2006/12/30

実家

年末年始にあわせて、実家に帰省中。つくばに戻るまでは、更新が滞りそう。あ、フェスティバルのレポートくらいは書かないと。

2006/12/28

On Site Labo

サクソフォーンフェスティバルのパンフレットに挟まっていたチラシをぱらぱらと見ていたら、大石将紀氏の面白そうなリサイタル情報を発見。大石氏はパリの国立高等音楽院に留学しており、U.F.A.M国際コンクールに入賞するなど、いくつか活動の様子が伝わってきていたが、もう卒業したのだろうか?

On Site Laboと題された、トーキョーワンダーサイト主催の若手音楽家支援プログラムシリーズ。「若手音楽家に現代音楽を演奏する機会を提供し、」だそうで、若手音楽家×同世代の音楽というのは、一聴の価値ありとみた!

とりあえず、ヤコブ=テル・フェルドハウス Jacob ter Veldhuisの「Grab It!」やるそうで、東京近郊のサックス吹きで、「Grab It!」聴いたことない方はぜひどうぞ。これ一曲のために行く価値はあると思います。そのほか、アレクサンドロ・マルケアスやブルーノ・マントヴァーニなど、フランスの若手作曲家の作品、鈴木純明氏の作品など、聴き所がたくさん。そういえば、大石氏の演奏をまとめて聴けるのも、もしかしたら日本では初めてのことではないだろうか。

あいにくこの日は、自分の本番があって聴きに行けない…残念。本番がなければ確実に出かけていると思うのだが。

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・「サクソフォーンのいま、Paris-Amsterdam-Tokyo」
出演:大石将紀(sax)
2007/1/27(日)15:00開演 トーキョーワンダーサイト本郷
入場料:1500円
曲目:
「サクソフォンのための現代奏法エチュードより(日本初演)」
馬場典子「ビスビグリアンドのためのエチュード」
S. Rohloff「ライトリズム」
鈴木純明「スラップスティック」
酒井健治「Between the wave and memories - in memoriam Ryoichi Yamamoto-side」
即興演奏
A. Markeas「リズムにのった3つのウィンク」
B. Mantovani「霧雨の狂」
P.V. Onna「クリスタルドリームズ」
J.T. Veldhuis「Grab It!」

ブラスパラダイス

下のサンドロフ「Eulogy」の記事に、なぜかこんな宣伝コメントがくっついていたので、記事として表に出しておきます。宣伝内容は記事と全く関係ないよなあ…まあいいか。表に出したので、コメントは削除してもいいかな…ポチっと。

----------引用ここから----------

検索で貴ブログを拝見致しました。大変失礼ながら「演奏会ご案内」をさせて頂きたいと思いますm(_)m「ブラパラ」ネット広報担当トロンボーン奏者のhigaと申します。

『ブラスパラダイス大阪(プロ奏者による吹奏楽団)』

2007年1月7日(日)
開場/13:00 開演13:30
場所/森ノ宮ピロティーホール
一般/2000円 大学生以下/1500円 全席自由(当日券500円増し)

曲目
・真島俊夫/Jacob's Ladder to a Band
・2007年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
・アルフレッド リード/アルメニアン ダンス パート1
・Jerome Naulais/Saxtory
【4Saxソリ/西本淳・井上麻子・山口裕佳理・吉岡一郎】
・スパーク/Music of the Spheres「宇宙の音楽」

※ 関西で一番早く2007年課題曲が聴けます!
※ 関西で滅多に聴く事の出来ない吹奏楽をバックにした「4サックス ソリ」
※ スパークの最高傑作作品☆

早い時期での『チケット売切』が予想されておりますのでお早めにご予約下さい!

チケットお問合せはBPO事務局 brass_paradise_osaka@yahoo.co.jp
又はhttp://8622.teacup.com/tbweekday/mbox

「トロンボーン吹きの平日」ブログ http://sun.ap.teacup.com/tbweekday/

貴重なスペースありがとうございました。

----------引用ここまで----------

ご覧のように、「ブラスパラダイス大阪」という大阪在住のプロ奏者による吹奏楽団のコンサート情報。サックス的興味としては、ジェローム・ノーレ Jerome Naulaisの「Saxtory」が気になるかな。吹奏楽を従えたサクソフォン四重奏の協奏曲だし、ノーレの筆によるもの、ということならばきっとポップス色の強い親しみやすいものなのでしょう。

サクソフォーンソリストも、先の演奏会で音を聴いたばかりの西本淳氏、ブログを時々拝見している井上麻子氏と、有名な方がたくさん。森ノ宮ピロティーホールが、いったい何県の何市にあるのかは良く分からないのだが(関西?)、お近くの吹奏楽愛好家、サクソフォーン愛好家の方はどうぞ。…って一緒になって何を宣伝しているんだ(笑)。

メインプロのフィリップ・スパーク Philip Sparkeの「宇宙の音楽」…実はあまり好きではない(笑)。吹奏楽やブラスバンドで有名なフィリップ・スパーク、私はやはり昔の作品が好きなのだ。「ドラゴンの年」とか「祝典のための音楽」とか「ジュビリー序曲」とか「パントマイム」とか「オリエント急行」とか。

ハワード・サンドロフ「Eulogy」

これは、サクソフォーン・フェスティバル会場の、大ホールロビーで無料配布されていたもの。日本サクソフォーン協会が1991年に発行した楽譜で、ホワード・サンドロフ Howard Sandroff氏の「Eulogy」という無伴奏アルトサクソフォン作品の楽譜。

何気なく手にとって持ち帰ってきたのだが、良く見るとタイトルの下には「to the memory of Yuichi Ohmuro(大室勇一の思い出に)」というサブタイトルが…なんで大室氏の名前が…?そしてさらに、委嘱者の但し書きには「commissioned by Frederick Hemke」とある。ヘムケ氏が委嘱…?。

作曲者のサンドロフの名前を見て突発的に思い出したのは、1988年8月12日の第9回世界サクソフォーン・コングレスの最終日のコンサート。”協奏曲の夕べ”と題されたガラ・コンサートでフレデリック・ヘムケ Frederick Hemke氏が吹いた「ウィンドシンセサイザー協奏曲」。当時コングレスが日本で開かれるのは初めてのことで、日本サクソフォーン協会が舵をとって実現に向けた努力を進めていた。

”協奏曲の夕べ”に限らず、各国奏者へのコングレス出演の打診は、主に大室氏が率先して行っていたとされる。大室勇一氏が、サクソフォーン協会の事務役としてコングレスの委員長を務めた、等の記録はこちらのページ(→http://homepage2.nifty.com/jsajsa/jsa20th.htm)から参照できるが、大室氏はコングレスの開催を待たずして亡くなっていたようなのだ…。

師弟としても親交が深かったであろうヘムケ氏と大室氏。最終日のメイン・コンサートを企画しながら、自身はその成功を見届けることなく逝った大室氏への、ヘムケ氏の思いの強さは想像に難くないだろう。ヘムケ氏がサンドロフ氏に「ウィンドシンセサイザー協奏曲」に含まれるサクソフォーン・カデンツァの拡張を依頼し、その音楽が一つの独立した作品として実を結んだのは、コングレスの一年後、1989年のことだった。タイトルは「Eulogy(弔辞)」である。

コングレスの”協奏曲の夕べ”のライヴ録音と比較しながら楽譜を追っていくと、確かにアコースティック楽器で演奏されるカデンツァの部分に数箇所の拡張が見られるのが分かる。重音、フラジオ等を挟みながら吼える孤高のサクソフォンが、集中力の高い音世界を作り出していく様は圧巻だ。

一つの作品の裏に、こんないろいろなエピソードがあるとは。様々な経緯を知ることで、作品の聴き方も変わってきた。

2006/12/27

たくさん吹いた

朝8時からバーバーのピアノ四重奏編曲の合わせ。あいにく一人体調不良で欠席してしまったが、第1楽章をむりやり通す。スコアからおこした楽譜に複合ミスがあり、なかなか効率が悪かった(スミマセン)。しかし、ピアノパートの方には負担をかけてしまって申し訳ないなあ。

10時過ぎからグラズノフの四重奏練習。練習場所を独り占めして吹くのは、なかなか快適。外は突き抜けるような快晴だった。12時頃にお昼ご飯を食べにちょっと外へ。自転車が吹き飛ばされそうなほど、強い風。

13時から、先生をお迎えして四重奏レッスン。思えば、最後に四重奏でみていただいたのが今年の2月末のことだったから、ずいぶん久しぶりになるんだな。こんな年の暮れにレッスンをお願いしちゃう私たちも私たちだが、喜んで引き受けてくれた先生には感謝。

とても充実したレッスンだった。いくら自分たちで考えながら曲作りをしたところで、さすがに専門家にはかなわない…。目から鱗な部分がたくさんだった。何気ないrubatoを一つ加えてみるだけで、突然曲のコントラストがはっきりしたり、簡単な和声のバランスを整えるだけで、初めて聴く響きが現れたり…。テンポ、和声感、クレシェンド、ニュアンス等々様々な観点からみていただいた。休憩を挟み、気付けば三時間半も…。

練習場所の関係でおそらく今日が吹き収めとなるが、とりあえず一月末の本番に向けて年明けから再スタート。がんばろうっと。

2006/12/26

サクソフォーン協会の会報

フェスティバル会場のロビーで、サクソフォーン協会の会報「Saxophonist」を無料配布していたので、ふーんという感じで頂戴してきた。置かれていたのは2005年版のVol.17、そして2006年版のVol.18。何が書いてあるんだろう…と何気なく中を見てびっくり!こ、こんな濃い内容の冊子が、協会員には送付されているのか。

Vol.17の内容は、なんと巻頭から前ボルドー音楽院サクソフォン科教授のマリー=ベルドナット・シャリエ女史のマスタークラスのレポート。続いて滝上氏によるサリュソフォンのレポートに、フェスティバル報告、宮崎真一氏による2004年ミネソタコングレスのレポート。さらに音大生アンサンブルのレポート、アンサンブルコンクールのレポート。

さらにパワーアップしたVol.18は、ディアナ・ロタル「シャクティ」×ダニエル・ケンジー氏来日のレポート(執筆は入野禮子氏!)、あのセルジュ・ベルトーキ氏に上田卓氏がインタビューしたサクソフォン版の武満徹「ディスタンス」誕生秘話、2005年管打入賞者コラム&審査員座談会レポート、そして、シュトックハウゼン「友情に」の聴き方・作曲技法を作曲家自らがレクチャーした講義の記録…すごい。

しかしなんとまあーマニアックな…(笑)

特に「芸術を聴く」と題された16ページに及ぶシュトックハウゼン「友情に In Freundschaft」の構成に関する分析は、ものすごく資料価値が高いものだと思った。単なる楽曲解説と異なり、「聴く側がいくつかの事項を意識することで、より作品の理解を深められる」という視点のもとに、譜例を数多く載せながら分かり易く曲の形式について述べている。ここまで気合いの入ったサクソフォン関連の資料は、今までほとんどお目にかかったことがなく、素直に感動してしまった。

シュトックハウゼンの記事はしっかり読み込んで、せっかくだからこの機会に「友情に」を「理解しながら」聴けるようになろうかな。もともと好きな曲だが、響きの面白さに触れるだけでなく、さらに突っ込んだ解釈を知ることで、さらに面白く聴けるようになるとは!

2006/12/25

ショスタコーヴィチ・イヤー

今年はドミトリ・ショスタコーヴィチ生誕100周年。2006年が終わる前に書いておかなければならんだろう、ということでお気に入りCDについて書きます(笑)。

ショスタコーヴィチの交響曲の中で、まともに聴いたことがあるのは第5番と第7番。一人の天才作曲家が、社会主義情勢の重圧の中で才能を花開かせたひとつのフォーマット。プロパガンダ的な要素はともかく、音楽的にも、聴覚効果的にも優れた両作品は、様々な演奏家の手によってレコーディングがなされている。以下に、よく聴く演奏をいくつか。

第5番「革命」。鋭い痛みが走る第1楽章冒頭のフレーズから、怒涛の!第4楽章まで、聴き手を捉えて離さない。メディアへの多くの露出によって、今ではかなりのポピュラリティを得た曲になったが、その本来の内容からすれば、ちょっと珍しいことだとも思う。

ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニーのライヴ盤。1982年11月18日録音。ムラヴィンスキーがこの曲を取り上げた録音は数え切れないほどに多いが、某所で薦められていたこの録音はなかなか。ライヴにもかかわらずキズはほとんどなく、むしろ臨場感のあるテンション、勢いといったものが怖いほど。

第7番「レニングラード」。レニングラード市への敵軍の進攻から、やがて訪れる輝かしい勝利への賛歌までを描写した大作。長すぎるんじゃないか、と思わせるほどにしつこいが、演奏効果は抜群。

スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団のライヴ盤。1978年2月28日録音。金管の暴力的なまでの鳴りっぷりが凄まじく、この曲の性格を最も良く表していると思う。バーンスタイン×シカゴ響のような知的な構成感を感じさせる演奏も良いが、このような血の通ったリアルな情景を思わせる録音はもっと好きだ。

2006/12/24

フェスティバル2006聴いてきた

で、今ようやく帰宅。帰りのバスで若干乗り物酔いをし、キモチワルイ。今日の16:00少し前からほぼずっと聴いたが、大変に充実したコンサートだった。Thunderさんもブログに書いていらしたが、演奏者のみならず運営側もそうとう大変なことだろうと思う。際立った試みが多かった今年はなおさら。

そういえば、来年も土日の二日間開催だそうです。アマチュア・ステージもまたあるのかな。今度はできれば、一日目のステージにも参加したい…。

会場でジェローム・ララン氏に会って、話せたのが嬉しかった。慌しかったが、7月ごろに送っていただいたCD「Paysages lointains」のお礼と、次回来日予定の話をちょこちょこと。フランス語は喋れないので、英語。突然「STARSAX」というCDをプレゼントされたのは驚いた(笑)。どうやら、国際コンクール入賞者によるオムニバス盤のよう。

さて、明日は朝から練習+授業+研究室なので、寝よう。いろいろ記録しておきたいことがあるので、年末年始にまとめて感想など書きます。

2006/12/23

指揮振った

まだ練習の段階ではあるけれど、本当にひさしぶりだ。振っているのは保科洋「風紋」(なんてベタな笑)。1977年の課題曲Aのはずだが、知っている人が多いのはなぜだろう。

今日のフェスティバルは、アマチュアの愛好家のステージと、サクスケルツェット Saxcherzet、そしてハッピーサクソフォンかぁ…行きたかったなあ。

2006/12/22

世界の創造

明日より2日に渡って、パルテノン多摩で開催されるサクソフォン・フェスティバル2006。あいにく様々な練習予定が重なって、23日は行けないのだが、24日は出かける予定。

トリを飾るフェスティバル・コンサートは、今年は東京シンフォニエッタとの協奏曲の演奏がメインだそうで。カプレ「伝説」、コンスタン「演奏会の音楽」、ドナトーニ「ホット」、ロタル「シャクティ」、ミヨー「世界の創造」なんだそうだ。選曲が渋い。

このうち、ミヨー「世界の創造」の演奏を務めるのは、自身も東京シンフォニエッタのメンバーである小串俊寿氏。実は、ライブ&録音ともども音を全く聴いたことがないだが、知人から聞く評判は「ありえないくらい美しい音色」とのことで、フェスティバル中でも、特に楽しみにしている演目なのだ。

「世界の創造」は、アメリカ周遊から戻ったミヨーが、黒人街にて接したジャズにインスピレーションを受けて書かれたバレエ音楽。混沌とした導入部から、生命が溢れかえるエネルギッシュなお祭り騒ぎまでを15分に凝縮し、序曲と5つの部に構成したミヨーの傑作。

ジャズからインスピレーションを受けたからといって、ジャズっぽいフレーズが使われていたりするわけではないのだが、そもそも室内楽編成にアルトサクソフォンを加えるアイデア自体、おそらくジャズへの接触がなければありえなかったことだろうし、その他曲を聴き進めていけば、随所で出現する快活なリズムや音が重なったときの響きに、ジャズの影を垣間見ることができる。

全体を通じてサクソフォンがかなり効果的に使われている、という意味で、サックスをやっている方ならば一度耳にしておい損はないと思う。有名なサクソフォニストが参加したCDも多い。例えばサイモン・ラトルがロンドン・シンフォニエッタを振った「The Jazz Album(EMI)」ではジョン・ハールが、バーンスタインがフランス国立放送管弦楽団を振った「ミヨー名管弦楽曲集(EMI)」ではダニエル・デファイエが、という具合。

特にバーンスタインのほうは、この曲の演奏の決定盤だと思っているのだが、いかがなものなんでしょうか。初めてこのCDを聴いたときは、冒頭のサックスと弦のアンサンブルの、響きの美しさに感動した…。デファイエの弟子だったあのファブリス・モレティ氏も、このCDが大好きなんだそうだ。

Blogger betaが昇格

ベータ版としてサービスが提供されていたBlogger betaが正式版に昇格し、Bloggerになったようだ。新たに変更された点は、フィード機能の充実、カスタマイズの柔軟性、など。RSS2.0に標準対応したのも嬉しい。

「フィード」については、ほとんど無知。Bloggerを使う以上はもう少し勉強しないと。

2006/12/21

第二回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクール

井上麻子さんのブログで知ったのだが、なんと、あのジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールが、2008年に再び開催されるらしい。(→http://www.music.mahidol.ac.th/jml/)すでに公式ページが完成し、課題曲も指定されている。第1回が行われたのが1997年だから、実に10年ぶりの開催となる。開催地はタイ!(前回はフランス ボルドー)

コンクールの結果集計ページ作りました。

前回のソロ部門優勝者は平野公崇氏、四重奏部門優勝はハバネラ四重奏団だったようだ。当時は、私自身サクソフォンのことを全く知らなくて(小学生のころか)、リアルタイムで情報を得ることはできなかったが、特にソロ部門での平野氏の優勝は、日本人が初めて国際コンクールを制したとのことで、大変なセンセーションを巻き起こしたらしい。

平野さんのほかにも、ヴァンサン・ダヴィッド氏、オーティス・マーフィ氏が入賞しており、このコンクールから、大変なソリストが数多く見出されたようだ。今度は、いったい誰が栄冠を手にするのだろうか。ところで、本選のオーケストラはタイ交響楽団とのことだが…え、タイのオーケストラですか。聴いたことないや。ドナトーニの「Hot」とか、いったいどんな演奏をするんだろう。

大きな国際コンクールがひとたび開催されると、世界中からありとあらゆるサクソフォニストが集まってくる。互いに切磋琢磨し合い、予選が進むにつれて候補は絞られ…オーケストラを従えた本選を経て、遂に決定する優勝者。傍観者の身ではあるが、なんだかコンクールと聞いただけでこんな様子を想像し、ワクワクしてしまうではないか?

追記:前回ジャン=マリー・ロンデックス国際コンクールのライヴ盤「SAXOPHONE D'AUJOURD'HUI ET DE DEMAIN」持っている方がいらっしゃいましたら、ぜひお貸しくださいー!(涙)6年間探してます…。こんなジャケット。

2006/12/20

トルヴェールQのグラズノフ

来月の発表に向けて、グラズノフ「四重奏曲」の最終楽章をさらっていることは以前書いた。相変わらず難しくて、最近では「果たして間に合うのか!?」と不安になる。月末には四重奏のレッスンも控えているので、頑張ろうっと。

グラズノフ「四重奏曲」の演奏はいくつかCDで持っている。ざっと思いつくだけで、ハバネラQのセッション盤・ライヴ盤、アレクサンドルQ、オーレリアQ、トルヴェールQ、キャトル・ロゾー、ラッシャーQ…。たった一曲が20分以上になるため、他の曲(デザンクロとか)に比べれば取り組みづらいとも思うのだが、唯一のロマン派、そして大変な名曲ともあって、録音している団体は多い。

トルヴェール・クヮルテットが録音したアルバムで、グラズノフが収録された「マルセル・ミュールに捧ぐ(EMI TOCE-55284)」は、実は生まれて初めて自分で買ったCDだ。当時は須川さんやトルヴェールの名前すら知らない高校二年生…なぜ買ったかというと、アンコンの県大会のテープに収録されていたパスカル「四重奏曲」の第4楽章にはまっていたから(笑)。比較的ショップでも手に入れやすいCDであったし、「アンサンブルって面白いかも」と感じ始めた時期だったから、自然なことだったのかもな。

買った頃は、パスカル、フランセを良く聴いていた。フランス音楽のフの字も知らなかったが、パスカルの遊びゴコロだとか、フランセの第3楽章のやんちゃっぷりとか、そういったものをなんとなく感じていたのかもしれない。サックス関連のCDが増えていくにつれて、いつのまにか聴く機会は少なくなっていったが。

最近改めて聴きなおしている。グラズノフは惚れるわぁ!さすが日本を代表するソリストの集団だけある。実際自分たちで吹いた後に、この演奏を聴いてしまうといけませんね。最終楽章のAnimando~Prestoを、ここまでリラックスした雰囲気で聴かせられるのか。

もちろんグラズノフの一番のお気に入りはハバネラQのライヴ盤だと断言できるが、トルヴェールQの演奏は、ハバネラQの壮絶な集中力のカタマリとは、一線を画すものだと考えられる。それは、コンクール<->録音セッションという「場」の違い、解釈の違い等々、演奏者の国籍等々、様々な要因が挙げられるとは思うが、とにかくトルヴェールQの演奏も「一流の演奏」と言うことができるのは確かだ。

いろんな種類の演奏を聴くと、刺激受けますね。見過ごしていた録音が、ちょっと違った解釈のヒントを与えてくれるのは、新鮮だ。

2006/12/19

タワレコ感

あ、明日は雲井さんのアルバム発売日だなあ…。雲井さんの新譜は「THE SAX 特別号」の付録以来ということになるのだろうか。24日に東京へ出たついでに買おうかと目論んでいる。市内に大きなタワレコがあれば良いのに。

東京へ出たときに利用するCDショップは、大抵渋谷のタワーレコードなのだが、あの中途半端なアクセスの悪さ(アクタスとは反対方向だし、徒歩で5分以上はかかるし)がどうも気に食わない。しかしいざ到着してしまえば、日本最大級の品揃え!

生まれて初めて渋谷店の6階を見たときには、驚いた。広大なフロアの一辺をまるまる占める、吹奏楽+管楽器のCD、奥には現代音楽、中央には作曲家順に並べられたCDが山ほど。初訪問の時には、調子に乗って6枚くらい買い込んだ…。

タワレコ渋谷店は、オススメタグを読むのも面白い。きっと、管楽器好きの店員さんがいるんだろうなあ。「Le saxophone francaise(EMI France)」や「The Classical Saxophone(Brilliant)」が強烈に薦められているのを見ると、おもわず納得してしまう(笑)。

ここで果たして今までにいくらのお金を使ったというのか。あまり考えたくはない。

そういえば、以前店員さんに聞いてびっくりしたのだが、タワーレコードでは、なんとマイスター・ミュージックのCDを扱っていないらしいのだ。マイスター・ミュージックと言えば、良質な室内楽曲を数多く録音・出版しおり、アルモQ、アルディQ、彦坂さん、栃尾さん…など、注目すべきサックスのCDをいくつも録音しているのに。まさにこれを、玉にキズと言うのか。

2006/12/18

気になる曲たち

・Kees Van Unen「JOUNK」(asax, tape)
なんかすごそう。しかし、ネット上にCDや楽譜の情報は全くナシ!今いちばん気になっている作品。

・Werner Heider「Sonata in Jazz」(asax, pf)
音源も試聴できたし、楽譜も手に入れようと思えば手に入れられそうだし、まあ何とかなるだろう。普通にカッコよい。

・Jacob Ter Veldhuis「Grab It!」(tsax, tape)
音源も楽譜も実は持っているので、機会があったら演奏してみるか…(できるのか?)。譜面自体は意外なほどに難しくないのだが、表情を引き出すのが大変そう。テープと合わせるのも苦労しそうだ。

2006/12/17

蓼沼雅紀サクソフォンコンサート

ACTUS6Fのアンナホールでコンサートを聴くのは、これが3回目。ようやく、あの極端に狭い空間の音響にも慣れてきた。蓼沼雅紀氏のコンサート。ずいぶん前(9月ごろ)にご案内いただき、ずっと楽しみにしていたものだ。デニゾフ、イベールを中心に、3本のサクソフォンを駆使したプログラム。

マリー=ジョセフ・カントルーブ「オーヴェルニュの歌第一集より『3つのブーレ』」
ドゥニ・ベダール「幻想曲」
エディソン・デニゾフ「ソナタ」
ロベルト・シューマン「アダージョとアレグロ」
ウジェーヌ・ボザ「アリア」
ジャック・イベール「室内小協奏曲」

会場は、蓼沼氏の知り合いと思しき方がたくさん(自分もですが)。ほぼ満席の中、曲間に蓼沼氏自身の解説を交えつつ、和やかに進行した。知り合いが多かったならトークはあんなもんかなあ(笑)。

蓼沼氏の音は、いつ聴いても実に美しい。ソプラノサクソフォンの音色はまるで水面下を泳ぐ魚のように自在だし、テナーサクソフォンからは包み込むような暖かさを感じる。ベダールやボザのような何気ない小品こそ、このような音で聴きたい。

カントルーブ、ベダールはまさに本領発揮といったところ。ピアニストの方も実に上手く、ピアノとサックスのアンサンブルが心地よい。さらに続いて、高校生みたいな女の子たちに、デニゾフを聴かせてしまうというのも、また(笑)。アンナホールのような響かない空間では、「孤高の」第2楽章は、ちょいと聴かせるのが難しそうだったが、第3楽章のフリー・ジャズなんかは生々しい音で迫ってくる。

休憩を挟んだ第二部は、テナーサックスによるシューマンの演奏から。ふくよかで、均一な音色。なんで同じサックスからあんな音が出るんだろうか。テナーのサイドキーあたりまで、音色を崩さずにコントロールするとは…。原曲のホルンでも、ここまでの魅力は出せまい。ボザ「アリア」を歌い上げた後は、イベール。このイベールもなかなかの佳演だった!

