずウケたのは、一番最初に出てくるヴィエラ先生。チェコフィルのズデニェク・マーカルじゃん(笑)。ああ、だからプラハなのか(?)。

メインのロケ地は、洗足学園音楽大学の溝ノ口キャンパス。何回か行ったことがあるので、すぐにわかった。あの風水の巨大球体の上で上野樹里(のだめ)がぐだーっ、となっているシーンもどこか可笑しい。

えー、原作が好きで、いまいちドラマを観る気になれない皆様。出来が悪いとか、そんな心配は無用。ドラマ、これはこれでとってもオススメ。ぜひ。

(とある)楽譜入手!

一般に流通していない楽譜をなんとか手に入れたいときに、メールを使って直接コンタクトを取ることは今までに何度かあった。編曲者の方、作曲者の方…「マウンテン・ロード」や「芸術劇場オープニングテーマ」の楽譜はその最たる例。いずれも、作曲したご本人に直接コンタクトをとったものだ。

しかし今回は違った。とあるピアノ四重奏の楽譜を探していたのだが、出版されていない。おまけに、編曲者の方へのメール連絡先がどうしても見つからない…数週間悩んだ挙句、「手紙」使いました。まさかこんな時代に手紙を使うことになるとは…(笑)。大変有難いことに返事を頂戴し、数日後に楽譜は到着する予定。

いやあー、実演聴いても録音聴いても良い曲なのだ。最終楽章の疾走なんて、本当に感動的で楽しそう。早く音出してみたい。

所属していた楽団の、アンサンブルコンサート2007でお披露目予定。メンバーもなんとか集まりそうで、一安心だ。「誰の何ていう曲か」など詳細はまた後日書きます。

2006/10/27

お別れ

三年半慣れ親しんだシャープのMD&CDシステムとお別れ。毎日のようにCDをセットしては聴いていたなあ…。

さて。部屋には今、マトモに音楽を聴けるものがない。あるのはせいぜい、ノートPCに搭載された超小型スピーカーくらい(音質は、悪いなんてもんではない)…。

もちろん新しいものを買おうかと思うのだが、どれにしようかな…。3~4万円台の音がいいやつというと、やはりONKYOとかDENONのコンポかな。WEBやカタログを見ながら選ぶのは楽しいものだ。実は、選んでいるときがいちばん楽しかったりする…という話もある。

2006/10/25

マルタン「バラード」

フランク・マルタンの「バラード」。サックスの世界では有名曲らしいが、ずいぶん最近まで知らなかった。とにかく地味で、印象に残らない…。

須川展也氏のアルバム「Exhibition of Saxophone(EMI)」にはデニゾフやリュエフと並んで、この「バラード」が収録されていた。トルヴェールや須川さんのアルバムについてくる緒方英子氏の解説は、とてもウイットに富んだ文体で、毎回興味をもって読んでいたため、この曲についても・ラッシャーに献呈されたこと・フラジオが駆使されていること、というのを解説を読んですぐ知った。

それから、改めて何回か聴く機会があったが、結局印象には残っていなかったのだ。15分近くと長い上に、大半がレチタティーヴォ、という感じ。メロディもつかみ所がなく、どうもニガテ「だった」。

しかし最近買った、NAXOSのCDに入っていた「バラード」をたまたま聴いたところ、ぶっとんだ。渋い!そして最後がかっこよすぎる!

自分の聴き方が変わってきたせいもあるだろうなあ(年か?)。以前は感化されない部分に感動したり、びっくりしたり…もちろん逆もあるけど。

「バラード」、ひたすらに地を這い続ける…ずっと、ずっと。テンポが速くなって、クールに決める場所もあるけれど、背後にあるのはどんよりとした暗い風景。呪術的、とはちょっと違う、現代の都会を想像させるような、「不安」か。マルタンが未来を予見しながら作ったような、とは推し量りすぎか。

