2006/02/27

バッハ

今学期の実験レポート終了。大学は明日から学期末試験週間に突入するが、自分は木曜日の重いひとつをこなせば終わりなのでその後は楽々。余った時間は楽器を吹いたりしながら有意義に過ごそうかと思っている。

バッハが好きだ。

昔から自分の中でバッハは「常に周辺にあって存在を忘れがちになるけれど、無いと困るもの」という位置づけ。図書館に当たり前のように置かれているCDを借りては嬉々とし、買ったサックスのCDに小品・大曲がプログラムされているのを見つけてはそればかり繰り返し聴き込み、演奏してはその旋律と和声の美しさに惚れ…。アマチュアなりに音楽する日常のなかで、いつの間にかバッハは切っても切れない存在になったような気がする。

演奏しているときに和声がピタリとあった瞬間の快感は、どうしてなのか、他の作曲家の作品ではそれほど味わったことがない。何気ないコラール一つ一つのコード進行すべてが新鮮で、しかし必然であるように思えてしまうのは、ある種の奇跡と言ってもいいんじゃないだろうか。

書いていたら四重奏でバッハやりたくなってきた…。こんど「イタリア協奏曲」か「シャコンヌ」か「フーガの技法」やりません?(私信)なにか鍵盤作品をひとつアレンジしたりもしてみようかな…。

2006/02/25

尚美学園大学×雲カル

昨日は尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科第3回定期演奏会(長い…)を聴きに埼玉県和光市までお出かけ。演奏は井崎正浩指揮尚美学園大学オーケストラ+尚美学園大学合唱団、他雲井雅人サックス四重奏団はじめゲスト多数。プログラムはラウリッスン「O Magnum Mysterium」、ベートーヴェン「合唱幻想曲」、グラス「サクソフォーン四重奏協奏曲」、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」。とても楽しい演奏会だった。

ラウリッスンは現代の作曲家ということでどんな響きがするか内心ドキドキだったが(てっきりゲンダイオンガクだと思っていた)パンフレットを読んでみると宗教曲だったらしい。合唱のみで演奏される荘厳な聖歌で、すでに数千回の再演がなされているとのこと。ちょっと明かりを落とした状態で総勢126名の合唱団がピアニシモで囁くと、えもいわれぬ響きがしますね。

ベートーヴェン「合唱幻想曲」は恥ずかしながら初めて聴いた。久々に生で聴くオーケストラだったが、吹奏楽をやっていた自分としてはかなり落ち込んだ。こういうサウンドはどうひっくり返っても出せないし、また吹奏楽が近づけるべき「理想のサウンド」はオーケストラに目標が設定されているようなものだからな。すっかり耳を洗いなおされてしまった。

グラス「サクソフォーン四重奏協奏曲」。緊張感の高い演奏で、第一楽章を終えた時点ですでに聴衆が一気に引き込まれていた。トリップしそうになるかなと思ったけれど、オーケストレーションが多彩で普通のミニマルミュージックのようには聴こえなかったものだから面白い。存在感抜群のソリストの雲井雅人サックス四重奏団は、相変わらずの美音を聴かせてくれた。アンコールにはバード「ソールズベリー伯爵のパヴァーヌ」。雨の中聴きに行った甲斐があったものだ。

ガーシュウィンでは井崎氏のノリノリの指揮が、オーケストラから豊かなサウンドを引き出しているといった印象。サックスには尚美学園の学生?が三人のっていた。トランペットソロ、ブラボー。アンコールにバーンスタイン「キャンディード序曲」。速いパッセージになると弦が弾ききれず少々厳しかったが、リズム感はばっちり。

音大の演奏会は始めて聴いたが、今回は独特の企画をしっかりしたレベルで聴かせてくれるという点で、とても良いものだと思った。この充実度で800円は安すぎると思うのだが。また久々にオケを聴いて合唱や弦の良さにしびれてしまった。

