2006/03/31

サックスを含む室内楽

意外と荷物が多く大変だったが、なんとか引っ越し完了。手伝っていただいた方に感謝!

新宿のタワレコでカイル・ホーチ氏の「Chambersax(Clarinet Classics CC0029)」を発見、購入。Clarinet ClassicsのCDは割高で、手を出しづらいがまあしょうがない。最近、イギリスものは有無を言わさず買うようにしているのだ。

20世紀前半の、サクソフォーンを含む室内楽作品を集めた珍しいCD。なかなか演奏機会が少ない作品群だけに、貴重なアルバムだろう。例えば有名なウェーベルンの「四重奏曲」はテナーサックスにヴァイオリン+クラリネット+ピアノという異色の編成。作曲家の12音技法が駆使された、短時間ながら密度の濃い作品。演奏できたら楽しいだろうなあ…ドゥラングルの録音にも興味がわいてしまった。ヒンデミットも初めて聴いたが、こちらもテナーサックスでなかなか楽しい。

技術的には完成された、隙のない演奏に間違いないのだが、演奏者は比較的リラックスしているよう(ジャケットにはKyle Horch and "Friends" の文字が)。そのうち「イギリスのサクソフォーン」に追加しなければ。

ヴィラ=ロボスの「四重奏曲」なんて、同じくヴィラ=ロボス「神秘的六重奏曲」と似た響きがしてびっくり。どこかで聴いたことあるぞと思ったら、スティーヴン・コットレル氏のCD付き論文「The History of the Saxophone(Clarinet Classics CC0040)」で音源が引用されていて、再度びっくり。ケックラン「ジーン・ハーロウの墓標」やニン「ヴェイエールの歌」なんかは、ロンデックスの演奏の方が個人的には好み。

2006/03/27

Grab It!

mckenさんのサイト(→http://www.iwakami.ne.jp/~mcken/)で紹介されているヴェルデュース(フェルドハウス?)の「Grab It !」。まだCDは入手していないが、最近ますます興味が湧いている曲の一つ。ボーンカンプ氏の演奏を作曲者のサイトで試聴できる(→http://www.xs4all.nl/~jtv1/soundsamples.html)。かなりカッコいいのでぜひ聴いていただきたい。

2005年には、何とクロード・ドゥラングル氏がIRCAMでのコンサートで取り上げていたようだ、知らなかった。国内初演は今年5月。神戸で井上麻子氏が取り上げるようで、これから先ブームの予感が(笑)。

2006/03/24

アンコン終了

おととい新潟合宿から帰ってきた。間髪入れずに帰省し、実家より更新中。

アンサンブルコンテスト全国大会は銅賞。自分なりに、自分達なりに良い演奏ができたと思うが、結果がついてこなかったのには凹まされた。しかし何より、親身になって後押ししてくれる吹奏楽団の仲間やその他いろいろな人たちに、結果で報うことが出来なかったのがとても悔しい。しかも二年連続で!結果は結果として素直に受け止めなければいけないのは分かっているのだが…。

イギリスのサックス、新着資料

イギリスのサクソフォーン界の研究を進めるべく二枚ほどCDを購入(お金が…)。ハールの「Shadows of the Duke(Harle Records Harle 004)」と、カイル・ホーチという奏者の「Anglo Sax(Clarinet Classics CC0046)」。

ハールのCDは以前EMIから出版されていたものをHarle Records(→http://www.harlerecords.com/)から再発売したもので、デューク・エリントンのナンバーをハールやベネットがアレンジしたもの。伴奏はジョン・ハール・バンドで、ポール・クラヴィスやサラ・レオナルドなどハールのレコーディングにはおなじみのクレジットが多数参加している。聴いてみたが、一曲目からとてつもなくかっこいい!曲中常に四分音符=350を刻み出すウォーキング・ベースとドラムスに、ソプラノサックスがゆっくりとメロディを歌い、さらに時々重ねられるバンドの音色が素敵。ハールのアドリブも冴えまくり、特にジャズ好きにはかなりおすすめできそうだ。

カイル・ホーチ氏は、以前少しだけ雲井雅人氏とお話した時に紹介された奏者。雲井氏の、ノースウェスタン大学留学時代の後輩にあたるそうだ。雲井氏には「Chamber Sax」というCDを薦められたのだがあいにくそちらは見当たらず、いろいろ探してみたところタワレコで見つけたので買ってみた(未聴)。両者とも、またきちんと感想を書く予定。

2006/03/15

合宿、そしてアンコンへ

明日から吹奏楽団の合宿のため新潟へ。引退している身なので普通だったら合宿に行くはずもないが、大会やコンサート等の都合で乗せていただいている。感謝かんしゃ。

「塩沢のびのびコンサート」「魚沼市(小出郷)吹奏楽フェスティバル2006 FINAL(→http://www.city.uonuma.niigata.jp/bunka/suisougaku/suisougaku.htm)」、どちらも吹奏楽団が大切にしている本番。お近くの方はぜひ足をお運びいただきたい。

3/20&21は新潟から一時抜け出して、岩手県盛岡市で四重奏の本番。こちらもいい演奏をしたい。

2006/03/14

吹奏楽やってます

大学の吹奏楽団引退後も(大変ありがたいことに)訳あって何度か合奏に乗せていただいているのだが、普段サックスとの合わせをメインでやっているせいか、ほかの楽器とのアンサンブルはとても勉強になる。

吹奏楽の中でテナーサックスのポジションと言ったら大抵はホルンやユーフォニアムと重ねることが主なので、そんなときにどんなサウンドを出すのか一回一回の試行錯誤がシビアで面白い。音量で言えば金管にかなうはずもないので、適度なダイナミクスで音程を揃えつつなによりピタッとはまる音色が必要だ。いろいろ考え作った音色が「ほかと合っていないよ」と言われることも。むむむ、難しい。