そして最後のフラジオの連発!記譜で、so si do mi so~。これぞダンディズムだなあ。すごいや。最後のsoは、奏者にとっては相当ギャンブルらしい…。

こういう集中力のカタマリみたいな曲は、ライヴでも聴いてみたい。機会がないかな…。

2006/10/23

プログレッシブ・ロック

プログレッシブ・ロックについて、いくつか調べ物をしてみた。定義、歴史、代表的なバンド、アルバム、評価…。

つい最近、モルゴーア弦楽四重奏団の「Destruction(EMI TOCE-9650)」を聴く機会がありまして。収録曲がいわゆるプログレッシブ・ロックの代表的な作品群、またはそこから影響を受けたものだったので、これは原曲も聴いてみないとね、とあわててWikipediaなどを利用していろいろ調べてみたのだ。

「Destruction」、既に廃盤となって久しいが、一発目の「アトム・ハーツ・クラブ・クヮルテット」からエンジン全開で楽しい&カッコイイ。サックス四重奏版とはまた違ったクールさがあるな。東フィルの荒井さん始め、モルゴーアの方々はロック大好きなんだろうなあ(笑)。一回聴きとおして、速攻でお気に入りの一枚となった。

さて、プログレッシブ・ロック。歴史を浅くかじった上で、とりあえず、キング・クリムゾン「キング・クリムゾンの殿堂」、イエス「こわれもの」「危機」、エマーソン・レイク&パーマー(ELP)「タルカス」、ピンク・フロイド「原子心母(アトム・ハート・マザー)」をざっくりと聞き流す。ふむふむ。これが1970年代のイギリス文化…。

実は私、ALWAYS大音量とか、単調なリズムとか、AメロBメロサビみたいな単純構造、というやつがニガテでして。普通の、ロックやメタルとか、巷にあふれるJ-POP(日本の歌謡曲というやつ)がどうも好きになれないのは、そのへんに理由があるのだけれど。

プログレッシブ・ロックは面白いなー。曲中にしっかりとした起伏があるし、全体の構成が面白いし、なんかずいぶん変拍子だし(笑)。インストゥルメンタルの使い方も、サックス吹きとしてはツボかな。いや、サックスが入っていると言うわけではないのだが、弦楽器や管楽器、果ては合唱の生音までもが、効果的にサンプリングされて挿入されている。

ここからはこじつけた考えだが:今回聞き流したのは、ほとんどがイギリスのバンドのもの。プログレッシブ・ロックを支配する、独特のグルーヴ感やメロディ、リズムといったものは、イギリスから生まれたネオ・クラシックの楽曲と共通するものがあるかなあ。

イギリスで活躍中の作曲家は、皆幼いころにこういった音楽に触れて育ってきた人たちばかり。彼らの楽曲センスの形成の一要因として、プログレッシブ・ロックがエッセンスとして入っていることは、ほぼ間違いないのかもしれない。

すると、イギリスのネオ・クラシカルに惹かれる私が、その源流であるプログレを聴いて「いいなあ」と思うのも当然なわけか。実際どうなのかは定かではないが…?

2006/10/21

CDレビューコーナー

もうお気づきの方もいるかもしれないが、数日前に新コーナーが増えた(笑)。トップからたどれます。と言っても大したものではなく、クラシック・サクソフォンのCDを10枚程度レビューしてある、というだけのもの。

すでに大変な有名なCDだが、自分なりの言葉で感想を書いてみたつもり(つまり、独断と偏見)。このCDレビューコーナーは、厳選オススメというコンセプトのもと、せいぜい20枚前後までの拡張にする予定。

うーん、今度はどんなコーナーを作ろうかなあ。その前に、「イギリスのサクソフォン」コーナーも整備しないとなあ。…実は最も可及的TO DOは、サイトのデザインを作る!ということだったりするのだが。

2006/10/20

ソプラノ・サックスアルバム

ここ最近クラシック・サクソフォンのCDは国内版、海外版問わず増えてきた、とも言えるだろうけれど、アルバム全編がソプラノサックスで演奏されたCDはほとんどあるまい。ソプラノサックスのために書かれた素敵な作品は数も多いのだから、アルトで演奏されたプログラムの合間に入れるだけじゃなくて、全部ソプラノ!というアルバムがあっても良いと思っていたのだけれど。

