2005/06/28

トゥーランガリラ聴きそびれ

昨日は東京都交響楽団のメシアン作曲「トゥーランガリラ交響曲」の演奏会、だったのに…すっかり忘れていた。行きたかったー…。実演に接する機会なんてそうそうない曲ですから。オンド・マルトノは原田節、ピアノはなんと野平一郎!惜しいことしたものだ。野平一郎さんのピアノは、一昨年の栃尾克樹さんのバリトンサクソフォンリサイタルの伴奏として聴いて以来、ぜひもう一度聴きたいと思っていただけに余計悔しい。

「トゥーランガリラ交響曲」全10楽章、80分に及ぶ20世紀管弦楽曲の金字塔ともいえる作品。メシアンの色彩感豊かな和声とポリリズムが爆発し、音の洪水が押し寄せ続ける…という音響の中、人間の「愛」とは宇宙をも超越したかくも究極的なものである、ということを音楽で表現した集大成ともいえるだろうか。N響アワーで第10楽章の抜粋を観てから、突然取り憑かれてしまったすばらしい作品なのです。

音源は、大学の図書館にあったサイモン・ラトル指揮バーミンガム市響の演奏(金管が強烈)と、チョン・ミュンフン指揮バスティーユオペラ座管の演奏(弦が美しい)。

2005/06/26

これからの演奏予定

学園祭の前夜、動物研究の学会でのサクソフォーン四重奏(MSQ)の依頼演奏を受けることができたようだ。

ジョシュア・レッドマンの楽譜から「Hide and Seek」と「Cat Battles」、学園祭に向けてさらうことになった。久々のジャズは楽しみ。今度は曲数が少ない分、じっくりさらっていこうかと。

LPに記載されていたヌオーに関する阪口新の文章、貴重な資料と思われるので試験的に公開してみます(→こちら)。著作権などで不都合が生じた場合はすぐ公開を停止します。

2005/06/23

ギャルドのLP聴きました

聴きました。「サキソフォン四重奏団の魅力 -ギャルドのメンバによる-(EMI EAA-85052)」。大学の図書館にLP再生環境があるのは幸いだった、そうでなければまともな再生環境すらないまま盤だけ買って途方に暮れていたかもしれない。

「START」ボタンを押すとアームがゆっくりと持ち上がり、ゆっくりとレコードの上に針が落ちる。パチパチというノイズの中から響くボザ作曲「アンダンテ」冒頭部の柔らかいソロ・テナーサクソフォンの音色。かなり音場の近いデッドな録音だが、そんな録音上の不利さなど気にならないほど魅力に溢れたLPだ。ヴィブラートを揃えた四人のユニゾンの色っぽさとか、世に数々出ているCDと比べてみても遜色ないほど。

デザンクロの「四重奏曲」での意外なほどのテクニック、最終部TempoIで三回目のモチーフが出現してからの演奏の速さ!誇張抜きで今まで聴いた演奏の中で一番速い。テクニックが向上してきた現在にあって、CDでもなかなか聴くことができない派手な盛り上がり方だ(さすがにヌオーは落ちかけているような)。ヌオーに献呈された曲でもあるショルティーノ(シォルティーノ)「異教徒の踊り」は資料的価値が高いものだろう。いかに昨今のアンコンで演奏されている解釈が不自然なものなのか、という考えを深く認識する。そう、冒頭のsans vibrer.はこうでなければいけない!かもしれない。「異教徒の踊り」を吹く方はぜひ一度接してほしい録音。

こういう古い音源て、テクニックの甘さとか録音状態の悪さとかそういうものを超えて心に響くものがありますね。

余談ではあるが、図書館に持ち込んだときに視聴覚資料室カウンターの係員の方に非常に驚かれた。今時LP聴く人もなかなかいないし。「え、レコードだって!?」「うん、俺もびっくりした」という係の方の会話が聞こえてきた。してやったり。

2005/06/22

ギャルドQのLP入手&ソビエト民警

ついにLP入手!合計で\2500ほど。1974年発売の国内版で、AFAとEMIの提携による盤(EAA-85052)。まだ聴いていないが、ジャケットのヌオーに関する阪口新氏の文章、それに赤松文治氏の曲解説が興味深い。阪口新氏の文「今年のボルドーにおけるサクソフォンコングレスで、また彼(ヌオー)に会えるのを楽しみにしている。」…。こんな時代があったのか!!想像もつかないな。授業終わったら図書館に持ち込んで聴いてみる予定。