2006/02/23

アンブシュア改良中

年明けから少しずつ変えてきたアンブシュアがようやく固まりつつある。以前に比べれば口の周りの筋肉を使えている(ような気がする)し、音も以前に比べればシンプルになってきた(ような気がする)。

そもそも楽器を吹き始めた9年前から前歯に全体重を乗せるようなアンブシュアで、安定はするものの口の周りの筋肉は使えないし歯に負担はかかるしで、いま考えるとあまり良くなかったのかもしれない。アルティシモ音域のロングトーンも比較的楽である。もう少し噛むクセが抜ければいいが…これからの課題ということで。

今話題のmixi(→http://mixi.jp/)を知らない方はもうほとんどいないだろう。今月会員数が300万人を超えた、日本最大規模のソーシャルネットワーキングサイト。一月に招待していただいてしばらくは使い方が良く分からなかったのだが、今では時々活用させてもらっている。なかなかおもしろいサイトです。

協奏曲の夕べ

訳あって1988年川崎市で開催された第9回世界サクソフォーンコングレス「協奏曲の夕べ」のことについて調べてみたのだが、日本サクソフォーン協会内のページに詳しく解説されていた。サクソフォーン協会の設立経緯を始め、コングレスのみならず日本のサクソフォーン界の発展を俯瞰するような内容で大変に興味深い(著者は松沢増保氏→http://homepage2.nifty.com/jsajsa/jsa20th.htm)。

「協奏曲の夕べ」は、サクソフォンコングレスの実行委員長だった故・大室勇一氏の呼びかけに応じて当時世界最高ランクの奏者(ロンデックス、デファイエ四重奏団、ヘムケ、ルソー、須川展也!!)がコングレスに集い、大野和士指揮東京都交響楽団を従えて一曲ずつ協奏曲を披露するという催し。出演陣や曲目を見るに、サクソフォーンに関わる向きにとっては大変豪華な演奏会であったようだ。

伊藤康英「協奏曲」は一昨年サクソフォーンフェスティバルで二台ピアノ伴奏により再演されたのだが、その時の演奏は幸運にも聴くことができて大変感動した覚えがある。今週、伊藤康英先生が練習にいらしたときに少しだけその話を伺うと、コングレスのことに話が及んだ。須川氏が演奏した伊藤康英「協奏曲」では先生自身もピアノパートを弾くため舞台上に乗っていたらしいが、須川氏の独奏、大野和士氏や都響のアグレッシブな伴奏に大変感銘を受けたとのこと。…会場で聴いたらさぞかし凄かったのだろうなあ。今となっては決して叶わぬことだが。

2006/02/22

今年のサックス関連コンサート

そういえば週末は国立大学の二次試験。三年前のことはあまり覚えていないけれど、前日泊したホテルで眺めていた理科の参考書の問題がそのまま出、しかし解けなかったということはよく覚えている。受験生の方々は大変だろうが、あと少しがんばってほしい。

週末は尚美学園管弦楽団の演奏会を聴きに行く予定。グラスのほかにパリアメも楽しみ。グラスはオーケストラ+サクソフォーン四重奏という編成だが、この組み合わせだったらマルティノンやカルメルもいつか実演で聴いてみたい。デファイエQのカルメルやキャトル・ロゾーのマルティノンを聴いて、ライヴ録音ならではのテンションの高い演奏に惚れ込んだため。サクソフォンフェスティバルあたりでそういうを特集やってくれれば嬉しいが、さすがに実現は難しいだろうか?