アンディシュ・パウルソンのCDは有名ではないだろうか?珍しいSACDのアルバムだということで、この業界ではちょっぴり有名なのかもしれない。ただ、トドメを刺すかと言えば、ちょっと「?」。演奏内容とプログラム、どちらもさらなる充実の可能性を残しているだけに、ちょっと残念だった。

などと思っていたら、昨年遂に?待望のオール・ソプラノサックス・アルバムがリリースされた。過去の記事にも書いた、ケネス・チェ氏のCDで、「Lyric Soprano(Crystal Records CD658)」というアルバム。ソプラノオンリーなのは、タイトルどおりだ(笑)。

ケネス・チェ氏は香港出身、インディアナ大学に留学してルソーの下で学び、現在はアイオワ大学のサクソフォーン科教授を務めている。「Sonate(RIAX RICA-2002)」の一部の楽曲でも聴かせてくれたソプラノの音色はそのままに、今回はさらに充実したテクニックが冴える。録音もRIAXのものとは比べ物にならないほど良い。

フォーレ「3つのロマンス」やピアソラ「タンゴの歴史」は、編曲物として幅広く愛奏されて久しいが、あらためて今回の録音には魅力が満載。どんな高音までも良く伸びる音色と、安定したフレーズ感。音域を移行しても、ひたすらにニュートラルな音色。ソプラノ吹いている人に一度は聴いてほしい。

オリジナルもベダール「ファンタジー」やウォーレイ「6つのダンス」には惹かれる。しかしジェローム・ノレの15分に及ぶ大曲「サックス・ドゥ・ヴォヤージュ」は、テクニックに終始せず、ノリや小細工のようなエンターテイメント性をも前面に押し出した演奏!15分を録音で聴かせられる奏者、クラシック・サックスの世界でも稀なんだろうなあ。もちろん、曲自体の楽しさもあるとは思うが。

私自身はと言えば、ソプラノサックスはほとんど吹けないのだが、たまに吹くとコントロールの難しさにほとほと閉口するのが常。チェ氏の演奏を聴くと、まるで同じ楽器を吹いているとは思えない(笑)。

チェ氏の公式ページ(→http://www.kenneth-tse.com/)で買えます。ソプラノ吹きな皆様、ぜひどうぞ。

2006/10/19

イトゥラルデのオリジナル

サックスの世界でペドロ・イトゥラルデ Pedro Iturraldeは「小さなチャルダッシュ」「ギリシャ組曲」「メモリアル」等の作曲家として大変良く知られているが、本業はジャズ・サクソフォニストだそうなのだ。つい先日「ギリシャ組曲」の本人の演奏によるジャズ・カルテットバージョンを聴くことができた。

「ギリシャ組曲」は、実際何回か自分たちの演奏として取り上げたこともあるし、他の団体が演奏するのを聴いたことだってあるけれど、実際は…こ、こんな曲だったのか。けっこう衝撃的。

特にサクソフォーン四重奏版やソプラノ・サクソフォンソロ版の楽譜は、今でこそずいぶんとポピュラーになったけれど、原曲を聴いてしまうとずいぶんとインパクトの差があるものだ。

イトゥラルデ始め、ピアニスト、ベーシストが順々に長大なソロをとってゆくFUNKY~VALSEたるや、圧巻の一言。15分近い演奏のうち、13分以上がこの中間楽章に集約されており、曲のコアはまさにこの即興部分なのだ。

サクソフォーン四重奏版など、トランスクリプションはずいぶんと効果を上げているほうだ、と思っていたけれど…やはりというかなんというか、ジャズ→クラシックというジャンルの壁はなかなか超えづらいものだ、ということなのだろうか。