吹奏楽団の方で問題になっているショスタコーヴィチ作曲「ソヴィエト民警のための行進曲」の楽譜だが、Royal Northern College of Music Wind Orchestra(この曲を唯一レコーディングしている団体)を擁するイギリス王立北部音楽院にメールで問い合わせたところ、同院のオーケストラ&アンサンブルのライブラリアンの方から丁寧なお返事をいただいた(もちろん英語)。BOOSEY&HAWKESのHire Libraryから入手できるそうだ。54定で演奏したら日本初演は確実…かも?ああ、また英文メール書かなくては。もしくは日本の代理店を経由してレンタルすることはできないのかな?

2005/06/20

ヌオー参加のLP

友人に落札してもらったLPが届いたようだ。ギャルド・レピュブリケーヌサクソフォン四重奏団のLPで、ボザ、デザンクロ、ショルティーノ、バゴの四重奏曲が入っているもの。ソプラノは当時のギャルドの主席アルト、ミシェル・ヌオー。このサクソフォーン奏者に関する情報は一般的には寡聞であるが、「忘れざるルシアン・テヴェ」というページの掲示板過去ログのエントリ230番(→http://homepage3.nifty.com/thevet/ltbbs20.htm)での解説が詳しい。

2005/06/19

マウスピース地獄

最近の悩み:マウスピースどうしよう。Selmer CS80とRousseau NCとの狭間でひたすらゆれ続けている。Rousseauの低音のコントロールの容易さや音色の柔らかさは魅力的だ、しかしSelmerの高音の伸びやピッチの良さは代え難い、とか考え出すととまりません。

とっかえひっかえ吹いているものの、このままでは音程を作れないし…ああ。リガチュアはBG Traditionで決まりなのだがなあ…。Vandoren T25も試してみたいけど、いや、このままだと確実にマウスピース地獄にはまる。

楽器の小物をコレクションする趣味は全くない!、のだが。

ミヨー管弦楽曲集

バーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団のミヨーの管弦楽曲集。録音は1976年。「世界の創造」をメインに「ブラジルの郷愁」と「屋根の上の牛」がカップリングされて\1733で購入できる良版である。吹奏楽団の次回の定期演奏会でミヨーの吹奏楽曲「フランス組曲」を演奏する関係で久々にCD棚から引っ張り出してきたのだ。

なんでこんなオーケストラのCDを所有しているかといえば、やはりサクソフォーン目当て。「世界の創造」の序曲、アルトサクソフォーンが金管の強奏の裏でバラード風の物憂げなメロディを奏でるその美しさ。ミュールとはまた違った、余分な倍音を一切排除した限りなく澄み切った音色と、説得力のある深く一定なヴィブラート。他のどの奏者も明晰な音色で存在をアピールするが、どうしてもその美しいサクソフォーンに耳が引き寄せられてしまう。サクソフォーン独奏はミュールの高弟、ダニエル・デファイエ(ドゥファイエ)です。

たった四音だけフルートとユニゾンで動くところとか、息遣い(息継ぎ)すら演奏の一部として取り込んでいるところとか、全員がやりたい放題のコーダとか、聴き所満載。

2005/06/17

ああ編曲物!

オーケストラ曲の吹奏楽への編曲譜は(…たとえ元の曲がどんなにすばらしい作品であったとしても)サクソフォーン奏者に一抹の寂しさを与える。

であるから四重奏に心砕くのです。吹奏楽で満足してたら他のことに手なんか出しません!。なんてね(心の叫び)。

2005/06/16

作曲家と、演奏者と、

伝承歌(謡)のルーツをたどれば謡を作った本人が演奏し、それを聴いた子孫が伝えたわけで…つまりその頃の作曲と演奏は共存せねば存在できないものだったと。文字の文化を持っていなくても親から子、そして孫へと伝承されることにより生き残ってきたトラディショナルなメロディが世界各地に溢れている。