アンコールは、ドゥラングル編によるピアソラ「タンゴ練習曲」より第3番、クリスマスソング・メドレー。最後まで楽しいコンサートだった(^^)そういえば、オーヴェルニュ地方って、あのミネラルウォーターVOLVICが採水されているところなんだとか、へえ。

あれから一年

今日は、そういえば「アンサンブルコンテスト茨城県大会・大学の部」。ウチの大学からも何チームか出場するようで。みなさま頑張ってください。吹奏楽連盟のアンサンブルコンテスト、思えば中学2年、高校2年、大学1~3年と律儀に?何回か出ている。(昨年、一昨年は、所沢や盛岡まで行った)。あれから一年ですか。果たして次、出ることになるのはいつのことか。

ん…神奈川県では、今年は神大が出るのかー。なんてこったい。

アンコンシーズンの集中した練習量は、学生にとってはけっこう重要なものだと思うんだけどねえ。大学って、あまりアンコンは流行らないものだが、もっとみんな積極的にアンサンブルコンテストに参加すればいいのに(なんて)。

話は変わるが、アドルフ・サックス国際コンクールやカサドコンクールではないけれど、支部大会、全国大会レベルはネット配信なんてやってくれないかなあ。映像は、後のDVDの売り上げに直結するだろうから厳しいと思うけれど、せめて音声だけでも、とか。ストリーム限定、64Kbps、22KHzぐらいだと、ちょうど良いんじゃないでしょうか。…これは、予算のことを考えたらキビシイのか。

2006/12/16

Musique francaise pour saxophones

パリ国立高等音楽院のサクソフォーン科教授であり、フランス・サクソフォーン協会の会長であり、壮絶なテクニックと高純度の音色を持つソリストでもあるクロード・ドゥラングル Claude Delangle氏。南仏ギャップで行われたコンクールで優勝して以来、世界的なサクソフォニストとして認識されているという。

ある意味では、現代のサックス吹き全員が彼の影響下にあるとも言えるだろう。Sequenza VIIbはドゥラングルがいなければ生まれ得なかったし、現代を代表する四重奏団も生まれなかったし、コンセルヴァトワールの数多い卒業生だって彼の指導がなければ…。ざっと門下生を追ってみても、ヴァンサン・ダヴィッド氏、ハバネラ四重奏団、平野公崇氏、アレクサンドル・ドワジー氏…なんとそうそうたる面々であることか。

世界最高という地位にあっても、既存の考えに捉われない新たなレパートリーの開拓、そして積極的な演奏活動&レコーディングなど、そのサクソフォン奏者としての歩みを止めないことは、サックス界から見れば賞賛に値するものだと思っている。

彼がパリ国立高等音楽院の教授職を得たのは、1988年のこと。1993年からはBISレーベルにおいて連続でアルバムを作成している。ドゥラングル氏が教授職に就くその2年前に録音されたCDを、最近良く聴いているのでご紹介したい。Chant du MondeからLDC 278 878という型番で出版されたが、現在はVandoren(あのリードメーカーのヴァンドレン)が販売している、ピアノ・デュオと四重奏が収録された盤だ。

アルバムタイトル「Musique francaise pour saxophones(Vandoren V 001)」。共演はオディール・ドゥラングル女史(pf)、ジャン=ポール・フーシェクール(asax)、ブルーノ・トタロ(tsax)、ジャック・バゲ(bsax)。収録曲目は以下のとおり。

ダリウス・ミヨー「スカラムーシュ」
アンドレ・ジョリヴェ「幻想即興曲」
フローラン・シュミット「伝説 作品66」
シャルル・ケックラン「練習曲より 抜粋」
シャルル・ケックラン「ジーン・ハーロウの墓標」
ガブリエル・ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」
フローラン・シュミット「四重奏曲 作品102」

なんと隙の無い演奏!控えめなヴィブラートで、ひたすらに丁寧に、丁寧に音楽を紡ぎ出す印象を受ける。隅から隅まで、全ての音を意識化でコントロールした結果がこれか…。しかもどうしたことか、聴き進んでいくうちに、曲の持つフレーズが生き生きと演奏されていることにも気付かされる。取り立ててスピードが速いわけではないのに、確かにそこでは、フレーズが生き生きと表現されているのだ。私感では、全てのフレーズの意味を解釈した上で、楽曲を完全に自らの血肉として取り込むことが、余計なハッタリをかまさずに説得力ある演奏をする要因となっているのだと感じる。

サックスに限らず楽器を演奏するときって、その場任せな部分が少なからずあるものだと思うのだが…。そういった即興的な要素を完全に排除しているのか!まさか!いや、それとも、その場で生まれたフレージングすらも、管理されたものに聴こえるほどに上手いというのか!

どちらにせよ、神懸かってます、クロード・ドゥラングル。

聴き所はそれだけにあらず、例えばケックランで聴かせる透明な叙情性の見事さしかり、シュミット「伝説」のテンションしかり、緻密なアンサンブルが聴ける四重奏しかり…。

現代において、モレティ氏のような伝統的フレンチ・スクールのスタイルを守り抜く難しさは窺い知れない…ようなことを以前書いたが、逆にデファイエ一派のような演奏スタイルの中から、このような新たなフォーマットを創り出すことも相当な苦労、紆余曲折のようなものがあったのではなかろうか。

こぼれネタ1:四重奏の曲目でアルトサックスを吹いているフーシェクールとは、実はあのオペラ歌手として有名なジャン=ポール・フーシェクールと同一人物なのだ!サックス科を出てオペラ歌手って…一体フランスの音楽教育って、どういうシステムなんだろうか。

こぼれネタ2:第一次世界大戦後のパリ国立高等音楽院の歴代教授は、マルセル・ミュール、ダニエル・デファイエ、クロード・ドゥラングルと続いているが、彼らがソプラノ・サックスで参加した団体で共通してレコーディングしている作品が、ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」、シュミット「四重奏曲 作品102」の二曲。この録音でプレイリスト作ると、サックスの歴史が一気に俯瞰できて面白いです(笑)。

2006/12/15

第一組曲

タイトルの「第一組曲」とはホルストの第一組曲のこと。一月のとある本番に向けて、ホルストの「第一組曲」テナーサックスパートに参加している。昔から好きな曲だったけれど、遂にここまでマトモに吹く機会がなかったため、ちょっと嬉しい。

「シャコンヌ」「間奏曲」「マーチ」から成るほんの10分ほどの小品。しかし、譜面を前にして、改めてこの曲の凄さを感じている。ここまで厳格に構成され、加えて音楽的にも優れ、さらにメロディアスで、感動的で、かつポピュラリティを確保したような吹奏楽曲って、ちょっと他には見当たらない。演奏効果と単位時間当たりの音符の数の比率を、むりやり定量的に表してみれば、どんなに大きな値をとるというのか。

ホルストがこの曲を吹奏楽(というか、Military Band)のために残してくれたのは、私たちにとって幸福なことだったと思う。いわゆる吹奏楽の「古典的」作品は、これとあとヴォーン=ウィリアムズの「イギリス民謡組曲」くらいか?こういった作品を取り上げ、こそ、真に意義のあるプログラムになる、とは思うのだが、世間のトレンドから言えば難しいのだろうか。いっそのこと、来年のコンクール課題曲を「第一組曲」にすれば(笑)。

現代に蔓延する吹奏楽曲は、ユニゾンをパリッと鳴らして、難しいフレーズの迫力にまかせて…そんな感じで客に聴かせてしまうのは簡単だろう。「第一組曲」はそういったゴマカシが効かないぶん、苦手意識はあるが、やりがいはあるというものだ。

2006/12/12

蓼沼雅紀氏、リサイタル情報

若手のサクソフォーン奏者で、埼玉や東京を中心に活躍している蓼沼雅紀氏というプレイヤーがいる。とある縁で知り合って以来、ちょくちょくお世話になっているのだが、この週末、渋谷アクタスのセルマー・ジャパンにてリサイタルを開く、との案内を頂いた。

テクニックも凄いのだが、特に蓼沼氏の「音」には生で聴くたびに驚かされる。現代のサックスの音色は、軽いほうへ、軽いほうへと向かっているのは周知の事実。この傾向は、サックス界の潮流からすればごく自然なことなのだろうが、曲によっては物足りない感じがしてしまうことはあるもの。

ところが蓼沼氏、若手のサックス吹きとしては珍しく、ずいぶんと輝かしく豊かな音色を持っているのだ。氏自身も、現代の「軽い音色」に何かの違和感を感じ、試行錯誤しながら自分なりの音色を作ってきたようである。今回のプログラムは、イベール、デニゾフ、シューマンなど、その豊かな音色が堪能できる作品ばかり。楽しみ。

・蓼沼雅紀 サクソフォン・コンサート
出演:蓼沼雅紀(sax)、遠藤直子(pf.)
2006/12/17(日)15:00開演 渋谷アクタス6F・アンナホール
入場料:2000円(全席自由・要予約)
曲目:カントルーブ「オーヴェルニュの歌」、デニゾフ「ソナタ」、シューマン「アダージョとアレグロ」、イベール「室内小協奏曲」
問い合わせ:株式会社アクタス セルマー・ジャパン(03-5458-1521)
http://www.nonaka.com/actus/selmer/news/concert.html

2006/12/11

ジェローム・ララン氏再来日(追記)

誰もが知っている吹奏楽情報誌「バンド・ジャーナル」の毎号の表紙は、著名な音楽家の写真によって飾られる…とは、以前の記事に書いた(→http://kurisaxo.blogspot.com/2006/06/8.html)。今月はなんとジェローム・ララン Jerome Laran氏!

そういえば、高校生だった頃に見たバンドジャーナルのとある号で、ソプラノサックスを吹いている若い外国人プレイヤーが表紙を飾ったときは、「これ誰?」と思ったものだった。サックス界の情報を知るにつれて、なんとその奏者はアレクサンドル・ドワジー Alexandre Doisy氏だということを知り、たまげたっけ。なぜか、そのことを思い出した。

ララン氏はサクソフォン・フェスティバル2006に合わせて来日し、原博巳氏とのデュオで鈴木純明「アンチエンヌ」、クリスチャン・ロバ「アルス」を演奏するとのこと。24日の「A協会員によるコンサート」のプログラムに組み込まれているのだろうか。この2人のデュオは今年7月の大泉学園の演奏会でも聴いたが、「アンチエンヌ」で息のあったソプラノサックスの二重奏を奏でていたのが印象的。

世界サクソフォン・コングレス、アンナホールでのリサイタル、大泉学園でのリサイタル、キャプヴェルン・レ・ヴァン国際音楽祭…誕生して間もないデュオだが、今度はどのような演奏を聴かせてくれるのだろう。再演を重ねたとされる「アンチエンヌ」、そして未だ冒頭の一分間しか聴く機会に恵まれない(→http://www.reedmusic.com/audioindex/l.html)クリスチャン・ロバの「アルス」。このデュオは聴き逃せない!

(デュオ名はDuo Laran-Haraだが、ある人曰く「はららんデュオ」に改名してほしい、とのこと(笑))

2006/12/09

オーヴェルニュの歌

民謡を題材にとった作品、もしくは民謡を模した作品は、サックスの世界にも数多く存在する。ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」、モーリス「プロヴァンスの風景」、ジャンジャン「四重奏曲」、プラネル「バーレスク」、アブシル「ルーマニア民謡の主題による組曲」…。

現代のサクソフォンの音色はどちらかと言えば雄弁で、コンサートホールのために大音量&豊潤な音色に向けた改良が加えられてきた事もあって、民謡の素朴な旋律を紡ぎ出すには適していないようにも思える。20世紀中期以降に作られた、ネオ・ロマンティック作品や、コンテンポラリー作品こそ、サクソフォンの音色、機動性などを十分に生かし、この楽器の性能を引き出してくれるものだと思い込んでいた。

ところが…「サックスで民謡」って意外なほどにマッチして聴こえるのだ!ちょっと鼻にかかったような高音、そしてサクソフォンが本来持つ「粗野」のような部分が、人間の営みから生まれた旋律を奏でるのに、ピタリと当てはまるように感じる。上に挙げた作品群を聴いてみると良い。サックスより「素朴な音色」をしていると思われるクラリネットやフルートで、これらの作品をやったとしても、サックスで演奏する以上の効果が上がるとは思えない。

前置きが長くなったが、タイトル「オーヴェルニュの歌」、伊藤康英先生の手によりサックス+ピアノ、またはサックス+ピアノ+弦楽四重奏のために編曲された作品。編曲委嘱は雲井雅人氏で、サックスはソプラノとアルトを持ち替えて演奏する。オリジナルではないのだが「サックスで民謡を演奏」というジャンルの中では、私見では最もツボにはまった作品の一つだと考える。

本作品は、もともとはソプラノ(声楽)とオーケストラのために書かれた。作曲家、音楽研究家であったジョセフ・カントルーブ Joseph Canteloube がフランス中央オーヴェルニュ地方の民謡を収集し、オーケストラと女声独唱の全四巻からなる曲集として出版し、人気を博したもの。あのキリテ・カナ・ワによる録音も存在する。

この響きに注目した雲井雅人氏の着眼点、そして伊藤康英先生の巧みなアレンジによって生まれ変わったこの作品。アルト・サクソフォンが憂いを帯びたフレーズを歌えば、ソプラノ・サクソフォンは楽しそうに牧歌的な風景の中を転げまわる。楽器をチェンジしてまで生み出される、この多彩な音色の変化。響きは華やかなのだけれど、同時に根底に流れている人間っぽさを感じさせるのは不思議だ。

雲井雅人氏のサックス、伊藤康英先生のピアノ、そしてムジクケラーの弦楽器奏者たちによるライヴ盤がこれ「The Dream Net(Cafua CACG-0022)」。目の前にぱあっとのどかな風景が広がるような、華やかな演奏。たった6人の編成は小さいけれど、オーケストラ的な色彩感をここまで再現していることに驚かされる。

雲井さんが最近この編成でコンサートをやった、という話を聞かないなあ。この響きにはライヴで溺れてみたいものだが、さて…。あ、12/20は新アルバムの発売日だ!楽しみなり。

2006/12/07

リードセール

昨日モレティ氏のコンサート前に立ち寄った西新宿のドルチェ楽器(→http://www.dolce.co.jp/tokyo/)で、いまリードが通常価格の30%オフ!や、安すぎないか?普段1700円くらいで買っているテナーサックスのリードが、1200円くらいで買える…と考えるとかなりのお得感が。12/29までとのことで、東京近辺の方はこの機会にまとめ買いをいかがでしょうか。

って、何を宣伝しているんだ、自分は(笑)。サクソフォーンフェスティバルの会場でもドルチェ楽器さんは出店するようで、もしかしたらそこでも安く買える…かも?

2006/12/06

ファブリス・モレティ リサイタル

旧東京音楽学校奏楽堂で開かれた、ファブリス・モレティ Fabrice Moretti氏のリサイタルに行ってきた。三年前にアルバム「SONATA!」を聴いたときから、ずっと「生で聴きたい!」と思っていたサクソフォン奏者。今日、ついにその機会がやってきた。

会場の奏楽堂は、重要文化財に指定されているレトロな雰囲気の建物。ちょっと昔にトリップしたような会場で、マルセル・ミュールの楽派を伝えると言われるモレティ氏の演奏を堪能できるなんて、素敵じゃないか!洗足の文化祭とぶつかって、客入りが心配されたようだが、意外にも会場は6、7割の席が埋まっていた。

クランポンの、赤色に輝くサックスを携えて現れたモレティ氏。なんと一曲目からリュエフの「無伴奏ソナタ」。いやー、凄いや。ごくごく自然なフレージングに、幅の広いダイナミクス、豊潤な音色、そしてヴィブラートと、Crest盤のLPで聴いたデファイエの演奏が、目前にリアルタイムでよみがえっているようにも感じた。しなやかに弧を描く第一楽章の第二主題、あまりの美しさについ涙が…(大げさ?)。

そうかと思えば、単純な模倣ではないことに気付かされる。ミュール~デファイエと続いたスタイルを、さらに洗練させ、現代の聴衆の嗜好にばっちり適合させているのだ。テクニックだけみても、遜色ないどころか世界レベルだぞ、これは。ドゥラングル派の勢力が強いフランス国内で、このスタイルを確立するのは並大抵のことではない…と推測するが、実際どんなもんなんだろうか。

もちろん演奏を聴いている最中はそんな思考を巡らせる暇もなく、素晴らしい音色に溺れた1時間40分。どの瞬間を切り取っても、隅から隅まで真の一流音楽家による演奏だ!聴きに行ってよかった…(泣)。せっかくの機会だし、できればクレストンも聴きたかったなあ。

・ジャニーヌ・リュエフ「ソナタ」
・ピエール・サンカン「ラメントとロンド」
・クロード・パスカル「ソナチネ」
 -休憩-
・ヨハン=セバスティアン・バッハ「ソナタBMV1035」
・ロベール・プラネル「プレリュードとサルタレロ」
・アンドレ・シャイユー「アンダンテとアレグロ」
・林光「もどってきた日付」(ピアノ・ソロ)
・ダリウス・ミヨー「スカラムーシュ」

リュエフ以降は、ピアノの服部真理子さんとのデュオ。二人並ぶと身体の大きさはぜんぜん違うが、服部真理子さんのピアノの力強いこと!ピアノ・ソロで演奏された林光氏の作品は、メロディアスで、かといってベタベタでもない、すっきりした音楽。ピアノ・ソロのCD欲しかったなあ。

後半は、前半よりも耳に優しい曲を中心に。休憩を挟んでも、バッハの冒頭のヴィブラートを聴いた瞬間に会場の空気がすっと変わる。バッハに続くプラネルも良かった。技巧を凝らしたカデンツ部分の緊張感を伴った大きなうねりと、それに続くサルタレロの軽妙さ…挙げていけばきりがない。

アンコールは、ランティエ「シシリエンヌ」、シューベルト「セレナーデ」。いやー、ホント良かった。服部吉之先生の招きで、少なくとも一年に一回関東圏には来日しているようだ。次回も聴きにいこう!

2006/12/05

「アトム・ハーツ」ラジオ放送

吉松隆氏の「アトム・ハーツ・クラブ」シリーズが好きだ!という方に朗報…(うーん、このページを観ていただいている方の中には、そんな嗜好の方が普通にいらっしゃるかも)。

12/24(日)18:00より、NHK-FM「現代の音楽」で「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット」全曲が放送されるようだ。モルゴーアQの弦楽四重奏版か、トルヴェールQのサクソフォン四重奏版か、というのはさっぱり判りかねるが、そこは聴いてからのお楽しみということで。その他、放送予定のプログラムは「チェシャ猫風パルティータ(抜粋)」「星夢の舞」など。

自分自身は、吉松氏の作品をそれほど多く耳にしているわけではないが、「アトム・ハーツ・クラブ・カルテット」は氏の室内楽作品の中でも特に好きな作品&演奏だ。プログレ全開のアレグロ、官能的なバラード、いやらしいスケルツォ、ノリノリのブギウギ…と、形式だけ見ればコンセプトも何もあったもんではないが、一貫して感じられるのは吉松氏の「音楽への愛」。20世紀音楽界バンザイ!というメッセージが、華やかな曲調の裏に見え隠れしている、ような気がする。

そういえば、この日はサクソフォーン・フェスティバル2006の二日目。予約録音でもしておこうかな。

2006/12/04

カルロス・クライバー賛

カルロス・クライバー氏死去のニュースが飛び込んできたのは、いつのことだっただろうか。その頃はこの指揮者がナントカとか、このオーケストラがナントカとか、あまりこだわりなく各種演奏を聴いていたためか、カルロス・クライバーも、名前を聞いたことがあるくらいだった。

クライバー氏の死去が報道されて数日後のこと。ある日の吹奏楽団の練習後、伊藤康英先生とお話ししていたときに、なぜかクライバーの話になり…先生曰く「クライバーさん、本当に美しい指揮を振るよね。まるで踊っているみたい。指揮を振る姿があんなに絵になる人もいないんじゃないかな。」と。へえぇ、と感心していたのだが映像を目にする機会もなく、ついこの間、初めてクライバー氏の指揮姿を観た。1992年のウィーンフィル・ニュー・イヤー・コンサート。

驚き。「美しい指揮姿」って、こういうことを言うのか。「踊っているようだ」という形容も、なるほど納得。瞬間瞬間の動き(静止画ではなくて、あくまで動き)の美しいこと…!

この指揮、まさか最初から「ここは右手を振り上げて、その直後に左手をすくい上げる!」なんてプランを練ってから…なんてことはないか(笑)。そうでないとしたら、恐ろしいほどのセンスだ。シュトラウスの音楽がそのまま指揮の姿に変わってしまったように、自在に全身で音楽を表現する。あまりに自然な振り方、オーケストラと一体となった呼吸が、演奏からも映像からも感じ取れる。

「指揮」というオーケストラの中での役割の、ある種理想的な形を見た気がした。これ一つが「指揮」の形ではないけれど、クライバー氏の姿は説得力がありすぎだ…。

2006/12/03

アンドレ・ブーン氏のCD

昨日渋谷に行ったついでに、タワレコで買ってきたCDがこれ。何気なくCDを手に取った後の、思考の流れはこんな感じ。「なんか怪しいジャケットだなあ」→「ブートリーのディヴェルティメント入っているんだー」→「何これ、作曲者自身がピアノ弾いているの?」→「サックス吹いているAndre Beunってどこかで聞いたことあるような」→「あ!!もしかして…」。

良く良く思い出してみれば、ギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団の奏者としてのクレジットを見たことがあるプレイヤーだった。がぜん興味が沸き、早速購入。アルバム名は「Saxophonie(Corelia CC 896782)」。そういえばCoreliaレーベルって、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のCDをたくさん出版しているじゃないか。その辺りのつながりなのかな。

・ブートリー「ディヴェルティメント」
・ドゥルルー「プリズム」
・ゴトコフスキー「悲愴的変奏曲」
・トマジ「バラード」(吹奏楽伴奏)
・ベルナール「6つの小品」
・シャヴェリエ「イリス」

早速聴いてみた。現代のサクソフォンとはかけ離れた、華やかな音色や深いヴィブラート。こういうの、結構好きです。現代にあってはなかなか耳にすることのできない演奏…かなり貴重かも。また、ほとんどの曲で作曲者自身がピアノを弾いているのだが、一曲進むごとにスタイルががらっと変わり、面白い。

ギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団時代のブーン氏に関してはこちら。かつて東芝EMIから発売されていたLPで、「サキソフォン四重奏の魅力(東芝EMI EAA-85052)」というアルバムがある。ミシェル・ヌオー氏がソプラノを務め、アンドレ・ブーン氏はアルトパートを吹いていたのだ。左下でアルトを構えている人物が1970年代のブーン氏。上のCDジャケットの写真と比べると、ずいぶん若い(あたりまえか)。

このLPは昨年の入手以来、MDに録って聴きこんでいた。録音環境が悪いものの、時代を感じさせるフランス流の華麗な演奏で、「異教徒の踊り」中間部などの随所に聴かれるブーン氏の音が、けっこう好きだったのだ。

2006/12/02

平野公崇氏のミニ・コンサート

つくばから、高速バス往復&JR一日フリーが2000円(!)という破格の交通手段を使い、聴きに行ってきた。平野さんの生の音を聴くのは、昨年の洗足マスターズ・コンサート以来。

最近発売された「シンフォニア(Cryston OVCC-00034)」というC.P.Eバッハ作品集の発売記念コンサート、というふれこみ。それにしても、コンサートを聴いた全員にCDプレゼント!とは…これまた大胆な催しだ。急遽決まったコンサートのことで、客入りが心配されたようだが、会場はほぼ満員だった。

曲目は、「シンフォニアニ長調」と「『スペインのフォリア』変奏曲」。曲間に平野さんのトークを交えつつ、和やかに進行。アンコールは大バッハの「G線上のアリア」即興。コンサート終了後にはクリニック(自由質問タイム?)と、サイン会も行われた。

しかし、これは生で聴いて良かったなあ。平野さんのふくよかなソプラノ・サクソフォンの音と、バロックのメロディが持つどこか陰鬱な表情が、絶妙にブレンドされていたのだ。そこへさらに平野さんの発する「気」みたいなものが重なり、ちょっと異次元風サックス体験(笑)。この人は本当に、CDで聴こえない部分が多すぎる…。

「ラ・フォリア」では冒頭の主題の一音目が奏でられた瞬間に、震えた。

それから、即興的なフレーズを表現するのに、ソプラノ・サックスという楽器がこんなに適したツールだったとは!ほとんど極限的な高速フレーズを駆けずり回るサックスは、その場でフレーズを生み出しているかのようにも聴こえた。

2006/12/01

急ですが

明日(12/2)、セルマー・ジャパンのアンナホールで開かれる、平野公崇氏のミニ・コンサートに行くことになった。開演は14:00。

つくばからならば、関東鉄道のバスを使えば往復運賃+JR東京近郊乗り放題が2000円で、コンサート自体の入場料は(当日ACTUSメンバーに入会すれば)1500円か。しかもバッハの作品が入ったニュー・アルバム「シンフォニア(Cryston)」がご来場の方にプレゼント!されるらしい。ちょっとお得な感じ満載なので、行ってきます。

東京近郊の方で、まだ平野さんのアルバムを買っていないアナタ!ぜひどうぞ。どうやら予約必須のようだが。お問い合わせ&お申し込みは株式会社アクタス・セルマージャパン(→03-5458-1521)まで。噂では入場料タダ、CDプレゼントなし、というプランもあるとか…ホント?