小物セッティング

マウスピースとかリガチュアというものは、自分の口腔内の構造とか、どうしても奏法では克服できない部分を吸収するためのものだ、という言葉を聞いたことがある。

実際そうは思っているし、それほど自由に使えるお金があるわけでもないし…ということで、一度そこそこ気に入ったマウスピースを見つけてしまえば、あとは特にコダワリもなく使い続けている。CDと違って、特に集めるような趣味もない。

アルトはヴァンドレンのV17、テナーはセルマーのC*。リードはいずれも3。時々、このセッティングが一般的なものかどうかが気になることがある。実は一般に比べて、相当「軽い」セッティングで吹いているのではないか!?とか、実はありえない組み合わせなのではないか!?と…。

たまに、周りの人に自分の楽器を吹いてもらうと、「楽に吹ける」という感想が帰ってくるのが常。ええっ!そうなの?と他の人の楽器を吹いてみると、確かになんだか自分のセッティングよりも「重い」ような気がする。

「マウスピースとリガチュアというものは云々…」ということは、頭では良く分かっているのだけれど、一流奏者が他のセッティングで美しい音色とコントロールを魅せているのを見かけると、どうしても気になってはしまうのが常でして。

セッティングって、自分で合ったのを見つけたほうがいいのか?それとも、好きな音のセッティングを真似して、それに馴らしていくのがいいのか?普通の人はどっちなんだろう。

2006/10/16

今年のフェスティバル

今年のサクソフォーンフェスティバルは、驚いたことに2日にわたる開催だそうで。詳細はこちら(→http://homepage2.nifty.com/jsajsa/festival2006/festival2006.htm)。でもさすがに、2日間連続して多摩まで出かけるのはツライので、どちらか、ということになりそうですが。

ここ数年平日開催&パルテノン多摩開催のため、頑張って講義を自主休講して観にいく…という状態が続いていたが、今年は余裕を持って聴きにいけそうだ。12/23&24日か。そのまま実家に帰ってしまうのもアリかな。

一日目の催しには、なんとアマチュアの奏者が自由に出場エントリーできるらしい!四重奏で出るか…とも考えたけれど、どうもメンバーの都合がつかないようで、残念。そのほか、おなじみとなった洗足教授陣によるラージアンサンブル「サクツェルツェット」や、小串俊寿のハッピーサックスなんかが聴けるとか。なんだか、今までになかったパターンですな。

二日目は、いたって毎年恒例のフェスティバル、という感じ。音大生のアンサンブル、会員による演奏、フェスティバルコンサート、フェスティバルオーケストラ…。特に最近のフェスティバルコンサートは注目すべき内容が多いが、今年もまた興味深い。「室内オーケストラとサクソフォンの共演」だということ。

アンドレ・カプレ「伝説」、マリウス・コンスタン「ムジク・ドゥ・コンセール」、このあたりまでは良く耳にすることもあるが、続いてフランコ・ドナトーニ「ホット」、ダイアナ・ロタル「シャクティ」、ミヨー「世界の創造」…す、すごい。

ドナトーニ、ロタルは、「あの」ダニエル・ケンジー氏が初演したという曲じゃないか!それをフェスティバルでやっちゃうとはね…しかもソリストは林田氏、平野氏とのことで、これはどんな演奏が聴けるのか注目だろう。オーケストラは板倉康明指揮東京シンフォニエッタ。昨年「シャクティ」が東京文化会館で初演されたときのバックも、このオーケストラ&指揮者のコンビだったはず。

ミヨーは、フランス国立放送フィルがデファイエを迎えた録音が好きで良く聴くが、今回は美音の持ち主、小串氏による独奏。いったいどんな音がホールに響き渡るのだろう?

