2005/11/26

合わせづらい…

日本人て、16分音符が四つ並んでいて二個目から動き出すフレーズ(左図)が苦手だと思う。イベールやクレストンなど様々な曲に散見されるが、なかなかに吹きこなすのが難しいようである。現在四重奏で取り上げている曲もこのフレーズの嵐で、直前のタイを吹いた後、16分音符の動き出しが揃わないことこの上ない(汗)。録音して聴いてみても一目瞭然(私信:今日のも)。

原因を考えてみた。16分音符の動き出しは早めになることも遅めになることもあるので、直前の音符の歌いすぎ…とかではないのだろう。高速なテンポの場合、説得力あるヴィブラートをかけつつさらに拍感を出すのが難しいのかも。

そうなると、やはり日本人特有のONでリズムを感じることに原因があるのか:とある打楽器奏者が日本の米社会とリズムの感じ方を結びつけて、日本人が西洋の音楽をやるときの弱点について紐解くのを聞いたことがある。田植えのときに発生する「よいしょ」というステップを受け継いだ私たちの遺伝子は、音楽においても必然的にリズムを表拍で感じるのだとか。対して西洋では鍬を使って耕すときの鍬を振り上げる動きから、裏拍でリズムをとるのだとか。西洋の音楽をやるときに出現するフレーズの大半が裏拍でリズムを取ることを前提とした構造になっており、よく日本人が西洋の音楽を演奏して「?」と思われるのは往々にして拍感に問題があるからだという。

ということは、このフレーズの場合は、タイに含まれた16分音符一個目の音の縦を、頑張ってメトロノームと合わせようとしているのがマズイのか。三個目の16分音符を意識して合わせようとすれば上手くいく…のか?…うーん、いろいろ考えたけど結局よく分からない。もしどなた定石知っている方がいたらぜひ教えてください。

2005/11/25

ジョン・ハールの協奏曲集

しばらく聴いていなかったイベール「コンチェルティーノ・ダ・カメラ」を聴くために引っ張り出してきたジョン・ハール演奏の「Saxophone Concertos(EMI 7243 5 72109 2 8)」(いつもはミュールの演奏を聴くのが好きだ)。

とにかく巧い。どんな難所もスラスラと演奏し、あまりに巧すぎてキメや盛り上がりがどこかわからなくなるほど。最終部付近のカデンツァなど、アルトサックスでDouble High-Eをぴたりと当てる凄まじいヴィルトゥオジテ。この技術力をもってすれば伝統的なスタイルの流麗な演奏も可能なのだろうが、あえてそこに新しい(難しい)解釈を持ち込み、さらにそれを難なく吹きこなしてしまうジョン・ハールの一連のアプローチは、曲によっては大変効果的なものだ(確かにドビュッシーではあまり成功しているようには聴こえない)。バックのマリナー管弦楽団も抜群のサポート体制。ホールの響きのせいか、細部が見えない録音が少し残念。

しかし、併録されたデイヴ・ヒースの「Out of the Cool」での、CD中最も説得力ある演奏を聴くに、ハールのスタイルは90年代のイギリスの土壌で変革されつつあったフランスのクラシカルサクソフォンとイギリスのライト・ミュージックの混血児であるのだろうな…。彼のネオ・クラシカル的な作品を演奏するときの存在感の大きさは、世界随一といっても過言ではないだろう。

ジョン・ハールに関しては、語りつくせないほどに思い入れが大きい。またつらつらと書くかも。が、住まいのネットワーク異常で自宅から更新できなくなってしまった…。

2005/11/18

最近のコンサートや管打など…

更新が滞っていたのは期末試験ゆえ。三学期制の大学は期末試験の回数が多いのがつらい…。本職は学生なので、ちゃんとこなしました。

ここ最近あったモレティのコンサート、須川さんのコンサートどちらもそれぞれの良さがあったようだ。聴きに行きたかった!サクソフォン関連のコンサートは、一回聴き逃すと次聴くことができるのが○○年後ということが珍しくないので、時間さえなければできるだけ足を伸ばしたいところ。次の催しは…なんだろ?

管打楽器コンクールは林田祐和さんが優勝。Google検索をかけるとご本人のブログ(→http://blog.so-net.ne.jp/hayashida-sax/が見つかったりして面白い。現在は東京芸術大学の院にいらっしゃるようだ。コンクールはこれひとつではないが、この「日本管打楽器コンクール一位」というのはある意味大変なステータス…今後さまざまな機会で林田さんの名前を見ることになるのだろう。早く音を聴いてみたいものだ。手っ取り早くサクソフォーンフェスティバル聴きに行こうかな。

2005/11/13

トニー聴き比べ

消防隊音楽隊の賛助で演奏してきた。もちろん正装して吹いたのだが、なんかこういう制服で吹くのって楽しい(ギャルドを髣髴とさせるような)。調子に乗ってK氏と一緒に消防車の前で写真を撮ってもらいました。