なんだか、アクタスの宣伝みたいになってしまったぞ。まあいいか。

2006/11/30

北欧のサックスCD

あまり知られていないことではあるが、北欧のサックス界は、1990年代から多くの名手を輩出している。その驚異的な演奏レベルの割に、あまり日本では知られていないのが惜しい(ありがち)。そこで、彼らが録音したCDの中から、いくつかをご紹介したいと思う。

一つ目は、スウェーデンの作曲家、ラーシュ=エリク・ラーションが作曲した「サクソフォーン協奏曲作品19」が収録されたディスク(Caprice CAP21492)。ラーション作品集というフレコミであるため、サックス系統の録音一曲に数千円は痛い出費だが、これは外せまい。独奏は、フランスでジャン=マリー・ロンデックスにも師事したクリステル・ヨンソン Christer Johnson。現在はスウェーデンで活躍する奏者である。

本アルバムで取り上げられているラーションの協奏曲は、往年の名手シーグルト・ラッシャーに捧げられた20分程度の作品。曲中のここぞ、という場所でフラジオ音域が多用されいるためか、至極演奏困難な作品として見向きもされなかった。しかしここ最近の演奏テクニックの向上に伴い、管打楽器コンクールの本選課題曲として使われたり、アドルフ・サックス国際コンクールの本選選択曲として使われるなど、人気を博している。

ラーション「協奏曲」はこの他にいくつか録音は存在するのだが、このヨンソン氏の録音が現状では最高のものではないだろうか。驚くほどしなやかな音色、安定したテクニック。ここまで洗練された音色の持ち主は、なかなかいないのでは?ソロに拍車をかけるようにオーケストラも大変上手で、録音も良い。日本では無名なプレイヤーにもかかわらず、この演奏の質!最初に耳にしたときは、驚きを通り越して唖然とした。

二つ目は、サクソフォン・コンセンタス Saxofon Concentus というサクソフォーン四重奏団のファースト・アルバム「Premier Quatuor」。デンマークで活動する四重奏団で、今までに二つのアルバムを発表。コンサートや新作委嘱なども、精力的に行っているようだ。

黎明期のサンジュレ、中期のシュミット、現代のゴトコフスキーと、サクソフォン四重奏の響きの歴史を一気に俯瞰できるのが嬉しい。フランスのレパートリーといえば、世界中の四重奏団が演奏&録音を繰り返しているが、それらと比べても遜色ないのは、驚くべきことだ。

高レベルな四重奏団で、洗練されたサウンドとテクニックが素敵。どの演奏にあっても、余力の抜けたリラックスした響き。聴いていて疲れる演奏というものは世の中には多々あるが、シュミットやゴトコフスキーのような難しい曲でも、楽譜の表面上の再現に終わらない、余裕ある演奏が楽しめる。

三つ目は…極限のサックス。演奏はヨリエン・ペッテション氏というスウェーデンのプレイヤー。おそらく奏者と親交の深い、北欧の同時代の作曲家への委嘱作品を集めたディスク「Saxophone Con Forza」。この「Con Forza」はどうやらシリーズもののようで、「Trombone Con Forza」など、ショップで見かけたこともある。

これはとにかくすごい。様々な室内楽形態(無伴奏、声楽・ギター・ピアノとのデュオ、ピアノ三重奏、テープ)によるサクソフォーンのための高難易度作品を、次から次へとこなしてゆくペッテション氏。楽曲がハードなら演奏もハードで、ほとんど極限的な演奏技術を見せ付けられる。ディスクの最後に置かれたフェリエ「Tio Stupor」は、テクニックに次ぐテクニックの連続で、開いた口が塞がらない…。

しかし、ディスク全体はただの技巧の見本市ではない。きちんとした音楽の流れがあり、そして美しい音色が随所にあふれていることが、価値を高めていると思う。確かに難解ではあるけれど、見通しが良くて、ただのワケノワカラナイ現代音楽のようには聴こえない。曲ももちろんだが、ペッテション氏の高度な演奏によるところも大きいのだろう。

以上三枚。北欧のサクソフォン界を代表する(と思われる)アルバムをご紹介した。フランスや日本だけでなく、世界には他にも素晴らしいサックスがあるんだぞ、ということで、ぜひ耳にしていただきたいと思う。まとめかたがベタだなあ…。

2006/11/28

リュエフ「ソナタ」

ジャニーヌ・リュエフの「ソナタ」。無伴奏曲のための古典的作品としては、ボノーの「ワルツ形式によるカプリス」と並んで高名なものの一つだ。

1922年パリに生まれ、作曲をビュッセルに師事、1948年にローマ大賞を受賞。女流作曲家。サクソフォンの世界とジャニーヌ・リュエフとの関わりは結構深いもので、 CDのライナーノーツを読んでみて驚いたのだが実は彼女はパリ国立高等音楽院でマルセル・ミュールのクラスの伴奏者を務めていたことがあるそうだ。「ソナタ」はミュール退官後にサックス科の教授がダニエル・デファイエに交代し、そのころに書いた作品だ。

1967年に当時の名手デファイエに献呈された、無伴奏アルト・サクソフォンのための曲。特殊な技巧を必要とするところは一切なく、演奏に際しては純粋に奏者の技量が試されるのだが、名曲の割りに録音が少ないところを見るとプロ奏者でも難しいのかな、と思ってしまう…(そんなことないか)。三つの楽章からなり、第一楽章ではリズミックな主題が面白く聴かれ、第二楽章は一転、静かな部分から徐々に頂点へ向かってゆくシャンソン。そしてなんといっても第三楽章、曲を挟む形で存在するスラーのパッセージの速いこと!

ところで実はこの曲、特に第二楽章はリュエフがデファイエを想う愛の歌(!)、だという噂がある。いや、本当に根も葉もない噂であるし、真偽のほどは、今となっては知る由もない。しかし仕事上で比較的近い位置にあった二人が、私的にはどんな関係だったのか…というのは、興味あるところだ。

それは、楽譜の最初に記された献呈辞からも読み取ることができる。「A Daniel Deffayet en toute amitie」…つまり、for Daniel Deffayet with totally friendshipである。こういった、「en~」付きの献呈辞はなかなかお目にかかれるものではない。それに、女性から男性へ向けて献呈された作品が「無伴奏」という演奏形態である点も、いろいろ考えさせられるものがあるではないか?

ファブリス・モレティ氏のCD「SONATA!(Momonga Records)」やケネス・チェ氏の「Sonate(RIAX)」、そして国内奏者のものでは、須川さんの「Exhibition of Saxophone(EMI)」など、最近になってようやく入手しやすいCDが増えてきた感がある。とくにモレティ氏の演奏は、師匠デファイエ譲りの美音と超絶テクニックが堪能できる一級品のディスクで、イチオシ。チェ氏や須川さんの演奏も良いのだけれど、どちらも録音が悪いのが玉にキズ。

もし機会さえあれば、デファイエ自身の演奏(Crest)も聴いていただきたい。1970年代に、この曲の完成形を提示してしまった、恐るべき録音だ。上記のエピソード(というか、噂か)を知りながらこの演奏を聴けば、第二楽章の聴こえ方が変わってくる…かもしれない。

2006/11/27

No Man's Land

以前投稿した記事(こちら→トンでもないCD) に書いたCDをゲットしたのでご紹介。結局、とある知人を通じて音だけ入手することになった。

1. フランク・ザッパ - FZ for Alex (originally for Saxophone?)
2. フィル・ウッズ - ソナタ (originally for Alto Saxophone)
3. グラハム・フィトキン - GATE (originally for Soprano Saxophone)
4. エンリコ・ピエラヌンツィ - Elisions du Jour
5. パクイト・ドリヴェラ -小組曲 (originally for Saxophone?)
6. 吉松隆 - ファジイバード・ソナタ (originally for Alto Saxophone)
7. カルロ・ボッカドーロ - エレジー マイルス・ディヴィスの思い出に (originally for Trombone?)
8. フランコ・ダンロレア - トレント

アレッサンドロ・カルボナーレ Alessandro Carbonare 氏(クラリネット)と、アンドレア・ディンゴ Andrea Dingo 氏(ピアノ)のアルバム「No Man's Land(CVLD07000)」。カルボナーレ氏と言えば、リヨン歌劇場管弦楽団やフランス国立管弦楽団、スーパー・ワールド・オーケストラの主席を務め、ソリストや教育者としての名声も高い有名な奏者。何年か前に知人が来日時のコンサートを聴きに行ったらしいが、それは良いコンサートだったとのこと。ブラームスのようなロマン派には、イタリア人ならではの「歌」で、そして現代モノには圧倒的なテクニックと美音でと、とにかく器の広い奏者なのだ。

そしてこのCD。セルマーのサポートを受けて、2003年に録音・発売されたアルバムだそうだ。もう何度か聴いたけれど、こいつは凄い!最近聴いたCDの中では、いちばんのヒット。

何が凄いって、まずサクソフォンのために書かれた曲をBbクラリネットで演奏してしまっていること。須川さんの演奏で慣れ親しんだ、あの吉松隆「ファジイバード・ソナタ」がBbクラリネットで演奏されているのだ!ちょっとサックスをかじったことのある人であれば、衝撃的ではないか?

ファジイバードだけではない。フィル・ウッズ「ソナタ」に、グラハム・フィトキン「GATE」、ジャズサックス奏者のドリヴェラ d'Riveraの作曲した「小組曲」と、フランク・ザッパのメドレー「FZ for Alex」…クラシックの範疇を超えながらも、一貫してコンセプチュアルなプログラム。この選曲のセンスは、他のクラシック・クラリネット吹きには到底、真似できないだろう。

クールでカッコよくて、クラシックなのかロックなのかジャズなのか…こういう世界はサックスの独壇場であるとばかり思っていたが、クラリネットでもできるんだな(しみじみ…)。失礼ながら、こんなに幅広い表現を持っている楽器だとは思いもしなかった。

吉松、ウッズ、フィトキンの作品はサックスで聴いたほうがさすがにしっくり来ると思ったが、これはこれでクラリネットがクラシックを飛び出した形態の極限形と断言できる。演奏テクニック、ノリ、即興演奏、音色、どれをとっても文句のつけようがないすばらしいCDだ。

フィトキン「Gate」はオリジナルのソプラノ・サックス版の演奏を聴いたことがないが、ここでのカルボナーレ氏の暴れっぷりはすさまじいの何の。アルバム収録曲中で白眉の演奏だと思う。ウッズやファジイバードの即興部分も聴きモノ(サックスではこうは吹けないだろうな)。ザッパのメドレーは特殊奏法も生かしながら、ネジが一本外れた感じを表現しているし、小組曲での愉悦感も楽しい。

あらゆるクラリネット吹きにオススメ。クラリネットを見る目が変わるとはこのことだ。サックスを吹いている方も、ちょっとキワモノを聴いてみたい方はどうぞ(笑)。

日本語でこのCDについて書かれたページが見つからなかった。日本ではまだほとんど知られていないCDなのだろうか?もったいないなあ。

2006/11/26

アマチュアの演奏の価値?

アマチュアの演奏を、わざわざお金を払って聴きに行くことの目的は何なのだろうか。特に吹奏楽の世界では、コンクールやアンサンブルコンテストの全国大会に行くと、びっくりするほどの満員で、たくさんのお客さんが演奏を楽しんでいる。その熱気は異様なほどだ。また、吹奏楽が有名な学校のコンサート。入場料が1000円を超えるにもかかわらず、チケットは売り切れ、開演前には長蛇の列ができる。

…しかし、自分の感覚からいえば入場券を買ってコンクールやコンサートを観に行こうという気にはなれないのだ。誰か知り合いが出場しているとか、応援が目的だとか、毎日吹奏楽を聴かないと禁断症状が出るだとか、そういうのなら事情が分かるけれど、 果たして吹奏楽を楽しむのに、高価なアマチュアの演奏会に出かける必要があるのだろうか?

1000円以上のお金を払って音楽を聴きに行くくらいなら、絶対プロの演奏を聴いたほうが満足できると思うのだがなあ。それでこそのプロだし、演奏は比べ物にならないだろう。

とまあ、しかしそんなことばかりを言っていたら、最終的には私たちアマチュアの発表場所がなくなる。アマチュアの存在価値すらなくなってしまうのだが。

2006/11/25

NSF最新号

ノナカ・サクソフォン・フレンズ最新号(第18号)が、PDF形式でアップされていた(こちら→(http://www.nonaka.com/j/new/nsf_report/index.html)。内容はセルマー寄り…当たり前か。しかしこういった冊子が無料で読めるのは、大変ありがたいことだ。

原博巳氏の世界サクソフォン・コングレスのレポートなど、楽しい記事が多い。

2006/11/24

デニゾフ「ソナタ」の別アプローチ

平野公崇氏のデニゾフ「ソナタ」第3楽章ジャズアレンジ。

「こりゃあおもしろい!」 この曲をジャズ風に編曲するということのアイデアの奇抜さ、それに演奏者一人一人の技術の高さ。 このトラックを初めて聴き終わった後しばらく、興奮が冷めなかったのを鮮明に覚えている。それに、この演奏を聴くまでは原曲はあまり 頻繁に聴かなかったのだが、この演奏に接した後に改めて聴きなおすといろいろな妙技が散りばめられているのに気づいて今ではお気に入りの曲の1つになってしまった。

エディソン・デニゾフ。シュニトケやグバイドゥリナと並び近現代ロシアを代表する現代音楽作曲家の一人である。最初数学を専攻していたが、モスクワ音楽院でショスタコーヴィチに師事し頭角を現す。カンタータ「インカの太陽」で国際的に広く知られるようになり、その後モスクワ電子音楽スタジオなどで 自由な作風で活動を続けた。

「ソナタ」は1970年、フランスの名手ロンデックスに献呈された。古典的なアレグロ→レント→アレグロのソナタ形式でまとめられている、三つの楽章からなる ピアノ伴奏つき独奏曲。当時サクソフォンのレパートリーはアカデミックなものに限定されており、これに危惧を感じたロンデックスはデニゾフに現代の書法に よるサクソフォン曲を委嘱、世界で初めてサクソフォンのための現代曲が誕生することとなった。委嘱に際してロンデックスは特殊奏法を作品に織り込むことを合わせて 依頼したため、演奏には重音奏法、フラッタータンギング、微分音、スラップタンギングなどの技術が不可欠である。

今回紹介している演奏は、第3楽章の伴奏をクリヤマコトがアレンジしたもの。モダンジャズの影響下にあったデニゾフの当時の作風を極限まで引き出した見事な編曲である。 ノリのよいトリオの伴奏に乗って楽譜どおりに走るサクソフォンが破綻のないスマートな演奏を繰り広げ、曲に合わせて自然と興奮してきてしまう。

原曲を知っている人は「この曲の面白さってこんなところにあったんだ!」と再認知できるはず(というかやはりドゥラングル演奏の原曲をたっぷりと 堪能してからこちらの演奏に接してほしい)。アレンジ、演奏ともども、「曲の面白さを引き出すってこういうことなのか」と思わせてくれる。

ブログへ乗り換え

「ダイアリー」をブログへ移行しました。本当は、過去ログを全て移し変えた後にリンクする予定だったのだけれど、早速Googleにクロールされてしまったので、仕方なく中途半端な状態で公開。

しばらくは過去ログの移行作業のため、更新が滞ると思います。

モレッティ氏、今年のリサイタル情報

ファブリス・モレッティ氏の 、今年12月のリサイタル情報を教えていただいたので12/5まで載せておこう。

昨年こそは聴こうと思っていたのだが、あいにく都内でのリサイタルが行われず、さらに忙しい時期と重なったこともあって聴けずに悔しい思いをしたのだ。今年は来日しないのか…と思い込んでいたので、このリサイタル情報はうれしい!(情報提供ありがとうございましたm(__)m)

いくつかのCD(ソロ、四重奏)を聴く限り、デファイエがミュールから継いだ伝統的なフランス・アカデミズムを21世紀に伝える大変稀な奏者。クランポン吹き(珍しい!)。音色が美しい上に、とてつもなく上手い。サックス吹きとして、これは聴かなければ大損でしょう!

あの服部吉之先生とは留学当時から親交があるそうだ。以前モレティ氏の話を伺ったところ大絶賛していた。

追記:PDF形式のポスターもらったので、リンクを張っておきます(こちら→リサイタルポスター)。
どうやら洗足学園の学園祭前夜祭と日程がぶつかっているらしい…。しばらくトップに貼り付けておきます。

・ファブリス・モレッティ サクソフォンリサイタル
出演:ファブリス・モレッティ(sax)、服部真理子(pf.)
2006/12/6(水)19:00開演 上野公園内奏楽堂
前売り:3000円 当日:3500円
曲目:リュエフ「ソナタ」、サンカン「ラメントとロンド」、パスカル「ソナチネ」、バッハ「ソナタ第6番」、プラネル「プレリュードとサルタレロ」、シャイユー「アンダンテとアレグロ」、ミヨー「スカラムーシュ」
問い合わせ:モモンガラボ(048-810-2332)
order@momonga-lab.com
http://momonga-lab.com/

2006/11/19

スタイルのるつぼ

 平野公崇氏、雲井雅人氏のアルバムを買うのが楽しみでならない今日この頃。雲井氏のアルバムが発売(12/20)されてから、まとめて買ってしまおうかな。

日本には、本当に多種多様なサクソフォニストが活躍しているものだと思う。CDショップの棚に並んだCDを一枚一枚手にとって、プログラムを見ていくだけで、奏者たちが取り組むレパートリーの多様さに驚き、いざ音を耳にすれば、その音楽的アプローチの違いや、音色の違いに驚く。

何年か前のサクソフォン・フェスティバルのメインプロで、雲井雅人氏、平野公崇氏、原博巳氏がそれぞれ、自分の好きなプログラムを持ち寄って、30分程度の演奏を行う、という企画があった。いずれも日本を代表するサクソフォニストということで、どの演奏も鮮烈な印象を受けたものだったが、それ以上にここまで各個人で演奏スタイルが異なるものかと、驚いた。

しかしこのレベルになってくると、既にサックスをコントロールする技術云々とか、普段私たちが気にしているつまらないことよりも、演奏家の個性というものが重要になってくるのだと感じた瞬間だった。目を閉じて聴いても誰の演奏か判るとは、まさにこのこと。

そのフェスティバルの催しをさらに面白くした要因が、曲の選択をプレイヤーに一任したことだったと思う。雲井氏=マズランカ、平野氏=ローバ&ヒンデミット、原氏=フランク、これほどツボにはまる組み合わせをまとめて聴く機会も、なかなかないのでは。演奏家の個性は、演奏そのものだけではなく、その人の音楽活動全てに表れる。

さて、まさにサックスの「るつぼ」である日本のサクソフォン界の現状を作り出した原因は何か?というと、フランス、アメリカ等への留学文化の賜物だろうか。 海外の特定の国のサクソフォンは、例えばフランス、イギリス、アメリカなどは、自分自身のなかでは「こういうものだ」という定義みたいなものを連想してしまうのだが、その特徴がそのまま日本に持ち帰られて、国内にエクスクラーフェンのような海外サックスのミニ文化を作り出したのだろう。

そういったところで、多種多様性ばかりで日本のサックスの独自性は?と言われると、「そういえばどこにあるんだろう??」と答えざるを得ない。その辺は、今後に続く奏者たちが創り上げていくのだろうか。

なんだか読み返してみると、ずいぶんまとまりがないぞ(汗)。

2006/11/18

トンでもないCD

アレッサンドロ・カルボナーレ氏と言えば、言わずと知れたクラリネットの名手だが…。今日インターネットを徘徊していたところ、氏のCDの中に、トンでもないものがあるらしいことが判明。

な、なんと、



吉松隆「ファジイバード・ソナタ」&フィル・ウッズ「アルトサクソフォン・ソナタ」をBbクラリネットでやっちゃったアルバムですよ、奥さん!!

し、信じられない。アルトサックスのために書かれた作品としては、両方ともかなりカッコいい名曲だが、それをまさかクラリネットでやったアルバムが存在するとは…。え、常識だって?ちなみにアルバムタイトルは「No Man's Land」。

これ、聴いてみたいなあ(久々に物欲燃焼)。探してみよう。

2006/11/17

Rob BucklandのCD

「イギリスのサクソフォン」に新着資料。なかなか鮮烈なレコーディングだったので、ページに加える前に、とりあえず速報を…。

ロブ・バックランド Rob Buckland氏のソロ・アルバムで、「Towards the Lights(Quartz QTZ 2020)」というCD。「ロブ・バックランドって誰だ」という方には、アポロ・サクソフォン四重奏団のアルト奏者、といえば分かるのではないだろうか。イギリスのサクソフォン界の中でも、比較的若いサクソフォニストである。

詳しいレビューは「イギリスのサクソフォン」ページに回すとして、雑感を少々。

イギリスのサクソフォン奏者って、どうしてこうも上手いのかなあ…。使っている楽器は、師であるジョン・ハールの影響か、ヴィンテージ(セルマー)。昔の楽器よりも現代の楽器のほうが性能が良いわけで、その点から言えばヴィンテージ・サクソフォンというのはけっこう演奏上の制約があるものだと考えるのだが。それを全く感じさせない演奏…。

そして、このエモーショナルな音色と独特のヴィブラート。日本やフランスのサックスとは、そもそも根本的な発音の方法が違うのが良く分かる。肺と楽器の間に何も抵抗がないのか?日本のコンクールなどでは、特に迎合されなさそう。

楽曲の山場のフォルテ部分って、日本人だったら普通は響かせよう響かせようと思って吹くものじゃないだろうか?そうではなくて、とにかくサックスを震わせようというブレス・コントロール。だから息はストレートにどんどん入るし、ヴィブラートなどによるごまかしが全くきかないのだ。初めて聴くとかなりびっくりするが、これこそイギリスのサックス!曲のツボにはまると、これほど魅力的な音色は他にない。

吉松隆「ファジイバード・ソナタ」が入っているのが楽しい。自分に刷り込まれているのは須川さんの演奏だが、ババックランド氏の演奏はそれに勝るとも劣らないかっこよさ。ピアニストのノリもすばらしい!殊更にテンション・ノートを強めに弾き、和音が重なるところなど完全にジャズ化させているあたり、本当にクラシックの人かな…と思ってしまうほどだ。

アンディ・スコットの作品(サックスとヴィブラフォンのデュオ)は、これエマーソン・レイク&パーマーそのまんまでしょ、というツッコミを入れたくなる。まさにプログレッシヴ・ロックの影響ですなあ。

タワレコで買ったところ、ちょっと高かったが(\2,510)、このれはなかなかの逸品ではなかろうか。

2006/11/15

Bloggerへ移行

この「ノート(ダイアリー)」だが、状況によってはGoogleのツールの一つであるBloggerへの移行をする…かもしれない。というのも、「Bloggerのバージョンアップが近い」と各所で囁かれているため。現在のBloggerにはあまり魅力を感じないが、徐々に洗練されてゆくGoogleのツール群はどれも魅力的だ。 

もしGoogleがWebスペースサービスを提供し始めたら、間違いなくメールアドレスからWebページまでYahoo!から全部引っ越すのだがなあ。

本日、ピアノ四重奏のスコアが到着。ピアノ四重奏とは言っても、[violin, viola, cello, pf.]ではなくて[ssax, asax, tsax, pf.]。とある編成の組曲の編曲譜である。曲名はまだ伏せておくけれど、この編成を見ただけで何の曲の編曲譜か分かってしまう人も、もしかしたらいるのではないだろうか…。とても素敵な曲です。 さて、怒涛のパート譜起こしだっ。

2006/11/14

ジェローム・ララン氏、再来日

フランスのサックス奏者であるジェローム・ララン氏(本人のブログ→http://www.jeromelaran.com/)は、なんと12/23&24のサクソフォン・フェスティバル2006に合わせて来日するらしい。

今年の7/19に大泉学園ゆめりあホールで聴いた「サクソフォーン旋風」は、ある意味、今まで聞いたサクソフォンのコンサートの中でも特に印象に残ったものの一つだが、今度の来日では一体何を披露してくれるんだろうか…?