しかしよく考えたら、カプレやコンスタンというのも、一癖ある選曲だ…一体全体だれの発案なのか。やっぱり○田さんの趣味かなぁ(笑)。ぜひ来年は「オーケストラと四重奏」頼みます、なんて。

というわけで、今年はサックス興味として、二日目(12/24)優先で聴きに行こうかと思います。一日目も捨てがたいが…!多摩の遠さは仕方がないからな。しょんぼり。

2006/10/15

ピアソラのライヴDVD

モントリオール国際ジャズフェスティバル1984のピアソラ出演のDVDを借りて観た。うーん、いいですね、これ。

なかなかタンゴの演奏を映像で楽しむ機会、というのもないものだと思う。しかもそれがピアソラの自演で、モントルー・ジャズのライヴ映像とは…これ以上贅沢なシチュエーションは望めないかもしれない。

演奏はピアソラ五重奏団。バンドネオンのアストル・ピアソラを核とし、パブロ・シーグレル、フィルナンド・スレアス・パスを従えた最強のメンバ、とのこと。タンゴの演奏者については実は全く詳しくないのだが、演奏を聴けばどれだけ物凄い奏者たちなのか、ということが自分のようなタンゴ・シロートにさえよく分かる。

曲目も、「天使の死」「天使の復活」「AAの悲劇」「アディオス・ノニーノ」「チン=チン」「ブエノスアイレスの秋」と、有名どころをきっちり押さえてあるのが嬉しい。

一曲目の「ルンファンド」から一気に引き込まれる演奏。屋外の、しかも眼の前に何百人もの観客がいる前での演奏…独特の雰囲気が創り出され、会場全体が空気を共有しているであろうことが読み取れる。うーん、リアルタイムで観たかった!←無理。

「AAの悲劇」の序奏として繰り広げられる、ピアソラの長大な即興バンドネオン・ソロ…ピアソラは作曲家としてだけでなく、卓越したバンドネオン奏者としても知られていたが、その才能を裏付けるすばらしいモノローグだ。独奏による激烈なフレーズを通り越した後の、慰めのフレーズ…続くピアノとの丁々発止、ピアソラはテンションを保ち続けたまま曲は一気にテーマへとなだれ込んでゆく。これでもかと、しつこいほどに長く続く曲は、なんと15分近くに及ぶ。そして最後の圧倒的なプレスト!…あいた口が塞がらない演奏っていうのは、こういうことなんだろうな。

「AAの悲劇」と、続く人気作「アディオス・ノニーノ」、ここまででもかなりキレているが、最後の「チン=チン」はもう、壮絶としか言いようがない。ピアソラの曲の中でも特に好きな曲だけれど、セッション・レコーディングにはないグルーヴ感が全体を支配した超特急の名演…タンゴの神様に加え、クラシックとジャズとコンテンポラリーの神様が降臨(笑)。シーグレルのソロ、ピアソラのソロ…ジャンルの壁を完全に突き抜けて、しかしこれこそピアソラのタンゴ、というすばらしい演奏、ブラボー!!

DVDは残念なことにもう廃盤なのだろうか。しかしライヴCDがVictorから安く(1800円ほど)出ているので、聴いたことがない向きにはぜひオススメいたします。

しかしピアソラ、バンドネオンを弾いているときの壮絶な顔と、聴衆の拍手に応えてニコニコしているときの顔が、あまりに違いすぎて面白いな。

…あれれ、気付けば最近サックスの話題がゴブサタのようだ。ネタはたくさんあるので、次はサックスのこと書きます(笑)。

2006/10/14

チェ氏のCD三枚

なめら~かSEの定期演奏会には行けなかった(泣)。残念。次回こそ必ず!きちんと予定を空けておこう。

一昨日、ケネス・チェ氏のCDが届いた。「Sparkling Sax(Crystal Records CD656)」、「In Memories(Enharmonic ENCD00-014)」、「Lyric Soprano(Crystal Records CD658)」の三枚。一枚あたり15ドルだから、CDとしては破格。

とりあえず三枚全部を聴き通してみたけれど、いやあ、いいですね。とにかく美しい音色!安定したテクニック!本当に凄い奏者だということが良く分かる録音だ。しかしまあ、ここに記録された音というのも、彼の才能のごく一部なんだろうな。一度生で聴いてみたい。