そういえばサックス関連のコンサートで今年は他に何があったか…7月の読響×平野氏バートウィッスルや雲井Q定期、9月の東フィル須川さんコンチェルトは行こうかなと思っているところ。あとだれか来日でもしないかな。去年、モレティ氏やケンジー氏の来日コンサートを聴き逃したのは失敗だったからなあ。

2006/02/19

デファイエの普遍さ

下記のデファイエの録音を何度も聴いてみているのだが…改めて彼の偉大さを感じずにはいられない。独奏としての圧倒的な存在感、どこまでも純度の高い音色、完璧なテクニック。いくら言葉を並べてみても、実際に聴いたときに湧き上がるこの独特の興奮、憧れを言い尽くせないのは分かっているのだが。

特によく取り出して聴くのが、ブートリー「ディヴェルティメント」。美しいヴィブラートを伴う高音でのソノリティは、ただただ圧巻の一言。既にいくつかの録音を持っていたのだが、技術をさらけ出すだけの曲のような印象があって、あまり好きではなかった。だがこの録音を聴いてテクニックの披露だけに留まらない、曲の持つ意外なほどの官能性に惹かれるようになったのだ。

日本を代表するユーフォニアム奏者である深石宗太郎氏のWebページ(→http://sound.jp/sotaeuph/)を眺めていたのだが、「中高生のときにデファイエ四重奏団の演奏を何度も聴いた…」との記述が。ギタリスト・作曲家の小倉昌浩氏がNHK芸術劇場のオープニングテーマにサックスを選んだのも、デファイエの演奏を聴いたことがあったから、とのこと。彼が残した録音は、その普遍的な素晴らしさゆえ意外な人までもが聴いていることがあり、驚かされる。

2006/02/16

デファイエの録音!

ダニエル・デファイエ演奏の貴重な録音を、幾つかお貸し頂いた。録音状態がまちまちなので、おそらくテープに録音されたものを所有者がMDにおこしたのだろう。以下のうちリヴィエ「小協奏曲」、トマジ「協奏曲」、デュボワ「5つの性格的小品」は存在すら知らなかった…本物かどうかの裏づけは取れていない。

オーケストラとの録音では、イベール「室内協奏曲(Epic モノラル)」、リヴィエ「サクソフォンとトランペットのための二重協奏曲(RTF-Barclay)」、リュエフ「小協奏曲(不明 モノラル)」、リヴィエ「小協奏曲(不明 モノラル)」、トマジ「協奏曲(不明 モノラル)」、ドビュッシー「ラプソディ(ERATO)」。独奏+ピアノでは、ブートリー「ディヴェルティメント(Crest)」、ガロワ=モンブラン「6つの音楽的練習曲(Crest)」、パスカル「ソナティヌ(Crest?)」、リュエフ「無伴奏ソナタ(Crest)」、デュボワ「5つの性格的小品(EMI?)」。

リヴィエ「二重協奏曲」やCrest盤の録音などは比較的状態も良く、演奏も素晴らしい!これらの録音が復刻されないのが不思議なくらいである。今の時代にあってもなかなかこれだけの録音は出てきていない…。発売された当時は、さぞかし鮮烈な印象を与えるLPだったのだろうな。同時代のサクソフォニストたちの影が薄いのも納得できる。

デファイエの、後の時代に残した影響力というのは計り知れないものだ。彼が残した録音は比較的少ない(こちら→http://www.adolphesax.com/Html/Deffayet/deffayetingl.htm)が、そのほとんどのレパートリーが現在数多く演奏されていたり、録音が幻の(入手至難な)お手本とされていたりするのは驚くべきことだと思う。叶わぬこととはいえ、こうした過去の巨匠の実際の音を生で聴いてみたかったな…例えば川崎でのコングレスのとき私はまだ三歳でしたからねぇ。

2006/02/13

マイケル・ナイマン来日情報

マイケル・ナイマンが今年6月に日本ツアーを行うようだ(公式ページにて確認→http://www.michaelnyman.com/)。6/9と6/11は東京、6/10は大阪。マイケル・ナイマン・バンドとしての来日で、詳細はまだほとんどわからないが大変楽しみである。

2006/02/10

Vandorenの新製品

今日楽器屋さんに出かけた時に知ったのだが、ヴァンドレン製品が1/21より若干の値上がりをしたそうだ。リード消費量が多い私たちサックス吹きにとっては手痛いところだが、まあ仕方あるまい(リードないと吹けないからね)。そういえば野中貿易が発行するヴァンドレンの新カタログを見せてもらったところ、値段更新にあわせて興味深い新製品がいくつか出ていた。

