2006/08/13

バリトン専門プレイヤー

バリトンサックスで思い出した。

クラシックサックスの世界というと大抵の奏者がアルトを専門としているのが常なのだけれど、オランダのヘンク・ファン・トゥイラールトという奏者は、なんとバリトンサックスを専門にしているのですよ。公式ページ(→http://www.saxunlimited.com/)を覗いてみるとわかるが、彼の活動は多岐におよび、世界でもっともパワフルなバリトンサックス奏者の一人だと言っても良いのではないだろうか。

四重奏団でのバリトン担当ならまだ話はわかるが、ソロ演奏もバリトンのみ、しかも弦楽器や声楽、ダンスとのコラボレーション、バリトンサックスのための新作委嘱、CDもバリトンのみ合計8枚!、カルテット参加も6枚!…とまあ、そのバリトンサックスへの偏愛っぷりは見ていて嬉しくなってしまうほど。

あいにく生の音を聴いたことはないものの、多岐にわたるジャンルの曲をレコーディングしているため、CDでその実力を確認することができる。…で、そのCDがものすごいのだ!本当に。

特にピアソラを取り上げた「Tango(Movieplay Classics)」は、巷に溢れているサックスによるのピアソラ演奏のなかで、ベストと言えるだろう。オーレリア四重奏団や、須川さんもピアスラ・トリビュートのアルバムを作成しているが、技術・テンション・選曲・アレンジ等々どれをとっても文句のつけようがないのが、このアルバムだ。

ソロヴァイオリン+バリトンサックス×弦楽五重奏団という編成の中で、バリトンサックスはめまぐるしく役割を変えながらエキサイティングなアンサンブルを繰り広げ、最初から最後まで一貫した完成度の高い演奏を聴かせてくれる。クラシックのバリトンサックスでベスト・アルバムを選べといったら、栃尾氏のアルバム「アルペジョーネ・ソナタ(Meister Music)」と並んで、これを選ぶだろう!バリトン奏者垂涎の的であることに間違いはない。

…が、トゥイラールト氏のアルバムは日本ではほとんど流通していないのですね。入手は至難。かく言う自分も件の「Tango」と、その他「Classical Tour」「Confesso」はかろうじて持っているものの、ヴィラ=ロボスやデューク・エリントンへのトリビュート・アルバム、バッハの無伴奏チェロ組曲を全曲演奏したアルバムなどなど…は未だ探索中。

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