聴いたことのないような魅力的な曲だろうか?それとも正統派のフレンチ・アカデミック作品?どちらにせよ、とても楽しみ!!

2006/11/12

コンクール結果速報

アドルフ・サックス国際コンクール2006の表彰式、リアルタイムで観ている(現在日本時間で8:00少し前)。

音も映像も悪くてよく分からないが、コレソフ氏一位、フェリペ氏二位、貝沼氏三位。のようだ。

レニングラード

先ほどアパートの隣の部屋からショスタコーヴィチの「交響曲第七番"レニングラード"」が漏れ聴こえてきたので、対抗して同じ曲を再生してみている(←なんだそりゃ笑)。

爆音では負けない、スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト連邦交響楽団の演奏。1978年2月18日のライヴ録音。シカゴ響の演奏を聴いて、「美しすぎて曲の雰囲気を損なっているんじゃないか」なんて思ってしまう向きにはぜひどうぞ。これぞ最強のレニングラードだと、勝手に思っています。

アドルフ・サックス国際コンクール2006終了

アドルフ・サックス国際コンクール2006が終了。参加者の皆さんはお疲れ様でした。野次馬の身ながら、二週間近くに渡って大変楽しませていただいた。

特に今回は、インターネットでのリアルタイム中継が観られる&全参加者の演奏の様子の録画が観られる(!)ということで、結果だけではなくて内容もばっちり堪能することができた。Adolphesax.comの運営者の努力の賜物だと思うが、ぜひ次回も続けていただきたい。

コンクールを通しての様々なデータ(結果や曲目など)は、個人的に以下のページにまとめた。

こちら→アドルフ・サックス国際コンクール2006非公式集計ページ

このコンクールは、もちろん奏者個人同士が戦うコンクールだとは思っているのだが…別の側面から捉えれば、参加者のバックボーンである「教育者」の戦いでもあると思っている。

第一回優勝者のヴァンサン・ダヴィッド、第二回優勝者のアレクサンドル・ドワズィー氏は、いずれもパリ国立高等音楽院のドゥラングル・クラスの出身。第三回の優勝者である原博巳氏は東京藝術大学別科の出身であるが、そのほかの入賞者はほとんどがドゥラングル・クラスの出身だった。そんなわけで、今まではドゥラングル門下圧勝という感じだったのだが(本選もドゥラングル門下対抗という感じ)、今年はずいぶん毛色が違ったようだ。

さて、ここで今回の優勝者セルゲイ・コレソフ Sergey Kolesov氏の経歴を追ってみよう。グネーシン音楽アカデミー出身で、マルガリータ・シャポシュニコワ Margarita Shaposhnikovaに師事、キエフ国際サクソフォーンコンクール優勝、サクシアーナ国際コンクールではセルマー賞を受けている。ここで驚くべきはやはり、フランスへの留学経験がないこと、ではなかろうか。

また、六位までの入賞者も、カナダ、スペイン、日本、フランスなど世界各地にばらけた。これは、一昔前から考えれば驚くべきことだと思う。

世界中のサクソフォン教育が、フランスのレベルに追いつかんと必死にグレードアップを図っていることが、今回のコンクールから窺えるのではないだろうか。

2006/11/11

アトム・ハーツ・クラブ・デュオ

Yahoo!オークションで落札した、福田進一&フェルナンデスのアルバム「アトム・ハーツ・クラブ・デュオ(DENON COCQ-83079)」を聴いた。

吉松隆氏の「アトム・ハーツ・クラブ・デュオ」が入っているということで、以前から気になっていたが、どうやらいつの間にか廃盤になっていた模様。慌ててインターネットを使って探し、2000円弱で落札。クラシック・ギターのCDを買うなんて、もちろん初めての経験だ。

吉松作品以外に、ロッシーニ「どろぼうかささぎ」のデュオ版編曲(そんなのあるんだ!)、ロドリーゴのオリジナル組曲、アルベニスの小品から武満まで、かなりごちゃまぜの選曲。この「なんでもアリ」こそがこのアルバム最大のコンセプトであり、それに乗じて演奏までも楽しい雰囲気に仕上がっている。

クラシック・ギター演奏を聴く初心者としては、気楽に聴けてとても嬉しい。休日の昼下がりに、美しいギターの音色にのせて、19世紀から現代までの珠玉のメロディがスピーカーから流れてくる…なんて、ちょっと贅沢な時間ではないだろうかね。

落ち着いた雰囲気も、乱痴気騒ぎも…ギターという楽器の表現力には驚き。拡張奏法(ボトル・ネック)も、かなりウケます。アゴーギクの変化が多いのは、気心知れた二人のデュオだからなのかどうなのか、弾き飛ばされている部分がたくさん。ギターって譜面の再現に関してはこんなもんなのかな、それとも奏者のクセ?

吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ・シリーズ」については、また今度。

2006/11/10

グラズノフの難しさ

最近、グラズノフの「四重奏曲」をさらっている。思えば今までやってきた曲は、デザンクロやら何やらだった。しかし今回取り組んでいるのは、サックスの世界としては大変珍しいロマン派の生き残り。難しい。

サックスの世界に多く存在するネオ・ロマンティックの作品は、どんな難しい作品でも、登攀するときにも足がかりとなる部分があるものだった。それまで吹奏楽などで触れてきた現代の音楽と、どこかしら共鳴する部分があって、その部分を自分たちのアンサンブルの武器として聴かせてゆけば良かったのだ。

グラズノフの難しさは、演奏するときにそういうものがほとんどないこと。好きな曲であることには違いがないのだが、いざ演奏するとなるとこれが大変。いったいどこをどうやって組み立てていけば良いのか…中途半端なフィンガリングの難しさと相まって、これから苦労しそうな予感だ。好きな曲だからって、吹くときも上手くいくとは限らないものなんだなあ。

…というかそもそも、ロマン派の作品をほとんど聴かないのにも原因はあると思う。

でも、グラズノフははまると面白いかもな、なんて奥の深い作品なんだろうか。他のどの曲でも感じたことのない哀愁、そして渋さに惚れる。

2006/11/09

本選進出者決定

集計ページにも情報を追加したが、アドルフ・サックス国際コンクールの本選進出者が決定。日本からは貝沼拓実氏が唯一の進出者となり(おめでとうございます!)、その他フランス、カナダ、スペイン、ロシアと、国際色豊かな面々となった。

本選は10日から2日間に渡って行われる。

ところで本選課題曲の作曲者と曲名が分からないのだが…?

ライヒとリゲティの鏡絵

アドルフ・サックス国際コンクール、二次予選の課題曲「ライヒとリゲティの鏡絵」。作曲はファルシャンプ氏で、タイトルの「ライヒ」「リゲティ」とはもちろんあのスティーヴ・ライヒとジェルジー・リゲティのことだ。

今回のコンクール、演奏の様子が全てストリーミングビデオで観られるということで、あちこちで話題になっているが、さっそくこの課題曲も聴くことができた。

曲は大きく分けて三つの部分からなる。「ライヒ」を意識した第一部は、単音のパルスが徐々に展開されてゆくイメージ。調性感抜群で、ファンキーなフレーズがバリバリ、とてもかっこいい。

第二部は「リゲティ」だろうか。サクソフォンが特殊奏法とアルティシモを駆使するモノローグ。重音からフラジオへの大跳躍、グロウ、微分音、高速フレーズと、技巧の見本市のようになんでもあり。

第三部は爽やかで快速なフレーズに、時折第一部や第二部のエコーを交えながら進んでゆく。最終部ではフラジオがこれでもかとばかりに連続。こりゃ凄いな。 一次予選課題曲の「Ge(r)ms」よりも、聴いていて格段に楽しい作品だと思った。技巧だけではなくて、音楽性、とかノリとか構成感、と言ったものも一緒に露呈してしまう。二次予選ともなれば、審査される部分が変わってくる、ということなのだろう。

2006/11/07

ランベルサールの作曲コンクール

フランスのランベルサールで行われた吹奏楽作品の国際作曲コンクールで、日本人の田中久美子さんが優勝されたそうだ。情報元はこちら(→http://www.bandpower.net/news/2006/11/02_tanaka/01.htm)。

それだけでももちろんニュースなのだが、今回のこのコンクール、普通の吹奏楽曲部門のほかに、アルト・サクソフォン協奏曲部門なんていうのもあり、田中さんが優勝したのはそちらの部門だったのだそうだ。曲名は「セドナ」。最終選考は演奏会形式で行われ、フランスのプロフェッショナルな吹奏楽団(フランス機動憲兵軍楽隊)に、サクソフォン独奏はダニエル・グレメル Daniel Gremelle(!)。

しかも、審査委員長にパリ警察音楽隊の超有名指揮者、デジレ・ドンディーヌ(!)。審査委員にはアラン・クレパンの名前まである。初めて存在を知ったコンクールだが、一癖ありながら豪華な催しのようで興味深い。

「セドナ」は太陽系の矮小惑星の名前だが、一体どんな作品なんだろうか。聴いてみたいな。de Haskeなどから出版される可能性はある…かも。

2006/11/06

High-Jinks宣伝

学園祭中の本番を宣伝しておきます。High-Jinks Wind Orchestraという、ポップス専門の吹奏楽集団の演奏。テナーサックスで乗っています。

今回は素敵なゲストを多数お迎えし、盛りだくさんでお送りする予定。

High-Jinks Wind Orchestraライヴ@学園祭
出演:High-Jinks Wind Orchestra featuring Special Guests!
2006/10/7(土)14:00開始 筑波大学学園祭松見池ステージ 雨天中止
入場料:もちろんタダ。
パストリアス「Soul Intro ~ The Chicken」、ロジャー「ドレミの歌 ジャズアレンジ」、エリントン「キャラバン」、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー ポップスアレンジ」他
お問い合わせ:http://www7a.biglobe.ne.jp/~high-jinks/

セミ・ファイナリスト決定

現在日本時間で8:00am。三連休の後は眠い。

アドルフ・サックス国際コンクール2006、一次予選が終了。同時に、二次予選への18人進出者(セミファイナリスト)が決定したようだ。集計ページにも情報を追加中。

18人中2人が日本人。パリ国立高等音楽院で勉強なさっている白井奈緒美氏と、日本の管打コンクールで二度の入賞経験を持つ貝沼拓実氏。

個人的には、ミハ・ロジーナ氏やアントニオ・フェリペ=ベランジェ氏あたりも気になるかな。

2006/11/05

ハバネラのDVD

昨日のハバネラの演奏会、即売所でひと悶着…最初、机の上に並べられていたのは室内楽コンクールのライヴCDと、alphaレーべルの市販CDだけだった。既に持っているし、もう一枚買う必要はないよね、ということで気楽に眺めていたのだが…。

後ろのケースの上にぺらっと無造作に置かれた品目リストに目をやると…alphaレーベルの三枚と、自主制作のオムニバスCDと、ん?んん?DVD!?「これください!」と、即買いしたのは言うまでもない。というか、始めから机に出しておいてくれ…。

売り手の方曰く、「ツアー最後まで売り切れることはないでしょう」とのことだったが、開演前も休憩時間中も終演後も飛ぶように売れていて、昨日を終えた時点でほとんど余りがなかったぞ…(^^;恐るべし。

…さてそんなわけで、昨日の演奏会場で販売していた、ハバネラ・カルテットの自主制作DVD-R。ボルドー市の「Base」と呼ばれる潜水艦ドック内でのライヴを収録したもの。

バッハ「平均律クラーヴィア曲集よりBMV847, BMV863, BMV857, BMV873」、リゲティ「バガテルより1, 4, 5, 6, 7, 8」、棚田文則「ミステリアス・モーニングII」、マルケアス「コンポジション・ヴァーティカル」、ピアソラ「肉屋の死」「フガータ」「ミケランジェロ70」。

早速観てみたが、いやあ昨日の演奏会の記憶を呼び覚ましますなあ。もちろん生で聴いたほうが数段に良いが、カメラワークやライティングがなかなかカッコよく構成されていて、観応え十分。←かなりミーハー。

2006/11/04

ハバネラQグランプリコンサート2006

本日2エントリ目。ハバネラの演奏のこと(1エントリ目はUTSBの定演のこと)。

・ハバネラ・サクソフォン四重奏団 グランプリコンサート2006
クリスチャン・ヴィルトゥ(ssax)、スィルヴァン・マレズュー(asax)、ファブリツィオ・マンクーゾ(tsax)、ジル・トレソス(bsax)
2006/11/4(土)14:00開演 東京文化会館小ホール
バッハ「イタリア協奏曲」、ラヴェル「弦楽四重奏曲」、リゲティ「6つのバガテル」、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」、ビゼー「カルメン組曲」、ピアソラ「3つのタンゴ」

現在、世界最高のサックス四重奏団とも評される、ハバネラ・サクソフォン四重奏団のコンサート。昨年の第5回大阪国際室内楽コンクールでの優勝以来、心待ちにしていた全国ツアーの初日。上野公園の喧騒からしばし離れた空間で響くサックス四重奏は、噂に違わぬ素晴らしいものだった。

ただのサクソフォン四重奏ではない。常軌を逸したコントロールと美音。そして、考えられる限り緻密かつ有機的なアンサンブル。

まず、サックスという楽器の制約(低音のアタックが云々とか、弱音が安定しない云々とか)は、彼らの前では無意味。しかもハバネラが向かう先は、単なる高レベルなサックスではない。とにかく彼らが表現しているのは、美しく、聴いて心地よい「音楽」そのものの高みだ!

そしてさらに、極限まで練られたアンサンブル。普段いろいろな演奏を聴いて「このアンサンブルはすごい!」と感心することは稀にあるが…その考え方は甘かったんだな。一体の巨大な生き物が、呼吸して、メロディを吹く。ただそれだけのこと。「受け渡し」!?「和音」!?いやいや、一体の生き物が四つ音を出すだけなのだから、そんな心配は俺たちには無用だぞ、ということか。なるほど。

はあ、ハバネラの演奏をなんとかして言葉に落とそうとしているのだが、まったくもって意味不明になってしまった。それだけ衝撃的で、度肝を抜かれた、ってことにしといてください。

筑波大学吹奏楽団第56回定期演奏会

ハバネラ、凄すぎ。きっとあれはサックスじゃないんだ!!弱音はクラリネット?トゥッティは金管?コントロールは声楽か、ただの日常の息遣い?和声は弦楽器?あれ?いや、あれこそがサックスなのか?あー、もう良く分からん。

…ハバネラのほうは余韻が強すぎて、まだ言葉に落とし込めない。言葉に落とそうとする行為自体が愚なのかもしれないが。

とりあえずは今日もう一つ聴いてきた筑波大学吹奏楽団第56回定期演奏会のことを書こう(笑)。

・筑波大学吹奏楽団第56回定期演奏会
筑波大学吹奏楽団(客演指揮:鈴木竜哉)
2006/11/4(土)17:30開演 つくば市ノバホール
アッペルモント「ノアの箱舟」、ガレスピー「チュニジアの夜」、ヘス「グローバル・ヴァリエーションズ」、レスピーギ「ローマの祭」他

吹奏楽団の30周年、満を持しての盛りだくさんのプログラム。もう引退から一年が経っているとも思えないなー(遠い目)。ハバネラ聴いていて途中入場だったので、アッペルモントから聴けた。トランペットとユーフォニアムの絡みもきちんと聴けた!しかし上手くなったなあ(?)。

ポップスは音のカタマリがぽーん、と飛んできて客席が大いに沸いていた。各ソロも素敵。続く第三部のローマはさすが、貫禄の指揮っぷりに終始一貫したテンションが見事。長い曲にもかかわらず、お客さんみんな引き込まれていた。つづくアンコール、うーん、本当に楽しい!

同じプレイヤーとしての嫉妬?も忘れて、惜しみない拍手を送ってしまった!ここ最近の定期演奏会の中では、演奏も演出も一番だったんじゃないかと(^_^)いやあ、本当に最大級のブラボーです。

2006/11/03

茂木大輔スーパークインテット

この三連休はコンサート三昧だな、芸術の秋ってやつかな(?)。

茂木大輔スーパークインテット、聴きにいってきた。第22回つくば国際音楽祭の一環の催し=ノバホールでの開催!なのだ。交通費がかからないのは地味に嬉しい。

さすがつくばノバホール開催だけあり、知り合いがたくさんいた(笑)。Mぽむさんとか、Nやんさんとか、偶然座席がとなりになったfさんとか、MMさんとか、M田さんとか。ちょっと会っただけでもこんなに。

・第22回つくば国際音楽祭 茂木大輔スーパークインテット
出演:神田寛明(flt.)、茂木大輔(ob.)、磯部周平(cl.)、丸山勉(hrn.)、水谷上総(fg.)
2006/11/3(金・祝)14:00開演 つくば市ノバホール
イベール「三つの小品」、ハイドン「ディヴェルティメント変ロ長調より第二楽章」、ダンツィ「木管五重奏曲第一番」、茂木大輔「父の掌」、カルク=エラート「ソナタ・アッパショナータ(フルートソロ)」、山下洋輔「山下洋輔組曲より(三重奏)」、茂木大輔「タミヤのためのミニアチュール」

曲間に茂木さんのトークを交えながらの、終始リラックスした雰囲気。「木管五重奏」という室内楽形態のレクチャーコンサートとも言うべき構成で、古典から現代まで幅広いプログラムを聴かせてくれた。

イベールから早速引き込まれた。最近ではアマチュアの演奏会でもやっちゃうくらいの曲だが、そこはさすが気心知れたプロ同士の演奏。イベールの「軽妙酒脱」っぽさを何気なく表現してしまうあたりはさすが。こんなに軽やかな曲想の中に、新しい発見がいっぱい。

楽器紹介は、メンバー一人一人のトークを交えながら。そのおしゃべりがまた楽しくて、場内爆笑の連続だった。楽器紹介の曲ネタに、自作の超絶無伴奏曲を抜粋して吹いたクラの磯部さんには、場内一同唖然。

茂木さんの解説に導かれて始まったハイドン「木管五重奏曲」は、「聖アントニウスのコラール」として知られる第二楽章の抜粋。さらに続いてダンツィ「木管五重奏曲」。オーソドックスな曲なのに、CDなんかで聴くのと違って何て面白い!これぞ生で聴く醍醐味なり。

休憩の前に茂木さんの自作による「父の掌」という曲をやったのだが、なんと面白い曲!楽譜買ってサックス四重奏に編曲してみようかなあ、と思わせるほどだった。日本の旋法を使った一つの主題を、緩急の曲想に乗せていくのだが、何だか懐かしい気持ちになってしまったのだ。なんだそりゃ、と思われるかもしれないが、そんな気持ちになったのだから仕方がない。茂木さんがベルリンにいた1986年ごろの作品ということで、茂木さんの望郷の気持ちが強く表れている…とは邪推だろうか。

休憩。CDが飛ぶように売れていた。

さて後半。暗譜ででてきた神田寛明さん演奏で、カルク=エラートの無伴奏フルート曲「ソナタ・アッパショナータ」。うぅ、かっこいい。無伴奏ってすごい。もうちょっと近い席を取ればよかったか…。

続いて「山下洋輔組曲」から3つの楽章を抜粋。木管三重奏(オーボエ、ファゴット、クラリネット)で、性格の違う各楽章が面白い。ジャズピアニストの作だけあって、リズムや音運びなど随所にモダンジャズの影響を見て取れた。他の楽章も聴いてみたいな。

最後に茂木さんの自作で「タミヤのためのミニアチュール」。タミヤ、とはもちろんあのプラモデルメーカーのタミヤであり、いろいろな模型を題材とした曲なんだそうだ。楽章の名前と、曲想のマッチ具合が楽しい。「蜂」と名づけられた楽章に、アントニーノ・パスカッリ作の同名のオーボエ無伴奏曲が題材として使われていた…ということには、あとから気付いた←これをマニアックな聴き方といふ(^^;。

アンコールに「鳥づくし」にて終演。「鳥づくし」に関しては、詳しいことは書きません。茂木さんの解説付きで聴いてみれば爆笑モノなので、ぜひ耳にするチャンスがあったらお聴き逃しませぬよう!

気付いたらあっという間の二時間。終演後のお客さんの顔を見れば、皆様満足の様子。演奏者にももちろん、企画者にもブラボーを送りたいな。

明日はハバネラ

明日はハバネラ・サクソフォーン四重奏団のコンサート!前回2002年の来日のときは聴けなかったが、インターネット上の随所で話題になっているし、わずかながら聴くことのできるCDはなんだか物凄い演奏だし、期待大。どこかで聴いた話だが、すでに東京公演のコンサートは売り切れ状態らしい(本当!?ちなみに11/8の長野公演はずいぶんチケットが余っているとのことで、長野県在住のアナタ、チャンスですよ!)。

とりあえず予習予習…と、エマーソン弦楽四重奏団のラヴェル「弦楽四重奏曲」、アンサンブル・ウィーン=ベルリンのリゲティ「6つのバガテル」、演奏者不明のバッハ「イタリア協奏曲」を聴き流す…ふむふむ。明日のプログラムはアレンジ物が中心だが、果たしてどんな演奏が繰り広げられるんだろうか。

あ、全く関係ないが、Yahoo!オークションで福田進一&フェルナンデスのギターデュオCD(廃盤)を落札!やったー。吉松隆氏の「アトム・ハーツ・クラブ・デュオ」入曲。

2006/11/01

コンクール集計ページ

アドルフ・サックス国際コンクール2006のデータ集計ページを作ってみた(→こちら)。前回のコンクールで原博巳さんのページで行われていた集計のアイデアを参考にしたものだ(たしか原博巳氏の奥様が集計をしていた、と記憶する)。今回は自分でやってみようと思った次第。

とりあえず、審査員(すごい顔ぶれ)、一次予選での参加者国別割合と、一次予選での選択曲の割合を掲載。

2006/10/31

新しいコンポ

新しいコンポが届いた。これ(→http://www2.jp.onkyo.com/product/products.nsf/view/F95CF48EFA4F0207492571560028F3C9?OpenDocument)。ONKYOのX-N7X(D)という、フラグシップ・モデルの廉価版。今までが、シャープの「MDCDコンパクトデッキ」という感じのモノだったので、けっこうな進歩かも…。

いくつか持っているCDを聴きなおしてみた。中音域が豊かだなー、というイメージ。あと、弱音での再生なんかは、やっぱりきちんとした音響メーカーらしく、以前の製品とは比べ物にならない。しょせん自分の耳では、ある程度以上のクオリティは聴き分けがつかない、というのも自覚しているが…。

高い買い物だったので、長く使えるといいなあ。ネット上の口コミに流されて、1000円くらいのスピーカーケーブル買ってみようと画策中。

(まったく関係ないが、)そういえば今日からアドルフ・サックス国際コンクール!速報がインターネット上に公開されている場合は、随時このページでも二次情報を書いていきたいと思う。

国際コンクールの情報をいくつか

えー、早速アドルフ・サックス国際コンクールの速報(?)を。

まず公式ページ(→http://www.adolphesax.com/Dinant2006/)。Adolphesax.comのサーバで運営されているようだ。

今年は、Liveという試みも始まるようで…なんとコンクールの様子のネット中継!「You will have 12 full days of live broadcast.」とのことで、ずいぶん鼻息の荒い企画だ。期待してみよう。

それから、公式タイムテーブルがMicrosoft Excelブックの形式でアップされている(こちら→http://www.adolphesax.com/Dinant2006/docs/horarios.xls)。出演者、選択曲などが一目瞭然。前回2位だったジュリアン・プティ、3位だったアントニオ・フェリペ=ベランジェ両氏、しっかりと出場している。

一次予選開始は本日10/31、現地時間で13:30(日本時間21:30)。

アマチュアサックス吹きにはマイナーなコンクールだけれど、ここに書くことで遠く日本から少しでも盛り立てて、応援していければ…そんなささやかな?気持ちから、今年は本選終了までしつこく経過を追ってみようと思う。

コンクールのライヴ中継

アドルフ・サックス国際コンクールのLive観てます。

配信ビットレートは128kbps未満だが、現地の回線がずいぶんと細いのか、3分に1回落ちる。音質も画質もそんなによろしくない。まあ、こんなもんだろう。

とりあえず一番最初の2人だけ観てみたが(現在22時過ぎ)、第一印象は「課題曲、難しい!」ということ。200人以上いるような参加者の中から、20人前後に絞るんだからしょうがないか。

一次予選の課題曲であるカペレッティの「Ge(r)ms」は、その名の通り粒ぞろいの宝石のような6つ(?)の楽章からなる組曲。各楽章はそれぞれ様々な種類のテクニックを要求し、楽章ごとの演奏順番は自由のようだ。まさに宝石のように、それぞれの楽章が多彩な輝き(響き)を持っている、といった感じ。

その要求されるテクニックが、またものすごくて。アルティシモ音域で分散和音のスタッカートとか、重音(声を出しながら吹いて、ハモらせる)とか、音色の美しさがもろに露呈するバラードとか…。

素人目に見ても、「こっちの人よりこっちの人が上手い!」ってすぐ判る。改めて思うが、コンクールの世界、プロの世界って本当に厳しい。

2006/10/30

弦楽四重奏のこと少し

モルゴーア・クァルテット(弦楽四重奏団)の来年1月の定期演奏会、行ってみようかなあ。「Destruction」聴いて俄然興味が沸いていたし、場所も近い(東京文化会館)し、プログラム面白そうだし…。

1stヴァイオリンが、荒井さん、ということも興味がある。須川さんの協奏曲コンサートで、素晴らしいコンマスぶりを見たばっかりというのもポイント高し。

弦楽四重奏って、クラシックの世界では、意外なほどにマイナーな分野とのこと。クラシック・サックスの世界にばかり触れてきた自分としては、驚き。クラシックサックスというと、ピアノとのデュオ、オーケストラで協奏曲、そして何より四重奏!だからなあ。4人の吹き手が集まれば、サックスの世界では自然と四重奏を奏で始める。同じように、弦の世界でも4人の名手が集まれば、四重奏を始めるのが当然だと思うけどなあ。弦楽はあつまれば弦楽合奏ばかり。弦楽四重奏はなんでマイナーなのだろうか。

むしろ何で、サックスが四重奏ばかりをやりたがるのかと言えば、やっぱりサックスの内向的な特徴が、ポピュラリティの原因なのか。ちょっと皮肉っぽいながら面白い。音はとっても外向的なのに、みんな集まれば内向的。クラシックの世界にお仲間がいないのは今更ながら寂しいこと。

2006/10/28

のだめカンタービレ・ドラマ

「のだめカンタービレ」ドラマ版、二話まとめて観た。おもしろい!まんがのファンだけれど、ドラマ版もキャラ作りとかギャグとか物凄く良くできてるし、演奏シーンも良い。ドラマ版はドラマ版で、味があっていいなあ。満足々々。

とりあえずウケたのは、一番最初に出てくるヴィエラ先生。チェコフィルのズデニェク・マーカルじゃん(笑)。ああ、だからプラハなのか(?)。

メインのロケ地は、洗足学園音楽大学の溝ノ口キャンパス。何回か行ったことがあるので、すぐにわかった。あの風水の巨大球体の上で上野樹里(のだめ)がぐだーっ、となっているシーンもどこか可笑しい。

えー、原作が好きで、いまいちドラマを観る気になれない皆様。出来が悪いとか、そんな心配は無用。ドラマ、これはこれでとってもオススメ。ぜひ。

(とある)楽譜入手!