吹奏楽団の二つ下の代の指揮者が決定したようで、大変だとは思うが頑張ってほしい。個人的に期待大。
ナイマン「トニーへの歌」の聴き比べがちょっとブーム。CD架から見つけ出したのはApolloSQ、HarmoSQ、HardiSQ、DeltaSQ、4uatre、QuartzSQ。基本的に各楽器のソロが主体となって構成されている曲なので、奏者四人のそれぞれの「歌」をじっくり聴くことができるのが興味深い。第一楽章はやっぱりApolloSQのキチガイさがなんともかっこいいし、二楽章は松雪先生とか二宮和弘氏とか日本人奏者の演奏がしっくり。第三楽章、第四楽章のさらなる緩楽章ではカンタービレの技量や曲への没入度が裸にされるのがおもしろい。

2005/11/12

アルディの新譜

訳あって、アルディサクソフォンクヮルテットのアルバム「アメイジング・グレイス(Meister Music MM-1173)」を最近よく聴いている。手持ちの100枚を超えるクラシックサクソフォンのCDの中でも、技術的には相当インパクトの強い一枚。隅々までコントロールしつくされた演奏が、ともすれば気持ち悪いほどだ。大和田さんの跳躍時に起こる独特の発音は少々苦手なのだが、全体的には驚くほどに均一な音色を聴くことができる。

私の周りではこのアルバムに対するそれほど評価が高くないが、実際の譜面を前にしながら聴くとこの演奏の真価というか異常さがよく分かる。リヴィエ「グラーヴェとプレスト」のプレスト部における、極限に精確なまでのフレーズのバトンリレー。リヴィエは確かに容易なモードで書かれているけれど、ここまでの演奏はほかに見当たらない。デザンクロ第一楽章など普通の録音なら第一主題の跳躍に苦労している様子が聴かれるのに、ここでのコントロールはどうだろう!

フレーズの歌い方や強烈な個性があるというわけではないが、忠実な演奏を進めるという点ではこの録音の右に出るものはない。逆にナイマンやサンジュレのような曲だとちょっとつまらないかな、という気はしますが。ナイマンはソロのメッセージ性をもっと聴きたいし、サンジュレは何か煌きがないと…。

2005/11/11

アルト、フーガ、アルペジョーネ

昨日アルトを吹いてみたら、テナーの音が出なくなって焦った。やはり違うセッティングで鳴らすのは難しいか。テナーのセッティングは「CS80 C* - 3.5 Reed」だが、どちらかというと自分のスタイルはアルトを吹くときの「S90 180 - 3 Reed」に合っているのかもしれない。

諸事情あってバッハ「フーガの技法」サクソフォーン四重奏版パート譜も公開し始めた。スコアに全面的にチェックを入れたので結構な作業量になってしまったが、なんとか完成。

シューベルト「アルペジョーネソナタ」のEbサクソフォン用ソロ譜も、もう少しで完成。移調作業自体は何とか済んだのだが(合計で600小節!)、クレシェンドやスラーの入力がなかなか大変。この曲、結構なブームのようで、雲井氏や栃尾氏がCDに入れたり、須川さんもサクソフォン+チェロ+ピアノというトリオの編成にてリサイタルでしばしば取り上げているようだ。

2005/11/06

デファイエQのCBSソニー盤入手

デファイエ(ドゥファイエ)四重奏団のアルバム(CBSソニー SOLN2)入手。リュエフ、ティスネ、パスカル入曲の有名?な四重奏のLP。早速図書館で検盤のつもりで聴いてみた…パチノイズがたまに入るが、それなりで良かった。

なぜか高校一年生のときにパスカルの四重奏曲に早速はまってしまった身として、このLPを聴くことができたのは大変な幸せである。当時発売されているパスカル入曲のCDなど無く、アンサンブルコンテストの録音を聴いてカッコイイ曲だなあと認識したのだ。その後忘れもしない高校二年生の春、トルヴェール・クヮルテットのアルバム「マルセル・ミュールに捧ぐ(東芝EMI TOCE-55284)」が発売。早速買って聴いたのがやはりパスカルのトラックだった。繰り出される安定した技巧に仰天した覚えがある。

その後ほかの演奏も聴いてみたくなって探し回ったもののパスカルはなかなか見つからず、ルデューサクソフォン四重奏団の二枚(Opus 91 2408-2, Polymnie POL490 115)を入手。こちらもモレティ、ルデューはじめフランス人演奏家の血を感じ取ることのできる豪華なCDで、愛聴盤となっている。

そんな中いつしか存在を知ったデファイエ四重奏団のLPは噂だけ聴いて何年間も探し回っていたのだが、今年の頭に遂に音源を入手したのだ。あるアマチュア演奏家の方がLPからCD-Rに落とした音源で、やっと聴けるという嬉しさと演奏のすばらしさにあまりに感激したものだ(このページを開設する原動力にもなった)。そんな経緯でさらにこのたび実物を入手したので、ある意味大変に感慨深い。

熱帯JAZZスペシャルセッション feat. D.V.