余裕があったら、一枚一枚詳しくレビュー(?)します。

個人的にはジョセフ・カントルーブ「オーヴェルニュの歌」のサックス+ピアノ版が聴けるのが嬉しかったりする。

2006/10/13

ノバホールの注目コンサート

先週末、つくば市ノバホールへ都市吹を聴きに行った折りに、たまたま見つけた破格のコンサートがこれ。

茂木氏を中心にN響メンバーにより構成された木管五重奏団で、イベールや山下洋輔が聴けて2000円!ということで思わず衝動買いしてしまった。ノバホールは自転車でもいけるほどの距離なので、東京へ行くのと違って交通費もかからない(喜)。

実は恥ずかしいことに、自分はN響すら生でマトモに聴いたことがないので…どんな演奏が繰り広げられるのか楽しみ。そもそもサックス関連以外の、プロの音楽家によるコンサートに出かけるのだって久しぶりだしね。

「山下洋輔組曲」なるタイトルの曲は興味深いなあ。共演や楽曲の提供など、ジャズピアニスト山下氏と茂木氏の親交はけっこう深いらしい。山下氏の作による、無伴奏オーボエのための「レディ・ラビットへの手紙」は茂木さんのCDで聴いたが、ジャズの人が書いたとは思えない高密度・高難易度の曲だったと記憶する。

チケットはまだそこそこ余っているようなので、日本を代表する管楽器奏者たちによる豪華な共演に、興味のある方はぜひ。そういえばこの次の日(11/4)はハバネラ・サクソフォーン四重奏団&筑波大学吹奏楽団の定期演奏会だ。ああ豪華。

・第22回つくば国際音楽祭~茂木大輔スーパークインテット
茂木大輔(ob.)、神田寛明(fl.)、磯部周平(cl.)、丸山勉(hrn.)、水谷上総(fg.)
2006/11/3(金・祝日)14:00開演
全席指定 前売り2000円
イベール「木管五重奏のための3つの小品」、ハイドン「ディヴェルティメント変ロ長調」、茂木大輔「父の掌」、カルク=エラート「ソナタ・アッパショナータ嬰ヘ短調」、山下洋輔「山下洋輔組曲」より他
お問い合わせ:029-852-5512(つくば国際音楽祭事務局)

2006/10/12

シュミット「クラリネット六重奏曲」

めずらしく、クラリネットの曲の話題。

フローラン・シュミット Florent Schmitt(1870 - 1958)と言えば、近代フランス音楽界の重鎮の一人。ネオ・ロマンティックを核とした伝統的な書法に傾倒しつつ、オリジナリティ溢れる作品を多数生み出した作曲家。サクソフォーン好き&カルテット好きな人にとっては、何と言っても「サクソフォーン四重奏曲作品102」が有名だが、室内楽にはそのほかにもたくさんの名曲を残しているのですね。

彼がクラリネット六重奏の分野に珠玉の名品を残していることをご存知だろうか。ものすごくマイナーな作品なので、知っている人はほとんどいないのかもしれない。というより、そもそもクラリネット六重奏の分野自体がマイナーなのか?クラリネットのアンサンブルというと、どうも四重奏や八重奏ばかりで、Es, Bb, Bb, Alto, Bass, Contraltoの六重奏編成ってあまり聞いたことがないな。

そんな分野ではあるけれど、シュミットの「クラリネット六重奏曲作品128(Sextuor pour clarinettes, op.128)」は、自分自身が今まで聴いたことのあるクラリネット・アンサンブルの曲の中では、疑いなく最高の傑作の一つだと思っている。フランス音楽界の重鎮の作品にふさわしい風格と密度…しかしだからといって、取り付く島の無い、単に巨匠を気取った作品ではなく、とてもクールでカッコいい作品なのだから面白い。

初めて聴いたのは、高校2年のときの吹奏楽連盟アンサンブルコンテスト。しかも他校が云々…といった話ではなく、自分の高校のクラリネットチームが第1楽章と第4楽章を練習していた(笑)。なーーんか、難しそうな曲だなあと思っていたが、楽譜を見せてもらったところ、本当に難しい譜面だった。