まず「フローパック」というという包装のリード。見せてもらったところアルミ製の袋に一枚づつリードが包装されており、工場出荷時の最適状態のまま購入できるという代物らしい。リードが温度や湿度の変化に敏感だということはよく知られているが、特に湿度の観点から改善を図った新商品のようである。この「フローパック」は30枚単位で売られ、見たことのない大きなパッケージが目印。一枚単位の値段は変わないようなので(30枚入りパッケージが、10枚入り3箱とほぼ同じ)、たくさんリードを消費する向きにはオススメだろう。まだBbクラリネット用とアルトサクソフォーン用しか出ていないが残念。

もう一製品。Ricoが湿度を保ってリードを保存するケースを販売しているが、それに対抗した(?)のではないかと思われる「ハイグロケース(保湿ケース)」。機械を使ってリードケース内を任意の一定湿度にコントロールできるとか。スイッチや液晶画面まで付いていて、なんだか凄そう&高そう。

2006/02/07

久々にアルト

朝練習後、二時間ほどかけてアルトで曲をさらってみた(あ、マウスピース返ってきてないや…私信)。大学でのアマチュア音楽活動はテナーで四重奏や吹奏楽に参加することがメインなので、アルトはめったに吹かないのだ。いつもどおり最初はコントロールができず、一時間くらい吹いていると気にならなくなってきてそのうちに吹くのが楽になった。

比較的明るめの音色が出るのに面食らった。普段テナーを吹いているときはなかなか暗い音色で、「もともと自分が持っている音が暗いのかなー」と思い込んでいたのだがどうやらそうでもないらしい。楽器によってこうも変わるものとは…面白いものだ。

2006/02/03

異色のアンサンブル

充電期間を挟んだおかげで自身に火が点いてしまったようで…いつまで絶やさず吹けることやら。今日は(正規練習時間の、現役のいないであろう時間に)練習場所に潜り込んで少し吹いてくる予定。

昨夜はRIAXから発売されている、ユージン・ルソーのCD「Eugene Rousseau Haydn Trio of Vienna(RIAX RICA-1003)」を聴いていた。サックス+弦楽器(ヴァイオリン・チェロ)+ピアノという異色の編成で何を演奏するかと思えば、アイシェンヌ「カンティレーナとダンス」やベートーヴェンのトリオ(!)をプログラムに入れてしまったという珍しいCD。

アイシェンヌの作品はまだ日本ではあまり知られていないが、哀愁漂うメロディを湛えたカンティレーナと、対照的に小気味よいテーマを持ったダンスが楽しい作品。2003年のサクソフォーンフェスティバルで演奏されていたようだが、どうやら聴き逃してしまったらしい。ベートーヴェンのトリオ(原曲はクラリネット+チェロ+ピアノ)は、ルソー氏のやわらかく暖かい音色のおかげだろうか、意外なほどに自然に聴ける。続くシュタインやサラスも絶妙なアンサンブルが見事だ。

斬新な編成からすっとんきょうな響きを期待していると、肩透かしを喰らってしまうほど端正な演奏。ルソー氏を始めとする一流の音楽家によるセンスが溢れる一枚。RIAXレーベルのCDは、タワレコなど大手ショップで比較的安価に入手できるのも嬉しい。

2006/02/02

mi-temps

個人で軽く音だしはやっているが、ここ三日ほど四重奏は充電中。10月頃からノンストップでやってきたので、ちょっとひと休み(ひと休み…mi-temps、という言葉の響きが好きだ)。しかも今日は休講のため全休、さらに練習場所にも入れないため、本など読んだりしてまったりと過ごしている。久々に優雅な気分。

週明けには研究室も本決定予定。本職は学生なので、もちろん勉強のほうもがんばってますよ(私信)。