すると「作曲」と「演奏」が完全に分離したのはいつからだろう…という疑問がふと起こり、一晩考えてはみたものの中々思いつかず、朝から講義を聞きながら考え続けているうちに、ふと思いつく:楽譜(記号)の登場とその意味の固定によって初めて作品は作曲者の元を離れて一人歩きを始めたということか。ありきたりな結論に達するまでに異常なほどの時間を費やしてしまったことに悔やみつつも、まあ善しということにした。

が、その次の瞬間、作曲者と演奏者を結びつけるものは今や記号が書かれている紙切れのみということか…ということに考えが至り、我々演奏者がする行為のあまりの危険さに身が震えた。

余談ではあるが、現在参加しているサクソフォーン四重奏団(MSQ)は、作曲家のディヴィッド・マズランカ、小倉昌浩、伊藤康英各氏に(かなり直接的に)お世話になっている。辺鄙な田舎の一大学生の相手をしていただける先生方に絶大なる感謝を。あと、メールという文明の利器にもね。

2005/06/14

ポップス四重奏曲集

直下の記事に書いてある雲井雅人四重奏団監修のサクソフォーン四重奏曲集(ヤマハ・ミュージックメディア出版)を買ってきて音出ししてみた。「New Sounds in "Ensemble"」と銘打つだけあり、「New Sounds in Brass」でもおなじみの編曲者(森田一浩、星出尚志、後藤洋)がそれぞれ「プレイ・バッハ」「ゴスペル・メドレー」「ニュー・シネマ・パラダイス」の編曲を担当しているという代物。この編曲譜に関する記述がなかなかインターネット上にないので、少し書いておこうと思う。

無伴奏チェロ組曲とフーガの技法にヒントを得たという「プレイ・バッハ」は難曲。初見はおろか、一週間本気でさらっても通すことすらままならないのでは、というくらい。かなり密度が濃い作品で、何かの機会に本気で取り組んでもいいかと思わせられる。

「ゴスペル」と「ニューシネマ」は難易度が低めに設定され、しかも吹いていて楽しい!(なんて言ったってニューサウンズ!)「ゴスペル」は「アメイジング・グレイス」で始まって「I will Follow Him」に繋がり、そのまま「天使にラブソングを」よろしく突然「ROCK Tempo=144」の指示。ロック調の部分はカッコイイようなダサイような妙な編曲だが、アルトが咆えるアドリブ風のファンキーなフレーズなどなかなか面白いです。オススメ。

「ニューシネマ」はかなり原曲に忠実に、ひたすら美しく美しく、という編曲作品。「愛のテーマ」でのテナーとバリトンのベタベタな二重奏や、ソプラノ、アルトパートに現れる甘ーい旋律など、まともに吹くのが恥ずかしいくらい。まあ、純粋にモリコーネの旋律美を堪能できるのでこれもなかなかオススメです。

次に依頼されている出演機会(インカレのレセプションパーティー)での演奏は、「ゴスペル」「ニューシネマ」「私のお気に入り」「木星」「タンゴの歴史」から数曲、といったところか。楽しみ。

2005/06/12

これからの演奏話し合い

四重奏メンバで集まって東京駅土産とスナック菓子をつつき、梅酒と日本酒を飲みながら、会議。いっしょに練習してきた時間は異常なほど多い(はっきり言って吹奏楽いっしょにやっているよりよほど多い)のだが、集まって予定を決めるのは一年ぶり二回目なのだ。2006/04/30にアルスホールでコンサートやります、ということを決定!

あと、これからさらう曲か…雲井雅人サックス四重奏団監修の四重奏曲集(→http://www.ymm.co.jp/products2/detail.php?format=sales&code=GTW257900)と、ピアソラ「タンゴの歴史」とマズランカ「マウンテン・ロード」とメンデルスゾーン「プレリュードとフーガ」とサンジュレ「四重奏曲第一番」と宮川彬良編「私が愛したロイド・ウェーバー」…すごい。メンデルスゾーンでは、筑波大学吹奏楽団第54回定期演奏会幕前演奏のポジションを狙っていきます。