また今日はなんと、歌との合わせに少しだけ参加することができた。これまたアンサンブルが楽しく、難しい!プッチーニのオペラの一部を吹奏楽でやってしまうという試みからして尋常ではないが、パートの休止部分で「歌」の豊かな表現力を聴き、「あー、管楽器じゃこんな表現は無理だな」とか「少しでも近づいたら楽しいだろうな」と思いながら感動したりコンプレックスの塊になったりを繰り返していた。

やはりまずなにより音色か?楽器のサウンドを良くするにはほかの楽器、弦、歌を聴けと言うけれど、実はかなり信憑性あるものではないかとようやくこの歳になって気づいたのだった。もうちょっと自分の音の推敲が必要だ!もっといい音出したい!

2006/03/13

宮川彬良氏のWebページ

宮川彬良氏のWebページ(→http://www005.upp.so-net.ne.jp/akira-miyagawa/)が面白い。特にエッセイ。時間を忘れてはまってしまった。

そういえば二年前に定期演奏会で指揮を振った吹奏楽版「私のお気に入り」や、トルヴェールQの「私が愛したロイド・ウェーバー」はどちらとも宮川氏のアレンジ。「私のお気に入り」なんかニュー・サウンズ・イン・ブラスのなかでも屈指の名作だ(リズム処理が厄介で、演奏には苦労させられたが)。コルトレーン始め同曲のアレンジは数えきれないほど存在するが、この吹奏楽版はかなり良いのです。

一般の方には「ゆうがたクインテット」や「マツケンサンバ」なんかが有名なのではないかと思うがそれすらも一部にすぎず、作曲、編曲、舞台音楽、指揮、プロデュースをなんでもこなす我が国を代表する天才音楽家の一人であることは間違いない。

そんな宮川氏が書き散らしたエッセイ。親しみある文章の中にものすごい煌めきが垣間見えるようだ。(いくつか読み返してみて)うーん、やっぱ凄い。一つ5分くらいで読めるので、興味ある方はぜひ読んでいただきたい。

2006/03/12

気まぐれな組曲

デザンクロの練習に加えて、ジェローム・ノレ「気まぐれな組曲」の4&5楽章を音だし。本番まで時間があるからいいが、微妙な難しさが割と厄介。第4楽章「Mouvment Perpetuel(常動曲)」の鮮やかなスピード感を再現したり、第5楽章「チャールストン」の爽やか感を出したりするのは並大抵ではない。

しかしこの曲、かなり楽しい!実際に聴衆の前に出したときの反応がどんなものなのかは想像もつかないが、たとえばカデンツの後に続いて奏される「チャールストン」は、スーパーマリオの1面かエンディングかでBGMになってもおかしくない(とはメンバーの弁)くらいcatchy!でeasy!だ。フランス産の楽曲にしてはずいぶんと日本人の琴線に触れる部分が多く、ノレ氏のほかの作品も聴いてみたくなった。

デザンクロ第1楽章は練習開始よりすでに半年に及ぶが、そのなかでいろいろ勉強になったことがたくさん。例えば曲作りに関して、互いに聴き合いながら見通しのよいシンプルなサウンドで構築していくすべを覚えたり云々。巷に数多く存在する綺羅星のごときすばらしき演奏&録音たちにはかなうはずもないのは分かっているのだが、ベストを尽くすのみ。

2006/03/10

北欧のスーパーサックス

学類の計算機(パソコン)入れ替えのためしばらく更新が滞っていた。今まではWindowsだったのだが、今後はMac!いくらUnixベースとはいえ、Windowsを使い慣れている身にとっては未知の領域で、なかなかまだ慣れない。ftpはtcshから起動できるコマンド「ftp」の機能を使い、htmlエディタはemacs。Windowsであればオンラインソフトをつかってなんとかするタチなので、戸惑いは大きい。

久々なので新着のCDをご紹介。ヨリエン・ペッテション氏のソロCD「サクソフォン・コン・フォルツァ」。下記のラーション作品集と一緒にノルディックサウンド広島(→http://www.nordicsound.jp)から購入したもの。ノルディックサウンド広島の取締役の方がおっしゃっていたのだが、北欧からは未だ無名ながらも優秀なサクソフォニストが数多く輩出されているようなのだ。北欧出身の作曲家で固めたプログラムに加え、ペッテション氏自身もノルウェー生まれのプレイヤーで、北欧のサクソフォン界の一辺を見ることができる。

一曲目「トリオ・ソル」から微分音だらけで驚くが、響きは洗練されていて意外と聴きやすい。「ポエム」ではゆったりとした無調性バラード風のフレーズに時たまふと現れる超フラジオ音域を見事にピタリと当て、続くパーカッションとのデュオによる「ダンス」は短いなかに民族的なエッセンスが凝縮され、面白い。

「寺院」はバスサックスの無伴奏作品で、どちらかといえば「寺院」というよりF1レースのエンジン音のような音を並べた作品。解説を見ると「まるでF1レースのように楽器と戦っている」とのこと、納得。アルバム最後を飾る「10の絶壁」はパーカッションを模したコンピューターサウンドに対峙しながら8分間に渡る超絶技巧を披露。あまりに凄すぎて開いた口が塞がらない。

こんなにすごいサクソフォンの世界もあるぞ、ということで一聴に値するアルバム。また、ペッテション氏は現代的な奏法を駆使しているもののとても美しい音色を持つプレイヤーだという感じで、北欧のサクソフォン界のこれからを期待させる。