一般に流通していない楽譜をなんとか手に入れたいときに、メールを使って直接コンタクトを取ることは今までに何度かあった。編曲者の方、作曲者の方…「マウンテン・ロード」や「芸術劇場オープニングテーマ」の楽譜はその最たる例。いずれも、作曲したご本人に直接コンタクトをとったものだ。

しかし今回は違った。とあるピアノ四重奏の楽譜を探していたのだが、出版されていない。おまけに、編曲者の方へのメール連絡先がどうしても見つからない…数週間悩んだ挙句、「手紙」使いました。まさかこんな時代に手紙を使うことになるとは…(笑)。大変有難いことに返事を頂戴し、数日後に楽譜は到着する予定。

いやあー、実演聴いても録音聴いても良い曲なのだ。最終楽章の疾走なんて、本当に感動的で楽しそう。早く音出してみたい。

所属していた楽団の、アンサンブルコンサート2007でお披露目予定。メンバーもなんとか集まりそうで、一安心だ。「誰の何ていう曲か」など詳細はまた後日書きます。

2006/10/27

お別れ

三年半慣れ親しんだシャープのMD&CDシステムとお別れ。毎日のようにCDをセットしては聴いていたなあ…。

さて。部屋には今、マトモに音楽を聴けるものがない。あるのはせいぜい、ノートPCに搭載された超小型スピーカーくらい(音質は、悪いなんてもんではない)…。

もちろん新しいものを買おうかと思うのだが、どれにしようかな…。3~4万円台の音がいいやつというと、やはりONKYOとかDENONのコンポかな。WEBやカタログを見ながら選ぶのは楽しいものだ。実は、選んでいるときがいちばん楽しかったりする…という話もある。

2006/10/25

マルタン「バラード」

フランク・マルタンの「バラード」。サックスの世界では有名曲らしいが、ずいぶん最近まで知らなかった。とにかく地味で、印象に残らない…。

須川展也氏のアルバム「Exhibition of Saxophone(EMI)」にはデニゾフやリュエフと並んで、この「バラード」が収録されていた。トルヴェールや須川さんのアルバムについてくる緒方英子氏の解説は、とてもウイットに富んだ文体で、毎回興味をもって読んでいたため、この曲についても・ラッシャーに献呈されたこと・フラジオが駆使されていること、というのを解説を読んですぐ知った。

それから、改めて何回か聴く機会があったが、結局印象には残っていなかったのだ。15分近くと長い上に、大半がレチタティーヴォ、という感じ。メロディもつかみ所がなく、どうもニガテ「だった」。

しかし最近買った、NAXOSのCDに入っていた「バラード」をたまたま聴いたところ、ぶっとんだ。渋い!そして最後がかっこよすぎる!

自分の聴き方が変わってきたせいもあるだろうなあ(年か?)。以前は感化されない部分に感動したり、びっくりしたり…もちろん逆もあるけど。

「バラード」、ひたすらに地を這い続ける…ずっと、ずっと。テンポが速くなって、クールに決める場所もあるけれど、背後にあるのはどんよりとした暗い風景。呪術的、とはちょっと違う、現代の都会を想像させるような、「不安」か。マルタンが未来を予見しながら作ったような、とは推し量りすぎか。

そして最後のフラジオの連発!記譜で、so si do mi so~。これぞダンディズムだなあ。すごいや。最後のsoは、奏者にとっては相当ギャンブルらしい…。

こういう集中力のカタマリみたいな曲は、ライヴでも聴いてみたい。機会がないかな…。

2006/10/23

プログレッシブ・ロック

プログレッシブ・ロックについて、いくつか調べ物をしてみた。定義、歴史、代表的なバンド、アルバム、評価…。

つい最近、モルゴーア弦楽四重奏団の「Destruction(EMI TOCE-9650)」を聴く機会がありまして。収録曲がいわゆるプログレッシブ・ロックの代表的な作品群、またはそこから影響を受けたものだったので、これは原曲も聴いてみないとね、とあわててWikipediaなどを利用していろいろ調べてみたのだ。

「Destruction」、既に廃盤となって久しいが、一発目の「アトム・ハーツ・クラブ・クヮルテット」からエンジン全開で楽しい&カッコイイ。サックス四重奏版とはまた違ったクールさがあるな。東フィルの荒井さん始め、モルゴーアの方々はロック大好きなんだろうなあ(笑)。一回聴きとおして、速攻でお気に入りの一枚となった。

さて、プログレッシブ・ロック。歴史を浅くかじった上で、とりあえず、キング・クリムゾン「キング・クリムゾンの殿堂」、イエス「こわれもの」「危機」、エマーソン・レイク&パーマー(ELP)「タルカス」、ピンク・フロイド「原子心母(アトム・ハート・マザー)」をざっくりと聞き流す。ふむふむ。これが1970年代のイギリス文化…。

実は私、ALWAYS大音量とか、単調なリズムとか、AメロBメロサビみたいな単純構造、というやつがニガテでして。普通の、ロックやメタルとか、巷にあふれるJ-POP(日本の歌謡曲というやつ)がどうも好きになれないのは、そのへんに理由があるのだけれど。

プログレッシブ・ロックは面白いなー。曲中にしっかりとした起伏があるし、全体の構成が面白いし、なんかずいぶん変拍子だし(笑)。インストゥルメンタルの使い方も、サックス吹きとしてはツボかな。いや、サックスが入っていると言うわけではないのだが、弦楽器や管楽器、果ては合唱の生音までもが、効果的にサンプリングされて挿入されている。

ここからはこじつけた考えだが:今回聞き流したのは、ほとんどがイギリスのバンドのもの。プログレッシブ・ロックを支配する、独特のグルーヴ感やメロディ、リズムといったものは、イギリスから生まれたネオ・クラシックの楽曲と共通するものがあるかなあ。

イギリスで活躍中の作曲家は、皆幼いころにこういった音楽に触れて育ってきた人たちばかり。彼らの楽曲センスの形成の一要因として、プログレッシブ・ロックがエッセンスとして入っていることは、ほぼ間違いないのかもしれない。

すると、イギリスのネオ・クラシカルに惹かれる私が、その源流であるプログレを聴いて「いいなあ」と思うのも当然なわけか。実際どうなのかは定かではないが…?

2006/10/21

CDレビューコーナー

もうお気づきの方もいるかもしれないが、数日前に新コーナーが増えた(笑)。トップからたどれます。と言っても大したものではなく、クラシック・サクソフォンのCDを10枚程度レビューしてある、というだけのもの。

すでに大変な有名なCDだが、自分なりの言葉で感想を書いてみたつもり(つまり、独断と偏見)。このCDレビューコーナーは、厳選オススメというコンセプトのもと、せいぜい20枚前後までの拡張にする予定。

うーん、今度はどんなコーナーを作ろうかなあ。その前に、「イギリスのサクソフォン」コーナーも整備しないとなあ。…実は最も可及的TO DOは、サイトのデザインを作る!ということだったりするのだが。

2006/10/20

ソプラノ・サックスアルバム

ここ最近クラシック・サクソフォンのCDは国内版、海外版問わず増えてきた、とも言えるだろうけれど、アルバム全編がソプラノサックスで演奏されたCDはほとんどあるまい。ソプラノサックスのために書かれた素敵な作品は数も多いのだから、アルトで演奏されたプログラムの合間に入れるだけじゃなくて、全部ソプラノ!というアルバムがあっても良いと思っていたのだけれど。

アンディシュ・パウルソンのCDは有名ではないだろうか?珍しいSACDのアルバムだということで、この業界ではちょっぴり有名なのかもしれない。ただ、トドメを刺すかと言えば、ちょっと「?」。演奏内容とプログラム、どちらもさらなる充実の可能性を残しているだけに、ちょっと残念だった。

などと思っていたら、昨年遂に?待望のオール・ソプラノサックス・アルバムがリリースされた。過去の記事にも書いた、ケネス・チェ氏のCDで、「Lyric Soprano(Crystal Records CD658)」というアルバム。ソプラノオンリーなのは、タイトルどおりだ(笑)。

ケネス・チェ氏は香港出身、インディアナ大学に留学してルソーの下で学び、現在はアイオワ大学のサクソフォーン科教授を務めている。「Sonate(RIAX RICA-2002)」の一部の楽曲でも聴かせてくれたソプラノの音色はそのままに、今回はさらに充実したテクニックが冴える。録音もRIAXのものとは比べ物にならないほど良い。

フォーレ「3つのロマンス」やピアソラ「タンゴの歴史」は、編曲物として幅広く愛奏されて久しいが、あらためて今回の録音には魅力が満載。どんな高音までも良く伸びる音色と、安定したフレーズ感。音域を移行しても、ひたすらにニュートラルな音色。ソプラノ吹いている人に一度は聴いてほしい。

オリジナルもベダール「ファンタジー」やウォーレイ「6つのダンス」には惹かれる。しかしジェローム・ノレの15分に及ぶ大曲「サックス・ドゥ・ヴォヤージュ」は、テクニックに終始せず、ノリや小細工のようなエンターテイメント性をも前面に押し出した演奏!15分を録音で聴かせられる奏者、クラシック・サックスの世界でも稀なんだろうなあ。もちろん、曲自体の楽しさもあるとは思うが。

私自身はと言えば、ソプラノサックスはほとんど吹けないのだが、たまに吹くとコントロールの難しさにほとほと閉口するのが常。チェ氏の演奏を聴くと、まるで同じ楽器を吹いているとは思えない(笑)。

チェ氏の公式ページ(→http://www.kenneth-tse.com/)で買えます。ソプラノ吹きな皆様、ぜひどうぞ。

2006/10/19

イトゥラルデのオリジナル

サックスの世界でペドロ・イトゥラルデ Pedro Iturraldeは「小さなチャルダッシュ」「ギリシャ組曲」「メモリアル」等の作曲家として大変良く知られているが、本業はジャズ・サクソフォニストだそうなのだ。つい先日「ギリシャ組曲」の本人の演奏によるジャズ・カルテットバージョンを聴くことができた。

「ギリシャ組曲」は、実際何回か自分たちの演奏として取り上げたこともあるし、他の団体が演奏するのを聴いたことだってあるけれど、実際は…こ、こんな曲だったのか。けっこう衝撃的。

特にサクソフォーン四重奏版やソプラノ・サクソフォンソロ版の楽譜は、今でこそずいぶんとポピュラーになったけれど、原曲を聴いてしまうとずいぶんとインパクトの差があるものだ。

イトゥラルデ始め、ピアニスト、ベーシストが順々に長大なソロをとってゆくFUNKY~VALSEたるや、圧巻の一言。15分近い演奏のうち、13分以上がこの中間楽章に集約されており、曲のコアはまさにこの即興部分なのだ。

サクソフォーン四重奏版など、トランスクリプションはずいぶんと効果を上げているほうだ、と思っていたけれど…やはりというかなんというか、ジャズ→クラシックというジャンルの壁はなかなか超えづらいものだ、ということなのだろうか。

小物セッティング

マウスピースとかリガチュアというものは、自分の口腔内の構造とか、どうしても奏法では克服できない部分を吸収するためのものだ、という言葉を聞いたことがある。

実際そうは思っているし、それほど自由に使えるお金があるわけでもないし…ということで、一度そこそこ気に入ったマウスピースを見つけてしまえば、あとは特にコダワリもなく使い続けている。CDと違って、特に集めるような趣味もない。

アルトはヴァンドレンのV17、テナーはセルマーのC*。リードはいずれも3。時々、このセッティングが一般的なものかどうかが気になることがある。実は一般に比べて、相当「軽い」セッティングで吹いているのではないか!?とか、実はありえない組み合わせなのではないか!?と…。

たまに、周りの人に自分の楽器を吹いてもらうと、「楽に吹ける」という感想が帰ってくるのが常。ええっ!そうなの?と他の人の楽器を吹いてみると、確かになんだか自分のセッティングよりも「重い」ような気がする。

「マウスピースとリガチュアというものは云々…」ということは、頭では良く分かっているのだけれど、一流奏者が他のセッティングで美しい音色とコントロールを魅せているのを見かけると、どうしても気になってはしまうのが常でして。

セッティングって、自分で合ったのを見つけたほうがいいのか?それとも、好きな音のセッティングを真似して、それに馴らしていくのがいいのか?普通の人はどっちなんだろう。

2006/10/16

今年のフェスティバル

今年のサクソフォーンフェスティバルは、驚いたことに2日にわたる開催だそうで。詳細はこちら(→http://homepage2.nifty.com/jsajsa/festival2006/festival2006.htm)。でもさすがに、2日間連続して多摩まで出かけるのはツライので、どちらか、ということになりそうですが。

ここ数年平日開催&パルテノン多摩開催のため、頑張って講義を自主休講して観にいく…という状態が続いていたが、今年は余裕を持って聴きにいけそうだ。12/23&24日か。そのまま実家に帰ってしまうのもアリかな。

一日目の催しには、なんとアマチュアの奏者が自由に出場エントリーできるらしい!四重奏で出るか…とも考えたけれど、どうもメンバーの都合がつかないようで、残念。そのほか、おなじみとなった洗足教授陣によるラージアンサンブル「サクツェルツェット」や、小串俊寿のハッピーサックスなんかが聴けるとか。なんだか、今までになかったパターンですな。

二日目は、いたって毎年恒例のフェスティバル、という感じ。音大生のアンサンブル、会員による演奏、フェスティバルコンサート、フェスティバルオーケストラ…。特に最近のフェスティバルコンサートは注目すべき内容が多いが、今年もまた興味深い。「室内オーケストラとサクソフォンの共演」だということ。

アンドレ・カプレ「伝説」、マリウス・コンスタン「ムジク・ドゥ・コンセール」、このあたりまでは良く耳にすることもあるが、続いてフランコ・ドナトーニ「ホット」、ダイアナ・ロタル「シャクティ」、ミヨー「世界の創造」…す、すごい。

ドナトーニ、ロタルは、「あの」ダニエル・ケンジー氏が初演したという曲じゃないか!それをフェスティバルでやっちゃうとはね…しかもソリストは林田氏、平野氏とのことで、これはどんな演奏が聴けるのか注目だろう。オーケストラは板倉康明指揮東京シンフォニエッタ。昨年「シャクティ」が東京文化会館で初演されたときのバックも、このオーケストラ&指揮者のコンビだったはず。

ミヨーは、フランス国立放送フィルがデファイエを迎えた録音が好きで良く聴くが、今回は美音の持ち主、小串氏による独奏。いったいどんな音がホールに響き渡るのだろう?

しかしよく考えたら、カプレやコンスタンというのも、一癖ある選曲だ…一体全体だれの発案なのか。やっぱり○田さんの趣味かなぁ(笑)。ぜひ来年は「オーケストラと四重奏」頼みます、なんて。

というわけで、今年はサックス興味として、二日目(12/24)優先で聴きに行こうかと思います。一日目も捨てがたいが…!多摩の遠さは仕方がないからな。しょんぼり。

2006/10/15

ピアソラのライヴDVD

モントリオール国際ジャズフェスティバル1984のピアソラ出演のDVDを借りて観た。うーん、いいですね、これ。

なかなかタンゴの演奏を映像で楽しむ機会、というのもないものだと思う。しかもそれがピアソラの自演で、モントルー・ジャズのライヴ映像とは…これ以上贅沢なシチュエーションは望めないかもしれない。

演奏はピアソラ五重奏団。バンドネオンのアストル・ピアソラを核とし、パブロ・シーグレル、フィルナンド・スレアス・パスを従えた最強のメンバ、とのこと。タンゴの演奏者については実は全く詳しくないのだが、演奏を聴けばどれだけ物凄い奏者たちなのか、ということが自分のようなタンゴ・シロートにさえよく分かる。

曲目も、「天使の死」「天使の復活」「AAの悲劇」「アディオス・ノニーノ」「チン=チン」「ブエノスアイレスの秋」と、有名どころをきっちり押さえてあるのが嬉しい。

一曲目の「ルンファンド」から一気に引き込まれる演奏。屋外の、しかも眼の前に何百人もの観客がいる前での演奏…独特の雰囲気が創り出され、会場全体が空気を共有しているであろうことが読み取れる。うーん、リアルタイムで観たかった!←無理。

「AAの悲劇」の序奏として繰り広げられる、ピアソラの長大な即興バンドネオン・ソロ…ピアソラは作曲家としてだけでなく、卓越したバンドネオン奏者としても知られていたが、その才能を裏付けるすばらしいモノローグだ。独奏による激烈なフレーズを通り越した後の、慰めのフレーズ…続くピアノとの丁々発止、ピアソラはテンションを保ち続けたまま曲は一気にテーマへとなだれ込んでゆく。これでもかと、しつこいほどに長く続く曲は、なんと15分近くに及ぶ。そして最後の圧倒的なプレスト!…あいた口が塞がらない演奏っていうのは、こういうことなんだろうな。

「AAの悲劇」と、続く人気作「アディオス・ノニーノ」、ここまででもかなりキレているが、最後の「チン=チン」はもう、壮絶としか言いようがない。ピアソラの曲の中でも特に好きな曲だけれど、セッション・レコーディングにはないグルーヴ感が全体を支配した超特急の名演…タンゴの神様に加え、クラシックとジャズとコンテンポラリーの神様が降臨(笑)。シーグレルのソロ、ピアソラのソロ…ジャンルの壁を完全に突き抜けて、しかしこれこそピアソラのタンゴ、というすばらしい演奏、ブラボー!!

DVDは残念なことにもう廃盤なのだろうか。しかしライヴCDがVictorから安く(1800円ほど)出ているので、聴いたことがない向きにはぜひオススメいたします。

しかしピアソラ、バンドネオンを弾いているときの壮絶な顔と、聴衆の拍手に応えてニコニコしているときの顔が、あまりに違いすぎて面白いな。

…あれれ、気付けば最近サックスの話題がゴブサタのようだ。ネタはたくさんあるので、次はサックスのこと書きます(笑)。

2006/10/14

チェ氏のCD三枚

なめら~かSEの定期演奏会には行けなかった(泣)。残念。次回こそ必ず!きちんと予定を空けておこう。

一昨日、ケネス・チェ氏のCDが届いた。「Sparkling Sax(Crystal Records CD656)」、「In Memories(Enharmonic ENCD00-014)」、「Lyric Soprano(Crystal Records CD658)」の三枚。一枚あたり15ドルだから、CDとしては破格。

とりあえず三枚全部を聴き通してみたけれど、いやあ、いいですね。とにかく美しい音色!安定したテクニック!本当に凄い奏者だということが良く分かる録音だ。しかしまあ、ここに記録された音というのも、彼の才能のごく一部なんだろうな。一度生で聴いてみたい。

余裕があったら、一枚一枚詳しくレビュー(?)します。

個人的にはジョセフ・カントルーブ「オーヴェルニュの歌」のサックス+ピアノ版が聴けるのが嬉しかったりする。

2006/10/13

ノバホールの注目コンサート

先週末、つくば市ノバホールへ都市吹を聴きに行った折りに、たまたま見つけた破格のコンサートがこれ。

茂木氏を中心にN響メンバーにより構成された木管五重奏団で、イベールや山下洋輔が聴けて2000円!ということで思わず衝動買いしてしまった。ノバホールは自転車でもいけるほどの距離なので、東京へ行くのと違って交通費もかからない(喜)。

実は恥ずかしいことに、自分はN響すら生でマトモに聴いたことがないので…どんな演奏が繰り広げられるのか楽しみ。そもそもサックス関連以外の、プロの音楽家によるコンサートに出かけるのだって久しぶりだしね。

「山下洋輔組曲」なるタイトルの曲は興味深いなあ。共演や楽曲の提供など、ジャズピアニスト山下氏と茂木氏の親交はけっこう深いらしい。山下氏の作による、無伴奏オーボエのための「レディ・ラビットへの手紙」は茂木さんのCDで聴いたが、ジャズの人が書いたとは思えない高密度・高難易度の曲だったと記憶する。

チケットはまだそこそこ余っているようなので、日本を代表する管楽器奏者たちによる豪華な共演に、興味のある方はぜひ。そういえばこの次の日(11/4)はハバネラ・サクソフォーン四重奏団&筑波大学吹奏楽団の定期演奏会だ。ああ豪華。

・第22回つくば国際音楽祭~茂木大輔スーパークインテット
茂木大輔(ob.)、神田寛明(fl.)、磯部周平(cl.)、丸山勉(hrn.)、水谷上総(fg.)
2006/11/3(金・祝日)14:00開演
全席指定 前売り2000円
イベール「木管五重奏のための3つの小品」、ハイドン「ディヴェルティメント変ロ長調」、茂木大輔「父の掌」、カルク=エラート「ソナタ・アッパショナータ嬰ヘ短調」、山下洋輔「山下洋輔組曲」より他
お問い合わせ:029-852-5512(つくば国際音楽祭事務局)

2006/10/12

シュミット「クラリネット六重奏曲」

めずらしく、クラリネットの曲の話題。

フローラン・シュミット Florent Schmitt(1870 - 1958)と言えば、近代フランス音楽界の重鎮の一人。ネオ・ロマンティックを核とした伝統的な書法に傾倒しつつ、オリジナリティ溢れる作品を多数生み出した作曲家。サクソフォーン好き&カルテット好きな人にとっては、何と言っても「サクソフォーン四重奏曲作品102」が有名だが、室内楽にはそのほかにもたくさんの名曲を残しているのですね。

彼がクラリネット六重奏の分野に珠玉の名品を残していることをご存知だろうか。ものすごくマイナーな作品なので、知っている人はほとんどいないのかもしれない。というより、そもそもクラリネット六重奏の分野自体がマイナーなのか?クラリネットのアンサンブルというと、どうも四重奏や八重奏ばかりで、Es, Bb, Bb, Alto, Bass, Contraltoの六重奏編成ってあまり聞いたことがないな。

そんな分野ではあるけれど、シュミットの「クラリネット六重奏曲作品128(Sextuor pour clarinettes, op.128)」は、自分自身が今まで聴いたことのあるクラリネット・アンサンブルの曲の中では、疑いなく最高の傑作の一つだと思っている。フランス音楽界の重鎮の作品にふさわしい風格と密度…しかしだからといって、取り付く島の無い、単に巨匠を気取った作品ではなく、とてもクールでカッコいい作品なのだから面白い。

初めて聴いたのは、高校2年のときの吹奏楽連盟アンサンブルコンテスト。しかも他校が云々…といった話ではなく、自分の高校のクラリネットチームが第1楽章と第4楽章を練習していた(笑)。なーーんか、難しそうな曲だなあと思っていたが、楽譜を見せてもらったところ、本当に難しい譜面だった。

「サクソフォーン四重奏曲」を思わせる超高密度の黒々とした楽譜、複雑なリズム、和声、そして何より、技巧を感じさせないフランス風のエレガントさ…。部活内のお披露目会で初めて音を聴くことができたが、エレガントなだけじゃなくて、実は全編に渡ってモダンジャズの影響を受けている(このあたり、「サクソフォーン四重奏曲」と似ている)部分が随所に聴かれて、カッコいい曲だなあと思った記憶がある。

当時の先輩から、クラリネットチームが参考にしていたと言う音源(演奏者不明)をMDでもらえて、今でも大切に持っている。けっこう上手い。今でも時々聴くけれど、うーんやはりカッコいい。クラシックの曲じゃなくて、ジャズ枠の曲として聴いてしまうほど(第4楽章途中のバスクラ…!)。

いくら文で書いたところで、実際の曲がどんななのかはCDなどで聴いていただくしかないのだけれど、そのCDがほとんどない!のだ。ジャンルもマイナーなら曲もマイナーということで、レコーディングしている団体はごく僅か。「Sextuor de clarinettes francais」という、シュミット以外にジャン=ジャック・ヴェルナー(?)とジャン=ルイ・プティ(?)の六重奏曲を集めたCDが一番入手しやすいか…?