「サクソフォーン四重奏曲」を思わせる超高密度の黒々とした楽譜、複雑なリズム、和声、そして何より、技巧を感じさせないフランス風のエレガントさ…。部活内のお披露目会で初めて音を聴くことができたが、エレガントなだけじゃなくて、実は全編に渡ってモダンジャズの影響を受けている(このあたり、「サクソフォーン四重奏曲」と似ている)部分が随所に聴かれて、カッコいい曲だなあと思った記憶がある。

当時の先輩から、クラリネットチームが参考にしていたと言う音源(演奏者不明)をMDでもらえて、今でも大切に持っている。けっこう上手い。今でも時々聴くけれど、うーんやはりカッコいい。クラシックの曲じゃなくて、ジャズ枠の曲として聴いてしまうほど(第4楽章途中のバスクラ…!)。

いくら文で書いたところで、実際の曲がどんななのかはCDなどで聴いていただくしかないのだけれど、そのCDがほとんどない!のだ。ジャンルもマイナーなら曲もマイナーということで、レコーディングしている団体はごく僅か。「Sextuor de clarinettes francais」という、シュミット以外にジャン=ジャック・ヴェルナー(?)とジャン=ルイ・プティ(?)の六重奏曲を集めたCDが一番入手しやすいか…?

生でも聴いてみたいな。クラリネットやっている向きには、ぜひ取り組んでいただきたい。というか、誰か演奏してくれー。音源は手に入りづらいので、言ってくれれば持っているMDをお聴かせしますよ(誰に対して言ってるんだ)。

2006/10/10

学園祭終了

心配していた雨も上がり、学園祭期間中は秋晴れ。自分が乗っているHigh-Jinks Wind Orchestraの本番は無事?終えることができた。最後に向けてアンサンブルがどんどん乱れていったが(^^;楽しいステージだった。

パストリアス「ソウル・イントロ~ザ・チキン」に特別ゲストで乗っていただいた、プロのトランペットの先生の演奏は凄かった…なんか間近で見ると泣きそうなくらいだ。素人学生集団に、快く乗っていただいたM先生に、まずは感謝かな。しかもそれが手抜き無しの強烈なソロだったもんだから凄い。

某HRPCバンドでの、ガレスピー「チュニジアの夜」で先生がとったソロも凄かったなあ。…そういえば、HRPCはきちんと最初から最後まで聴いたのは初めてか?もしかして。楽しかったです。

High-Jinks WOの後にステージで演奏していた、Down Beat Hoppersも良かったなあ(というか、ほとんどセミプロだ、ありゃ)。

都市吹第20回定期演奏会

学園祭二日目の昼は、大学を抜け出して筑波研究学園都市吹奏楽団の第20回定期演奏会を観に行ってきた。まあいわゆる、つくば市の「市吹」と言ったところ。自分は所属していないけれど、先輩や知り合いが何人も乗っている。

客層は団員の家族…旦那さん、奥さん、こども、おじいちゃん、おばあちゃんが多かったかなあ。最終的には600人(目測)超えくらいか。それにしても、市吹でこれだけきちんとお客が入るとは。家族だけでなく、地元にも根付いている証拠なのだろうな。

「吹奏楽のスタンダード・クラシック」をコンセプトに据えた、比較的落ち着いたプログラム。アッペルモント、リード、スパーク、バーンズ…これまた吹奏楽人ならば知らない人はいない!というくらいメジャーな作曲家たちだ(笑)。

リードの「アーデンの森のロザリンド」は初めて聴いたが、上手くまとまったコラール、感動的な魅せ方をする作品だった。お子様方には退屈のようだったが(^^;

スパーク「4つのノーフォーク舞曲」は、ナントカ地方の民謡を題材にした曲とのこと。民謡を題材に取った曲、というのは個人的に好きだな。…これについて書き始めると「吹奏楽のレパートリー」から「吹奏楽の存在意義」あたりまでを俯瞰しなければいけないので…ここでは詳細は省きます。