2005/06/11

歌のコンサート

つくばのアートスペースはる工房で開かれた伊藤康英先生と見角悠代(みかどはるよ)さんの歌のコンサートに行ってきた。歌曲のコンサートに行くのは初めてだったのだが、終わってみれば大満足。小さなスタジオのようなスペースで、すぐそこにいる一流の音楽家の演奏を楽しむという贅沢な機会、なかなか得難いものです。

四重奏で吹いたこともあるドリーミング・ドールのピアノ版を聴くことができたり、ヴォカリーズ風「木星のファンタジー」を聴くことができたり、「ここんぷいぷい」新版を聴くことができたりと、個人的な楽しみもさることながら、ステキなトークを交えたコンサートの雰囲気にいつの間にかのめり込んでいき、ふと気付けば気持ちが充実しているのだった。いいですね、歌。人間が本来持っている楽器の一つで、もっとも表現力豊かなもの…何か美しいものが心にダイレクトに入ってくる感覚、歌(とミュールの演奏)でしか味わえないものですね。

康英先生のピアノの美しさは相変わらず。pやppにおけるタッチの美しさと言ったら!ぜひベーゼンドルファーで聴きたいものだ…(本日はYAMAHA)。見角さんの異常に広い音域を持つ(今日の最高音はDouble High-F!)ソプラノにもかなり惚れました。シュトゥットゥガルトの方に留学するそうで、日本の声楽界の、ものすごい逸材である感が拭えない。

2005/06/09

ミュール「コンプリメンタリー」

グリーンドア音楽出版から出ているマルセル・ミュール「コンプリメンタリー」を購入。一曲目、ランティエ「シシリエンヌ」の最初の音が聴こえてくる瞬間から肉声のごとき豊かな音色にゾクゾクしてしまう。そうそう、この感じ!初めてミュールの録音を聴いたときの、サクソフォーンの音色が体の隅々に染み渡ってゆく感覚。確か初めて聴いたのはヴェローヌ「ラプソディ」(こちらは1930年頃の録音)だったが、ハープとチェレスタのやや硬質な音色に導かれてゆったり入ってくるサクソフォーンが鳴り始めた瞬間、いままでSPの奥で演奏していた三人のアンサンブルが突然身体に「入ってくる」という感覚を味わったのである。気付けば感動のあまり涙を流しながら聴いていたなあ…。

そんな感覚を、このCDでも味わうことができる。言葉では説明しきれない演奏がここにたったの\2520で…これは聴くしかないでしょう!あらゆる管楽器愛好家にお勧めしたい。呼吸という単純な行為がサクソフォーンという楽器を媒介にして音になるプロセスを極限まで高めた演奏なのだ。

ちなみに演奏のすばらしさもさることながら、選曲も資料的価値の高いものとなっている。トマジの「ジラシォン」は「協奏曲」の第二楽章だし、ミュール自身も気に入っていたというパスカルやチェレプニンの録音も貴重…チェレプニンは曲の持つ痛快さがたまらない。デュクリュックはドゥラングルや原博巳による録音と聴き比べてみると一興。松沢増保による解説も興味深い。

2005/06/08

筑波大学吹奏楽団第53回定期演奏会

筑波大学吹奏楽団第53回定期演奏会に思うことは多すぎて書ききれません。あれだけ充実した奏後感を味わったステージは初めての経験なのでした。幕前、指揮、アナウンス、演奏、ソロ…どれもこれも、いやー楽しかったなあ。そういえば打ち上げではスタートダッシュしましたが、多量のウーロン茶のおかげで最後には介抱側に参加することができました。

もしかしたら近いうちにどこかにツラツラ書くかも。忘れないうちに記録しておきたいところです。あ…感謝したい人が、山ほどにいます。音楽やってて心から感謝できる人がこんなに多く存在するという類稀な幸せ哉。

2005/06/01

芸術劇場オープニング・テーマ

NHK芸術劇場のオープニングで使用されているサクソフォンアンサンブルの曲が気になって、NHKに問い合わせてしまった。丁寧なお返事を頂きました。さすがNHK。

小倉昌浩作曲「芸術劇場 オープニングテーマ」(委嘱作品のためタイトルは特にないそうだ)
演奏は田中靖人、彦坂眞一郎、新井靖志、大津立史の四人だそうです。…ん??トルヴェールのようでトルヴェールじゃない!