生でも聴いてみたいな。クラリネットやっている向きには、ぜひ取り組んでいただきたい。というか、誰か演奏してくれー。音源は手に入りづらいので、言ってくれれば持っているMDをお聴かせしますよ(誰に対して言ってるんだ)。

2006/10/10

学園祭終了

心配していた雨も上がり、学園祭期間中は秋晴れ。自分が乗っているHigh-Jinks Wind Orchestraの本番は無事?終えることができた。最後に向けてアンサンブルがどんどん乱れていったが(^^;楽しいステージだった。

パストリアス「ソウル・イントロ~ザ・チキン」に特別ゲストで乗っていただいた、プロのトランペットの先生の演奏は凄かった…なんか間近で見ると泣きそうなくらいだ。素人学生集団に、快く乗っていただいたM先生に、まずは感謝かな。しかもそれが手抜き無しの強烈なソロだったもんだから凄い。

某HRPCバンドでの、ガレスピー「チュニジアの夜」で先生がとったソロも凄かったなあ。…そういえば、HRPCはきちんと最初から最後まで聴いたのは初めてか?もしかして。楽しかったです。

High-Jinks WOの後にステージで演奏していた、Down Beat Hoppersも良かったなあ(というか、ほとんどセミプロだ、ありゃ)。

都市吹第20回定期演奏会

学園祭二日目の昼は、大学を抜け出して筑波研究学園都市吹奏楽団の第20回定期演奏会を観に行ってきた。まあいわゆる、つくば市の「市吹」と言ったところ。自分は所属していないけれど、先輩や知り合いが何人も乗っている。

客層は団員の家族…旦那さん、奥さん、こども、おじいちゃん、おばあちゃんが多かったかなあ。最終的には600人(目測)超えくらいか。それにしても、市吹でこれだけきちんとお客が入るとは。家族だけでなく、地元にも根付いている証拠なのだろうな。

「吹奏楽のスタンダード・クラシック」をコンセプトに据えた、比較的落ち着いたプログラム。アッペルモント、リード、スパーク、バーンズ…これまた吹奏楽人ならば知らない人はいない!というくらいメジャーな作曲家たちだ(笑)。

リードの「アーデンの森のロザリンド」は初めて聴いたが、上手くまとまったコラール、感動的な魅せ方をする作品だった。お子様方には退屈のようだったが(^^;

スパーク「4つのノーフォーク舞曲」は、ナントカ地方の民謡を題材にした曲とのこと。民謡を題材に取った曲、というのは個人的に好きだな。…これについて書き始めると「吹奏楽のレパートリー」から「吹奏楽の存在意義」あたりまでを俯瞰しなければいけないので…ここでは詳細は省きます。

ゲストにチェリスト、ハーピストを加えたバーンズ「交響曲第三番」がメインプロ。知り合いの某氏はなんとアルトサックスからコントラアルトクラに持ち替え!(恐れ入ります笑)。

しかしこの曲、第3楽章の魅せ方は凄い。初めて聴いた人が泣いた、というのも判るなあ。チェロが奏でるフレーズは、本当に泣けます。第4楽章は典型的ソナタ形式で、主題を追いながら聴いていったけれど、構造が分かり易いぶん、飽きずに最後(主題同士の連結の見事なこと!)まで面白く聴けた。

…うーん、なんか「曲」のことばかり書いてるぞ。演奏のことも書かなきゃいけませんね。

恥ずかしながら、都市吹を聴いたのは今回が初めて。最初の一音が出てくるまで、どんなサウンドか内心ドキドキだったが、飛んできた音は「おおっ」という感じ。コンクールみたいな変な気合の入り方もしてないし、演奏が好きで、音楽が好きで吹いているのよ、って感じのリラックスしたサウンド。

聴いていた場所のせいもあると思うのだが、バランスも良好で、変に鳴り立てるところもない。そんなわけで、とても心地よく聴けた。始終普通のバランスで運ぶのかなと思いきや、クライマックスでは一丸となったサウンドが飛んでくるのも良いな。

そういえば、団員の方&プロの先生の二人が指揮を振ったのだが、やっぱり団員の方の指揮だと安全運転だったかなあ。プロの方の指揮はダイナミックだったが、曲の難しさもあって、けっこう奏者が落ちたりしてたのはちょっと残念だったかも。特にバーンズはソロも多いことだし(ソロのフレーズ感、って重要だと思った)。

しかしながら、個人的には、うん、満足々々。また聴きに行こう。

2006/10/05

チェ氏のラーション

週末は学園祭。雨が降らないといいなあ。

ラーシュ=エリク・ラーション「協奏曲」の入ったCDが到着。先日の記事でも触れたケネス・チェ氏独奏のライヴ盤。Arizona University Recording(→http://www.aurec.com/)から出版されている、サクソフォン録音のオムニバス企画の中の一枚「America's Millenium Tribute to Adolphe Sax, Volume IX」。

Arizona University Recordingのラインナップの中には、サクソフォンでジョン・ケージの「4分33秒」(!!)を演奏(??)してしまったCD、なんてのもあった。誰か買いません?その他、前回のアドルフ・サックス国際コンクール審査委員長だった、フランソワ・ダニール氏のアルバム「Kaleidosax」も興味深い。

さて、ラーション「協奏曲」はフラジオ連発の高難易度の曲のためか、なかなか今までにトドメをさす様な録音がなかった。そんなわけでけっこう期待して再生してみたのだが…むむむ。チェ氏の独奏はさすがなのだけれど、バックが学生のオーケストラのためか、弦が散漫に聴こえてしまうのが残念。ところどころ、「おっ」と思わせられるような気合は感じられるのだけれど、やはり弦は難しい、といったところか…。

もちろん、普通に楽しむ分には十分すぎると思うが。

そんなわけで今回も100%満足、というわけにはいかず、結局クリステル・ヨンソンの盤に戻ってくるのでありました。フラジオ音域を下げているにもかかわらず、独奏・オケともに良く練られた珠玉の録音です。…うーん、しかしやはり、第一楽章途中にでてくるあの雄大な超高音域フレーズなんかは、楽譜どおりの演奏を聴いてみたい。

ラーションをオーケストラと演奏し、決定的録音を残すことのできる奏者、果たして今後現れるのだろうか。そのあたりに関しては、雲井雅人氏やThunder氏が、委嘱者ジグルート・ラッシャーの話と絡めて興味深い考察を行っていたっけ。いやはや、同感です。

2006/09/30

ケネス・チェ氏~アジアのサックス吹き

日本以外の東アジア…たとえば中国や韓国は、世界のクラシック・サクソフォーン界から見ると、普及は比較的後発だったよう。しかし最近はサックス関連の教育制度も整い、世界レベルの奏者を輩出することもあるようだ。クロード・ドゥラングル教授率いるパリ国立高等音楽院のクラスも、中国へのツアーを行ったというし、世界的にも期待されているんだろうな。

そんなアジアのプレイヤーのなかに、ケネス・チェ(ツェ?)Kenneth Tse氏という中国出身のサックス吹きがいる。香港に生まれ、母国の音楽大学を卒業の後、インディアナ大学でユージン・ルソーに師事。アメリカで幅広く活躍して、現在はアイオワ大学のサクソフォーン科教授を務めているという。

RIAXというレーベルから出ている「Sonate(RIAX RICA-2002)」というCDをたまたま聴いて、ものすごい実力者だということを知ったのがきっかけ。まず音色が良い!…マズランカの「ソナタ」を録音しているのだけれど、一聴してどんな難所でもニュートラルな音色がとても印象だった。

アルトサックスはもちろん、ソプラノサックスによるサン=サーンス「ソナタ」もとにかく綺麗な音色で、ルソー門下だということに納得。生の音を聴いてみたいなー。

こんなすごいサックス吹きが出てくるとは…20年後、30年後のアジアのサックス界は、もしかしたら世界一になっている…かもしれませぬ。今後は、外国に留学した奏者がどれだけ母国に戻るか…つまり教育基盤の強化具合にかかっていると思う。

さて、そんなアジアを代表するチェ氏の音はアルバム「Sonate」で聴くのがまずオススメ。これは手に入りやすいうえに、安価、内容も充実と大変よろしいです。また、チェ氏のWebページ(→http://www.kenneth-tse.com/)ではその他のアルバムも扱っている…これまた楽しそうなCD!ということで、数枚買ってしまいました(^^;届くのが楽しみ。

また、Webページの左のメニューから選べるMedia LIVE!では、香港ウィンドフィルハーモニーとクロード=トーマス・スミスの「ファンタジア」を共演したときのライヴビデオが観られる。けっこうオススメ。うむむ…少なからず難しい曲のはずなのに、恐ろしく余裕な演奏だ。

ラーシュ=エリク・ラーションの「協奏曲作品19」をアイオワ大学の学生オケと入れたCD(ライヴ盤)もあるそうで、こちらも興味深い。

野田燎氏

ノナカ・サクソフォン・フレンズの会誌Vol.17の特集がすごい。サックス吹き、いやそうでなくても興味深い内容。ネットでも見られます(→http://www.nonaka.com/j/new/nsf_report/pdf/nsf17.pdf)。

紹介されている野田燎氏は、サクソフォーンのための有名な独奏曲「インプロヴィゼイション(即興曲)」シリーズの作曲者として、また現代音楽のスペシャリストとして名を広く知られているけど…必見。

2006/09/28

海外とのやりとり

メール送ってみるもんだ。送料が半額以下になった(それでもまだ高いけど、まあ良しとしよう)。海外への英文メールは、初めての時こそ緊張して何度も推敲したものだけれど、今ではわりと気楽に送れるようになった。

ちなみに生まれて初めて海外に送った英文メールは、デイヴィッド・マズランカ David Maslanka氏宛てのメールだった。「マウンテン・ロード」の楽譜をがCarl Fisherで絶版だと知り、何としても手に入れたい!と思っていたときのこと。マズランカ氏の公式ページで「For information about out-of-print or hard to find works, musical interpretation, to pass along information about upcoming performances, or commission inquiries, contact David Maslanka by any of the following means:」のくだりを見つけて、メールしてみようと決意したのだった。いやあ、なつかしい。

すぐにマズランカ氏から返信があり(すごく嬉しかった)、国際郵便為替を使ってなんとか直接買うことができたのだった。

そうして入手した楽譜は、本番を迎えないまま楽譜入れの中に眠っている。実は去年のアンサンブルコンテストで「マウンテン・ロード」の最終楽章をやろうと言い、練習も二週間ほど始めていた…のだが。結局デザンクロの第一楽章をやったのは周知のとおり。

2006/09/25

クローバー・サクソフォン・カルテット

海外からの荷物はやはり送料が高い…(商品2つで30ドル、その送料が25ドルって…)。特にCDやLPのような体積のある荷物だと、送料がぐっと増す感じがする。どうにかならないのかなあ(これが船便 Surfaceだと激遅のかわりにずいぶん安くなるのだが)。Surfaceで送れないかと、いちおう打診はするつもり。

いまさらというか、気が早いというか…クローバー・サクソフォン四重奏団 Clover Saxophone Quartetが、けっこう気になっている。ソプラノ:林田祐和、アルト:田村真寛、テナー:貝沼拓実、バリトン:坂口大介という若手メンバーで構成された四重奏団。構成メンバーの名前を見るだけでも、いかに次世代の日本のサックス界のホープが結集したか、が判るというもの。

それぞれのメンバーのソロは、サクソフォン・フェスティバルで聴いたことがある。しかし、あの個性溢れる音楽性の持ち主たちが四重奏を組むとどんな響きがするんだろう?

すでにデビューを前にして各所での演奏を展開・好評を得ているようで、新世代のカルテットの一つとして期待大!早く音を聴いてみたいなあ。

デビューリサイタルは2007/5/11、東京文化会館小ホールにて開催とのこと。次代を担うカルテットのひとつとなるのだろうか。ぜひこの目で確かめてみたい。…んー?たしか5/7には同じ場所で雲カルの定期演奏会がある!豪華々々、二つとも行ってみよう。

2006/09/23

ボルドー音楽院の新教授

今週は怒涛の引越しや研究室(ほぼ徹夜状態も数回…)で楽器が吹けなかった。水・木曜日あたりは練習しに行く予定だったのに。上手くいかないものだなあ。

学園祭が迫っている。今年は昨年までに比べてぐっと出番が少なくなったので、一個々々の曲やソロをきちんと練習してこなすそうかと。そういえば、学園祭の2日目にあるつくばの都市吹のコンサートを聴きに良く予定。楽しみにしてます>fさん、pomさん、K島さん。

ロンデックスのことを書こうと思っていたのだけれど、ちょっと関連ネタを仕入れたのでひとつ。

今年度からボルドー音楽院のサクソフォン科教授はファビエン・ショウラキ氏 Fabien CHOURAKIらしい!へえぇ。聞きたいことがあってメールを送ったところ(この忙しい年度末にゴメンナサイ)、ボルドーへのお引越し中で返事が遅くなったとの旨とともに返信が届いたのだ。そこにはprofesseur de saxophone au conservatoire National de region de Bordeauxの署名が!あー、びっくりした。

ボルドー音楽院というと、やはりロンデックス氏の名前のイメージが強すぎて、1995年に退官されたことは知っていたが、その後任が誰かは知らなかったなあ。

2006/09/21

ウッズ「ソナタ」

サクソフォンが発明されてから160年。しかしいくら若い楽器だからって「クラシックっぽい」曲が少ないわけではなく、黎明期のサンジュレを始めとする古典的な作品、グラズノフの「協奏曲」や「四重奏曲」に代表されるロマン派、さらに続くネオ・ロマンティック、コンテンポラリーと、意外なほどに「クラシック作品」が多いことに気付かされる。

そしてさらに、サックスの特徴である音色の柔軟性や運動性能を生かした、クラシック×ジャズや、クラシック×ロックのような「ハイブリッド作品」が数多く生み出されている。

もちろんサックスの「クラシック作品」にも良い曲がいっぱいあるのだが、この「コラボレーション作品」の中に、目を剥くほどカッコいい作品を見つけることがあるのだ。今回はその中からフィル・ウッズ作曲の「ソナタ」の話。

フィル・ウッズと言ったらアメリカのジャズ界では大御所のジャズ・アルトサクソフォン奏者&作曲家。ヴィクター・モロスコに献呈されたこの四楽章からなる「ソナタ」は、ジャズのイディオムをそのまま譜面に落としてきました、という感じの曲で(クラシックな「ソナタ」を想像しながら聴き始めるとかなり面食らう)、「ハイブリッド作品」の中でもずば抜けたカッコよさと完成度を誇る名品である。

まず主題が良い!とてもメロディックな上にクールだし、その主題が全楽章に渡って聴かれ、さりげなく統一感を出している。そしてソロサックス、ピアノにアドリブ部分が用意されているあたりはジャズそのまま…コード進行が用意されたアドリブならまだしも、"freely, fast as possible"の副題を持つ最終楽章ではフリー・ジャズ的な要素までをも求められるという幅の広さ(けっこう凄い)。

1986年に発売されたジョン・ハールとジョン・レネハンのデュオによるアルバム「John Harle plays(Hyperion)」のトップを飾るのがこの曲。2004年にClarinet Classicsから再発売されて初めて耳にしたが、いやあ、衝撃的だった!。たしか献呈者であるヴィクター・モロスコ氏の演奏によるCDもあるはずで、こちらもぜひ聴いてみたい。

良い曲のわりに、日本ではコンサートのプログラムに入ることが稀。なんでだろう?確かに収録されたCDも少ないし、ガチガチのフランス産ソロ曲が好まれているので、広まる余地は無いのかもしれないなあ。…と思っていたら11月に筒井裕朗氏がリサイタルで取り上げるらしい!(→http://www.c-music.jp/index.php/top/friend/i/6809759610/)しかも一楽章の録音も聴ける(ファイルへの直接リンクは遠慮しました→http://www.geocities.jp/saxsonata/sound/etc/woods1.mp3)カッコいい!リサイタルは石川県とのことで、さすがにここからは無理だが…お近くの方はぜひ。

サクソフォンの世界には、まだまだ素敵な「ハイブリッド作品」がたくさんあるので、機会があれば紹介したいと思っている。

2006/09/20

引越し

ちょっと離れたところに引越し。直線距離で700メートルくらい移動したかな(^^;。今までに比べてゆとりあるスペースがとれる(というか、今までの住まいは狭すぎ)ので、ちょっとうれしい。うーん、これを機に、きちんとしたスピーカーやアンプを買うか…。

今までに資料として収集したサックス絡みの楽譜・CDを、引越しのために整頓していたら結構な量になってしまった。特に楽譜はダンボールに詰めたままにしておくのもあれなので、きちんとファイリングしないとなあ。ところでジャン=マリー・ロンデックス氏とボルドー音楽院が所蔵するクラシカル・サクソフォンの楽譜・CDの量は世界屈指の量、らしい。さすが「125年」の著者だ。

2006/09/16

ザッパ

フランク・ザッパのベスト盤聴いています。うーん、良い(笑)。

サックスや吹奏楽で、かなり濃いところまで知識を広げてしまった人にとってはどこかで聴いたことのある名前ではないだろうか。本当にこのヒト、すごい。ロック界の史上最強の奇才~という呼び方が当てはまるような、スーパー音楽家なのだ。

何者かと一言で表すならばロックギタリスト・作曲家なのだが、ここでは個人的なザッパ音楽との出会いと雑感をば。

そもそもはChannel Recordsから出ていた金管アンサンブルのCDで初めて聴いたときの衝撃だった。ちょっと斜めに構えたような異色のアルバムで、不思議なノリの曲がたくさん入っていたのだが、ザッパの作品はその中でも強烈だった!ものすごい独特のグルーヴ感と一回聴いただけで忘れられないようなヌルいメロディ…こんな曲を書く人がいるのか!と。すぐに「ザッパ」の名前は覚えたがクラシック畑に情報が異様に少ないのが不思議だった(ロック界の人なのだから、今考えると当たり前なのだが)。

そして吹奏楽や現代音楽、サックスの音楽を収集していくにつれ、ザッパの音楽を意識するようになった。Saxoforteがトランペットをゲストに迎えたトラックやアンサンブル・モデルンのザッパ集は良く聴いたなあ。そしてついには原曲にも少しだけ手を伸ばすようになった。普通のロックってどうも苦手なのだが、ザッパをすんなに受け入れられたのはなぜだったのだろうか。

必要以上に声を荒げずに、多彩で魅力的なメロディとリズムを生み出している、ということが自分の感性とマッチしたのかも。普通のロックって、単調でつねにフルレンジで…というイメージがあったのだが、ザッパの音楽はとにかく要素が多い。使われている楽器の種類は多いし、メロディが多いし、ダイナミクスは広いし、何度も転調するし…。色彩感ゆたかなタッチは、吹奏楽に通じるところもある(かもしれない)。

演奏もものすごく上手い。ザッパ自身のヴォーカルはもちろん、スティーヴ・ヴァイ(!)を始めとする超級アーティストとの共演…。油断して聴いていると良く分からないのだが、実は相当ハイテクニックな演奏だ。そこら辺のプロのクラシック演奏家とは比べ物にならないほどキッチリ演奏しているのには唖然。

そのあまりの活動の広さからここで全ての魅力を伝えきれないのが残念。こちらのページがとてもおもしろいので、ぜひ参照していただきたい(→http://homepage.mac.com/club_k2/zappa/

ザッパは1993年に惜しまれつつも亡くなっているが、生で聴いたら凄かったかもなあ。生演奏か、ロックのライヴってどんな感じなんだろうか(笑)。

2006/09/15

ミュール四重奏団のLP

ちょいと更新をサボり気味ではあるが、忙しさゆえで…。昨日はfreescale semiconductorのフォーラムを観るため、上京。目黒の雅叙園(一生に一度は行くべき)に行って参りました。終わったあとついでにN響の定期Bプロ(黛、ストラヴィンスキー、武満)を聴いてこようかとも思ったけれど、世の中そんなに甘くなく売り切れとのことでした。あらら。黛敏郎の「涅槃交響曲」とか、ストラヴィンスキー「春の祭典」とか、一度くらい生で聴いておきたい。

件のミュール四重奏団のLP(MHS)を聴いてみた。なにが凄いって、ほとんどそれまでに録音のなかった40年前に、完成された解釈を紡ぎだしていること。最近の録音だよー、と言われて聴かされても、ほとんど違和感は感じないかもなあ。…逆に考えれば、いかに後々のプレイヤーたちの演奏がミュールの模倣の上に成り立っているのか、ということを示唆するものだと思う。

演奏者は、ソプラノ:マルセル・ミュール、アルト:ジョルジュ・グールデ、テナー:ギィ・ラクール、バリトン:マルセル・ジョセ。この録音の数年後にはミュールが演奏活動から引退し、それにともなって四重奏団も解散している(「Marcel Mule, sa vie et le saxophone」より)。グールデは、ミュールの四重奏団にとってけっこうなキーマンであったとか。各種のサックス作品に深い知識、そしてユーモアを持っており、コンサートなどでの曲目の解説などは、ミュールから一任されていたという。ラクールはあの「50のエチュード」のラクール。写真を一目見るとなかなか強烈な印象を残すな…(なんで、こうカルテットのテナー奏者の姿って印象的なんでしょうか)。

デザンクロの世界初録音はけっこう貴重な音源だが、第一楽章を聴いていたところ…あれれ?テナーのラクール氏が入りを間違えて一部ゴチャゴチャになっている(笑)。

機器がそろった折には、きちんとデジタルデータとして保存したいな。将来的にLPの著作隣接権が消滅すれば、サックス吹きにとってはなかなかすばらしい共有の財産になるのではないだろうか。

原博巳氏のアルバム

ようやく聴いた、原博巳氏のセカンドアルバム「PCF(Cafua CACG-0067)」。原さんの演奏はフェスティバルやコンサート等、生では何度も聴く機会があったけれど、実はCDを買うのはこれが初めて。ブートリー、デニゾフ、棚田あたりに惹かれて買ってみた。

セルマーのサックスにヴァンドレンのマウスピース(たぶん)から出てくる音色は現在のトレンド。温かみをきちんと残しつつも、要所々々でキレのある音色の変化をこなすあたりはさすがだと思う。そして限界を知らないテクニックと、それだけでない「音楽」の圧倒的なうねり。これが国際コンクール優勝の実力…!