ゲストにチェリスト、ハーピストを加えたバーンズ「交響曲第三番」がメインプロ。知り合いの某氏はなんとアルトサックスからコントラアルトクラに持ち替え!(恐れ入ります笑)。

しかしこの曲、第3楽章の魅せ方は凄い。初めて聴いた人が泣いた、というのも判るなあ。チェロが奏でるフレーズは、本当に泣けます。第4楽章は典型的ソナタ形式で、主題を追いながら聴いていったけれど、構造が分かり易いぶん、飽きずに最後(主題同士の連結の見事なこと!)まで面白く聴けた。

…うーん、なんか「曲」のことばかり書いてるぞ。演奏のことも書かなきゃいけませんね。

恥ずかしながら、都市吹を聴いたのは今回が初めて。最初の一音が出てくるまで、どんなサウンドか内心ドキドキだったが、飛んできた音は「おおっ」という感じ。コンクールみたいな変な気合の入り方もしてないし、演奏が好きで、音楽が好きで吹いているのよ、って感じのリラックスしたサウンド。

聴いていた場所のせいもあると思うのだが、バランスも良好で、変に鳴り立てるところもない。そんなわけで、とても心地よく聴けた。始終普通のバランスで運ぶのかなと思いきや、クライマックスでは一丸となったサウンドが飛んでくるのも良いな。

そういえば、団員の方&プロの先生の二人が指揮を振ったのだが、やっぱり団員の方の指揮だと安全運転だったかなあ。プロの方の指揮はダイナミックだったが、曲の難しさもあって、けっこう奏者が落ちたりしてたのはちょっと残念だったかも。特にバーンズはソロも多いことだし(ソロのフレーズ感、って重要だと思った)。

しかしながら、個人的には、うん、満足々々。また聴きに行こう。

2006/10/05

チェ氏のラーション

週末は学園祭。雨が降らないといいなあ。

ラーシュ=エリク・ラーション「協奏曲」の入ったCDが到着。先日の記事でも触れたケネス・チェ氏独奏のライヴ盤。Arizona University Recording(→http://www.aurec.com/)から出版されている、サクソフォン録音のオムニバス企画の中の一枚「America's Millenium Tribute to Adolphe Sax, Volume IX」。

Arizona University Recordingのラインナップの中には、サクソフォンでジョン・ケージの「4分33秒」(!!)を演奏(??)してしまったCD、なんてのもあった。誰か買いません?その他、前回のアドルフ・サックス国際コンクール審査委員長だった、フランソワ・ダニール氏のアルバム「Kaleidosax」も興味深い。

さて、ラーション「協奏曲」はフラジオ連発の高難易度の曲のためか、なかなか今までにトドメをさす様な録音がなかった。そんなわけでけっこう期待して再生してみたのだが…むむむ。チェ氏の独奏はさすがなのだけれど、バックが学生のオーケストラのためか、弦が散漫に聴こえてしまうのが残念。ところどころ、「おっ」と思わせられるような気合は感じられるのだけれど、やはり弦は難しい、といったところか…。

もちろん、普通に楽しむ分には十分すぎると思うが。

そんなわけで今回も100%満足、というわけにはいかず、結局クリステル・ヨンソンの盤に戻ってくるのでありました。フラジオ音域を下げているにもかかわらず、独奏・オケともに良く練られた珠玉の録音です。…うーん、しかしやはり、第一楽章途中にでてくるあの雄大な超高音域フレーズなんかは、楽譜どおりの演奏を聴いてみたい。

ラーションをオーケストラと演奏し、決定的録音を残すことのできる奏者、果たして今後現れるのだろうか。そのあたりに関しては、雲井雅人氏やThunder氏が、委嘱者ジグルート・ラッシャーの話と絡めて興味深い考察を行っていたっけ。いやはや、同感です。