六本木スイートベイジル(→http://stb139.co.jp/)で行われたJVC Jazz Nightの第3夜、「熱帯スペシャルセッション feat.Dave Valentin」行って参りました。一流のジャズプレイヤーの演奏に酔いしれた至福の4時間であった。

近藤和彦の強烈なプレイに開いた口が塞がらなくなくなったし、カルロス菅野が刻みだすパーカッションのビートも最高。しかしなんといってもあの強者ぞろいセッションメンバーを前にして全てを喰い尽してしまうラテン・フルーティストMr. Dave Valentinの恐ろしいまでの存在感を間近で体験できたのがが一番の得物だったか。演奏、パフォーマンス全てが「アメリカン!ニューヨークスタイル!」という感じで、彼がそこにいるだけで進行メチャクチャ、演奏はどこまでもヒートアップしてゆく。休憩後にValentineが再び登場したときの客席の嬉しそうな顔々といったら!楽しくてしょうがないライヴだった。

お値段高めでしたが、相応の価値以上があるコンサートでした。たまには違うジャンルに触れてみるのも素敵な体験ができるきっかけになるようで。

2005/11/05

筑波大学吹奏楽団に寄せて

早めに書いておこうかな。…この「ダイアリー」は内輪ネタをほとんど書かないのだけれど、本日ばかりはお許し願います。…。

演奏会が終わって涙が溢れてくるなんて、吹奏楽やっていてそんな感覚が味わえるなんて、昔はこれっぽっちも思っていなかったけれど。現にたくさんの涙を流した自分がいる、一緒に泣いた仲間がいる。感謝の気持ちから、引退の寂しさから、ともに音楽できた喜びから。

おいしいお酒を飲む自分なんて、二年前は想像もできなかったけど。みんなで一緒にお酒を飲んで楽しめた自分がいる、一緒に楽しんだ仲間がいる。「やったぜ!」という充実感から。

大学入ったころは、吹奏楽に冷めた視線しか送ることのできなかったのだけど。コンクールや定期演奏会、吹奏楽にアツくなれた自分がいる、一緒にアツくなった仲間がいる。みんなで一つのものを創り上げようという気持ちから。

筑波大学吹奏楽団に寄せる思いは数知れず、またそれぞれがさらに大きく。この先の人生でこんな充実した体験をすることはもうないのだろう。アンコン、演奏旅行、新歓、53定、コンクール、夏合宿、54定…皆とともに突っ走ってきたこの一年間の思い出深い日々は、深く心に刻まれて死ぬまで忘れることはない。そしてまた、いつか、どこかで、この素敵な仲間たちと再会して、おいしいお酒を飲みながらこの思い出を語り合ってみたいな。

2005/11/04

筑波大学吹奏楽団第54回定期演奏会

定期演奏会本番が終了。あまりに充実した演奏会。始まる直前のドキドキ、演奏中の…、終わった直後のあの感覚、全てが夢のようだ。メンデルスゾーン「フーガ」のフェルマータとか、フランス組曲の四楽章とか、舞子のグランディオーソとか、音楽の響きにぞくぞくした瞬間がたくさんあった。来場されたお客様、そしてこの時間を創りあげるために尽力された演奏者、係、スタッフの方々に感謝いたします。

一、二限は自主休講したが、感慨に浸る時間もなく計算機システム実験のつづき(今の一番の杞憂かも)をやっている自分がいるのが不思議ではある。

演奏会はまだ終わってないよ、打ち上げまでが演奏会だよ!(私信)。というわけで、今日の20:30からの打ち上げも楽しみです。

2005/11/01

演奏会宣伝

あやまって以前のエントリを消してしまいましたので、再度お知らせ。フランス組曲の指揮振ったり、プレコンサートでメンデルスゾーン「プレリュードとフーガ,Op35-5」を吹いたりします。お近くの方はぜひどうぞ。

筑波大学吹奏楽団第54回定期演奏会
11/3(木曜日・祝日)18:00開場18:30開演
つくば市ノバホール(つくばエクスプレスつくば駅下車徒歩三分)
高校生以上当日500円
第一部 ~クラシック作曲家による吹奏楽~
メンデルスゾーン:管楽のための序曲、プロコフィエフ:マーチ・スパルタキアーダ、レスピーギ:ハンティング・タワー、ミヨー:フランス組曲
第二部 ~ポップスステージ~
バードランド、マンテカ、スペイン、マンボ!×3、クインシージョーンズメドレー