もちろん棚田やデニゾフは名演に違いないけれど、一曲あげるとしたらデュクリュック「ソナタ」。第2、3楽章の抜粋である「アンダンテとフィルューズ」の名でも良く知られた、四楽章からなる嬰ハ長調のソナタ。弱音で奏でられるノン・ヴィブラートの音色がピアノの上にすっと伸びていく様が、ひたすらに美しい。原さんの持っている弱音の美意識と曲想が完全にマッチし、かなり説得力ある演奏に仕上がっている。ドゥラングル氏の演奏も持っているが、個人的にはこっちのほうが好きかもなー。

今度はコンチェルトとか、さらに規模の大きな大曲を収録してほしいところだが…日本ではさすがに厳しいか…。いやいや、ぜひぜひ。アドルフ・サックス国際コンクール本選で演奏したラーションとか、聴いてみたいなあ。

スケールの大きな演奏をするあたり、オーケストラを従えたときにかなりいい演奏をしてくれるのではないかと思い込んでいるのだけれど。

2006/09/12

久々の吹奏楽本番

土日は吹奏楽の本番があって忙しかったため更新できなかった。来週末も引越しや演奏の本番でけっこう大変だなあ。

吹奏楽の中でのテナーサックスのポジション、つくづく難しいと感じた。「吹奏楽の中に一本」がデフォルト。ブレス、ダイナミクスを相当考えながらフレーズを作っていかないと中音域を支えきれなくなってしまう。

細かいテクニカルな部分…リズムをそろえる、アーティキュレーションをそろえる、そしてフレーズをギリギリまで精確に取るということを曲の隅から隅まで全員が集中してこなすことは、けっこう重要なんだなあと。吹奏楽の響きの中では見落としがちな部分だけれど、実践することでかなり変わった聴こえ方になる、ということも強く感じた。それを実践すればするほど、テナー一本はキツイ。

考え方(アナリーゼと言うのか?)次第、というのはもちろん分かっているのだけれど…頭使わないと楽器ってマトモに吹けないのねー。

それでも今回はラッキーなことにテナーが二本、しかももう一人のテナーサックスの子が相当上手くて、細かな打ち合わせの上で安心して吹くことができた。ブレスが切れてしまうところではブレス位置をずらすことで対応。アゴーギクの変化はその場のアンサンブルで(基本ですね)、さらに音程も要所要所できちんと合った(と思う)。おお、すごい(笑)。

ブレスかあ、循環呼吸なんかできるとフレーズを持続しやすくなるのかなあ。きちんと練習してみようかなあ←無理。

いやしかし、上手い人がたくさんいる中で吹くのは勉強になりました。

2006/09/08

サクソフォン・コングレスのビデオ

先日スロヴェニアで開かれていた第14回サクソフォーン・コングレスの模様を一部収録したストリーミング・ビデオをAdolphesax.comで発見。まあ実際観てみると、画質は悪いし音は悪いしであまりヨロシクないのだが、それでも演奏の雰囲気は存分に伝わってきてけっこう楽しい(14th WSC写真・ビデオ集→http://www.adolphesax.com/Html/Streaming/WSC2006.htm?t=2842)。

…ん?なんだこの、ホームビデオっぽい雰囲気は…。怪しさ満点(笑)。

トマジの協奏曲を演奏しているドゥラングルの恐ろしいほどの上手さ:本当にめちゃくちゃ上手い。須川さんとTKWOの演奏よりも上手く聴こえるっていったいどんな次元の話なのか。ボーンカンプの演奏するフェルドハウス Veldhuisの「Tallahatchie Concerto」は気合の入った名演奏! そのほか、フェリペやダヴィッドの演奏も少し観ることができる。

フェルドハウスの協奏曲は「タラハッチー」とでも読むのだろうか(笑)。演奏だけでなく作品もかなり良い!サックスの対応できるクラシカルからちょっとポップな雰囲気までをカバーした、この楽器にぴったりの曲だと感じた。うーん、今後「Grab It!」ともどもブームを巻き起こしそうな予感がする。きちんとした録音で聴いてみたいなあ。

遠くスロヴェニアまで出かけられない身にとっては、こういった試み?は大変ありがたいことだ。しかしこのビデオ観たら、2009年タイでのコングレスにますます行きたくなったぞー。

2006/09/07

デザンクロ「四重奏曲」の譜面ミス?

デザンクロ「四重奏曲」の解釈で常々問題になる「あの」二箇所だが、今まで受けた何回かのレッスン、また本曲の初演者であるマルセル・ミュール四重奏団のLPを聞いてほぼ確信した事柄を載せておこうと思う。

・第一楽章[H]2小節前 シンコペーションリズムについて
 問題→第一楽章でのひとつの山場であるこの箇所だが、ソプラノのシンコペーションが楽譜上では16分音符に直すと[3-3-3-3-4]であるのに対し、アルト、テナー、バリトンは[3-4-3-3-3]である。楽譜どおりに吹くポリリズムも面白いのだが、なーんか合わせづらいしイマイチパワーも足りない。

 結論→[3-4-3-3-3]は記譜、もしくは浄書のミス!である。ここはアルト、テナー、バリトンも[3-3-3-3-4]と吹くのが正しい。
 その昔この曲に取り組んでいた際、四重奏のレッスンを頂いたお二人のサックスの先生曰く、「友人の作曲家にもアドバイスをもらったが、ここのリズムがずれるのは音楽的におかしい」「このほうが合わせ安いし、初演者も[3-3-3-3-4]で吹いているのだから演奏を聴いたデザンクロが訂正のアドバイスをしたのだろう」とのこと。
 このたび世界初録音のLP(MHS)を入手し、実際の音で確認をすることができたが、やはりミュール四重奏団は[3-3-3-3-4]だった!デザンクロと親交があったミュールのこと、ほぼ間違いないと考えて良いだろう。

・第三楽章[M]2小節目 テーマの変奏、楽譜上はスラーだけれど…? 問題→第3楽章の最終部のテーマの変奏にはスラーがついているのに、なぜかいろんなCDを聴くとスタッカート、外国の奏者もスタッカート、アンコンでもみんなスタッカート…なぜ?

 結論→デザンクロは最初スラーつきで書いたが、実演を聴いた後アドバイスをしてスタッカートで吹かせるようにした。つまり、スラーを取ったほうがデザンクロの意図に沿っている、ということになる。
 これもやはりサックスの先生に聞いた話だが、デザンクロが実演を聴いた後にアドバイスをしたらしいのだ。なぜ初稿のままLeducから出版されてしまったのかは謎だが、曲の完成後出版の準備が早々に進んでいたことが推測できる。
 ミュール自身、またはミュール直系の比較的初期の録音(ミュール四重奏団、ギャルド四重奏団、デファイエ四重奏団)がスタッカートで吹いているため、間違いないだろう。
 中高生のアンコンとかでは知らずにスラーを取っちゃうけれど、実はそんなウラがあったのですね。

とまあ、こんな感じでまとめなおしてみました。人気のある曲だし、これからの季節はまさにアンサンブルシーズン。演奏する機会があって、万が一このエントリを見つけた方に、ちょっとした参考になれば幸い。

2006/09/05

ああ、廃盤レコード

(土曜のことですが、)オークションで、クロード・ドゥラングルの室内楽デビューであるREM盤の落札に失敗(T_T)…たぶんこの先10年は出会えないかも。いや、もしかしたら一生…ショーック!

ドゥラングルのデビュー盤というと、ギャップ国際コンクールでの優勝後にモンテ・カルロ響と吹き込んだドビュッシーの「ラプソディ」が比較的知られているが、オディール・ドゥラングル女史とデュオを組んで1980年代に録音した「Duo Delangle(REM)」というLPは、ちょっとした穴場なのだ。シャルパンティエ、ティスネ、コンスタンと、選曲も一癖あって、見つけたときは嬉しかったのだがなあ。むむむ。

冷静に考えてみると、21世紀にもなってLPを買おうとしている自分っていったい…。レコード会社の方、盤起こし&CD-Rでもいいのでぜひぜひサックスの名盤のCD復刻をお願いいたしますm(__)mってここに書いても意味ないのかなあ。

数ある名盤(ミュールのソロや四重奏、デファイエのソロ(Crest)や四重奏(CBS Sony)、ヘムケのコンチェルト集、等々挙げればきりがない)はサックス界にとって大きな資産だと思うのだけれど、廃盤のままだったり、運良く再発してもすぐ絶版になったりしてしまうのは、この大量生産大量消費の時代にあっては仕方がないことなのだろうか。

2006/09/04

コンクール練習を見学

昨日は豊里のホールまで、後輩たちのコンクールの練習を聴きに行ってきた。夏はずっと練習をやっていたみたいだけれど、実は聴いたのは初めて…。

自転車を走らせること30分、なんとか着きましたさ、ええ。「通し練習の後の通し」だけ聴いてきました。行き帰りに50分以上かかった割には、ホールには5分しかいられなかった(^^;

聴きに行って良かった。とても上手くて、カッコよかった!!「つくばDNA」みたいなものを感じたなあ…良くも悪くも筑波大らしい演奏というか(笑)。もう来週は東関東大会本番、だそうだけれど、体調など崩さず良い演奏をしてきてほしいものだ。がんばってください>関係者の方々。

帰り道、自転車を走らせていると野菜の直売所が…ふらふらと誘われるように中へ。店内にいたおばちゃんたちに混ざって井戸端会議に参加(笑)。売り手の方ははきはきした、威勢の良い小柄なおばあちゃん。自家焙煎した麦茶、泥つきネギ、ジャガイモを買って帰りました。これまた美味!、そんな日曜日でした。

2006/09/03

サクソフォン協奏曲コンサート

聴いてきた、「須川展也 サクソフォン協奏曲コンサート」。本多俊之「風のコンチェルト」、エドワード・グレッグソン「サクソフォーン協奏曲」、吉松隆「アルビレオ・モード」「サイバー・バード」。すべてが須川さんの委嘱によるサックスの協奏曲、オーケストラとの共演、待ったなしの全力勝負!いやー、豪華なコンサートだった!

最近、ようやくいろんな演奏をを聴きなれてきたせいか、理屈抜きの高揚感を味わうことはなかなか少なくなってきたが、久々にいろいろ考えずドキドキさせられるコンサートだった。

グレッグソンはBBCラジオで聴いてすでに良く知っている曲だったが、やはりこれは名曲!聴かせかたがいかにも現代の売れっ子作曲家という感じで、何度ものめくるめく転調を経て爆音のフィナーレへ盛り上がり…オーケストラもここぞとばかりにノリノリで、楽しそうだったなあ。しかしまあオーケストラの全力(強奏・弱奏)聴いちゃうと他のコンサート形態のサウンドのいかに貧弱なことか。

メインの「サイバー・バード」は生では初めて聴いたけれど想像を絶するカッコよさ。フリー・インプロの部分はもちろんのこと、須川さん始めソリスト陣のヴィルトゥオジテを最大限に引き出したスコアは鮮烈!また生で聴く機会があるといいなあ。

齋藤一郎指揮の東フィル、聴いていた6列目では特に弦の上手さが映えた。コンマスはモルゴーアの方だったのですね(須川さんのブログ参照)…どこかで見た事あると思ったら。指揮の齋藤氏は要所々々でオケをリードする姿がなんともカッコよかった。長身の燕尾服は振り映えしますなあ。TKWOの演奏会聴きにいってみようかなあ。

客席の反応、そして今までの演奏活動を噛み締めるようにニコニコと挨拶する幸せそうな須川さんの顔がとっても印象的。日本を代表するクラシック・サックス吹きの一人として、これからの更なる活躍を期待せずにはいられない…。

終演後に、持ってきたCDにサインをもらいにいった&写真を一緒に撮ってもらった私は、なんだかんだけっこうミーハーかもしれません(笑)。

2006/09/02

明日はオペラシティへ

ここ一週間、研究室の多忙とあいまって楽器吹くのが一日おき…まずいまずい。忙しくてもきちんと音を出せる時間を作らないとな。来週末にけっこうクリティカルな本番を控えていることだし。

明日は須川展也さんと齋藤一郎指揮東京フィルの協奏曲コンサート。本多俊之「風のコンチェルト」、エドワード・グレッグソン「サクソフォーン協奏曲」、吉松隆「アルビレオ・モード」「サイバー・バード」。すごっ。すべてが須川さんのために書かれた委嘱作品とはねえ…なんだかクラシックサックスでは未だかつてありえない豪華なコンサートだ。須川さんご自身も、「こんなコンサートはもうできないよ」みたいなことを言っていたというし。

いくらかチケットが余っているとの話も聞くので、万が一ここを読まれてさらに間に合いそうな方は、当日券狙いで東京オペラシティまで足を伸ばしてみてはいかが?

2006/08/31

著作隣接権

最近、研究室がかなり輻輳状態で大変です。

ふと思い立ったのだけれど、マルセル・ミュールの初期の録音など、録音から50年以上経過した録音ってMP3形式などでインターネット上に公開しても問題ないのでは…。気になったので、著作隣接権の該当する部分を拾い出してみた。

著作隣接権。これは、演奏家、録音業者を保護するための制度:演奏がレコードやCD等になっているとき、その録音物と、録音した演奏者に適用される著作権のことだ。

・「著作隣接権の存続期間は、次の各号に掲げる時に始まる。 - 二 レコードに関しては、その音を最初に固定した時」(第六節第百一条第一項)
・「著作隣接権の存続期間は、次に掲げる時をもつて満了する。 - 二 レコードに関しては、その発行が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年(その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して五十年を経過する時までの間に発行されなかつたときは、その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して五十年)を経過した時」(第六節第百一条第二項)

えーとつまり…録音されて50年以上たっているものは、著作隣接権が消滅している、と考えて問題ないのだろう。

第二項では「その音が最初に固定された…」という記述があるが、ミュールさんの演奏が固定されたのは1930年代。これを「最初の固定」と考えれば、当時出版されたSPの著作隣接権は消滅済みということになるが、復刻CDの場合は?

SP所蔵者のコレクションからCD上に音が固定されたのは、1990年代に入ってからだから、復刻の瞬間を「最初の固定」と考えれば「復刻CDの著作隣接権」が消滅してないということになるなあ。ん、そもそも「最初の固定」が行われたのはフランス国内じゃないか。「最初の」の解釈によって、可否が変わってくるのだが…。頭がこんがらがってきた…どなたか教えてくださいm(__)m←ずくなし。いっそのことJASRACに聞くか。

著作権法はここ(→http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#002)で初めて読んだけれど、なかなかに解釈が難しい表現もあり、大変読みづらい。「すべてわかった!マンガで読む著作権」とかあればいいのだがなあ(?)。

プレスティージュもどき?

ななな、なんだこりゃ?

アルトサックス→http://www.schreiber-keilwerth.com/englisch/keilwerth/instruments/alto_cx90.htm
テナーサックス→http://www.schreiber-keilwerth.com/englisch/keilwerth/instruments/tenor_cx90.htm

クランポンのプレスティージュ Prestigeといったら高級サックスの代名詞。銅を多く使った真鍮の美しい管体から出てくる音がなんとも繊細で、かのダニエル・デファイエやファブリス・モレティが愛用していたこともあって、熱烈なファンも多い。私も試奏させてもらったことがあるが、びっくりするほどきれいな音が出るんですね、これまた。

しかし経営不振によりけれど、カイルヴェルトなどと合併してからというものプレスティージュの生産ラインはずいぶんと狭められており、現在はアルトのみ製造、しかも日本にはほとんど入ってこなくなってしまったのだった…が。

今回、カイルヴェルトから発売された「CX90」は、まるでプレスティージュ!特徴の欄を見ても、Copper Body, Clear Lacqueredと、まるでプレスティージュを自社のシリーズに加えたような製品だ。紅く輝くテナーって、ちょっと感動すら覚える。

クランポンのサックスって、ベルが開いた形になっているのが特徴だけれど、写真を見る限りは管体の形はカイルヴェルトっぽいなあ。サイドキーは高さが調節できる形状みたい。クランポンの利点(音色)とカイルヴェルトの利点(音程、メカ)を併せ持った合作なのだろうか?うーん、ちょっと試奏してみたいかも(買わないけれどね)。

2006/08/29

課題曲・選択曲など

引き続きアドルフ・サックス国際サクソフォンコンクールのネタ。

実施要項がPDFで読めたので(→http://www.dinant.be/pdf/pages/588/extrait_regl_fr_recadr%E9.pdf)、課題曲・選択曲の部分をまとめてみると、こんな感じ。

・予選(課題曲1曲+選択曲1曲)
課題曲:
 ダニエル・カペレッティ「Ge(r)ms」
選択曲:
 マルセル・ドゥ・ヨンゲ「協奏曲」
 ピエール・リエマン「A la bonne heure」
 アンリ・プッスール「Duel de Capricare」
 フレデリック・ファン・ロッサム「Pathetic Story」
 ウィリー・ボウェラーツ「Trilogie」
 ジャン・アブシル「ソナタ」
 ルネ・ベルニエ「Hommage a Sax」
 ミシェル・リサイト「Chronographie IX」

…ロッサムの「Pathetic Story」は前回の本選課題曲だが、他はなんだか聞いたことのない作曲家ばかり…おそらく開催地ベルギーの作曲家なのだろう。そんな中、アブシルが唯一フランス・アカデミズム的作品として異彩を放つ…と思いきや実はアブシルもベルギーの作曲家なのです!

・二次予選(課題曲1曲+選択曲1曲+自由曲1曲)
課題曲:
 ジャン=ルク・ファルシャンプ「Decalcomanie de Reich et Ligeti」
選択曲:
 ジャック・イベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」
 吉松隆「ファジイバード・ソナタ」
 エディソン・デニゾフ「ソナタ」
 フローラン・シュミット「伝説」
 マリリン・シュルード「Renewing the Myth」
 ポール・クレストン「ソナタ作品19」
 アルフレッド・デザンクロ「前奏曲、カデンツァと終曲」
 ポール・ヒンデミット「ソナタ」
自由曲:
 無伴奏曲(テープ、ライヴエレクトロニクス等の特殊なエフェクトを伴った作品を除く、自作除く)。

…課題曲はなんだか興味深いタイトル、直訳すると…「ライヒとリゲティの鏡絵」だそうで。一次予選に比べると、選択曲はぐっとフレンチな作品になっている。吉松氏の作品があるが、「ファジイバード」はすでに海外でもかなりレパートリーとして定着していることが伺える。自由曲の無伴奏曲は、やはりシュトックハウゼン、棚田文則、ベリオあたりが定番のようだ。

・本選(課題曲1曲+選択曲1曲)
課題曲:
 コンクール用に委嘱された新作。
選択曲:
 ラーシュ=エリック・ラーション「協奏曲」
 フランク・マルタン「バラード」
 フレデリック・デヴレーズ「オスティナート」
 ロジェ・ブートリー「ディヴェルティメント」
 テリー・エスケッシュ「暗闇の歌」

 …課題曲は毎年新作が委嘱されるとのことで、本選出場者にとっては課題曲の出来がネックになるとのこと。ラーション、マルタン、ブートリー、エスケッシュと、ここぞとばかりに超有名曲がせいぞろい(二次ほどではないにしろ)。それにしても曲の長さにずいぶんバラつきがあるなあ。

さて、原さんの劇的な優勝から4年、はたして今年はどんな結末が待ち受けているのだろうか。今年の開催期間は10/31から11/11だそうで、傍観する側ながら、けっこう楽しみ。

2006/08/27

歴代入賞者

今年は第4回アドルフ・サックス国際サクソフォンコンクールの年だ。アドルフ・サックスの生誕地、ベルギーのディナンで行われる大規模な催しで、サクソフォンのための国際コンクールとしては世界でもっともポピュラーなものと言えるだろう。

ふと思い立って過去の入賞者をまとめてみた。見づらくてごめんなさい。

・第一回アドルフ・サックス国際コンクール(1994)
第1位:ヴァンサン・ダヴィッド David, Vincent - France
第2位:ファブリツィオ・マンクーゾ Mancuso, Fabrizio - Italy
第3位:ファブリス・モレティ Moretti, Fabrice - France
第4位:ラフ・ミンテン Minten, Raf - German?
第5位:大和田雅洋 Owada, Masahiro - Japan
第6位:戸田たかし Toda, Takashi - Japan

…ダヴィッド、マンクーゾ、モレティの三人は現在もサックス界で大活躍中のソリストたち。なんとなくだが、3人それぞれ系統が違う人たちだなー。日本人は…ん?大和田さんって入賞していたんだ、知らなかった。もう一人、第6位の方の名前はインターネット上には情報を見つけることができなかった。この最初のコンクールでは公式録音がCD発売されていたようだが(Rene Gailly)、出版元の倒産により絶版になっている。

・第二回アドルフ・サックス国際コンクール(1998)
第1位:アレクサンドル・ドワジー Doisy, Alexandre - France
第2位:オティス・マーフィ Murphy, Otis - U.S.A
第3位:原博巳 Hara, Hiroshi - Japan
第4位:ギョーム・ペルネ Pernes, Guillaume - France
第5位:ディヴィッド・アロンソ=セレーナ Alonso Serena, David - Spain
第6位:林田和之 Hayashida, Kazuyuki - Japan

…ドワジーはたしかミュンヘンのサックス部門でも優勝したソリストで、そっちの筋?ではかなり将来を有望されているすごい奏者(らしい)。マーフィさんは最近来日したばかり。「ギヨーム君」ことペルネはギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のバリトン奏者だ。原さんが3位、林田さんが6位と、日本人の活躍が目立ってくるなあ。

・第三回アドルフ・サックス国際コンクール(2002)
第1位:原博巳 Hara, Hiroshi - Japan
第2位:ジュリアン・プティ Petit, Julien - France
第3位:アントニオ・フェリペ=ベリジャル Felipe Belijar, Antonio - Spain
第4位:ディヴィッド・アロンソ=セレーナ Alonso Serena, David - Spain
第5位:ジェローム・ララン Laran, Jerome - France
第6位:ジェロード・エトリラール Etrillard, Geraud - France

…原博巳さんが優勝を果たした年。けっこうあちこちで話題になったっけなあ。原さんはその後もCDデビューやリサイタルなど、幅広い活躍を続けている。このとき審査員の一人だった服部吉之先生に話を伺ったことがあるが、選択曲は原さんはラーション「協奏曲」、ほか全員がマルタン「バラード」でほとんど差がつかなかったが、課題曲だったロッサム「Pathetic Story」の出来不出来が結果の優劣につながったとのこと。むむ、ラーションやマルタンで差がつかないとは、レベルが高すぎて想像がつきませぬ。第三回はスペイン人の上位入賞が目立つが、結局はパリ国立高等音楽院を出たプレイヤーなわけで、ドゥラングル・クラスの圧勝って感じだ。

今度は、今年の課題曲・選択曲などについてまとめてみようかと。

2006/08/25

リニューアルニ題、Ext処理

さて、一週間の実家滞在も終わり。明日の朝に出発してつくばに戻る予定。卒研その他、忙しい日々が始まるけど、がんばってこなしていこうかと。…こちら(長野)は夕方になると涼しいんだよなー、つくば市は夜だろうと暑いの何の、ですからねえ。

銀座のヤマハビルがリニューアルするそうで。アクセスの極端な悪さから三、四回しか行ったことがないけれど、新ビルは地上12階、地下3階!「ヤマハグループの事業活動・情報発信の拠点となる」とか。なんか凄そう。2007年に着工して、オープンは2009年3月とのことで、どんなものができるのだろうか…。しかしまあ、印象としてはあまり古いイメージが無かったのだが、実は1951年に建てられたということらしい。

それから先月に雲カルリサイタルのため足を運んだルーテル市ヶ谷ホール、8/19にリニューアル完了したそうだ(建て替えではない)。あのちょっと古い雰囲気を放っていた客席、床等々がしっかり入れ替えられたようで、また何かコンサートを聴く機会があればいいな。

今日の話題はこのくらいか…実家にいて音楽ネタが尽きた(笑)。

あー、そうだ。最近ドルチェ楽器が特許をとったとかいう「Ext処理」を施したリード、なかなか良い気がする…。ためしに一箱使ってみたのだけれど、音が安定(するような気が)したり、普通のリードよりもちが良かった(ような気がした)り、若干箱での値段が高いのだけれど、一度使ってみる価値はある。あ、ドルチェ楽器の回し者ではございません。

なんというか、「リードの響きはこうでなければいけない!」と思い込んでいる人にとっては、これ以上の良いリードは望めないとも言える。とにかくどのリードを選んでも「ムラがない」ため、このExt処理後の響きが好きな人にはたまらないのだろう。

栃尾さんとかすでにガンガン利用しているという話も聞くが、まだ個人的には試用段階なので、見極めにはもうしばらく時間が必要かな…。

2006/08/24

ミュールのビデオ、LP

二日前に実家の荷物の中から見つけたマルセル・ミュールのインタビュービデオを観てみた。たしか高校生のときに楽器屋さんで見つけて、ミュールが演奏している映像が入っているかも!と思わず買ってしまったんだっけなあ。しかもかなり高かった(^^;と記憶する。残念ながら演奏の映像は入っていないけれど、ミュール自身がサクソフォーンに関する事柄をいくつか肉声で語った様子が納められている。ユージン・ルソーが記した「Marcel Mule, sa vie et le saxophone(Leduc)」とともに、ミュールの貴重な資料群のうちの一つに数えられよう。

時にミュール94歳。しかしまあ年齢が信じられないほどにしゃべるしゃべる。制作はフランスの国立高等音楽院ことパリ・コンセルヴァトワール(「コンセルヴァトワール」っていう言葉もすっかりおなじみになった)、もちろんフランス語収録だが、英語字幕のおかげでなんとか内容の理解はできる。

ミュール自身のバイオグラフィ、ヴィブラートを初めて実践した事に関するエピソード、ボレロの初演~ラヴェルへの四重奏委嘱、サクソフォーン四重奏団の結成、プラド音楽祭でのカザルス指揮のブランデンブルク、レコーディングに関して、ミュンシュとのアメリカ演奏旅行、ミュールの演奏論、そしてこれからのサクソフォーン界について…「サクソフォーンの神様」と呼ばれるミュールの、その一端を垣間見る事ができる。どのエピソードも大変貴重であり、どれもがサクソフォーンの歴史に刻み付けられるべき事柄だ。このビデオで語られる事をまとめるだけで、記事が一つ書けるかもなあ。50分間程度の収録だが、一通り見終わると脳がかなり疲れた。

クラシック・サクソフォーンのアイデンティティの獲得が、いかにミュールに因っていたか、ということを改めて確認。

…さて、ミュールネタでもう一つ。かつてEratoから出ていたミュール四重奏団のLPをなんとか中古でゲット(写真)!アブシル、リヴィエ、ピエルネ、デザンクロ入曲。原盤はErato(STU 70306)だが、日本ではコロムビア、アメリカではMusical Heritage Society(MHS 817)が出版していたようで、アメリカのサイトを探し回ってMHS盤を発見したもの。音源としての貴重さにも関わらず、なんと6ドル(安っ!)。しかしまあ、送料ケチって船便にしたら届くまでに一ヶ月以上かかってしまった…。

残念ながらモノラル盤だが(同じ品番でステレオ&モノラル二種類あるらしい)、まあとりあえずはこれで十分だろう。盤の状態も良さそうだし。ミュールさんのデザンクロかー、初演者だし聴くのが楽しみだ。ステレオ盤は引き続き気長に探索する事にしますか。

2006/08/23

私でなく、風が…

某所で湯浅氏の「私ではなく、風が…」の楽譜を見つけて、ふーん、という感じで眺めている(吹きませんよ)。

実演に接したのはつい最近、7/19のジェローム・ララン氏のリサイタルの時だが、そのとき湯浅氏が作曲経緯について興味深いエピソードをいくつか話された。その中の委嘱エピソード、「サックスの豊潤な音が嫌いで、野田君から委嘱されたときも断ろうと思っていたのだが、野田君にそう話したところ『僕もサックスの音が嫌いです』と言われ、断る理由が無くなってしまった」との話がずいぶんと頭の中に強烈に残っていて、楽譜も見てみたいなー、と思っていたところだったのだ。

マイクを譜面台の近くに二本並べて、片方は増幅、片方はエコーとし、サックスのベルはその間を行ったり来たりしながら独特の響きを作り出していく。サックスの譜面はほとんどが無声音やキーノイズで、意図的に大音量を抑えているような印象を受ける。現代の楽器「サクソフォン」のための曲と言うよりも、なんだかクラリネットのためのような楽譜だ。

面白かったのがヴィブラート。楽譜の一部を載せたが、全曲を通してヴィブラートの指示がここにしかないのだ(写真参照)!フツーのフランス・アカデミズムに則った作品の演奏では考えられませんなあ。

でもよくよく考えてみたら、そういえばヴィブラートをかけるべき音は、指示が無い場合はほとんど奏者の裁量に任されている部分がある。楽器の響きを明確に指定したい作曲者からすれば「ヴィブラート」って邪魔なものなのかもしれないな。ベリオ「セクエンツァIXb」の楽譜を見せてもらった事があるのだが、冒頭にはっきり「sans vibrer」の文字、そして曲中には適宜ヴィブラートの指示が。

響きにこだわりをみせたい作曲家ほどに、サクソフォン=ヴィブラートを伴った音、という固定観念を持っている作曲家達はサクソフォンから離れていく傾向があるということか。たしかに緊張感ある響きを管楽器で作り出したいのだったら、クラリネットなどの方が適任のような気もする…。

サクソフォンの歴史を俯瞰すれば、軍楽隊の中での木管と金管を合わせたような素朴な響き→現代のコンサートホールに適した豊潤で大音量のソロ楽器、ソロとしての響きを生み出そうとする課程でヴィブラートを獲得、という変遷を経てきたと言うことだが、こうして得たサクソフォンならではのアイデンティティが負の方向に働いてしまう状況も、あるにはある、のだろう。サクソフォンのそういうところに惹かれている自分にとっては、なんだか不思議な感じだ。

2006/08/22

平野公崇氏の映像

実家にある自分のものを整理していたら、ビデオカセットが二本出てきた。…一本はマルセル・ミュールのインタビュービデオ、もう一本は平野公崇さんが読売日本交響楽団と演奏した模様を録画したものだった!そういえば、高校のときに「深夜の音楽会」に平野さんが出ると知って、夜遅くまで起きていながら頑張って録画したような覚えが…。嬉しくなって早速観てしまった。

バッハ「ゴルトベルク変奏曲より『アリア』」、グラズノフ「協奏曲」、平野公崇「インパルス・オブ・リードフェイズ」、デニゾフ「ソナタより第三楽章ジャズアレンジ」。ちょうど平野さんのセカンドアルバム「ジュラシック」が発売されたころの番組で、選曲なんかまさに「ジュラシックの美味しいトコロ持ってきましたー」という感じだ。

平野さんの生の演奏は一、二回程度しか接した事が無いのだけれど、この人は本当に演奏する姿がすごい。鬼気迫る、というのはちょっと違うのか、ライヴならではの緊張感と言うか覇気と言うか、視覚的な情報が付くとまさにその「覇気」がダイレクトに伝わってくる。なんかまたライヴで聴きたくなったな…。

グラズノフの曲への没入度にはビックリするが、しかし音色や発音はあくまでしなやか。その辺は本場コンセルヴァトワールで学んだバックボーンなのか。なかなかどうしてフレーズの持続間は聴きもので、良く見れば循環呼吸まで使っているじゃないか!なるほど。オーケストラの指揮が井崎正浩氏で、そういえば2月に雲カル×尚美学園オケのグラスの協奏曲振っていたのってこの人だったっけー、と思い出した。

「インパルス・オブ・リードフェイズ」はアルバム「ジュラシック」のなかでも結構好きな曲なのだけれど、ここでは雪の上の足跡→ホルン、リードフェイズ→木管、ベース→コントラバスに置き換えての異色の編成による再演。あんまりオーケストレーションが成功しているようには見えなかったが(^^;しかしまあ豪華な演奏である事には間違いないな。サックスパートはCDで聴ける音とかなり違っていて、「おお、即興だ」と妙に納得してしまった。続いてデニゾフのジャズアレンジを聴けるのは良かった。CDよりもさらにアップテンポの強烈なフリージャズ、クリヤ氏も音変えすぎ(笑)。

うむむ、平野さんのリサイタルが聴きたくなったぞー。近いうちにエマニュエル・バッハの作品を集めたCDが出るらしいので、とりあえずはそっち狙いかな。

久々に聴いてちょっとテンションが上がってしまったのだけれど、こうして聴くとやはりVHSってかなり音が悪い…と痛感してしまった。録画した当時ではまだどうしようもないが、最近出回ってきた地デジ×フルHDレコーダーだとやはり音も綺麗なんだろうな。普通の番組を観ている分には構わないけれど、こういった音楽系の映像にはけっこう威力を発揮するのかもしれない、とも思った。

2006/08/21

ミシャ氏のCD

つくばから実家に戻るときに立ち寄った楽器屋さんで、ジャン=ドゥニ・ミシャ氏演奏のCDを見つけたので買ってきた。「Bach, Mozart, Schubert(JDM 002)」というアレンジものを集めたアルバム。

あんまり日本では知られていない奏者かもしれないので、簡単に経歴を説明すると:パリ国立高等音楽院をサックス、作曲、アナリーゼ、音楽史で一等賞を得て卒業。卒業後ドゥラングル教授のサックス科アシスタントを務め、さらに国立リヨン音楽院の教授に就任。使用楽器はなんとヤナギサワ。演奏だけでなく、作曲活動にも余念が無く自作が幅広く演奏されている…という音楽家。(公式ページ→http://jdmichat.brulin.chez.tiscali.fr/

まあそんな経歴は何となく知っていたけれど、実は実際の音はほとんど聴いたことが無く、たまたま見つけた勢いでつい購入。バッハ「パルティータBMV1013」、エマニュエル・バッハ「ソナタBMV1020」、モーツァルト「弦楽四重奏曲ニ短調K421」、シューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」。一曲目は言わずと知れた無伴奏フルートのための作品だし、エマニュエルの作品は松雪先生のアルバムにも入っていたなあ。アルペジョーネは今でこそ広く演奏されているけれど、サックスで一番最初に取り組んだのはもしかしてミシャ氏なのかも?

とにかく隅から隅まで隙無く演奏されている事がわかる。作曲もするミシャ氏のこと、細かなアゴーギクの変化は必然的なのだろう。フレーズは思い入れ先行の歌い上げ、というよりも、これは細かなアナリーゼを施した上でのフレージングなのだろう。音色の変化は意外と少ない(トレンドですからね)が、美しくコントロールされている。

一番楽しみだった「アルペジョーネ・ソナタ」は雲井さんや栃尾さんの演奏と聴き比べてみると全然違う曲に聞こえる(笑)。サックスが本来持つ「雄弁さ」を幾らか意図して抑えた演奏で、そう言えばオリジナルは古弦楽器だったっけ、ということを思い出させる。サックスは抑え気味なので聴き流そうとすればさらっと聴いてしまえる演奏なのだけれど、よく聴くと細かいフレーズが超速で吹かれていたりして驚異的。かっこいいな。

そんなわけで随分と素敵なCDなのだが、自主制作版ゆえ普通のCDショップにはまず置いていないと思う。プリマ楽器の某氏が日本に200枚だけ持ってきたとかで、ごく一部の楽器屋さんでのみ入手可能なようだ。もう一枚、メンデルスゾーンとグリーグの小品が入ったアルバム(JDM 001)はまだ幾らか残っているらしいけれど、こちらのCDは残り少ないらしいのでサックスの方は見つけたら即ゲットしましょう(笑)。というか、この演奏なら他の管楽器の方にも十分薦められるなあ。楽器店の方も「サックス吹き以外にも推薦できる数少ないCDのうちのひとつだよ」みたいなこと言っていたっけ。

2006/08/20

遥かなる風景

ジェローム・ララン氏のCDがインターン中に実家に届いていたようで、ちょうど実家に戻ったこの機会に早速聴き始めている。

アルバムタイトルは「Paysages lointains(CREC-audio 05/048)」。フランスのメイヤー財団の助成を受けて、パリ国立高等音楽院が作成したディスク。ジャケットには「のだめ」でもおなじみのコンセルヴァトワールの新棟が描かれている。この新棟、湾曲した屋根が随分と斬新な印象を残すけれど、デザイン性ばっかりで機能性はさっぱり…という話を聞いた事があるなあ。

ゆめりあホールで演奏されたジョドロフスキ「Mixtion」や夏田昌和「西、あるいは夕べの秋の歌」、さらにマントヴァーニ「Troisieme Round」、ピアソラ「天使のミロンガ」、エスケッシュ「ショーロス」が収録され、各トラック間をララン氏の完全即興が繋いでいく。アルバムを最初から最後まで通して聴く事を前提にしている、ということか。

各曲について少し書いていくと…「Troisieme Round」は弦楽器や管楽器の中規模のアンサンブル+四種のサクソフォーン持ち替えソロという20分に及ぶ大曲。ララン氏のこのソロ以外にヴァンサン・ダヴィッドによる録音もある/「Mixtion」はパリ国立高等音楽院の卒業試験の課題曲としてかかれたサクソフォーンソロ+ライヴエレクトロニクスの曲。ジャンヴィエ・アルヴァレの「On Going On」みたい。関西で活躍するサクソフォーン奏者井上麻子さんが卒業試験で演奏した…というような話を聞いたことがある/「西、あるいは夕べの秋の歌」はドゥラングル氏がレコーディングしたので有名だろう。尺八のような不安定な音程感をソプラノサックスでコントロールし、東洋的なイメージが付きまとう/「天使のミロンガ」は言わずと知れたピアソラの名曲。ここではサクソフォーンのソロに、ピアノ+チェロ+コントラバスという編成で演奏されている/「ショーロス」はサクソフォーンソロ+ピアノ+弦楽四重奏という編成。現代的な響きと古典的な響きがうまく折り重なって興味深い。

…ふう、疲れた(笑)。「Mixtion」を手元に置けるのは嬉しいなあ。

ララン氏、どの曲も大好きでしょうがない!という気持ちがにじみ出ている。なんと言ったらよいだろうか、どの曲に対しても本当に真摯に向き合って、自らの持てる音楽を凝縮させた結晶のような録音だと思う。しかも気持ちだけではなく、きちんとテクニックが追従しているあたりはさすが。

アルバムをプレーヤーにセットして最初から聴いていけば、編成も様式もコロコロ変わってずいぶん楽しくて、次はどんな響きが飛び出すのだろう?とワクワクさせられるけれど、実は一番楽しんでいるのは、演奏しているララン氏本人なのかも。

トラック間をつなぐ完全即興もある種聴きモノだけれど、その即興トラックに参加しているピアニストがアレクサンドロス・マルケアス氏でびっくり。最近発売されたハバネラ四重奏団のアルバム「L'engrenage」で作曲家としてのクレジットを見たばかりだ。

やり直し

「やり直し」ネタ二題。どちらも最近、人づてで聞いた話ですが。

・須川展也さんの高校時代、アンコンにボザ「アンダンテとスケルツォ」でソプラノで出演した時の事。東海支部大会の本番、「アンダンテ」冒頭、テナーが民謡風のメロディを奏で、いざソプラノが絡み始めたまさにそのとき。なんとソプラノのG#のタンポがくっついてメロディが台無しに!…すぐに異変に気付いた須川青年、すかさず演奏をやめ、タンポを剥がして改めて最初から演奏しなおしたそうな。当時の音源も、聴かせてもらったことがある(本当にやり直している)。
ちなみにこの演奏は東海大会で金賞を受け、見事代表の座を勝ち取るのであった。続く全国の演奏でも金賞を獲得。うーん、さすが。

・ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォーン・コンクールに出場した平野公崇氏、本選まで勝ち進み最後はなんとボルドー・アキテーヌ管弦楽団との協奏曲の演奏。本選は自由曲のほかに当然のことながら課題曲の演奏が課せられる。バックで演奏するオーケストラは何回も同じ課題曲のオケパートを弾かされてだんだんとテキトーな演奏になっていくのであった。そして平野さんの出番。オーケストラが気の抜けた前奏を弾き始めると、オケのやる気なさに気付き、平野さんすかさず伴奏を制止!!指揮者もびっくり、演奏者もびっくり、審査員も観客もびっくりしたことでしょう。そして演奏者の方に向かって「君たち、同じ曲ばかりで気が抜けているんじゃないか(想像)」というような事を言い最初からやり直させたんだそうな。
そして平野公崇氏はなんとこのコンクールで優勝!日本人としては初めて国際コンクールの覇者となり、サクソフォーン界にその名を刻み付けたのでありました。うーん、さすが。

…お二人とも、このエピソードから想像すればなかなかすごい度胸を持っていると推測できるが、まあしかし大物らしい堂々たる(?)エピソードではある。

2006/08/13

バリトン専門プレイヤー

バリトンサックスで思い出した。

クラシックサックスの世界というと大抵の奏者がアルトを専門としているのが常なのだけれど、オランダのヘンク・ファン・トゥイラールトという奏者は、なんとバリトンサックスを専門にしているのですよ。公式ページ(→http://www.saxunlimited.com/)を覗いてみるとわかるが、彼の活動は多岐におよび、世界でもっともパワフルなバリトンサックス奏者の一人だと言っても良いのではないだろうか。

四重奏団でのバリトン担当ならまだ話はわかるが、ソロ演奏もバリトンのみ、しかも弦楽器や声楽、ダンスとのコラボレーション、バリトンサックスのための新作委嘱、CDもバリトンのみ合計8枚!、カルテット参加も6枚!…とまあ、そのバリトンサックスへの偏愛っぷりは見ていて嬉しくなってしまうほど。

あいにく生の音を聴いたことはないものの、多岐にわたるジャンルの曲をレコーディングしているため、CDでその実力を確認することができる。…で、そのCDがものすごいのだ!本当に。

特にピアソラを取り上げた「Tango(Movieplay Classics)」は、巷に溢れているサックスによるのピアソラ演奏のなかで、ベストと言えるだろう。オーレリア四重奏団や、須川さんもピアスラ・トリビュートのアルバムを作成しているが、技術・テンション・選曲・アレンジ等々どれをとっても文句のつけようがないのが、このアルバムだ。

ソロヴァイオリン+バリトンサックス×弦楽五重奏団という編成の中で、バリトンサックスはめまぐるしく役割を変えながらエキサイティングなアンサンブルを繰り広げ、最初から最後まで一貫した完成度の高い演奏を聴かせてくれる。クラシックのバリトンサックスでベスト・アルバムを選べといったら、栃尾氏のアルバム「アルペジョーネ・ソナタ(Meister Music)」と並んで、これを選ぶだろう!バリトン奏者垂涎の的であることに間違いはない。

…が、トゥイラールト氏のアルバムは日本ではほとんど流通していないのですね。入手は至難。かく言う自分も件の「Tango」と、その他「Classical Tour」「Confesso」はかろうじて持っているものの、ヴィラ=ロボスやデューク・エリントンへのトリビュート・アルバム、バッハの無伴奏チェロ組曲を全曲演奏したアルバムなどなど…は未だ探索中。

2006/08/12

栃尾氏リサイタル情報

おーっと、栃尾克樹さんのバリトンサクソフォンでのリサイタルが開かれるようだ。ドルチェ楽器のミュージックマガジンを読んでいて発見したコンサート情報。ん?…ピアノはなんと高橋悠治氏!これはさらに注目度大ですな。

今でさえ私はテナーサクソフォンをメインで吹いている(?)けれど、昔はバリトン吹きだったのですね。そんな意味でけっこうバリトンサックスには思い入れがあって、2003年に東京文化会館で行われた栃尾氏×野平氏のコンサートもきちんと聴いたのだけど、まさかまたこのようなコンサートが聴けることになろうとは。前のコンサートがすばらしかっただけに、なおさら楽しみです。

早速プログラムも出ていた…おお、シューマン楽しみ。

・栃尾克樹 バリトン・サクソフォンリサイタル
出演:栃尾克樹(b.sax)、高橋悠治(pf.)
2006/10/16(月)19:00開演 浜離宮朝日ホール
入場料4,000円
バッハ「無伴奏チェロ組曲第一番」、フォーレ「エレジー」、シューマン「アダージョとアレグロ」、高橋悠治「影の庭(委嘱初演)」、ヌッシオ「ペルゴレージのアリエッタによる変奏曲」
お問い合わせ:ミリオンコンサート協会(03-3501-5638)
チケット取り扱い:ドルチェ楽器 管楽器アヴェニュー東京(03-5909-1771)

2006/08/10

明日で終わり

明日で三週間にわたるインターンシップも終わり。快適な仙台から蒸し暑いつくばへ戻るのは少々気が引ける…(笑)。終わってみればずいぶん短かったなあ、もう少しやっていたかったかも。

つくばに戻った後は少し時間ができるので、日中は楽器を吹いて過ごそうかなと思っている。来週末にある吹奏楽の本番のこともあるけれど、やはり三週間も吹かないとうずうずしてくるものだ。

2006/08/09

ラッシャーのラプソディ

バーンスタインがニューヨークフィルを振って、ドビュッシー「ラプソディ」を録音した音源がある。サクソフォーン独奏はシーグルト・ラッシャー。個人的に、やはりこの曲はマルティノン×ORTF×ロンデックスの録音あたりがトドメを刺していると思うのだが、こっちのニューヨークフィルの録音も味わいがあって好きだな。

ラッシャーがソリストとして録音したものは今ではほとんど入手ができないのだが、その数少ない貴重な音源のうちの一つ。サクソフォーンの歴史上でのラッシャーの存在を存分に伝えてくれる演奏かな、と思う。オーケストラもかなり上手く弾いているが、若干ソロパートに変更を施しつつ存在感を示すラッシャーのサックスは見事と言うほかない。ラーション「協奏曲」を録音したLPも存在するとの事で、機会があればぜひ聴いてみたいものだ。

その独特の音色は、フレンチ・サクソフォーン界からは見向きもされなかったであろう事が推測できるけれど、ラッシャーの存在はドイツやアメリカにおいてのクラシカル・サックスの礎の一つとなっていることは間違いないのだろう。

2006/08/07

ロンデックスのCrest盤

かつてCrestから出ていたジャン=マリー・ロンデックスのLPの音源をお貸しいただいた。デザンクロ「PCF」、ロベール「カデンツァ」、ミヨー「スカラムーシュ」他入曲。収録時間から推測するに何曲か欠けているような気がするが、これだけでも十分貴重な音源だな。

ロンデックスの復刻音源と言えば、EMI Franceから発売された「Le saxophone francaise」に含まれるソロや室内楽の録音が大変注目すべき内容だが、アメリカのCrestにソロを録音していたことは良く知らなかった。Googleで検索をかけると、ポール・ブロディ氏との親交があったことが分かるが、そのあたりの繋がりで実現した録音なのだろうか。

しかしまたしてもCrest!古きよき時代のワンマン・マイナーレーベルの一つだが、1980年代に取締役が亡くなったために、今ではほとんどの音源が散逸しているという幻のレーベル。デファイエが演奏したブートリーやガロワ=モンブランのLPだってここで録音されているためか、復刻されないわ中古でもほとんど出てこないわ…。ごくごく稀にCrestのLPとめぐり合うことがあったら、それはけっこうラッキーなのかもしれない。

さて肝心の演奏だが、さすが大御所ソリスト、貫禄十分の演奏だ。テクニック的にかなりハイレベルな曲目が揃っているが、ドビュッシーの「ラプソディ」でも聴けるあの輝かしい音色で悠然と吹ききっていく。カッコイイ!中音域の音色がいかにもロンデックスの個性炸裂という感じで、このあたりの音域で速いパッセージを吹かれると圧倒されてしまう。中でもロベール「カデンツァ」のすさまじい集中力(まるで狂気)は、デザンクロをも抑えてLP全体の中核を担う演奏だと思う。終わった瞬間にスカラムーシュに突入すると、かなりホッとします(笑)。

この粘りのある独特の質感、今となっては時代錯誤もいいところだが、こういうスタイルがサクソフォーン界からほぼ完全に消えうせてしまったのはちょっと寂しいな、なんだか。現代のプレイヤーが同じ曲を録音したら、全く違った感じになるのだろう。

2006/08/06

各地の吹奏楽コンクール

各地で吹奏楽夏のコンクールの結果が出揃い始めてますなあ。夏の甲子園と重なるまさにこの時期、全国の至るところであの独特の緊張感に包まれた雰囲気が…。今年も実は何度か会場に足を運ぶ機会があったのだけれど、ホールのメインエントランスに向かって歩いていく時に徐々に鼓動が速くなるあの感じをちょっとだけおすそ分けしてもらっている。

…筑波大学吹奏楽団は今年も金を獲得し、東関東大会にコマを進めたそうだ!おめでとう!

他にもいろんなところから朗報が!知り合いの愛知県のコンクールに出た子も、代表権を獲得したそうだ。おおー。あと例のあの団体とか、何だかんだ言って自分のことのように嬉しい(笑)

去年の、引退前最後のコンクールを思い出して、少し懐かしくなった。

2006/08/05

斬新な和声?

ゴルトベルク変奏曲を結構真剣に50分近く聴いた後に、間髪いれずショルティーノ「異教徒の踊り」を聴き始めたら、和声に耳がついていかなくてびっくり。いつもは綺麗に感じる「異教徒」の冒頭部分が、なんだかまるで不協和音のように聴こえたのだ。いや、こんな経験は初めて。

バッハの基本的な和音の連続で耳が洗われるということだろう。そりゃ確かに50分も古典的な和音バランスにどっぷり浸かっていれば、ちょっとでも4度や7度が出てきたり、意表をつく転回形、そして和声進行が出てくれば耳が驚くのは納得できる。

例えばいくら現在の聴衆がドビュッシーの「牧神」を美しく感じるからといって、それまで和声が生まれてから200年間もの間古典的和声進行に慣れてきた当時の聴衆にとっては、よほど不思議な響きに聴こえたことだろう。「牧神」を初めて耳にした瞬間の彼らの驚き、耳が驚きつつもなぜか美しく感じてしまうギャップ…現代にあっては「牧神」にセンセーショナルな響きを感じるという人はあまりいないが、「当時の聴衆が聴いている音楽」「今の聴衆が聴いている音楽」の性質をそれぞれ考えるとつじつまが合う。

「異教徒の踊り」と言えば…(話は変わるが)アンコンではサックス四重奏曲の定番だけれど、アンコン初演したのは誰だったのかなあ。1974年にはEMIから「異教徒」入りのギャルド四重奏団のLPが出ているから、それを聴いた誰かが楽譜を買って、誰かが全国大会まで行って…、ってところかな。そういえば大学一年のときこれ吹いてバリトンでアンコンに出たなあ、懐かしい。